JP4754813B2 - カーボン材料の製造方法及びタブレット状乾燥ゲル - Google Patents
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また、前記黒鉛やハードカーボン等の代わりに、レゾルシンとアルデヒドから得られる樹脂の多孔質ゲルをアルゴン等の不活性ガスや還元性ガス雰囲気下で加熱処理することによって得たカーボン材料にSn、Al、Si等の元素を担持した複合体が、非水電解液二次電池用負極活物質として好適に使用できることが公知である(特許文献1を参照)。
更に、上記の黒鉛やハードカーボン等の担体に担持されたSn、Al、Si等の元素を担持した複合体などの炭素材料を所望の形状に加工して負極が製造される場合は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(E.I.DuPont社の登録商標)等のバインダーを用いられる。その際、バインダーを溶解させる為に、N−メチルピロリドン等の溶媒と一緒に混練してペーストを製造し、集電体に該ペーストを塗布、充填又は含浸させ、溶媒を乾燥、除去した後、加圧、切断等が行われることが公知である(以上、特許文献1及び非特許文献1を参照)。
そして、上記多孔体材料として、ポリヒドロキシベンゼンとホルムアルデヒドを塩基性触媒の存在下に水性媒体中で加熱して得た安定なゲルを有機溶媒で洗浄して、水性媒体を上記有機溶媒に置換した後、上記のゲルを超臨界乾燥して、低密度の有機エアロゲルを製造する方法が公知である(以上、特許文献2を参照)。
また、超臨界乾燥により有機エアロゲルを得る特許文献2の方法では、高価な乾燥用装置が必要であり、カーボン材料の製造コストが高くなるという問題があった。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水及び触媒の存在下にフェノール化合物とアルデヒド化合物を反応させて得られる樹脂のゲルを脱水し、得られた乾燥ゲルを不活性ガス雰囲気中で焼成すると、上記バインダーを用いなくても、所望の形状にカーボン材料を成型できることを見出して、本発明を完成するに至った。
また、本発明の(ロ)によれば、電極材料等のエネルギー貯蔵用デバイスを効率良く製造することができる。
さらに、本発明の(ハ)によれば、フェノール化合物とアルデヒド化合物をディスク状の容器中で反応させるので、カーボン材料をバインダーなしで所望の形状に成型することが可能な、前記カーボン材料の前駆物質であるタブレット状湿潤ゲルを効率良く製造することができる。
本発明の(ニ)によれば、フェノール化合物とアルデヒド化合物をディスク状の容器中で反応させて得たタブレット状湿潤ゲル中の水を親水性有機溶媒で置換後、凍結乾燥するので、効率良く安価にタブレット状乾燥ゲルを製造することができる。
本発明の(ホ)によれば、フェノール化合物とアルデヒド化合物をディスク状の容器中で反応させてタブレット状湿潤ゲルを得、該湿潤ゲル中の水を親水性有機溶媒で置換後、凍結乾燥し、次いで乾燥ゲルを不活性雰囲気中で焼成するので、エネルギー貯蔵容量の大きい電極材料等のデバイスを効率よく安価に製造することができる。
本発明の(イ)において、フェノール化合物とアルデヒド化合物の反応は、水及び触媒の存在下に行われる。
フェノール化合物としては、例えば、下式(1)
で示される化合物が挙げられる。
上記アルキル基や、該アルキル基の置換基であるアルコキシ、アルコキシカルボニル及びアルキルカルボニルオキシは、直鎖状でもよく、分岐状でもよい。
R1としては、水素原子又は無置換のアルキル基がより好ましく、水素、メチル基、エチル基、n−オクチル基が特に好ましい。
mとしては、1又は2が好ましく、1が特に好ましい。
本発明の(イ)において、上記フェノール化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合物を用いてもよい。
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒドが好ましい。
本発明の(イ)において、フェノール化合物に対するアルデヒド化合物のモル比は、通常は1〜3の範囲であり、好ましくは1.2〜2.5の範囲である。
