JP2017165823A - 多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物、多孔質炭素材料、及びその製造方法 - Google Patents

多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物、多孔質炭素材料、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比表面積が大きく、かつ電気二重層キャパシタに適用した場合、飛躍的に静電容量を向上させることができる多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物及びそれを炭素化してなる多孔質炭素材料を提供する。【解決手段】多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂と、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸と、を架橋した変性フェノール樹脂を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物、このフェノール樹脂組成物を用いて製造された多孔質炭素材料、及び多孔質炭素材料の製造方法に関するものである。
多孔質炭素材料は無数の細孔を有し、いろいろな物質を吸着することができる。この吸着能力を活かして、ガス分離や、気体中、或いは液体中の有害物質などの被吸着物を除去するための吸着材として利用される。近年では、多孔質炭素材料は、利用分野の広がりを見せ、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタの分極性電極材料、燃料電池の触媒材料などの電子材料としても利用されている。
多孔質炭素材料の製造方法としては、ガスによる賦活方法と薬剤による賦活方法が知られている。ガスによる賦活方法は、例えば、ヤシ殻等のセルロース質やリグニン等の植物性原料、石炭系のタール等の鉱物性原料、更にはフェノール樹脂やポリアクリロニトリル等の合成樹脂等を原料として、これらを水蒸気や二酸化炭素などのガス類で処理して賦活化する方法である。薬剤による賦活方法は、これらの原料を塩化亜鉛などの塩化物もしくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物等の薬剤で処理して賦活化する方法である。ガスによる賦活方法では、薬剤による賦活方法と比較して高機能な多孔質炭素材料を作りにくいなどの問題がある。水酸化カリウムなどの薬剤による賦活方法では、高機能な多孔質炭素材料が得られる反面、特殊な製造設備が必要、残留する金属のコンタミ問題、賦活過程で生成された金属カリウムに由来する発火の危険性などの問題があった。
薬剤による賦活方法の問題点を回避する手法として、特許文献1、2に記載されているようにフェノール樹脂を炭素化して炭素材料を形成する技術が開示されている。これらの特許文献では、レゾール型およびノボラック型のフェノール樹脂溶液を固化しさらに炭素化して多孔質炭素材料を製造する技術が開示されている。
特開2004−026954 特開2006−096780
しかしながら、フェノール樹脂のみを原料として製造された多孔質炭素材料では、ミクロ孔とメソ孔とのバランスがある範囲で固定されてしまい、その結果、静電容量などの電気的性能の向上に限度があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、フェノール樹脂に別種の材料の構造を導入した樹脂組成物を原料として用いることにより、フェノール樹脂のみを原料とした場合では達成できない電気的性能を発揮することが可能なフェノール樹脂組成物および多孔質炭素材料を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、フェノール樹脂をさらに分解温度の高く、易黒鉛化材料であるポリイミドと共重合化させることにより、具体的には、フェノール樹脂とポリイミド前駆体であるポリアミック酸とを架橋した変性フェノール樹脂を原料とし、微量酸素存在下で炭素化することにより、特に電気特性の優れた多孔質炭素材料を創製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1] フェノール樹脂と、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸と、を架橋した変性フェノール樹脂を含有することを特徴とする多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
[2] 前記フェノール樹脂を構成するフェノール構造と前記ポリアミック酸とを架橋する架橋剤を含有することを特徴とする[1]に記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
[3] 前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂である[1]または[2]に記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
