JP5045943B2 - 多孔質セラミックス材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質セラミックス材料の製造方法に関する。
セラミックス材料のうちリン酸カルシウム系セラミックス材料は、骨や歯の主成分であり、優れた生体親和性を有しており、且つ安全性にも優れていることから、人工骨、人工歯根などの医科用あるいは歯科用などの生体内に埋植するインプラント材料、再生医療などに用いられる細胞培養用の足場、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用の薬剤担持材料、タンパク質や核酸などの分離精製用途に用いられるクロマト分離カラム充填材などとして幅広く利用、研究されている。
なかでも、骨折や骨腫瘍などの疾患やその治療により骨に欠損部や孔ができた場合に補填して修復・治癒させる人工骨(骨補填材)に適したセラミックス材料について、近年、特に盛んに研究開発が行われている。すでに、セラミックス材料は広く臨床の場で用いられるが、現在のセラミックス材料は患部埋入後の新生骨形成が材料表層部に限定されることから、傷病の治癒までの期間が長くなるなどの欠点を有している。
したがって、生体組織が速やかに内部まで入り込み、組織(新生骨)を迅速に形成し得るセラミックスインプラント材料や細胞培養用の足場などの開発が望まれている。
このようなセラミックスインプラント材料としては、(1)多数の気孔が三次元的に密に分布し、隣接する気孔同士がそれらを区画する骨格壁部において相互に連通した連球状開気孔を有するリン酸カルシウム系焼結体(特許文献1参照)、(2)気孔を有するビーズ形状の多孔質セラミックス材料をナイロンワイヤーなどで連結して成形する方法(特許文献2参照)などが提案されている。
また、直径が10〜500μmで、一方向に配向して貫通している気孔を有する焼結体が、インプラント用材料として適したセラミックス材料であることが開示されている(特許文献3、4参照)。
一方、レゾルシノールとホルムアルデヒドの重合物から調製したアエロゲルをテンプレートとして、そこにアルミノシリケート水溶液を導入、加温、減圧下に水分を除去した後、熱分解によりテンプレートであるアエロゲルを除去することでメソポーラスなゼオライトが得られることが知られている(非特許文献1参照)。また、水中、レゾルシノールとホルムアルデヒドを炭酸ナトリウムの存在下、冷媒中に降下、浸漬することにより、氷を一方向的に凍結させ、その氷をテンプレートとしたハニカム状や、繊維状などの様々な構造体を得る方法が知られている(非特許文献2、3参照)。
特許第3470759号公報 特開2003−335574号公報 特開2004−275202号公報 特開2005−1943号公報 「ラングミュア(Langmuir)」、第21巻 第2号、アメリカン ケミカル ソサイアティ(American Chemical Society)、2005年、p.505、発行国:アメリカ 「カーボン(Carbon)」、第43巻 3号、エルゼビア サイエンス リミテッド(Elsevier Science Ltd.)、2005年、p.1563、発行国:アメリカ 「カーボン(Carbon)」、第37巻 12号、エルゼビア サイエンス リミテッド(Elsevier Science Ltd.)、1999年、p.2049、発行国:アメリカ
しかし、特許文献1による方法では、連球開気孔からなる連通部の孔径が小さく且つ配向性を持たないため、実際の臨床では生体組織、例えば、骨組織(新生骨)の誘導が材料表層部にしか認められていない。また、特許文献2の方法では、焼成の際に収縮が起こるため、所望の大きさのインプラント材料を得るためには、焼成後再度成形する必要があり、工程が煩雑となるうえ、多数のビーズをナイロンワイヤーなどで連結するため、実用性が低い。
また、特許文献3および4記載の方法は、本発明者らが追試したところ、冷却面の近傍付近ではスラリーの過冷却現象による不均一相が形成され、一方、冷却面から離れるに従い、孔の形成は拡大して、上下間で孔の形状が不均一となる(本明細書の比較例1参照)。これらの理由から、十分な長さの配向連通孔を持つインプラント材料が得られないという問題点を有していることが判明し、結果的には、特許文献3および4は、血液や骨髄液などの組織液、体液が該材料内部まで速やかに浸透する材料についての具体的・実用的な指針にはなり得ないことが分かった。
