JP5315978B2 - 炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素材料の製造方法等に関する。
炭素材料は、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン二次電池及びナトリウムイオン二次電池キャパシタなどの電極用材料等に使用される。
電気二重層キャパシタの電極として炭素材料を用いる場合、その表面に多くの電解質イオンを吸着させる必要がある。炭素材料に多くの電解質イオンを吸着させるためには、炭素材料が十分な孔径を有すればよく、また、効率よく電解質イオンを炭素材料の細孔表面に吸着させるためには、炭素材料が2〜50nmの孔径幅である多くの細孔(一般的には「メソ孔」と呼ばれている。)を有すればよい(例えば、特許文献1参照)。
多くのメソ孔を有する炭素材料の製造方法としては、熱硬化性樹脂にケイ素化合物を修飾させた樹脂複合体を炭化したのち、該ケイ素化合物に由来するシリカを除去する方法が特許文献1に開示されている。
特開2007−8790号([請求項1]、[0009])
本発明の課題は、炭素材料の全細孔容積に対するメソ孔が占める細孔容積の割合の大きい炭素材料の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記[1]〜[6]記載の発明に至った。
[1]式(1)
Figure 0005315978
(式(1)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基は、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基及び炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していてもよい。nは0〜4の整数を表し、nが複数の場合には、Rは互いに異なっていてもよい。mは0〜4の整数を表し、n+mは0〜4の整数である。)
で表される化合物にアルデヒド化合物を反応させてフェノール樹脂を得る第1工程、
第1工程で得られたフェノール樹脂を、酸化性ガス雰囲気下、600℃〜1000℃で加熱して焼成品を得る第2工程
を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
[2] 第2工程で得られた焼成品を、さらに、不活性ガス雰囲気下、800〜3000℃で加熱する第3工程
を含むことを特徴とする[1]記載の製造方法。
[3] 式(1)
Figure 0005315978
(式(1)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基は、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基及び炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していてもよい。nは0〜4の整数を表し、nが複数の場合には、Rは互いに異なっていてもよい。mは0〜4の整数を表し、n+mは0〜4の整数である。)
で表される化合物にアルデヒド化合物を反応させてフェノール樹脂を得る第1工程、
第1工程で得られたフェノール樹脂を、不活性ガス雰囲気下、600℃〜3000℃で加熱する第4工程
を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
[4] 式(1)で表される化合物のm及びnがいずれも0であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法。
[5] アルデヒド化合物が、ホルムアルデヒドであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか記載の製造方法。
[6] [1]〜[5]のいずれか記載の製造方法で得られた炭素材料を、さらに、粉砕する工程を含むことを特徴とする製造方法。
本発明によれば、炭素材料の全細孔容積に対するメソ孔が占める細孔容積の割合の大きい炭素材料の製造方法を提供することができる。
本発明で用いられる式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記すことがある。)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、例えば、i−プロピル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数3〜12の分枝状アルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜12のシクロアルキル基等が挙げられる。
のアルキル基は、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、メルカプト基(−SH)、スルホ基(−SO3H)、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基及び炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していてもよい。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。
炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基などが挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
