JP6309386B2 - 炭素触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素触媒及びその製造方法に関する。
メソ孔を有する触媒は、燃料電池用電極触媒や自動車用排気ガス浄化触媒、更には、石油精製や有機合成の不均一系化学反応における触媒としても使用可能であり、各方面で研究がされている。
例えば、特許文献1には、燃料電池用触媒担持体として使用可能な、メソ細孔の分布が均一な多孔性炭素材料の製造方法を提供することを目的として、(S1)セラミックナノ粒子の表面に炭素被膜を形成する段階;(S2)前記(S1)段階での炭素被膜が形成されたセラミックナノ粒子と炭素前駆体を混合する段階;(S3)前記(S2)段階で製造された、炭素被膜が形成されたセラミックナノ粒子と炭素前駆体の混合物を熱処理して炭化させる段階;及び(S4)前記(S3)段階で製造された物質から前記セラミックナノ粒子を除去する段階を含む、メソ細孔が形成された多孔性炭素材料の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、大きな比表面積を有し、マクロ孔、メソ細孔と微小孔の存在比率が均一である多孔質炭素材料を提供することを目的として、界面活性剤と炭素原材料を溶剤中に溶解して、有機テンプレート前駆体溶液を形成するステップと、ケイ酸塩水溶液を準備するステップと、前記有機テンプレート前駆体溶液を、前記ケイ酸塩水溶液に注入して、前記界面活性剤、前記炭素原材料と酸化ケイ素テンプレートを含む中間体を凝結するステップと、前記中間体を加熱して、前記中間体を炭化するステップと、前記酸化ケイ素テンプレートを除去して、多孔質炭素材料を形成するステップと、を含む多孔質炭素材料の製造方法が開示されている。
特開2014−502248号公報 特開2012−193100号公報
これら炭素材料は、各種用途に用いるために、所定の平均粒径となるよう粉砕処理等をする必要がある。しかしながら、特許文献1及び2に記載の炭素材料は、粉砕処理等により孔がつぶれやすく、メソ孔の細孔容積が低下するという問題がある。メソ孔の細孔容積が低下すると、触媒としての性能が低下する。
また、特許文献1のように無機テンプレートを用いた場合には、製造時間、製造コストが増大するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高い触媒性能を有する炭素触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の平均粒子径、及び、所定の細孔容積を有する炭素触媒であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
炭素原子、窒素原子、及び遷移金属を含有し、
前記遷移金属の含有量が、前記炭素触媒100質量%に対して、3.4質量%〜20質量%であり、
BJH法で求めた孔径が2.0nm以上50nm以下であるメソ孔を有し、
前記メソ孔の細孔容積が、0.90cm3/g以上であり、
BET比表面積が、1,000〜2,500m2/gであり、
平均粒子径が、0.010〜0.50μmである、
炭素触媒。
〔2〕
前記窒素原子と前記炭素原子のモル比(N/C)が、0.0010〜0.10である、前項〔1〕に記載の炭素触媒。
〔3〕
前記遷移金属が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及びマンガンらなる群より選択される少なくとも1つを含
前項〔1〕又は〔2〕に記載の炭素触媒。
〔4〕
酸素還元反応用である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の炭素触媒。
〔5〕
自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程1と、
前記自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、メソ孔を有する多孔体を得る工程2と、
前記メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程3と、
粉砕された前記多孔体に、遷移金属を含浸させる工程4と、
を有する、炭素触媒の製造方法。
〔6〕
前記工程4の後に、遷移金属を含浸させた前記多孔体を不活性ガス及び/又は賦活性ガス雰囲気中で、400〜1,500℃に加熱する工程5をさらに有する、前項〔5〕に記載の炭素触媒の製造方法。
〔7〕
前記工程5の後、前記多孔体を、酸洗浄処理、塩基洗浄処理、及び/又は賦活化処理する工程6をさらに有する、前項〔6〕に記載の炭素触媒の製造方法。
〔8〕
前記有機テンプレートが、ブロック共重合体を含む、前項〔5〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
〔9〕
前記ブロック共重合体が、ポリ(メタ)アクリル酸ブロック、ポリ(メタ)アクリレートブロック、ポリビニルブロック、ポリアルキレンブロック、ポリアルキレンオキシドブロック、ポリシロキサンブロック、ポリスチレンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリアミドブロック、ポリアセタールブロック、ポリエーテルブロック、及びポリオールブロックからなる群より選択される少なくとも2つのブロックを有する、前項〔8〕に記載の炭素触媒の製造方法。
〔10〕
前記有機テンプレートが、重合度1〜129のポリエチレンオキシドブロックと、重合度37〜70のポリプロピレンオキシドブロックと、を含む、前項〔5〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
〔11〕
前記工程1において、前記有機化合物と架橋する架橋剤を用い、
前記有機化合物が、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物との反応物を含み、
前記架橋剤が、レゾール型フェノール類及び/又はレゾール型ナフトール類を含む、前項〔5〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
〔12〕
遷移金属化合物及び自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程1'と、
前記自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、メソ孔を有する多孔体を得る工程2'と、
前記メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程3'と、
を有する、炭素触媒の製造方法。
〔13〕
前記工程3'の後に、粉砕した前記多孔体を不活性ガス及び/又は賦活性ガス雰囲気中で、400〜1,500℃に加熱する工程4'をさらに有する、前項〔12〕に記載の炭素触媒の製造方法。
〔14〕
前記工程4'の後、前記多孔体を、酸洗浄処理、塩基洗浄処理、及び/又は賦活化処理する工程5'をさらに有する、前項〔13〕に記載の炭素触媒の製造方法。
〔15〕
前記有機テンプレートが、ブロック共重合体を含む、前項〔12〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
〔16〕
前記ブロック共重合体が、ポリ(メタ)アクリル酸ブロック、ポリ(メタ)アクリレートブロック、ポリビニルブロック、ポリアルキレンブロック、ポリアルキレンオキシドブロック、ポリシロキサンブロック、ポリスチレンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリアミドブロック、ポリアセタールブロック、ポリエーテルブロック、及びポリオールブロックからなる群より選択される少なくとも2つのブロックを有する、前項〔15〕に記載の炭素触媒の製造方法。
〔17〕
前記有機テンプレートが、重合度1〜129のポリエチレンオキシドブロックと、重合度37〜70のポリプロピレンオキシドブロックと、を含む、前項〔12〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
〔18〕
前記工程1'において、前記有機化合物と架橋する架橋剤を用い、
