JP7243136B2 - フェノール樹脂粒子の製造方法及び炭化物粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェノール樹脂粒子の製造方法及び炭化物粒子の製造方法に関する。
造孔材は主に無機物成形品や炭素材の気孔形成として用いられ無機焼結時や炭化時に気孔形成作用により無機物成形品や炭素材に気孔を形成するために用いられる。フェノール樹脂粒子は残炭率も高く造孔材として用いられ、例えば、特許文献1にはフェノール樹脂粒子(ベークライト)が用いられた例が開示されている。成形品として強度を維持し気孔率を高めるためには、造孔材として表面硬度が高く比重が小さい事が求められる。
また、製鉄用途で用いられる耐火煉瓦では、炭素源としてフェノール樹脂が用いられ、例えば、特許文献2には、フェノール樹脂を含んだ球状粒子が用いられた例が開示されている。熱衝撃性、通気度などの耐火煉瓦としての特性を上げたポーラス耐火物では、造孔材として、球状であり成形加工性が良好で、炭化焼成時に気孔率が高く硬度を高くする事が求められる。
造孔材用の炭化物粒子の原料として用いられるフェノール樹脂粒子の製造方法として、様々な技術が開発されている。
例えば、表面硬度が大きく、炭素化する場合の熱融着が無い球状フェノール樹脂の製造方法としては、縮合反応触媒の存在下にフェノール類とアルデヒド類とを高温反応で進める事が、面硬度が大きく、炭素化する場合の熱融着が無い球状フェノール樹脂が得られることとなるため、溶液中で高温化することや、気相中での乾燥条件の温度時間を高温、時間を変える事で達成できると考えられている。
例えば溶液中の反応であれば、水、メタノールなどの低沸点の溶媒中でもオートクレーブといった耐圧性の反応容器を用いることで達成できる。また、高沸点の溶媒中であればオートクレーブといった耐圧容器なしに溶媒が高沸点であることを利用して達成できる。
また、例えば、特許文献3には、重金属などの不純物の含有率が低く、炭化する場合に熱融着がなく、ブロッキングが抑制されたフェノール樹脂球形粒子の硬化物の製造方法が記載されている。
一方、気層中の乾燥条件については、例えば、特許文献4には、80℃12時間乾燥させることで、高密度球状フェノール樹脂が得られることが開示されている。
特開2012-016687号公報 特開昭60-112680号公報 特開2010-070738号公報 特開2000-239335号公報
本発明者らは、高圧高温反応を用いて、造孔材用の炭化物粒子の原料として用いられるフェノール樹脂粒子を作製することを試みた。
しかしながら、高圧高温反応では、オートクレーブといった耐圧性の反応容器を用いて高温高圧にする必要がある。これにより、高価な耐圧性の反応容器を用いる必要があり、コストに劣る。また、高温高圧にしない場合と比べて、反応容器の管理といった観点で生産工程が煩雑である。さらに、高圧であることによる反応容器の破損、それに伴う事故といった潜在的なリスクがあるため生産工程の安全性が低い。加えて、生産工程で高温高圧を実現する必要があるために、フェノール樹脂粒子の生産性が低下する。
また、高沸点溶媒を用いてフェノール樹脂粒子を硬化する方法では、有機溶剤の人体への影響、有機溶媒の管理、引火性といった観点で生産工程が煩雑である。
気相中での乾燥では、球状の表面及び内部の水分の気化熱もあるため、単純に時間や温度条件を一定としても、実際の球状が受ける熱量が異なるため、コントロールが難しい事を本発明者らは知見した。
そこで、本発明は、高温高圧を実現するための耐圧性の反応容器の使用、高温の有機溶媒の使用といった様々な不都合のある工程を含むことなく、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできるフェノール樹脂粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、不都合のある作業工程を含むことなく、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできるフェノール樹脂粒子の製造方法を検討した。その結果、フェノール樹脂粒子の製造方法において、懸濁粒子を熱処理によって乾燥する工程と、熱処理によって硬化する工程とを大気圧下で気体中、または、減圧下で連続して行うことが重要であることを見出し、本発明は完成した。
本発明によれば、
フェノール類と、アルデヒド類と、親水性高分子と、親水性溶媒とを含む混合液を作製する準備工程と、
前記混合液を撹拌し、前記フェノール類と、前記アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する反応工程と、
前記懸濁粒子を、温度60℃以上100℃以下で熱処理することで、前記懸濁粒子から前記親水性溶媒を取り除く乾燥工程と、
前記懸濁粒子を、温度100℃を超え200℃未満で熱処理することで、前記懸濁粒子を硬化してフェノール樹脂粒子を得る硬化工程と、を含み、
前記乾燥工程と、前記硬化工程とを、大気圧下で気体中、または、減圧下で連続して行う、フェノール樹脂粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、
上記フェノール樹脂粒子の製造方法で得られるフェノール樹脂粒子を、温度500℃以上3000℃以下で熱処理することにより炭化物粒子を得る炭化工程を含む、炭化物粒子の製造方法が提供される。
