JP5312127B2 - 水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法 - Google Patents

水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法 Download PDF

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この発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法に係り、特に、アルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムスラッジや水酸化アルミニウム廃液の処理工程で、結晶性水酸化アルミニウムを効率良く回収することができる水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法に関する。
アルミニウム材は、船舶、車両、機械等の種々の部品を始めとして、電解コンデンサーへの薄箔の電気関連製品、アルミニウムサッシ等の建築材料、事務用品等の多くの分野で使用されており、その製造工程ではアルミニウム材の表面清浄化、表面積の拡大、耐蝕性や意匠性の付与等を目的として、アルカリ溶液によるエッチング処理や酸性溶液による陽極酸化処理等の種々の表面処理が施されている。
しかしながら、何れにしてもこれらの表面処理等で用いられる処理液については、処理液中の有効成分の消費やアルミニウム材からのアルミニウムの溶け込みが生じ、一定期間の後には不可避的にアルミニウム分の過剰蓄積が発生する。このようにアルミニウム分の蓄積がある一定限度を超えて過剰蓄積になると、処理液にはいわゆる液の老化が起こって更新の必要が生じ、老化した処理液(老化浴)はアルミニウム分を多量に含有するアルミニウム含有廃液となり、処理して廃棄する必要が生じる。
また、上述したようなアルミニウム材の表面処理においては、そのエッチング処理や陽極酸化処理等の処理の際に、処理中に発生する水素ガス等のガスと共にミストとして周辺に飛散し、排気系に吸収され、また、その他のハンドリングロスとして漏洩する、いわゆる「ミスト等由来の廃液」が発生したり、あるいは、これらの表面処理後に、水で洗浄することが必須とされ、その際に発生する多量の洗浄水由来の廃液も発生するが、これらのミスト等由来の廃液や洗浄水由来の廃液もアルミニウム分を含有してアルミニウム含有廃液となる。
そして、このようなアルミニウム材の表面処理で発生する種々のアルミニウム含有廃液は、通常はそれらを一括してpH5〜9に中和処理し、その際に生成したゲル状水酸化アルミニウム質のスラッジを可及的に分離し、中性清澄液を排水としているが、回収した水酸化アルミニウムスラッジについては、経済的に有用資源化する方法がなく、多額なコストを費やして廃棄処分することが行われている。
ところで、近年、このようなスラッジの発生をできるだけ抑制し、かつ、アルミニウム含有廃液中に存在するナトリウム分やアルミニウム分等の有価物をできるだけ回収して有効利用するために、アルミニウム材のエッチング処理の際に発生する老化浴については、これを定期的にあるいは連続的に抜き出し、結晶性水酸化アルミニウム〔αAl(OH)3、ジブサイト〕を種子として添加し、老化浴中のアルミン酸ナトリウムを加水分解してアルミニウム分の一部を工業的に有価物である結晶性水酸化アルミニウムとして析出させ、また、これによってアルミニウム分の少なくなったアルミン酸ナトリウム溶液を再生エッチング処理液としてエッチング処理に循環させてナトリウム分を再使用する、いわゆるエッチング処理老化浴の再生有効利用が行われている。
しかしながら、その他のアルミニウム含有廃液については、その低アルミニウム濃度や不純物のために経済的な利用方法がなく、依然として一括して中和処理する方法が採用されており、その際に発生するスラッジの処理が問題になっているほか、例えばコンデンサー製造工場の水洗排水を中和処理した際に発生する水酸化アルミニウムスラッジには表面処理工程で使用されるリン酸等に由来するリン成分が比較的多量に含まれており、リンと水酸化アルミニウムを容易には分離することができないことから、その処理及び再利用も問題になっている。
また、上記のような方法で製造される結晶性水酸化アルミニウムは、その粒径が0.01μm前後と極めて微小であって濾過等による脱水が困難であり、脱水後の含水率が高く、これを活用する設備までの運搬やその処理に際しては多量の水分を取り扱うこととなり、多大なコストが必要となる。加えて、これらの高含水率の水酸化アルミニウムを再利用するためには、その含有水分を蒸発させて含水率を低下させる必要があり、このための乾燥処理に多大なエネルギーを必要としている。
ところで、水酸化アルミニウムスラッジを処理して有用な結晶性水酸化アルミニウムを回収する方法については、これまでにも幾つかの提案があり、例えば、特許文献1には、アルミニウム材の表面処理工程で生じた廃液から発生するゲル状水酸化アルミニウムスラッジを処理するに際し、このゲル状水酸化アルミニウムスラッジを水酸化ナトリウム含有の溶解処理液に溶解し、得られたスラッジ溶解処理液中に水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を添加し、次いで固液分離することによりスラッジ中に含まれている種々の金属元素等の不純物を効率良く分離除去すると共に、獲られた分離液中に種子として結晶性水酸化アルミニウムを添加して分離液中のアルミン酸ナトリウムを加水分解し、次いで固液分離して生成した結晶性水酸化アルミニウムを回収すると共に、アルミニウム濃度の低下したアルミン酸ナトリウム水溶液を回収し、このアルミニウム濃度の低下したアルミン酸ナトリウム水溶液を再生エッチング処理液としてエッチング処理に循環させる方法が提案されている。
また、特許文献2には、リン成分及びアルミニウム成分を高濃度に含有する汚泥焼却灰から水酸化ナトリウムを含む抽出液でリン成分とアルミニウム成分を抽出し、この抽出液を処理してリン成分をリン酸カルシウムとして、また、アルミニウム成分をアルミン酸ナトリウムや水酸化アルミニウムとしてそれぞれ回収すると共に、アルミン酸ナトリウムやこのアルミン酸ナトリウムを加水分解して得られた水酸化ナトリウム水溶液を汚泥焼却灰の抽出液として再利用する方法が提案されている。
しかしながら、これらいずれの方法においても、含水率が低くて結晶性に優れ、ハンドリング性に優れた結晶性水酸化アルミニウムを得ることについては必ずしも充分ではなく、依然として含水率が高く、固液分離が困難であり、運搬や処理に多大なコストやエネルギーを必要とするという問題は解決されておらず、ハンドリング性に優れた結晶性水酸化アルミニウムを回収することができる水酸化アルミニウムスラッジの処理方法の開発が要請されていた。
特開平08-318,282号公報 特開2004-203,641号公報
そこで、本発明者らは、かかる従来の問題を解決してハンドリング性に優れた結晶性水酸化アルミニウムを操業性良く回収することができる水酸化アルミニウムスラッジの処理方法について鋭意検討した結果、アルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウム含有溶液を処理して結晶性水酸化アルミニウムを回収するに際し、上記水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程中に、水酸化アルミニウム含有溶液中に種子として結晶性水酸化アルミニウムを添加して結晶性水酸化アルミニウムを析出せしめ、この析出した結晶性水酸化アルミニウムを回収すると共にアルミニウムを含むアルミニウム含有分離液を回収し、次いでこのアルミニウム含有分離液を中和処理し、得られた中和処理液の一部又は全部を脱水して水酸化アルミニウムゲルを上記水酸化アルミニウム含有溶液中に溶解させると共に中性分離液を排水する結晶性水酸化アルミニウム〔ジブサイト:αAl(OH)3〕の第一回収工程、及び/又は、水酸化アルミニウム含有溶液又は上記第一工程の中和処理液の残部中に酸を添加して水酸化アルミニウムが酸性溶液中に溶解した酸性溶解液を調製し、この酸性溶解液にアルカリを添加して水酸化アルミニウムの酸性溶解領域側から中和し、生成した結晶性水酸化アルミニウムを脱水して回収する結晶性水酸化アルミニウム〔ジブサイト:αAl(OH)3、又は疑似ベーマイト:AlO(OH)〕の第二回収工程を導入することにより、水酸化アルミニウム含有溶液の種類に応じて、結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程によって水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程中における系内液量の増加を効果的に防止できるほか、結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程によってハンドリング性に優れた結晶性水酸化アルミニウムを回収することができ、これら結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程により目的を達成できることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、ハンドリング性に優れた結晶性水酸化アルミニウムを操業性良く回収することができ、しかも、処理工程中における系内液量の増加を防止することができる水酸化アルミニウムスラッジの処理方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウム含有溶液を処理して結晶性水酸化アルミニウムを回収するに際し、