[4] 前記ポリアミック酸が、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンからなることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
[5] 前記変性フェノール樹脂において、フェノール樹脂由来の構造100重量部に対してポリアミック酸由来の構造が1〜50重量部である[1]〜[4]のいずれかに記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の変性フェノール樹脂を炭素化してなる多孔質炭素材料。
[7] BET比表面積が1,000〜3,000m/gであり、メソ孔とミクロ孔容積との合計容積が0.3〜2.0cc/gであり、かつ、メソ孔とミクロ孔との容積比が0.005〜1であることを特徴とする多孔質炭素材料。
[8] フェノール樹脂溶液、ポリアミック酸溶液、および架橋剤溶液を混合して混合溶液を調整する工程と、前記混合溶液から変性フェノール樹脂溶液を合成する多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物を調整する工程と、前記多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物を、400〜600℃まで加熱処理した後、粉砕することにより炭素化前駆体を得る工程と、前記炭素化前駆体を、不活性ガス雰囲気下、室温から700〜1100℃の範囲まで昇温し、前記昇温した温度で保持することにより炭素化処理する工程と、を含むことを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
フェノール樹脂の一部をポリイミド前駆体であるポリアミック酸により化学変性させ、微量酸素存在下で炭素化することにより、フェノール樹脂単独に比べ、比表面積が大きく、かつ電気二重層キャパシタに適用した場合、飛躍的に静電容量を向上させることができる。
また、フェノール樹脂の一部をポリイミド前駆体であるポリアミック酸により化学変性させ、微量酸素存在下で炭素化することにより、窒素原子ドープ多孔質炭素材料になり、燃料電池用触媒に適用した場合、高価な白金を代替することによって燃料電池のコストを削減することができる。
さらに、検討中ではあるが、易黒鉛化のポリイミド樹脂の前駆体をフェノール樹脂に導入させ、微量酸素存在下で炭素化することにより、フェノール樹脂単独に比べ、微孔の壁の黒鉛化率が高められるかもしれない。比表面積・静電容量を向上するとともに、導電性も向上し、特に大容量型電気二重層キャパシタに適用した場合、出力密度を向上させることができる。
(多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物)
本発明の一実施態様の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂と、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸と、を架橋した変性フェノール樹脂を含有する。
<フェノール樹脂>
ここでいうフェノール樹脂とは、フェノール性水酸基構造を有する基本骨格とするもの全てを含むことができる。ノボラック型フェノール樹脂であることが好ましい。具体的にはフェノール、クレゾール、ナフトールなどを基本骨格としたノボラック型フェノール樹脂であり、これらの基本骨格は単独または2種以上含まれていてもよく、ノボラック型フェノール樹脂は単独または2種以上の混合物として使用できる。
フェノール樹脂溶液の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を混合して使用してもよい。
<ポリアミック酸>
ポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、溶媒存在下、芳香族酸ニ無水物と芳香族ジアミンを反応させることにより得られる。
芳香族酸二水和物としては、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、3,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を混合して使用してもよい。
芳香族ジアミンとしては、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−p−テルフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を混合して使用してもよい。
ポリアミック酸溶液の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を混合して使用してもよい。
<架橋剤>
架橋剤としては、ヘキサメチレンテトラミン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を混合して使用してもよい。
架橋剤の溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を混合して使用してもよい。
<混合溶液>
