JP5308983B2 - スロット型光ケーブル及びスロット型光ケーブルの解体方法 - Google Patents
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しかしながら、このようなシースの除去方法を用いた場合、前述したように作業工程が多く、光ファイバを取り出すまでに非常に時間がかかるという問題がある。
また、ノッチ61,61の底部のシース60の厚さdは、0.2〜0.52mmであることが好ましい。dが小さすぎると、低温環境下においてシース60が割れるおそれがある。一方、dが大きいと引き裂くのに必要な力(引き裂き力)が大きくなる。
このように引き裂き部62を除去した後、シース60の断面略C字状に残った部分(残留部63)を除去する。このとき、押え巻きテープ40はシース60とともに除去される。なお、より確実に押え巻きテープ40をシース60とともに除去するためには、押え巻きテープ40重ね合わせ部41の幅は、後述するノッチ61,61の間隔Dよりも小さいことが好ましい。
また、スロットロッド10の外周部に巻きつけられた押え糸30は、シース60を施したときの熱で融解し、元の状態よりも細い状態か、あるいは切断された状態となっており、10N以下の引っ張り力で破断できるようになっている。したがって、スロットロッド10の外周部に残された押え糸30も容易に除去することができる。
なお、このように押え巻きテープ40の両側部を重ねず、ギャップ42を設けることで、ギャップ42部の押え糸30にシース60を施すときの熱が伝わりやすくなり、より確実に押え糸30を切断された状態とすることができる。これにより、より容易に押え糸30を除去することができる。
また、EVA、EEA、ポリウレタン、セプトン(登録商標)を単独で、あるいは混合して、用いることもできる。
ニップル81には、スロットロッド10の収納溝12にテープ心線20を収容し外周部に押え糸30及び押え巻きテープ40を巻きつけたもの(以下、「内部材50」という)が挿通される挿通孔83が設けられている。
押出ダイス82の押出口84の近傍の所定位置には、低強度樹脂91の押出口85が2箇所設けられている。
そして、内部材50をニップル81の挿通孔83側から押出ダイス82の押出口84側へ繰り出しながら、熱可塑性樹脂64及び低強度樹脂91を押し出す。これにより、内部材50の外周部にシース60及び低強度樹脂部90が形成される。なお、このとき、押え巻きテープ40の両側部のうち上側の側部が2本の低強度樹脂部90の間に配置されるように押し出しを行う。
ノッチ61,61を設けた場合と比較して低強度樹脂部90を設けた場合は引き裂き性が低下するが、シース60の内側面にもノッチ65,65を形成することで、引き裂き性を改善することができる。
また、低強度部として、ノッチ61,61を設けた場合においても、シース60の内側面にノッチ65,65を形成することができる。この場合も引き裂き性を改善することができる。
以下、本発明について試験例を挙げてさらに詳細に説明する。
ノッチ61,61の間隔Dを変化させて引き裂き部62の断面積Sを変えるとともに、ノッチ61,61の部分のシース60の厚さdを以下に示すように変えて、引き裂きに要する力、引き裂き性の評価を行った。
スロットロッド10には、5本の収納溝12を有する外径9.0mmのものを用いた。
各収納溝12には、テープ心線20として4心テープを5枚収納した。
押え糸30にはポリエチレンテープを用いた。
押え巻きテープ40には、幅30mm厚さ0.25mmの吸水テープを用いた。
シース60には引張破断強度が20N/mm2の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、厚さを1.5mmとした。ノッチ61の幅Wは1.5mmとし、ノッチ61,61の間隔Dは2〜7mmとした。
スロット型光ケーブル1の外径を12.5mmとした。
試験例2:Sを5mm2、dを0.37mmとした。
試験例3:Sを5mm2、dを0.40mmとした。
試験例4:Sを8mm2、dを0.30mmとした。
試験例5:Sを4mm2、dを0.39mmとした。
試験例6:Sを4mm2、dを0.50mmとした。
試験例7:Sを6mm2、dを0.52mmとした。
試験例8:Sを7mm2、dを0.65mmとした。
引き裂き部62を把持させた工具70にバネばかりを取り付け、スロット型光ケーブル1に対する角度θ(図4参照)を30°として、バネばかりに作用する力(N)を計測した。
シース60を2m引き裂いたときに引き裂き部62が全くちぎれなかったものを◎、ちぎれた回数が2回以下のものを○、3回以上ちぎれたものを×とした。なお、引き裂き部62は全くちぎれずに引き裂けることが好ましいが、ちぎれる回数が2回以下であれば、光ファイバの取り出し作業に著しく支障をきたすことは無い。
結果を表1に示す。
