以下の説明においては、種々の実施態様の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者には当然のことながら、本発明はそれらの詳細無しでも実施され得る。他の場合には、実施態様の説明を不必要に分かりにくくすることのないように、周知の構造が詳細に提示又は説明されてはいない。文脈が別段に要求しない限り、本明細書及びその後の特許請求の範囲において、用語「含む、含んでなる、備える(comprise)」及びその変形、例えば「comprises」及び「comprising」は、開放的で包括的な意味で、すなわち「含むが、それらに限定されない」として理解されるべきものである。さらに、本明細書に記載の見出しは専ら便宜のためであって、請求される発明の範囲又は意味を解釈しているものではない。
本明細書における「1つの実施態様」又は「一実施態様」への言及は、その実施態様に関連して記載される具体的な特徴、構造、又は特質が、少なくとも1つの実施態様に含まれるということを意味する。したがって、本明細書の種々の箇所における語句「1つの実施態様では」又は「一実施態様では」の出現は、必ずしも全てが同一の実施態様を指しているわけではない。さらに、その具体的な特徴、構造、又は特質は、1つ以上の実施態様において任意の適当な方法で組み合わされ得る。さらに、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかに別段に示していない限りは複数の指示物を包含する。なお、用語「又は」は、内容が明らかに別段に示していない限りは「及び/又は」を包含するその意味で通常は用いられる。
<定義>
本明細書において用いられる場合、文脈が別段に示していない限り、次の用語は以下に記載の意味を有する。
「炭素材料」は、実質的に炭素(例えば、重量基準で90%超、95%超、99%超、又は99.9%超の炭素)からなる材料又は物質を指す。炭素材料は、超高純度並びに非晶質及び結晶質炭素材料を包含する。いくつかの炭素材料は電気化学的調節剤(例えばSi又はN)を含んで、デバイスの性能を調節し(例えば向上させ)得る。これは以下により詳細に記載される。炭素材料の例は、活性炭、熱分解された乾燥ポリマーゲル、熱分解されたポリマークリオゲル、熱分解されたポリマーキセロゲル、熱分解されたポリマーエアロゲル、活性化された乾燥ポリマーゲル、活性化されたポリマークリオゲル、活性化されたポリマーキセロゲル、活性化されたポリマーエアロゲルなどを含むが、それらに限定されない。
「電気化学的調節剤」は、炭素材料の電気化学的性能を調節する(例えば向上又は減少させる)任意の化学元素、化学元素を含む化合物、又は異なる化学元素及び/もしくは化合物同士の任意の組み合わせを指す。電気化学的調節剤は、炭素材料の抵抗、容量、出力性能、安定性、及び他の特性を変更(増大又は減少)できる。電気化学的調節剤は、通常は、所望の電気化学的効果を付与する。対照的に、炭素材料中の不純物は通常は望まれず、炭素材料の電気化学的性能を向上させるのではなく低下させがちである。本開示に関する電気化学的調節剤の例は、周期表の12~15族の元素、及び他の元素、例えば硫黄、タングステン及び銀、及び、当該元素を含んでなる化合物又は酸化物、並びにそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されない。例えば、電気化学的調節剤は、鉛、スズ、アンチモン、ビスマス、ヒ素、タングステン、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム、ケイ素、及びそれらの組み合わせ、さらにはそれらの酸化物、及びそれらを含む化合物を包含するが、それらに限定されない。
「12族」元素は、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、及びコペルニシウム(Cn)を含む。
「13族」元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)を含む。
「14族」元素は、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、及び鉛(Pb)を含む。
「15族」元素は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)を含む。
「非晶質」は、その構成原子、分子、又はイオンがランダムに配置されており規則的な繰返しパターンが無い材料、例えば非晶質炭素材料を指す。非晶質材料は若干の局所的な結晶性(すなわち規則性)を有し得るが、原子の配置の長距離での秩序は欠く。熱分解された炭素材料及び/又は活性炭材料は、通常は非晶質である。
「結晶質」は、その構成原子、分子、又はイオンが整った繰り返しパターンで配置されている材料を指す。結晶質炭素材料の例はダイヤモンド及びグラフェンを含むが、これらに限定されない。
「合成」は、天然の供給源からではなく化学的手段によって調製された物質を指す。例
えば、合成炭素材料は、天然の供給源から単離されずに前駆体材料から合成されるもので
ある。
「不純物」又は「不純物元素」は、母材の化学組成とは異なる母材中の異物(例えば化学元素)を指し、異物は意図的には添加されない。例えば、炭素材料中の不純物は、炭素材料中に存在する炭素以外の任意の元素又は複数元素の組み合わせを指す。不純物レベルは通常は百万分率(ppm)で表される。
「PIXE不純物」又は「PIXE元素」は、11~92の範囲の原子番号を有する任意の不純物元素(すなわちナトリウムからウランまで)である。用語「全PIXE不純物含量」及び「全PIXE不純物レベル」は両方とも、試料、例えばポリマーゲル又は炭素材料中に存在するすべてのPIXE不純物の合計を指す。PIXE不純物の濃度及び同定は、プロトン励起X線放出法(PIXE)によって決定することができる。
「超高純度」は、0.050%未満の全PIXE不純物含量を有する物質を指す。例えば、「超高純度炭素材料」は、0.050%(すなわち500ppm)未満の全PIXE不純物含量を有する炭素材料である。
「灰分」は、物質を分解温度にさらした後に残存する不揮発性無機物質を指す。本明細書においては、炭素材料の灰分は、プロトン励起X線放出法によって測定される全PIXE不純物含量から算出される。ただし、PIXEによって検出されるあらゆる元素は完全に変換されて、予想される燃焼生成物(すなわち酸化物)になるものとする。
「ポリマー」は、1以上の構造的な繰返し単位からなる巨大分子を指す。
「合成ポリマー前駆体材料」又は「ポリマー前駆体」は、合成ポリマーの調製に用いられる化合物を指す。ポリマー前駆体は、通常は、他の化合物と組み合わさって(すなわち反応して)ポリマー、例えば縮合ポリマーを形成し得る化合物である。ポリマー前駆体は、モノマ、さらには部分的に重合したモノマ(すなわち、二量体、オリゴマーなど)を包含する。通常は、ポリマー前駆体は、芳香族又は脂肪族のアルコール又はアミン及びカルボニル含有化合物(例えば、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、イソシアネート、尿素、アミド、酸ハロゲン化物、エステル、活性カルボニル含有化合物など)から選択される。本明細書において開示される調製のいくつかの実施態様で用いられ得るポリマー前駆体の例は、アルデヒド(すなわち、Rが有機基であるHC(=O)R)、例えばメタナール(ホルムアルデヒド)、エタナール(アセトアルデヒド)、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、ブタナール(ブチルアルデヒド)、フルフラール(フルフルアルデヒド)、グルコース、ベンズアルデヒド、及びシンナムアルデヒドを含むが、これらに限定されない。他の例示的なポリマー前駆体は、フェノールなどのフェノール系化合物及びジヒドロキシ又はトリヒドロキシベンゼンなどのポリヒドロキシベンゼン、例えばレゾルシノール(すなわち1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、及びフロログルシノールを含むが、これらに限定されない。アミン、例えばメラミン、及び/又は尿素も用いられ得る。2つ以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も、ポリマー前駆体の意味の範囲に含めて考えられる。さらに、この点において、有用なポリマー前駆体の別の例は、シアヌル酸並びにカルボキシル基及びアミン基の両方を含んでなる関連化合物である。
「縮合ポリマー」は、小分子(例えば水)の脱離を伴う1つ以上のポリマー前駆体の反応から生ずるポリマーである。例示的な縮合ポリマーは、アルコール又はアミンとカルボニル含有化合物との反応から形成されるポリマーを包含するが、それらに限定されない。
「モノリシック」は、本質的に粒子状でない固体の3次元構造を指す。
「ゾル」は、前駆体粒子(例えばポリマー前駆体)のコロイド懸濁液を指す。用語「ゲル」は、前駆体粒子の縮合又は反応によって得られる湿潤な3次元の細孔ネットワークを指す。
「ポリマーゲル」は、ネットワーク成分がポリマーであるゲルを指す。通常は、ポリマーゲルは湿潤な(水性又は非水性系の)3次元構造であり、これは合成前駆体又はポリマ前駆体から形成されたポリマーからなる。
「ゾルゲル」は、ポリマーゲルの下位概念であって、ポリマーがポリマー前駆体の反応によって得られる湿潤な3次元の細孔ネットワークを形成するコロイド懸濁液であるものである。
「ポリマーヒドロゲル」又は「ヒドロゲル」は、ポリマーゲル又はゲルの下位概念であって、合成前駆体又はモノマの溶媒が水、又は水及び1つ以上の水混和性溶媒の混合物であるものである。
「RFポリマーヒドロゲル」は、ポリマーゲルの下位概念であって、ポリマーが、水又は水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物中におけるレゾルシノールとホルムアルデヒドとの触媒反応によって形成されたものである。
「連続相」は、その中に重合の成分(すなわち、ポリマー前駆体、触媒、酸など)が溶解、懸濁、及び/又は乳化されている液相を指す。連続相は親水性又は疎水性であり得、種々の粘度を有し得る。2つ以上の異なる連続相の混合物も考えられる。任意の数の異なる液体(例えば溶媒)を本発明に関して使用し得、これは本明細書においてより詳細に説明される。
「酸」は、溶液のpHを低下させることができる任意の物質を指す。酸は、アレニウス、ブレンステッド、及びルイス酸を包含する。「固体酸」は、溶媒に溶解されたときに酸性溶液をもたらす乾燥又は顆粒状化合物を指す。用語「酸性」は、酸の特性を有することを意味する。
「塩基」は、溶液のpHを上昇させることができる任意の物質を指す。塩基は、アレニウス、ブレンステッド、及びルイス塩基を包含する。「固体塩基」は、溶媒に溶解されたときに塩基性溶液をもたらす乾燥又は顆粒状化合物を指す。「塩基性」の用語は、塩基の特性を有することを意味する。
「混和性」は、混合物が温度、圧力、及び組成のある範囲において単一相を形成する場合の混合物の特性を指す。
「触媒」は、化学反応の速度を変える物質である。触媒は繰り返し的に反応に関与し、したがって触媒は繰返して再生される。本開示はナトリウム不含の触媒を考える。本明細書に記載のポリマーゲル(例えば超高純度ポリマーゲル)の調製に用いられる触媒は、超高純度ポリマーゲルを形成するためのポリマー前駆体の重合を容易にする任意の化合物であり得る。「揮発性触媒」は、大気圧以下において気化する傾向を有する触媒である。例示的な揮発性触媒は、アンモニウム塩、例えば炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
「溶媒」は、反応物(例えば超高純度ポリマー前駆体)を溶解又は懸濁する物質を指し、その中で反応が起こり得る媒体を提供する。本明細書において開示されるゲル、超高純度ポリマーゲル、超高純度の合成炭素材料、及び超高純度の合成非晶質炭素材料の調製に有用な溶媒の例は、水、アルコール、及びそれらの混合物を包含するが、これらに限定されない。例示的なアルコールは、エタノール、t-ブタノール、メタノール、及びそれらの混合物を包含する。かかる溶媒は、合成の超高純度ポリマー前駆体材料の溶解、例えばフェノール系又はアルデヒド化合物の溶解にとって有用である。さらに、いくつかのプロセスではかかる溶媒は(凍結及び乾燥に先立って)ポリマーヒドロゲルの溶媒交換に用いられ、レゾルシノール及びホルムアルデヒドなどの前駆体の重合からの溶媒が、純粋なアルコールと交換される。本願の一実施態様では、溶媒交換を含まないプロセスによってクリオゲルが調製される。
「乾燥ゲル」又は「乾燥ポリマーゲル」はそれぞれ、溶媒、通常は水、又は水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物が実質的に除去された、ゲル又はポリマーゲルを指す。
「熱分解された乾燥ポリマーゲル」は、熱分解はされているがまだ活性化はされていない乾燥ポリマーゲルを指す。一方、「活性化された乾燥ポリマーゲル」は、活性化された乾燥ポリマーゲルを指す。
「クリオゲル」は、凍結乾燥によって乾燥された乾燥ゲルを指す。
「RFクリオゲル」は、レゾルシノール及びホルムアルデヒドの触媒反応からゲルが形成され、凍結乾燥によって乾燥された乾燥ゲルを指す。
「熱分解されたクリオゲル」は、熱分解はされているがまだ活性化はされていないクリオゲルである。
「活性化されたクリオゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたクリオゲルである。
「キセロゲル」は、例えば大気圧以下の風乾によって乾燥された乾燥ゲルを指す。
「熱分解されたキセロゲル」は、熱分解はされたがまだ活性化はされていないキセロゲルである。
「活性化されたキセロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたキセロゲルである。
「エアロゲル」は、超臨界乾燥によって、例えば超臨界二酸化炭素を用いて乾燥された乾燥ゲルを指す。
「熱分解されたエアロゲル」は、熱分解はされたがまだ活性化されてはいないエアロゲルである。
「活性化されたエアロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたエアロゲルである。
「有機抽出溶媒」は、ポリマー前駆体の重合が開始した後、通常はポリマーヒドロゲルの重合が完了した後にポリマーヒドロゲルに加えられる有機溶媒を指す。
「急速多方向凍結」はポリマーゲルを凍結するプロセスであって、ポリマーゲル粒子をモノリシックなポリマーゲルから作り出し、そのポリマーゲル粒子を適当に低温の媒体にさらすことによってなされる。低温の媒体は、例えば液体窒素、窒素ガス、又は固体二酸化炭素であり得る。急速多方向凍結中には、氷核生成が氷晶成長よりも優位である。適当な低温の媒体は、例えば約-10℃未満の温度のガス、液体、又は固体であり得る。又は、適当な低温の媒体は、約-20℃未満の温度のガス、液体、又は固体であり得る。又は、適当な低温の媒体は、約-30℃未満の温度のガス、液体、又は固体であり得る。
「活性化する」及び「活性化」は、それぞれ、「活性化された」物質(例えば、活性化クリオゲル又は活性炭材料)を作るために、酸化雰囲気(例えば、二酸化炭素、酸素、水蒸気、又はそれらの組み合わせ)への曝露中に、活性化滞留温度において原料又は炭化/熱分解した物質を加熱するプロセスを指す。活性化プロセスは粒子の表面の脱落を通常はもたらし、これは増大した表面積をもたらす。又は、活性化は薬品手段によって達成され得、例えば化学物質(例えば、リン酸などの酸、もしくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基、もしくは塩化亜鉛などの塩)によって炭素含有前駆体材料を含浸した後に、炭化を行うことによってなされる。「活性化された」とは、活性化のプロセスを経た材料又は物質、例えば炭素材料を指す。
「炭化する」、「熱分解する」、「炭化」、及び「熱分解」はそれぞれ、炭素含有物質を熱分解滞留温度において不活性雰囲気(例えば、アルゴン、窒素、又はそれらの組み合わせ)中又は減圧中で加熱するプロセスを指し、プロセスの終わりに回収される目標の材料が主に炭素となるようにする。「熱分解された」は、熱分解のプロセスを経た材料又は物質、例えば炭素材料を指す。
「滞留温度(dwell temperature)」は、相対的に一定の温度を維持する(すなわち、温度を増大も減少もさせない)ためにあてられたプロセスの一部にある時の、炉の温度を指す。例えば、熱分解温度は、相対的に一定である熱分解中の炉の温度を指す。活性化滞留温度は、相対的に一定である活性化中の炉の温度を指す。
「細孔」は、炭素材料、例えば活性炭、熱分解された乾燥ポリマーゲル、熱分解されたポリマークリオゲル、熱分解されたポリマーキセロゲル、熱分解されたポリマーエアロゲル、活性化された乾燥ポリマーゲル、活性化されたポリマークリオゲル、活性化されたポリマーキセロゲル、活性化されたポリマーエアロゲルなどの、表面の開口もしくは陥没又はトンネルを指す。細孔は単一のトンネルであり得、又は構造中の連続的なネットワークとして他のトンネルにつながり得る。
「細孔構造」は、炭素材料、例えば活性炭材料の内部細孔の表面のレイアウトを指す。細孔構造の構成要素は、細孔径、細孔容積、表面積、密度、細孔径分布、及び細孔長を含む。通常は、活性炭材料の細孔構造はミクロ細孔及びメソ細孔を含む。例えば、特定の実施態様では、ミクロ細孔対メソ細孔の比は向上した電気化学的性能のために最適化される。
「メソ細孔」は、通常は、2ナノメートル~50ナノメートルの範囲の直径を有する細孔を指す。一方、用語「ミクロ細孔」は、2ナノメートル未満の直径を有する細孔を指す。
「マクロ細孔」は、50nmを超える直径を有する細孔を指す。
「表面積」は物質の総比表面積を指し、BET技術によって測定可能である。表面積はm2/gの単位で通常は表される。BET(ブルナウアー/エメット/テラー)技術は、不活性ガス、例えば窒素を用いて物質上に吸着されたガスの量を測定するものであり、当分野においては材料の利用可能な表面積を測定するために一般的に用いられている。
「つながった」は、メソ細孔及びミクロ細孔に関して用いられるときには、かかる細孔の空間的方向性を指す。
「有効長」は、電解質から塩イオンを受け入れるために利用可能な十分な直径がある細孔の長さの部分を指す。
「電極」は、それを通って電気が物体、物質、又は領域に出入りする導体を指す。
「結合剤」は、物質(例えば炭素材料)の個々の粒子を1つにまとめることができる材料を指す。その結果として、結合剤と粒子とを混合した後には、所産の混合物がシート、ペレット、ディスク、又は他の形状に成形され得る。いくつかの実施態様では、電極は、開示される炭素材料及び結合剤を含んでなり得る。結合剤の排他的でない例は、フルオロポリマー、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標))、PFA(ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂、テフロンとしても公知)、FEP(フッ化エチレンプロピレン、テフロンとしても公知)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン、Tefzel及びFluonとして販売)、PVF(ポリフッ化ビニル、Tedlarとして販売)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン、Halarとして販売)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、Kynarとして販売)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン、Kel-F及びCTFEとして販売)、トリフルオロエタノール、それらの組み合わせ、及びそれらの混合物を包含する。