炭素数2〜7のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基などが挙げられる。
基が結合したアルキル基の具体例としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基などの水酸基が結合したアルキル基;
メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル基などのアルコキシが結合したアルキル基;
ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、3−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基などのアリール基が結合したアルキル基;
ベンジルオキシメチル基、1−フェノキシエチル基、2−フェノキシエチル基、1−フェノキシプロピル基、2−フェノキシプロピル基、3−フェノキシプロピル基、1−フェノキシブチル基、2−フェノキシブチル基、3−フェノキシブチル基、4−フェノキシブチル基などのアリールオキシ基が結合したアルキル基、
メルカプトメチル基、1−メルカプトエチル基、2−メルカプトエチル基、1−メルカプトプロピル基、2−メルカプトプロピル基、3−メルカプトプロピル基、1−メルカプトブチル基、2−メルカプトブチル基、3−メルカプトブチル基、4−メルカプトブチル基などのメルカプト基が結合したアルキル基、
スルホメチル基、1−スルホエチル基、2−スルホエチル基、1−スルホプロピル基、2−スルホプロピル基、3−スルホプロピル基、1−スルホブチル基、2−スルホブチル基、3−スルホブチル基、4−スルホブチル基などのスルホ基が結合したアルキル基、
クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、4−クロロブチル基、4−ブロモブチル基などのハロゲン原子が置換したアルキル基
ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、1−ニトロプロピル基、2−ニトロプロピル基、3−ニトロプロピル基、1−ニトロブチル基、2−ニトロブチル基、3−ニトロブチル基、4−ニトロブチル基などのニトロ基が結合したアルキル基、
アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、1−アミノプロピル基、2−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、1−アミノブチル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル基、4−アミノブチル基などのアミノ基が結合したアルキル基、
アミドメチル基、1−アミドエチル基、2−アミドエチル基、1−アミドプロピル基、2−アミドプロピル基、3−アミドプロピル基、1−アミドブチル基、2−アミドブチル基、3−アミドブチル基、4−アミドブチル基などのアミド基が結合したアルキル基、
シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基などのシアノ基が結合したアルキル基;
カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、1,2−ジカルボキシエチル基などのカルボキシル基が結合したアルキル基、
カルバモイルメチル基、2−カルバモイルエチル基、3−カルバモイルプロピル基、4−カルバモイルブチル基などのカルバモイル基が結合したアルキル基、
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニルプロピル基、3−エトキシカルボニルプロピル基、4−メトキシカルボニルブチル基、4−エトキシカルボニルブチル基などのアルコキシカルボニル基が結合したアルキル基、
メチルカルボニルオキシメチル基、エチルカルボニルオキシメチル基、2−メチルカルボニルオキシエチル基、2−エチルカルボニルオキシエチル基、3−メチルカルボニルオキシプロピル基、3−エチルカルボニルオキシプロピル基、4−メチルカルボニルオキシブチル基、4−エチルカルボニルオキシブチル基などのアルキルカルボニルオキシ基が結合したアルキル基などを挙げることができる。
1は、水素原子又は炭素数1〜8の無置換の直鎖状アルキル基であることが好ましく、特に、水素原子、メチル基、エチル基、n−ヘキシル基が好ましい。ここで、R1が水素原子とは化合物(1)におけるnが0であることを意味する。
化合物(1)におけるnは0〜4の整数を表し、nが複数の場合には、Rは互いに異なっていてもよい。nは特に0又は1が好ましく、0がより好ましい。
化合物(1)におけるmは0〜4の整数を表し、n+mは0〜4の整数である。mは0又は1が好ましく、特に0が好ましい。
化合物(1)は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
化合物(1)のベンゼン環に結合している−CH2OH基は、化合物(1)のベンゼン環に結合している水酸基の3位の炭素原子に結合していることが好ましい。