前記有機化合物が、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物との反応物を含み、
前記架橋剤が、レゾール型フェノール類及び/又はレゾール型ナフトール類を含む、前項〔12〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
本発明によれば、高い触媒性能を有する炭素触媒及びその製造方法を提供することができる。
実施例1で作製した炭素触媒のSEM写真である。 比較例1で作製した炭素触媒のSEM写真である。 比較例2で作製した炭素触媒のSEM写真である。 実施例1、比較例1及び比較例2で作製した炭素触媒の脱吸着等温線及びメソ孔分布の測定結果を表すグラフである。 実施例1、比較例1及び比較例2で作製した炭素触媒のORR測定結果を表すグラフである。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔炭素触媒〕
本実施形態の炭素触媒は、炭素原子、窒素原子、及び遷移金属を含有し、BJH法で求めた孔径が2.0nm以上50nm以下であるメソ孔を有し、前記メソ孔の細孔容積が、0.90cm3/g以上であり、BET比表面積が、1,000〜2,500m2/gであり、平均粒子径が、0.010〜0.50μmである。
本実施形態の炭素触媒は、窒素原子、及び遷移金属を含有し、平均粒子径が小さく、かつ、高い細孔容積、BET比表面積等を有することにより、高い触媒性能を有する。
〔組成〕
炭素触媒は、炭素原子、窒素原子、及び遷移金属を含有する。遷移金属としては、特に限定されないが、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、スズ、マンガン、及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1つを含むことがより好ましく、鉄及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1つを含むことがさらに好ましい。このような遷移金属を用いることにより、触媒性能がより向上する傾向にある。なお、遷移金属は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
窒素原子と炭素原子のモル比(N/C)は、好ましくは0.0010〜0.10であり、より好ましくは0.0020〜0.09であり、さらに好ましくは0.0050〜0.08である。モル比(N/C)が上記範囲内であることにより、触媒活性がより向上する傾向にある。なお、モル比(N/C)は、窒素原子を含有する有機化合物に含まれる窒素原子と炭素原子との比率、下記工程2の炭素化工程における加熱温度、加熱時間、並びに下記工程5の賦活処理工程における賦活性ガス濃度、処理時間等により、調整することができる。また、モル比(N/C)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、遷移金属の含有量は、炭素触媒100質量%に対して、好ましくは0.10〜20質量%であり、より好ましくは0.30〜15質量%であり、さらに好ましくは0.50〜10質量%である。遷移金属の含有量が0.10質量%以上であることにより、触媒性能がより向上する傾向にある。また、遷移金属の含有量が20質量%以下であることにより、遷移金属が窒素原子の脱離を促進することを抑制でき、結果として触媒性能がより向上する傾向にある。なお、遷移金属の含有量は、主に下記工程4の遷移金属の含浸処理工程における含浸液中の遷移金属の濃度、下記工程6の酸洗浄処理工程における処理時間等により調整することができる。また、遷移金属の含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔メソ孔の細孔容積〕
炭素触媒は、BJH(Barrett, Joyner, Hallender)法で求めた孔径が2.0nm以上50nm以下であるメソ孔を有する。メソ孔の孔径は、2.0nm以上50nm以下であり、好ましくは2.0nm以上25nm以下であり、より好ましくは2.0nm以上10nm以下である。炭素触媒のメソ孔(直径)の大きさは、メソ孔分布のピーク径(Dpeak)で表示することができる。このような孔径のメソ孔を有することにより、比表面積の大きなメソ孔を得ることができる。
メソ孔の細孔容積は、好ましくは0.90cm3/g以上であり、より好ましくは0.95cm3/g以上であり、さらに好ましくは1.0cm3/g以上である。メソ孔の細孔容積が0.90cm3/g以上であることにより、触媒性能がより向上する。また、メソ孔の細孔容積の上限は、特に限定されないが、好ましくは4.0cm3/g以下であり、より好ましくは3.0cm3/g以下である。なお、メソ孔の細孔容積は、下記工程1で使用する有機テンプレートの組成、及び配合量により調整することができる。また、メソ孔の細孔容積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
炭素触媒の有する全ての孔の細孔容積は、好ましくは1.1〜4.5cm3/gであり、より好ましくは1.15〜3.5cm3/g以下であり、さらに好ましくは1.2〜2.5cm3/gである。炭素触媒の有する全ての孔の細孔容積が上記範囲内であることにより、触媒性能がより向上する傾向にある。「全ての孔」とは、孔径が2nm以上200nm以下の孔をいう。
〔BET比表面積〕
BET比表面積は、1,000〜2,500m2/gであり、好ましくは1,100〜2,000m2/gであり、より好ましくは1,200〜1,600m2/gである。BET比表面積が上記範囲内であることにより、触媒性能がより向上する。また、BET比表面積が1,000m2/g未満であれば、触媒活性が低く、2,500m2/gを越すと、連動するメソ孔の比表面積を増大させることができないため好ましくない。なお、BET比表面積は、下記工程2における炭素化時の、加熱温度、加熱時間、及び工程3における粉砕条件、並びに工程5及び工程6における賦活処理の処理条件によって調整することができる。また、BET比表面積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔平均粒子径〕
平均粒子径は、0.010〜0.50μmであり、好ましくは0.015〜0.40μmであり、より好ましくは0.020〜0.30μmである。平均粒子径が0.010μm以上であることにより、取扱い性がより向上する。また、平均粒子径が0.50μm以下であることにより、比表面積が増大し、その結果、触媒としての活性点が向上し、燃料電池等に好適に用いることができる。特に、燃料電池等においては、炭素触媒を含む触媒層を形成するが、この触媒層の厚さを薄くする観点から、炭素触媒の粒径は小さいことが好ましい。平均粒子径が0.010μm未満であれば、粒子は、気相中では飛散、液相中では凝集等の問題があるため、取扱い性が悪く、0.50μm超では、比表面積が小さく、その結果、触媒活性が低いものしか得られない問題点がある。
なお、平均粒子径は、下記工程3における粉砕条件により調整することができる。粉砕条件は、乾式ボールミル及び湿式ボールミル等のボール径、ボール密度、及び粉砕処理時間を増減させることにより、調整することができる。
平均粒子径は、触媒粒子を走査型電子顕微鏡で2万倍の写真撮影を行い、写真の中で、他の粒子に隠れていない最表層の粒子30個について、旭化成エンジニアリング社製画像解析ソフト、A像くん(A−zoh−kun、登録商標)を使用して、各粒子の水平フェレ径を求め、水平フェレ径の平均値を平均粒子径とした。
本実施形態の炭素触媒は、酸素還元反応用として好適に使用することができ、より具体的には、燃料電池用電極触媒、空気電池用電極触媒、及び炭化水素の部分酸化用触媒として使用することができる。このような用途で使用することにより、より性能の高い製品を得ることができる。
〔第1の実施形態の炭素触媒の製造方法〕
第1の実施形態の炭素触媒の製造方法は、自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程1と、前記自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、メソ孔を有する多孔体を得る工程2と、前記メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程3と、粉砕された前記多孔体に、遷移金属を含浸させる工程4と、を有する。