上記水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程中に結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程を導入し、
上記結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程では、上記水酸化アルミニウム含有溶液を析出槽に導入すると共にこの水酸化アルミニウム含有溶液中に種子として結晶性水酸化アルミニウムを添加して結晶性水酸化アルミニウムを析出せしめ、この析出した結晶性水酸化アルミニウムを含むスラリー溶液の一部を析出槽から抜き出して脱水し、結晶性水酸化アルミニウムを回収すると共に濾液を析出槽に返送させ、また、上記スラリー溶液を沈降分離して得られたアルミニウムを含むアルミニウム含有分離液を回収し、次いでこのアルミニウム含有分離液を酸で中和処理し、得られた中和処理液の一部又は全部を脱水して水酸化アルミニウムゲルと中性分離液とを回収し、回収された水酸化アルミニウムゲルを上記水酸化アルミニウム含有溶液中に溶解させると共に中性分離液を排水し、また、
上記結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程では、上記水酸化アルミニウム含有溶液又は第一工程の中和処理で得られた中和処理液の残部中に酸を添加して水酸化アルミニウムが酸性溶液中に溶解した酸性溶解液を調製し、この酸性溶解液を中和槽に導入すると共にこの酸性溶解液中にアルカリを添加して酸性溶解液を水酸化アルミニウムの酸性溶解領域側から中和し、更にこの中和時に種子として結晶性水酸化アルミニウムを添加し、次いで析出した結晶性水酸化アルミニウムを沈降分離し脱水して回収する
ことを特徴とする水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法である。
また、本発明は、上記の水酸化アルミニウム含有溶液がアルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムスラッジ由来のスラッジ溶解液であって、この水酸化アルミニウムスラッジがリン成分を含有するリン含有水酸化アルミニウムスラッジである場合、スラッジ溶解液を結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程に導入する前にリン回収工程に導入し、このリン回収工程では、上記スラッジ溶解液中に水酸化カルシウムを添加して結晶性リン酸カルシウムを析出させ、次いで沈降分離し脱水してスラッジ溶解液中のリン成分を結晶性リン酸カルシウムとして回収する水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法である。
[処理の対象の水酸化アルミニウム含有溶液]
本発明において、処理対象となる水酸化アルミニウム含有溶液については、アルミニウム材の表面処理工程で発生する水酸化アルミニウムを含み、処理を必要とする溶液であれば、特にその由来については制限されるものではなく、例えば、エッチング処理の際に発生するミスト等由来の漏洩廃液や洗浄水由来の廃液、陽極酸化処理の際に発生する老化浴由来の廃液、ミスト等由来の漏洩廃液あるいは洗浄水由来の廃液等を始めとして、コンデンサー製造工場の水洗排水や、アルミニウム形材の押出加工に用いられた工具やダイスの洗浄廃液等の種々の水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウム廃液や、これらの水酸化アルミニウム廃液を中和処理した際に発生する水酸化アルミニウムスラッジを下記のスラッジ溶解工程で処理して得られたスラッジ溶解液を挙げることができ、また、これら水酸化アルミニウム廃液やスラッジ溶解液についてはリン成分を含むものであってもよい。
[スラッジ溶解工程]
そして、処理対象の水酸化アルミニウム含有溶液がアルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムスラッジ由来のスラッジ溶解液である場合、先ず、この水酸化アルミニウムスラッジをスラッジ溶解工程に導入し、このスラッジ溶解工程では、上記の水酸化アルミニウムスラッジをアルカリ溶液中に溶解してアルミン酸ナトリウムを含むスラッジ溶解液を調製するが、このスラッジ溶解工程で用いられるアルカリ溶液についても、特に制限されるものではなく、例えば水酸化ナトリウム水溶液からなるバージン・アルカリ溶液を用いることができるが、水酸化アルミニウムスラッジの溶解に用いる水酸化ナトリウムを可及的に再利用するという観点から、好ましくは、結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程において回収されるアルミニウム含有分離液をアルカリ溶液の一部又は全部としてスラッジ溶解工程に返送し、水酸化アルミニウムスラッジを溶解してスラッジ溶解液を調製するアルカリ溶液又はその一部として使用するのがよい。
また、水酸化アルミニウムスラッジをアルカリ溶液中に溶解してスラッジ溶解液を調製するのに必要な水酸化ナトリウムの使用量については、水酸化アルミニウムスラッジ中の水酸化アルミニウムが水酸化ナトリウムと反応してアルミン酸ナトリウムとなるために水酸化アルミニウム1モルに対して1モルの水酸化ナトリウムが必要であり、また、生成したアルミン酸ナトリウムがスラッジ溶解液中で安定に存在するために0.7〜1.7モル程度の遊離の水酸化ナトリウムを共存させることが必要であり、更に、水酸化アルミニウムスラッジ中にリン酸イオンが存在するとこのリン酸イオン1モルに対して3モルの水酸化ナトリウムが必要になるほか、水酸化アルミニウムスラッジ中に硫酸イオンが存在するとこの硫酸イオン1モルに対して2モルの水酸化ナトリウムが必要になるので、処理される水酸化アルミニウムスラッジのアルミニウム濃度、リン酸イオン濃度、硫酸イオン等を始めとして、結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程から循環させて使用されるアルミニウム含有分離液の遊離水酸化ナトリウム量等を考慮して決定される。
このスラッジ溶解工程において、水酸化アルミニウムスラッジは、例えば、溶解温度20℃以上105℃以下、好ましくは50℃以上80℃以下であって、溶解時間5分以上120分以下、好ましくは30分以上60分以下の溶解条件でアルカリ溶液中に溶解され、また、この溶解後に得られたスラッジ溶解液の組成は、例えば、全水酸化ナトリウム濃度(T-NaOH濃度)が40グラム/リットル(g/L)以上100g/L以下、好ましくは60g/L以上80g/L以下であって、アルミニウム濃度(Al濃度)が12g/L以上45g/L以下、好ましくは24g/L以上36g/L以下であり、全水酸化ナトリウム(T-NaOH)とアルミニウム(Al)とのモル比(T-NaOH/Al)が1.0以上2.3以下、好ましくは1.5以上1.7以下である。
[リン回収工程]
このようにして調製されたスラッジ溶解液は、処理対象の水酸化アルミニウムスラッジがリン成分を含有するリン含有水酸化アルミニウムスラッジである場合には結果としてリン成分を含有することになるので、このスラッジ溶解液を結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程に導入する前に、スラッジ溶解液中に水酸化カルシウムを添加して結晶性リン酸カルシウムを析出させ、次いで沈降分離し脱水してスラッジ溶解液中のリン成分を結晶性リン酸カルシウムとして回収するリン回収工程に導入する。