本発明によれば、高温高圧を実現するための耐圧性の反応容器の使用、高温の有機溶媒の使用といった安全性の低い作業工程を含むことなく、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできるフェノール樹脂粒子の製造方法を提供することを課題とする。
実施例3のフェノール樹脂粒子のSEM写真である。 実施例5のフェノール樹脂粒子のSEM写真である。
本実施形態によれば、フェノール類と、アルデヒド類と、親水性高分子と、親水性溶媒とを含む混合液を作製する準備工程と、上記混合液を撹拌し、上記フェノール類と、上記アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する反応工程と、上記懸濁粒子を、温度60℃以上100℃以下で熱処理することで、上記懸濁粒子から上記親水性溶媒を取り除く乾燥工程と、上記懸濁粒子を、温度100℃を超え200℃未満で熱処理することで、上記懸濁粒子を硬化してフェノール樹脂粒子を得る硬化工程と、を含み、上記乾燥工程と、上記硬化工程とを、大気圧下で気体中、または、減圧下で連続して行う、フェノール樹脂粒子の製造方法が提供される。
本発明者らは、高温高圧を実現するための耐圧性の反応容器の使用、高温の有機溶媒の使用といったフェノール樹脂粒子の硬化工程を含む従来のフェノール樹脂粒子の製造方法では、コスト、生産工程の煩雑さ、生産工程の安全性、フェノール樹脂粒子の生産性、作業者の人体への影響などの様々な観点で不都合があることを知見した。
そこで、本発明者らは、高温高圧を実現するための耐圧性の反応容器の使用、高温の有機溶媒の使用といった硬化工程を含むことなく、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできるフェノール樹脂粒子の製造方法について検討する事とした。
まず、炭化物粒子としたときに、表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とするためには、フェノール樹脂粒子を炭化工程によって低密度化させる必要がある。
ここで、炭化工程における、フェノール樹脂粒子の低密度化について説明する。フェノール樹脂粒子は、例えば、温度500℃以上3000℃以下で熱処理する炭化工程によって炭化物粒子となる。ここで、炭化工程では、フェノール樹脂粒子が熱によって炭化する炭化反応と、フェノール樹脂粒子が熱分解によって気体になる分解反応とが同時に進行する。
本発明者らが、フェノール樹脂粒子の炭化初期について検討した結果、炭化工程における熱分解によって生じる気体の量と、フェノール樹脂粒子の炭化のしやすさと、フェノール樹脂粒子の表面の空孔の数との3つの因子が低密度化の程度に大きく寄与することが判明した。
炭化工程における熱分解によって生じる気体の量が多くなるほどフェノール樹脂粒子は炭化時低密度化となる。また、炭化したフェノール樹脂粒子は、剛直であり、分解反応によって発生した気体によって低密度化しないため、炭化しやすいフェノール樹脂粒子の低密度化の程度は小さくなる。さらに、フェノール樹脂粒子の表面の空孔の数が多くなるほど、気体がフェノール樹脂から抜けやすくなり、低密度化の程度は小さくなる。
そこで、本発明者らは、炭化工程におけるフェノール樹脂粒子の低密度化の程度を制御するために、上記3つの因子の制御方法について検討した。その結果、フェノール樹脂粒子の硬化の程度及びフェノール樹脂粒子の表面の空孔の数、大きさが適切になるようフェノール樹脂粒子を乾燥、硬化することが、上記3つの因子を制御するために重要であることを知見した。
まず、本発明者らは、炭化工程における熱分解によって生じる気体の量と、フェノール樹脂粒子の炭化しやすさとは、フェノール樹脂粒子の硬化の程度によってトレードオフの関係にあることを知見した。例えば、フェノール樹脂粒子の硬化の程度が大きいほど、分解反応によって生じる気体の量は少なくなるが、フェノール樹脂は炭化しやすくなる。
さらに、本発明者らは、フェノール樹脂粒子の表面の空孔の数、大きさは、乾燥工程、硬化工程における、フェノール樹脂粒子中の親水性溶媒及び親水性高分子の残渣の揮発の仕方に影響を受けることを知見した。
そこで、本発明者らは、フェノール樹脂粒子の硬化の程度及びフェノール樹脂粒子の表面の空孔の数を制御するために、フェノール樹脂粒子の製造方法における、乾燥工程、硬化工程について検討した。その結果、懸濁粒子の乾燥工程、硬化工程を大気圧下、気体中で連続して行うことが重要であることを見出した。詳細なメカニズムは定かではないが、この理由は以下のように推測される。
乾燥工程、硬化工程では、フェノール樹脂粒子中の親水性溶媒及び親水性高分子の残渣が揮発する。そして、乾燥工程、硬化工程で形成される空孔の形状は、乾燥工程、硬化工程時における、フェノール樹脂粒子が存在している物質、圧力といった系に応じて決定される。これにより、乾燥工程、硬化工程を大気圧下で気体中、または、減圧下で連続して行うことによって、フェノール樹脂粒子の空孔は、後述する炭化工程で所望の物性の炭化物粒子を得るために好適な数、大きさとなると推測される。
そして、乾燥工程、硬化工程を大気圧下で気体中、または、減圧下という温和な条件によって行うことで、フェノール樹脂粒子の硬化が過剰に進行することが無く、硬化の程度を適切に制御できることが判明した。