〔工程1〕
工程1は、自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程である。なお、「有機テンプレート」とは、界面活性剤やブロック共重合体等の両親媒性化合物を指す。「有機テンプレート法」とは、有機テンプレートのミクロ相分離による自己組織化構造を、型として利用して、窒素原子を含有する有機化合物に、自己組織化構造を付与するものである。また、これに対し「無機テンプレート」とは、メソポーラスシリカやゼオライト等の多孔質材料を指す。「無機テンプレート法」とは、無機テンプレートに炭素源となる有機化合物を含浸させ、該有機化合物を炭素化した後、無機テンプレートをフッ化水素等の強酸で除去するものである。そのため、無機テンプレート法では、合成が多段階となり、製造時間、製造コストが増大する。
(有機テンプレート)
「自己組織化可能」とは、1分子中に親水性ブロックと親油性ブロックを有するブロック共重合体等の両親媒性高分子が、そのブロック間の相互作用により、自律的に秩序を持つ構造を作り出す現象をいう。より具体的には、ブロック共重合体が溶液中において、キュービック構造、ヘキサゴナル構造、ジャイロイド構造、ラメラ構造を形成しうるものをいう。
このような有機テンプレートとしては、特に限定されないが、例えば、ブロック共重合体が挙げられる。より具体的には、ミクロ相分離構造を形成するジブロック共重合体、及びトリブロック共重合体が挙げられる。このような有機テンプレート、窒素原子を含有する有機化合物、及び架橋剤を共存させ、有機テンプレートが自己組織化した後、有機化合物を架橋、硬化させることにより、有機テンプレートにより形成されたミクロ相分離構造を有する自己組織化硬化物を得ることができる。その後、自己組織化硬化物から、有機テンプレートを除去することにより、ナノオーダーレベルのメソ孔を形成することができる。
使用する有機テンプレートの親水性ブロック及び親油性ブロックの夫々の重合度、有機テンプレートの使用量を調整することより、メソ孔の形態、密度を調整することができ、細孔容積の大きなメソ孔を有する多孔体を得ることができる。メソ孔の細孔容積が向上することに伴い、触媒性能がより向上する傾向にある。なお、有機テンプレートは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記ブロック共重合体の態様としては、特に限定されないが、例えば、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、テトラブロック共重合体、ヘキサブロック共重合体、スターブロック共重合体、グラフトブロック共重合体が挙げられる。このなかでも、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体を用いることにより、メソ孔の細孔容積が向上し、ひいては触媒性能がより向上する傾向にある。
上記ブロック共重合体は、親水性ブロック(A)、及び親油性ブロック(B)を有する、A−B型のジブロック共重合体、A−B−A型のトリブロック共重合体、及びB−A−B型のリバース型トリブロック共重合体が挙げられる。
ブロック共重合体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸ブロック;ポリメチル(メタ)アクリレートブロック、ポリ−t−ブチル(メタ)アクリレートブロック、ポリ(シアノビフェニルオキシ)ヘキシル(メタ)アクリレートブロックのようなポリ(メタ)アクリレートブロック;ポリビニルアセテートブロック、ポリビニルアルコールブロック、ポリ−2−ビニルピリジンブロック、ポリ−4−ビニルピリジンブロック、ポリアクリロニトリルブロックのようなポリビニルブロック;ポリイソブチレンブロック、ポリイソブテンブロック、ポリイソプレンブロック、ポリエチレンブチレンブロック、ポリエチレンブテンブロック、ポリエチレンブロック、ポリエチレンプロピレンブロック、ポリブタジエンブロックのようなポリアルキレンブロック;ポリエチレンオキシドブロック、ポリブチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドブロックのようなポリアルキレンオキシドブロック;ポリジメチルシロキサンブロックのようなポリシロキサンブロック;ポリスチレンブロック、ポリヒドロキシスチレンブロックのようなポリスチレンブロック;ポリキシリレンブロックのようなポリフェニレンブロック;ポリアクリルアミドブロックのようなポリアミドブロック;ポリアセタールブロック;ポリエーテルブロック;及び、ポリオールブロックからなる群より選択される少なくとも2つのブロックを有する共重合体が挙げられる。上記の中で、比較的親水性を示すものを親水性ブロック(A)とし、比較的親油性を示すものを親油性ブロック(B)とする。
具体的には、A−B型のジブロック共重合体(−ブロック−は−b−と略記した。)としては、ポリエチレン−b−ポリメチルメタクリレートブロック共重合体、ポリエチレン−b−ポリ−2−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリエチレン−b−ポリ−4−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−b−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−b−ポリイソプレンブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−b−ポリブタジエンブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−b−ポリメチルメタクリレートブロック共重合体、ポリプロピレンオキシド−b−ポリブタジエンブロック共重合体、ポリイソプレン−b−ポリ−2−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリイソプレン−b−ポリメチルメタクリレ−トブロック共重合体、ポリイソプレン−b−ポリスチレンブロック共重合体ポリブタジエン−b−ポリ−4−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリブタジエン−b−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリブタジエン−b−メチルメタクリレートブロック共重合体、ポリブタジエン−b−ポリ−t−ブチルメタクリレートブロック共重合体、ポリブタジエン−b−ポリ−t−ブチルアクリレートブロック共重合体、ポリブタジエン−b−ポリエチレンオキシドブロック共重合体、ポリメチルアクリレート−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリ−t−ブチルメタクリレート−b−ポリエチレンオキシドブロック共重合体、ポリ−t−ブチルメタクリレート−b−ポリ−2−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリ−t−ブチルメタクリレート−b−ポリ−4−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリ−t−ブチルメタクリレート−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリアクリル酸ブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリメタクリル酸ブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリメチルメタクリレート共重合体、ポリスチレン−b−ポリイソプレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリイソブテンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリイソブチレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシドブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレートブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリ−2−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリ−4−ビニルピリジンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリアクリル酸ノルマルブチルブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミドブロック共重合体、ポリジメチルシロキサン−b−ポリイソブテンブロック共重合体等を例示することができる。