このリン回収工程においては、好ましくは、上記スラッジ溶解工程を遂行すると共に結晶性リン酸カルシウムを析出させる手段として攪拌機能付シックナーを用いるのがよく、この攪拌機能付シックナー内で生成した結晶性リン酸カルシウムを含むスラリー溶液を沈降分離させて抜き出し、脱水して結晶性リン酸カルシウムを回収すると共に、得られた濾液を再び攪拌機能付シックナー内に返送させ、また、攪拌機能付シックナー内上澄の清澄液を抜き出し、この清澄液を水酸化アルミニウムスラッジゲルの溶解液として次の結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程に導入する。このように結晶性リン酸カルシウムの手段として攪拌機能付シックナーを用いることにより、析出槽とシックナーとを個別に設置するよりも、単槽にて双方の機能を兼用できることから、設置面積の低減、製作コストの削減、及び種子添加が不要(槽内部に常時種子が蓄積されていることになるため)という利点が得られる。
このリン回収工程では、例えば、カルシウム(Ca)とリン(P)とのモル比(Ca/P)が1.5以上2.0以下、好ましくは1.5以上1.6以下となるように、スラッジ溶解液中に水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕が添加され、好ましくは種子として結晶リン酸カルシウム〔Ca3(PO4)2・2H2O〕が100g/L以上400g/L以下、好ましくは200g/L以上300g/L以下の範囲で添加され、析出温度80℃以上105℃以下及び析出時間4時間以上8時間以下の析出条件で操業され、また、スラリー溶液を沈降分離し脱水して含水率50〜60%の結晶性のリン酸カルシウム〔Ca3(PO4)2・2H2O〕が回収されると共に、この沈降分離で得られる清澄液はそのリン含有率(P含有率)が0.3g/L以下にまで低減される。この回収されたリン酸カルシウムは、肥料、リン酸製造原料、活性汚泥の栄養剤等の用途に用いることができる。
なお、このリン回収工程において、スラッジ溶解液中に添加される水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕は、リン酸イオンとの反応のためには溶解していることが必要であり、また、水酸化カルシウムはその溶解度が低いので、好ましくはその10〜20重量%水溶液として添加するのがよく、10重量%未満の水溶液では添加液量が増加して系内液量が増加してしまい、反対に、20重量%を超える水溶液ではポンプによる圧送が困難となり配管内で閉塞し易くなるため取扱が困難になる。
また、上記水酸化アルミニウム廃液がリン成分を含む場合も、この水酸化アルミニウム廃液を結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程に導入する前に、上記と同様のリン回収工程に導入し、リン成分を結晶性リン酸カルシウムとして回収することができる。
[結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程]
この結晶性水酸化アルミニウム〔ジブサイト:αAl(OH)3〕の第一回収工程では、先ず、上記のスラッジ溶解工程で調製され、また、必要により上記のリン回収工程でリン成分が除去されたスラッジ溶解液や、上記の水酸化アルミニウム廃液等の水酸化アルミニウム含有溶液中に、この第一回収工程で回収された水酸化アルミニウムゲルが導入されて、水酸化アルミニウム含有溶液のアルミニウム濃度(Al濃度)が高められる。
この水酸化アルミニウム含有溶液中への水酸化アルミニウムゲルの溶解は、例えば、水酸化アルミニウム含有溶液と水酸化アルミニウムゲルとが、溶解温度20℃以上105℃以下、好ましくは50℃以上80℃以下及び溶解時間5分以上120分以下、好ましくは30分以上60分以下の溶解条件で混合され、また、この溶解後に得られた水酸化アルミニウム含有溶液の組成は、通常、T-NaOH濃度が40g/L以上100g/L以下、好ましくは60g/L以上80g/L以下であって、Al濃度が27g/L以上45g/L以下、好ましくは24g/L以上36g/L以下であり、また、全水酸化ナトリウム(T-NaOH)とアルミニウム(Al)とのモル比(T-NaOH/Al)が1.0以上2.3以下、好ましくは1.5以上1.7以下である。
次に、Al濃度が高められたスラッジ溶解液については、これを析出槽に導入すると共にこのスラッジ溶解液中に種子として結晶性水酸化アルミニウム〔ジブサイト:αAl(OH)3〕を添加して結晶性水酸化アルミニウムを析出させ、この析出した結晶性水酸化アルミニウムを含むスラリー溶液の一部を析出槽から抜き出して脱水し、結晶性水酸化アルミニウムを回収すると共に分離液を析出槽に返送させ、また、上記スラリー液を沈降分離して得られたアルミニウムを含むアルミニウム含有分離液を回収する。
ここで、結晶性水酸化アルミニウムを析出させる析出槽について、どのような析出槽でも用いることができるが、好ましくは攪拌機能付シックナーを用いるのがよく、この攪拌機能付シックナー内で生成した結晶性水酸化アルミニウムを含むスラリー溶液を抜き出し、脱水して結晶性水酸化アルミニウムを回収すると共に、得られた分離液を再び攪拌機能付シックナー内に返送させ、また、攪拌機能付シックナー内上澄の清澄液(スラリー溶液の沈降分離で得られた清澄液)を抜き出し、この清澄液をアルミニウム含有分離液として回収し、次の中和工程に導入すると共に、必要によりスラッジ溶解工程に返送させて水酸化アルミニウムスラッジを溶解するためのアルカリ溶液又はその一部として利用するのがよい。この結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程において、析出槽として攪拌機能付シックナーを用いることにより、析出槽とは別個に分離槽としてシックナーを設置する必要が無くなることから、設置面積の低減、製作コストの削減という利点が得られる。
上記析出槽で結晶性水酸化アルミニウムを析出させる際に用いる種子については、この析出槽で得られたスラリー溶液を脱水して回収される結晶性水酸化アルミニウムを用いてもよいほか、後述する結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程で得られる結晶性水酸化アルミニウムを用いてもよく、また、上記の結晶性水酸化アルミニウムを含むスラリー溶液の脱水については、加圧濾過、真空濾過、遠心分離等の手段を適用できるが、濾過ケーキを水で洗浄するのが容易になることから、好ましくは真空濾過又は遠心分離の手段であるのがよい。
また、回収されたアルミニウム含有分離液については、このアルミニウム含有分離液の水酸化ナトリウム濃度、アルミニウム濃度、全溶解性物質(TDS)濃度、全有機体炭素(TOC)濃度等に基づき系内液量を考慮し、その一部又は全部を中和槽に導入し、この中和槽内で、例えばアルミニウム表面処理工程で使用された塩酸エッチング廃液(塩化アルミニウム廃液)や、脱脂工程又は電解工程で使用された硫酸廃液(廃硫酸:硫酸アルミニウム)又は上記廃酸をイオン交換樹脂、イオン交換膜等で分離された透析廃酸(塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等)を用いて、通常pH5以上pH9以下、好ましくはpH5.8以上pH8.6以下に中和処理し、この中和処理で得られた中和処理液の一部又は全部を脱水して水酸化アルミニウムゲルと中性分離液とを回収し、回収された水酸化アルミニウムゲルを上記の如くスラッジ溶解液中に溶解させると共に中性分離液を排水する。このように回収された水酸化アルミニウムゲルをスラッジ溶解液中に溶解させることにより、この結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程に導入されたスラッジ溶解液のAl濃度を高め、結晶性水酸化アルミニウムの析出を容易にすることができ、また、中性分離液を排水することにより、高含水率の水酸化アルミニウムスラッジを処理する処理工程全体の系内液量の増加を容易に制御することができるほか、この中性分離液中に含まれる有機物や塩類等も排出されるので系内の有機物及び/又は塩類の濃度調整も可能になる。
ここで、上記中和方法以外の系内液量の増加を制御する方法としては、水酸化アルミニウムスラッジを流動乾燥機等にて乾燥させ含水率を10重量%以下に乾燥させて液量の増加を制御する方法や、増加液量を蒸発缶等にて濃縮させ制御する方法があるが、何れの方法も大量の熱エネルギ−を消費するばかりでなく、アルカリに溶解する有機物、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の塩類をも濃縮することになるため、やがて水酸化アルミニウムの析出を阻害する要因となる。また、上記中和方法以外に、有機物の除去には活性炭吸着等による吸着方法があり、塩類の除去には電気透析方式のようなイオン交換膜による塩類の分離方法や、イオン交換樹脂による塩類の吸着方法等があるが、何れも上記の中和方法と比較してイニシャルコスト及びランニングコストが高くなる。
