JP2015182902A - 多孔質炭素材料の製造方法及びそれにより得られる多孔質炭素材料並びに多孔質活性炭材料 - Google Patents

多孔質炭素材料の製造方法及びそれにより得られる多孔質炭素材料並びに多孔質活性炭材料 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間で粒子合成が完了し、スピノーダル分解や多孔化させる工程で溶媒置換及び凍結乾燥などの特別な操作を行うことなく、容易に多孔質炭素材料を製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物と、少なくともホルムアルデヒドを含むアルデヒド類とを、炭素数が8以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸からなる有機酸触媒を用いて、水性媒体中において、反応せしめることにより、硬化樹脂粒子を含む溶液を形成する第一工程と、かかる硬化樹脂粒子を含む溶液から、その液体成分を除去して、硬化樹脂粒子の凝集体を形成する第二工程と、該硬化樹脂粒子の凝集体を焼成することからなる第三工程とを含む方法により、多孔質炭素材料を製造するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性樹脂粒子を凝集させて、その得られた凝集体を焼成することにより、多孔質炭素材料を製造する方法及びそれにより得られる多孔質炭素材料並びに多孔質活性炭材料に関するものである。
従来から、多孔質炭素や多孔質活性炭からなる多孔質の炭素材料は、その優れた特性を利用して、吸着剤、分離材、触媒担体、電池の電極材料などの幅広い領域で利用可能とされ、目的に応じて、そのような多孔質炭素材料を、その細孔を制御して、製造する技術が、これまでに種々提案されてきている。
例えば、かかる多孔質炭素材料の製造法としては、熱硬化性樹脂と、細孔を形成するための熱可塑性樹脂とを混合させた後、熱硬化性樹脂を硬化せしめ、次いで溶剤による溶出によって熱可塑性樹脂を除去した後、焼成することにより、多孔質炭素材料を形成する方法(特許文献1)や、所定の熱硬化性樹脂を、細孔形成剤の存在下で縮合せしめて、形成した後、洗浄や減圧蒸留によって細孔形成剤を除去し、炭化することにより、多孔質炭素材料を製造する方法(特許文献2)が、提案されているのである。
しかしながら、上記の熱可塑性樹脂を混合せしめる方法では、焼成前に、熱可塑性樹脂成分を溶剤による溶解処理等により抽出する工程を必要とするため、製造工程が多く、煩雑になるという問題があった。また、細孔形成剤を混合せしめる方法においても、同様に、樹脂硬化後、細孔形成剤を洗浄する工程が必要となるため、製造工程が多く、煩雑になる問題が内在している。
また、特許文献3においては、メソ細孔性シリカを鋳型とし、このメソ細孔シリカに、フェナントレンと酸を含む前駆体混合物を含浸せしめ、そしてそれを炭化させた後、シリカのみを選択的に溶解させることで、メソ細孔性炭素体を製造する方法が、提案されている。
しかしながら、この方法では、初めに製造した前駆体混合物をメソ細孔性シリカに含浸させた後、長時間かけて熱処理をする工程や、炭化の後、鋳型の役割を果たすシリカを、危険なフッ酸(HF)または水酸化ナトリウム(NaOH)などを使用して、除去する工程が必要となるために、製造工程が多く、煩雑になると共に、十分な安全対策を講じる必要があるという問題や、有機/無機複合系の多孔材料であるために、脆くて割れやすいという問題があった。
さらに、特許文献4においては、芳香族環に2個以上のヒドロキシル基が置換した構造を持つフェノール類の中から選択された1種類以上のモノマーと、アルデヒド類の中から選択された1種以上のモノマーとの共重合体を骨格成分とする高分子化合物を、不活性雰囲気下において焼成することにより、高比表面積の炭素を得る方法が、明らかにされている。
しかしながら、この方法では、先ず、粒子合成工程において、反応温度が25℃という低い温度で反応を行う工程を有するために、反応が終了するまでに4日間という長時間を必要としており、また得られた共重合体を酸と混合して、繰り返し処理する工程をも必要とするため、全体として多工程となる問題を有するものであった。
その他、多孔質カーボン粒子を作製する方法も種々開発されており、例えば、特許文献5では、レゾルシノールとホルムアルデヒドとを、触媒としての炭酸ナトリウムの存在下において、ゾル−ゲル重合反応させ、得られた反応生成物を界面活性剤の存在下でエマルジョン・ゲル化させた後、溶媒置換、凍結乾燥して得られた乾燥粒子を、不活性ガス雰囲気下で焼成炭化して、多孔質カーボンを生成する方法が、明らかにされている。
しかしながら、この方法では、ゲル化が完了するまでに、長い場合には40時間程を要し、その後の工程でも、溶媒置換、凍結乾燥など煩雑な工程が必要とされるために、実用的ではない。
特許第4018940号公報 特許第4834281号公報 特許第4471174号公報 特許第5011535号公報 特開2004−315283公報
ここにおいて、本発明は、上記せる如き問題に鑑みて為されたものであって、その解決課題とするところは、短時間で粒子合成が完了し、スピノーダル分解や多孔化させる工程で溶媒置換及び凍結乾燥などの特別な操作を行うことなく、容易に多孔質炭素材料を製造し得る方法を提供することにある。
そして、本発明は、かかる課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載及び図面に開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1)硬化樹脂粒子を凝集させて、その凝集体を焼成することにより、多孔質炭素材料を製造する方法であって、ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物と、少なくともホルムアルデヒドを含むアルデヒド類とを、炭素数が8以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸からなる有機酸触媒を用いて、水性媒体中において、反応せしめることにより、硬化樹脂粒子を含む溶液を形成する第一工程と、かかる硬化樹脂粒子を含む溶液から、その液体成分を除去して、硬化樹脂粒子の凝集体を形成する第二工程と、該硬化樹脂粒子の凝集体を焼成することからなる第三工程と、を含むことを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