また、A−B−A型のトリブロック共重合体としては、ポリスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリイソブチレン−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリエチレンプロピレン−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリエチレンブテン−b−ポリスチレンブロック共重合体ポリエチレンオキシド−b−ポリプロピレンオキシド−b−ポリエチレンオキシドブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−b−ポリブチレンオキシド−b−ポリエチレンオキシドブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレンブロック共重合体ポリスチレン−b−ポリイソブチレン−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−b−ポリエチレンブチレン−b−ポリスチレンブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−b−ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシドブロック共重合体、スチレン−b−エチレンブチレン−b−スチレンブロック共重合体等を例示することができる。
このなかでも、ポリエチレンオキシド(PEO)ブロック−ポリプロピレンオキシド(PPO)ブロック−ポリエチレンオキシド(PEO)ブロックを含むトリブロック共重合体であるプルロニック(登録商標)は、取扱いが容易で、溶媒に対する選択性が広いため好ましく使用される。ポリエチレンオキシドブロックとポリプロピレンオキシドブロックとを含むトリブロック共重合体が好ましく、重合度1〜129のポリエチレンオキシドブロックと、重合度37〜70のポリプロピレンオキシドブロックと、を含むブロック共重合体がより好ましい。なお、ブロック共重合体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
プルロニックは、PEOの重合度、PPOの重合度により各種のものがあり、重合度1〜129のポリエチレンオキシドブロックと、重合度37〜70のポリプロピレンオキシドブロックの中から選択して、共重合されたトリブロック共重合体を使用することができる。
具体的には、A−B−A型トリブロック共重合体としては、プルロニックF38(PEO43−PPO16−PEO43)、プルロニックF68(PEO80−PPO30−PEO80)、プルロニックF77(PEO52−PPO34−PEO52)、プルロニックF85(PEO26−PPO39−PEO26)、プルロニックF87(PEO64−PPO37−PEO64)、プルロニックF88(PEO100−PPO39−PEO100)、プルロニックF98(PEO118−PPO45−PEO118)、プルロニックF108(PEO129−PPO56−PEO129)、プルロニックF127(PEO106−PPO70−PEO106)、プルロニックL92(PEO8−PPO50−PEO8)、プルロニックL101(PEO4−PPO59−PEO4)、プルロニックL121(PEO5−PPO70−PEO5)、プルロニックL31(PEO1−PPO17−PEO1)、プルロニックL35(PEO8−PPO50−PEO8)、プルロニックL43(PEO6−PPO22−PEO6)、プルロニックL44(PEO12−PPO20−PEO12)、プルロニックL61(PEO2−PPO31−PEO2)、プルロニックL62(PEO6−PPO34−PEO6)、プルロニックL63(PEO9−PPO32−PEO9)、プルロニックL64(PEO13−PPO30−PEO13)、プルロニックL81(PEO3−PPO42−PEO3)、プルロニックP84(PEO19−PPO43−PEO19)、プルロニックP103(PEO17−PPO56−PEO17)、プルロニックP104(PEO27−PPO61−PEO27)、プルロニックP105(PEO37−PPO56−PEO37)、プルロニックP123(PEO20−PPO70−PEO20)等を例示することができる。
また、B−A−B型のリバース型トリブロック共重合体としては、プルロニック10R5(PPO8−PEO22−PPO8)、プルロニック17R2(PPO14−PEO10−PPO14)、プルロニック17R4(PPO14−PEO24−PPO14)、プルロニック17R8(PPO14−PEO154−PPO14)、プルロニック25R1(PPO21−PEO6−PPO21)、プルロニック25R2(PPO21−PEO14−PPO21)、プルロニック25R4(PPO19−PEO33−PPO19)、プルロニック25R5(PPO21−PEO56−PPO21)、プルロニック31R1(PPO26−PEO5−PPO26)、プルロニック31R2(PPO26−PEO19−PPO26)、プルロニック31R4(PPO26−PEO28−PPO26)等を例示することができる。
上記メソ孔を効率的に得るためには、PEOのブロック長、及びPPOのブロック長の比較的長いプルロニックF127(PEO106−PPO70−PEO106)を使用することが好ましい。
(窒素原子を含有する有機化合物)
窒素原子を含有する有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を含有する芳香族化合物、及び窒素原子を含有し芳香環を有しない化合物が挙げられる。また、これらの化合物は、有機テンプレートとの相溶性があり、架橋剤により硬化し、自己組織化硬化物が得られるものが好ましい。
窒素原子を含有する芳香族化合物としては、特に限定されないが、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物との反応物、メラミン、及びベンゾグアナミン等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、具体的には、無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフェノン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ジフェニルスルホン−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4'−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、m(p)−ターフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンー1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6,3,5−二無水物(TCAAH)、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物(CHDA)、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物(BuDA)、4−フェニルエチニルフタル酸無水物(PEPA)、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(NTDA)、ビス(1,3−ジオキソー1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)1,4−フェニレン(TAHQ)、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸2,3:6,7−二無水物、2,2'−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BSAA)、ビフェニル−3,3'、4,4'−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)等を例示することができる。