「不活性」は、電気エネルギー蓄蔵デバイスの電解質中において活性でない材料を指す。すなわち、イオンの有意な量を吸収せず、又は化学的に変化(例えば分解)しない。
「導電性」は、ゆるく保持された価電子の伝達によって材料が電子を伝導する能力を指す。
「集電体」は、デバイスに出入りする電気の流れを容易にするための電気的な接続を提供する、電気エネルギーの蓄蔵及び/又は供給デバイスの部分を指す。集電体は多くの場合に金属及び/又は他の導電性材料を含んでおり、電極に出入りする電気の流れを容易にするための電極の支援物(backing)として用いられ得る。
「電解質」は自由イオンを含有する物質を意味し、その結果として物質が導電性になる。電解質は電気エネルギー蓄蔵デバイスに一般的に使用される。電解質の例は、溶媒、例えば炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、又はそれらの混合物を、溶質、例えばテトラアルキルアンモニウム塩、例えばTEA-TFB(テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム)、MTEATFB(テトラフルオロホウ酸メチルトリエチルアンモニウム)、EMITFB(テトラフルオロホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム)、テトラエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム系の塩、又はそれらの混合物と組み合わせて含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、電解質は、水系の酸又は水系の塩基の電解質、例えば穏和な硫酸水溶液又は水酸化カリウム水溶液であり得る。
「無溶媒」混合物とは、1以上の固体又は液体成分を溶解又は希釈する濃度で、添加される液体を含まない固体又は液体成分の混合物(例えばポリマー前駆体及び架橋剤の混合物)を指す。
「最大理論体積静電容量」とは、(一般に0.439cm3/gであると仮定された)炭素骨格の容積及び窒素収着により測定される全細孔容積の合計である全容積によって、分けられるF/gとして算出される炭素の体積静電容量である。他に特定されない限り、本明細書で示される電気化学的データ(最大理論体積静電容量を含む)は、アセトニトリル中でテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボランを含んでなる電解液を用いる、0.5Amp/gの電流密度で、92%の活性炭、5%の導電性向上剤及び3%のバインダーから構成される炭素電極に基づく。
A.<ポリマーゲル及び炭素材料の調製>
構造、特性、及び様々な炭素材料及びポリマーゲルを作製するための方法は、本明細書及び米国公報シリアル番号2007/0113735、2011/0028599、2011/0002086、2011/0223494、2011/0159375、2012/0081838、2012/0202033、2013/0004841、2013/0252082、及び2013/0280601に記載され、その全体の開示は、本明細書においてその全体が参照によって組み込まれる。
炭素材料の開示される調製は、炭素材料の調製の現在公知の方法に優るいくつもの進歩を表す。例えば、可変炭素材料は従来、1以上の溶媒(すなわち、ゾル-ゲルポリマー)の存在下で製造される合成ポリマー由来の炭素材料を製造することによって作製されてきた。また、溶媒含有ポリマーは、溶媒を除去するために乾燥されなければならず、次ぐ乾燥されたポリマーゲルは、炭素材料中で熱分解され及び/又は活性化される。かかる方法はいくつもの欠点を有している。
第一に、溶媒の除去は、コスト及び時間がかかる方法である。現在の技術は、真空下で昇華を介した急速な凍結及び凍結した溶媒の除去が、細孔構造の可変性を与えるための好ましい方法である。この急速な凍結及び乾燥は、非常に低温及び低真空を必要とし、次に大量のエネルギーを必要とする。乾燥工程は、完全にするために数時間から数日要し得る。
第二に、溶媒は炭素材料中に導入されない。このため、処理されるポリマーゲルの単位質量あたりの炭素の収量は低減されない。例えば、溶媒は、炭素中に処理されるポリマーの全質量の30%を超える濃度、例えば処理されるポリマーの全質量の40%を超える濃度、処理されるポリマーの全質量の50%を超える濃度、処理されるポリマーの全質量の60%を超える濃度、処理されるポリマーの全質量の70%を超える濃度、処理されるポリマーの全質量の80%を超える濃度、処理されるポリマーの全質量の90%を超える濃度で存在し得る。理論に束縛されるものではないが、ポリマー材料からの熱分解された炭素収率は、約50%であり得る。従って、処理されるポリマーの単位質量あたりに製造される熱分解された炭素の比率は約3より大きく、約4より大きく、約5より大きく、約7より大きく、約10より大きく、約20より大きく、約200より大きくなり得る。熱分解された炭素は活性化することができ、活性化された炭素と処理されたポリマーとの比率は、所望とされる活性化の水準によるが、熱分解された炭素と処理された炭素との比率よりも大きい。理論に束縛されるものではないが、熱分解された炭素材料からの活性化された炭素の収率は、約50%であり得る。従って、処理されるポリマーの単位質量あたりに製造される活性炭の比率は、約6より大きく、約8より大きく、約10より大きく、約14より大きく、約20より大きく、約40より大きく、約400より大きくなり得る。
上記欠点を有していても、ゾルゲルポリマーネットワークからの炭素の製造は、溶媒の使用が、乾燥ポリマー、熱分解されたポリマー、及び/又は熱分解及び活性化されたポリマーにおける細孔構造の調整を提供する先行技術に教示される様々な成分(ポリマー前駆体、酸、塩基、共溶媒等)の濃度の調整を可能にするので、魅力的である。
従って、近年の技術は、溶媒を使用せずに重合を行って、可変構造を有する炭素を製造することを阻害する。予期しないことに、本発明は、溶媒なしに製造されるポリマー由来の炭素における細孔構造の可変性を実証する。
1.<ポリマーゲルの調製>
上記のように、本開示の一実施態様は、無溶媒で、以下の重合方法に従う炭素材料を調製する方法である。一実施態様において、該方法は、溶媒なしに形成されたポリマーゲル粒子を加熱して炭素材料を得ることを含み、該ポリマーは、
a)固体及び/又は液体ポリマー前駆体の混合物を混合すること;及び
b)無溶媒ポリマーネットワークを製造するために十分な温度及び時間、該混合物を熟成すること(aging);及び
c)無溶媒ポリマーネットワークの熱分解又は熱分解及び活性化して可変炭素を製造することを含んでなる方法によって製造される。
いくつかの実施態様において、溶媒は、炭素中に処理されるポリマーの全質量の80%未満、例えば、処理されるポリマーの全質量の70%未満、処理されるポリマーの全質量の60%未満、処理されるポリマーの全質量の50%未満、処理されるポリマーの全質量の40%未満、処理されるポリマーの全質量の30%未満、処理されるポリマーの全質量の20%未満、処理されるポリマーの全質量の10%未満、処理されるポリマーの全質量の1%未満、処理されるポリマーの全質量の0.1%未満、処理されるポリマーの全質量の0.01%未満の濃度で存在し得る。理論に束縛されるものではないが、ポリマー材料からの熱分解された炭素収率は、約50%であり得る。従って、処理されるポリマーの単位質量あたりに製造される熱分解された炭素の比率は、約10未満、約7未満、約5未満、約4未満、約3未満、約2.5未満、約2.1未満であり得る。いくつかの実施態様において、処理されるポリマーの単位質量あたりに製造される熱分解された炭素の比率は約2である。いくつかの実施態様において、処理されるポリマーの単位質量あたりに製造される熱分解された炭素の比率は2未満である。
熱分解された炭素は活性化することができ、活性化された炭素と処理されたポリマーとの比率は、所望とする活性化の水準によるが、熱分解された炭素と処理されたポリマーとの比率よりも大きい。理論に束縛されるものではないが、熱分解された炭素材料からの活性化された炭素収率は、約50%であり得る。従って、処理されるポリマーの単位質量あたりに製造される活性化された炭素の比率は、約14未満、約10未満、約8未満、約6未満、約5未満、約4.5未満、約4.1未満であり得る。いくつかの実施態様において、処理されるポリマーの単位質量あたりに製造される活性化された炭素の比率は、約4以下である。
ポリマー前駆体の構造は、特に限定されないが、ポリマー前駆体はポリマーを形成するために、別のポリマー前駆体又は第二ポリマー前駆体と反応させることが可能である。ポリマー前駆体は、アミン含有化合物、アルコール含有化合物及びカルボニル含有化合物を含み、例えばいくつかの実施態様において、ポリマー前駆体は、アルコール、フェノール、多価アルコール、糖、アルキルアミン、芳香族アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、尿素、酸ハライド及びイソシアネートから選択される。
一実施態様において、前記方法は、第一及び第二ポリマー前駆体の使用を含んでなり、いくつかの実施態様において、第一又は第二ポリマー前駆体は、カルボニル含有化合物であり、他の第一又は第二ポリマー前駆体は、アルコール含有化合物である。いくつかの実施態様において、第一ポリマー前駆体はフェノール系化合物であり、第二ポリマー前駆体はアルデヒド化合物(例えばホルムアルデヒド)である。前記方法の一実施態様において、フェノール系化合物は、フェノール、レゾルシアノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、又はその混合物であり、アルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、又はそれらの組み合わせである。さらなる実施態様では、フェノール系化合物はレゾルシノール、フェノール、又はそれらの組み合わせであり得、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。さらなる実施態様では、フェノール系化合物はレゾルシノールであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。いくつかの実施態様では、ポリマー前駆体はアルコール及びカルボニル化合物(例えば、レゾルシノール及びアルデヒド)であり、それらはそれぞれ約0.5:1.0の比で存在する。
本明細書において開示されるポリマー前駆体材料は、(a)アルコール、フェノール系化合物、及び他のモノ又はポリヒドロキシ化合物、並びに(b)アルデヒド、ケトン、及びそれらの組み合わせを含む。この場合の代表的なアルコールは、直鎖及び分岐の飽和及び不飽和アルコールを含む。好適なフェノール系化合物は、ポリヒドロキシベンゼン、例えばジヒドロキシ又はトリヒドロキシベンゼンを含む。代表的なポリヒドロキシベンゼンは、レゾルシノール(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、及びフロログルシノールを含む。この点において、他の適当な化合物は、ビスフェノール、例えば、ビスフェノールAである。2以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も使用し得る。フェノール(モノヒドロキシベンゼン)も使用し得る。代表的なポリヒドロキシ化合物は、糖、例えばグルコース、ショ糖、キチン、及び他のポリオール、例えばマンニトールを含む。アルデヒドは、この場合、直鎖飽和アルデヒド、例えばメタナール(ホルムアルデヒド)、エタナール(アセトアルデヒド)、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、ブタナール(ブチルアルデヒド)など;直鎖不飽和アルデヒド、例えばエテノン及び他のケテン、2-プロペナール(アクリルアルデヒド)、2-ブテナール(クロトンアルデヒド)、3ブテナールなど;分岐の飽和及び不飽和アルデヒド;並びに芳香族系アルデヒド、例えばベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロシンナムアルデヒドなどを含む。好適なケトンは、直鎖飽和ケトン、例えばプロパノン及び2ブタノンなど;直鎖不飽和ケトン、例えばプロペノン、2-ブテノン、及び3-ブテノン(メチルビニルケトン)など;分岐の飽和及び不飽和ケトン;並びに芳香族系ケトン、例えばメチルベンジルケトン(フェニルアセトン)、エチルベンジルケトンなどを含む。ポリマ-前駆体の材料は、上記の前駆体の組み合わせでもあり得る。
いくつかの実施態様において、1つのポリマー前駆体がアルコール含有種であり、もう1つのポリマー前駆体がカルボニル含有種である。カルボニル含有種(例えば、アルデヒド、ケトン、又はそれらの組み合わせ)と反応させられるアルコール含有種(例えば、アルコール、フェノール系化合物、及びモノもしくはポリヒドロキシ化合物又はそれらの組み合わせ)の相対量は、かなり様々であり得る。いくつかの実施態様では、アルコール含有種とアルデヒド種との比率は、アルコール含有種中の反応性のアルコール基の総モル数がアルデヒド種中の反応性のカルボニル基の総モル数とほぼ同じとなるように選択され得る。同様に、アルコール含有種とケトン種との比率は、アルコール含有種中の反応性のアルコール基の総モル数がケトン種中の反応性カルボニル基の総モル数とほぼ同じとなるように選択され得る。同じ通常の1:1のモル比は、カルボニル含有種がアルデヒド種及びケトン種の組み合わせを含んでなるときにも当てはまる。
他の実施態様では、ポリマー前駆体は、尿素又はアミン化合物化合物である。例えば、いくつかの実施態様において、ポリマー前駆体は、尿素、メラミン、ヘキサメチレンテトラミン又はそれらの組み合わせである。他の実施態様は、イソシアネート又は他の活性カルボニル化合物、例えば酸ハライドなどから選択されるポリマー前駆体を含む。
開示される方法のいくつかの実施態様では、電気化学的調節剤を含んでなる無溶媒ポリマーゲル(及び炭素材料)の調製を含む。かかる電気化学的調節剤は、特に限定されないが、窒素、ケイ素及び硫黄を含む。他の実施態様では、電気化学的調節剤は、フルオレン、鉄、チタン、ケイ素、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、又はマンガンを含んでなる。電気化学的調節剤は、調製法に任意のステップにおいて含まれ得る。例えば、一部では、電気化学的調節剤は、混合物、ポリマー相、又は連続相と混合される。
特定の実施態様において、電気化学的調節剤は、無溶媒工程により既に形成されたポリマー中に導入される。例えば、特定の実施態様において、粒子形態のポリマーゲルは、粒子形態でまた窒素含有化合物と混合され、及び混合物は、分子移動度、それ故に電気化学的調節剤及びポリマーゲルの間に、非共有結合性及び/又は共有結合性の導入を達成するために十分な温度下で、混合される。特定の実施態様では、電気化学的調節剤は、窒素含有化合物、例えば、限定されないが、尿素又はメラミンである。特定の実施態様では、ポリマーゲル粒子及び窒素含有化合物粒子の混合物は、ポリマーゲル粒子又は窒素含有化合物粒子のガラス転移温度以上の温度、又は両種の粒子のガラス転移温度以上の温度で保持することができる。特定の実施態様では、ポリマーゲル粒子及び窒素含有化合物粒子の混合物は、ポリマーゲル粒子又は窒素含有化合物粒子の溶融温度以上の温度、又は両種の粒子の溶融温度以上の温度で保持することができる。
特定の実施態様において、電気化学的調節剤は、無溶媒工程によって、既に形成された乾燥ポリマー中に導入される。例えば、特定の実施態様では、粒子形態の乾燥ポリマーゲルは、粒子形態でまた窒素含有化合物に混合され、混合物は、分子移動度、それ故に電気化学的調節剤及び乾燥ポリマーゲルの間に、非共有結合性及び/又は共有結合性の導入を達成するために十分な温度下で、混合される。特定の実施態様では、電気化学的調節剤は、窒素含有化合物、例えば、限定されないが、尿素又はメラミンである。特定の実施態様では、乾燥ポリマーゲル粒子及び窒素含有化合物粒子の混合物は、乾燥ポリマーゲル粒子又は窒素含有化合物粒子のガラス転移温度以上の温度、又は両種の粒子のガラス転移温度以上の温度で保持することができる。特定の実施態様では、乾燥ポリマーゲル粒子及び窒素含有化合物粒子の混合物は、乾燥ポリマーゲル粒子又は窒素含有化合物粒子の溶融温度以上の温度、又は両種の粒子の溶融温度以上の温度で保持することができる。
いくつかの実施態様において、ゲル重合法は、触媒条件下で行われる。従って、いくつかの実施態様では、前記方法は、触媒と無溶媒混合物とを混合することを含んでなる。いくつかの実施態様では、触媒は室温及び室圧で固体である。
いくつかの実施態様では、触媒は室温及び室圧で液体である。いくつかの実施態様では、触媒は、1以上の他のポリマー前駆体の溶媒を生じない室温及び室圧で液体である。
いくつかの実施態様において、触媒は、塩基性の揮発性触媒を含んでなる。例えば、一実施態様では、塩基性の揮発性触媒は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、又はそれらの組み合わせを含んでなる。さらなる実施態様において、塩基性の揮発性触媒は、炭酸アンモニウムである。別のさらなる実施態様において、塩基性の揮発性触媒は、酢酸アンモニウムである。
触媒とポリマー前駆体(例えばフェノール系化合物)のモル比は、ポリマーゲルの最終的な特性及び炭素材料の最終的な特性に影響を及ぼし得る。したがって、いくつかの実施態様では、かかる触媒は5:1~2000:1のポリマー前駆体:触媒のモル比の範囲で使用される。いくつかの実施態様では、かかる触媒は10:1~400:1のポリマー前駆体:触媒のモル比の範囲で使用し得る。例えば、別の実施態様では、かかる触媒は5:1~100:1のポリマー前駆体:触媒のモル比の範囲で使用し得る。例えば、いくつかの実施態様では、触媒とポリマー前駆体とのモル比は、約400:1である。別の実施態様では、触媒とポリマー前駆体とのモル比は約100:1である。別の実施態様では、触媒とポリマー前駆体とのモル比は約50:1である。別の実施態様では、触媒とポリマー前駆体とのモル比は約10:1である。特定の前記実施態様では、ポリマー前駆体は、フェノール系化合物、例えばレゾルシノール又はフェノールである。
ポリマー前駆体の1つがレゾルシノールであり且つもう1つのポリマー前駆体がホルムアルデヒドである具体的な実施態様では、結果として得られたポリマーゲル及び炭素材料の所望とする特性を得るために、レゾルシノールと触媒の比率を変えることができる。本明細書で記載されている方法のいくつかの実施態様では、レゾルシノールと触媒のモル比は約5:1~約2000:1であり、又はレゾルシノールと触媒のモル比は約10:1~約400:1である。さらなる実施態様において、レゾルシノールと触媒のモル比は約5:1~約100:1である。さらなる実施態様において、レゾルシノールと触媒のモル比は約25:1~約50:1である。さらなる実施態様において、レゾルシノールと触媒のモル比は約100:1~約5:1である。
特定の実施態様において、無溶媒工程で使用される前駆体は、フェノール系種を含む化合物、及びアルデヒド種を含む化合物を含んでなる。いくつかの実施態様において、無溶媒工程で使用される前駆体が、フェノール系種を含む化合物及びアルデヒド種を含む化合物を含む化合物を含んでなる場合、存在するフェノール基と存在するアルデヒド基とのモル比は、例えば0.001:1~1000:1、例えば0.01:1~100:1、例えば0.02:1~50:1、0.05~20:1、例えば0.1~10:1、例えば0.2:1~5:1、例えば0.25:1~4:1、例えば0.3:1~3:1、例えば0.5:1~2:1に変化し得る。いくつかの実施態様では、存在するフェノール基とアルデヒド基とのモル比は、0.2:1~0.8:1、例えば0.3:1~0.7:1、例えば0.4:1~0.6:1である。