なお、上記のアルミニウム含有分離液を中和した後に生成した水酸化アルミニウムゲルと中性分離液とを分離して回収する方法については、特に制限されるものではないが、例えば、アルミニウム含有分離液の中和物を汚泥槽に導入して溶解濃縮し、次いで脱水機で水酸化アルミニウムゲルと中性分離液とに分離してもよく、また、アルミニウム含有分離液の中和物を沈降分離し汚泥を脱水してもよい。
[結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程]
また、上記結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程では、先ず、上記の水酸化アルミニウム含有溶液又は上記第一工程の中和処理で得られた中和処理液の残部を中和槽に導入し、この中和槽において上記水酸化アルミニウム含有溶液又は中和処理液の残部中に酸を添加して水酸化アルミニウムが酸性溶液中に溶解した酸性溶解液を調製する。この際に用いる酸としては、上記第一回収工程において水酸化アルミニウム含有分離液の中和処理に用いられたものと同様の酸を用いることができ、また、調製された酸性溶解液のpH値は好ましくはpH4.2±0.2の範囲、より好ましくはpH4.2±0.1の範囲であるのがよい。酸性溶解液のpH値がこの範囲を外れると、酸性溶解液が白濁するという問題が生じる。
このようにして調製された酸性溶解液については、次に種子としての結晶性水酸化アルミニウムの存在下にアルカリによって水酸化アルミニウムの酸性溶解領域側から中和し、結晶性水酸化アルミニウムを析出させるが、この中和操作については、好ましくは用いるアルカリの濃度が酸性溶解液の濃度と略等モル量(1モル程度)となる濃度であって、これら酸性溶解液とアルカリとを中和槽内に同時に連続して添加し混合して中和させるのがよく、これによって中和槽内でのpH分布を抑えて所望のpH値の範囲、すなわちpH4.5±0.2の範囲内に制御することができる。また、この際に、中和操作は常温以上60℃以下、好ましくは50℃以上60℃以下の温度条件で混合される。以下、上記のように、酸性溶解液とアルカリを略等モル濃度で同時に連続して添加し混合中和させることを「同時添加中和」という。
この酸性溶解液の中和に用いるアルカリについては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を用いることができるが、弱アルカリ性のアルカリよりも強アルカリ性のアルカリのほうがpH制御性が良いことから、水酸化ナトリウムが好ましい。
また、上記の同時添加中和の操作の際に、この操作で得られたスラリーの一部をそのまま若しくは脱水して同時添加中和の工程に析出用種子(結晶性水酸化アルミニウム種子)として添加することにより、この同時添加中和の工程で生成する新しい結晶性水酸化アルミニウムが種子表面に析出し、凝集して、生成する粒子が次第に大きく成長する。そして、このようなアルカリと結晶性水酸化アルミニウム種子を添加して酸性溶解液の同時添加中和の操作を複数回、好ましくは2回以上3回以下の範囲で繰り返すことにより、析出する結晶性水酸化アルミニウムの粒子の大きさを可及的に大きくしてその含水率を可及的に低下させることができる。
上記の同時添加中和の操作で得られたスラリーは、次に固液分離され、回収された結晶性水酸化アルミニウムについては、必要により結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程で種子として使用されたり、製品の結晶性水酸化アルミニウムとして利用され、また、分離されたpH4.5±0.2の濾液については、液温が室温以下に下がると、pHが5.0〜5.5となり、濾液配管内で簡易的にpH調整されることになり、更にアルカリ、好ましくは水酸化ナトリウムを添加してpH6.8程度に調整し、中性の放流水として排水される。
この第二回収工程で得られた結晶性水酸化アルミニウムは、その結晶の大きさが、通常、粒径1μm以上60μm以下、好ましくは2μm以上40μm以下であって、50%累積粒径が10μm以上であり、必要により真空濾過を行うことができる。また、沈降速度も10cm/Hr以上、好ましくは15cm/Hr以上であって、ゲル化が防止され、沈降性や脱水性に優れて真空濾過や加圧濾過等による濾過性も良く、また、含水率も80重量%以下、好ましくは75重量%以下になり、この第二回収工程の操業性が著しく向上するほか、より良質の結晶性水酸化アルミニウムが回収される。また、上記の粒径の範囲内であれば、凝集剤を添加した場合にはその沈降速度が10m/Hr以上となり、しかも、凝集剤の使用量が通常の4分の1程度で済むという効果も得られる。
また、この結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程において、上記の同時添加中和操作におけるpH値と温度条件を変えることにより、容易に擬似ベーマイト〔AlO(OH)〕を生成させ、回収することもできる。ここで、擬似ベーマイトとはアルミナ1水和物(Al2O3・H2O)のことであり、通常のアルミナ3水和物(Al2O3・3H2O)よりも凝集性が良く、粗大化し易い。その結果、沈降性や濾過性がよりよいため、より効率よく回収することができ、また高価であるという点で有利である。必要に応じて、結晶性水酸化アルミニウムの回収と擬似ベーマイトの回収とを行うことができ、より効率的に回収工程を実施することができる。
すなわち、中和槽内にpH値が好ましくはpH4.2±0.2の範囲、より好ましくはpH4.2±0.1の範囲に調整された酸性溶解液と、この酸性溶解液と略等モル濃度のアルカリとを同時に連続して添加し、混合中和させ、これによって酸性溶解液を水酸化アルミニウムの酸性溶解領域側からpH7±0.5の範囲まで中和する。この際、温度は80℃以上100℃以下、好ましくは90℃以上95℃以下の条件で混合され、7時間以上、好ましくは7時間以上24時間以下の範囲で加熱熟成する。
この結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程において、水酸化アルミニウムの酸性溶解領域側からpH7±0.5の範囲まで中和する同時添加中和操作の場合には、上記のpH4.5±0.2の範囲まで中和する同時添加中和操作の場合とは異なり、中和槽内に最初に種子としての結晶性水酸化アルミニウムを添加すれば、その後に中和槽から抜き出されたスラリーの一部を脱水して得られた結晶性水酸化アルミニウムを析出用の種子として中和槽に添加する必要はなく、また、熟成も1回で終了する。
なお、ここで擬似ベーマイトを生成する場合においても、用いるアルカリについては上記と同じものを使用することができ、また、酸性溶解液の中和時に最初に種子として添加する結晶性水酸化アルミニウムについては、好ましくは結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程で得られた結晶性水酸化アルミニウムであるのがよい。
この第二回収工程で得られた擬似ベーマイトは、その結晶の大きさが、通常、粒径1μm以上60μm以下、好ましくは2μm以上40μm以下であって、50%累積粒径が10μm以上であり、また、沈降速度も10cm/Hr以上、好ましくは15cm/Hr以上であって、ゲル化が防止され、沈降性や脱水固液分離性に優れて真空濾過や加圧濾過等による濾過性も良く、また、含水率も50重量%以下この第二回収工程の操業性が著しく向上するほか、より良質の擬似ベーマイトが回収される。
本発明においては、上記のスラッジ溶解液や水酸化アルミニウム廃液等の水酸化アルミニウム含有溶液を、結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程に導入し、第一回収工程では、処理工程全体の系内液量の増加を容易に制御しつつ効率良く結晶性水酸化アルミニウムを析出させることができ、また、第二回収工程では、析出する結晶性水酸化アルミニウムの結晶を可及的に大きくしてこの結晶性水酸化アルミニウムの沈降性や脱水性を改善し、この第二回収工程の操業性と結晶性水酸化アルミニウムの品質を改善することができ、更に、必要に応じて、リン回収工程を採用することにより、リン成分を含む水酸化アルミニウムスラッジからこのリン成分を有用な結晶性リン酸カルシウムとして回収することもできる。
それ故、本発明においては、処理対象の水酸化アルミニウムスラッジの性状に応じて、第一回収工程及び/又は第二回収工程、更にはリン回収工程を適用し、工業的に有利に水酸化アルミニウムスラッジの処理を行うことができる。
そして、本発明によれば、結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程でジブサイト結晶の水酸化アルミニウムを製造することができ、また、第二工程でジブサイト結晶又は擬似ベーマイト結晶の水酸化アルミニウムを製造することができるので、これら第一回収工程と第二回収工程を併用することにより、結晶性水酸化アルミニウムの販売価格や製造工場と販売先との間の輸送コスト等を勘案して、ジプサイト結晶の水酸化アルミニウムと疑似ベ−マイト結晶の水酸化アルミニウムとを任意の製造割合で製造することができる。