また、非特許文献1においては、レゾルシノールとホルムアルデヒドの重合物から得られたアエロゲルをテンプレートとしてメソポーラスなゼオライトを得ているが、十分な長さの配向連通孔を持つインプラント材料を構成し得るものではない。また、非特許文献2および3は、レゾルシノール、ホルムアルデヒドの重合物を構成成分とする構造体であり、優れた生体親和性のインプラント材料を提供できるものではない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れた生体親和性を有し、生体組織、例えば、骨組織形成を速やかに誘導し得る、一方向に配向して貫通している十分な長さの気孔を有する多孔質セラミックス材料の効率的な製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、以下の特徴をもつ本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)工程(A):水、セラミックス原料、レゾルシノール、ホルムアルデヒドおよびアルカリ金属炭酸塩を含み、セラミックス原料が分散したスラリーを調製する工程、工程(B):スラリーを容器に充填した後、該容器をスラリーの凝固点以下の冷媒に一定方向に挿入して、スラリーを一方の端部側から一方向に凍結させる工程、工程(C):凍結させたスラリーを乾燥させて成形体を得る工程および工程(D):乾燥させた成形体を焼成する工程を含む、多孔質セラミックス材料の製造方法、
(2)工程(A)が、水存在下にアルカリ金属炭酸塩を重合触媒としてレゾルシノールとホルムアルデヒドを重合せしめた重合物とセラミックス原料を含むゲル状スラリーを調製する工程である、上記(1)に記載の多孔質セラミックス材料の製造方法、
(3)セラミックス原料がリン酸カルシウム系セラミックスである、上記(1)または(2)に記載の多孔質セラミックス材料の製造方法、及び
(4)リン酸カルシウム系セラミックスが、水酸アパタイトおよび/またはリン酸三カルシウムである、上記(3)記載の多孔質セラミックス材料の製造方法、に関する。
本発明によれば、材料内部までスムーズに血液や骨髄液などの組織液、体液が浸透でき、特に人工骨などに適した多孔質セラミックス材料、特に、多孔質リン酸カルシウム系セラミックス材料を簡便に、かつ、極めて効率よく製造することができる。
また、それを乾燥、焼成するだけで、上記の多孔質セラミックス材料を得ることができる、セラミックス原料含有スラリー凍結体を、簡単に、かつ、極めて効率よく製造することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
まず、本発明により製造される多孔質セラミックス材料について説明する。なお、以下の記載において、本発明により製造される多孔質セラミックス材料を単に「本発明の多孔質セラミックス材料」、「本発明により得られる材料」または「本発明の材料」とも表記する。
本発明の多孔質セラミックス材料は、好ましくは多孔質リン酸カルシウム系セラミックス材料である。また、本発明の多孔質セラミックス材料の気孔率は、好ましくは40〜90%であり、より好ましくは50〜90%であり、さらに好ましくは60〜90%である。気孔率が40%以上であれば、多くの血液や骨髄液などの組織液、体液が材料内に含浸するために、充分な組織、例えば、骨組織の形成が見込まれる。
気孔率はJIS R 1634に準拠して測定される。具体的には、以下のとおりである。評価対象の多孔質セラミックス材料から直径6mm×高さ8mmの円柱状の試験片を切り出す。その試験片の重量および体積を測定して、以下の式より、気孔率を算出する。
嵩密度=(試験片の重さ)/(試験片の体積)
気孔率=(1−嵩密度/理論密度)×100
図1は、本発明の多孔質セラミックス材料の模式図である。本発明の材料では、図1に示すように気孔12が一方向に配向している。気孔12はセラミックス材料11の内部においてセラミックス物質が存在せずに空間になっている領域である。気孔が一方向に配向するとは、一軸方向に伸びた気孔が存在してそのような気孔の長軸方向が実質的に一方向に揃っていることをいう。より具体的には、セラミックス材料中にある一軸方向に伸びた気孔のうちの例えば半数以上、好ましくは80%以上の気孔の長軸方向が例えば角度30°以内の範囲で揃っている。ここでいう「角度」とは、任意平面への空孔の長軸の正写影の交差角度のことである。
各々の気孔の配向方向に垂直な断面積は、好ましくは1×10-3〜200×10-3mmであり、より好ましくは10×10-3〜100×10-3mmである。上記範囲内であれば、血液や骨髄液などの組織液、体液が通過するのに十分な大きさであり、かつ、毛細管現象により血液や骨髄液などの組織液、体液が通過し易くなる。ただし、本発明の課題解決のために、材料内の全ての気孔が上記断面積をもつことは要さない。また、血液や骨髄液などの組織液、体液中に含まれる細胞などが多孔質セラミックス材料に侵入するためには、配向方向に垂直な断面における気孔の短径が少なくとも20μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは50μm以上あることが好ましい。一方、配向方向に垂直な断面における気孔の長径は、少なくとも短径と同じ長さ〜500μmの範囲が好ましい。