本発明(イ)において、ゾル−ゲル反応における水の使用量は、上記フェノール化合物とアルデヒド化合物の合計量100重量部当り、通常は50〜6000重量部の範囲であり、好ましくは50〜2000重量部の範囲であり、より好ましくは、50〜1000重量部の範囲である。なお、例えば、原料化合物として、例えばホルマリンのような水溶液を用いる場合は、該水溶液に含まれる水も、上記使用量に含まれる。
塩基触媒としては、炭酸ナトリウムが好ましい。塩基性触媒の使用量は、フェノール化合物1モル当り、通常は0.00001〜5モルの範囲であり、好ましくは0.00001〜2モルの範囲であり、さらに好ましくは0.00001〜0.1モルの範囲である。
湿潤ゲルの脱水は、例えば、前記湿潤ゲル中の水を親水性有機溶媒で置換することにより行われる。
上記の親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール及びt−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル等の脂肪族ニトリル類;アセトン等の脂肪族ケトン類;ジメチルスルホキシド等の脂肪族スルホキシド類;酢酸等の脂肪族カルボン酸類が挙げられる。
これらの親水性有機溶媒のうち、t−ブチルアルコール、ジメチルスルホキシド又は酢酸が好ましく用いられ、t−ブチルアルコールが特に好ましく用いられる。
このようにして得られた親水性有機溶媒で湿潤されたゲルは、好ましくは凍結乾燥され、乾燥ゲルが得られる。
凍結乾燥によって得られた乾燥ゲルは、ゾル−ゲル反応により作られた湿潤ゲルを構成する粒子の三次元の網目状構造を保持することができる。すなわち、形態及び機能的に三次元の網目状構造が有する性状を維持しつつ、湿潤ゲル中の親水性有機溶媒等の液体を除去することができる。
さらに、凍結乾燥装置を用いることにより、湿潤ゲルを短時間で乾燥することができると共に、乾燥ゲルの製造コストを低減化することができる。
凍結乾燥における凍結温度は、通常は−70〜−5℃の範囲であり、好ましくは−30〜−10℃の範囲である。
上記の賦活により、微細構造の割合が多くなり、単位重量当りの表面積の大きなカーボン材料を得ることができる。
また、上記の酸化性ガス雰囲気における賦活処理では、薬品を併用してもよい。即ち、上記(イ)記載の製造方法により得られたカーボン材料に塩化亜鉛、リン酸、硫化カリウムや水酸化カリウム等の化学薬品を添加した後、H2O、CO2又はO2を含む酸化性ガス雰囲気において賦活処理を行うことができる。
上記フェノール化合物とアルデヒド化合物の反応は、本発明(イ)における反応と同じ条件で行われる。好ましい反応容器はディスク状の鉢型容器である。ディスク状の鉢型容器の厚みは、通常は0.5〜5mmの範囲であり、好ましくは1〜3mmの範囲である。
容器の材質は、鋳型の作製に通常使用される金属や樹脂が好ましい。
本発明(ハ)の方法により製造されるタブレット状湿潤ゲルとしては、本発明(ニ)並びに(ホ)の工程を経た後も、タブレット状湿潤ゲルが、反ったりひび割れたりせずに、形状が保てる厚みが好ましい。タブレット状湿潤ゲルの厚みとしては、3mm以下のものが好ましく、0.5〜2.8mm以下のものが特に好ましい。
そして、上記タブレット状カーボン材料は、例えば上記の微細構造を利用したエネルギー貯蔵用デバイスとして用いることができる。本発明(ホ)の方法によれば、タブレットの形状を維持したままカーボン材料を製造することができる。そして、上記タブレットの厚みを調節することが可能であり、エネルギー貯蔵量を容易に制御することができる。また、本発明(ホ)の方法により製造されたタブレット状カーボン材料は、上記のバインダーを用いなくてもタブレット状に成型でき、且つ成型後に溶媒等のバインダーを除去する操作が不要なので、操作性に優れており、且つ製造コストを低減することができる。
エネルギー貯蔵の例としては、リチウム二次電池、電気二重層キャパシタ及びメタンガスの吸着・貯蔵等を挙げることができる。
[タブレット状カーボンクライオゲル電極の作製]
厚さ2mmのディスク状反応容器に、レゾルシン5.0g及び37重量%ホルマリン7.37gを仕込んだ。得られた混合物に炭酸ナトリウム0.0096g及び蒸留水10gを加え、25℃で1時間保温後、50℃で1時間保温させて、タブレット状の湿潤ゲルを得た。