本発明の水酸化アルミニウムスラッジの処理方法によれば、ハンドリング性に優れた結晶性水酸化アルミニウムを操業性良く回収することができ、しかも、処理工程中における系内液量の増加を防止することができる水酸化アルミニウムスラッジの処理方法を提供することができる。
図1は、本発明の代表的な水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートである。
図2は、本発明の実施例1に係る水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートである。
図3は、本発明の実施例2に係る水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートである。
図4は、本発明の実施例3に係る水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートである。
図5は、本発明の実施例4に係る水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートである。
図6は、本発明の実施例5に係る水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートである。
図7は、本発明の実施例6に係る水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートである。
以下、図1に示す本発明の代表的な水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程に基づいて、発明を実施するための形態を具体的に説明する。
図1は、水酸化アルミニウム含有溶液が水酸化アルミニウムスラッジ由来のものである場合における典型的な水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程を示すフローチャートであり、この図1において、水酸化アルミニウムスラッジは、スラッジ処理工程の第一溶解槽に導入され、この第一溶解槽内で水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ溶液中に溶解され、アルミン酸ナトリウムを含むスラッジ溶解液(水酸化アルミニウム含有溶液)とされる。
このスラッジ処理工程で得られたスラッジ溶解液が、例えば水酸化アルミニウムスラッジがアルミニウム化学研磨製造工場や、アルミニウムダイキャスト塗装製造工場等で発生するリン含有水酸化アルミニウムスラッジである場合には、次に、このスラッジ溶解液をリン回収工程の第一析出・分離槽(攪拌機能付シックナー)に導入すると共にこの第一析出・分離槽に水酸化カルシウムを添加し、結晶性リン酸カルシウムを析出させ、結晶性リン酸カルシウムを含むスラリー溶液を沈降分離させて抜き出し、第一脱水機で脱水し、また、ケーキ洗浄水により水洗して、結晶性リン酸カルシウムを製品として回収すると共に、濾液については第一析出・分離槽に返送する。
上記リン回収工程の第一析出・分離槽(攪拌機能付シックナー)の清澄液(脱リン処理後のスラッジ溶解液)については、次に結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程に導入する。この結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程では、上記スラッジ溶解液(清澄液)は、先ず、第二溶解槽に導入され、ここでは後述する水酸化アルミニウムゲルを溶解してそのアルミニウム濃度(Al濃度)が高められ、次いで第二析出・分離槽(攪拌機能付シックナー)に導入され、また、この第二析出・分離槽には種子として結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)が添加され、これによって結晶性水酸化アルミニウムを析出させる。
この結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程の第二析出・分離槽(攪拌機能付シックナー)からは、スラリー溶液が抜き出され、次いで第二脱水機で脱水され、ケーキ洗浄水により水洗して、結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)を製品として回収すると共に、濾液については第二析出・分離槽に返送される。
また、この第二析出・分離槽から回収される清澄液(アルミニウム含有分離液)については、回収槽に導入され、その一部又は全部がアルミニウム含有分離液の中和工程の第一中和槽に導入され、この第一中和槽では廃硫酸等を用いて中和処理され、この中和処理で得られる中和処理液はpH5.8〜8.6の範囲に調整される。この和処理で得られた中和処理液の一部又は全部は、次いで汚泥槽に導入されて水酸化アルミニウムゲルを含むスラリーとされ、更に脱水機で脱水されて水酸化アルミニウムゲルと中性分離液として回収される。ここで回収された水酸化アルミニウムゲルは、上記第二溶解槽に導入され、上記スラッジ溶解液(清澄液)のアルミニウム濃度(Al濃度)を高めるために用いられ、また、中性分離液は系内液量の増加を抑制するために放流水として排水される。
ここで、アルミニウム含有分離液の一部がアルミニウム含有分離液の第一中和槽に導入された場合、このアルミニウム含有分離液の残部は、次の結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程の第二中和槽に導入されるか、あるいは、必要により水酸化アルミニウムスラッジを溶解するためのアルカリ溶液として上記スラッジ処理工程の第一溶解槽に導入される。また、中和処理液の一部が汚泥槽に導入された場合、この中和処理液の残部は、次の結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程に導入される。
なお、結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程の第二中和槽には、上記の中和処理液の残部以外に、リン回収工程の第一脱水機からの濾液を水酸化アルミニウム含有溶液として導入してもよく、また、水酸化アルミニウムスラッジがリンを含まないものであれば、スラッジ溶解工程の第一溶解槽で得られたスラッジ溶解液をそのまま水酸化アルミニウム含有溶液として導入してもよく、更には、水酸化アルミニウム廃液がリンを含まないものであれば、この水酸化アルミニウム廃液をそのまま水酸化アルミニウム含有溶液として導入してもよい。
この結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程では、先ず、第二中和槽に導入された上記中和処理液の残部を廃硫酸等によりpH4.2±0.2に調整して酸性スラッジ溶解液(酸性溶解液)とし、次いで、この酸性スラッジ溶解液を第三中和・析出槽に導入し、ここで上記の同時添加中和法により種子としての結晶性水酸化アルミニウムの存在下に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し、水酸化アルミニウムの酸性溶解領域側からpH4.5±0.2まで中和し、結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)を析出させる。
この第三中和・析出槽で生成し、抜き出された結晶性水酸化アルミニウムを含むスラリー溶液については、第三脱水機で脱水し、結晶性水酸化アルミニウムを製品として回収すると共に、濾液については第四中和槽に導入し、更に水酸化ナトリウム等のアルカリによりpH6.8まで中和し、放流水として排水する。また、ここで回収された結晶性水酸化アルミニウムについては、その一部を上記の第三中和・析出槽や上記結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程の第二析出・分離槽に添加する種子として用いてもよい。
以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
実施例1(スラッジ溶解工程、リン回収工程、第一回収工程、及び第二回収工程)
この実施例1においては、水酸化アルミニウムスラッジとしてコンデンサー製造工場等で発生するリン含有水酸化アルミニウムスラッジを用い、図2に示すフローに従って、次のようにして結晶性水酸化アルミニウム(ジブサイト)をその第一回収工程及び第二回収工程で回収した。
[スラッジ溶解工程]
図2に示すフローにおいて、リン含有水酸化アルミニウムスラッジ1000kg(Al:28重量%、P:8重量%、含水率:79重量%、)を第一溶解槽に移し、25wt%-水酸化ナトリウム溶液303kgとアルカリ溶媒として回収槽からの回収液2.1m3とを加え、第一溶解槽にて、溶解温度80℃、溶解時間30分で水酸化アルミニウムスラッジを溶解し、全水酸化ナトリウムとアルミニウムとのモル比(T・NaOH/Al)が1.7であるスラッジ溶解液とした。