気孔の長軸方向の長さは、好ましくは5mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、さらに好ましくは15mm以上である。該長さの上限は特に制限されないが、200mm以下が好ましい。十分な長さの気孔を有していれば、切断などの加工により、インプラント用材料などを取得し易くなる。ただし、本発明の課題解決のために、材料内の全ての気孔が上記長さをもつことは要さない。
好適態様では、配向方向に垂直な気孔の断面積が少なくとも配向方向の5mmの長さにわたって1×10-3〜200×10-3mmであり、より好ましくは10×10-3〜100×10-3mmである。この場合、実用上、十分な長さにわたって良好な血液や骨髄液などの組織液、体液の浸透が達せられる。本発明の材料中にある気孔が全て上記の断面積を有する必要はない。
気孔の断面積を求めるには、後述する実施例のように、測定対象の多孔質セラミックス材料を樹脂中に包埋し、これを配向軸方向に対して垂直に薄切し、これを電子顕微鏡などで観察し、着目する気孔に由来する開口面積を順々に測定することで求めることができる。このとき、測定対象の材料を1mm毎に切り出してそれぞれの断面において開口面積を測定することにより、気孔の配向の長さ方向にわたる該気孔の断面積の推移を本発明の目的に適った精度で評価することができる。また、気孔の短径および長径は、例えば、上述した電子顕微鏡観察像を採寸することにより測定できる。
また、本発明の材料は、気孔の配向軸方向に対して垂直方向の第1の切断面、および、第1の切断面と平行であり第1の切断面から空孔の配向方向に35mm離れた第2の切断面に着目したときに、第1の切断面および第2の切断面の両方において、気孔の断面積の平均値が1×10-3〜200×10-3mmであるのが好ましい。
また、本発明の材料は、平均気孔径が30〜500μmであるのが好ましく、50〜300μmであるのがより好ましく、とりわけ好ましくは60〜150μmである。平均気孔径が30μm未満では、骨新生の起点となる細胞などの侵入が低下する傾向となり、平均気孔径が500μmを超えると、骨新生の起点となる細胞などの定着が低下する傾向となる。
ここでいう、「平均気孔径」とは、水銀圧入法により得られる気孔径分布におけるメジアン径を意味し、水銀ポロシメータによって後述する実施例に記載された方法で測定することができる。
このような十分な長さを有し、配向軸方向での開口面積の変動が少ない(より好適には適度な平均気孔径をさらに有する)、配向連通孔が形成されることで、生体組織が速やかに内部まで入り込み、組織(新生骨)を迅速に形成し得る、インプラント材料を実現できる。
次に本発明の多孔質セラミックス材料の組成および製造方法について説明する。
本発明の多孔質セラミックス材料の製造方法は、水、セラミックス原料、レゾルシノール、ホルムアルデヒドおよびアルカリ金属炭酸塩を含み、セラミックス原料が分散したスラリーを調製する工程(工程A)、得られたスラリーを容器に充填した後、該容器をスラリーの凝固点以下の冷媒に一定方向に挿入して、スラリーを一方の端部側から一方向に凍結させる工程(工程B)、凍結させたスラリーを乾燥させて成形体を得る工程(工程C)および乾燥させた成形体を焼成する工程(工程D)を有する。
B工程では、スラリーが一方の端部側から一方向に凍結することで霜柱状の媒体の結晶が成長し、工程Cにおいて、凍結したスラリーを乾燥させることで、媒体の結晶が昇華して、マクロ孔を有する成形体が得られる。工程Dでは、この成形体を焼成することにより、最終目的物が得られる。
以下、各工程に従って、本発明の製造方法をより詳しく説明する。
図2(A)はスラリーの調製を模式的に表す。工程Aに用いるスラリー21は、セラミックス原料、レゾルシノール、ホルムアルデヒドおよびアルカリ金属炭酸塩を水に混合して調製することができる。ここで、「セラミックス原料」とはセラミックス材料を製造するための粒子のことである。また、「アルカリ金属炭酸塩」は、レゾルシノールとホルムアルデヒドを重合させる触媒である。
セラミックス原料は、好ましくはリン酸カルシウム系セラミックス材料を製造するための粒子であり、リン酸カルシウム系セラミックス原料としては、例えば、水酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、リン酸三カルシウム(α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム等)、メタリン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム2水和物などが例示され、また、これらはいずれか1種か、任意の混合物であっても良い。本発明の材料では、リン酸カルシウムにおけるCa成分の一部が、Sr、Ba、Mg、Fe、Al、Y、La、Na、K、Ag、Pd、Zn、Pb、Cd、H、および、この他の希土類から選ばれる一種以上で置換されてもよい。また、(PO)成分の一部が、VO、BO、SO、CO、SiOなどから選ばれる一種以上で置換されてもよい。さらに、(OH)成分の一部が、F、Cl、O、CO、I、Brから選ばれる一種以上で置換されてもよい。