(2)前記第一工程で形成される硬化樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以下であることを特徴とする上記態様(1)に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(3)前記第一工程で形成された硬化樹脂粒子を含む溶液に、バインダー成分を添加してなることを特徴とする上記態様(1)または上記態様(2)に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(4)前記バインダー成分が、カチオン性、ノニオン性、アニオン性または両性の水溶性高分子であることを特徴とする上記態様(3)に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(5)前記第一工程の反応が、更に、保護コロイドおよび/または界面活性剤の存在下において、行われることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(4)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(6)前記第二工程における溶液中の液体成分の除去が、蒸発によって行われることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(5)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(7)前記第二工程における溶液中の液体成分の除去が、ろ過によって行われることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(5)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(8)前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物と前記アルデヒド類との反応を、静置状態下において、進行せしめることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(7)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(9)前記水性媒体のpHを2〜4に調整して、反応せしめることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(8)の何れか1つに記載の多孔質炭素の製造方法。
(10)前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物が、レゾルシノール及びフロログルシノールのうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(9)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(11)前記アルデヒド類と前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物との反応モル比(アルデヒド類/フェノール類化合物)が、1〜7であることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(10)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(12)前記有機酸触媒が、前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物の100質量部に対して0.5〜4.0質量部の割合において、用いられることを特徴とする上記態様(1)乃至上記態様(11)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法。
(13)上記態様(1)乃至上記態様(12)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料の製造方法によって形成されてなる多孔質炭素材料。
(14)前記多孔質炭素材料の平均細孔径が、2nm以上50nm以下であることを特徴とする上記態様(13)に記載の多孔質炭素材料。
(15)前記多孔質炭素材料の細孔容量が、100〜1000mm3 /gであることを特徴とする上記態様(13)または上記態様(14)に記載の多孔質炭素材料。
(16)上記態様(13)乃至上記態様(15)の何れか1つに記載の多孔質炭素材料を賦活することにより得られる多孔質活性炭材料。
(17)平均粒子径が500nm以下である硬化樹脂粒子を凝集せしめ、その凝集体を焼成することによって得られ、平均細孔径が2nm以上50nm以下であることを特徴とする多孔質炭素材料。
(18)前記多孔質炭素材料の細孔容量が、100〜1000mm3 /gであることを特徴とする上記態様(17)に記載の多孔質炭素材料。
(19)上記態様(17)または上記態様(18)に記載の多孔質炭素材料を賦活することにより得られる多孔質活性炭材料。
以上の構成によって、本発明は、以下に列記するように、多岐にわたる優れた作用効果を奏するものとなり、これによって、得られた多孔質炭素材料が各種分野において有利に使用されることが期待されるのである。
(1)メソ孔を有する多孔質炭素材料を、特別な装置を用いることなく、少ない製造工程で容易に製造することが出来る。
(2)表面も多孔化された多孔質炭素材料を製造することが出来る。
(3)配合を変えて粒径を変化させたり、バインダー成分やその使用量を変えたりすることで、得られる多孔質炭素材料における細孔径を容易に調整することが出来る。
実施例1において得られた多孔質炭素材料のSEM写真である。 実施例7において得られた多孔質炭素材料のSEM写真である。 比較例3において得られた多孔質炭素材料のSEM写真である。
