JP2007091567A - 多孔質炭素材料およびその製造方法 - Google Patents

多孔質炭素材料およびその製造方法 Download PDF

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智一 長尾
Kazuya Takemura
一也 竹村
Shigeo Nagao
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Abstract

【課題】Liイオン電池負極材やキャパシタ電極原料に有用である、孔径が40nmより大きく300nm以下の範囲に制御された細孔を持つ炭素材料とその製造法を提供する。
【解決手段】
本発明に係る多孔質炭素材料は、熱硬化性樹脂の前駆体水溶液と、前記熱硬化性樹脂よりも残炭率の低い樹脂の水系分散液とを含む混合液を乾燥、硬化させた後、非酸化雰囲気中で500℃以上に加熱することにより製造される。
ここで、前記残炭率の低い樹脂の水系分散液中における平均粒径が20〜1000nmとすることが好ましい。
また、前記熱硬化性樹脂としてははフェノール樹脂を用いることが好ましく、前記残炭率の低い樹脂としてはアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
さらに、前記残炭率の低い樹脂は20〜60質量%とすることが好ましい。
【選択図】無し

Description

本発明は、孔径が制御された液体含浸性に優れる多孔質炭素材料、特にLiイオン電池負極材やキャパシタ電極原料として有用な多孔質炭素材料およびその製造方法に関する。
電解液の含浸性に優れる多孔質炭素材料は、電解液と炭素材料との接触面積を大きくすることができることから、これをLiイオン電池負極材として使用した場合、充放電速度が速くなることが期待できる。また、この多孔質炭素材料をキャパシタ電極の原料として使用した場合、酸化性ガスやアルカリとの接触面積を大きくすることができることから、賦活化反応を効率的に進めることが可能となり有用である。
ここで、電解液と炭素材料との接触面積をより大きくするためには、孔径を小さくし、比表面積を大きくすることが望ましい。一方、孔径が数10nmよりも小さくなると、電解液の含浸性が劣化するという問題があるため、孔径がこれよりも小さくならないよう制御する必要がある。本発明者らの検討により、孔径を40nmより大きく300nm以下の範囲とすれば電解液の含浸性が優れ、かつ電解液と炭素材料との接触面積を確保できる比表面積とすることができることを見出した。
また、キャパシタ電極材料では、比表面積を大きくするために、原料を酸化性ガスやアルカリとともに800℃〜1000℃に加熱して賦活する方法がとられる。この賦活は、原料である炭素を酸化性ガスやアルカリで熱分解することにより、主に径10nm以下の細孔を形成するものであるが、必要な比表面積を得るために長い反応時間が必要であり、さらに長時間の反応により歩留まりが低下するという問題がある。そこで、より効率的に短時間で賦活化反応を進行させるためには、あらかじめ、300nm程度以下の細孔が空いている多孔質炭素材料を原料に用いることが望ましく、300nm以下の細孔を有する炭素材料がキャパシタ電極材料の原料として望まれている。
その他、多孔質炭素材料の製造方法としては以下のような方法が知られている。
(1)液状のフェノール樹脂、粉末状フェノール樹脂または粉末状フラン樹脂に、ポリビニールアルコールや澱粉といった気孔形成材を添加し、硬化後、炭化させる方法(例えば、特許文献1〜3参照)。
(2)球状のアクリル樹脂硬化物またはその炭化物を熱硬化性樹脂に混合し、非酸化雰囲気中で炭化する方法(例えば、特許文献4参照)。
(3)アモルファス炭素の出発原料に対して、少なくともアモルファス炭素の出発原料を十分に融解させうる有機溶剤(良溶媒)と炭素系粉末及び残炭率0〜5質量%の有機物質を均一に混合し、任意の形状に加圧成形後、焼成する方法(例えば、特許文献5参照)。
(4)フェノール樹脂等の残炭率が40重量%より多い高炭素生成炭素前駆体と、40重量%以下の低炭素生成炭素前駆体および/または触媒金属であり得る添加剤との混合物を硬化させ、前記炭素前駆体を炭化、活性化させる方法(例えば、特許文献6参照)。