[リン回収工程]
上記のスラッジ溶解工程で得られたスラッジ溶解液を第一析出・分離槽に導入し、この第一析出・分離槽内にて、スラッジ溶解液に種子としてリン酸カルシウム200グラム/リットル(g/L)を添加し、また、20wt%-水酸化カルシウム403kgを添加し、析出温度80℃、析出時間4時間でリン酸カルシウムを析出させ、析出リン酸カルシウム含有液を遠心分離機(第一脱水機)でリン酸カルシウムと濾液とに分離した。
このリン回収工程において、濾液槽に残留したリン濃度は0.3g/Lであり、リンの分離効率は94重量%であった。また、リン酸カルシウムは洗浄水0.3m3で洗浄し、製品としてリン酸カルシウム235kg(Ca:37重量%、P:14重量%、含水率:50重量%)を回収し、洗浄排水は後工程の中和液とした。
[結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程]
第一析出・分離槽の清澄液(リン回収処理後のスラッジ溶解液)を第二溶解槽へ移し、この第二溶解槽でスラッジ溶解液中に後工程で回収された水酸化アルミニウムゲルを溶解し、更にこのスラッジ溶解液を第二析出・分離槽へ移してスラッジ溶解液中に種子として結晶性水酸化アルミニウム200g/Lを添加し、析出温度50℃、析出時間24時間で結晶性水酸化アルミニウムを析出させた。この第二析出・分離槽におけるアルミニウムの加水分解率は61重量%であった。
第二析出・分離槽内で析出した水酸化アルミニウム結晶については、遠心分離機(第二脱水機)で分離した後に洗浄水0.2m3で洗浄し、製品として結晶性水酸化アルミニウム190kg(含水率:15重量%)を回収した。遠心分離機からの分離液は濾過槽を経由させて第二析出・分離槽内に戻した。
一方、この第二析出・分離槽で分離された清澄液4.35m3は回収槽に送付し、この回収槽では、次ロットのリン酸含有水酸化アルミスラッジを溶解するためのアルカリ溶媒として、回収液2.1m3を上記スラッジ溶解工程に循環させると共に、余剰となった回収液2.26m3を第一中和槽へ送った。
第一中和槽では、硫酸300g/Lを徐々に添加してpHを8.0に調整することにより余剰回収液を中和処理し、中和処理液とした。中和に要した硫酸は0.29m3であった。
次に、この第一中和槽にて中和された中和処理液のうち2.25m3を汚泥槽へ送り、残りの0.3m3は第二中和槽(結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程)へ送った。
汚泥に送られた中和処理液は、この汚泥槽で汚泥処理された後、フィルタ−プレス(脱水機)へと移送され、ここで濾液と水酸化アルミニウムゲルとに分離された。分離された水酸化アルミニウムゲル409kg(Al:34重量%、含水率:70重量%)は第二溶解槽に返送し、濾液は排水した。
[結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程]
第二中和槽では、中和処理液に300g/L硫酸を徐々に添加し、pHを4.2±0.2に調整することにより酸性スラッジ溶解液とし、この酸性スラッジ溶解液を第三中和・析出槽に送った。この第三中和・析出槽では、平均粒径10μmの結晶水酸化アルミニウム49.8kgを添加すると共に、水酸化ナトリウム(NaOH)40g/Lを徐々に添加してpHを4.5±0.2に到達するまでpH調整を行って中和した。
第三中和・析出槽での水酸化アルミニウムの析出、凝集反応は、中和反応と共に速やかに完結し、ろ過性の良い結晶性水酸化アルミニウムが得られた。この第三中和・析出槽で得られた水酸化アルミ粒子含有液は、ドラムフィルタ(第三脱水機)で結晶性水酸化アルミ粒子と脱水液とに分離され、結晶性水酸化アルミ粒子133kgが得られた。
得られた結晶性水酸化アルミニウムは、その一部の66.6kgが製品(Al含有率:34重量%、含水率:52重量%)として取り出され、また、その残部は第三中和・析出槽に戻された。ろ液については、アルミニウム濃度(Al濃度)7mg/Lと十分に低濃度であり、第四中和槽にて更にNaOH40g/Lが加えられ、pH6.8に中和されて排水された。
水酸化アルミスラッジ中のアルミニウム分から結晶性水酸化アルミニウムを回収したアルミニウム分回収率は97重量%であった。
実施例2(スラッジ溶解工程、リン回収工程、及び第一回収工程)
[スラッジ溶解工程]
図3に示すフローにおいて、コンデンサー製造工場等で発生したリン含有水酸化アルミニウムスラッジ1000kg(Al:28重量%、P:8重量%、含水率:79重量%、)を第一溶解槽に移し、25wt%-水酸化ナトリウム溶液353kgとアルカリ溶媒として回収槽からの回収液1.78m3とを加え、第一溶解槽にて、溶解温度80℃、溶解時間30分で水酸化アルミニウムスラッジを溶解し、全水酸化ナトリウムとアルミニウムとのモル比(T・NaOH/Al)が1.7であるスラッジ溶解液とした。
[リン回収工程]
上記のスラッジ溶解工程で得られたスラッジ溶解液を第一析出・分離槽に導入し、この第一析出・分離槽内にて、スラッジ溶解液に種子としてリン酸カルシウム200g/Lを添加し、また、20wt%-水酸化カルシウム411kgを添加し、析出温度80℃、析出時間4時間でリン酸カルシウムを析出させ、析出リン酸カルシウム含有液を遠心分離機(第一脱水機)でリン酸カルシウムと濾液とに分離した。
このリン回収工程において、濾液槽に残留したリン濃度は0.3g/Lであり、リンの分離効率は94重量%であった。また、リン酸カルシウムは洗浄水0.3m3で洗浄し、製品としてリン酸カルシウム240kg(Ca:37重量%、P:14重量%、含水率:50重量%)を回収し、洗浄排水は後工程の中和液とした。
[結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程]
第一析出・分離槽の清澄液(リン回収処理後のスラッジ溶解液)を第二溶解槽へ移し、この第二溶解槽でスラッジ溶解液中に後工程で回収された水酸化アルミニウムゲルを溶解し、更にこのスラッジ溶解液を第二析出・分離槽へ移してスラッジ溶解液中に種子として結晶性水酸化アルミニウム200g/Lを添加し、析出温度50℃、析出時間24時間で結晶性水酸化アルミニウムを析出させた。この第二析出・分離槽におけるアルミニウムの加水分解率は63重量%であった。
第二析出・分離槽内で析出した水酸化アルミニウム結晶については、遠心分離機(第二脱水機)で分離した後に洗浄水0.3m3で洗浄し、製品として結晶性水酸化アルミニウム198kg(含水率:15重量%)を回収した。リン含有水酸化アルミニウムスラッジ中のアルミニウム分から結晶性水酸化アルミニウムを回収したアルミニウム分回収率は99重量%であった。
また、遠心分離機からの分離液は濾過槽を経由させて第二析出・分離槽内に戻した。
一方、この第二析出・分離槽で分離された清澄液3.18m3は回収槽に送付し、この回収槽では、次ロットのリン酸含有水酸化アルミスラッジを溶解するためのアルカリ溶媒として、回収液1.78m3を上記スラッジ溶解工程に循環させると共に、余剰となった回収液1.4m3を第一中和槽へ送った。
第一中和槽では、硫酸300g/Lを徐々に添加してpHを8.0に調整することにより余剰回収液を中和処理し、得られた中和処理液の全量を汚泥槽へ送った。この汚泥槽に送られた中和処理液は、この汚泥槽で汚泥処理された後、フィルタ−プレス(脱水機)で濾液と水酸化アルミニウムゲルとに分離された。分離された水酸化アルミニウムゲル149kg(Al:34重量%、含水率:70重量%)はその全量が第二溶解槽に返送され、また、濾液は放流水として排水された。
実施例3(スラッジ溶解工程、カセイスラッジ分離工程、第一回収工程、及び第二回収工程)
[スラッジ溶解工程]
図4に示すフローにおいて、アルマイト製造工場等で発生した水酸化アルミニウムスラッジ1000kg(Al:28重量%、S:6重量%、含水率:75重量%、)を第一溶解槽に移し、25wt%-水酸化ナトリウム溶液418kgとアルカリ溶媒として回収槽からの回収液3.09m3とを加え、第一溶解槽にて、溶解温度80℃、溶解時間30分で水酸化アルミニウムスラッジを溶解し、全水酸化ナトリウムとアルミニウムとのモル比(T・NaOH/Al)が1.7であるスラッジ溶解液とした。
[カセイスラッジ分離工程]
上記のスラッジ溶解工程で得られたスラッジ溶解液を第一凝集分離槽に移送し、この第一凝集・分離槽内でスラッジ溶解液へ高分子凝集剤(ポリアクリル酸ナトリウム)水溶液10mg/Lを添加し、緩速攪拌してスラッジ溶解液中のアリカリ不溶解分をフロック形成させ、次いで清澄液と汚泥とに固液分離させた。汚泥はフィルタ−プレス(第一脱水機)によりカセイスラッジと濾液に分離され、また、濾液は第一凝集分離槽に戻され、更に、回収されたカセイスラッジ36kg(Al:18重量%、Mg:16重量%、含水率:65重量%)は産業廃棄物として処分された。