特定の関連する実施態様において、無溶媒工程で使用される前駆体は、フェノール系種を含む化合物、及びアルデヒド種に変化する工程条件下で分解する化合物を含んでなる。いくつかの実施態様において、無溶媒工程で使用される前駆体が、フェノール系種を含む化合物及びアルデヒド種を生成するために分解する化合物を含んでなる場合、存在するフェノール基と変化されるアルデヒド基とのモル比は、例えば0.001:1~1000:1、例えば0.01:1~100:1、例えば0.02:1~50:1、0.05~20:1、例えば0.1~10:1、例えば0.2:1~5:1、例えば0.25:1~4:1、例えば0.3:1~3:1、例えば0.5:1~2:1に変化し得る。いくつかの実施態様では、存在するフェノール基と変化されるアルデヒド基とのモル比は、0.2:1~0.8:1、例えば0.3:1~0.7:1、例えば0.4:1~0.6:1である。
さらなる他の実施態様において、前記方法は、酸と無溶媒混合物とを混合することを含んでなる。特定の実施態様では、酸は室温及び室圧で固体である。いくつかの実施態様では、酸は室温及び室圧で液体である。いくつかの実施態様では、酸は、1以上の他のポリマー前駆体の溶解を生じない室温及び室圧で液体である。
酸は、重合法に適する任意数の酸から選択され得る。例えば、いくつかの実施態様では、酸は酢酸であり、他の実施態様では、酸はシュウ酸である。さらなる実施態様では、酸は、酸と溶媒の比が99:1、90:10、75:25、50:50、25:75、20:80、10:90又は1:90で、第一又は第二溶媒と混合される。他の実施態様では、酸は酢酸であり、第一又は第二溶媒は水である。他の実施態様では、酸性は固体酸を添加することにより与えられる。
混合物中の酸の全含量が変えられて、最終的な生成物の特性を変更し得る。いくつかの実施態様では、酸は混合物の約1重量%~約50重量%で存在する。他の実施態様では、酸は約5%~約25%で存在する。他の実施態様では、酸は約10%~約20%、例えば約10%、約15%又は約20%で存在する。
特定の実施態様では、ポリマー前駆体成分は、一緒に混合され、次いで重合を達成するために十分な時間及び温度で保持される、1以上のポリマー前駆体成分は、サイズで約20mm未満、例えば10mm未満、例えば7mm未満、例えば5mm未満、例えば2mm未満、例えば1mm未満、例えば100ミクロン未満、例えば10ミクロン未満の粒度を有し得る。いくつかの実施態様では、1以上のポリマー前駆体成分の粒度は、混合工程の間、減少される。
溶媒の不存在下における1以上のポリマー前駆体成分の混合は、当該技術で記載されている方法、例えばボールミル、ジェットミル、フリッチュミル(Fritsch milling)、プラネタリーミキシング、及び工程条件(例えば温度)を制御しながらの固体粒子のミキシング又はブレンディングのための他のミキシング方法論によって、遂行することができる。ミキシング又はブレンディング工程は、反応温度での温置前、間、及び/又は後に(又はそれらの組み合わせ)遂行することができる。
反応パラメータは、1以上のポリマー前駆体が互いに反応し、ポリマーを形成するために十分な温度及び時間で混合された混合物を熟成すること(aging)を含む。これに関して、適当な熟成温度(aging temperature)は、約室温から1以上のポリマー前駆体の溶融温度近傍の温度範囲である。いくつかの実施態様において、適当な熟成温度は、約室温から1以上のポリマー前駆体のガラス転移温度近傍の温度、例えば1以上のポリマー前駆体のガラス転移温度よりも約10℃低い温度範囲である。例えば、いくつかの実施態様では、無溶媒混合物は、約20℃~約600℃、例えば約20℃~約500℃、例えば約20℃~約400℃、例えば約20℃~約300℃、例えば約20℃~約200℃の温度で熟成させる。特定の実施態様では、無溶媒混合物は、約50℃~約250℃の温度で熟成される。
反応時間は、ポリマー前駆体を反応させてポリマーを形成させるのに通常は十分である。例えば、混合物は、所望の結果に応じて、1時間~48時間又はそれ以上もしくは以下のいずれかによって熟成され得る。通常の実施態様は、約2時間~約48時間の時間に渡る熟成(aging)を含む。例えばいくつかの実施態様では、熟成(aging)は約12時間を含んでなる。別の実施態様では、熟成は約4時間~約8時間(例えば約6時間)を含んでなる。
いくつかの実施態様では、ポリマー粒子の粒度分布が、1,000未満、例えば100未満、例えば10未満、例えば5未満、例えば3未満、例えば2未満、例えば1.5未満、例えば1未満の多分散指数(Dv,90-Dv,10)/Dv,50(Dv,10、Dv,50、及びDv,90は、体積による粒度分布のそれぞれ10%、50%、及び90%における粒度である)を示す。いくつかの実施態様では、有機相中への水相の導入が段階分けされて、ポリマーの粒度分布の2つ以上の集団が達成され得るようにできる。例えば、達成される最終的なポリマー粒子分布は、2つ以上のモードを含み、最高と最低のノードとの比が約1,000以下、例えば約100以下、例えば約50以下、例えば約10以下、例えば約5以下、例えば約2以下である。
2.<ポリマーゲルの熱分解及び活性化>
上記記載のポリマーゲルは、炭素材料を得るためにさらに処理され得る。かかる処理は、例えば熱分解及び/又は活性化を含む。通常、熱分解工程においては、乾燥ポリマーゲルは秤量され、ロータリーキルン中に置かれる。温度ランプは、5℃/分に設定され、滞留時間及び滞留温度が設定され;冷却は炉の自然冷却速度によって決定される。工程全体は、不活性雰囲気、例えば窒素環境下において行われる。熱分解された試料は除去され、秤量される。他の熱分解工程は、当業者に公知である。
いくつかの実施態様では、熱分解滞留時間(試料が所望の温度にある時間)は、約0分~約120分、約20分~約150分、約30分~約100分、約50分~約60分、又は約55分~約60分である。
熱分解は上記よりも低速でも実施され得る。例えば、一実施態様では、熱分解は約120~480分で実施され得る。別の実施態様では、熱分解は約120~240分で実施され得る。
いくつかの実施態様では、熱分解滞留温度は約500℃~約2400℃の範囲である。いくつかの実施態様では、熱分解滞留温度は約600℃~約1800℃の範囲である。別の実施態様では、熱分解滞留温度は約700℃~約1200℃の範囲である。別の実施態様では、熱分解滞留温度は約850℃~約1050℃の範囲である。別の実施態様では、熱分解滞留温度は約800℃~約900℃の範囲である。いくつかの実施態様では、熱分解滞留温度は約600℃又は900℃である。いくつかの別の具体的な実施態様では、熱分解滞留温度は約550℃~約900℃の範囲である。
いくつかの実施態様では、熱分解滞留温度は、熱分解の過程で変えられる。一実施態様では、熱分解は、別々の明確な加熱ゾーンを有するロータリーキルンによって実施される。各ゾーンの温度は、ロータリーキルン管の入口から出口端まで連続的に減少される。一実施態様では、熱分解は、別々の明確な加熱ゾーンを有するロータリーキルンによって実施され、各ゾーンの温度はロータリーキルン管の入口から出口端まで連続的に増大される。
活性化時間及び活性化温度の両方は、得られる活性炭材料の性能、並びにその製造コストに多大な影響をもたらす。活性化温度及び活性化滞留時間を増大させることは、より高い活性化率をもたらす。これは、より低い温度及びより短い滞留時間と比較して、より多くの材料の除去に通常は相当する。活性化温度は炭素の細孔構造をも変化させ得る。その場合、より低い温度はより多くミクロ細孔性の炭素をもたらし、より高い温度はメソ細孔性をもたらす。これは、より高い温度で起こる活性化ガスの拡散律速反応と、より低い温度で起こる反応速度論によって駆動される反応との結果である。より高い活性化率は、最終的な活性炭の性能を多くの場合に増大させるが、総括収率を減らすことによってコストも増大させてしまう。活性化のレベルを改善することは、より低コストでより高性能の生成物を達成することに相当する。
熱分解されたポリマーゲルは、熱分解されたポリマーゲルを活性化剤と接触させることによって活性化され得る。酸素を含有するガスなどの多くのガスが活性化に適している。活性化ガスの限定しない例は、二酸化炭素、一酸化炭素、蒸気、酸素、及びそれらの組み合わせを含む。活性化剤は腐食性の化学物質、例えば酸、塩基、又は塩(例えば、リン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、乳酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化亜鉛など)も含む。他の活性剤は当業者に公知である。
いくつかの実施態様では、活性化時間は1分~48時間である。別の実施態様では、活性化時間は10分~24時間である。別の実施態様では、活性化時間は60分~24時間である。別の実施態様では、活性化時間は2時間~24時間である。さらなる実施態様では、活性化時間は12時間~24時間である。特定の他の実施態様では、活性化時間は30分~8時間である。いくつかのさらなる実施態様では、活性化時間は3時間~6時間である。
熱分解されたポリマーゲルは、当業者に公知のいくつもの適当な装置、例えば流動床、ロータリーキルン、台車昇降式キルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルンなどを用いて活性化され得る。活性化工程の一実施態様では、試料が秤量されてロータリーキルン中に置かれ、その自動ガス制御マニホールドが20℃/分の速度の傾き(ramp)に設定される。適切な活性化温度が到達されたら、二酸化炭素が一定の時間キルン環境中に導入される。活性化が起こった後に二酸化炭素は窒素と交換され、キルンは冷却される。試料は工程の終わりに秤量されて、活性化のレベルを評価する。他の活性化工程は当業者に周知である。本明細書において開示されるいくつかの実施態様では、活性化温度は800℃~1300℃の範囲であってよい。別の実施態様では、活性化温度は800℃~1050℃の範囲であってよい。別の実施態様では、活性化温度は約850℃~約950℃の範囲であってよい。別の実施態様では、活性化温度は約900℃である。いくつかの実施態様では、炭素材料は活性化されて、1700~1900m2/gの範囲の比表面積を達成する。より低い又はより高い他の活性化温度が使用されてよいことを当業者はわかるであろう。
活性化の程度は、活性化ステップ中に失われた熱分解された乾燥ポリマーゲルの質量の割合として測定される。本明細書に記載の方法の一実施態様では、活性化は5%~90%の活性化の程度又は10%~80%の活性化の程度を含んでなる。ある場合には、活性化は40%~70%の活性化の程度又は45%~65%の活性化の程度を含んでなる。
B.<ポリマーゲルの特性>
本開示の一実施態様はポリマーゲルを提供し、これは本明細書において開示される方法の任意のものによって調製される。開示される方法によって製造されるポリマーゲルは、多くの点で独特である。いくつかの実施態様では、前記方法は、単分散の又はほぼ単分散の粒度分布を有するポリマーゲルを製造する。上記のように、ポリマーゲル(及び炭素材料)の粒度は、乾燥ブレンディング装置及びブレンディング条件を含むいくつもの工程パラメータによって制御され得る。例えば、いくつかの実施態様では本開示はポリマーゲルを提供し、これは(Dv,90-Dv,10)/Dv,50が3未満となるような粒度分布を有し、ここで、Dv,10、Dv,50、及びDv,90は、体積による粒度分布のそれぞれ10%、50%、及び90%における粒度である。いくつかの実施態様では(Dv,90-Dv,10)/Dv,50は2未満であり、別の実施態様では(Dv90-Dv10)/Dv50は1未満である。
BET分析によって測定されるポリマーゲルの比表面積は、約1m2/g~約1000m2/gの範囲である。いくつかの実施態様では、比表面積は、約1m2/g~約100m2/gの範囲である。別の実施態様では、比表面積は、約300m2/g~約700m2/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、比表面積は、約300m2/g~約400m2/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、比表面積は、約400m2/g~約500m2/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、比表面積は、約500m2/g~約600m2/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、比表面積は、約600m2/g~約700m2/gの範囲である。
ポリマーゲルの全細孔容積は、約0.01cc/g~約1.5cc/gの範囲である。例えば、いくつかの実施態様では、全細孔容積は、約0.1cc/g~約0.9cc/gの範囲である。別の実施態様では、全細孔容積は、約0.2cc/g~約0.8cc/gの範囲である。他の実施態様では、全細孔容積は、約0.3cc/g~約0.6cc/gの範囲である。他の実施態様では、全細孔容積は、0.6cc/g~約0.9cc/gの範囲である。
他の実施態様では、ポリマーゲルは、11~92の範囲の原子番号を有する他の元素の全てを合計で500ppm未満で含んでなる。例えば、いくつかの他の実施態様では、ポリマーゲルは、11~92の範囲の原子番号を有する他の元素の全てを、200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は1ppm未満で含んでなる。いくつかの実施態様では、ポリマーゲルの電気化学的調節剤含量及び不純物含量はプロトン励起X線放出法(PIXE)分析によって測定され得る。
いくつかの実施態様において、ポリマーゲルは乾燥ポリマーゲルであり、例えば、ポリマークリオゲルである。他の実施態様では、乾燥ポリマーゲルは、ポリマーキセロゲル又はポリマーエアロゲルである。いくつかの実施態様では、ポリマー前駆体は、脂肪族及び芳香族アルコール、脂肪族及び芳香族アミン、及びカルボニル含有化合物から選択される。例えば、ポリマー前駆体は、アルコール、フェノール、多価アルコール、糖、アルキルアミン、芳香族アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、尿素、酸ハライド、及びイソシアネートから選択される。いくつかの具体的な実施態様では、ポリマーゲルはフェノール系化合物及びアルデヒド化合物から調製される。例えば、一実施態様では、ポリマーゲルはレゾルシノール及びホルムアルデヒドから製造され得る。いくつかの実施態様では、固体酸化合物の溶解によって、反応溶媒として酸を用いることによって、又は溶媒の1つが酸である混合溶媒系を用いることによって、酸性が提供され得る。
開示される工程のいくつかの実施態様は、塩基性の揮発性触媒の存在下においてポリマーゲルを形成するための重合を含んでなる。従って、いくつかの実施態様ではポリマーゲルは1つ以上の塩を含んでなる。例えば、いくつかの実施態様では、1つ以上の塩は塩基性の揮発性の塩である。塩基性の揮発性の塩の例は、限定されないが、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、及びそれらの任意の組み合あわせである。したがって、いくつかの実施態様では、本開示は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、又はそれらの組み合わせを含んでなるポリマーゲルを提供する。さらなる実施態様では、ポリマーゲルは炭酸アンモニウムを含んでなる。別のさらなる実施態様では、ポリマーゲルは酢酸アンモニウムを含んでなる。
方法は、PIXE分析及び/又は灰分によって測定された場合に高純度を有するポリマーゲルの調製にとって有用であり得る。本明細書に記載のように、意図的に添加される電気化学的調節剤は不純物とは見なされず、したがって具体的に記載されるPIXE及び灰分値からは除外される。いくつかの実施態様では、ポリマーゲルは低い灰分を有し得、それから調製される炭素材料の低い灰分に寄与し得る。したがって、いくつかの実施態様では、ポリマーゲルの灰分は0.1%~0.001%であり得る。別の実施態様では、ポリマーゲルの灰分は0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満、又は0.001%未満であり得る。
他の実施態様では、ポリマーゲルは、500ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.08%未満の灰分を有する。さらなる実施態様では、ポリマーゲルは、300ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.05%未満の灰分を有する。別のさらなる実施態様では、ポリマゲルは、200ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.02%未満の灰分を有する。別のさらなる実施態様では、ポリマーゲルは、200ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.01%未満の灰分を有する。
不純物を含んでなるポリマーゲルは、同じく不純物を(したがって可能性として望まれない電気化学的特性)含む炭素材料を通常はもたらす。したがって、本開示の一態様は、開示される方法によって調製されて残存する望まれない不純物の低レベルを有するポリマーゲルである。ポリマーゲル中に存在する各PIXE不純物の量は、プロトン励起X線放出法によって測定され得る。いくつかの実施態様では、ポリマーゲル中に存在するナトリウムの濃度は1,000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満であり得る。いくつかの実施態様では、ポリマーゲル中に存在するマグネシウムの濃度は1,000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満である。上記のように、いくつかの実施態様では、他の不純物、例えば水素、酸素、及び/又は窒素が、10%未満~0.01%未満の範囲の濃度で存在し得る。
いくつかの具体的な実施態様では、ポリマーゲルは、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、40ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、及び5ppm未満の亜鉛を含んでなる。別の具体的な実施態様では、ポリマーゲルは50ppm未満のナトリウム、100ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロム、及び2ppm未満の亜鉛を含んでなる。
別の具体的な実施態様では、ポリマーゲルは、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、及び1ppm未満の亜鉛を含んでなる。
いくつかの他の具体的な実施態様では、ポリマーゲルは、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロム、及び1ppm未満のマンガンを含んでなる。