(5)液状の熱硬化性樹脂および液状のアクリル樹脂に、これらの硬化剤を加えて混合後、該樹脂を加熱硬化して多孔の炭素前駆体を得、次いで非酸化性雰囲気で加熱炭化する方法(例えば、特許文献7参照)。
特開昭58−172209号公報 特開昭61−186209号公報 特開昭61−186211号公報 特開昭64−28286号公報 特開2003−165784号公報 特表2002−502792号公報 特開昭64−28287号公報
しかし、上記(1)の特許文献1〜3に記載の方法は、炭化させた後の炭素材料の平均孔径は、いずれも8μm以上である。
また、上記(2)の特許文献4に記載の方法は、この方法で得られるアクリル樹脂粒子は、溶液を貧溶媒中に滴下をして得られるものであるため、少なくともその粒径は1μmを超えるものであり、当然ながら細孔径も1μmを超えるものであることが容易に推定できる。
また、上記(3)の特許文献5に記載の方法は、その実施例で使用されているテクノポリマーMBX−30およびBM−50の平均粒子径はともに30μm、50μmであり、細孔径もそれに対応した大きなものであることは想像に難くない。一方、良溶媒に溶解させて混合した場合は、分子レベルで残炭率0〜5質量%の有機物質とアモルファス炭素の炭素源が混合するため、細孔径は40nmよりも小さくなってしまう。
また、上記(4)の特許文献6に記載の方法は、活性化、つまり賦活により中微細孔が形成されるが、その細孔径は、細孔容積で75%以上が2〜50nmの範囲内である。なおこの特許文献6では、残炭率の異なる炭素前駆体を混合し、炭化するだけで細孔が形成されるかについては明らかではないが、前記の細孔容積分布から考えて、たとえ細孔が形成されているとしてもその平均径が50nmを超えているとは考え難い。
また、上記(5)の特許文献7に記載の方法は、形成される細孔径についての記述は無いが、この方法では、熱硬化性樹脂とアクリル樹脂はどちらも溶液もしくは沸点以下の液状で混合することとなることから、アクリル粒子はかなり小さくなり、細孔径も10nmよりも小さいであろうと想定される。
上述のように、従来の多孔質炭素材料の製造方法では、孔径が40nmより大きく300nm以下の範囲に制御された細孔を持つ炭素材料を製造することは困難であった。
そこで、本発明は、Liイオン電池負極材やキャパシタ電極原料に有用である、孔径が40nmより大きく300nm以下の範囲に制御された細孔を持つ炭素材料とその製造法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有する。
[1]水銀圧入式ポロシメータを用いて測定した細孔径に対する増加細孔容積量が最大となる細孔径dmaxが、40nmより大きく300nm以下であることを特徴とする多孔質炭素材料。
[2]熱硬化性樹脂の前駆体水溶液と、前記熱硬化性樹脂よりも残炭率の低い樹脂の水系分散液とを含む混合液を乾燥、硬化させた後、非酸化雰囲気中で500℃以上に加熱することを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
[3]上記[2]において、残炭率の低い樹脂の水系分散液中における平均粒径が20〜1000nmであることを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
[4]上記[2]または[3]において、熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
[5]上記[2]〜[4]のいずれかにおいて、残炭率の低い樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
[6]上記[2]〜[5]のいずれかにおいて、乾燥および硬化後の熱硬化性樹脂の前駆体と残炭率の低い樹脂との合計に対して残炭率の低い樹脂が20〜60質量%であることを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
ここで、上記残炭率とは、JIS K2425(1983)の固定炭素法に準拠し、被測定物(樹脂)を800℃に加熱して、実質的に全量が炭素化されたときの残分を質量百分率で表したものである。
本発明によれば、40nmより大きく300nm以下の細孔径を持つ多孔質炭素材料を容易に製造することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