ところで、本発明に従う多孔質炭素材料の製造方法においては、第一工程で、先ず、硬化樹脂粒子が調製されることとなる。即ち、ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物と、少なくともホルムアルデヒドを含むアルデヒド類とを用い、それらを、炭素数が8以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸からなる有機酸触媒を用いて、水性媒体中において、反応せしめることにより、硬化樹脂粒子を含む溶液が形成されるのである。
そして、このときに形成される硬化樹脂粒子の平均粒子径としては、500nm以下であることが好ましく、また300nm以下がより好ましく、180nm以下がさらに好ましい粒子径である。特に、本発明に従う特定のフェノール類化合物とアルデヒド類との反応により、平均粒子径が10nmから500nmまでのものが、有利に形成され得るのである。平均粒子径が500nm以下であることにより、かかる粒子を凝集させた際に形成される粒子間の隙間の大きさを、多孔質炭素材料を形成したときに、その細孔径が2nm以上50nm以下になるように制御することが容易に可能となるのであり、また平均粒子径が300nm以下、更には180nm以下であることにより、多孔質炭素材料を形成したときに、その細孔径が2nm以上30nm以下、更には5nm以上25nm以下になるように制御することが容易となる。これに対して、500nmを超える大きさの粒子を凝集させた場合には、50nmを超える大きさのマクロ孔が形成され易くなり、吸着特性が低下する恐れが生じるようになる。
また、本発明において、硬化樹脂粒子の形成のために用いられる、ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物としては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、ピロガロールなどが挙げられるが、アルデヒド類との反応性が高いことから、レゾルシノールやフロログルシノールのうちの少なくとも一つを用いることが好ましい。特に、このような特定のフェノール類化合物を用いることによって、本発明の目的が有利に達成されることとなるのである。
さらに、かかる特定のフェノール類化合物と反応せしめられるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドを少なくとも含むアルデヒド類を用いる必要がある。そこで、必須成分たるホルムアルデヒドとしては、水溶液の形態であるホルマリン、パラホルムアルデヒド等を用いることが出来る。勿論、そのようなアルデヒド類として、ホルムアルデヒドを単独で用いても良いが、またホルムアルデヒドを必須成分として、これに、トリオキサン、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒドや、これら以外の公知のアルデヒド化合物等を1種以上組み合わせて、用いることも可能である。
なお、それらアルデヒド類とフェノール類化合物との反応のための配合比(アルデヒド類/フェノール類化合物)については、特に限定されるものではないが、好ましくは、モル基準で、1〜7、より好ましくは5未満、更に好ましくは3未満である。この配合比が7を超えるようになると、未反応のアルデヒド類が増加して、生産効率が低下する恐れを生ずる。
そして、上記したフェノール類化合物と、ホルムアルデヒドを少なくとも含むアルデヒド類とを反応せしめる有機酸触媒としては、炭素数が8以上のアルキルベンゼンスルホン酸、好ましくは炭素数が10以上、24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸が、有利に用いられることとなる。具体的には、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸等が、単独で又は組み合わせて、用いられることとなるが、それらの中でも、経済性や入手容易性、触媒機能等の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸が、特に有利に用いられる。
かくの如き有機酸触媒は、フェノール類化合物の100質量部に対して0.5〜4.0質量部の割合において用いられることが望ましく、好ましくは1.0〜4.0質量部、更に好ましくは2.6〜4.0質量部の割合において用いられることが、より望ましい。なお、4.0質量部より多い使用量となると、反応によって寒天状のゲルが出来易くなる問題があり、また0.5質量部より少ないと、粒子径が大きくなって、500nmを超える大きさの粒子になり易くなるという問題がある。
本発明において、反応媒体としての水性媒体を与える水の使用量としては、仕込みフェノール類化合物の量に対して、5質量倍から30質量倍の割合を挙げることができる。この水の使用量が5質量倍よりも少なくなると、塊状化し易くなる問題が生じ、また30質量倍よりも多くなると、収量が少なくなり、経済的ではなくなる。
また、本発明においては、有機酸触媒を用いた場合には、反応時のpHが2〜4の範囲内となるようにして、反応させることが望ましく、より望ましくはpHが2〜3.8、更に望ましくはpHが2〜3の範囲で反応させることが好適である。なお、pHが2より小さくなると、寒天状のゲルが出来易くなり、またpHが4を超え5以下の範囲では、500nm超えの粒子が形成され易くなる問題がある。更に、pHが6から中性となる場合にも、寒天状のゲルが出来易くなるという問題がある。所定の有機酸触媒を用い、pHが2〜4の範囲内の酸性の状態下で反応させることで、硬化樹脂粒子を短時間で有利に形成することが出来る。特に、そのような触媒として、炭素数が8以上のアルキルベンゼンスルホン酸を用いることにより、平均粒子径が500nm以下の良好な硬化樹脂粒子を有利に得ることが出来るのである。
なお、本発明に従う第一工程における反応前の水性媒体には、更に、保護コロイドや界面活性剤を添加することも出来る。これらを添加することによって、いびつな粒子の副生を大幅に低減することが出来る利点がある。また、かかる保護コロイドと界面活性剤は、各々単独で用いても良く、併用して用いても、何等差し支えない。