開示される方法は、種々の比表面積を含んでなるポリマーゲルをもたらし、これは正確な反応パラメータに依存する。理論によって拘束されるものではないが、ポリマーゲルの表面積は炭素材料の表面積特性に少なくとも部分的に寄与すると考えられる。表面積は当業者に周知のBET技術を用いて測定され得る。本明細書に開示の態様の任意のものの一実施態様では、ポリマーゲルは、少なくとも0.01m2/g、少なくとも1m2/g、少なくとも10m2/g、少なくとも50m2/g、少なくとも100m2/g、少なくとも250m2/g、少なくとも400m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも600m2/g、少なくとも700m2/g、少なくとも800m2/g、又は少なくとも900m2/g、又は少なくとも1000m2/g、又は少なくとも1100m2/gのBET比表面積を有する。
一実施態様では、ポリマーゲルは100m2/g~1000m2/gのBET比表面積を含んでなる。又は、ポリマーゲルは150m2/g~900m2/gのBET比表面積を含んでなる。又は、ポリマーゲルは400m2/g~800m2/gのBET比表面積を含んでなる。
一実施態様では、ポリマーゲルは0.10g/cc~1g/ccのタップ密度を含んでなる。別の実施態様では、ポリマーゲルは0.10g/cc~0.6g/ccのタップ密度を含んでなる。一実施態様では、ポリマーゲルは0.3g/cc~0.6g/ccのタップ密度を含んでなる。本開示の一実施態様では、ポリマーゲルは、少なくとも150g/ccのBET比表面積及び0.60g/cc未満のタップ密度を含んでなる。又は、ポリマーゲルは少なくとも250m2/gのBET比表面積及び0.4g/cc未満のタップ密度を含んでなる。別の実施態様では、ポリマーゲルは、少なくとも500m2/gのBET比表面積及び0.30g/cc未満のタップ密度を含んでなる。
一実施態様では、ポリマーゲルは、全細孔容積の少なくとも25%、全細孔容積の50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%を占める500オングストローム以下の細孔の細孔容積率を含んでなる。別の実施態様では、ポリマーゲルは、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%を占める20nm以下の細孔の細孔容積率を含んでなる。
いくつかの実施態様では、0.05の相対圧においてポリマーゲルの質量あたりに吸着される窒素の量は、0.99の相対圧までに吸着される全窒素の少なくとも10%、又は0.99の相対圧までに吸着される全窒素の少なくとも20%である。別の実施態様では、0.05の相対圧においてポリマーゲルの質量あたりに吸着される窒素の量は、0.99の相対圧までに吸着される全窒素の10%~50%であり、0.99の相対圧までに吸着される全窒素の20%~60%であり、又は0.99の相対圧までに吸着される全窒素の20%~30%である。
一実施態様では、ポリマーゲルは、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%を占める、100nm以下の細孔の細孔表面積率を含んでなる。別の実施態様では、ポリマーゲルは、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%を占める、20nm以下の細孔の細孔表面積率を含んでなる。
上でより詳細に記載されているように、開示された炭素材料を調製する方法は、ポリマーゲルの熱分解を含んでよい。いくつかの実施態様では、熱分解されたポリマーゲルは、約1~約1200m2/gの表面積を有する。他の実施態様では、熱分解されたポリマーゲルは、約1~約100m2/gの表面積を有する。他の実施態様では、熱分解されたポリマーゲルは、約500~約800m2/gの表面積を有する。他の実施態様では、熱分解されたポリマーゲルは約500~約700m2/gの表面積を有する。
他の実施態様では、熱分解されたポリマーゲルは、約0.1~約1.0g/ccのタップ密度を有する。他の実施態様では、熱分解されたポリマーゲルは、約0.3~約0.6g/ccのタップ密度を有する。他の実施態様では、熱分解されたポリマーゲルは、約0.3~約0.5g/ccのタップ密度を有する。
いくつかの実施態様では、ポリマーゲルは、約4μm~約4mmの範囲の平均粒子径を示す。他の実施態様では、平均粒子径は、約10μm~約1mmの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒子径は、約20μm~約500μmの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒子径は、約500μm~約4mmの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒子径は、約2μm~約300μmの範囲である。
さらに他の実施態様では、ポリマーゲルは、単分散の又はほぼ単分散の粒度分布を含んでなる。例えば、いくつかの実施態様では、(Dv,90-Dv,10)/Dv,50が3未満になり、ここで、Dv,10、Dv,50、及びDv,90が体積による粒度分布のそれぞれ10%、50%、及び90%における粒度であるような粒度分布を、ポリマーゲルが有する。さらなる実施態様では、(Dv,90-Dv,10)/Dv,50は2未満、又は1未満である。さらに他の実施態様では、(Dv,90-Dv,10)/Dv,50は、1,000未満、100未満、10未満、5未満、3未満、2未満、1.5未満又は1未満である。
ポリマーゲルは電気化学的調節剤を含み得るので、ゲルの元素内容は様々であり得る。いくつかの実施態様では、ポリマーゲルは約100ppm超の電気化学的調節剤を含んでなる。特定の実施態様では、電気化学的調節剤は、窒素、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、アルミニウム、及びマンガンから選択される。いくつかの実施態様では電気化学的調節剤はケイ素であり得、別の実施態様では電気化学的調節剤は窒素である。
ポリマーゲル中の電気化学的調節剤の量は、最終的な炭素材料にとって望ましい水準に制御される。したがって、いくつかの実施態様では、ポリマーゲルは、少なくとも0.10%、少なくとも0.25%、少なくとも0.50%、少なくとも1.0%、少なくとも5.0%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の電気化学的調節剤を含んでなる。例えば、いくつかの実施態様では、ポリマーゲルは0.5%~99.5%の炭素及び0.5%~99.5%の電気化学的調節剤を含んでなる。電気化学的調節剤の割合はパーセントは、重量パーセント基準(wt%)で計算される。
C.<炭素材料の特性>
本開示の一実施態様は、本明細書において開示される方法の任意のものによって調製される炭素材料を提供する。炭素材料の細孔径分布は、他の公知の炭素材料を含んでなるデバイスと比較して、その炭素材料を含んでなる電気デバイスの優れた性能に寄与し得る。例えば、いくつかの実施態様では、熱分解及び/又は活性化によって、炭素材料はミクロ細孔とメソ細孔の両方との最適化された混合物を含み、低い表面官能性も含み得る。他の実施態様では、炭素材料は、プロトン励起X線放出法によって測定される、11~92の範囲の原子番号を有する全ての元素の合計500ppm未満を含んでなる。高い純度並びに最適化されたミクロ細孔及び/又はメソ細孔分布は、炭素材料を例えばウルトラキャパシタなどの電気蓄蔵及び分配デバイスへの使用にとって理想的なものとする。
上記のように、活性炭粒子はエネルギー蓄蔵材料として広く用いられている。この点で決定的に重要な特徴は高いパワー密度であり、これは、高い周波数応答をもたらす低いイオン抵抗を有する電極によって可能である。低いイオン抵抗を達成することは重要である。例えば、デバイスの状況においては、サイクル実行に応答する能力が制約条件となる。開示される方法は、どのようにして電極の組成を最適化して電気エネルギーの蓄蔵及び供給デバイスの出力性能を最大化するかという課題を解決する炭素材料を調製するために有用である。その炭素材料を含んでなるデバイスは、長期安定性、速い応答時間、及び高いパルス出力性能を示す。
いくつかの実施態様では、開示される方法は、ミクロ細孔及び/又はメソ細孔構造を含んでなる炭素材料を生じ、それはミクロ細孔又はメソ細孔又は両方にある全細孔容積の割合(パーセント)によって通常は表される。したがって、いくつかの実施態様では、炭素材料の細孔構造は20%~90%のミクロ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のミクロ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のミクロ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は40%~50%のミクロ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は43%~47%のミクロ細孔を含んでなる。特定の実施態様では、炭素材料の細孔構造は約45%のミクロ細孔を含んでなる。
炭素材料のメソ細孔性は高いイオン移動性及び低い抵抗に寄与し得る。いくつかの実施態様では、炭素材料の細孔構造は20%~80%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は50%~60%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は53%~57%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は約55%のメソ細孔を含んでなる。
炭素材料中のミクロ細孔及びメソ細孔の最適化された混合は、その向上した電気化学的性能に寄与し得る。したがって、いくつかの実施態様では、炭素材料の細孔構造は20%~80%のミクロ細孔及び20%~80%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は30%~70%のミクロ細孔及び30%~70%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は40%~60%のミクロ細孔及び40%~60%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は40%~50%のミクロ細孔及び50%~60%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は43%~47%のミクロ細孔及び53%~57%のメソ細孔を含んでなる。他の実施態様では、炭素材料の細孔構造は約45%のミクロ細孔及び約55%のメソ細孔を含んでなる。
他の変形では、炭素材料は、20nmを超える細孔の相当な容積を有さない。例えば、特定の実施態様では、炭素材料は、全細孔容積の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満、又は1%未満を、20nmを超える細孔に含んでなる。
他の形態では、炭素材料は、マクロ細孔(すなわち、50nmを超える細孔)の相当な容積を有さない。例えば、特定の実施態様において、炭素材料は、全細孔容積の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満、1%未満、又は0.1%未満を、マクロ細孔に含んでなる。
炭素材料の細孔性はそれらの向上した電気化学的性能に寄与する。したがって、一実施態様では、炭素材料は、20オングストローム未満の細孔にある細孔容積を、少なくとも1.8cc/g、少なくとも1.2cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20cc/g、又は少なくとも0.15cc/g含んでなる。他の実施態様では、炭素材料は、20オングストロームを超える細孔にある細孔容積を少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、又は少なくとも0.1cc/g含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~500オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7.00cc/g、少なくとも5.00cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、少なくとも1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、又は少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~300オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7.00cc/g、少なくとも5.00cc/g、4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、又は少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~1000オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~2000オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~5000オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~1ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~2ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~3ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~4ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、20オングストローム~5ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔容積を含んでなる。
さらに他の実施態様では、炭素材料は、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.55cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.45cc/g、少なくとも0.40cc/g、少なくとも0.35cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20cc/g、又は少なくとも0.10cc/gの全細孔容積を含んでなる。
さらに他の実施態様では、炭素材料は、少なくとも0.2cc/gである20オングストローム未満の細孔にある細孔容積と、少なくとも0.8cc/gである20~300オングストロームの細孔にある細孔容積とを含んでなるさらに別の実施態様では、炭素材料は、少なくとも0.5cc/gである20オングストローム未満の細孔にある細孔容積と、少なくとも0.5cc/gである20~300オングストロームの細孔にある細孔容積とを含んでなる。さらに他の実施態様では、炭素材料は、少なくとも0.6cc/gである20オングストローム未満の細孔にある細孔容積と、少なくとも2.4cc/gである20~300オングストロームの細孔にある細孔容積とを含んでなる。さらに他の実施態様では、炭素材料は、少なくとも1.5cc/gである20オングストローム未満の細孔にある細孔容積と、少なくとも1.5cc/gである20~300オングストロームの細孔にある細孔容積とを含んでなる。
いくつかの実施態様では、炭素材料の細孔は2nm~10nmの範囲のピーク細孔容積を含んでなる。他の実施態様では、ピーク細孔容積は10nm~20nmの範囲である。さらに他の実施態様では、ピーク細孔容積は20nm~30nmの範囲である。さらに他の実施態様では、ピーク細孔容積は30nm~40nmの範囲である。さらに他の実施態様では、ピーク細孔容積は40nm~50nmの範囲である。他の実施態様では、ピーク細孔容積は50nm~100nmの範囲である。
特定の実施態様では、ミクロ細孔領域の低い細孔容積(例えば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満のミクロ細孔性)を有するメソ細孔性炭素材料が、開示される方法によって調製され得る。例えば、メソ細孔性炭素材料は、熱分解はされたが活性化されてはいないポリマーゲルであり得る。いくつかの実施態様では、熱分解されたメソ細孔性炭素は、少なくとも400m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも600m2/g、少なくとも675m2/g、又は少なくとも750m2/gの比表面積を含んでなる。他の実施態様では、メソ細孔性炭素材料は、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.80cc/g、又は少なくとも0.90cc/gの全細孔容積を含んでなる。さらに他の実施態様では、メソ細孔性炭素材料は、少なくとも0.30g/cc、少なくとも0.35g/cc、少なくとも0.40g/cc、少なくとも0.45cg/cc、少なくとも0.50g/cc、又は少なくとも0.55g/ccのタップ密度を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は0.1cc/g以上の範囲の全細孔容積を含んでなる。別の実施態様では、炭素材料は0.6cc/g以下の全細孔容積を含んでなる。別の実施態様では、炭素材料は約0.1cc/g~約0.6cc/gの範囲の全細孔容積を含んでなる。いくつかの他の実施態様では、炭素材料の全細孔容積は約0.1cc/g~約0.2cc/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、炭素材料の全細孔容積は約0.2cc/g~約0.3cc/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、炭素材料の全細孔容積は約0.3cc/g~約0.4cc/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、炭素材料の全細孔容積は約0.4cc/g~約0.5cc/gの範囲である。いくつかの他の実施態様では、炭素材料の全細孔容積は約0.5cc/g~約0.6cc/gの範囲である。
炭素材料は低い全PIXE不純物を含んでなる。したがって、いくつかの実施態様では、炭素材料中の全ての他のPIXE元素の全PIXE不純物含量(プロトン励起X線放出法によって測定される)は、1,000ppm未満である。他の実施態様では、炭素材料中の全ての他のPIXE元素の全PIXE不純物含量は、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は1ppm未満である。上記のさらなる実施態様では、炭素材料は、熱分解された乾燥ポリマーゲル、熱分解されたポリマークリオゲル、熱分解されたポリマーキセロゲル、熱分解されたポリマーエアロゲル、活性化された乾燥ポリマーゲル、活性化されたポリマークリオゲル、活性化されたポリマーキセロゲル、又は活性化されたポリマーエアロゲルである。