化合物(1)としては、例えば、2−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−3−メチルベンジルアルコール,2−ヒドロキシ−4−メチルベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−5−メチルベンジルアルコール、3−ヒドロキシ−2−メチルベンジルアルコール、3−ヒドロキシ−4−メチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−2−メチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルアルコール、2,3−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール、2,3−ジメチル−5−ヒドロキシベンジルアルコール、2,4−ジメチル−6−ヒドロキシベンジルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアルコールなどのヒドロキシベンジルアルコール、例えば、2,4−ジヒドロキシベンジルアルコール,3,4−ジヒドロキシベンジルアルコール,3,5−ジヒドロキシ−ベンジルアルコール,3,5−ジヒドロキシ−4−メチルベンジルアルコールなどのジヒドロキシベンジルアルコール等を挙げることができる。
化合物(1)の調製方法としては、下記式で表される芳香族アルデヒド、芳香族カルボン酸類を還元してやればよく、例えば、3−ヒドロキシベンジルアルコールの調製方法としては、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ安息香酸又はこれらの化合物の誘導体を出発物質とし、水素化リチウムアルミニウム、水素化硼素ナトリウム又は水素化硼素亜鉛などで還元する方法、該出発物質をラネーニッケル触媒又は白金触媒を使用した接触的水素化反応する方法などが例示される。
また、市販品の化合物(1)をそのまま使用してもよい。
Figure 0005315978
(式中、R、n及びmは前記と同じ意味を表し、R’は水素原子、水酸基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
本発明で用いられるアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、例えば、サリチルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒド等が挙げられる。特に、脂肪族アルデヒドが好ましく、とりわけ、ホルムアルデヒドが好ましい。
アルデヒド化合物の使用量は、化合物(1)1モルに対して、通常、1〜3モル程度であり、好ましくは1.2〜2.5モル程度である。
本発明の第1工程は、化合物(1)にアルデヒド化合物を反応させてフェノール樹脂を得る工程である。
好ましくは、化合物(1)及びアルデヒド化合物を水系溶媒及び塩基性触媒存在下に反応させてフェノール樹脂を得るる方法である。
ここで、塩基性触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸バリウム、アンモニア等が挙げられ、特に、炭酸ナトリウムが好ましい。
塩基性触媒と化合物(1)との使用量の比は、塩基性触媒1モル当り、通常、化合物(1)が0.25〜1000モル程度の範囲であり、0.5〜500モル程度が好ましい範囲として挙げられ、10〜500モルが特に好ましい範囲として挙げられる。
水系溶媒としては、水、水と任意の割合で混合し得る有機溶媒、又は、該有機溶媒及び水の混合物を意味する。ここで、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、N-メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒などが挙げられる。有機溶媒は、単独でも2種以上を混合していてもよい。
水系溶媒としては、好ましくは、水、炭素数3以下のアルコール系溶媒、水及び炭素数3以下のアルコール系溶媒の混合物が好ましく、特に水が好ましい。
水系溶媒と化合物(1)との使用量の比は、水系溶媒1重量部に対して、通常、化合物(1)0.05〜2重量部であり、好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明の製造方法において、水系溶媒の使用量は、重合時における水系溶媒の使用量を意味することから、化合物(1)やアルデヒド化合物に含まれる水系溶媒も使用量に算入する。例えば、37%ホルマリン水溶液であれば、63%の水は水系溶媒として計算する。
第1工程をさらに詳しく例示すると、例えば、化合物(1)、アルデヒド化合物、塩基性触媒及び水系溶媒を一括で攪拌混合し、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃にて重合させる方法;化合物(1)、塩基性触媒及び水系溶媒からなる混合物にアルデヒド化合物を、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃にて攪拌混合したのち重合させる方法;アルデヒド化合物、塩基性触媒及び水系溶媒からなる混合物に化合物(1)を、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃にて攪拌混合したのち重合させる方法;化合物(1)、アルデヒド化合物及び水系溶媒からなる混合物に塩基性触媒を、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃にて攪拌混合したのち重合させる方法などが挙げられる。
特に、化合物(1)、塩基性触媒及び水系溶媒からなる混合物にアルデヒド化合物を混合させたのちに重合させる方法が好ましい。
第1工程で得られたフェノール樹脂を含む反応溶液を後述する第2工程または第4工程に供する前に、例えば、塩酸、硫酸、酢酸等の水溶液、塩酸、硫酸、酢酸等のアルコール溶液、酢酸等の洗浄溶媒で洗浄して、塩基性触媒を除去する洗浄工程を行ってもよい。ここでアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどが例示される。