フェノール樹脂溶液とポリアミック酸溶液と架橋剤溶液とを混合して混合溶液を調整する。混合溶液に含まれている各成分の配合比は、フェノール樹脂100重量部に対して、ポリアミック酸が、1〜50重量部、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは8〜15重量部である。架橋剤が1〜50重量部、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは8〜12重量部である。
<変性フェノール樹脂>
前記混合溶液の温度を室温から段階的に昇温し、300〜350℃で10分〜1時間維持する加熱処理をすることにより、フェノール樹脂にポリアミック酸を化学結合させ、フェノール樹脂とポリアミック酸とを架橋した変性フェノール樹脂が得られる。
変性フェノール樹脂において、フェノール樹脂由来の構造100重量部に対して、ポリアミック酸由来の構造が、1〜50重量部、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは8〜15重量部である。架橋剤由来の構造が1〜50重量部、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは8〜12重量部である。
(多孔質炭素材料)
前記変性フェノール樹脂を、不活性ガス下、400〜600℃で1〜5時間の加熱処理をした後、粒径約1〜20μmに粉砕することにより、炭素化前駆体の粉末が得られる。次に、炭素化前駆体を電気炉などの熱処理炉に入れ、炉内気圧を5〜20Paまで減圧後、アルゴンや窒素などの不活性ガスを導入することにより常圧に戻す。さらに、微量酸素存在下、700〜1100℃で2〜40時間保持し熱処理することにより、本発明の一実施態様の多孔質炭素材料が得られる。この多孔質炭素材料の比表面積がフェノール樹脂単独の場合より大きい。
本発明の一実施態様の多孔質炭素材料は、BET比表面積が1,000〜3,000m/gであることが好ましく、1,100〜2,500m/gであることがより好ましい。メソ孔とミクロ孔容積との合計容積が0.3〜2.0cc/gであることが好ましく、0.5〜1.2cc/gであることがより好ましい。メソ孔とミクロ孔との容積比が0.005〜1であることが好ましく、0.01〜0.5であることがより好ましい。
それぞれの評価方法は、実施例で記載されている。
(多孔質炭素材料の製造方法)
多孔質炭素材料の製造方法は、フェノール樹脂溶液、ポリアミック酸溶液、および架橋剤溶液を混合して混合溶液を調整する工程と、前記混合溶液から変性フェノール樹脂溶液を合成する多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物を調整する工程と、前記多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物を、400〜600℃まで加熱処理した後、粉砕することにより炭素化前駆体を得る工程と、前記炭素化前駆体を、不活性ガス雰囲気下、室温から700〜1100℃の範囲まで昇温し、前記昇温した温度で保持することにより炭素化処理する工程とを含む。
本発明の多孔質炭素材料の細孔形成のメカニズムは明確ではないが、フェノール樹脂をさらに分解温度の高いポリイミド前駆体であるポリアミック酸で化学変性することにより、炭素化工程において好適な細孔構造が形成されるものと考えられる。また、黒鉛化がより容易なポリイミド構造が導入されたので、形成された細孔の炭素壁の導電性が優れていると考えられる。さらに、窒素原子を含むポリイミド構造が導入されたので、形成された炭素材料に窒素原子がドーピングされ、燃料電池用触媒へ応用が可能になると考えられる。
本発明により得られた多孔質炭素材料は、公知の電極の作製方法を用いて電気二重層キャパシタ電極等とすることができる。また、燃料電池用触媒等とすることができる。その他、ガス分離や吸着剤等の用途で使用が可能である。
以下、実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
(ポリアミック酸の合成)
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル12.244g(61.1mmol)、1−メチル−2−ピロリドン170gを加え、攪拌することにより溶解させた。この溶液に段階的にジフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物17.816g(60.6mmol)を加え、攪拌しながら反応させることにより15wt%ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液の粘度は380poiseであった。
(実施例1)
<多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物(変性フェノール樹脂)の合成>
空気下、フェノール樹脂(明和化成株式会社製:FT−001−01)15gに1−メチル−2−ピロリドン45gを加え、攪拌することにより溶解させ、25wt%フェノール樹脂溶液を得た。
また、空気下、架橋剤としてヘキサメチレンテトラミン2gにメタノール20gを加え、攪拌することにより溶解させ、9.1wt%架橋剤溶液を得た。