ここで、保護コロイド剤としては、例えば、アラビアガム、ガッチガム、ヒドロキシアルキルグアルガム、部分加水分解ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子化合物を例示することが出来、それらの中でも、特に、アラビアガムが好適に用いられ得るのである。なお、このような保護コロイドは、単独で用いることも、又は2種以上を組み合わせて用いることも、可能である。
また、界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性イオン系界面活性剤の何れも使用することができるが、併用される有機酸触媒等の機能を阻害しない等の観点から、有利には、非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤が用いられる。このような非イオン系界面活性剤としては、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン酸脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とを有するポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びその誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を例示することが出来る。また、アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデカンスルホン酸ナトリウム等のアルカンスルホン酸塩等を例示することが出来る。
さらに、それらの使用量は、用いられる保護コロイドや界面活性剤の種類等に応じて適宜に決定されることとなるが、一般的には、それぞれ、フェノール類化合物の100質量部に対して、0.1〜10質量部の割合において用いられることが望ましく、好ましくは0.1〜5質量部の割合となるように、更に好ましくは0.1〜3質量部の割合において用いられることが、より望ましい。
そして、本発明に従う硬化樹脂粒子を得るための、ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物とアルデヒド類との反応は、特に小径の硬化樹脂粒子を得るためには、有利には、反応液を静置した、換言すれば撹拌しない状態下において、進行せしめられることが望ましい。その理由としては、ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物としてのレゾルシノールまたはフロログルシノールとアルデヒド類とは、反応性が高く、粒子生成後、短時間で硬化するという特徴を有していることを挙げることが出来る。レゾルシノールまたはフロログルシノールとアルデヒド類との反応で生成した硬化前の粒子は、重力の影響を受け、沈降しようとするが、その反応性の高さから、沈降前に硬化してしまうため、攪拌は不必要となるのである。逆に、攪拌を行なうと、硬化前の粒子同士の衝突確率が高くなってしまい、未硬化の粒子が相互に固着して、塊状になったものを生成し易くなる傾向がある。また、粒子径をより小さく形成するためには、保護コロイドは用いないほうが、特に、100nm以下の硬化樹脂粒子が形成され易くなることから、有効である。
なお、本発明における硬化樹脂粒子の粒子径は、あくまでも、多孔質炭素材料や多孔質活性炭材料の細孔をコントロールするために決められるものであり、必ずしも小径である必要はないため、硬化樹脂粒子をあまり小径に設ける必要がない場合には、撹拌等による混合を行っても良く、保護コロイド等を用いても良い。
本発明において、フェノール類化合物とホルムアルデヒドを含むアルデヒド類との反応に際して、その反応温度としては、反応効率の観点から、一般に50℃以上の温度が採用されるが、好ましくは65℃以上であり、より好ましくは80℃以上、100℃以下である。また、反応時間は、反応温度、反応系の水分量、反応生成物の縮合状況等を考慮しながら、適宜に決定されることとなるが、本発明においては、5時間以内で反応が完結するようにされる。5時間よりも長く反応を続けると、系内で粒子同士の融着・合一化が進行して、粒子径が拡大してしまう恐れがあり、更に反応が長時間になると、寒天状のゲルとなってしまうので、微細な粒子を得るためには、反応時間は、5時間以内が望ましく、具体的には1〜5時間、特に1〜4時間が、より好ましく採用される。
また、本発明において、第一工程で反応が終了した後、反応後の硬化樹脂粒子を含む溶液に、バインダー成分を添加することが出来る。このバインダー成分を添加することによる利点としては、バインダー量やバインダー成分の焼失性の違いにより、細孔径を制御することが出来る点と、粒子を凝集させ易くなるために、ろ過性を向上させることが出来る点が挙げられる。バインダー成分は、カチオン性、ノニオン性、アニオン性または両性の天然若しくは合成の水溶性高分子であることが望ましく、具体的には、カチオン性水溶性高分子としては、ポリジメチルアミノエチルメタアクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレート等、ノニオン性水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等、アニオン性水溶性高分子としては、アラビアガム、ガッチガム、ヒドロキシアルキルグアルガム等の化合物を例示することが出来る。また、両性水溶性高分子は、分子内にアニオン性基としてカルボキシル基、スルホン酸基を有し、カチオン性基として第三級アミン、その中和塩、四級塩等を有するものをいい、これらのイオン成分の他にノニオン性成分が含まれているものであってもよい。両性水溶性高分子に用いられるカチオン性モノマー単位としては、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等、アニオン構成単位としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