所望でないPIXE不純物の低い含量に加えて、開示される炭素材料は高い総炭素含量を含んでなる。炭素に加えて、炭素材料は酸素、水素、窒素、及び電気化学的調節剤も含んでなってよい。いくつかの実施態様では、炭素材料は、重量/重量基準で少なくとも75%の炭素、少なくとも80%の炭素、少なくとも85%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも95%の炭素、少なくとも96%の炭素、少なくとも97%の炭素、少なくとも98%の炭素、又は少なくとも99%の炭素の炭素を含んでなる。いくつかの他の実施態様では、炭素材料は、10%未満の酸素、5%未満の酸素、3.0%未満の酸素、2.5%未満の酸素、1%未満の酸素、又は0.5%未満の酸素を重量/重量基準で含んでなる。他の実施態様では、炭素材料は、10%未満の水素、5%未満の水素、2.5%未満の水素、1%未満の水素、0.5%未満の水素、又は0.1%未満の水素を重量/重量基準で含んでなる。他の実施態様では、炭素材料は、5%未満の窒素、2.5%未満の窒素、1%未満の窒素、0.5%未満の窒素、0.25%未満の窒素、又は0.01%未満の窒素を重量/重量基準で含んでなる。開示される炭素材料の酸素、水素、及び窒素の含量は、燃焼分析によって測定され得る。燃焼分析によって元素組成を測定する技術は当分野においては周知である。
他の実施態様では、炭素含量は、CHNO分析によって測定された場合に98wt%を超える。別の実施態様では、炭素含量は全質量の50~98wt%の範囲である。さらに他の実施態様では、炭素含量は全質量の90~98wt%の範囲である。さらに他の実施態様では、炭素含量は全質量の80~90wt%の範囲である。さらに他の実施態様では、炭素含量は全質量の70~80wt%の範囲である。さらに他の実施態様では、炭素含量は全質量の60~70wt%の範囲である。
別の実施態様では、窒素含量は、CHNO分析によって測定された場合に0~30wt%の範囲である。別の実施態様では、窒素含量は全質量の1~10wt%、例えば5~10wt%の範囲である。さらに別の実施態様では、窒素含量は全質量の10~20wt%の範囲である。さらに別の実施態様では、窒素含量は全質量の20~30wt%の範囲である。別の実施態様では、窒素含量は30wt%を超える。
炭素及び窒素の含量はC:Nの比としても測定され得る。一実施態様では、C:N比は1:0.001~1:1の範囲である。別の実施態様では、C:N比は1:0.001~0.01の範囲である。さらに別の実施態様では、C:N比は1:0.01~1:1の範囲である。さらに別の実施態様では、窒素の含量は炭素の含量を超える。
炭素材料は、炭素材料の電気化学的性能を最適化するように選択された電気化学的調節剤(すなわちドープ剤)も含み得る。電気化学的調節剤は上記の重合ステップ中に添加され得る。例えば、電気化学的調節剤は、上記の混合物、連続相、又はポリマー相に添加されてよく、又は任意の他の方法における重合プロセスに含まれてよい。
電気化学的調節剤は、炭素材料の細孔構造中及び/又は表面に組み込まれてよく、又はいくつもの他の方法で組み込まれてよい。例えば、いくつかの実施態様では、炭素材料は電気化学的調節剤のコーティング(例えばAl2O3)を炭素材料の表面に含んでなる。いくつかの実施態様では、炭素材料は約100ppmを超える電気化学的調節剤を含んでなる。特定の実施態様では、電気化学的調節剤は、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、アルミニウム、及びマンガンから選択される。いくつかの実施態様では、電気化学的調節剤はケイ素であり、他の実施態様では、電気化学的調節剤は窒素である。
特定の実施態様では、電気化学的調節剤は、リチウム金属に対して3から0Vまでリチウム化する能力を有する元素(例えば、ケイ素、スズ、硫黄)を含んでなる。他の実施態様では、電気化学的調節剤は、リチウム金属に対して3から0Vまでリチウム化する能力を有する金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン)を含んでなる。さらに他の実施態様では、電気化学的調節剤は、リチウム金属に対して3から0Vまでリチウム化しない元素(例えば、アルミニウム、マンガン、ニッケル、金属リン酸塩)を含んでなる。さらに別の実施態様では、電気化学的調節剤は非金属元素(例えば、フッ素、窒素、水素)を含んでなる。さらに他の実施態様では、電気化学的調節剤は、上記の電気化学的調節剤の任意のもの又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、スズ-ケイ素、ニッケル-酸化チタン)を含んでなる。
電気化学的調節剤はいくつもの形態で提供され得る。例えば、いくつかの実施態様では、電気化学的調節剤は塩を含んでなる。他の実施態様では、電気化学的調節剤は元素の形態の1以上の元素、例えば元素の鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、又はマンガンを含んでなる。他の実施態様では、電気化学的調節剤は、酸化形態の1以上の元素、例えば酸化鉄、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、又は酸化マンガンを含んでなる。
他の実施態様では、電気化学的調節剤は鉄を含んでなる。他の実施態様では、電気化学的調節剤はスズを含んでなる。他の実施態様では、電気化学的調節剤はケイ素を含んでなる。いくつかの他の実施態様では、電気化学的調節剤はニッケルを吹くんでなる。さらに他の実施態様では、電気化学的調節剤はアルミニウムを含んでなる。さらに他の実施態様では、電気化学的調節剤は、マンガンを含んでなる。さらに他の実施態様では、電気化学的調節剤は、Al2O3を含んでなる。
炭素材料の電気化学的特性は、炭素材料中の電気化学的調節剤の量によって少なくとも部分的に調節され得る。したがって、いくつかの実施態様では、炭素材料は、少なくとも0.10%、少なくとも0.25%、少なくとも0.50%、少なくとも1.0%、少なくとも5.0%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の電気化学的調節剤を含んでなる。例えば、いくつかの実施態様では、炭素材料は0.5%~99.5%の炭素と0.5%~99.5%の電気化学的調節剤とを含んでなる。電気化学的調節剤の百分率は重量パーセント基準(wt%)で計算される。いくつかの他のより具体的な実施態様では、電気化学的調節剤は、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、及びマンガンから選択される。
炭素材料の全灰分は、いくつかの例では、炭素材料の電気化学的性能に影響を及ぼす。したがって、いくつかの実施態様では、炭素材料の灰分は0.1重量%~0.001重量%の灰分の範囲である。例えば、いくつかの具体的な実施態様では、炭素材料の灰分は、0.1%未満、0.08wt%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満、又は0.001%未満である。
他の実施態様では、炭素材料は、500ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.08%未満の灰分を含んでなる。さらなる実施態様では、炭素材料は、300ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.05%未満の灰分を含んでなる。別のさらなる実施態様では、炭素材料は、200ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.05%未満の灰分を含んでなる。別のさらなる実施態様では、炭素材料は、200ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.025%未満の灰分を含んでなる。他のさらなる実施態様では、炭素材料は、100ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.02%未満の灰分を含んでなる。他のさらなる実施態様では、炭素材料は、50ppm未満の全PIXE不純物含量及び0.01%未満の灰分を含んでなる。
開示される炭素材料中に存在する個々のPIXE不純物の量は、プロトン励起X線放出法によって測定され得る。個々のPIXE不純物は、開示される炭素材料の全体的な電気化学的性能に対して様々に寄与し得る。したがって、いくつかの実施態様では、炭素材料中に存在するナトリウムの濃度は1,000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満である。上記のように、いくつかの実施態様では、他の不純物、例えば水素、酸素、及び/又は窒素が10%未満~0.01%未満の水準で存在し得る。
いくつかの実施態様では、炭素材料は、プロトン励起X線放出法分析の検出限界に近い又はそれを下回る所望でないPIXE不純物を含んでなる。例えば、いくつかの実施態様では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、15ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、8ppm未満のケイ素、4ppm未満のリン、3ppm未満の硫黄、3ppm未満の塩素、2ppm未満のカリウム、3ppm未満のカルシウム、2ppm未満のスカンジウム、1ppm未満のチタン、1ppm未満のバナジウム、0.5ppm未満のクロム、0.5ppm未満のマンガン、0.5ppm未満の鉄、0.25ppm未満のコバルト、0.25ppm未満のニッケル、0.25ppm未満の銅、0.5ppm未満の亜鉛、0.5ppm未満のガリウム、0.5ppm未満のゲルマニウム、0.5ppm未満のヒ素、0.5ppm未満のセレン、1ppm未満の臭素、1ppm未満のルビジウム、1.5ppm未満のストロンチウム、2ppm未満のイットリウム、3ppm未満のジルコニウム、2ppm未満のニオブ、4ppm未満のモリブデン、4ppm未満のテクネチウム、7ppm未満のルビジウム、6ppm未満のロジウム、6ppm未満のパラジウム、9ppm未満の銀、6ppm未満のカドミウム、6ppm未満のインジウム、5ppm未満のスズ、6ppm未満のアンチモン、6ppm未満のテルル、5ppm未満のヨウ素、4ppm未満のセシウム、4ppm未満のバリウム、3ppm未満のランタン、3ppm未満のセリウム、2ppm未満のプラセオジム、2ppm未満のネオジム、1.5ppm未満のプロメチウム、1ppm未満のサマリウム、1ppm未満のユウロピウム、1ppm未満のガドリニウム、1ppm未満のテルビウム、1ppm未満のジスプロシウム、1ppm未満のホルミウム、1ppm未満のエルビウム、1ppm未満のツリウム、1ppm未満のイッテルビウム、1ppm未満のルテチウム、1ppm未満のハフニウム、1ppm未満のタンタル、1ppm未満のタングステン、1.5ppm未満のレニウム、1ppm未満のオスミウム、1ppm未満のイリジウム、1ppm未満の白金、1ppm未満の銀、1ppm未満の水銀、1ppm未満のタリウム、1ppm未満の鉛、1.5ppm未満のビスマス、2ppm未満のトリウム、又は4ppm未満のウラニウムを含んでなる。
いくつかの具体的な実施態様では、プロトン励起X線放出法によって測定された場合に、炭素材料は100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、及び5ppm未満の亜鉛を含んでなる。他の具体的な実施態様では、炭素材料は50ppm未満のナトリウム、30ppm未満の硫黄、100ppm未満のケイ素、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロム、及び2ppm未満の亜鉛を含んでなる。
他の具体的な実施態様では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、及び1ppm未満の亜鉛を含んでなる。
いくつかの他の具体的な実施態様では、炭素材料は、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロム、及び1ppm未満のマンガンを含んでなる。
開示される炭素材料は大きい表面積も含み得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、大きい表面積は、少なくとも部分的には、それらの優れた電気化学的性能に寄与し得ると考えられる。したがって、いくつかの実施態様では、炭素材料は、少なくとも100m2/g、少なくとも300m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも1,000m2/g、少なくとも1500m2/g、少なくとも2000m2/g、少なくとも2400m2/g、少なくとも2500m2/g、少なくとも2750m2/g、又は少なくとも3000m2/gのBET比表面積を含んでなる。他の実施態様では、BET比表面積は、約100m2/g~約3000m2/g、例えば約500m2/g~約1000m2/g、約1000m2/g~約1500m2/g、約1500m2/g~約2000m2/g、約2000m2/g~約2500m2/g、又は約2500m2/g~約3000m2/gの範囲である。例えば、上記のいくつかの実施態様では、炭素材料は活性化される。
いくつかの具体的な実施態様では、表面積は約50m2/g~約1200m2/g、例えば約50m2/g~約400m2/gの範囲である。他の具体的な実施態様では、表面積は約200m2/g~約300m2/gの範囲であり、例えば表面積は約250m2/gであり得る。
別の実施態様では、炭素材料は、0.1~1.0g/cc、0.2~0.8g/cc、0.3~0.5g/cc、又は0.4~0.5g/ccのタップ密度を含んでなる。別の実施態様では、炭素材料は、少なくとも0.1cm3/g、少なくとも0.2cm3/g、少なくとも0.3cm3/g、少なくとも0.4cm3/g、少なくとも0.5cm3/g、少なくとも0.7cm3/g、少なくとも0.75cm3/g、少なくとも0.9cm3/g、少なくとも1.0cm3/g、少なくとも1.1cm3/g、少なくとも1.2cm3/g、少なくとも1.3cm3/g、少なくとも1.4cm3/g、少なくとも1.5cm3/g、又は少なくとも1.6cm3/gの全細孔容積を有する。
開示される炭素材料の細孔径分布は、炭素材料の電気化学的性能に影響を及ぼし得る1つのパラメータである。例えば、炭素材料は短い有効長(すなわち、TEMによって測定された場合に10nm未満、5nm未満、又は3nm未満)を有するメソ細孔を含んでなってよく、これがイオン拡散距離を減少させ、イオン輸送を向上させて出力を最大化するために有用であり得る。したがって、一実施態様では、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%を占める、100nm以下の細孔の細孔容積率を炭素材料が含んでなる。他の実施態様では、全細孔容積の少なくとも50%、全細孔容積の少なくとも75%、全細孔容積の少なくとも90%、又は全細孔容積の少なくとも99%を占める、20nm以下の細孔の細孔容積率を炭素材料が含んでなる。
別の実施態様では、全細孔表面積の少なくとも40%、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも70%、又は全細孔表面積の少なくとも80%を占める、20~300オングストロームの細孔の細孔表面積率を炭素材料が含んでなる。別の実施態様では、全細孔表面積の少なくとも20%、全細孔表面積の少なくとも30%、全細孔表面積の少なくとも40%、又は全細孔表面積の少なくとも50%を占める、20nm以下の細孔の細孔表面積率を炭素材料が含んでなる。
別の実施態様では、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%を占める、100nm以下の細孔の細孔表面積率を炭素材料が含んでなる。別の実施態様では、全細孔表面積の少なくとも50%、全細孔表面積の少なくとも75%、全細孔表面積の少なくとも90%、又は全細孔表面積の少なくとも99%を占める、20nm以下の細孔の細孔表面積率を炭素材料が含んでなる。
別の実施態様では、炭素材料は、主に1,000オングストローム以下、例えば100オングストローム以下、例えば50オングストローム以下の範囲の細孔を含んでなる。又は、炭素材料は、0~20オングストロームの範囲のミクロ細孔及び20~300オングストロームの範囲のメソ細孔を含んでなる。メソ細孔の範囲と比較したミクロ細孔の範囲の細孔容積又は細孔表面の比は、95:5~5:95の範囲であり得る。又は、メソ細孔の範囲と比較したミクロ細孔の範囲の細孔容積又は細孔表面の比は、95:5~5:95の範囲であり得る。又は、メソ細孔の範囲と比較したミクロ細孔の範囲の細孔容積又は細孔表面の比は、20:80~60:40の範囲であり得る。
他の実施態様では、炭素材料はメソ細孔性であり、単分散のメソ細孔を含んでなる。本明細書において用いられる場合、用語「単分散」は、細孔径に関して用いられるときには、約3以下、典型的には約2以下、多くの場合1.5以下のスパン((Dv,90-Dv,10)/Dv,50としてさらに定義され、ここで、Dv,10、Dv,50、及びDv,90は、体積による分布の10%、50%、及び90%における細孔径を指す)を通常は指す。
さらに他の実施態様では、炭素材料は、少なくとも1cc/g、少なくとも2cc/g、少なくとも3cc/g、少なくとも4cc/g又は少なくとも7cc/gの細孔容積を含んでなる。一具体的な実施態様では、炭素材料は1cc/g~7cc/gの細孔容積を含んでなる。
他の実施態様では、炭素材料は、50Å~5000Åの範囲の直径を有する細孔にある全細孔容積の少なくとも50%を含んでなる。いくつかの例では、炭素材料は、50Å~500Åの範囲の直径を有する細孔にある全細孔容積の少なくとも50%を含んでなる。さらに他の例では、炭素材料は、50Å~1000Åの範囲の直径を有する細孔にある全細孔容積の少なくとも50%を含んでなる。さらに他の例では、炭素材料は、1000Å~5000Åの範囲の直径を有する細孔にある全細孔容積の少なくとも50%を含んでなる。
いくつかの実施態様では、炭素材料の平均粒径は、1~1000ミクロンの範囲である。他の実施態様では、炭素材料の平均粒径は1~100ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、炭素材料の平均粒径は1~50ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、炭素材料の平均粒径は5~15ミクロン又は1~5ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、炭素材料の平均粒径は約10ミクロンである。さらに他の実施態様では、炭素材料の平均粒径は、4未満であり、3未満であり、2未満であり、1ミクロン未満である。
いくつかの実施態様では、炭素材料は1nm~10nmの範囲の平均粒径を示す。他の実施態様では、平均粒径は、10nm~20nmの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒径は20nm~30nmの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒径は30nm~40nmの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒径は40nm~50nmの範囲である。他の実施態様では、平均粒径は50nm~100nmの範囲である。
いくつかの実施態様では、炭素の平均粒径は1~1000ミクロンの範囲である。他の実施態様では、炭素の平均粒径は1~100ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、炭素の平均粒径は5~50ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、炭素の平均粒径は5~15ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、炭素の平均粒径は約10ミクロンである。