骨形成の点から、水酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイトおよびリン酸三カルシウムから選ばれるいずれか1種または2種以上が好ましく、水酸アパタイトおよび/またはリン酸三カルシウム(好ましくはβ−リン酸三カルシウム)であることがより好ましい。リン酸カルシウム系セラミックス原料は、天然鉱物由来であっても、あるいは各種湿式法、乾式法などで化学的に合成されたものであってもよい。
スラリー中のセラミックス原料の含量としては、スラリーの総重量に対し、5〜40重量%の範囲が好ましく、7〜30重量%の範囲がより好ましく、7〜20重量%の範囲がなお好ましい。
セラミックス原料は、公知の粉砕造粒手段で粉砕され適宜な粒度分布を持つよう造粒される。造粒された粉末の平均粒径は、0.01〜50μmの範囲が好ましく、0.5〜30μmの範囲がより好ましい。平均粒径が50μm以下であれば、スラリー21中にセラミックス原料がよく分散して、安定なスラリーが得られ易い。ただし、平均粒径が0.01μm未満では、一般的に各粒子同士の凝集が起きやすく、均一なスラリーを形成しにくくなり、好ましくない場合がある。
ここでの、平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて、粒子を蒸留水中に超音波照射(周波数:42Hz、照射時間:30秒、出力:40W)により分散させた状態での平均粒径を測定した。ここでの平均粒径として、積算体積50%の粒径値を用いた。
スラリー調製に使用する水は精製度の高いものが好ましく、蒸留水、イオン交換水、精製水、滅菌精製水、注射用水などが好適である。
本発明において、スラリー21の調製方法は特に限定はされないが、典型的には、水に攪拌しながら、レゾルシノールとホルムアルデヒドとアルカリ金属炭酸塩と必要に応じて添加剤を混合することによってゾルを調製し、そこにセラミックス原料を加え、所定の反応条件において、反応(ゾル−ゲル反応)させることによって、レゾルシノールとホルムアルデヒドの重合物を含む、セラミックス原料が分散したゲル状スラリーが調製される。このときの反応温度は0〜100℃の範囲が好ましく、20〜30℃がより好ましい。また、反応時間は特に限定されないが、反応温度が20〜30℃の場合で10〜24時間程度である。
本発明では、セラミックス原料が分散するスラリーを、このような水存在下にアルカリ金属炭酸塩を重合触媒としてレゾルシノールとホルムアルデヒドを重合せしめた重合物を含むゲル状スラリーとすることにより、その後の、スラリーの凍結、乾燥(成形体形成)、焼成の各工程を経て得られる多孔質セラミックッス材料にハニカムのように一方向に配向した筒状の気孔が無数に存在するという構造的特徴が発現し、また、その構造的特徴を付与するにあたり、効率的に十分な速さで凍結させ、筒状の氷を形成、成長させられるという製造面での利点が得られる。これは、セラミックス原料と、レゾルシノールとホルムアルデヒドの重合物を含むゲル状スラリーが一方向的に冷却、凍結されることによって、筒状の氷を形成し、セラミックス部分がハニカム構造を形成するのに好適なゲル構造を形成するためと考えられる。
スラリーの調製法としては、セラミックス原料を含むゾルを調製しても、ゾル調製後にセラミックス原料を混合してもよい。なお、本発明において、レゾルシノールとホルムアルデヒドとアルカリ金属炭酸塩を含むゾル調製に伴う攪拌は一般的には10分〜60分程度行なうのがよい。
スラリー中のレゾルシノールの含量としては、スラリーの総重量に対し、5〜40重量%の範囲が好ましく、10〜30重量%の範囲がより好ましく、10〜20重量%の範囲がなお好ましい。含量が5重量%未満では、ゾル−ゲル反応において、ゲル化が不十分でスラリーの均質性が保ちにくく、40重量%を超えると、ゲル化が進み過ぎ、凍結時に配向した氷の結晶が成長しにくく、ハニカム構造が得られにくくなる。
スラリー中のホルムアルデヒドの含量としては、レゾルシノールに対して0.8〜1.2当量の範囲が好ましく、1当量であることがより好ましい。レゾルシノールに対して0.8当量未満では、未反応レゾルシノールが残存する場合があり、1.2当量を超えると、未反応のホルムアルデヒドが残存し、凝固点降下等により凍結時の制御が困難になり、得られるセラミック多孔体の品質が不安定となる場合がある。
スラリー中のアルカリ金属炭酸塩の含量としては、レゾルシノールに対して0.001〜0.02当量の範囲が好ましく、0.005〜0.01当量の範囲がより好ましい。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどが例示され、また、これらの任意の混合物であっても良い。中でも、入手のしやすさ、コストの観点から、炭酸ナトリウムが好ましい。