このようなバインダー成分の使用に関して、細孔径の制御という点では、主にバインダー添加量が起因することが考えられ、これを増加させるほど、細孔径が大きくなる。しかしながら、バインダー種・分子量などの違いを含めると、この限りではない。また、粒子の凝集性・ろ過性という点では、バインダー成分自身の持つ電荷や分子量により効果が異なる。バインダー成分同士を比較すると、カチオン性が最も凝集性・ろ過性が高く、次いでノニオン性、アニオン性の順で効果を有しているため、各バインダー成分の有する粘度にもよるが、傾向として、より凝集性・ろ過性を高める場合には、カチオン性のものを用いることが効果的である。なお、これらのバインダー成分は、凝集を制御するために、単独で用いても、2種類以上を併用して用いても良い。
また、バインダー成分の使用量は、バインダー成分として用いられる水溶性高分子の種類等に応じて適宜に決定されることとなるが、一般的には、フェノール類化合物100質量部に対して、1〜20質量部程度の割合において用いられることが望ましく、より好ましくは1〜18質量部の割合となるように、更に好ましくは1〜15質量部の割合において用いられることとなる。
さらに、かかるバインダー成分を投入した後は、凝集を促進するための保持時間を、適宜に設けることが可能である。このバインダー成分の投入後の保持時間は、バインダー成分の効果に依存することとなる。即ち、容易に凝集可能なバインダー成分を用いた場合には、特に保持時間は必要としないが、凝集に時間を要するバインダー成分を用いた場合には、凝集が完了するまで保持時間を設けて、その間に、撹拌等の操作も適宜に実施されることとなる。
そして、上記した第一工程の後に採用される本発明に従う第二工程においては、硬化樹脂粒子を含む溶液から、液体成分である水が蒸発等により除去されて、硬化樹脂粒子の凝集体が形成せしめられる。この水を除去する方法としては、自然乾燥、熱風乾燥、スプレードライによる噴霧乾燥、加熱乾燥などの乾燥方法が、望ましい方法として挙げられる。また、バインダー成分を用いて凝集体を形成せしめ、乾燥前に、ろ過・デカンテーション等により残存モノマー成分等の除去・洗浄を行い、その後乾燥を行うという手法を用いることも可能である。このようにして、水分が除去されることで、粒子が凝集すると共に、粒子が密状態に積み重なるように充填乃至は集積されて、凝集せしめられた粒子同士の間に隙間が形成されるようになる。そして、この隙間が、細孔となるのである。なお、樹脂粒子分散溶液に残存するモノマーやオリゴマー成分は、樹脂粒子同士の凝集を促すバインダーとすることが出来る。さらに、第一工程において同等の大きさの硬化樹脂粒子が得られた場合でも、その樹脂粒子分散溶液に、前述の如き水溶性高分子をバインダー成分として添加すると、水溶性高分子種やその添加量によって粒子の凝集性を変化させることが出来るところから、この凝集状態を要望に合わせて変化させて、粒子を凝集集積せしめてなる凝集体を得ることが出来るので、これにより、水を除去した後に細孔径となり得る隙間の大きさを制御することが可能となる。
また、かかる第二工程に続く第三工程では、先の第二工程で得られた硬化樹脂粒子の凝集体を焼成することで、目的とする多孔質炭素材料が形成されることとなるのである。なお、この焼成は、公知の各種の手法に従って実施され得、例えば、得られた凝集体を、ロータリー式外熱炉等を用いて、窒素雰囲気下において、400〜850℃で炭素化することにより、目的とする多孔質炭素材料が得られることとなる。
このように、本発明においては、先の第一工程に従って、有機酸触媒を用いることにより、短時間で硬化樹脂粒子を有利に得ることが出来、また第二工程において、得られた硬化樹脂粒子の溶液中の液体成分を除去して粒子を凝集・充填させ、その後、これを、第三工程で焼成することからなる簡単な作業手順によって、2nm以上50nm以下のメソ孔を有する多孔質炭素を容易に且つ有利に製造することが出来るのである。
なお、従来の手法に従って樹脂粒子を形成して凝集させることにより得られた凝集体にあっては、凝集体の表面に界面ができることにより、スキン層が形成されるところから、多孔質炭素材料を形成した際に、表面の吸着性を悪化させることがあるのに対し、本発明に従う製造方法によって得られた多孔質炭素材料にあっては、凝集体の形成時にスキン層が形成されることがないために、得られる多孔質炭素材料は、より高い吸着性能を有するものとなる特徴を有している。
かくの如き本発明に従う工程により得られた多孔質炭素材料の平均細孔径は、2nm以上50nm以下であることが望ましく、2nm以上30nm以下であることが、より望ましい。この範囲の細孔を有することで、例えば吸着剤として用いた場合には、活性炭(2nm以下のミクロ孔を有する)では吸着出来ないような、2nm以上の分子や酵素、また金属錯体触媒等の物質を容易に吸着することが可能となるのである。
また、本発明に従って得られた多孔質炭素材料は、連通孔を有している。このような連通孔を有することにより、例えば吸着剤として使用した場合には、吸着速度を上げることができるといったメリットがあり、フィルターやカラムに使用した場合には、圧力損失を下げることが可能となる。
さらに、本発明に従って得られた多孔質炭素材料は、そのかさ密度が、0.4〜0.9g/mlであることが望ましく、好ましくは0.4〜0.8g/ml、更に好ましくは0.4〜0.7g/mlの割合において用いられることが、より望ましい。なお、かさ密度が0.9g/ml以上となると、粒子の充填性は向上するが、吸着速度が低下する等、吸着性が低下する恐れがある。
更にまた、本発明に従う多孔質炭素材料は、その細孔容量が、100〜1000mm3 /gであることが望ましく、好ましくは100〜800mm3 /g、更に好ましくは100〜600mm3 /gの範囲内であることが、より望ましい。なお、細孔容量が1000mm3 /g以上になると、吸着性は向上するものの、物質の選択吸着性が低下する恐れがあり、また、100mm3 /g以下となった場合には、吸着性そのものが低下する恐れが生じる。