[結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程]
第一凝集・分離槽の清澄液(カセイスラッジ分離後のスラッジ溶解液)を第二溶解槽へ移し、この第二溶解槽でスラッジ溶解液中に後工程で回収された水酸化アルミニウムゲルを溶解し、更にこのスラッジ溶解液を第二析出・分離槽へ移してスラッジ溶解液中に種子として結晶性水酸化アルミニウム200g/Lを添加し、析出温度50℃、析出時間24時間で結晶性水酸化アルミニウムを析出させた。この第二析出・分離槽におけるアルミニウムの加水分解率は59重量%であった。
第二析出・分離槽内で析出した水酸化アルミニウム結晶については、遠心分離機(第二脱水機)で分離した後に洗浄水0.2m3で洗浄し、製品として結晶性水酸化アルミニウム223kg(含水率:15重量%)を回収した。
一方、この第二析出・分離槽で分離された清澄液4.23m3は回収槽に送付し、この回収槽では、次ロットのリン酸含有水酸化アルミスラッジを溶解するためのアルカリ溶媒として、回収液3.09m3を上記スラッジ溶解工程に循環させると共に、余剰となった回収液1.14m3を第一中和槽へ送った。
第一中和槽では、硫酸300g/Lを徐々に添加してpHを8.0に調整することにより余剰回収液を中和処理し、中和処理液とした。中和に要した硫酸は0.29m3であった。
次に、この第一中和槽にて中和された中和処理液のうち1.25m3を汚泥槽へ送り、残りの0.24m3は第二中和槽(結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程)へ送った。
汚泥槽に送られた中和処理液は、この汚泥槽で汚泥処理された後、フィルタ−プレス(脱水機)へと移送され、ここで濾液と水酸化アルミニウムゲルとに分離された。分離された水酸化アルミニウムゲル106kg(Al:34重量%、含水率:70重量%)は第二溶解槽に返送し、濾液は排水した。
[結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程]
第二中和槽では、中和処理液に300g/L硫酸を徐々に添加し、pHを4.2±0.2に調整することにより酸性スラッジ溶解液とし、この酸性スラッジ溶解液を第三中和・析出槽に送った。この第三中和・析出槽では、平均粒径10μmの結晶水酸化アルミニウム49.8kgを添加すると共に、水酸化ナトリウム(NaOH)40g/Lを徐々に添加してpHを4.5±0.2に到達するまでpH調整を行って中和した。
この第三中和・析出槽で得られた水酸化アルミ粒子含有液は、ドラムフィルタ(第三脱水機)で結晶性水酸化アルミ粒子と脱水液とに分離され、結晶性水酸化アルミ粒子116kgが得られた。
得られた結晶性水酸化アルミニウムは、その一部の66.2kgが製品(Al含有率:34重量%、含水率:52重量%)として取り出され、また、その残部は第三中和・析出槽に戻された。ろ液については、アルミニウム濃度(Al濃度)7mg/Lと十分に低濃度であり、第四中和槽にて更にNaOH40g/Lが加えられ、pH6.8に中和されて排水された。
水酸化アルミスラッジ中のアルミニウム分から結晶性水酸化アルミニウムを回収したアルミニウム分回収率は97重量%であった。
実施例4(スラッジ溶解工程、カセイスラッジ分離工程、及び第一回収工程)
[スラッジ溶解工程]
図5に示すフローにおいて、アルマイト製造工場等で発生した水酸化アルミニウムスラッジ1000kg(Al:28重量%、S:6重量%、含水率:75重量%、)を第一溶解槽に移し、25wt%-水酸化ナトリウム溶液435kgとアルカリ溶媒として回収槽からの回収液3.02m3とを加え、第一溶解槽にて、溶解温度80℃、溶解時間30分で水酸化アルミニウムスラッジを溶解し、全水酸化ナトリウムとアルミニウムとのモル比(T・NaOH/Al)が1.7であるスラッジ溶解液とした。
[カセイスラッジ分離工程]
上記のスラッジ溶解工程で得られたスラッジ溶解液を第一凝集分離槽に移送し、この第一凝集・分離槽内でスラッジ溶解液へ高分子凝集剤(ポリアクリル酸ナトリウム)水溶液10mg/Lを添加し、緩速攪拌してスラッジ溶解液中のアリカリ不溶解分をフロック形成させ、次いで清澄液と汚泥とに固液分離させた。汚泥はフィルタ−プレス(第一脱水機)によりカセイスラッジと濾液に分離され、また、濾液は第一凝集分離槽に戻され、更に、回収されたカセイスラッジ36kg(Al:18重量%、Mg:16重量%、含水率:65重量%)は産業廃棄物として処分された。
[結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程]
第一凝集・分離槽の清澄液(カセイスラッジ分離後のスラッジ溶解液)を第二溶解槽へ移し、この第二溶解槽でスラッジ溶解液中に後工程で回収された水酸化アルミニウムゲルを溶解し、更にこのスラッジ溶解液を第二析出・分離槽へ移してスラッジ溶解液中に種子として結晶性水酸化アルミニウム200g/Lを添加し、析出温度50℃、析出時間24時間で結晶性水酸化アルミニウムを析出させた。この第二析出・分離槽におけるアルミニウムの加水分解率は60重量%であった。
第二析出・分離槽内で析出した水酸化アルミニウム結晶については、遠心分離機(第二脱水機)で分離した後に洗浄水0.3m3で洗浄し、製品として結晶性水酸化アルミニウム231kg(含水率:15重量%)を回収した。
水酸化アルミニウムスラッジ中のアルミニウム分から結晶性水酸化アルミニウムを回収したアルミニウム分回収率は97重量%であった。
一方、この第二析出・分離槽で分離された清澄液4.26m3は回収槽に送付し、この回収槽では、次ロットのリン酸含有水酸化アルミスラッジを溶解するためのアルカリ溶媒として、回収液3.02m3を上記スラッジ溶解工程に循環させると共に、余剰となった回収液1.24m3を第一中和槽へ送った。
第一中和槽では、硫酸300g/Lを徐々に添加してpHを8.0に調整することにより余剰回収液を中和処理し、得られた中和処理液の全量を汚泥槽へ送った。この汚泥槽に送られた中和処理液は、この汚泥槽で汚泥処理された後、フィルタ−プレス(脱水機)で濾液と水酸化アルミニウムゲルとに分離された。分離された水酸化アルミニウムゲル131kg(Al:34重量%、含水率:70重量%)はその全量が第二溶解槽に返送され、また、濾液は放流水として排水された。
実施例5(結晶水酸化アルミニウムの第二回収工程)
図6において、アルミニウム押出し形材製造工場等で発生する水酸化アルミニウム廃液(いわゆるダイス洗浄廃液、Al:100g/L)1m3を受け入れ受槽から第二中和槽へ移し、硫酸濃度200g/L及びアルミニウム濃度(Al濃度)15g/Lを含むアルマイト処理廃液を徐々に添加し、pHを4.2±0.2に調整して反応液を酸性とした。これに要したアルマイト廃液は3.68m3であった。この反応液を第三中和・析出槽へ送った。
第三中和・析出槽では、平均粒径10μm及び含水率52重量%の結晶水酸化アルミニウムを102kg添加すると共に、水酸化ナトリウム(NaOH)40g/Lを徐々に添加し、pHを4.5±0.2に到達するまでpH調整を行って中和した。水酸化アルミニウムの析出、凝集反応は、中和反応と共に速やかに完結し、ろ過性の良い結晶性水酸化アルミニウムが得られた。
第三中和・析出槽で得られた水酸化アルミ粒子含有液は、ドラムフィルター(第三脱水機)で結晶性水酸化アルミ粒子と脱水液とを分離し、結晶性水酸化アルミ粒子722.1kgを得た。
水酸化アルミニウム廃液中のアルミニウム分から結晶性水酸化アルミニウムを回収したアルミニウム分回収率は99重量%であった。
得られた結晶性水酸化アルミニウムの含水率は52重量%であり、一部は第三中和・析出槽に種子としてリターンさせ、残部は製品として回収した。ドラムフィルターでのろ液は、Al濃度7mg/Lと低濃度であり、第四中和槽で水酸化ナトリウム溶液を加えて中和し、pH6.8にして排水した。
実施例6(結晶水酸化アルミニウムの第二回収工程)
図7において、アルミニウム押出し形材製造工場等で発生する水酸化アルミニウム廃液(いわゆるダイス洗浄廃液、Al:100g/L)1m3を受け入れ受槽から第二中和槽へ移し、硫酸濃度200g/L及びアルミニウム濃度(Al濃度)15g/Lを含むアルマイト処理廃液を徐々に添加し、pHを4.2±0.2に調整して反応液を酸性とした。これに要したアルマイト廃液は3.68m3であった。この反応液を第三中和・析出槽へ送った。
第三中和・析出槽では、平均粒径10μm及び含水率52重量%の結晶水酸化アルミニウムを400kg添加し、反応液を90℃まで加熱した。加熱された反応液を90℃で保持して投入種子への水酸化アルミニウムの凝集析出を促進させ、5時間後に液中水酸化アルミニウムの略全量を析出させた。この間、水酸化アルミニウムの析出に伴いフリー硫酸イオンが遊離するため、pHが徐々に低下した。これを防ぐ為、NaOHを添加しつつpH4.5からpH7に維持した。