スラリー21に必要に応じて添加される添加剤は、通常、セラミックス原料の分散性向上やスラリーの凍結後の焼結工程での媒体(ゲル媒体)結晶粒子の成長を制御する目的で使用され、特に限定されないが、焼結時に燃焼し、焼失する有機物であることが好ましい。この場合、焼成後に得られるセラミックス材料には添加物に由来する成分が実質的に残存しないことから、生物に対して安全性に優れる。このような添加剤としては、例えば、ポリアクリル酸系分散剤、例えば、ポリアクリル酸アンモニウム、アクリル酸/マレイン酸共重合体のアンモニウム塩などが挙げられる。また、これらの添加剤は1種または2種以上を併用してもよい。なお、本発明の目的を阻害しない範囲内で、必要に応じてスラリー21に、上記した成分以外の成分を添加してもよい。
スラリーに添加剤を添加する場合、その添加量は、スラリーの総重量に対し、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましく、1〜5重量%の範囲がより好ましい。
スラリー21には、脱泡処理を施すのが好ましい。この場合、気泡がスラリー中に残らずに、結果として焼結体中に気泡に起因した不所望な孔(欠陥)が形成することが回避できる。脱泡処理の方法としては、既知の方法を用いればよく、例えば、真空中で攪拌しながら脱泡する方法、遊星混練などによる脱泡する方法などが挙げられる。
図2(B)および図2(C)は、容器中のスラリーを凍結する工程(工程B)を模式的に表す。工程Bにおいては、工程Aで得られたスラリー21を容器31に充填し、該容器31をスラリー21の凝固点以下に冷却した冷媒41に挿入(浸漬)していくことにより、容器内のスラリー21を一方の端部側(すなわち、容器31の挿入方向先端側の端部)から一方向に凍結させてスラリーの成形体を得る。このような凍結の結果、該成形体中に霜柱状の凝固した氷の結晶が成長し、一方向へ配向する。
図3は、凍結のために用い得る凍結装置の一例の模式図である。
当該凍結装置71では、スラリー21を収容した円筒状容器31が例えば定速モーター等の適当な動力源70に繋がれており、容器31がスラリーの凝固点以下に冷却された冷媒41の上から、前記動力源70を用いて冷媒41に向けて降下し、冷媒41へ挿入(浸漬)していく。
容器31を冷媒41に挿入していく速度、すなわち、容器31の冷媒41への浸漬速度は、高い強度と適度な孔径の連通孔を有する多孔質セラミックス材料が得られるという観点から、スラリー21中の水の凍結による結晶の成長速度と当該浸漬速度が略等しくなるように制御することが好ましい。なお、ここでいう「結晶の成長速度」は、例えば、容器31の側壁に目盛りを付しておき、容器内のスラリー21中の媒体の凍結面の移動速度を算出することで求めることができる。
なお、容器31の複数の高さにおいて、その中心部(軸線部)と側壁近傍部に温度センサーを設置し、容器の同一高さにおいて、容器内の中心部(軸線部)と側壁近傍部でのスラリーの温度がほぼ同じであることも併せて確認した。すなわち、容器内でスラリーの凍結がほぼ均一に面状に進行し、氷の結晶も面状に成長していることを確認した。
通常、容器31の浸漬速度は1〜200mm/hの範囲が好ましく、10〜100mm/hの範囲がより好ましく、50〜100mm/hの範囲がさらに一層好ましく、50〜80mm/hの範囲が最も好ましい。容器31の浸漬速度とスラリー21中の水の凍結による結晶の成長速度とが著しく異なる場合、例えば、結晶の成長速度よりも浸漬速度が著しく大きい場合、スラリー21は側面、上面などから、不規則に凍結が進み、水の一方向的な凍結が得られない。一方、結晶の成長速度より浸漬速度が著しく小さい場合、容器31の上部(すなわち、容器31の挿入方向先端側の端部とは反対側の端部)ほど氷の結晶の融合が生じ、孔径が増大した不均一な凍結体となることから、好ましくない。本発明でいう「容器の浸漬速度とスラリー中の水の凍結による結晶の成長速度とが略等しい」とは、一方の速度が他方の速度の概ね50〜150%の範囲内にあることであり、好ましくは80〜120%の範囲にあることである。
当該凍結装置71では、容器31が冷媒41に没している部分から上方向(すなわち、容器31の冷媒41への挿入方向先端側の端部から容器31の他方側の端部へ向かう方向)へと一方向にスラリーが凍結される。冷媒の温度は、スラリーの凝固点よりも低い必要があるが、冷媒41の温度は、スラリーの融点から100℃低い範囲の温度(すなわち、融点〜(融点−100℃)の範囲)が好ましく、より好ましくはスラリーの融点から−15〜−50℃の範囲(すなわち、(融点−15℃)〜(融点−50℃)の範囲)である。また、結晶の成長速度は、冷媒の温度に依存し、冷媒41が低温ほど、結晶の成長速度が大きくなり、浸漬する速度を大きくすることができ、同等形状の媒体の結晶を形成させる場合、生産性を向上できる。なお、スラリーの凝固点は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて容易に測定することができる。