以上より、本実施形態のフェノール樹脂粒子の製造方法によって形成されるフェノール樹脂粒子は、乾燥工程、硬化工程を大気圧下で気体中、または、減圧下で連続して行うことによって、フェノール樹脂粒子の硬化の程度及びフェノール樹脂粒子の表面の空孔の数、大きさが適切となる。これにより、炭化工程における熱分解によって生じる気体の量と、フェノール樹脂粒子の炭化のしやすさと、フェノール樹脂粒子の表面の空孔とが好適に制御され、炭化工程によって適切に低密度化する。以上より、不都合のある硬化工程を行うことなく、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできるフェノール樹脂粒子を実現できると推測される。
(フェノール樹脂粒子の製造方法)
まず、本実施形態に係るフェノール樹脂粒子の製造方法について説明する。
本実施形態に係るフェノール樹脂粒子の製造方法は、フェノール類と、アルデヒド類と、親水性高分子と、親水性溶媒とを含む混合液を作製する準備工程と、混合液を撹拌し、フェノール類と、アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する反応工程と、懸濁粒子を、温度60℃以上100℃以下で熱処理することで、懸濁粒子から親水性溶媒を取り除く乾燥工程と、懸濁粒子を、温度100℃を越え200℃未満で熱処理することで、懸濁粒子の架橋を進行してフェノール樹脂粒子を得る硬化工程とを含む。
以下、各工程について詳細を説明する。
(準備工程)
準備工程では、フェノール類と、アルデヒド類と、親水性高分子と、親水性溶媒とを含む混合液を作製する。
以下、混合液の各成分について詳細を説明する。
<フェノール類>
フェノール類としては限定されず、具体的には、フェノール;o-ジヒドロキシベンゼン(すなわち、カテコール)、m-ジヒドロキシベンゼン(すなわち、レゾルシノール、すなわち、レゾルシン)、p-ジヒドロキシベンゼン(すなわち、ヒドロキノン)などのジヒドロキシベンゼン;1,2,3-トリヒドロキシベンゼン(すなわち、ピロガロール)などのトリヒドロキシベンゼン;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、オキソクレゾールなどのクレゾール;エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール;キシレノール;3-ペンタデシルフェノール、3-ペンタデシルフェノールモノエン、3-ペンタデシルフェノールジエン、3-ペンタデシルフェノールトリエンなどのカシューオイルの含有成分;1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンモノエン、1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンジエン、1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼントリエンといったカルドールの含有成分;2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼン、2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンモノエン、2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼンジエン、2-メチル-1,3-ジヒドロキシ-5-ペンタデシルベンゼントリエンといったメチルカルドールの含有成分;ウルシオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSといったビスフェノール類;p-フェニルフェノール;スチレン化フェノールなどが挙げられる。フェノール類としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。フェノール類としては、上記具体例のうち例えば、フェノール、クレゾール及びアルキルフェノールからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましく、フェノールを用いることがより好ましい。これにより、硬化の程度を制御しやすくなり、また、好ましい空孔の数、大きさを実現できる。
<アルデヒド類>
アルデヒド類としては限定されず、具体的には、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、フルフラール、グリオキザールなどが挙げられる。アルデヒド類としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ヘキサメチレンテトラミンといったアルデヒド化合物の発生源となる化合物を用いてもよい。アルデヒド類としては、上記具体例のうち例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましく、ホルムアルデヒドを用いることがより好ましい。これにより、硬化の程度を制御しやすくなる。
混合液中のフェノール類と、アルデヒド類との仕込み量としては、例えば、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)が0.8以上4.0以下となるようにすることができる。これにより、フェノール類と、アルデヒド類とが反応することで、レゾール型フェノール樹脂、さらに、一部がレゾール型フェノール樹脂の架橋体となり、混合液中で、粒子状に分散できる。