空気下、合成例1で作製した15wt%ポリアミック酸溶液9.45gに25wt%フェノール樹脂溶液57.3gを加え、均一状態となるまで攪拌した。次に、この溶液に9.1wt%架橋剤溶液15.8gを加え、一晩攪拌することにより均一な混合溶液を得た。この混合溶液におけるフェノール樹脂とポリアミック酸と架橋剤の配合比は、フェノール樹脂100重量部に対して、ポリアミック酸が10重量部であり、架橋剤が10重量部である。
この混合溶液42gをプラスチック容器に入れ、80℃で2時間、さらに110℃で4時間熱処理した。この熱処理物をアルミナ製るつぼに移し、130℃で1時間、180℃で2時間、さらに330℃で30分間処理することにより、変性フェノール樹脂9.3gを得た。
<炭素化前駆体の合成>
上記により得られた変性フェノール樹脂9.3gを、高温雰囲気炉(アドバンテック東洋株式会社KA−1702S、発熱体:二珪化モリブデン、断熱材:アルミナファイバーボード、炉内容積:約9L)に入れ、5〜20Paまで減圧後、窒素ガスを導入することにより常圧に戻し、1L/minの窒素気流中、室温から10℃/minで500℃まで昇温し、この温度で2時間保持し冷却することにより、炭素化前駆体6.2gを得た。この炭素化前駆体を遊星ボールミルにより粉砕し、平均粒子径8〜10μmの粉末を得た。
<多孔質炭素材料の形成>
上記により得られた炭素化前駆体粉末0.1gを高温雰囲気炉に入れ、20Paまで減圧後、窒素ガスを導入することにより常圧に戻し、1L/minの窒素気流中、室温から5℃/minで600℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、さらに5℃/minで900℃まで昇温し、この温度で20時間保持し冷却することにより、表1に示す残炭率の多孔質炭素材料を得た。
尚、残炭率とは、変性フェノール樹脂の合成で用いたフェノール樹脂、ポリアミック酸、および架橋剤の固形分重量に対して、炭化工程後に得られた多孔質炭素材料の重量割合である。
<BET比表面積の評価>
得られた多孔質炭素材料について、カンタクローム社製ガス吸着量測定装置(オートソーブ1−MP)で77Kにおける窒素吸脱着測定を行い、得られた吸着等温線からBET比表面積を算出した。また、全細孔容積のうち、BJH法から2〜50nmのメソ孔容積を、DFT法から2nm未満のミクロ孔容積を算出した。結果を表1に示す。
<静電容量の評価>
得られた多孔質炭素材料の電気二重層キャパシタとしての特性評価を行うため、多孔質炭素材料、アセチレンブラック、および60%PTFE水溶液を、多孔質炭素材料/アセチレンブラック(導電助剤)/PTFE(バインダー)の重量比が80/10/10となるように混合し、メノウ乳鉢で混練後、ロールプレスすることにより膜厚150〜200μmのシート状とした。このシート状電極から、直径が16mmとなるように2枚カットし、150℃、3時間真空乾燥することによりディスク状電極とした。
次に、アルゴン雰囲気下、得られたディスク状電極を1M濃度のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを電解質塩として含むプロピレンカーボネート溶液からなる電解液に30分間浸漬後、タクミ技研社製2032型コイン電池に組み込み、電気二重層キャパシタの容量評価を行った。コイン電池の組み立ては、SUS製正極ボディ上に、Al集電体(直径16mm、膜厚50μm)−正極側電極(直径16mm)−セパレータ(PP不織布;直径18mm、膜厚25μm×2枚)−PP製ガスケット−負極側電極(直径16mm)−Al集電体(直径16mm、50μm)の順に重ね、電解液を注入後、SUS製スペーサー(直径16mm、膜厚0.5mm)およびSUS製ウェーブワッシャーを重ね、最後にSUS製負極ボディを載せ、カシメ機でかしめることにより行った。得られたコイン電池をビー・エー・エス社製電気化学アナライザー660Bにて、20〜25℃の室温下、50mA/gの定電流で充放電を繰り返し行い、その3サイクル目の電圧変化から、公知の手法により体積当りの静電容量を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様な方法で炭素化前駆体を合成した。その粉末0.2gを高温雰囲気炉に入れる以外に、実施例1と同様に、表1に示す残炭率の多孔質炭素材料を得た。
炭素化前駆体粉末の仕込量が少ないほど、残炭率が低くなる傾向があり、これは炉内に存在する微量酸素の影響であると考えられる。
実施例1と同様に窒素吸脱着測定、電気二重層キャパシタ特性評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様な方法で炭素化前駆体を合成した。その粉末0.3gを高温雰囲気炉に入れる以外に、実施例1と同様に、表1に示す残炭率の多孔質炭素材料を得た。
実施例1と同様に窒素吸脱着測定、電気二重層キャパシタ特性評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
空気下、実施例1と同様に作製した25wt%フェノール樹脂(明和化成株式会社製:FT−001−01)の1−メチル−2−ピロリドン溶液20.1gに、架橋剤として9.1wt%ヘキサメチレンテトラミンのメタノール溶液5.56gを加え、攪拌することにより均一な混合溶液を得た。