このように、スラリーを一方向に凍結させていくことで(特にスラリー中の水の凍結による結晶の成長速度と容器の浸漬速度が等しくなるように容器の浸漬速度を制御することで)、スラリーに含まれる水が長く一方向に配向した柱状の凝固した氷となり、結果として一方向に長く伸び、長手方向にわたる断面積の変化が少ない気孔をもつセラミックス焼結体を得ることができる。
冷媒41は、スラリーを凝固点以下に冷却することができる媒体であれば、特に限定されるものではなく液体ヘリウム、液体窒素、液体酸素、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ヘキサンなどの炭化水素類、イオン性液体などを用いることができる。但し、熱交換による冷媒の気化、温度上昇などが生じる場合は、適宜、冷媒の追加や冷却を行い、冷媒の液面位置、および温度の制御を行うことが好ましく、これらの変動を最小限とするためには、浸漬するスラリーに対し、充分な量の冷媒を用いることが好ましい。
冷媒により冷却された冷媒上の雰囲気により、容器31の冷媒に浸漬していない側壁方向からスラリーが凍結しないように、容器31の側壁はスラリーが分散している水溶液よりも比熱の大きな素材が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、スチレン樹脂のような熱絶縁性材料で形成されていることが望ましい。また、容器の側壁の厚さは0.5mm以上であることが好ましい。この場合、収容されたスラリーが側壁に接する部分から凍結しにくくなり、企図した通り、一方向に配列した霜柱状の氷の構造がより揃いやすくなる。なお、容器31の底部と側壁の材質は同一であっても良く、別の材質であっても良い。別の材質である場合、容器31の底部はスラリーが分散している水溶液よりも比熱が小さく熱伝導性の高い金属(例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス等)などの素材が好ましい。
なお、容器の形状は特に限定されるものではないが、より均一に熱伝導が行える観点から、図2、3に示されるような円筒状の容器が好ましく使用される。また、前記で説明したように、本発明では、容器内でスラリーの凍結がほぼ均一に面状に進行し、氷の結晶を面状に成長させることが重要であるが、容器の径(内径)が大きすぎると、容器内の中心部(軸線部)と側壁近傍部でのスラリーの冷却度合いが相違して、凍結がほぼ均一に面状に進行しにくくなるおそれがあるので、容器の内径は、円筒状容器である場合、直径が200mm以下であるのが好ましい。また、容器の内径の下限は特に限定はされないが、実質的に気孔径が数十〜数百μmの孔を有する成形体を得るという点から、1mm以上が好ましい。
上記の凍結装置71(図3)は、スラリー21を充填した容器31を移動させて、冷媒41へ容器31を挿入(浸漬)させているが、本発明においては、スラリーを充填した容器を固定し、冷媒(冷媒収容容器)を移動させることで、スラリーを充填した容器を冷媒へ挿入(浸漬)する構成にしても、また、スラリーを充填した容器と冷媒(冷媒収容容器)の双方を移動させて、スラリーを充填した容器を冷媒へ挿入(浸漬)する構成にしてもよい。
工程Cでは凍結したスラリーを乾燥させて成形体を得る。典型的には、凍結したスラリーの入った容器をそのまま減圧下にて凍結乾燥を行う。この操作により霜柱状の氷を昇華させ、氷が存在していた部分が昇華痕として気孔になる。結果として、成形体中に一方向に配向した気孔が形成される。図4は凍結したスラリー(図4A)と乾燥後の成型体(図4B)の模式断面図である。凍結したスラリーは、セラミックス原料の粒子51と、実質的に一方向に配列した氷61とが存在している。乾燥後は、氷61が存在していた領域に気孔62が形成される。
工程Dでは、得られた成形体を焼成する。典型的には、工程Cで得られた成形体を容器31から抜き取り、必要に応じて適当な成形を行い、それぞれのセラミックスに適した温度、および焼結時間で焼成する。焼結(焼成)に際しては、得られる焼結体の機械的強度が、生体内への埋入に適した強度となるように、すなわち、手術現場で、加工が可能であり、かつ、生体埋入後に破損などが生じない程度となるように、焼結条件を決めることが望ましい。こういった焼結条件は、セラミックスの種類、多孔質体の気孔率、平均気孔径、および気孔の配向性などを考慮して適宜決定することができる。また、焼成の際に用いられるエネルギー源としては、特に限定されないが、熱、およびマイクロ波などが一般的に用いられる。なお、焼成温度はセラミック原料の種類によっても異なるが、一般的には、1000〜1500℃が好ましく、1100〜1500℃が好ましい。焼成温度が1000℃未満では、焼結による緻密化が十分進行せずに、強度が低くなる傾向となり、1500℃を超えると、融解や相転移により別の結晶状態へ変化する傾向となる。また、焼成時間は通常1〜4時間程度が一般的である。
これらにより霜柱状の凝固した氷の昇華痕を気孔とする多孔質セラミックス焼結体が作製される。この気孔は前述の昇華痕に準じ、焼結体中を好ましくは一方向に貫通した連続孔となる。