洗浄工程は、通常、洗浄溶媒の沸点以下で行われ、洗浄後にフェノール樹脂から濾過、分液、デカンテーション等の操作で、洗浄溶媒を分離する。
洗浄工程で得られたフェノール樹脂は、さらに、乾燥する工程(以下、乾燥工程と記すことがある)を行ってもよい。具体的な乾燥方法としては、例えば、室温〜100℃程度で通風乾燥する方法又は減圧乾燥する方法などが挙げられる。また、フェノール樹脂中の溶媒が水である場合、親水性有機溶媒で置換した後、室温〜100℃程度で通風乾燥する方法又は減圧乾燥する方法などが例示される。
上記の親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル等の脂肪族ニトリル類;アセトン等の脂肪族ケトン類;ジメチルスルホキシド等の脂肪族スルホキシド類;酢酸等の脂肪族カルボン酸類が挙げられる。
親水性有機溶媒としては、t−ブチルアルコール、ジメチルスルホキシド、酢酸が好ましく用いられ、t−ブチルアルコールは水と置換し易いことから特に好ましい。
また、室温〜100℃程度で通風乾燥する方法又は減圧乾燥する方法に代えて、凍結乾燥を行ってもよい。凍結乾燥における温度は、通常、−70〜20℃の範囲であり、好ましくは−30〜10℃の範囲である。また、凍結乾燥は、通常、真空下で行われる。
第2工程は、第1工程で得られたフェノール樹脂を、酸化性ガス雰囲気下、600℃〜1000℃、好ましくは700〜900℃で加熱して焼成品を得る工程である。
ここで、フェノール樹脂は、第1工程のみを経由したものであっても、前記洗浄工程及び前記乾燥工程を経由したものであってもよい。
また、酸化性ガスとは、有機化合物を酸化し得るガスを意味し、例えば、空気、H2O、CO2又はO2等が挙げられる。
第2工程における加熱時間としては、通常、1分間〜24時間程度である。
第2工程における加熱は、ロータリーキルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、多段炉、流動炉、高温焼成炉などの焼成炉を用いて加熱することが好ましい。特に、ロータリーキルンは、大量の化合物(1)を容易に加熱することができることから好ましい。
具体的には、酸化性ガス雰囲気下の焼成炉に化合物(1)を仕込み、600〜1000℃の範囲で、1分間〜24時間程度加熱する方法などが挙げられる。
第2工程で得られた焼成品は、そのまま、炭素材料としてもよいが、好ましくは、焼成品を、さらに、不活性ガス雰囲気下、800〜3000℃で加熱する第3工程を行うことが好ましい。
ここで、不活性ガスとは、有機化合物と反応しないガスを意味し、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガス、例えば、窒素などが挙げられる。
第3工程における加熱は、前記第2工程で例示された焼成炉と同様の焼成炉によって過熱する方法が挙げられ、好ましくは、第2工程で600℃〜1000℃の温度範囲で加熱したあと、同温度程度で酸化性ガスを不活性ガスに置換し、引き続き、800〜3000℃に加熱する方法が推奨される。
第3工程における加熱時間は、通常、1分間〜24時間程度である。
第3工程を経て得られた炭素材料は、特に、メソ孔比率が高いことから好ましい。
ここで、メソ孔比率とは、炭素材料における全細孔容積に対するメソ孔容積の割合を意味する。全細孔容積は、ユアサアイオニクス社製、AUTOSORBを用い、液体窒素温度での窒素吸着等温線における相対圧0.95付近の窒素吸着量から求めることができ、メソ孔容積は、上記窒素吸着等温線からBJH法を用いて求めることができる。
本発明の異なる実施態様として、第1工程で得られたフェノール樹脂を、不活性ガス雰囲気下、600℃〜3000℃で加熱する工程(以下、第4工程と記すことがある)を経て、炭素材料を得る方法が挙げられる。
第4工程に用いられるフェノール樹脂は、第1工程のみを経由したものであってもよいし、さらに前記洗浄工程及び前記乾燥工程を経由したものであってもよい。
第4工程における加熱は、前記第2工程で例示された焼成炉と同様の焼成炉によって加熱する方法が挙げられ、好ましくは、不活性ガス雰囲気下の焼成炉に化合物(1)を仕込み、600〜3000℃の範囲まで昇温させ、該温度で加熱する方法などが挙げられる。 第4工程における加熱時間は、通常、1分間〜24時間程度である。
かくして得られた炭素材料は、例えば、乾電池、圧電素子用センサー、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池及び燃料電池などの電極用材料;触媒を担持するための担体;クロマトグラフ用担体;吸着剤などに使用することができる。
電極用材料に本発明の炭素材料を用いる場合、第2工程、第3工程又は第4工程で得られた炭素材料を、さらに粉砕する工程を経由したものであることが好ましい。粉砕方法としては、例えば、衝撃摩擦粉砕機、遠心力粉砕機、ボールミル(チューブミル、コンパウンドミル、円錐形ボールミル、ロッドミル)、振動ミル、コロイドミル、摩擦円盤ミル、ジェットミルなどの微粉砕用の粉砕機が好適に用いられる。
粉砕方法としては、ボールミルが一般的であるが、ボールミルを用いる場合、金属粉の混入を避けるために、ボールや粉砕容器は、アルミナ、メノウなどの非金属製であることが好ましい。
粉砕して得られた炭素材料は、通常、1〜50μm程度であり、好ましくは、2〜10μmである。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。特に断りがない限り、部及び%は重量基準を意味する。