この混合溶液10.2gをプラスチック容器に入れ、80℃で2時間、さらに110℃で4時間熱処理した。この熱処理物をアルミナ製るつぼに移し、130℃で1時間、180℃で2時間処理することにより、フェノール樹脂硬化体2.65gを得た。
このフェノール樹脂硬化体を高温雰囲気炉に入れ、5〜20Paまで減圧後、窒素ガスを導入することにより常圧に戻し、1L/minの窒素気流中、室温から10℃/minで500℃まで昇温し、この温度で2時間保持し冷却することにより、炭素化前駆体1.44gを得た。
この炭素化前駆体を遊星ボールミルにより粉砕し、平均粒子径8〜10μmの粉末を得た。得られた炭素化前駆体粉末0.3gを高温雰囲気炉に入れ、20Paまで減圧後、窒素ガスを導入することにより常圧に戻し、1L/minの窒素気流中、室温から5℃/minで600℃まで昇温し、この温度で2時間保持後、さらに5℃/minで900℃まで昇温し、この温度で20時間保持し冷却することにより炭素材料を得た。
この炭素材料の窒素吸脱着測定、電気二重層キャパシタ特性評価は、実施例1と同様に行った。結果を表1に合わせて示す。
Figure 2017165823
表1より、実施例1〜3では、ポリアミック酸を有さない比較例1と比較して、大きなBET比表面積を示し、かつ、飛躍的に大きな静電容量が得られた。このように、ポリアミック酸によりフェノール樹脂を変性させることにより、細孔形成による多孔質化が図られ、性能の高い多孔質炭素材料が得られることがわかる。
本発明の方法によって製造された多孔質炭素材料は、電気二重層キャパシタ用途に適応した場合、高い静電容量が得られる。また、本発明の多孔質炭素材料は、ガス分離や吸着剤、その他にも用いることができる。
また、本発明の方法によって製造された多孔質炭素材料は、燃料電池用触媒に適用した場合、高価な白金を代替することによって燃料電池のコストを低下することができる。さらに、本発明の方法によって製造された多孔質炭素材料は、大容量型電気二重層キャパシタに適用した場合、出力密度を向上させることができる。

Claims (8)

  1. フェノール樹脂と、
    ポリイミド前駆体であるポリアミック酸と、
    を架橋した変性フェノール樹脂を含有することを特徴とする多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
  2. 前記フェノール樹脂を構成するフェノール構造と前記ポリアミック酸とを架橋する架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
  3. 前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂である請求項1または2に記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
  4. 前記ポリアミック酸が、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
  5. 前記変性フェノール樹脂において、フェノール樹脂由来の構造100重量部に対してポリアミック酸由来の構造が1〜50重量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の変性フェノール樹脂を炭素化してなる多孔質炭素材料。
  7. BET比表面積が1,000〜3,000m/gであり、
    メソ孔とミクロ孔容積との合計容積が0.3〜2.0cc/gであり、かつ、
    メソ孔とミクロ孔との容積比が0.005〜1である
    ことを特徴とする多孔質炭素材料。
  8. フェノール樹脂溶液、ポリアミック酸溶液、および架橋剤溶液を混合して混合溶液を調整する工程と、
    前記混合溶液から変性フェノール樹脂溶液を合成する多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物を調整する工程と、
    前記多孔質炭素材料用フェノール樹脂組成物を、400〜600℃まで加熱処理した後、粉砕することにより炭素化前駆体を得る工程と、
    前記炭素化前駆体を、不活性ガス雰囲気下、室温から700〜1100℃の範囲まで昇温し、前記昇温した温度で保持することにより炭素化処理する工程と、
    を含むことを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110817868A (zh) * 2019-12-13 2020-02-21 陕西师范大学 一种高强度介孔炭的制备方法
CN110921648A (zh) * 2019-12-11 2020-03-27 中国科学院山西煤炭化学研究所 一种轻质高强微球型酚醛树脂基泡沫碳的一步制备方法
CN110937600A (zh) * 2019-09-26 2020-03-31 国网浙江省电力有限公司湖州供电公司 一种鸟巢状氮掺杂负极多孔碳材料的制备方法
JP7477999B2 (ja) 2020-03-17 2024-05-02 株式会社クラレ 活性炭およびそれを用いたカビ臭を抑制する方法

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