<親水性高分子>
本実施形態に係るフェノール樹脂粒子の製造方法は湿式法である。親水性高分子は、フェノール類及びアルデヒド類の表面に付着し、フェノール類及びアルデヒド類を親水性溶媒中の中で球状に分散させ、あたかも、フェノール類及びアルデヒド類と、親水性溶媒とをO/Wエマルションのように分散させるために必要である。これにより、所望の形状の懸濁粒子を作製することができる。
親水性高分子としては限定されず、具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースカチオン化物などの水溶性セルロース誘導体;ポリビニルアルコール;アルギン酸;グアガム:アラビアガムなどを挙げることができる。親水性高分子としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。親水性高分子としては、上記具体例のうち例えば、ヒドロキシエチルセルロース、グアガム及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースを用いることがより好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子の粒径を所望の数値範囲内とすることができる。
<親水性溶媒>
親水性溶媒としては、フェノール類及びアルデヒド類と、親水性溶媒とがO/Wエマルションのように分散すれば限定されず、具体的には、水;メチルアルコール、エチルアルコールといった単官能アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールといった多官能アルコール;アセトンといったケトン;テトラヒドロフランといったエーテル;N-メチルピロリドンといったラクタムなどが挙げられる。親水性溶媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
親水性溶媒としては、上記具体例のうち例えば、多官能アルコールを含むことが好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子の表面に形成される空孔の数を適切に減らすことができる。さらに、空孔の大きさを、多官能アルコールを含まない場合と比べて、小さくすることができる。これにより、上述したように、炭化工程におけるフェノール樹脂粒子の低密度化の程度を制御できる。具体的には、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできる。
各種物性を所望の範囲内にできる観点から、親水性溶媒としては、上記具体例のうち例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましく、エチレングリコールを用いることがより好ましい。
(反応工程)
反応工程では、混合液を撹拌し、フェノール類と、アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する。
フェノール類と、アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する方法としては、混合液を撹拌することによって行うことができる。
フェノール類と、アルデヒド類との反応は、例えば、塩基性触媒下で行う。反応工程では、フェノール類と、アルデヒド類とが反応してレゾール型フェノール樹脂となり、さらに、レゾール型フェノール樹脂の一部が互いに架橋し架橋体となる。反応工程では架橋は完全には進行せず、後述する硬化工程においてさらに架橋が進行し、硬化する。すなわち、懸濁粒子は、例えば、レゾール型フェノール樹脂と、レゾール型フェノール樹脂の架橋体とを含む。
なお、懸濁粒子を形成した後、例えば、懸濁粒子を洗浄し、懸濁粒子表面の親水性高分子を除去してもよい。後の乾燥工程、硬化工程で、フェノール樹脂粒子に形成される空孔の数が減少するため、親水性高分子は洗浄によって除去することが好ましい。また、洗浄によって原料成分に含有されるナトリウムイオンなどのイオン不純物を取り除くこともできる。
洗浄する方法としては限定されないが、例えば、懸濁粒子を大量の純水といった親水性溶媒中に分散させる方法を用いることができる。これにより、懸濁粒子表面の親水性溶媒を除去できる。洗浄する方法としては、例えば、懸濁粒子の質量に対して、1倍以上2倍以下の親水性溶媒によって、3回以上の洗浄を行うことが好ましく、5回以上の洗浄を行うことがより好ましい。これにより、不純物の含有量を所望の数値範囲まで低減することができ、高いクリーン度の要求される用途にも展開できる点で好ましい。
なお、洗浄回数は生産工程が煩雑にならない範囲で多くすることが好ましいが、洗浄回数の上限値としては、例えば、10回以下としてもよい。
<塩基性触媒>
塩基性触媒としては、従来レゾール型フェノール樹脂を作製するために、フェノール類と、アルデヒド類との反応に用いられているものであれば限定されない。塩基性触媒としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物;炭酸ナトリウム、アンモニア水、N-(2-アミノエチル)プロパノールアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン(すなわち、ヘキサミン)などのアミン類などを用いることができる。塩基性触媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(乾燥工程)