第三中和・析出槽で得られた水酸化アルミ粒子含有液は、ドラムフィルター(第三脱水機)で結晶性水酸化アルミ粒子と脱水液とを分離し、結晶性水酸化アルミ粒子335kgを得た。
この工程で得られた結晶性水酸化アルミニウムは、ろ過性の良い結晶性水酸化アルミニウム(擬似ベーマイト)であった。また、水酸化アルミニウム廃液中のアルミニウム分から結晶性水酸化アルミニウムを回収したアルミニウム分回収率は99重量%であった。
得られた結晶性水酸化アルミニウムの含水率は52重量%であり、一部は第三中和・析出槽に種子としてリターンさせ、残部は製品として回収した。ドラムフィルターでのろ液は、Al濃度7mg/Lと十分低濃度であり、第四中和槽でNaOH溶液を加えて中和し、pH6.8にして排水した。

Claims (12)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウム含有溶液を処理して結晶性水酸化アルミニウムを回収するに際し、
    上記水酸化アルミニウム含有溶液の処理工程中に結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程を導入し、
    上記結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程では、上記水酸化アルミニウム含有溶液を析出槽に導入すると共にこの水酸化アルミニウム含有溶液中に種子として結晶性水酸化アルミニウムを添加して結晶性水酸化アルミニウムを析出せしめ、この析出した結晶性水酸化アルミニウムを含むスラリー溶液の一部を析出槽から抜き出して脱水し、結晶性水酸化アルミニウムを回収すると共に濾液を析出槽に返送させ、また、上記スラリー溶液を沈降分離して得られたアルミニウムを含むアルミニウム含有分離液を回収し、次いでこのアルミニウム含有分離液を酸で中和処理し、得られた中和処理液の一部又は全部を脱水して水酸化アルミニウムゲルと中性分離液とを回収し、回収された水酸化アルミニウムゲルを上記水酸化アルミニウム含有溶液中に溶解させると共に中性分離液を排水し、また、
    上記結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程では、上記水酸化アルミニウム含有溶液又は上記第一工程の中和処理で得られた中和処理液の残部中に酸を添加して水酸化アルミニウムが酸性溶液中に溶解した酸性溶解液を調製し、この酸性溶解液を中和槽に導入すると共にこの酸性溶解液中にアルカリを添加して酸性溶解液を水酸化アルミニウムの酸性溶解領域側から中和し、更にこの中和時に種子として結晶性水酸化アルミニウムを添加し、次いで析出した結晶性水酸化アルミニウムを沈降分離し脱水して回収する
    ことを特徴とする水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  2. 水酸化アルミニウム含有溶液が、アルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウムスラッジをスラッジ溶解工程に導入し、このスラッジ溶解工程で水酸化アルミニウムスラッジをアルカリ溶液中に溶解して調製されたスラッジ溶解液であり、また、酸性溶解液が上記水酸化アルミニウムスラッジ由来の水酸化アルミニウム含有溶液又は第一工程の中和処理液の残部中に酸を添加して得られた酸性スラッジ溶解液である請求項1に記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  3. 上記結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程では、酸性スラッジ溶解液中にアルカリを添加してpH4.5±0.2まで中和する請求項2に記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  4. 水酸化アルミニウムスラッジがリン成分を含有するリン含有水酸化アルミニウムスラッジである場合、スラッジ溶解液を結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程及び/又は第二回収工程に導入する前にリン回収工程に導入し、このリン回収工程では、上記スラッジ溶解液中に水酸化カルシウムを添加して結晶性リン酸カルシウムを析出させ、次いで脱水してスラッジ溶解液中のリン成分を結晶性リン酸カルシウムとして回収する請求項2又は3に記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  5. 結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程において、スラリー溶液を沈降分離して回収されるアルミニウム含有分離液が、スラリー溶液の沈降分離で得られた清澄液及び/又は結晶性水酸化アルミニウムの脱水時に得られた濾液である請求項2〜4のいずれかに記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  6. 結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程において回収されたアルミニウム含有分離液の一部をスラッジ溶解工程に返送し、水酸化アルミニウムスラッジを溶解してスラッジ溶解液を調製するアルカリ溶液又はその一部として使用する請求項2〜5のいずれかのいずれかに記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  7. 結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程において、酸性スラッジ溶解液のpH値がpH4.2±0.2である請求項2〜6のいずれかに記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  8. 結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程において、酸性スラッジ溶解液中に種子として添加される結晶性水酸化アルミニウムが、結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程で得られた結晶性水酸化アルミニウムである請求項2〜7のいずれかに記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  9. 結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程で回収されたアルミニウム含有分離液の一部を抜き出して系内液量を調整する請求項2〜8のいずれかに記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  10. 結晶性水酸化アルミニウムの第一回収工程においてジブサイト又はジブサイトと擬似ベーマイトの混合物、及び/又は、第二回収工程において擬似ベーマイト又はジブサイトと擬似ベーマイトの混合物を任意に回収する請求項2〜9のいずれかに記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  11. 水酸化アルミニウム含有溶液が、アルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウム廃液であり、この水酸化アルミニウム廃液を結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程に導入し、この結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程では、調製された酸性溶解液中にアルカリを添加してpH4.5±0.2まで中和する請求項1に記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
  12. 水酸化アルミニウム含有溶液が、アルミニウム材の表面処理工程で生じた水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウム廃液であり、この水酸化アルミニウム廃液を結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程に導入し、この結晶性水酸化アルミニウムの第二回収工程では、酸性溶解液中にアルカリを添加してpH7±0.5まで中和する請求項1に記載の水酸化アルミニウム含有溶液の処理方法。
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