いくつかの実施態様では、炭素材料は1ミクロン~5ミクロンの範囲の平均粒径を示す。他の実施態様では、平均粒径は5ミクロン~10ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒径は10nm~20ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒径は20nm~30ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒径は30ミクロン~40ミクロンの範囲である。さらに他の実施態様では、平均粒径は40ミクロン~50ミクロンの範囲である。他の実施態様では、平均粒径は50ミクロン~100ミクロンの範囲である。他の実施態様では、平均粒径はサブミクロンの範囲、1ミクロン未満の範囲である。
さらに他の実施態様では、炭素材料は、単分散の又はほぼ単分散の粒度分布を含んでなる。例えば、いくつかの実施態様では、炭素材料は、(Dv,90-Dv,10)/Dv,50が3未満(ここで、Dv,10、Dv,50、及びDv,90は、体積による粒度分布のそれぞれ10%、50%、及び90%における粒度である)となるような粒度分布を有する。さらなる実施態様において、(Dv,90-Dv,10)/Dv,50は2未満又は1未満である。さらに別の実施態様では、(Dv,90-Dv,10)/Dv,50は、1000未満、100未満、10未満、5未満、3未満、2未満、1.5未満、又は1未満である。
さらに他の実施態様では、炭素材料は、実質的に球面幾何学を有する炭素粒子を含んでなる。そのような幾何学は、該幾何学が粒子包装体(及びこれによるエネルギー密度)に影響を及ぼすことが公知であるため、炭素材料を含んでなる任意数の電気デバイスの性能を改善し得る。いくつかの実施態様では、炭素材料は、多数の炭素粒子を含んでなり、炭素粒子の90%超が球面幾何学を有する。例えば、いくつかの実施態様では、炭素粒子の95%超が球面幾何学を有する。
D.<ポリマーゲル及び炭素材料の特性評価>
最終的な炭素材料及び中間体ポリマーゲルの構造的な特性は、77Kにおける窒素収着を用いて測定してよく、該方法は当業者に公知の方法である。仕上がった炭素材料の最終的な性能及び特質が重要である。しかし、中間生成物(乾燥ポリマーゲルと熱分解はされたが活性化されてはいないポリマーゲルとの両方)は、当業者には公知のように特に品質管理の立場からも評価することができる。マイクロメリティックス社のASAP2020が用いられて詳細なミクロ細孔及びメソ細孔分析を実施し、いくつかの実施態様では0.35nm~50nmの細孔径分布を示す。このシステムは10-7atmの圧力から出発する窒素等温線を作成し、1nm以下の範囲の高分解度の細孔径分布を可能にする。ソフトウェアが生成したレポートは、密度汎関数理論(DFT)法を用いて、特性、例えば細孔径分布、表面積分布、全表面積、全細孔容積、及び特定の細孔径範囲の細孔容積を算出する。
炭素材料の不純物含量は、当業者に公知のいくつもの分析技術によって測定することができる。本開示に関連して有用な1つの具体的な分析法は、プロトン励起X線放出法(PIXE)である。この技術は、11~92の範囲の原子番号を有する元素の濃度を低いppmレベルで測定可能である。したがって、一実施態様では、炭素材料中に存在する不純物の濃度はPIXE分析によって測定される。
E.<炭素材料を含んでなるデバイス>
開示された炭素材料は、任意数の電気エネルギー蓄蔵及び供給デバイスにおいて、電極材料として使用することができる。この点で有用なデバイスは、下記並びにシリアル番号12/748,219;12/897,969;12/829,282;13/046,572;12/965,709;13/336,975;及び61/585,611の同時係属の米国特許出願に記載のデバイスを含むが、これらに限定されない。
1.<EDLC>
開示される炭素材料は、電極材料として任意数の電気エネルギーの蓄蔵及び供給デバイスに用いることができる。1つのかかるデバイスはウルトラキャパシタである。炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタは、共有の米国特許第7,835,136号において詳細に記載され、それは本明細書においてその全体に組み込まれる。
EDLCは、それらのエネルギー蓄蔵エレメントとして電解質溶液中に浸漬された電極を使用する。通常、電解質により浸漬及び含浸された細孔性セパレータが、電極が互いに接触しないことを保証しており、電極間の直接の電流の流れを防いでいる。同時に、細孔性セパレータはイオン電流が電極間の電解質中を両方向に流れることを可能にし、したがって電極と電解質との間の界面に電荷の二重層を形成させる。
EDLCの電極対間に電位が適用されたときには、電解質中に存在するイオンが逆に荷電した電極の表面に引き寄せられて、電極に向かって移動する。したがって逆に荷電したイオンの層が作られ、各電極表面の近傍に維持される。電気エネルギーは、それらのイオン層と各電極表面の電荷層との間の電荷分離層に蓄蔵される。実際に、電荷分離層は本質的に静電キャパシタとして振る舞う。静電エネルギーは、EDLCにおいても、電解溶液の分子の向き及び配置よって、電位によって誘起される電場の影響下で蓄蔵され得る。しかし、エネルギー蓄蔵のこの様式はあまり重要ではない。
開示される炭素材料を含んでなるEDLCは、高出力が望まれる種々の電子デバイスに用いることができる。したがって、一実施態様では、炭素材料を含んでなる電極が提供される。別の実施態様では、電極は活性炭材料を含んでなる。さらなる実施態様では、炭素材料を含んでなる電極を含むウルトラキャパシタが提供される。前記のさらなる実施態様では、超高純度の合成炭素材料が、上記のミクロ細孔及びメソ細孔の最適化されたバランスを含んでなる。
開示される炭素材料は、任意数の電子デバイス、例えば無線の消費者向け及び商業向けデバイス、例えばデジタルスチルカメラ、ノートブックPC、医療用デバイス、位置追跡デバイス、自動車用デバイス、コンパクトフラッシュデバイス、携帯電話、PCMCIAカード、携帯デバイス、及びデジタル音楽プレーヤーに有用性を見いだす。ウルトラキャパシタは、重機、例えば掘削機及び他の土木装置、フォークリフト、ごみ運搬車、港湾及び建設用クレーン、並びに輸送システム、例えばバス、自動車、及び列車にも用いられる。
一実施態様では、本開示は、本明細書に記載の炭素材料を含んでなるデバイスに関する。該デバイスは、
a)正電極及び負電極(ここで、正及び負電極のそれぞれが炭素材料を含む);
b)不活性な細孔性セパレータ;及び
c)電解質
を含んでなり、
ここで、正電極及び負電極は不活性な細孔性セパレータによって分離されている、電気二重層キャパシタ(EDLC)デバイスである。
一実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスが、少なくとも5W/g、少なくとも10W/g、少なくとも15W/g、少なくとも20W/g、少なくとも25W/g、少なくとも30W/g、少なくとも35W/g、少なくとも50W/gの質量出力を含んでなる。別の実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスが、少なくとも2W/g、少なくとも4W/cc、少なくとも5W/cc、少なくとも10W/cc、少なくとも15W/cc、又は少なくとも20W/ccの体積出力を含んでなる。別の実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスが、少なくとも2.5Wh/kg、少なくとも5.0Wh/kg、少なくとも7.5Wh/kg、少なくとも10Wh/kg、少なくとも12.5Wh/kg、少なくとも15.0Wh/kg、少なくとも17.5Wh/kg、少なくとも20.0Wh/kg、少なくとも22.5wh/kg、又は少なくとも25.0Wh/kgの質量エネルギーを含んでなる。別の実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスが、少なくとも1.5Wh/リットル、少なくとも3.0Wh/リットル、少なくとも5.0Wh/リットル、少なくとも7.5Wh/リットル、少なくとも10.0Wh/リットル、少なくとも12.5Wh/リットル、少なくとも15Wh/リットル、少なくとも17.5Wh/リットル、又は少なくとも20.0Wh/リットルの体積エネルギーを含んでなる。
上記のいくつかの実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスの質量出力、体積出力、質量エネルギー、及び体積エネルギーは、2.7Vから1.89Vの定電流放電によって、アセトニトリル中のフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムの1.0M溶液(1.0MのTEATFB、AN中)の電解質と0.5秒の時間定数とを用いて測定することができる。
一実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも10W/gの質量出力、少なくとも5W/ccの体積出力、少なくとも100F/gの重量静電容量(@0.5A/g)、及び少なくとも10F/ccの体積静電容量(@0.5A/g)を含んでなる。一実施態様では、上記のウルトラキャパシタデバイスは、炭素材料、導電性向上剤、結合剤、電解質溶媒、及び電解質塩を含んでなるコインセル二重層ウルトラキャパシタである。さらなる実施態様では、上記の導電性向上剤は、カーボンブラック及び/又は当分野において公知の他の導電性向上剤である。さらなる実施態様では、上記結合剤は、テフロン及び/又は当分野において公知の他の結合剤である。さらなる上記の実施態様では、電解質溶媒は、アセトニトリル又は炭酸プロピレン又は当分野において公知の他の電解質溶媒である。さらなる上記の実施態様では、電解質塩は、テトラエチルアミノテトラフルオロボレート又はトリエチルメチルアミノテトラフルオロボレート又は当分野において公知の他の電解質塩、又は当分野において公知の液状電解質である。
一実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも15W/gの質量出力、少なくとも10W/ccの体積出力、少なくとも110F/gの重量静電容量(@0.5A/g)、及び少なくとも15F/ccの体積静電容量(@0.5A/g)を含んでなる。一実施態様では、上記のウルトラキャパシタデバイスは、炭素材料、導電性向上剤、結合剤、電解質溶媒、及び電解質塩を含んでなるコインセル二重層ウルトラキャパシタである。さらなる実施態様では、上記の導電性向上剤は、カーボンブラック及び/又は当分野において公知の他の導電性向上剤である。さらなる実施態様では、上記の結合剤は、テフロン及び/又は当分野において公知の他の結合剤である。さらなる上記の実施態様では、電解質溶媒は、アセトニトリル又は炭酸プロピレン、又は当分野において公知の他の電解質溶媒である。さらなる上記の実施態様では、電解質塩は、テトラエチルアミノテトラフルオロボレート又はトリエチルメチルアミノテトラフルオロボレート、又は当分野において公知の他の電解質塩、又は当分野において公知の液状電解質である。
一実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも90F/g、少なくとも95F/g、少なくとも100F/g、少なくとも105F/g、少なくとも110F/g、少なくとも115F/g、少なくとも120F/g、少なくとも125F/g、又は少なくとも130F/gの重量静電容量を含んでなる。別の実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも5F/cc、少なくとも10F/cc、少なくとも15F/cc、少なくとも20F/cc、少なくとも25F/cc、又は少なくとも30F/ccの体積静電容量を含んでなる。上記のいくつかの実施態様では、重量静電容量及び体積静電容量は、2.7Vから0.1Vの定電流放電によって、5秒の時間定数で、アセトニトリル中のテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムの1.8M溶液(1.8MのTEATFB、AN中)の電解質と0.5A/g、1.0A/g、4.0A/g、又は8.0A/gの電流密度とを用いて測定される。
一実施態様では、本開示は、本明細書において開示される炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタを提供し、電圧適用(voltage hold)期間後の炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタの初期静電容量(すなわち、電圧適用前の静電容量)の減少率が、公知の炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタの初期静電容量の減少率よりも少ない。一実施態様では、電圧適用(2.7V、24時間、65℃)後の炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタの残存する初期静電容量の割合は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、又は少なくとも10%である。上記のさらなる実施態様では、電圧適用期間後に残る初期静電容量の割合は、0.5A/g、1A/g、4A/g、又は8A/gの電流密度で測定することができる。
別の実施態様では、本開示は、本明細書において開示される炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタを提供し、繰返しの電圧サイクル後の炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタの初期静電容量の減少率が、同じ条件に供された公知の炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタの初期静電容量の減少率よりも少ない。例えば、一実施態様では、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタに残存する初期静電容量の割合は、電流密度4A/gで2Vから1Vのサイクルを含んでなる1000、2000、4000、6000、8000、又は1000回の電圧サイクルイベント後に、公知の炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタに残存する初期静電容量の割合よりも大きい。別の実施態様では、電流密度4A/gで2Vから1Vのサイクルを含んでなる1000、2000、4000、6000、8000、又は1000回の電圧サイクルイベント後に、炭素材料を含んでなるウルトラキャパシタに残存する初期静電容量の割合は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、又は少なくとも10%である。
上記のように、炭素材料はウルトラキャパシタデバイスに組み込むことができる。いくつかの実施態様では、炭素材料は、当分野の技術に従ってジェットミルを用い、約10ミクロンの平均粒度まで粉砕される。理論によって拘束されることを望むものではないが、この微細な粒度は粒子間の導電性を向上し、並びに極薄シート電極の製造を可能にすると考えられる。ジェットミルは、本質的には、高圧窒素によって推進されるディスク形状のチャンバ内の炭素を回転させることによって、炭素をそれ自体によって磨砕する。より大きい粒子が供給されると、遠心力がそれらをチャンバの外側に押し出す。互いに磨砕しながら、粒子は中心に向かって移動し、そこでは適切な寸法に達したら最終的に磨砕チャンバから脱出する。
さらなる実施態様では、ジェットミル後に、炭素は繊維性のテフロン結合剤(3重量%)と混合されて、粒子をまとめて1つのシートにする。炭素テフロン混合物は、均一な粘度が到達されるまで混練される。次に、混合物は高圧ローラー成形機を用いてシートにローラー加工されて、50ミクロンの最終厚みをもたらし得る。それらの電極は打ち抜かれてディスクになり、乾燥アルゴン雰囲気下において195℃に加熱されて、水及び/又は他の空気中汚染物質を除去し得る。電極は秤量され、それらの寸法はカリパスを用いて測定される。
EDLCの炭素電極は適切な電解質溶液によって濡らされる。本願のデバイスで使用するための電解質溶液で使用するための溶媒の例は、特に限定されず、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、スルホラン、メチルスルホラン、及びアセトニトリルである。かかる溶媒は、通常は、テトラアルキルアンモニウム塩を含む溶質、例えばTEATFB(テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム)、TEMATFB(テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム)、EMITFB(テトラフルオロホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム)、テトラメチルアンモニウム、又はトリエチルアンモニウム系の塩と混合される。さらに、電解質は、水系の酸又は塩基の電解質、例えば穏和な硫酸又は水酸化カリウムであり得る。
いくつかの実施態様では、電極は、アセトニトリル中のテトラエチルアンモニウム-テトラフルロボレートの1.0M溶液(1.0MのTEATFB、AN中)の電解質によって濡らされる。他の実施態様では、電極は、炭酸プロピレン中のテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムの1.0M溶液(1.0MのTEATFB、PC中)の電解質によって濡らされる。これらは研究及び産業において用いられる一般的な電解質であり、デバイスの性能を評価するための標準と見なされる。他の実施態様では、対称型の炭素-炭素(C-C)キャパシタは、不活性雰囲気下、例えばアルゴングローブボックス内において組み立てられ、NKK細孔性膜30ミクロン厚がセパレータとして働く。組み立てられたら、試料は、試料の細孔性に応じて約20分間以上電解質中に浸漬され得る。
いくつかの実施態様では、静電容量及び出力は、サイクリックボルタメトリー(CV)、クロノポテンシオメトリー(CP)、及びインピーダンススペクトル法を用いて、種々の電圧(1.0~2.5Vの最大電圧の範囲)及び電流レベル(1~10mA)で、バイオロジック社VMP3電気化学ワークステーションによって測定される。この実施態様では、静電容量は、次式を用いてポテンショグラムの放電曲線から算出され得る。
(式中、Iは電流(A)であり、ΔVは電圧降下であり、Δtは時間差である)。この実施態様では試験キャパシタが対称型の炭素-炭素(C-C)電極であるので、比静電容量は、
等式2 Cs=2C/me
(式中、meは1つの電極の質量である)
から算出される。比エネルギー及び出力は、
等式4 PS=ES/4ESR
(式中、Cは測定された静電容量であり、Vmaxは最大試験電圧であり、ESRは放電の始まりの電圧降下から得られる等価直列抵抗である)又はESRはインピーダンススペクトル法
から得られる。
2.<蓄電池>
開示される炭素材料は、任意数の種類の蓄電池の電極としても有用性が見出される。例えば、一実施態様は、
a)炭素材料を含んでなる少なくとも1つのアノード;
b)金属酸化物を含んでなる少なくともカソード;及び
c)リチウムイオンを含んでなる電解質;
を含んでなり、
ここで、炭素材料は本明細書に記載の炭素材料の任意のものである、
電気エネルギー蓄蔵デバイスに関する。