乾燥工程では、懸濁粒子を、温度60℃以上100℃以下で熱処理することで、懸濁粒子から親水性溶媒を取り除く。
熱処理する方法としては限定されず、大気圧下で気体中、または、減圧下で行う方法であれば、従来公知の方法で行うことができる。
乾燥工程における熱処理の温度の下限値としては、60℃以上であり、例えば、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子から親水性溶媒が離脱することにより形成される空孔の数を減らし、空孔の大きさを小さくし、フェノール樹脂粒子を炭化する際に適切に低密度化させることができる。
また、乾燥工程における熱処理の温度の上限値としては、100℃以下であり、例えば、90℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。これにより、乾燥工程で硬化が進行することを抑制できる。したがって、フェノール樹脂粒子を炭化する際に適切に低密度化させることができる。
乾燥工程における熱処理は、懸濁粒子中の含水率が、例えば、5%以下になるまで行うことが好ましく、4%以下になるまで行うことがより好ましく、3%以下になるまで行うことがさらに好ましく、2%以下になるまで行うことが一層好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子から親水性溶媒が離脱することにより形成される空孔の数を適切に減らすことができる。したがって、フェノール樹脂粒子を炭化する際に適切に低密度化させることができる。
また、乾燥工程における熱処理は、懸濁粒子中の含水率が、例えば、0.1%以上となるまで行ってもよい。
なお、本実施形態において、懸濁粒子中の含水率は、懸濁粒子を温度135℃で1時間熱処理した時の、該熱処理前の懸濁粒子の質量に対する、該熱処理後の懸濁粒子の質量の百分率をX%としたとき、(100-X)%で求めることができる。
(硬化工程)
硬化工程では、懸濁粒子を、温度100℃を越え200℃未満で熱処理することで、懸濁粒子を硬化してフェノール樹脂粒子を得る。
具体的には、熱処理によって、懸濁粒子中のレゾール型フェノール樹脂をさらに架橋し、架橋体とすることで硬化させる。なお、フェノール樹脂粒子を好適に低密度化させる観点から、例えば、一部のレゾール型フェノール樹脂は架橋しないで残存することが好ましい。すなわち、フェノール樹脂粒子は、例えば、レゾール型フェノール樹脂と、レゾール型フェノール樹脂の架橋体とを含むことが好ましい。
熱処理する方法としては限定されず、大気圧下、気体中で行う方法であれば、従来公知の方法で行うことができる。
硬化工程における熱処理の温度の上限値としては、200℃未満であり、例えば、170℃未満であることが好ましく、150℃以下であることが好ましく、135℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが更に好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子の酸化を抑制できる。フェノール樹脂粒子が酸化してしまう場合、炭化工程における低密度化が好適に生じないことがある。したがって、熱処理の温度は上記上限値以下であることが好ましい。また、フェノール樹脂粒子中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、硬化しすぎることを抑制できる。これにより、フェノール樹脂粒子が適切に低密度化できる程度まで硬化を進行できる。
また、硬化工程における熱処理の温度の下限値としては、100℃を越えるものであり、例えば、105℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、フェノール樹脂粒子が適切に低密度化するまで硬化が進行する。したがって、炭化工程における低密度化を適切に生じ、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできる。
硬化工程における熱処理の時間の上限値としては、例えば、10時間以下であり、7時間以下であることが好ましく、5時間以下であることが更に好ましく、3時間以下であることが一層好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、硬化しすぎることを抑制できる。したがって、フェノール樹脂粒子が適切に低密度化する程度まで硬化を進行できる。
硬化工程における熱処理時間の下限値としては、例えば、0分を超える時間であり、30分間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、2時間以上であることがさらに好ましい。これにより、フェノール樹脂粒子中のレゾール型フェノール樹脂同士が架橋し、フェノール樹脂粒子が適切に低密度化するまで硬化が進行する。
本実施形態に係るフェノール樹脂粒子の製造方法では、乾燥工程と、硬化工程とを、大気下、気体中または減圧下で連続して行う。これにより、上述したようにフェノール樹脂粒子の硬化の程度及びフェノール樹脂粒子の表面の空孔の数が適切にできる。
上述したように乾燥工程、硬化工程は、連続して大気下で気体中、または、減圧下で行われる限り従来公知の方法を採用することができる。乾燥工程、硬化工程を連続して行う観点から、乾燥工程、硬化工程を行う方法としては、例えば、熱風乾燥機、減圧撹拌乾燥装置を用いることが好ましい。