本発明に係る多孔質炭素材料の製造方法は、熱硬化性樹脂の前駆体水溶液と、前記熱硬化性樹脂よりも残炭率の低い樹脂の水系分散液とを含む混合液を乾燥、硬化させた後、非酸化雰囲気中で500℃以上に加熱することを特徴とするものである。
前記熱硬化性樹脂の前駆体としては、1種類または2種類以上の熱硬化性樹脂前駆体を混合したものを用いることができる。前記熱硬化性樹脂前駆体とは、加熱により、架橋反応が起こり樹脂となるものばかりではなく、硬化剤添加により架橋して、樹脂となるものも含む。
前記熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、フラン樹脂等が上げられるが、本発明では、残炭率の比較的高いフェノール樹脂が特に好適に用いられる。ここで、フェノール樹脂の前駆体としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ピロガロール、ビスフェノールA、p-tert-ブチルフェノール、p-オクチルフェノール、p-フェニルフェノール、2,5-キシレノール、3,5-キシレノールといった芳香環に水酸基が付加したフェノール系原料に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキサール、フルフラール、ヘキサメチレンテトラミンといったアルデヒド系原料を反応させたものを用いることができる。これらのうち、フェノールにホルムアルデヒドを反応させたフェノール樹脂の前駆体を用いることが好ましい。
前記フェノール系原料とアルデヒド系原料を反応させる際には、酸またはアルカリ触媒を添加することが好ましい。ここで、酸触媒を用いたものをノボラック型、アルカリ触媒を用いたものをレゾール型と称する。フェノールとホルムアルデヒドの組合わせの場合、ノボラック型のフェノール樹脂前駆体は、フェノールがメチレン結合で主に直鎖状に繋がった分子量2000程度以下の種々の縮合物であり、レゾール型の場合は、トリメチロールフェノールを中心としたメチロールフェノールおよびそれらのダイマー、トリマー等の混合物である。本発明の製造方法では、水溶液の形態であれば、これらレゾール型、ノボラック型いずれも使用することができるが、それらの中でも硬化剤を特に必要せず、加熱により硬化する自己硬化性のレゾール型が望ましい。なお、フェノールの一部を尿素で置換したフェノール−尿素樹脂も本発明では、フェノール樹脂と総称する。
本発明では、上記熱硬化性樹脂の前駆体の水溶液が使用可能である。本発明では、前記水溶液を使用することにより、加熱混練等することなく原料として用いられる樹脂の前駆体及び樹脂等を容易に混合し、残炭率の低い樹脂の粒子が分散した樹脂成形物を得ることができる。なお、混合するすべての水溶液や水系分散液の安定性に問題が無い限り、これら水溶液や水系分散液の一部に、熱硬化性樹脂前駆体の溶解度を高める目的等でアルコール等の水溶性有機溶媒を添加してもよい。
また、前記水溶液や水系分散液には、その分散粒子内に非水溶性の有機溶媒が含まれていてもかまわない。
前記熱硬化性樹脂よりも残炭率の低い樹脂としては、水系分散液を形成するものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂前駆体、硬化済の熱硬化性樹脂、若しくはこれらの2種以上の混合物のいずれをも用いることができる。ここで、残炭率に関しては上述した方法により求められるが、前記残炭率の比較的高いフェノール樹脂で、残炭率は50%前後、アクリル樹脂等の残炭率の低い樹脂では、ほとんど残炭率は0%である。なお、生産効率の面から、熱硬化性樹脂の残炭率はより高い方が好ましく、水系分散液の残炭率の低い樹脂は、その残炭率が低いほど空隙率が高くなり、比表面積が大きくなる。
前記残炭率の低い樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニール、各種ポリエステル、自己架橋型アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、若しくはこれらの2種以上の混合物等を用いることができるが、これらの中でも比較的低コストなアクリル樹脂やアクリル−スチレン共重合体といったアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