加えて、このような多孔質炭素材料には、適当な賦活処理が施されることによって、目的とする活性炭が形成されることとなる。なお、この多孔質炭素材料の賦活は、公知の手法に従って実施することが出来、例えば、ガス賦活や薬品賦活の何れかを採用して、500〜1000℃の温度で賦活処理を実施することにより、目的とする活性炭材料が形成され得るのである。また、この賦活工程は、上記した炭素化工程に引き続いて、連続して行なうことが出来る他、別個の工程として、独立して実施することも可能である。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明の特徴を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものではないことが理解されるべきである。なお、得られた球状硬化樹脂粒子及び多孔質炭素材料の性能は、以下に示す方法に従って評価された。
(1)平均粒子径
大塚電子株式会社製ゼータ電位・粒径測定装置ELS−Z2を用いて、動的光散乱法により、測定を行った。解析は、CONTIN法により行い、散乱強度分布基準での平均粒径値を、粒径(D50)とした。なお、粒子径は、第一工程で反応後に形成された硬化樹脂粒子を溶液中から抜き取るか、或いはブランク溶媒で希釈して、測定した。
(2)SEM
日本電子株式会社製電界放出走査電子顕微鏡FE−SEM(JSM−7600F)を用いて、50000倍の倍率において、撮影した。また、5000倍の倍率の写真は、株式会社日立製作所製日立操作電子顕微鏡S−236ON形を用いて、撮影した。
(3)比表面積
日本ベル株式会社製自動比表面積/細孔分布測定装置BELSORP−miniIIを用いて、ガス吸着測定(媒体:窒素)を行い、解析は、BET法により行った。
(4)細孔容量
日本ベル株式会社製自動比表面積/細孔分布測定装置BELSORP−miniIIを用いて、ガス吸着測定(媒体:窒素)により、算出した。
(5)細孔分布
日本ベル株式会社製自動比表面積/細孔分布測定装置BELSORP−miniIIを用いて、ガス吸着測定(媒体:窒素)を行い、細孔解析はDH(de Boer式採用)法により行った。
(実施例1)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、16%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(DBSNa)1.9質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、内容物を攪拌混合せしめた後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を得た。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。また、ここで得られた多孔質炭素材料の50000倍の倍率のSEM写真を、図1に示す。
(実施例2)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、16%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(DBSNa)0.9質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、内容物を攪拌混合せしめた後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、ヒドロキシエチルセルロースの4.5質量部を加え、85℃で撹拌混合した。そして、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を製造した。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(実施例3)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、16%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(DBSNa)0.9質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、内容物を攪拌混合せしめた後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、アラビアガムの4.5質量部を加え、85℃で撹拌混合した。そして、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を製造した。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(実施例4)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、ヒドロキシエチルセルロースの9質量部を加え、85℃で撹拌混合した。そして、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を製造した。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(実施例5)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、16%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(DBSNa)0.9質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、アラビアガムの9質量部を加え、85℃で撹拌混合した。その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を製造した。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(実施例6)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、16%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(DBSNa)0.9質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)38質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、ヒドロキシエチルセルロースの20質量部を加え、85℃で撹拌混合した。そして、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を製造した。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(実施例7)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液を霧状の液滴として加熱炉内に噴霧することにより、水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を製造した。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。また、ここで得られた多孔質炭素材料のSEM写真を、図2に示す。