別の実施態様は、金属空気蓄電池、例えばリチウム空気蓄電池に関する。リチウム空気蓄電池は、正電極と負電極との間に挿入された電解質を通常は含んでなる。正電極は、リチウム化合物、例えば酸化リチウム又は過酸化リチウムを通常は含んでなり、酸素を酸化又は還元するために働く。負電極は、リチウムイオンを吸収及び放出する炭素質の物質を通常は含んでなる。スーパーキャパシタと同様に、開示される炭素材料を含んでなるリチウム空気蓄電池などの蓄電池は、公知の炭素材料を含んでなる蓄電池よりも優れていると予想される。したがって、一実施態様では、本発明は金属空気蓄電池、例えばリチウム空気蓄電池を提供し、これは本明細書において開示される炭素材料を含んでなる。
任意数の他の蓄電池、例えば亜鉛-炭素蓄電池、リチウム/炭素蓄電池、鉛酸蓄電池なども、本明細書に記載の炭素材料によってより良好に機能すると予想される。当業者は、開示される炭素材料が有利となる炭素含有蓄電池の他の具体的な種類の炭素を認識するであろう。したがって、別の実施態様では、本発明は、蓄電池、特に亜鉛/炭素、リチウム/炭素蓄電池、又は鉛酸蓄電池を提供し、それらは本明細書において開示される炭素材料を含んでなる。
実施例1
95℃において様々な質量比の乾燥レゾルシノール-ホルムアルデヒドポリマーゲル及び尿素間の反応
モノリシックミクロ細孔性の乾燥ポリマーゲル(上記に記載された水酢酸共溶媒系の存在下で、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、及び揮発性、塩基性の塩)を、乳鉢及び乳棒によって粒子に粉砕した。別に、固体ウレアを乳鉢及び乳棒により粉砕した。次いで、乾燥ポリマーゲル粒子及びウレア粒子を、乳鉢及び乳棒を用いて、1:2~5:1の様々な比(ポリマー:ウレア、質量:質量)で一緒に混合することによりブレンドした。次いで、これらの固体ブレンドを24時間、95Cで温置した。試料を表1に記載した。
~1800cm-1から800cm-1の波数の範囲のFTIRは、1:2の乾燥ポリマーゲル:尿素の比で、t=0、及びt=24時間、95℃で温置した後の試料について、図1に示される。1:2の比及び温度及び時間条件が、材料に任意の化学的変化を与えるために十分でないことを示したため、スペクトルは類似しているようである。1:1の比で製造される試料のFTIR(図2)から類似の結論をもたらし得る。2:1の比の場合(図3)、FTIRスペクトルに注目すべき差異があった。例えば、約1660cm-1、約1550~1530cm-1、及び約1440cm-1の領域でさらなる吸収があった。理論によって拘束されるものではないが、吸光度のこれらの差異は、乾燥ポリマーゲル及び尿素材料の間の形成され又は破壊される新たな結合をもたらす化学変化に起因する。例えば、1660cm-1は、縮合を介して生成物として放出される水に起因し得、1550~1530cm-1、及び約1440cm-1の吸収は、C-N結合、例えば第一級又は第二級アミン型の形成に起因し得る。試験された乾燥ポリマーゲル:尿素の5:1のモル比について同様の観測が見られた(図4)。これらのデータは、十分な量の一方の反応物質(この場合には尿素)と他方の反応物質(この場合には乾燥ポリマーゲル)を必要とする化学プロセスに相当する。
実施例2
95℃における2:1の乾燥レゾルシノール-ホルムアルデヒドポリマーゲル:尿素間の反応経路
モノリシックミクロ細孔性の乾燥ポリマーゲル(上記に記載された水酢酸共溶媒系の存在下で、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、及び揮発性、塩基性の塩)を、乳鉢及び乳棒によって粒子に粉砕した。別に、固体尿素を乳鉢及び乳棒により粉砕した。次いで、乾燥ポリマーゲル粒子及び尿素粒子を、乳鉢及び乳棒を用いて、2:1のポリマーゲル:尿素で一緒に混合することによりブレンドし、様々な時間で温置し、FTIRデータを収集した。試料は表2に記載される。
~1800cm-1から800cm-1の波数の範囲のFTIRが、図5に示される。図5に示すように、時間の経過するにつれて、材料の化学的変化の証拠が増大した。例えば、約1660cm-1、約1550~1530cm-1、及び約1440cm-1の範囲でさらなる吸収があった。これらのデータは、時間とともに生じる化学プロセスに相当する。
実施例3
様々な質量比でのレゾルシノール-ホルムアルデヒドポリマーゲル及び尿素間の反応
モノリシックミクロ細孔性のポリマーゲル(上記に記載された水酢酸共溶媒系の存在下で、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、及び揮発性、塩基性の塩)を、乳鉢及び乳棒によって粒子に粉砕した。別に、固体尿素を乳鉢及び乳棒により粉砕した。次いで、ポリマーゲル粒子及び尿素粒子を、乳鉢及び乳棒を用いて、1:2~5:1(ポリマー:尿素、質量:質量)の様々な比で一緒に混合することによりブレンドした。次いで、これらの固体ブレンドを95℃で24時間温置した。試料は表3に記載されている。
~1800cm-1から800cm-1の波数の範囲のFTIRが図6に示される。スペクトルは、95℃で16時間温置後、FTIRスペクトルで観測された変化、例えば、約1540cm-1及び1440~1400cm-1の領域の吸光度の増加があった。これらの観測は、実施例1及び2と一致し、ポリマーゲル(未乾燥)及び乾燥ポリマーゲルの両方が固体状態で尿素と反応することが可能であることを実証している。この場合に、約1660cm-1の領域では変化が観測されなかった。しかし、未乾燥ポリマーゲルが多くの含水量を有し、系に生じる少量のさらなる水が、すでに存在する大量の水を越えて検出できると考えられないことから、この観測は予測される。
実施例4
固体状態で反応された乾燥ポリマーゲル:尿素の熱分解及びその電気化学的特性評価
試料2-4による固体状態で反応された乾燥ポリマーゲル:尿素(具体的には、95℃で72時間反応させた2:1の乾燥ポリマーゲル:尿素)を、1100℃に加熱し、不活性雰囲気下(窒素フロー)で60分間保持することにより熱分解した。得られた材料(試料4-1と示される)の窒素収着について特性評価した。この方法では、具体的な表面積は7.4m2/gであり、全細孔容積は検出できなかった。
LiPF6電解質の存在下、容量についての電気化学特性評価を以下のように実施した。乳鉢及び乳棒での混合を介して、1-メチル-2-ピロリジオンの懸濁液によって、90:5:5の炭素:導電性向上剤(スーパーP):ポリ(フッ化ビニリデン)の組成から有機スラリーが作製された。懸濁液をドクターブレードを介して銅ホイル基材で作製し、カレンダー加工し、及び195℃で1.5時間乾燥させた。次いで、アノードを与える銅、カウンター電極(カソード)としてのリチウム金属、セパレーター(Celgard 2325)、及び電解質として1:1w/wの炭酸エチレン/炭酸ジエチル中で1M LiPF6を有する316Lステンレススチールケース(CR2032幾何学)からなるコインセルにこの電極を組み立てた。電気化学的試験プロトコールは、非対称*の定電流、定電圧で5時間保持@0.005V、2V~0.005V(vs.Li/Li+)の電位窓、及び40mAの電流密度から構成され、帯電及び放電のこのサイクルは、少なくとも2つのサイクルを繰り返した。
容量データを表4に示す。図4に示されるように、試料3-1は数回のサイクル後に、360~370mAh/gの容量で、約65%の第1サイクル効率であった。
実施例5
乾燥ポリマーゲル:尿素の熱分解及びその電気化学的特性評価
この例について、1:1の乾燥ミクロ細孔性ポリマーゲル(上記に記載されるような水酢酸共溶媒系の存在下、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、及び揮発性、塩基性の塩から形成される):尿素(w:w)の混合物の共熱分解によって、試料5-1を作製した。材料は、乳鉢及び乳棒を介して混合し、次いでこの混合物を10℃/分で1100℃に加熱することにより、熱分解し、不活性雰囲気下で60分間保持した(窒素フロー)。コントロールとして、任意の尿素の不存在下で熱分解された第2試料を製造した。実施例4と同様の方法を用いて得られた材料の窒素吸着特性及び電気化学特性を評価した。データは表5に要約される。表5に示されるように、尿素の存在下における共熱分解により、炭素表面の飛躍的な減少、及びLiPF6電解質系の電気化学性能の増加が生じた。
実施例6
固体状態で反応された乾燥ポリマーゲル:ヘキサメチレンテトラミンの熱分解及びその電気化学的特性評価
固体状態の反応を以下のように実施した。乾燥ミクロ細孔性ポリマーゲル(上記に記載されるような水酢酸共溶媒系の存在下、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、及び揮発性、塩基性の塩から形成される)を、1:1の乾燥ポリマーゲル:ヘキサメチレンテトラミン(w:w)の比で、ヘキサメチレンテトラミンと乳鉢及び乳棒を用いて混合し、140℃で96時間温置した。得られた材料(試料6-1で示される)の窒素吸着について特性評価した。この方法では、具体的な表面積は0.13m2/gであり、全細孔容積は検出できなかった。
LIPF6の電解質の存在下、容量の電気化学的特性評価を、実施例4及び5に記載の方法によって実施した。容量データを表6に要約する。表6に示されるように、試料6-1は数回のサイクル後に、約360-370mAh/gの容量で、約69%の第一サイクル効率であった。
実施例7
固体状態で反応された、熱分解された炭素:ヘキサメチレンテトラミン及びその電気化学的特性評価
固体状態の反応を以下のように実施した。熱分解されたミクロ細孔性炭素(上記に記載されるような水酢酸共溶媒系の存在下、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、及び揮発性、塩基性の塩から構成されるポリマーゲルの熱分解により形成される)を、1:1の熱分解された炭素:ヘキサメチレンテトラミン(w:w)の比で、ヘキサメチレンテトラミンと、乳鉢及び乳棒を用いて混合し、140℃で13~96時間温置した。ヘキサメチレンテトラミンによる処理後、熱分解された炭素を、上記例と同じように再度熱分解した。得られた材料(試料6-1に示される)は、窒素吸着について特性評価し、コントロール(処理されたヘキサメチレンテトラミンなし)と比較した。LiPF6電解質の存在下、容量の電気化学的特性評価を、上記に記載の方法につき、実施した。データは表7に要約される。表7に示されるように、熱分解された炭素のHMT処理は、得られた炭素において、50~55%の範囲における第1のサイクルで、1300mAh/g容量以下の高い容量を可能にする。
実施例8
様々な化合物間での固体状態の反応
以下の固体材料:ポリマー前駆体としてのビスフェノールA、架橋剤としてのヘキサメチレンテトラミン、酸としてのシュウ酸、及び塩基としてのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)を用いて、様々な組成物を製造した。組成は、架橋剤と前駆体、前駆体と酸、及び前駆体と塩基とのモル比に関して記載し得る。
試料8-1A及び8-1BのFTIRスペクトルを図7に示す。図7に示されるように、スペクトルに観測された変化はほとんど又は全くなかった。これは材料の化学結合の変化がほとんど又は全くないことを示す。従って、理論に束縛されるものではないが、結論としては、これらの条件下で重合(又はそれに関する他の化学プロセス)は起こらない。
対照的に、試料8-2A及び8-2BのFTIRスペクトル(図8)は、ブレンドされた様々な材料間での反応(すなわち、重合)に一致する化学結合の変化を示唆する大きな相違を示す。様々な他のケースについて、観測されたFTIRスペクトルの相違の程度に違いはあった。これは生じる反応の程度に違いがあることを示し、組成物の賢明な選択によって反応を調整及び制御する能力を実証している。例えば、試料8-5A及び8-5B(図11)間に観測された大きな化学変化、試料8-6A及び8-6B(図12)間に観測されたわずかな変化、並びに試料8-3A及び8-3B(図9)間、試料8-4A及び8-4B(図10)間、試料8-7A及び8-7B(図13)、及び8-8A及び8-8B(図14)間に観測されたより少ない又は最小限の変化もあった。
実施例9
実施例8に記載された試料の熱分解
上記の実施例(実施例8)で「B」と示された試料を、窒素ガスフロー下、900℃で熱分解した。材料を900℃でキルン中に配置し、60分間保持することによって熱分解させることに加え、次いで除去し、第2の方法(“スロー”を示す)、すなわち、材料を室温で管状炉に入れ、次いで通常10℃/分のランプ速度で900まで加熱し、60分間保持し、次いで室温まで減少させることを検証した。
重量減少及び窒素収着の得られたデータを表9に示す。
試料9-1Aについて、その試料の化学変化は観測されなかったが、熱分解された炭素にもたらされる熱分解が、収率25%であることを見出した。この結果は予測されない。該材料が、熱分解条件で存在しないと見込まれる相対的に低分子量種からなるためである。理論に拘束されるものではないが、該材料は、キルンでの加熱の間、化学的再構成(すなわち、重合)を生じた。「スロー」条件下(試料9-1B)での熱分解が、見込まれるゼロ収率(得られる熱分解された炭素がない)をもたらすことに留意することが重要である。
試料9-2A対9-2Bについて、130℃で6時間の上記条件で温置されなかった試料は、熱分解により熱分解された炭素を全く生じないことが観測された。さらに、試料8-2Bが、試料9-2Cを生じるスロー条件下で熱分解される場合、熱分解された炭素材料が得られるが、窒素収着によって検出される表面積又は細孔容積を有していなかった。類似の観測が試料9-5B対9-5Aでなされた。
様々な試料についてのメソ細孔分布が、実際はミクロ細孔であると思われた。実施例の細孔分布プロットを、試料9-5Aに関する図15に示す。
実施例10
実施例9に記載の熱分解された炭素試料の活性化及びその電気化学的特性評価
実施例10から選択された熱分解された炭素試料を、二酸化炭素ガスフロー下、900℃で活性化させた。データは表9に要約される。
様々な試料の細孔分布は、実際にはミクロ細孔であるようであった。実施例の細孔分布プロットは試料10-3について図16に示される。
試料10-3について、電気的性能、具体的にはEDLC、並びにアセトニトリル中のTEATEBからなる電解質系における静電容量及び性能を調べた。電極及びウルトラキャパシタ成分及び電気化学的試験の方法は、本明細書に記載の方法と同じである。この活性炭が、24.3F/ccの体積静電容量、27.2F/ccの最大理論体積静電容量、及び118F/gの重量静電容量を有することを見出した。
実施例11
ヘキサメチレンテトラミンで処理された炭素の電気化学的性能
ミクロ細孔性活性炭(試料11-1)は、破砕されたポリマーゲルモノリスの熱分解及び活性化、及び上記のようなジェット粉砕(7.15μmのDv,50)により得られた。次いで、1:1(質量:質量)比で、炭素をヘキサメチレンテトラミン粉末と、乳鉢及び乳棒を用いて混合し、及びブレンドされた混合物を96時間、140℃で保管した。この温置の後、HMT-処理された炭素を不活性雰囲気(窒素ガスフロー)の存在下で保持し、900℃まで加熱し、室温まで冷却した。得られたHMT-処理された炭素を11-2に示す。2つの炭素の物理化学的データを表10に示し、電気化学的データを表11に示す。
表10及び表11に示されるように、ヘキサメチレンテトラミンによる処理は、重量静電容量の減少とともに、炭素の表面積の減少をもたらす。電気化学的性能の比較について、ヘキサメチレンテトラミンで処理された炭素(試料11-2)に類似の表面積を有する別のミクロ細孔性活性炭を調べた(試料11-3)。ヘキサメチレンテトラミンで処理された炭素は、類似の表面積の比較炭素よりもはるかに低い抵抗を示した。
実施例12
グルコースの固体状態の重合
質量10gのD-グルコース粉末をアルミナルツボに置き、140℃で2時間、対流式オーブンにより空気中で加熱した。この時間の間、溶融されたグルコースは、ゴールド色に変化し、凝固された。得られた樹脂を破砕し、FT-IR(図17に示されるデータ)及びBET窒素収着(表12に示されるデータ)について特性評価した。また、より高い又はより低い架橋の樹脂をそれぞれ製造するために、温度を増加又は減少させた。得られた樹脂を、窒素フロー下、管状炉で1時間、900℃で熱分解させた。得られた炭素を、BET窒素収着法(表12に示されるデータ)により特性評価し、定電流放電/帯電サイクルを介して、コインセル対1:1w/wのEC:DEC電解質で1M LiPF6のリチウム金属で電気化学的に試験を行った。電圧プロファイルを図18に示す。
実施例13
フルクトースの固体状態の重合
質量10gのフルクトース粉末をアルミナルツボに置き、140℃で48時間、対流式オーブンにより、空気中で加熱した。この時間の間、溶融されたフルクトースは、ブラウン色に変化し、凝固された。得られた樹脂を破砕し、FT-IR(図19に示されるデータ)及びBET窒素収着(表13に示されるデータ)について特性評価した。また、より高い又はより低い架橋の樹脂をそれぞれ製造するために、温度を増加又は減少させた。得られた樹脂を、窒素フロー下、管状炉で1時間、900℃で熱分解させた。得られた炭素を、BET窒素収着法(表13に示されるデータ)により特性評価し、0.015V-2V(vs.Li/Li+)間の定電流放電/帯電サイクルを介して、コインセル対1:1w/wのEC:DEC電解質で1M LiPF6のリチウム金属で電気化学的に試験を行った。電圧プロファイルを図20に示す。
実施例14
メラミン-グルコース-リン酸二水素アンモニウム樹脂についての硬質炭素アノード-固体状態の反応例
乳鉢及び乳棒中で、3.1gのメラミンを2.2gのD-グルコースと一緒に15分で粉砕した。次いで、10gのリン酸二水素アンモニウムを該混合物に添加し、20分間連続的に破砕及び混合した。次いで、白色固体の混合物をルツボに注ぎ、24時間、120℃のオーブン中に配置した。次いで、温度は140℃に増加し、試料を6時間保持した。得られた樹脂はブラウンの塊状固体であった。140℃の保持後、試料をThermo Scientific社製、エコノミーソリッド管状炉(Economy Solid Tube furnace)を用いて、1050℃で1時間、熱分解させた。次いで、得られた炭素について、Micromeritics Tristar II BETシステムを用いて比表面積及び細孔容積を試験した。窒素等温線、表面積、及び細孔容積データを図21及び表14に示す。
実施例15
メラミン-グルコース-リン酸二水素アンモニウム樹脂についての硬質炭素アノード-固体状態の反応例
乳鉢及び乳棒中で、1.65gのメラミンを2.36gのD-グルコースと一緒に15分間粉砕した。次いで、2.0gのリン酸二水素アンモニウムを混合物に添加し、20分間、連続的に粉砕及び混合した。次いで、白色固体混合物をルツボに注ぎ、120℃で24時間オーブンに置いた。次いで、温度を140℃まで上昇させ、試料を6時間保持した。得られた樹脂はブラウンの塊状固体であった。140℃で保持後、Thermo Scientific社製、エコノミーソリッド管状炉(Economy Solid Tube furnace)を用いて、1時間1050℃で熱分解した。
実施例16
メラミン-グルコース-リン酸二水素アンモニウム樹脂についての硬質炭素アノード-固体状態の反応例
乳鉢及び乳棒中で、1.26gのメラミンを1.80gのD-グルコースと一緒に15分間粉砕した。次いで、3.0gのリン酸二水素アンモニウムを混合物に添加し、20分間、連続的に粉砕及び混合した。次いで、白色固体混合物をルツボに注ぎ、120℃で24時間オーブンに置いた。次いで、温度を140℃まで上昇させ、試料を6時間保持した。得られた樹脂はブラウンの塊状固体であった。140℃で保持後、Thermo Scientific社製、エコノミーソリッド管状炉(Economy Solid Tube furnace)を用いて、1時間、1050℃で熱分解した。