前記残炭率の低い樹脂の水系分散液とは、前記樹脂が水中に微小な粒子状になって分散している液をいい、一般に水系樹脂エマルジョンとも呼ばれる。本発明においては、前記水系分散液中の平均粒径は、樹脂の種類によって異なるが、20〜1000nmの範囲とすることが好ましく、20〜500nmの範囲とすることがより好ましい。更に好ましくは、20〜200nmである。ここで、前記平均粒径は、動的光散乱法による粒度分布測定装置で測定することができる。
本発明においては、炭素材料の細孔径は、熱硬化性樹脂の前駆体と残炭率の低い樹脂の配合割合にもよるが、前記残炭率の低い樹脂の水系分散液中における樹脂の粒子径と同程度の大きさになる。そのため、使用する前記水系分散液中における樹脂の粒子径を設定することにより、炭素材料の細孔径を制御することできる。本発明者らの検討では、前記残炭率の低い樹脂が乾燥および硬化後の熱硬化性樹脂の前駆体と残炭率の低い樹脂との合計に対して60質量%を超えなければ、炭素材料における大部分の細孔径は、前記水系分散液中における樹脂の粒子径の1/2〜2倍程度となることが確かめられている。
ここで、前記炭素材料における細孔径が、前記水系分散液中における樹脂の粒子径よりも小さくなる場合の理由については明らかではではないが、熱硬化時の粒子の変形や水中(粒子径測定時)と、熱硬化性樹脂の前駆体水溶液との混合時における粒子径の違いなどが原因として考えられる。
前記熱硬化性樹脂の前駆体の水溶液と、前記熱硬化性樹脂よりも残炭率の低い樹脂の水系分散液との混合は、攪拌等によって両者が均一に混合されれば充分である。ただし、前記水溶液の溶質が析出したり、前記分散液が不安定になって凝集したりするような樹脂の組合せ、または、混合方法は好ましくない。
また、本発明においては、前記熱硬化性樹脂の前駆体水溶液に混合する前記残炭率の低い樹脂は、あくまでも水系分散液の状態で混合する必要がある。前記樹脂の水系分散液を乾燥した樹脂粉末も工業的には入手可能であるが、乾燥状態では、それらは樹脂粒子が凝集して2次粒子を形成する。水系分散液のように、元々の粒子径が1000nmよりも小さい場合、この凝集した2次粒子をばらばらにして再分散させることはほぼ不可能であり、目的とする範囲の径の細孔を形成することはできない。溶液としてでもなく、乾燥した粒子状態としてでもない樹脂の水系分散液を使うことにより、初めて本発明が目的とする40nmより大きく300nm以下という範囲内の細孔径を持つ炭素材料を得ることが可能となる。
本発明において細孔径は、水銀圧入式ポロシメータを用いて測定した細孔径に対する増加細孔容積量が最大となる細孔径dmaxとする。dmaxを40nmより大きく300nm以下とすることにより、この細孔径を有する炭素材料をLiイオン電池負極材として使用した場合に、電解液の含浸性が優れ、かつ電解液と炭素材料との接触面積を確保することができ、充放電速度が速い電池が得られる。また、この炭素材料をキャパシタ電極の原料として使用した場合、短時間で賦活化でき、効率的にキャパシタ電極材料を得ることが可能となる。
混合に続いて、前記熱硬化性樹脂の前駆体の水溶液と、前記熱硬化性樹脂よりも残炭率の低い樹脂の水系分散液との混合液から水分を取り除くために加熱して乾燥させると共に熱硬化させる。この乾燥、硬化の工程は、前記熱硬化性樹脂中に、前記残炭率の低い樹脂粒子が分散した成形物を製造するのが目的である。したがって、前記のような成形物を得られるような条件が必要となる。すなわち、成形に硬化剤が必要な樹脂においては、適した硬化剤を添加する必要がある。また、熱により自己架橋する樹脂においては、適した硬化温度とする必要がある。しかし、上記のような成形物が得られるのであれば、特に細かい手順や条件は問わない。
ここで、前記熱硬化性樹脂と残炭率の低い樹脂との比率は、細孔の容積、細孔径の分布に関係する。本発明者らの検討では、前記残炭率の低い樹脂の比率が乾燥、熱硬化後の樹脂成形物(熱硬化性樹脂の前駆体と残炭率の低い樹脂との合計)の60質量%以下であれば、細孔径分布が比較的狭い孔を形成することができることが確かめられている。前記残炭率の低い樹脂の比率が60質量%を超えると残炭率の低い樹脂粒子どうしが接触するため、細孔径の分布が広くなる。