(実施例8)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水1500質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)30質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を得た。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(実施例9)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水1500質量部、16%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(DBSNa)0.9質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)30質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を得た。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(実施例10)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、フロログルシノール15質量部、37%ホルマリン299質量部、水1300質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)15質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を得た。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表1に示した。
(比較例1)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、レゾルシノール150質量部、37%ホルマリン300質量部、水1500質量部、及び炭酸ナトリウム0.2質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、80℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を得た。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表2に示した。
(比較例2)
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器内に、フェノール150質量部、37%ホルマリン280質量部、水2250質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、静置した状態下で、90℃まで加熱して、反応させたが、反応は進行しなかった。この反応時に採用したpH、反応時間を、下記表2に示した。
(比較例3)
温度計、攪拌装置、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、フェノール150質量部、37%ホルマリン155質量部、水300質量部、10%アラビアガム45質量部、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(DBS)45質量部を仕込んで、その内容物を攪拌混合した後、そのまま撹拌しながら、95℃まで加熱して、反応させることにより、硬化樹脂粒子を生成せしめた。その後、その得られた硬化樹脂粒子含有溶液から水分を蒸発させて、凝集体を形成せしめ、次いでその凝集体を、電気炉にて700℃で焼成することにより、目的とする多孔質炭素材料を得た。
上記の反応時に採用したpH、反応時間、測定された硬化樹脂粒子の粒径と共に、得られた多孔質炭素材料の細孔径、比表面積、及び細孔容量を測定し、下記表2に示した。また、ここで得られた多孔質炭素材料の5000倍の倍率のSEM写真を、図3に示す。
Figure 2015182902
Figure 2015182902
かかる表1の結果より、本発明に従う製造方法によって、細孔径が2nm以上50nm以下のメソ孔を有する多孔質炭素材料を、特別な装置を用いることなく、少ない製造工程で、容易に製造することが出来ることが理解される。また、実施例2及び実施例3のように、バインダー成分を変えることで、多孔質炭素材料の細孔径の大きさを調整することが可能となることが判る。更に、実施例8や実施例9のように、水や有機酸触媒の量を調整することで、粒径を変えることが出来、これにより、細孔径の大きさを調整することが可能となることも理解される。更にまた、実施例2、実施例4、実施例6で比較してみると、添加するヒドロキシエチルセルロース量が増加する程、細孔径が大きくなっていることが判る。
また、表2の結果より、比較例1のように、本発明で規定される有機酸触媒を用いずに、アルカリ触媒を用いると、メソ孔を有する多孔質炭素材料を得ることは出来ても、粒子合成反応に72時間もかかってしまうことが認められる。そして、比較例2の結果より、ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物に該当しないフェノールを用いると、実施例7と同様の条件下で反応させても、粒子径を500nm以下にするために用いられる水の量が比較的多いため、反応が進行せずに、粒子を形成することが出来ないことが認められる。また、比較例3に示されるように、フェノールを用いて硬化樹脂粒子を合成し、多孔質炭素材料を作製したところ、細孔径として2nm以下のミクロ孔が形成されることが認められる。