なお、本実施形態において、連続とは、乾燥工程、硬化工程の間に、例えば、液体中の加熱工程といった他の加熱工程を含まないことを示す。例えば、乾燥工程の後篩分けをし、次いで硬化工程を行った場合でも、本実施形態において、乾燥工程、硬化工程を連続で行うことを示す。
(用途)
本実施形態に係るフェノール樹脂粒子は、例えば、造孔材用、電子部品用、充填材用、吸着剤用の炭化物粒子の原料として用いられる。
上記造孔材は、具体的には、耐火物、セラミックスなどに用いることができる。本実施形態に係る炭化物粒子の形状が空孔を有する形状の場合、炭化物粒子は、耐火物、セラミックスを焼成する過程で酸化除去することで、耐火物、セラミックスの気孔率を調整し、断熱性能を調整できる観点で、本実施形態に係る炭化物粒子は好適である。
上記電子部品は、具体的には電気二重層キャパシタの電極、リチウムイオン2次電池の電極などに用いることができる。
上記充填材は、具体的には成形材料および成形品などに用いることができる。
上記吸着剤は、具体的には、医薬用吸着剤、浄水用吸着剤、触媒担持用吸着剤、吸着カラムなどに用いることができる。
本実施形態に係るフェノール樹脂粒子は、炭化物粒子としたときに表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできる。これにより、上記具体例のうち例えば、造孔材用の炭化物粒子の原料として用いられることが好ましい。
本実施形態に係る炭化物粒子の平均粒径の下限値は、例えば、10μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。
また、本実施形態に係る炭化物粒子の平均粒径の上限値は、例えば、1000μm以下であることが好ましく、750μm以下であることがより好ましい。
炭化物粒子の平均粒径が上記数値範囲内であることで、炭化物粒子の取り扱い性を向上できる。また、造孔材として用いられる場合、軽量化できるため低密度な粒子が取り扱い性が向上でき、平面平滑性が調整可能であるため充填性も使用目的に応じて調整することができる。また、一例として、造孔材といった用途に用いる場合、マトリックスに分散させる際に、平均粒径が上記数値範囲内であることによって、分散を容易にするといった利点がある。
本実施形態に係る炭化物粒子のかさ比重の下限値は、例えば、0.100g/ml以上であることが好ましく、0.150g/ml以上であることがより好ましく、0.200g/ml以上であることが更に好ましい。これにより、本実施形態に係る炭化物粒子は、造孔材としての性能を発現しつつ、崩壊することが無い点で好ましい。
また、本実施形態に係る炭化物粒子のかさ比重の上限値は、例えば、1.000g/ml以下であることが好ましく、0.900g/ml以下であることがより好ましく、0.800g/ml以下であることが更に好ましい。これにより、本実施形態に係る炭化物粒子は、疎な構造となり、造孔材としての性能を発現することができる。
なお、本実施形態において、炭化物粒子のかさ比重は、例えば、ホソカワミクロン株式会社製パウダーテスターPT-Xを用いて評価することができる。
以下、本実施形態に係る炭化物粒子の製造方法について説明する。
(炭化物粒子の製造方法)
本実施形態に係る炭化物粒子の製造方法は、例えば、上述したフェノール樹脂粒子の製造方法で得られるフェノール樹脂粒子を、温度500℃以上3000℃以下で熱処理することにより炭化物粒子を得る炭化工程を含む。
また、本実施形態に係る炭化物粒子の製造方法は、例えば、炭化工程の後、炭化物粒子を賦活する賦活工程をさらに含んでもよい。
以下、各工程の詳細について説明する。
(炭化工程)
炭化工程では、上述したフェノール樹脂粒子の製造方法で得られるフェノール樹脂粒子を、温度500℃以上3000℃以下で熱処理することにより炭化物粒子を得る。
炭化工程における熱処理の方法としては限定されず、具体的には、バッチ式キルン、連続式ローラーハースキルン、連続式ロータリーキルンなどを用いることができる。
炭化工程では、分解反応によって発生した気体の一部がフェノール樹脂粒子を低密度化させる。また、フェノール樹脂粒子の低密度化すると同時に、炭化反応が進行する。
炭化物粒子の形状は、例えば、表面は平滑である。これにより、本実施形態に係る炭化物粒子は、表面平滑性、平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできる。
以上、実施形態に基づき、本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
フェノール類と、アルデヒド類と、親水性高分子と、親水性溶媒とを含む混合液を作製する準備工程と、
前記混合液を撹拌し、前記フェノール類と、前記アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する反応工程と、
前記懸濁粒子を、温度60℃以上100℃以下で熱処理することで、前記懸濁粒子から前記親水性溶媒を取り除く乾燥工程と、
前記懸濁粒子を、温度100℃を超え200℃未満で熱処理することで、前記懸濁粒子を硬化してフェノール樹脂粒子を得る硬化工程と、を含み、
前記乾燥工程と、前記硬化工程とを、大気圧下で気体中、または、減圧下で連続して行う、フェノール樹脂粒子の製造方法。
2.