また、当然ながら前記残炭率の低い樹脂の比率が60質量%以下の範囲では、前記残炭率の低い樹脂の比率が少なくなるにつれ、細孔の容積が減少する。細孔の容積をある程度以上確保し、例えばLiイオン電池負極材やキャパシタ電極原料として有用に用いるためには、前記残炭率の低い樹脂の比率は20質量%以上とすることが好ましい。
さらに、得られた前記樹脂成形物を非酸化雰囲気中で500℃以上に加熱して炭素化を行う。前記非酸化雰囲気中とは、雰囲気ガスとの酸化燃焼が起こらない雰囲気中でということであり、雰囲気ガスの例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を上げることができる。また、雰囲気ガスとの酸化燃焼が起こらない程度に減圧した雰囲気中で炭素化を行っても良い。ここで、前記炭素化を行う温度の上限としては、黒鉛の融点(約3500℃)以下とすることが好ましい。
この加熱、炭素化の工程で、熱硬化性樹脂が炭素化するとともに、その中に分散した残炭率の低い樹脂の存在した空間の大部分が細孔となる。ここで、前記炭素化にあたっては、前記樹脂成形物の形状は特に限定されず、用途やハンドリングに都合の良い形状で、必要に応じて所定の粒度に粉砕して行っても構わない。そのため、前記炭素化は、樹脂の熱硬化工程から温度を下げずに連続的に行うようにしても良い。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明に係る実施例1〜7、従来技術に係る比較例1について、下記条件により多孔質炭素材料を製造し、50μmHg(約7×10−6MPa)の減圧下で吸着ガス及び水分を取り除いた後、水銀ポロシメータ(島津製作所製、Autopore II 9220)で、圧力を約0.5〜30000psia(0.0034〜206.7MPa)の範囲で段階的に上げていき、細孔径とそれに対応する増加細孔容積の関係を得た。得られた細孔径−細孔容積曲線のうち、粒子間空隙の影響が出ない細孔径1000nm以下から10nm以上の範囲で、細孔容積の積算値V10−1000、細孔容積の極大点(ピーク)に対応する細孔径、つまり増加細孔容積量が最大となる細孔径dmax、細孔径dmax/2〜2dmaxの範囲の細孔容積の積算値V1/2−2、細孔径分布の目安として(V1/2−2/V10−1000)を求めた。
実施例1〜7、比較例1について測定したdmax、V10−1000、V1/2−2、V1/2−2 /V10−1000の結果を下表1に示す。
[実施例1]
熱硬化性樹脂の前駆体水溶液として、レゾール型フェノール樹脂前駆体水溶液(群栄化学工業社製、レジトップPL-5601、固形分50質量%)50質量部と、残炭率の低い樹脂としてアクリル−スチレン共重合体の水系分散液(ニチゴー・モビニール社製、モビニール972、固形分50質量%、粒子径70nm)50質量部を混合し、180℃で30分間、乾燥、熱硬化した。得られた樹脂成形品を粒径350μm以下に粉砕して、カーボン製の坩堝に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃、6時間加熱して炭化した。
[実施例2]
熱硬化性樹脂の前駆体水溶液として、レゾール型フェノール樹脂前駆体水溶液(群栄化学工業社製、レジトップPL-5601、固形分50質量%)75質量部と、残炭率の低い樹脂としてアクリル−スチレン共重合体の水系分散液(ニチゴー・モビニール社製、モビニール972、固形分50質量%、粒子径70nm)25質量部を混合し、180℃で30分間、乾燥、熱硬化した。得られた樹脂成形品を粒径350μm以下に粉砕して、カーボン製の坩堝に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃、6時間加熱して炭化した。
[実施例3]
熱硬化性樹脂の前駆体水溶液として、レゾール型フェノール樹脂前駆体水溶液(群栄化学工業社製、レジトップPL-5601、固形分50質量%)25質量部と、残炭率の低い樹脂としてアクリル−スチレン共重合体の水系分散液(ニチゴー・モビニール社製、モビニール972、固形分50質量%、粒子径70nm)75質量部を混合し、180℃で30分間、乾燥、熱硬化した。得られた樹脂成形品を粒径350μm以下に粉砕して、カーボン製の坩堝に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃、6時間加熱して炭化した。
[実施例4]