この湿潤ゲルにt−ブチルアルコールを加えて洗浄し、上記ゲル中の水をt−ブチルアルコールに置換した。t−ブチルアルコールで置換されたゲルを凍結乾燥した。凍結乾燥後のゲルをアルゴン雰囲気下に1000℃で焼成(炭化)し、タブレット状カーボンクライオゲルを得た。
得られたカーボンクライオゲルを、10容量%の二酸化炭素を含む雰囲気下に1000℃で賦活処理して、タブレット状カーボン材料電極を作製した。
賦活処理後の電極の厚みは約0.60mmであった。
厚さ2mmのディスク状反応容器を用いる以外は、実施例1と同様にしてタブレット状カーボン材料電極を作製した。賦活処理後の電極の厚みは約1.30mmであった。
また、厚さが3mmのディスク状反応容器を用いる以外は、実施例1と同様にしてタブレット状カーボン材料電極を作製した。賦活処理後の電極の厚みは約1.95mmであった。
[細孔特性と電気二重層容量の評価]
実施例1で得たカーボンクライオゲルの77度(絶対温度)における窒素の吸脱着等温線を測定し、BET式(ブルナウア−エメット−テーラー式)を用いて表面積を求めた。 また、脱着等温線にDollimore−Heal法を適用してメソ細孔容積とメソ細孔径分布を求めた。
さらに、4M水酸化カリウムを電解液として、2極式セルを用いた定電流充放電測定(300mA/g)により電気二重層容量を求めた。
[表面の反り、ひび割れの有無]
表2に記載の厚さのディスク状反応容器を用いる以外は、実施例1と同様にしてタブレット状カーボン材料を作製し、得られたタブレット状湿潤ゲル及びカーボン材料について、厚み、反りの有無及びひび割れの有無を観察した。結果を表2に示した。尚、カーボン材料は賦活前の状態を表す。
Claims (8)
- 水及び触媒の存在下にフェノール化合物とアルデヒド化合物をディスク状の容器中で反応させるタブレット状湿潤ゲルの製造方法であって、
触媒が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム及びリン酸カリウムからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、
フェノール化合物が、下式(1)で表される化合物であり、
アルデヒド化合物が、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、サリチルアルデヒド及びベンズアルデヒドからなる群から選ばれる1以上の化合物であることを特徴とするタブレット状湿潤ゲルの製造方法。
(式中、R1は水素原子、又はハロゲン原子若しくは置換基で置換されていてもよいアルキル基を表す。nは2〜5の整数を表し、mは0〜3の整数を表すが、n及びmの和が6以上であることはない。) - 容器の厚さが0.5〜5mmである請求項1に記載のタブレット状湿潤ゲルの製造方法。
- 容器の厚さが3mm以下である請求項1又は2に記載のタブレット状湿潤ゲルの製造方法。
- 触媒が、炭酸ナトリウムである請求項1〜3のいずれかに記載のタブレット状湿潤ゲルの製造方法。
- フェノール化合物が、レゾルシノールである請求項1〜4のいずれかに記載のタブレット状湿潤ゲルの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のタブレット状湿潤ゲルの製造方法によってタブレット状湿潤ゲルを得、該湿潤ゲル中の水を親水性有機溶媒で置換後、凍結乾燥することを特徴とするタブレット状乾燥ゲルの製造方法。
- 親水性有機溶媒が、t−ブチルアルコールである請求項6に記載のタブレット状乾燥ゲルの製造方法。
- 請求項6又は7に記載のタブレット状乾燥ゲルの製造方法によってタブレット状のカーボン乾燥ゲルを得た後、該タブレット状のカーボン乾燥ゲルを不活性ガス雰囲気中で焼成するタブレット状のカーボン材料の製造方法であって、
不活性ガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム及び水素からなる群から選ばれる1以上の化合物からなるガスであることを特徴とするタブレット状のカーボン材料の製造方法。
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