また、モノアミン化合物としては、具体的には、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、アミノ−p−クレゾール、アミノ−m−クレゾール、アミノ−o−クレゾール、フェニルエタノールアミン、ナフチルエタノールアミン等を例示することができる。
このなかでも、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミンとの反応物は、架橋反応後、耐熱性が高く、機械的強度も高いため、有機テンプレートを除去する際に加熱しても、粉砕処理を行っても、自己組織化硬化物のメソ孔が潰れにくい傾向にある。
芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物との反応は、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物のモル比1:2で反応させて得ることができる。反応条件は、特に限定されないが、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物を、THF、DMF等の共通の溶媒に溶解させ、常温で1−20時間撹拌した後、溶媒を留去し、乾燥させることにより得ることができる。
また、窒素原子を含有し、芳香環を有しない化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド、アクリルニトリル、尿素等が挙げられる。窒素原子を含有し、芳香環を有しない有機化合物は、芳香環を有するものに比べ、炭素化後の収率が低いという傾向がある。
なお、窒素原子を含有する有機化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(窒素原子を含有する有機化合物と架橋する架橋剤)
工程1において、有機テンプレートが自己組織化された後、窒素原子を含有する有機化合物を架橋して、自己組織化硬化物を得るために、架橋剤を使用することができる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール類とホルムアルデヒド類を塩基性触媒下で反応させたレゾール型フェノール類;ナフトール類とホルムアルデヒド類を塩基性触媒下で反応させたレゾール型ナフトール類;及びホルムアルデヒド類が挙げられる。レゾール型フェノール類、及びレゾール型ナフトール類は、反応性が高く、100℃以下で、それ自身でも重合することができ、窒素原子を含有する有機化合物の架橋反応にも有効に作用する。
フェノール類としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、キシレノール、フロログルシノール等の多価フェノール類;ハロゲン化フェノール、フェニルフェノール、アミノフェノール、ノボラック型フェノール等が挙げられる。フェノール類は、1種類を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ナフトール類としては、特に限定されないが、例えば、α−ナフトール、β−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。ナフトール類は1種類を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホルムアルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキシメチレン、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン等のホルムアルデヒド、及びホルムアルデヒド発生物質、アセトアルデヒド等が挙げられる。ホルムアルデヒド類は1種類を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フェノール類、及びナフトール類の中では、コスト、取扱易さ、硬化物の物性の観点からフェノールが好ましい。また、ホルムアルデヒド類の中では、ホルムアルデヒドが好ましい。
レゾール型フェノール類は、特に限定されないが、例えば、塩基性触媒の存在下、フェノール類1モルと、ホルムアルデヒド類1.5〜3.0モルとを混合し、60℃〜90℃、好ましくは70℃〜80℃で、1時間〜10時間、好ましくは3時間〜7時間撹拌して反応させることにより生成することができる。
レゾール型ナフトール類もレゾール型フェノール類と同様に、ナフトール類とホルムアルデヒド類とを反応させて、活性の高い架橋剤を得ることができる。
また、ホルムアルデヒド類は単独で、メラミン等の窒素原子を含有する芳香族化合物や、尿素等の窒素原子を含有し芳香環を有しない化合物と架橋反応を起こすことができる。
(自己組織化硬化物)
自己組織化硬化物は、有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を必要に応じて架橋剤を用いながら架橋させることにより得ることができる。有機テンプレートが自己組織化した後、窒素原子を含有する有機化合物と架橋剤の混合物が、架橋剤により架橋反応を起こすことにより、耐熱性の高い自己組織化硬化物を得ることができる。これにより、有機テンプレートを除去する際に、加熱しても、自己組織化された多孔体の構造を保持することができる。
工程1において、自己組織化硬化物は、有機テンプレート、窒素原子を含有する有機化合物、必要に応じて用いる架橋剤、及びこれらを溶解できる溶媒を混合し、常温で0.5〜3時間撹拌した後、100℃で、5時間〜20時間保持して溶媒を留去し、硬化反応を促進することにより得ることができる。しかし、自己組織化硬化物の調製条件はこれに限定されない。
窒素原子を含有する有機化合物の使用量は、架橋剤の使用量1質量部に対して、好ましくは0.050〜2.0質量部であり、より好ましくは0.10〜1.0質量部である。
また、有機テンプレートの使用量は、窒素原子を含有する有機化合物と架橋剤との合計量1質量部に対して、好ましくは0.20〜5.0質量部であり、より好ましくは0.50〜2.0質量部である。
用い得る溶媒としては、特に限定されないが、例えば、有機テンプレート、窒素原子を含有する有機化合物、及び架橋剤が可溶であるものが好ましく、より具体的には、極性の高いTHF、DMF、ジメチルアセトアミド等を使用することができる。
特に、工程1において、有機化合物と架橋する架橋剤を用い、有機化合物が、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物との反応物を含み、架橋剤が、レゾール型フェノール類及び/又はレゾール型ナフトール類を含むことが好ましい。これにより、メソ孔の機械的強度がより向上する傾向にある。
〔工程2〕
工程2は、自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、メソ孔を有する多孔体を得る工程である。具体的には、工程2においては、自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、自己組織化硬化物からの有機テンプレートの除去と、炭素化がおこり、メソ孔を有する多孔体が得られる。有機テンプレートの除去方法としては、特に限定されないが、例えば、熱分解法(燃焼法)と化学分解法(有機溶剤による溶解除去)が挙げられる。化学分解法は、高価な有機溶媒を使用し、有機テンプレートを完全に除去するには、複数回溶解除去する必要があるのに対し、熱分解法は、自己組織化硬化物を炭素化する過程で同時に、しかも完全に除去できるので、手間とコストの点で利点がある。