く間に引き裂き部62が全くちぎれなかった。試験例7では、引き裂き力が45Nであり
、2m引き裂く間に引き裂き部62が1〜2回ちぎれることがあった。
試験例8では、引き裂き力が50Nであり、2m引き裂く間に引き裂き部62が3回以
上ちぎれた。
なお、すべての試験例において、引き裂き部62を除去した後に押え巻きテープ40の重ね合わせ部41の上側の側部が露出するので、残留部63を除去するときに押え巻きテープ40も同時に除去することができた。
実施例1のノッチ61,61の代わりに低強度樹脂部90,90を設けた以外は同様にして試作例9のスロット型光ケーブル1を製造した。
低強度樹脂91としては、引張破断強度がシース60の80%(16N/mm2)のシースと同じ材料を発泡させたものを用い、引き裂き部62の断面積Sが6mm2となるように低強度樹脂部90,90の間隔Dを設定した。また、図9に示すように、低強度樹脂部90,90を、シース60を引き裂き部62と残留部63とに完全に分断し、引き裂き部62と残留部63との隙間を低強度樹脂91で埋めるように形成した。(すなわち、シース厚d=0mm)
このとき引き裂き力は15Nとなり、シース60を2m引き裂いたときに引き裂き部62が全くちぎれなかった。
10 スロットロッド
12 収納溝
21 光ファイバ
30 押え糸
40 押え巻きテープ
41 重ね合わせ部
42 ギャップ
60 シース
61 ノッチ
62 引き裂き部
63 残留部
Claims (10)
- 外周部に収納溝が形成されたスロットロッドと、前記収納溝内に収容された光ファイバと、前記スロットロッドを被覆する押え巻きテープと、前記押え巻きテープを被覆するシースと、を備え、
前記押え巻きテープは前記スロットロッドに縦添えされ、両側部が重なるように設けられており、
前記シースには長さ方向に形成された2本の低強度部により区切られた引き裂き部が1箇所のみ設けられており、
前記引き裂き部は前記押え巻きテープの両側部のうち上側の側部と重なるように設けられていることを特徴とするスロット型光ケーブル。 - 外周部に収納溝が形成されたスロットロッドと、前記収納溝内に収容された光ファイバと、前記スロットロッドを被覆する押え巻きテープと、前記押え巻きテープを被覆するシースと、を備え、
前記押え巻きテープは前記スロットロッドに縦添えされ、両側部が重ならないように隙間を持たせて設けられており、
前記シースには長さ方向に形成された2本の低強度部により区切られた引き裂き部が1箇所のみ設けられており、
前記引き裂き部は前記押え巻きテープの前記隙間の少なくとも一部と重なるように設けられていることを特徴とするスロット型光ケーブル。 - 前記低強度部は、シースの外側面に設けられたノッチであることを特徴とする請求項1または2に記載のスロット型光ケーブル。
- 前記低強度部は、前記シースよりも低強度の樹脂からなる低強度樹脂部であることを特徴とする請求項1または2に記載のスロット型光ケーブル。
- 前記引き裂き部に対して前記低強度部よりも外側の前記シースの内側面にノッチが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスロット型光ケーブル。
- 前記引き裂き部を引き裂くときの引き裂き力が45N以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスロット型光ケーブル。
- 前記押え巻きテープの内側面には、前記スロットロッドの外周部に巻きつけられ、前記収納溝内に収容された光ファイバを拘束する押え糸が設けられており、前記押え糸は、元の状態よりも細い状態、あるいは切断された状態であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスロット型光ケーブル。
- 前記押え巻きテープは前記シースのみにより前記スロットロッドの外周部に固定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のスロット型光ケーブル。
- 前記押え巻テープの外周にはさらに固定糸が設けられ、その上に前記シースが施されており、
前記固定糸と、前記シースは融着していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のスロット型光ケーブル。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のスロット型光ケーブルの解体方法であって、
前記引き裂き部を前記2本の低強度部より把持し、前記スロットロッドから遠ざかる方向に引っ張ることで前記2本の低強度部に沿って前記シースを破断させ、前記引き裂き部を除去し、
次に、前記シースの残留部とともに前記押え巻きテープを除去することを特徴とするスロット型光ケーブルの解体方法。
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