本発明の多孔質セラミックス焼結体(好ましくは多孔質リン酸カルシウム系セラミックス焼結体)を人工骨のような多孔質セラミックス材料として用いる場合には、所望の形状に成形し、滅菌するのが好ましい。
ブロック体の形状に成形する方法としては、特に制限されること無く、既知の方法を用いればよい。具体的には、機械加工による成形法、乾式成形法、および湿式成形法などが挙げられる。一般にセラミックス材料は硬くて脆い素材であるため、セラミックス層の厚さが不均一である従前の多孔質セラミックス材料は、機械加工性が極めて低かった。本発明のセラミックス材料は、上記のように、気孔が一方向に配向しており、且つその気孔径もほぼ均一なため、貫通気孔と貫通気孔との間のセラミックス層の厚さもほぼ均一である。したがって、従前の多孔質セラミックス材料に比べ、優れた機械加工性を示す。
また、顆粒状に成形する方法についても、特に制限されること無く、既知の方法を用いればよい。具体的には、モルダグラインダー、ボールミル、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャーなどの機械的粉砕、乳鉢などでの粉砕などが挙げられる。また、粉砕された多孔質セラミックス材料をふるいなどで、粒径を揃えてもよい。
該材料を滅菌する方法についても、特に制限されること無く、既知の方法を用いればよい。具体的には、高圧蒸気滅菌法(オートクレーブ)、γ線滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌、および電子線滅菌などが挙げられる。その中でも、高圧蒸気滅菌法は最も一般的な滅菌法として、汎用されている。
このようにして得られた多孔質セラミックス材料(好ましくは多孔質リン酸カルシウム系セラミックス材料)は、人工骨(骨補填材)、人工歯根などの医科用あるいは歯科用などの生体内に埋植するインプラント材料、再生医療などに用いられる細胞培養用の足場、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用の薬剤担持材料、タンパク質や核酸などの分離精製用途に用いられるクロマト分離カラム充填材などとして有用である。
さらには、より高いレベルでの組織、例えば、骨組織の誘導を目的として、形質転換成長因子(TGF−β1)、骨誘導因子(BMP−2)、および骨形成因子(OP−1)などの組織、例えば、骨組織に対して成長を促す作用のある物質を、本発明の多孔質セラミックス材料に含浸、吸着、固定化してもよい。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。
〔スラリー中の媒体の凍結による結晶の成長速度の測定方法〕
スラリーを充填した容器についた目盛りから、スラリー中の媒体の凍結面の移動速度を算出することで、スラリー中の媒体の凍結による結晶の成長速度を求めた。また、その際、同時に、スラリーを充填した容器の複数の高さにおいて、容器の中心部(軸線部)および側壁近傍に温度センサーを設置し、それぞれの温度がほぼ同一であることを確認した。
〔気孔率の測定方法〕
気孔率はJIS R 1634に準拠して測定した。具体的には、以下のとおりである。評価対象の多孔質セラミックス材料から直径6mm×高さ8mmの円柱状の試験片を切り出す。その試験片の重量、および体積を測定して、以下の式より、気孔率を算出した。
嵩密度=(試験片の重さ)/(試験片の体積)
気孔率=(1−嵩密度/理論密度)×100
〔気孔の断面積(開口面積)の測定方法〕
測定対象の多孔質リン酸カルシウム系セラミックス材料を配向軸方向に対して垂直に切断し、これを走査型電子顕微鏡で150倍拡大像を観察し、気孔に由来する開口面積を順々に測定した。
〔気孔の長さの測定方法〕
気孔の長さを求めるには、測定対象のセラミックス材料を樹脂中に包埋し、これを配向軸方向に平行に薄切し、これを走査型電子顕微鏡で25倍拡大像を観察し、気孔の長さを順々に測定した。
〔平均気孔径の測定方法〕
円柱形(直径(φ)6mm×高さ8mm)に成形した試験片を、水銀ポロシメータを用い、4×10−3〜4×10μmの範囲の細孔分布を測定した。なお、測定パラメータとして、試験片と水銀との接触角は130°、表面張力を485mN/mとした。
〔実施例1〜7〕
蒸留水中に水酸アパタイト(平均粒径:5.9μm)、レゾルシノール、ホルムアルデヒドおよび触媒量の炭酸ナトリウムを、表1の組成で分散・溶解させたスラリー21をマグネチックスターラで5分間攪拌し、リン酸カルシウム系原料を分散させた。このスラリー21を、内径が約16mm、容量が15mlの円筒型容器31(グライナー社(ドイツ)製の遠心チューブ(ポリプロピレン樹脂製))に10g充填し、該円筒型の容器31を該円筒型の容器31の軸心(長軸)の略中点に鉛直方向と直交する方向の回転軸を配して容器が鉛直方向と水平方向で交互に反転するように20rpmで回転させながら30℃で15時間保持し、得られた反応物に純水を加えて、原料のホルムアルデヒド中に含まれていた安定剤(メタノール)を洗浄し、純水とともに除去した。次に、その容器31を、表2の条件でエチルアルコール浴に浸漬し、霜柱状の氷をスラリー中に形成させた。このようにして得られた凍結体を真空中で昇華乾燥させた後、その乾燥体を1200℃にて1時間焼結することで、配向した気孔を持つセラミックス材料を得た。