1.に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
前記親水性溶媒は多官能アルコールを含む、フェノール樹脂粒子の製造方法。
3.
1.または2.に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
前記多官能アルコールはエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上である、フェノール樹脂粒子の製造方法。
4.
1.から3.のいずれか1つに記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
前記乾燥工程において、下記測定条件1に記載された前記懸濁粒子の含水率が5%以下になるまで、前記懸濁粒子に熱処理を行う、フェノール樹脂粒子の製造方法。
(測定条件1)
・前記懸濁粒子を、温度135℃で1時間熱処理した時の、熱処理前の前記懸濁粒子の質量に対する、熱処理後の前記懸濁粒子の質量の百分率をX%としたとき、(100-X)%を前記懸濁粒子の含水率とする。
5.
1.から4.のいずれか1つに記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
当該フェノール樹脂粒子の製造方法で得られるフェノール樹脂粒子は、造孔材用の炭化物粒子の原料として用いられる、フェノール樹脂粒子の製造方法。
6.
1.から5.のいずれか1つに記載のフェノール樹脂粒子の製造方法で得られるフェノール樹脂粒子を、500℃以上3000℃以下で熱処理することにより炭化物粒子を得る炭化工程を含む、炭化物粒子の製造方法。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
以下に、各実施例のフェノール樹脂粒子の製造方法を示す。
(実施例1)
まず、フェノール類であるフェノール1000質量部、アルデヒド類である37%ホルムアルデヒド水溶液1120質量部、親水性高分子である2%ヒドロキシエチルセルロース水溶液200質量部、親水性溶媒であるエチレングリコール41質量部及び純水235質量部を混合液の原料成分として準備した。次いで、上記原料成分を反応容器に投入し、均一に混合することで混合液を作製した。次いで、フェノールと、ホルムアルデヒドとを反応させるために、混合液に、温度40℃で塩基性触媒である33%トリエチレンテトラミン水溶液270質量部を60分間で逐次添加し、次いで、混合液を温度60℃に昇温して1時間反応させ、次いで、混合液を温度95℃に昇温し6時間反応させた。なお、フェノールと、ホルムアルデヒドとの反応は、混合液を撹拌しながら行った。これにより、フェノール及びホルムアルデヒドの懸濁粒子を作製した。
次いで、反応液を温度50℃まで冷却し、目開き100μmの金網で篩分けし、篩を通過しなかったものを懸濁粒子とした。
次いで、得られた懸濁粒子を1140質量部の純水中に分散させ、目開き100μm金網で金網を通過した懸濁粒子を除去する洗浄を5回繰り返し行った。なお、洗浄を行った懸濁粒子は1140質量部であった。これにより、懸濁粒子表面のヒドロキシエチルセルロースやイオン性の不純物を洗浄した。
次いで、得られた懸濁粒子を乾燥した。乾燥は、減圧撹拌乾燥装置として円錐型リボン混合/乾燥装置(大川原製作所製、製品名;リボコーン、型式:RM―50)を用いて、10kPaで常温から加熱を開始し、水分を減圧除去した。内温が90℃に到達した段階での乾燥した懸濁粒子の含水率は1.4%であった。
なお、含水率とは、乾燥した懸濁粒子を、温度135℃で1時間処理した際の重量変化率をX%としたとき、(100-X)%が含水率である。含水率の測定は、実施例1のフェノール樹脂粒子を作製する工程とは別に行った。
次いで、乾燥した懸濁粒子を加熱することで半硬化した。半硬化するための硬化条件は、引き続き円錐型リボン混合/乾燥装置を用いて、10kPaで温度110℃で2時間とした。
次いで、乾燥した懸濁粒子を目開き710μmの金網及び目開き250μmの金網を用いて篩分けした。これにより、乾燥した懸濁粒子のうち、目開き710μmの金網を通過し、目開き250μmの金網を通過しなかった懸濁粒子を取り出した。
これにより、乾燥工程と、硬化工程とを減圧下で連続して行うことによって、実施例1のフェノール樹脂粒子を得た。
(実施例2)
実施例1のフェノール樹脂粒子について、乾燥した懸濁粒子を半硬化するための硬化条件を温度150℃で1時間とした以外は、実施例1のフェノール樹脂粒子と同様の方法で実施例2のフェノール樹脂粒子を作製した。
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた懸濁粒子を熱風乾燥機を用いて、温度75℃で6時間乾燥した。乾燥した懸濁粒子の含水率は、2%であった。
次いで、乾燥した懸濁粒子を熱風乾燥機を用いて、温度110℃で2時間加熱することで半硬化した。
次いで、乾燥した懸濁粒子を目開き710μmの金網及び目開き250μmの金網を用いて篩分けした。これにより、乾燥した懸濁粒子のうち、目開き710μmの金網を通過し、目開き250μmの金網を通過しなかった懸濁粒子を取り出した。