熱分解法としては、特に限定されないが、より具体的には、上記工程1の後、得られた有機テンプレートと自己組織化硬化物との複合体を、不活性ガス雰囲気中で加熱する方法等が挙げられる。
不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
加熱温度は、好ましくは400〜1,500℃であり、より好ましくは600〜1,300℃であり、さらに好ましくは800〜1,100℃である。加熱温度が上記範囲であることにより、有機テンプレートの除去効率がより向上する傾向にある。また、加熱温度が400℃未満では、炭素化が十分に行われない問題があり、加熱温度が1,500℃を越すと、炭素化したものの重量減少が顕著となる傾向がある。
加熱時間は、好ましくは30分間〜20時間であり、より好ましくは1時間〜10時間であり、さらに好ましくは3時間〜6時間である。加熱時間が上記範囲であることにより、有機テンプレートが完全に除去されると共にと炭素化を十分に行うことができる。
また、工程2は、加熱温度を変化させて、複数回行うこともできる。複数回行うことにより、多孔体の炭素化を促進し、炭素の結晶化(グラフェン化)を促進させ、触媒の性能を向上させることができる。
〔工程3〕
工程3は、メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程である。粉砕方法としては、特に限定されないが、例えば、乾式ボールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を使用する方法が挙げられる。粉砕条件は、粉砕機の性能により異なり、特に限定されないが、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるような条件を適宜設定することができる。平均粒子径が0.010μm未満になるまで粉砕すれば、粉末の取扱いが困難になる。また、平均粒子径が0.50μm以上を超えると、BET比表面積が小さく、触媒活性を高めることができない。
〔工程4〕
工程4は、粉砕された多孔体に、遷移金属を含浸させる工程である。遷移金属の含浸方法としては、特に限定されないが、例えば、多孔体重量の40〜50倍量の溶媒に、含浸させる遷移金属化合物を溶解させ、その溶液に上記粉砕された多孔体を添加し、2時間〜3時間撹拌することにより多孔体のメソ孔に遷移金属溶液を浸透させた後、溶媒を加熱等により留去する方法が挙げられる。
遷移金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、スズ、マンガン、及び亜鉛等の遷移金属のアセチルアセトン塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。
多孔体に含浸させる遷移金属の量は、溶媒に溶解させる遷移金属化合物の濃度、又は繊維金属の溶解した溶液量によって調整することができる。
また、用い得る溶媒は、遷移金属化合物が可溶で、浸透性が強く、低沸点のものが好ましく、例えば、アセトンを使用することができる。
〔工程5〕
第1の実施形態の炭素触媒の製造方法は、工程4の後に、遷移金属を含浸させた多孔体を、不活性ガス及び/又は賦活性ガス雰囲気中で400〜1,500℃に加熱する工程5をさらに有していてもよい。このような工程を有することにより、多孔体のBET比表面積が増加し、窒素含有率が上昇するため触媒活性がより向上する傾向にある。ガス雰囲気は、不活性ガス及び賦活性ガスをそれぞれ単独で使用してもよいし、両者を混合して使用してもよい。不活性ガスと賦活性ガスの混合比率を調整して使用することにより、ガスの賦活性を調整することもできる。
不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
賦活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、CO2ガス、水素、水蒸気等が挙げられる。
加熱温度は、好ましくは400〜1,500℃であり、より好ましくは600〜1,300℃であり、さらに好ましくは800〜1,100℃である。加熱温度が1,500℃を越すと、触媒の重量減少が顕著となる傾向がある。加熱温度が上記範囲であることにより、多孔体のBET比表面積が増加し、窒素含有率が上昇するため触媒活性がより向上する傾向にある。
加熱時間は、好ましくは15分間〜5時間であり、より好ましくは30分間〜3時間、であり、さらに好ましくは1時間〜2時間である。加熱時間が上記範囲であることにより、多孔体のBET比表面積が増加し、窒素含有率が上昇するため触媒活性がより向上する傾向にある。
〔工程6〕
第1の実施形態の炭素触媒の製造方法は、上記工程5の後、多孔体を、酸洗浄処理、塩基洗浄処理、及び/又は賦活化処理する工程6をさらに有していてもよい。このような処理を行うことにより、触媒性能がより向上する傾向にある。
酸洗浄処理方法としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸及びこれらの混合水溶液等の遷移金属化合物を溶解させることのできる酸性溶液を使用して洗浄する方法が挙げられる。
また、塩基洗浄処理方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物等を含む、遷移金属化合物を溶解させることのできる塩基性溶液を使用して洗浄する方法が挙げられる。
使用する溶液の酸濃度又は塩基濃度としては、好ましくは0.01mol/L以上であり、より好ましくは0.1mol/L以上である。酸濃度又は塩基濃度が0.01mol/L以上であることにより、遷移金属成分の除去効率がより向上し、上記好ましい範囲の遷移金属を含有する炭素触媒が得られる傾向にある。
洗浄処理の時間は、先述のように洗浄後の金属濃度として、炭素触媒中の遷移金属の含有量が、炭素触媒に対して0.10質量%〜20質量%となるようにすれば特に制限はないが、好ましくは1分〜24時間、より好ましくは30分間〜20時間、さらに好ましくは1時間から15時間が好ましい。洗浄処理の際、攪拌処理や超音波処理、加熱処理を伴ってもよい。
なお、上記の洗浄等による遷移金属原子の除去処理は、複数回行ってもよい。また、2回目以降の当該処理は、下記の賦活処理後に行ってもよく、金属原子の除去処理と賦活処理の組み合わせを複数回行ってもよい。
また、賦活化処理方法としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、CO2、水素、及び水蒸気よりなる群から選ばれる少なくとも一種の賦活性ガスの雰囲気下、加熱し賦活する方法が挙げられる。ガスの賦活性を調整するため、賦活性ガスと窒素ガス等の不活性ガスを混合して使用してもよい。
加熱温度は、好ましくは400℃〜1,500℃であり、より好ましくは600℃〜1,300℃であり、さらに好ましくは800〜1,100℃である。
賦活処理の時間は、好ましくは5分間から10時間であり、より好ましくは10分間〜8時間であり、さらに好ましくは30分間から6時間である。賦活処理時間が5分間以上であることにより、触媒の賦活が十分に進行する傾向にある。また、賦活処理時間が10時間以下であることにより、窒素原子の脱離が抑制され、得られる炭素触媒の触媒活性がより向上する傾向にある。
〔第2の実施形態の炭素触媒の製造方法〕
第2の実施形態の炭素触媒の製造方法は、遷移金属化合物及び自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程1’と、前記自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、メソ孔を有する多孔体を得る工程2’と、前記メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程3’と、を有する。
上記製造方法により、第1の実施形態の炭素触媒の製造方法の工程4が省略できるので、工程4で使用する溶媒だけでなく、時間と手間を省くことができる。
〔工程1’〕
工程1’は、遷移金属化合物及び自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程である。遷移金属化合物を用いること以外は、具体的には、上記工程1で例示した方法を挙げることができる。