(フェノール樹脂の調製)
反応容器に3−ヒドロキシベンジルアルコール50.0部、蒸留水208部及び0.5%炭酸ナトリウム水溶液1.1部を加え、30℃で攪拌混合した。この混合液に、37%ホルマリン64.7部を混合し、さらに30℃で30分間保温した。
得られた反応液を、ステンレス製容器に抜出し、80℃で24時間保温することで、フェノール樹脂、水などを含む固形状物を得た。該固形状物を粉砕機で粗砕した後、t−ブチルアルコールを加えて、攪拌下、60℃で1時間保温した後、濾過して、濾過上から粉砕品を得た。t−ブチルアルコールによる洗浄及び濾過を3回繰り返した後、得られた粉砕品を60℃で24時間減圧乾燥し、フェノール樹脂 53.2部を得た。
(実施例1)
(フェノール樹脂の調製)の項で得られたフェノール樹脂をロータリーキルン(アドバンテック製)中を二酸化炭素雰囲気下とし、800℃で1時間加熱した。次いで、遊星ボールミル(メノウ製ボール、300rpm、5分間)で粉砕し、炭素材料を得た。
得られた炭素材料を以下のようにして全細孔容積及びメソ孔容積を求め、得られた結果から全細孔容積に対するメソ孔が占める細孔容積の割合を百分率で表したメソ孔割合を求めた。メソ孔割合は全細孔容積の54%に達した。
(実施例2)
実施例1で得られた炭素材料をロータリーキルンに置き、アルゴン雰囲気下に置換したのち、2800℃に昇温し、該温度でさらに1時間加熱した。全細孔容積、メソ孔容積及びメソ孔割合を実施例1と同様にして求めた。得られた炭素材料はメソ孔を有し、その割合は全細孔容積の89%に達した。
(実施例3)
(フェノール樹脂の調製)の項で得られたフェノール樹脂をロータリーキルン(アドバンテック製)中をアルゴンガス雰囲気下とし、1000℃で1時間加熱した。次いで、遊星ボールミル(メノウ製ボール、300rpm、5分間)で粉砕し、炭素材料を得た。
得られた炭素材料を以下のようにして全細孔容積及びメソ孔容積を求めた。全細孔容積及びメソ孔はいずれも0.01cc/gであり、メソ孔が占める全細孔容積の割合は100%であった。
(全細孔容積及びメソ孔容積の算出)
全細孔容積は、ユアサアイオニクス社製、AUTOSORBを用い、液体窒素温度での窒素吸着等温線における相対圧0.95付近の窒素吸着量から算出した。メソ孔容積とは、窒素吸着等温線からBJH法を用いて算出されたメソ孔が占める細孔容積である。
本発明によれば、炭素材料の全細孔容積に対するメソ孔が占める細孔容積の割合の大きい炭素材料の製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 式(1)
    Figure 0005315978
    (式(1)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基は、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基及び炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していてもよい。nは0〜4の整数を表し、nが複数の場合には、Rは互いに異なっていてもよい。mは0〜4の整数を表し、n+mは0〜4の整数である。)
    で表される化合物にアルデヒド化合物を反応させてフェノール樹脂を得る第1工程、
    第1工程で得られたフェノール樹脂を、酸化性ガス雰囲気下、600℃〜1000℃で加熱して焼成品を得る第2工程
    を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
  2. 第2工程で得られた焼成品を、さらに、不活性ガス雰囲気下、800〜3000℃で加熱する第3工程
    を含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 式(1)
    Figure 0005315978
    (式(1)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基は、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、メルカプト基、スルホ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基及び炭素数2〜7のアシルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合していてもよい。nは0〜4の整数を表し、nが複数の場合には、Rは互いに異なっていてもよい。mは0〜4の整数を表し、n+mは0〜4の整数である。)
    で表される化合物にアルデヒド化合物を反応させてフェノール樹脂を得る第1工程、
    第1工程で得られたフェノール樹脂を、不活性ガス雰囲気下、600℃〜3000℃で加熱する第4工程
    を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
  4. 式(1)で表される化合物のm及びnがいずれも0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
  5. アルデヒド化合物が、ホルムアルデヒドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の製造方法で得られた炭素材料を、さらに、粉砕する工程を含むことを特徴とする製造方法。
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