熱硬化性樹脂の前駆体水溶液として、レゾール型フェノール樹脂前駆体水溶液(群栄化学工業社製、レジトップPL-5601、固形分50質量%)85質量部と、残炭率の低い樹脂としてアクリル−スチレン共重合体の水系分散液(ニチゴー・モビニール社製、モビニール972、固形分50質量%、粒子径70nm)15質量部を混合し、180℃で30分間、乾燥、熱硬化した。得られた樹脂成形品を粒径350μm以下に粉砕して、カーボン製の坩堝に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃、6時間加熱して炭化した。
[実施例5]
熱硬化性樹脂の前駆体水溶液として、レゾール型フェノール樹脂前駆体水溶液(群栄化学工業社製、レジトップPL-5601、固形分50質量%)150質量部と、残炭率の低い樹脂としてアクリルの水系分散液(ニチゴー・モビニール社製、モビニール6520、固形分50質量%、粒子径70nm)50質量部を混合し、180℃で30分間、乾燥、熱硬化した。得られた樹脂成形品を粒径350μm以下に粉砕して、カーボン製の坩堝に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃、6時間加熱して炭化した。
[実施例6]
熱硬化性樹脂の前駆体水溶液として、レゾール型フェノール樹脂前駆体水溶液(群栄化学工業社製、レジトップPL-5601、固形分50質量%)50質量部と、残炭率の低い樹脂としてエチレン−酢酸ビニール共重合体の水系分散液(大日本インキ化学社製、エバディックEV-15、固形分55質量%、粒子径200nm)45質量部を混合し、180℃で30分間、乾燥、熱硬化した。得られた樹脂成形品を粒径350μm以下に粉砕して、カーボン製の坩堝に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃、6時間加熱して炭化した。
[比較例1]
熱硬化性樹脂の前駆体水溶液として、レゾール型フェノール樹脂前駆体水溶液(群栄化学工業社製、レジトップPL-5601、固形分50質量%)100質量部を180℃で30分間、乾燥、熱硬化した。得られた樹脂成形品を粒径350μm以下に粉砕して、カーボン製の坩堝に入れ、アルゴン雰囲気中で800℃、6時間加熱して炭化した。
Figure 2007091567
比較例1では、細孔径−細孔容積曲線においてピークは観察されずdmax、V1/2−2、V1/2−2 /V10−1000 の測定はできない状態であった。また、細孔容積の積算値V10−1000も僅か0.004ml/gであり、細孔径10〜1000nmの範囲の細孔はほとんど形成されていなかった。
それに対し、実施例1〜7では、いずれも細孔径10〜1000nmの範囲の細孔が観察され、dmaxは全て40nm超、300nm以下の範囲内であった。また、実施例3を除く残炭率の低い樹脂の添加量が60質量%以下である他の実施例においては、V1/2−2/V10−1000 の値が0.9以上であり、細孔径分布が狭い範囲にコントロールされていることがわかる。

Claims (6)

  1. 水銀圧入式ポロシメータを用いて測定した細孔径に対する増加細孔容積量が最大となる細孔径dmaxが、40nmより大きく300nm以下であることを特徴とする多孔質炭素材料。
  2. 熱硬化性樹脂の前駆体水溶液と、前記熱硬化性樹脂よりも残炭率の低い樹脂の水系分散液とを含む混合液を乾燥、硬化させた後、非酸化雰囲気中で500℃以上に加熱することを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
  3. 前記残炭率の低い樹脂の水系分散液中における平均粒径が20〜1000nmであることを特徴とする請求項2に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  5. 前記残炭率の低い樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  6. 乾燥および硬化後の前記熱硬化性樹脂の前駆体と前記残炭率の低い樹脂との合計に対して前記残炭率の低い樹脂が20〜60質量%であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
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