〔実施例8〕
水酸アパタイトの代わりに、β型リン酸三カルシウム(平均粒径:4.8μm)を使用し、実施例1〜7の手順に準拠して、表1の組成のスラリーの調製、霜柱状の氷形成、焼結を行い、セラミックス材料を得た。
〔比較例1〕
蒸留水中に水酸アパタイト(平均粒径:5.5μm)および添加剤であるゼラチンをそれぞれ、21.8重量%、4.8重量%を蒸留水中に分散・溶解させたスラリーを、直径16mm、高さ20mmの塩化ビニル樹脂製のパイプ状容器に充填した。その容器を液体窒素により冷却した真鍮製円盤状冷却板に配置し、下面からのみ冷却、凍結させることにより、霜柱状の氷をスラリー中に生成させた。このようにして得られた凍結体を真空中で昇華乾燥させた後、その乾燥体を1200℃にて1時間焼結することで、配向した気孔を持つ高強度のセラミックス材料を得た。
各実施例および比較例のセラミックス材料の製造条件および評価結果を表1〜3に示す。表3において、第1の切断面(下側)と第2の切断面(上側)はいずれも気孔の配向方向に垂直であり、両切断面間の距離は35mmである。
上記の実施例1〜8の結果より、本発明の製造方法によって得られた多孔質リン酸カルシウム系材料は、人工骨等に用いるのに適した物性を有することが分かった。
〔血液侵入性の評価〕
本材の骨補填材としての性能を、以下の方法により血液侵入性を評価した。
麻酔下のウサギ(日本白色家兎、18週齢、体重3.0kg)の心臓から40mLの血液を吸引し、ヘパリン1mLと混合した。ヘパリン添加血液を3mL滴下したポリスチレン製φ35mm培養皿を準備した。円柱状の試験片を該培養皿上に置き、毛細管現象により血液が上面まで吸いあがるまでの時間をストップウォッチにより計測した。
図5は実施例1により調製した材料の断面のSEM観察像である。
図5(A)および(B)は、気孔の配向方向に垂直な同一の断面の観察像(倍率が異なる)であり、図5(C)は図5(A)および(B)と平行であって約35mm離れた断面の観察像である。なお、図5(A)は倍率:200倍、図5(B)と図5(C)は倍率:50倍である。
図6は実施例1で作製した材料の断面のSEM観察像(倍率:25倍)であり、気孔の配向方向と平行な断面の複数の観察像を連結したものである。
図6(A)は上部(高さ3mm)、図6(B)は中心部(高さ3mm)、図6(C)は下部(高さ3mm)の観察像であり、それぞれの観察から、約35mm以上の長さにわたる気孔の存在が見受けられる。
図7は比較例1で作製した材料の断面のSEM観察像(倍率:40倍)であり、気孔の配向方向と平行な断面の複数の観察像を連結したものである。図7からも、冷却面から離れる上部(図面の上部)ほど気孔が拡大していることが分かり、また、冷却面の近傍(図面の下部)では、過冷却現象によると考えられる不均一相が形成されていることが分かる。
本発明で作製した多孔質セラミックス材料の模式図である。 本発明における製造方法の一例を示す。 凍結のために用い得る凍結装置の一例の模式図である。 凍結したスラリー(図4(A))と乾燥後の成型体(図4(B))の模式断面図である。 実施例1で作製した材料の断面のSEM観察像である。 実施例1で作製した材料の断面のSEM観察像である。 比較例1で作製した材料の断面のSEM観察像である。
符号の説明
11 多孔質セラミックス材料
12 気孔
21 スラリー
31 容器
41 冷媒
51 セラミックス原料の粒子
61 氷
62 気孔

Claims (2)

  1. 工程(A):水、リン酸カルシウム系セラミックス原料、レゾルシノール、ホルムアルデヒドおよび該レゾルシノールとホルムアルデヒドの重合触媒としてのアルカリ金属炭酸塩を含むスラリーであって、スラリーの総重量当たり、リン酸カルシウム系セラミック原料を5〜40重量%、レゾルシノールを5〜40重量%含有し、リン酸カルシウム系セラミックス原料が分散したスラリーを調製する工程、
    工程(B):スラリーを容器に充填した後、該容器をスラリーの凝固点以下の冷媒に一定方向に挿入して、スラリーを一方の端部側から一方向に凍結させる工程、
    工程(C):凍結させたスラリーを乾燥させて成形体を得る工程、および
    工程(D):乾燥させた成形体を1100〜1500℃で焼成する工程、
    を含む、多孔質セラミックス材料の製造方法。
  2. リン酸カルシウム系セラミックス原料が、水酸アパタイトおよび/またはリン酸三カルシウムである、請求項に記載の多孔質セラミックス材料の製造方法。
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