これにより、乾燥工程と、硬化工程とを大気下で気体中、連続して行うことによって、実施例1のフェノール樹脂粒子を得た。
(実施例4)
実施例3のフェノール樹脂粒子について、乾燥した懸濁粒子を半硬化するための硬化条件を温度110℃で3時間とした以外は、実施例3のフェノール樹脂粒子と同様の方法で実施例4のフェノール樹脂粒子を作製した。
(炭化物粒子)
次いで、得られた各実施例のフェノール樹脂粒子を炭化することによって炭化物粒子とし、その物性を評価した。
炭化物粒子は、JIS K6910の5.20(固定炭素分)に準ずる方法で得られたものを炭化物粒子として取り出した。
以下の方法で、平均粒子径、かさ比重といった炭化物粒子の物性を測定した。
(平均粒子径)
各実施例に係る炭化物粒子について、平均粒子径を測定した。測定は、レーザー回折粒度分布測定装置(HORIBA製:LA-950V2)を用いて行った。評価結果を下記表1に示す。なお、単位はμmである。
(かさ比重)
各実施例に係る炭化物粒子について、かさ比重を測定した。
かさ比重は、JIS K 1474の充填密度の項に準じて、測定した。
Figure 0007243136000001
上記表1に示す通り、実施例1に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法は、安全性の低い作業工程を含むことなく、さらに、フェノール樹脂粒子を炭化物粒子としたときに平均粒径、かさ比重といった物性を所望の範囲内とできることが確認された。
(実施例5、表面観察)
また、親水性溶媒として純水389質量部を用いた以外は、実施例3と同様の条件で、実施例5のフェノール樹脂粒子を作製した。
次いで、実施例3及び実施例5のフェノール樹脂粒子について表面観察を行った。表面観察は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて行った。実施例3、5のフェノール樹脂粒子の表面観察結果を、それぞれ図1、2に示す。これにより、実施例3のフェノール樹脂粒子は、実施例5のフェノール樹脂粒子と比べて、表面が平滑で、さらに、空孔の数が少なく、空孔の大きさが小さいことが確認された。これにより、実施例3のフェノール樹脂粒子は、実施例5のフェノール樹脂粒子と比べて、表面の平滑性を制御できており、さらに、炭化物とするときに好適に低密度化させることができる。故に、表面平滑性といった物性を所望の範囲内とできることが確認された。

Claims (6)

  1. 全てのフェノール類と、全てのアルデヒド類と、親水性高分子と、親水性溶媒とを含む混合液を作製する準備工程と、
    前記混合液を撹拌し、前記混合液に塩基性触媒を逐次添加しながら、前記フェノール類と、前記アルデヒド類とを反応させ、懸濁粒子を形成する反応工程と、
    前記懸濁粒子を、温度60℃以上100℃以下で熱処理することで、前記懸濁粒子から前記親水性溶媒を取り除く乾燥工程と、
    前記懸濁粒子を、温度100℃を超え200℃未満で熱処理することで、前記懸濁粒子を硬化してフェノール樹脂粒子を得る硬化工程と、を含み、
    前記乾燥工程と、前記硬化工程とを、大気圧下で気体中、または、減圧下で連続して行う、フェノール樹脂粒子の製造方法。
  2. 請求項1に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
    前記親水性溶媒は多官能アルコールを含む、フェノール樹脂粒子の製造方法。
  3. 請求項2に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
    前記多官能アルコールはエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上である、フェノール樹脂粒子の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
    前記乾燥工程において、下記測定条件1に記載された前記懸濁粒子の含水率が5%以下になるまで、前記懸濁粒子に熱処理を行う、フェノール樹脂粒子の製造方法。
    (測定条件1)
    ・前記懸濁粒子を、温度135℃で1時間熱処理した時の、熱処理前の前記懸濁粒子の質量に対する、熱処理後の前記懸濁粒子の質量の百分率をX%としたとき、(100-X)%を前記懸濁粒子の含水率とする。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法であって、
    当該フェノール樹脂粒子の製造方法で得られるフェノール樹脂粒子は、造孔材用の炭化物粒子の原料として用いられる、フェノール樹脂粒子の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のフェノール樹脂粒子の製造方法で得られるフェノール樹脂粒子を、500℃以上3000℃以下で熱処理することにより炭化物粒子を得る炭化工程を含む、炭化物粒子の製造方法。
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