遷移金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、上記工程4で例示したものを挙げることができる。また、自己組織化可能な有機テンプレート及び窒素原子を含有する有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、上記工程1で例示したものを挙げることができる。さらに、工程1’において、有機テンプレートが自己組織化された後、窒素原子を含有する有機化合物を架橋して、自己組織化硬化物を得るために、架橋剤を使用することができる。
工程1’により得られる自己組織化硬化物は、遷移金属化合物を含むものとなる。第2の実施形態の炭素触媒の製造方法により得られる炭素触媒中の遷移金属の含有量は、工程1’における遷移金属化合物の使用量により調整することができる。
〔工程2’〕
工程2’は、自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、自己組織化硬化物から有機テンプレートを除去すると共に、自己組織化硬化物を炭素化し、メソ孔を有する多孔体を得る工程である。具体的には、上記工程2で例示した方法を挙げることができる。
〔工程3’〕
工程3’は、メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程である。具体的には、上記工程3で例示した方法を挙げることができる。
〔工程4’〕
第2の実施形態の炭素触媒の製造方法は、工程3’の後に、粉砕した多孔体を不活性ガス及び/又は賦活性ガス雰囲気中で、400〜1,500℃に加熱する工程4’をさらに有していてもよい。具体的には、上記工程5’で例示した方法を挙げることができる。
〔工程5’〕
工程4’の後、多孔体を酸洗浄処理及び/又は賦活化処理する工程5’をさらに有していてもよい。具体的には、上記工程6’で例示した方法を挙げることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔組成分析〕
炭素触媒の組成は、Perkin Elmer社製 PE 2400 Series II CHNS/O analyzerを用いて測定を行った。試料として炭素触媒を2mg秤取し、サンプルを加熱することにより得られる分解ガスを還元し、発生するCO2、H2O、N2を定量することにより、炭素、水素、窒素の元素の組成を求めた。
〔窒素原子と炭素原子のモル比(N/C)〕
炭素触媒の窒素原子と炭素原子のモル比(N/C)は、上記組成分析により得られた窒素原子と炭素原子の割合より算出した。
〔遷移金属の含有量〕
炭素触媒の遷移金属の含有量は、JEOL社製 JXA−8100 電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を使用して測定を行った。炭素触媒の粉末を、バインダーを用いずにペレット状に加工し、炭素触媒中に含有される金属元素量を測定した。EPMAの元素分析結果から金属原子の炭素触媒に対する百分率を求めた。
〔メソ孔径、メソ孔容積、全孔容積、BET比表面積の測定〕
炭素触媒のメソ孔径、メソ孔容積、全孔容積、及びBET比表面積は、BJH法に準拠して測定した。具体的には、日本ベル(株)製、「Belsorp−mini II」を用い、炭素触媒50mgを装置内に入れ、350℃で1時間加熱脱気を行った後、−196℃における窒素吸着法により炭素触媒のメソ孔径(Dpeak(BJH))、メソ孔容積(V(meso))、全孔容積(V(total))、及びBET比表面積(S(BET))を求めた。
〔平均粒子径〕
炭素触媒の平均粒子径は、日立ハイテクノロジー社製走査型電子顕微鏡(SEM)SU5500により、2万倍で粒子状炭素触媒の写真撮影を行い、写真の中で確認できる30個の粒子について、旭化成エンジニアリング社製画像解析ソフト、A像くん(A−zoh−kun、登録商標)にて他の粒子にて隠れていない最表層の粒子を手動にて抽出し、水平フェレ径(Xフェレ径、Yフェレ径)の平均値を求めた。抽出した粒子の水平フェレ径の平均値を平均粒子径とした。
〔電子顕微鏡による観察〕
日立ハイテクノロジー社製走査型電子顕微鏡(SEM)SU5500により、30万倍で炭素触媒の観察を行った。
〔酸化還元特性(ORR特性)〕
素還元触媒の活性度の指標として、回転リング・ディスク電極法によるリニアスイープボルタンメトリーを行って、酸素還元開始電位(オンセットポテンシャル又はOSPと略記する場合がある。)及び0.6Vでの電流密度を測定した。これらの測定は、日厚計測有限会社製、回転リング・ディスク電極装置(RDE−1)を用いて行った。
ガラス製バイアルに、炭素化等により得られた粒子状炭素触媒5mgをとり、ガラスビーズをスパチュラ2杯、Sigma−Aldrich社製ナフィオン(登録商標)5質量%溶液50μL、蒸留水とエタノールをそれぞれ150μLを加え、20分間超音波をあてた。このスラリーを4μLとり、回転ディスク電極のガラス状炭素上に塗付し、空気下で乾燥させた。乾燥させた回転ディスク電極を作用極に、可逆水素電極(RHE)を参照極、炭素繊維を対極にし、掃引速度5mV/s、回転速度1,500rpmで、1.1Vから0Vまで、窒素飽和状態の0.5mol/L硫酸水溶液中、及び酸素飽和状態の0.5mol/L硫酸水溶液中でそれぞれ測定を行った。酸素飽和状態での測定により得られたボルタモグラムから、窒素飽和状態での測定で得られたボルタモグラムの値を差し引くことで得られたボルタモグラムより、−10μA/cm2での電位を酸素還元開始電位(OSP)として求め、さらに0.6Vにおける電流密度を求めた。
〔実施例1〕
<窒素原子を含有する有機化合物の合成>
500mLフラスコに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(Sigma−Aldrich社製)5.88gとTHF150mLを加え、続いてp−アミノフェノール(東京化成工業株式会社製)4.36gを加え、室温で16時間撹拌した。その後、溶媒を留去し、乾燥させてアミド酸を得た。
<架橋剤の合成>
100mLフラスコに、フェノール(東京化成工業株式会社製)6.11gを入れ、50℃で溶解させた後、撹拌しながら、20%水酸化ナトリウム水溶液1.35g、続いて37%ホルマリン(東京化成工業株式会社製)10.6gを加え、70℃で3時間撹拌した。その後、塩酸で中和し、溶媒を留去した後、エタノール、THFの順で抽出することにより、レゾール型フェノールのTHF溶液(固形分30%)を得た。
<炭素触媒の作製>
(工程1)
100mLナスフラスコに、THF15mL及びDMF5mLを秤取し、前記合成したレゾール型フェノール1.88g、及びアミド酸0.62gを加えて完全に溶解させた後、有機テンプレートとして、PEO106−PPO70−PEO106トリブロック共重合体(F127:和光純薬工業株式会社製)2.50gを加え、常温で1時間撹拌した後、反応物をシャーレに取出し、100℃まで加熱して溶媒を蒸発除去し、淡黄色の自己組織化硬化物フィルムを得た。
(工程2)
自己組織化硬化物フィルムを、窒素ガス雰囲気中900℃で5時間加熱処理し、前記有機テンプレートを除去すると共に、前記自己組織化硬化物を炭素化し、メソ孔を有する多孔体フィルムを得た。有機テンプレートとして使用したF127は、350℃付近で分解し始め、400℃〜500℃では完全に分解しているので、900℃に加熱することで、炭素化も十分に行うことができる。
(工程3)
メソ孔を有する多孔体フィルムを、1cm大に切取り、乾式ボールミルで3時間粉砕処理を行った。さらに、遊星型湿式ボールミルで3時間粉砕した。
(工程4)
200mLのフラスコにアセトン50mL、及びFe(acac)3(同仁化学研究所製)164 mgを入れ、溶解後、前記粉砕したメソ孔を有する多孔体1.13 gを加えて2時間撹拌した後、溶媒を留去し、メソ孔を有する多孔体にFeを含有する炭素触媒を得た。
(工程5)
その後、Feを含有する炭素触媒を、アンモニアガス雰囲気中、800℃で1時間加熱処理(賦活処理)を行い、炭素触媒を得た。
(工程6)
工程5で得られた炭素触媒1.0gを、37%濃塩酸1.4L中に入れ、常温で 4時間攪拌し(酸洗浄処理)、余分なFeを除去した。その後、蒸留水で洗浄、乾燥後、再度、アンモニアガス雰囲気中、1,000℃で1時間、加熱処理(賦活処理)を行って炭素触媒を得た。