実施例17
2-ナフトールの固体状態の反応、及びメラミン-グルコース-リン酸二水素アンモニウム樹脂に関する例
乳鉢及び乳棒中で、1:1の質量比の2-ナフトール及びヘキサメチレンテトラミンを一緒に粉砕し、130℃で約12時間保持した。得られた材料を上記のように「スロー」で加水分解した。その結果、熱分解された炭素は27%の収率であった(試料17-1)。窒素収着によるシングルポイントは、15m2/gであった。細孔分布は、ミクロ及びメソ細孔を含むことがわかった。
実施例18
キルン中での前駆体化合物の重合
この実施例で重合されるモノマー又は前駆体化合物は、本明細書で記載された様々な種から選択することができる。様々な種の粒度の低減は、当該分野でされるような、例えば(限定されないが)、ボールミル、ジェットミル、粉砕(grinding)、ふるい分け(sieving)等、及びそれらの組み合わせによって達成することができる。特定の実施態様において、材料の粒度は、局所的に混合できる相対量の各材料を変更することによって重合をコントロールすることで制御される。粒度の低減後、交互に起きる触媒、例えば、酸又は塩基、又はそれらの組み合わせを混合することができる。混合物はキルン、又は高温においてガスの制御されたフローと固体を加熱及び/又は混合可能な他の反応器中に配置することができる。例えば、出力混合物は、連続的なスループットロータリキルンホッパーに配置することができる。キルンは、窒素で浄化される。キルンが安定な状態に達した場合、混合物を所定速度でキルン中に導入することができる。キルンの第一ゾーンは150℃(必要とされる適当な温度に変化する)に設定することができ、供給速度、回転、及びキルンの角度は、材料が30分間第一ホットゾーンに残存することが可能になるように設定される。理論に束縛されることを望むものではないが、第一ホットゾーンの材料は溶融され、次いで、加水分解が起こる第2及び第3ホットゾーン中を通過する前に重合される。キルンの第2ゾーンは、500℃に設定することができ、最後のゾーンは800℃に設定することができる。特定の実施態様において、重合は重合に適する温度をセットポイント(50℃~300℃)として使用する一つのキルンで起こり、熱分解は重合に適する温度をセットポイント(300℃~1100℃)として使用する第2キルンで起こる。2を超える、例えば3又は4又は5以上の異なった加熱ゾーンを使用し得る。異なった反応ガスを各ゾーンに導入し得る。存在する熱分解された材料はホッパーに収集され得る。この実施例の様々な態様において、粒度(Dv,50)は、1μm~10cm、例えば1μm~2cm、例えば1μm~50μm、例えば100μm~2mmの範囲であり得る。様々な実施態様では、代わりのミル技術は、フリッチュミル(Fritsch mill)、ジェットミル、ボールミル、ローラーミル、流動化ジェットミルを含み得る。
実施例19
様々な割合でBPAとHMTから構成される前駆体系からのポリマーの調製、並びに該ポリマーから製造される炭素の生成及び特性
様々な割合で固体ビスフェノールA(BPA)と固体ヘキサメチレンテトラミン(HMT)を混合し、固体、無溶媒混合物を、表15に記載されるような様々な時間(14時間~16時間)及び温度(130~140℃)で温置することにより、種々のポリマー材料を製造した。BPAの溶融点は158℃である。これらのポリマーを本明細書に記載された通常の手順に従って熱分解及び活性化した。得られた活性炭の特性は表16に記載され、該表16は、炭素の一つの質量単位を達成するために必要とされる前駆体の質量単位として定義される転化率(conversion ratio)、及び1700m2/gの炭素表面積に標準化された炭素の1つの質量単位を達成するために必要な、前駆体の質量単位である標準転化率(normalized conversion ratio)を含む。製造された炭素は表16に示される%ミクロ細孔、%メソ細孔、及び%マクロ細孔の値によって証明されているように、高いミクロ細孔性であった。表16に示されるように、炭素材料を所定質量生み出すために必要とされる最小量の前駆体材料を示す最小転化因子(the lowest conversion factors)は、約2.5:1~0.166:1のHMT:BPA(mol:mol)、好ましくは1.63:1~0.668:1のHMT:BPA(mol:mol)の間で生じる。理論に束縛されるものではないが、HMT分子は1モルあたり6モルのホルムアルデヒド(及び6モルのアンモニア)を生じ、一方BPAは、2:3又は0.667モル:モルの化学量論を与える4つの第一ポテンシャル(primary potential)架橋部位(及び他の最小ポテンシャル架橋部位)を有する。表15及び16に示されるように、炭素材料を所定質量生み出すために必要とされる最小量の前駆体材料を示す最小転化因子(the lowest conversion factors)は、約2.5:1~0.166:1のHMT:BPA(mol:mol)、好ましくは1.63:1~0.668:1のHMT:BPA(mol:mol)の間で生じる。理論に束縛されるものではないが、HMT分子は1モルあたり6モルのホルムアルデヒド(及び6モルのアンモニア)を生じ、一方BPAは、2:3又は0.667モル:モルの化学量論を与える4つの第一ポテンシャル(primary potential)架橋部位(及び他の最小ポテンシャル架橋部位)を有する。
実施例20
BPA、HMT、及びシュウ酸を含んでなる前駆体系からのポリマーの調製、並びに該ポリマーから製造される炭素の製造及び特性
固体のビスフェノールA(BPA)、固体のヘキサメチレンテトラミン(HMT)、及び固体のシュウ酸(二水和物又は無水形態のいずれか一方)を混合し、固体、無溶媒混合物を130℃で7時間温置することにより様々なポリマー材料を製造した;前駆体の比は表17に記載されている。シュウ酸の溶融点は101-102℃である。これらのポリマーを本明細書に記載された通常の手順に従って熱分解及び活性化した。得られた活性炭の特性は表18に記載されている。製造された炭素は、表18に示される%ミクロ細孔、%メソ細孔、及び%マクロ細孔の値によって証明されているように、高いミクロ細孔性であった。(上記に定義される)転化因子は、炭素試料20-1、20-2、及び20-3でそれぞれ5.7、7.2及び6.3であった。炭素試料20-1及び20-3について、本明細書で記載の通常の手順を使用するEDLCの電気化学的特性を調べた。測定された体積静電容量は、炭素試料20-1及び20-3で、それぞれ26.3F/cc及び26.2F/ccであった。EDLCにおける電気化学的特性は、本明細書で通常使用される手順のものである。測定された重量静電容量は、炭素試料20-1及び20-3でそれぞれ116.0F/g及び26.2F/ccであった。比較のために、市販の炭素、YP-50も試験された。見ての通り、炭素試料20-1及び20-3の初期体積静電容量ははるかに大きかった(図23)。体積静電容量におけるこの優位性は、65℃で12時間、3Vの電圧適用によってキャパシタのストレス試験後にも維持された(図24を参照)。HMT、BPA及びシュウ酸(20-3)を含んでなる前駆体系から製造される試料は、HMT及びBPA(20-1)を含んでなる前駆体系から製造される試料(80.1%のF/g保持率を示す)と比較して86.3%の保持率を示した。これらのデータは、ベースライン時に、またTEATFB/アセトニトリル系に基づき、EDLCの3V及び高温での試験の後、どのように炭素の異常に高い体積静電容量を達成することが可能であるかを実証している。
実施例21
様々な炭素の電気化学的特性
BPA及びHMTから構成される二成分前駆体系又はBPA、HMT、及びシュウ酸から構成される3成分前駆体系のいずれか一方から様々な炭素試料を製造した。炭素表面積の機能としての最大理論F/ccのプロットが図25に示される。図25に示されるように、表面積が減少されながら、最大理論体積静電容量が増加される傾向があった。炭素の全細孔容積の機能としてのF/gのプロットが図26に示される。図26に示されるように、細孔容積が増加されながら、重量静電容量が増加される傾向があった。
実施例22
無溶媒プロセスを使用する炭素材料の調製
モノリシックミクロ細孔性ポリマーを、粉末前駆体材料を用いて形成した。この点において、典型的な原料はモノマーとしてビスフェノールA及び架橋剤としてヘキサメチレンテトラミンである。ビスフェノールAとヘキサメチレンテトラミンとの比は、1:1~5:1で変化させた。特定の例では、1.63:1のヘキサメチレンテトラミン:シュウ酸のモル比でシュウ酸を転化した。
種々の時間、例えば一晩中(18時間に相当する)、140℃で温置した。この期間の間、粉末がポリマーモノリスを形成した。明細書のいずれかに記載された方法に従って、ポリマーモノリスを熱分解し、活性化させた。
実施例23
モノリシックポリマー樹脂からの活性炭の調製
この実施例では、(上記に記載のような水酢酸共溶媒系の存在下、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、及び揮発性、塩基性の塩から形成される)モノリシックミクロ細孔性乾燥ポリマーゲルを90℃に設定されたホットボックスオーブンで反応させる。これはロッククラッシャーを介して減少されたサイズであり、凍結乾燥プロセスを用いて除去された溶媒である。
この試料から熱分解された炭素は、600-800℃の範囲で不活性雰囲気(窒素ガスフロー)下でロータリーキルン系に供給される。この熱分解された炭素は、流動床反応器に供給され、不活性窒素雰囲気下で880℃まで加熱され、次いで反応性二酸化炭素雰囲気に曝された。所望の比表面積が達成されたと同時に、窒素下で炭素を冷却した。
顆粒状活性炭を8”ジェットミル中に供給し、製粉した。表面積は1819m2/gであり、細孔容積は0.763cm3/gであり、タップ密度は0.66g/cm3であった。
実施例24
高い窒素含量を有する活性炭の調製
ヘキサメチレンテトラミンのような窒素含有架橋剤を使用する固体状態の反応された材料は、最終炭素形態で合計質量の1-4%の活性炭材料を生じる。
活性化された及び熱分解された炭素材料は、尿素及びヘキサメチレンテトラミン等の窒素含有化学品と固体状態で反応させることによって、はるかに高い窒素含量で製造される。実施例22に記載の熱分解された及び活性化された炭素を、1:1の質量比で、乳鉢及び乳棒を用いて窒素含有化学品と混合した。この混合物を12-24時間、130℃に設定されたオーブン中で加熱した。次いで、不活性雰囲気(窒素ガスフロー)下、800℃で60分間、得られた材料を管状路中で処理した。
実施例25
様々な炭素組成物の窒素含量
実施例22及び実施例23で詳細に示されているように、様々な化学成分から製造された様々な炭素材料を、Perkin Elmer CHN社製、Analyzer Model 2400により試験した。
この実施例は、炭素質材料の窒素含量を増加させるために、HMT又は他の窒素固体化合物と固体炭素質材料との固体状態の反応に関する方法を説明している。理論に束縛されることを望むものではないが、この方法により調製された特定の実施態様の炭素材料は、炭素粒子内ではなく、電解質により接近している(電解質と実質的に接触していない)炭素粒子の外面上に吸収された実質的に全ての(例えば90%より多く、かつ95%以下の)窒素を含んでなる。当業者は、他の炭素質材料、例えば、限定されないが、アモルファス炭素、ガラス状炭素、硬質炭素、グラファイト、グラフェン、他の炭素の同素体等を含む、他形態の炭素の窒素含量を増加させるためにこの方法を使用することができる。
実施例26
無溶媒工程を介したミクロ/メソ細孔の細孔構造を有する炭素の製造
1:1:2(質量:質量:質量)のメラミン:シアヌル酸:HMTの固体ブレンドを乳鉢及び乳棒を用いて混合し、140℃で6時間加熱した。この材料を本明細書に記載の手順を使用して熱分解した。得られた炭素は、316m2/gの表面積及び0.291cm3/gの細孔容積を示した。得られた炭素の細孔容積分布(図27)は、56.1%のミクロ細孔、34.5%のメソ細孔及び9.3%のマクロ細孔から構成されていた。この実施例は、メソ細孔範囲の実質的な部分の細孔容積を有する炭素が、本明細書に記載の無溶媒方法を使用して製造され得ることを説明している。
実施例27
無溶媒工程を介したミクロ/メソ/マクロ細孔の細孔構造を有する炭素の製造
1:1:1(質量:質量:質量)のシアヌル酸:HMT:尿素の固体ブレンドを乳鉢及び乳棒を用いて混合し、140℃で一晩加熱した。この材料を本明細書に記載の手順を使用して熱分解した。得られた炭素は、301m2/gの表面積及び0.331cm3/gの細孔容積を示した。得られた炭素の細孔容積分布(図28)は、35.2%のミクロ細孔、2.9%のメソ細孔及び61.9%のマクロ細孔から構成されていた。この実施例は、マクロ細孔範囲の実質的な部分の細孔容積を有する炭素が、本明細書に記載の無溶媒方法を使用して製造され得ることを説明している。
実施例28
BPA、HMT及びシュウ酸から構成される前駆体系からの炭素の1段階の調製、及び該炭素の特性
2:1:1(質量:質量:質量)のBPA:HMT:シュウ酸二水和物の固体ブレンドを、振動(shaking)により混合し、アルミニウムルツボに置いた。1分あたり10℃で、900℃までルツボを加熱し、360分の滞留時間の間、900℃で保持することによって、試料28-1を製造した。滞留時間が180分であり、及び次いで試料を室温まで冷却し、次いで1分あたり10℃で900℃まで第2試料を加熱し、さらに180分の滞留時間の間保持することを除いて、類似の手順によって第2試料(28-2)を製造した。表20に炭素特性の要約が示される。表20に示されるように、固体前駆体から活性炭を作製するための1段階無溶媒プロセスは、優れた収率で、高いミクロ細孔性、高い静電容量を有する炭素の製造が可能であった。
当業者は、本発明を実施するために適し得る他の熱分解反応器の構成、例えば、限定されないが、ロータリーキルン、マイクロ波キルン、プッシャー型キルン、エレベータキルン、流動床反応器等を想定し得る。
実施例29
スラリー系電極における炭素の電気化学的性能
活性炭(1800m2/gの表面積及び0.77cm3/gの全細孔容積)を、90%の活性炭、5%の導電性向上剤、及び5%のバインダーから構成される電極調製物を使用する技術で公知のスラリーに基づく方法により通常記載の無溶媒プロセス法を用いた3成分HMT:BPA:シュウ酸前駆体系から製造した。EDLC中に電極を組み立てた。電気化学的性能は、アセトニトリル中でテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボランを含んでなる電極を使用する電流密度0.5Amp/gで測定した。測定された体積静電容量は17.5F/ccであり、活性炭材料で正規化された場合、重量静電容量は120.8F/gであり、及び最大理論体積静電容量は、0.77cm3/gの細孔容積に基づき25.0F/ccであり、該重量静電容量は活性炭材料で正規化されている。3V及び65℃で12時間の温置後、F/gの保持率は89%であった。比較のために、市販の炭素、YP-50を、同じ電極工程及び電気化学的条件下で測定した。YP-50試料は、ベースライン時に17.0F/ccを示し、F/g保持率は、3V及び65℃の条件で同様の12時間後、たった80%であった。従って、HMT:BPA:シュウ酸前駆体系及び無溶媒工程から製造された炭素は、初期に静電容量を示し、高電圧、高温に暴露された後、静電容量のフェード(capacitance fad)に対する優れた耐性を示す。さらに、サイクリックボルタンメトリーのスイープ(sweep)は、この実施例の炭素及びYP-50の市販された制御炭素の技術で知られるように行った。
図29A-Dは、図29A-Dのサイクリックボルタンメトリーの結果を示し、「A」は、この実施例の炭素を示し、及び「B」はYP-50を示す。Y軸はmA(-14~14mA)の電流データを示し、一方、X軸は電圧データ(各図に示されるように、0~2.7V又は0~3.0Vのいずれか一方)を示す。
図29Aは、初期のベースライン時に、2.7V以下のサイクルからなる2つの炭素原子の比較を示す。図29Bは、初期のベースライン時に、3.0V以下のサイクルからなる2つの炭素原子の比較を示す。図29Cは、3V及び65℃で12時間温置後の2.7V以下のサイクルからなる2つの炭素の比較を示す。図29Dは、3V及び65℃で12時間温置後の3.0V以下のサイクルからなる2つの炭素の比較を示す。全ての場合において、HMT:BPA:シュウ酸前駆体系及び無溶媒工程から製造された炭素は、より多くの箱型構造がデータに示される。「箱型」挙動は、効果的なウルトラキャパシタに望まれる電気二重層キャパシタ(EDLC)効果を示唆する。より高い電圧(~3V)におけるより低い電流応答は、より大きい安定性、及び市販の炭素(より高電圧で電流の増加を示す)と反対に副反応を生じる電荷移動がほとんど又は全くないことを示す。
理想的な箱型へのCVデータの一致を定量化する1つの方法は、50%の最大電圧での電流(BF=(i@0.9Vmax-i@0.1Vmax)/i@0.5Vmax)によって分けられた90%の最大電圧での電流と10%の最大電圧での電流の差異に等しい「ボックスエレーションファクター(boxellation factor)」(BF)を算出することである。実施例29(YP-50)の制御試料について、ベースライン時に算出されたBFは、それぞれ2.7V及び3Vで約0.3及び0.4であった。一方、無溶媒プロセスを使用して製造された炭素、及びHMT:BPA:シュウ酸前駆体に基づく炭素について、ベースライン時のBFはそれぞれ約0.1及び0.1であった。実施例29の制御試料について、3V及び65℃で12時間温置後の算出されたBFはそれぞれ、2.7V及び3Vで約0.6及び0.7であった。一方、無溶媒工程を使用して製造された炭素及びHMT:BPA:シュウ酸前駆体に基づく炭素について、温置後のBFはそれぞれ約0.1及び0.1であった。
従って、特定の実施態様は、低いボックスエレーションファクター(boxellation factor)を有する炭素材料を対象とする。例えば、特定の実施態様において、ベースライン時のBFは、約0.3未満、約0.2未満、約0.15未満、又は約0.1未満である。他の実施態様では、上述の温置期間後のBFは、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.15未満、又は約0.1未満である。炭素材料のBFは、上記に従って、算出及び試験される。
上記の種々の実施態様が組み合わされて、さらなる実施態様を提供し得る。本明細書において参照及び/又は出願データシートにおいて列挙された米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許公刊物の全て(限定されないが、2013年3月14日に出願された優先出願番号61/786,074を含む)は、その全体が参照によって本明細書に援用される。実施態様の側面が必要に応じて改変されて、種々の特許、特許出願、及び公刊物の構想を利用して、さらなる実施態様を提供し得る。それら及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施態様に加えることができる。通常は、次の特許請求の範囲で用いられる用語は、明細書及び特許請求の範囲において開示される特定の実施態様に特許請求の範囲を限定すると理解されるべきものではなく、全ての可能な実施態様とかかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の最大の範囲とを包含すると理解されるべきものである。したがって、特許請求の範囲は上記の開示によって限定されない。