さらに、図1、図2に示される実施例1及び実施例7の多孔質炭素材料の写真から明らかな如く、その何れにおいても、50nm前後の樹脂粒子が凝集し、凝集体を形成しており、かつ粒子同士の隙間が細孔化し、メソ孔の大きさを成している。これに対して、図3から明らかなように、フェノールを用いた場合には、凝集された粒子同士の間の隙間には、マクロ孔の形成が確認される。これは、測定では、マクロ孔は計測されずに、粒子の表面に形成されたミクロ孔が測定されたものであって、粒径が大きいために、目的の大きさであるメソ孔は得られなかったことが認められる。

Claims (19)

  1. 硬化樹脂粒子を凝集させて、その凝集体を焼成することにより、多孔質炭素材料を製造する方法であって、
    ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物と、少なくともホルムアルデヒドを含むアルデヒド類とを、炭素数が8以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸からなる有機酸触媒を用いて、水性媒体中において、反応せしめることにより、硬化樹脂粒子を含む溶液を形成する第一工程と、
    かかる硬化樹脂粒子を含む溶液から、その液体成分を除去して、硬化樹脂粒子の凝集体を形成する第二工程と、
    該硬化樹脂粒子の凝集体を焼成することからなる第三工程と、
    を含むことを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
  2. 前記第一工程で形成される硬化樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以下であることを特徴とする請求項1記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  3. 前記第一工程で形成された硬化樹脂粒子を含む溶液に、バインダー成分を添加してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  4. 前記バインダー成分が、カチオン性、ノニオン性、アニオン性または両性の水溶性高分子であることを特徴とする請求項3記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  5. 前記第一工程の反応が、更に、保護コロイドおよび/または界面活性剤の存在下において、行われることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  6. 前記第二工程における溶液中の液体成分の除去が、蒸発によって行われることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  7. 前記第二工程における溶液中の液体成分の除去が、ろ過によって行われることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  8. 前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物と前記アルデヒド類との反応を、静置状態下において、進行せしめることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  9. 前記水性媒体のpHを2〜4に調整して、反応せしめることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の多孔質炭素の製造方法。
  10. 前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物が、レゾルシノール及びフロログルシノールのうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  11. 前記アルデヒド類と前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物との反応モル比(アルデヒド類/フェノール類化合物)が、1〜7であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  12. 前記有機酸触媒が、前記ベンゼン環に水酸基が2個以上結合したフェノール類化合物の100質量部に対して0.5〜4.0質量部の割合において、用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法。
  13. 請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の多孔質炭素材料の製造方法によって形成されてなる多孔質炭素材料。
  14. 前記多孔質炭素材料の平均細孔径が、2nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項13記載の多孔質炭素材料。
  15. 前記多孔質炭素材料の細孔容量が、100〜1000mm3 /gであることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の多孔質炭素材料。
  16. 請求項13乃至請求項15の何れか1項に記載の多孔質炭素材料を賦活することにより得られる多孔質活性炭材料。
  17. 平均粒子径が500nm以下である硬化樹脂粒子を凝集せしめ、その凝集体を焼成することによって得られ、平均細孔径が2nm以上50nm以下であることを特徴とする多孔質炭素材料。
  18. 前記多孔質炭素材料の細孔容量が、100〜1000mm3 /gであることを特徴とする請求項17に記載の多孔質炭素材料。
  19. 請求項17または請求項18に記載の多孔質炭素材料を賦活することにより得られる多孔質活性炭材料。
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