得られた炭素触媒のSEM写真を図1に示した。また、得られた炭素触媒の脱吸着等温線及びメソ孔分布の細孔測定結果を図4及び表1に、元素及び遷移金属の分析結果を表1に、酸化還元特性(ORR測定結果)の測定結果を図5及び表1に併せて示した。
〔比較例1〕
実施例1において、粉砕処理として乾式ボールミルだけ行い、湿式ボールミルを行わないこと以外は、実施例1と同様な操作により、炭素触媒を作製した。得られた炭素触媒のSEM写真を図2に示した。また、得られた炭素触媒の脱吸着等温線及びメソ孔分布の測定結果を図4及び表1に、元素及び遷移金属の分析結果を表1に、酸化還元特性の測定結果を図5及び表1に併せて示した。
〔比較例2〕
実施例1において、F127を使用しないこと以外は実施例1と同様な操作により、炭素触媒を作製した。得られた炭素触媒のSEM写真を図3に示した。また、得られた炭素触媒の細孔分布等の細孔測定結果を図4及び表1に、元素及び遷移金属の分析結果を表1に、酸化還元特性の測定結果を図5及び表1に併せて示した。
実施例1、比較例1及び比較例2において得られた自己組織化炭素触媒のSEM写真を図1、図2及び図3に示した。図1及び図2では、有機テンプレートで形成されたと考えられるメソ孔を有する炭素触媒が観察された。
また、実施例1、比較例1及び比較例2において得られた炭素触媒の細孔分布測定による測定チャート(N2ガス吸脱着等温線)を図4に示した。実施例1及び比較例1の炭素触媒は、相対圧(p/p0)に対するガス吸着量(v)のグラフが、相対圧の上昇、下降に伴い、ガス吸着量にヒステリシス(IV型等温線)を示しており、実施例1及び比較例1の触媒が、メソ孔を有していることが確認された。
比表面積(S(BET))、メソ孔径(Dpeak(BJH))、メソ孔容積(V(meso))、全孔容積V(total)、及び平均粒子径(D50)の測定結果、並びに、組成及び遷移金属の分析結果を表1に併せて示した。実施例1の触媒のメソ孔径(Dpeak)は、比較例1の触媒のメソ孔径(Dpeak)と同等であり、粉砕処理を進めても、メソ孔が潰れていないことを示している。
また、触媒の性能評価である酸化還元特性のボルタムグラム曲線を図5に、酸素還元開始電位(OSP)及び0.6Vにおける電流密度を表1に示した。実施例1の触媒の0.6Vにおける電流密度は、比較例1及び比較例2の触媒の電流密度と比較し、明らかに増加しており、優れた酸素還元触媒であることが示された。OSPは触媒間でほとんど差がなかった。
本発明の炭素触媒は、燃料電池用電極触媒、空気電池用電極触媒、及び炭化水素の部分酸化用触媒として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (13)

  1. 炭素原子、窒素原子、及び遷移金属を含有し、
    前記遷移金属の含有量が、前記炭素触媒100質量%に対して、3.4質量%〜20質量%であり、
    BJH法で求めた孔径が2.0nm以上50nm以下であるメソ孔を有し、
    前記メソ孔の細孔容積が、0.90cm3/g以上であり、
    BET比表面積が、1,000〜2,500m2/gであり、
    平均粒子径が、0.010〜0.50μmであ
    前記窒素原子と前記炭素原子のモル比(N/C)が、0.0010〜0.10であり、
    前記遷移金属が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及びマンガンからなる群より選択される少なくとも1つを含む、
    酸素還元反応用炭素触媒。
  2. 自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程1と、
    前記自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、メソ孔を有する多孔体を得る工程2と、
    前記メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程3と、
    粉砕された前記多孔体に、遷移金属を含浸させる工程4と、
    を有
    前記工程1において、前記有機化合物と架橋する架橋剤を用い、
    前記有機化合物が、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物との反応物を含み、
    前記架橋剤が、レゾール型フェノール類及び/又はレゾール型ナフトール類を含む、
    炭素触媒の製造方法。
  3. 前記工程4の後に、遷移金属を含浸させた前記多孔体を不活性ガス及び/又は賦活性ガス雰囲気中で、400〜1,500℃に加熱する工程5をさらに有する、請求項に記載の炭素触媒の製造方法。
  4. 前記工程5の後、前記多孔体を、酸洗浄処理、塩基洗浄処理、及び/又は賦活化処理する工程6をさらに有する、請求項に記載の炭素触媒の製造方法。
  5. 前記有機テンプレートが、ブロック共重合体を含む、請求項のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
  6. 前記ブロック共重合体が、ポリ(メタ)アクリル酸ブロック、ポリ(メタ)アクリレートブロック、ポリビニルブロック、ポリアルキレンブロック、ポリアルキレンオキシドブロック、ポリシロキサンブロック、ポリスチレンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリアミドブロック、ポリアセタールブロック、ポリエーテルブロック、及びポリオールブロックからなる群より選択される少なくとも2つのブロックを有する、請求項に記載の炭素触媒の製造方法。
  7. 前記有機テンプレートが、重合度1〜129のポリエチレンオキシドブロックと、重合度37〜70のポリプロピレンオキシドブロックと、を含む、請求項のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
  8. 遷移金属化合物及び自己組織化可能な有機テンプレートの存在下で、窒素原子を含有する有機化合物を架橋させて自己組織化硬化物を得る工程1'と、
    前記自己組織化硬化物を400〜1,500℃に加熱することにより、メソ孔を有する多孔体を得る工程2'と、
    前記メソ孔を有する多孔体を、平均粒子径が0.010〜0.50μmとなるように粉砕する工程3'と、
    を有
    前記工程1'において、前記有機化合物と架橋する架橋剤を用い、
    前記有機化合物が、芳香族テトラカルボン酸二無水物とモノアミン化合物との反応物を含み、
    前記架橋剤が、レゾール型フェノール類及び/又はレゾール型ナフトール類を含む、
    炭素触媒の製造方法。
  9. 前記工程3'の後に、粉砕した前記多孔体を不活性ガス及び/又は賦活性ガス雰囲気中で、400〜1,500℃に加熱する工程4'をさらに有する、請求項に記載の炭素触媒の製造方法。
  10. 前記工程4'の後、前記多孔体を、酸洗浄処理、塩基洗浄処理、及び/又は賦活化処理する工程5'をさらに有する、請求項に記載の炭素触媒の製造方法。
  11. 前記有機テンプレートが、ブロック共重合体を含む、請求項10のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
  12. 前記ブロック共重合体が、ポリ(メタ)アクリル酸ブロック、ポリ(メタ)アクリレートブロック、ポリビニルブロック、ポリアルキレンブロック、ポリアルキレンオキシドブロック、ポリシロキサンブロック、ポリスチレンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリアミドブロック、ポリアセタールブロック、ポリエーテルブロック、及びポリオールブロックからなる群より選択される少なくとも2つのブロックを有する、請求項11に記載の炭素触媒の製造方法。
  13. 前記有機テンプレートが、重合度1〜129のポリエチレンオキシドブロックと、重合度37〜70のポリプロピレンオキシドブロックと、を含む、請求項12のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。

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