JP4495235B2 - 光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルの分岐部の形成方法 - Google Patents
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光ファイバは、たとえば、複数本の光ファイバを樹脂で一体化してテープ状にした光ファイバテープ心線として収容される。
中間後分岐作業が容易に行える光ファイバケーブルとしては、たとえば、光ファイバテープ心線に光ファイバ同士の間を長手方向に沿って切り離すことで光ファイバが単心毎あるいは複数心毎に分離された分断部が設けられ、該分断部がSZ型スロットロッドの螺旋の向きが反転する位置に配置されるように収納されている光ファイバケーブルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、リサイクル性を考慮した光ファイバケーブルとして、押え巻テープを隙間が形成されるように巻き、隙間から露出した部分の粗巻き紐をシースに融着させた光ファイバケーブルが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1の実施形態に係る光ファイバケーブル1Aを示す側面図であり、図2は図1のII−II矢視断面図である。図1、図2に示すように、光ファイバケーブル1Aは、スロットロッド10と、光ファイバテープ心線20と、粗巻き紐30と、押え巻テープ40Aとシース60と、から概略構成される。ここで、図1においては、シース60の一部を除去し、押え巻テープ40Aの一部を切り開いた状態を示している。
なお、図2、図3においては、8本の光ファイバ21が一列に配列され、被覆材22により一括被覆した8心の光ファイバテープ心線20を用い、1つの収納溝12内に10枚の光ファイバテープ心線20が積層された例を示しているが、1枚の光ファイバテープ心線内の光ファイバ心線数および1つの収納溝内の光ファイバテープ心線の積層数はこれに限定されない。
chloride)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA;Ethylence-Vinyl Acetate)のうちのいずれか1つまたはそれらを複合したもの等を用いることができる。
熱可塑性樹脂の温度が低下し固化すると、シース60が形成されるが、このときシース60の内側では、押え巻テープ40Aの隙間41から露出している粗巻き紐30が、一旦溶融して固化することにより、図5に示すように元の状態よりも幅が狭い状態あるいは切断された状態となる。
以上により、光ファイバケーブル1Aが完成する。
また、粗巻き紐30の押え巻テープ40Aの隙間41から露出している部分は溶融して図5に示すように元の状態よりも幅が狭い状態あるいは切断された状態となっているため、押え巻テープ40Aを剥ぎ取ると同時に除去される。つまり、あらかじめ粗巻き紐30が切れているまたは切れやすい状態となっているため、刃物で粗巻き紐30を切断する必要がなく、中間後分岐作業を容易に行うことができる。
なお、ここで言うシースの食い込みとは、収納溝12の左右の上端を結んだ直線上から収納溝12内部へシース60が落ち込んだ量を意味する。シースの食い込みが0.5mm以上の場合は、光ファイバケーブルを曲げた時や温度伸縮時に収納溝内で光ファイバテープ心線が撓むのを吸収するスペースが足りなくなるため、機械特性や温度特性が劣化してしまう問題が生じることがある。
押え巻テープ40Aの隙間41から露出した粗巻き紐30の隣り合う露出部間における巻き付け回数は、1回以上10回以下であると、中間後分岐作業において、粗巻き紐30の除去性を損なうことなく破断片が飛散するのを抑制できる。
図6は本発明の第2の実施形態に係る光ファイバケーブル1Bを示す側面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。ここで、図6においては、図1と同様に、シース60の一部を除去し、押え巻テープ40Bの一部を切り開いた状態を示している。
固定紐50としては、たとえば熱可塑性樹脂からなるものを用いることができ、シース60と同じ材料からなるものを用いることで、シース60と融着させることができる。
なお、押え巻テープ40Bとシース60を同時に施す場合は、固定紐50を省略することもできる。
熱可塑性樹脂の温度が低下し固化すると、シース60が形成されるが、ことのきシース60の内部では、固定紐50はシース60と一体化し、押え巻テープ40Bの隙間41から露出している粗巻き紐30は、一旦溶融して固化することにより、図7に示すように元の状態よりも幅が狭い状態あるいは切断された状態となる。
以上により、光ファイバケーブル1Bが完成する。
また、粗巻き紐30の押え巻テープ40Aの隙間41から露出している部分は溶融して図7に示すように元の状態よりも幅が狭い状態あるいは切断された状態となっているため、押え巻テープ40Bを剥ぎ取ると同時に除去される。つまり、あらかじめ粗巻き紐30が切れているまたは切れやすい状態となっているため、刃物で粗巻き紐30を切断する必要がなく、中間後分岐作業を容易に行うことができる。
図1に示すような、粗巻き紐30と押え巻テープ40Aを互いに反対方向に螺旋状に巻いた光ファイバケーブルを製造し、光ファイバケーブルの中間50cmのシースを剥ぎ取り、中間後分岐作業性を評価した。
スロットロッドは直径が9mmの周方向に5つの収納溝を有するSZ型スロットロッドを用い、各収納溝には厚さ0.3mmの4心光ファイバテープ心線を5枚積層させて収納した。表1に示す各種粗巻き紐30を左巻きに巻き、その上に厚さ0.17mm幅15mmの不織布からなる押え巻テープ40Aを右巻きに巻いた。なお、このとき図1に示す押え巻テープ40の隙間41の幅Wは2.0mmとした。
このようにして製造したケーブルコアの外周に180℃で融解させた厚さ1.7mmのポリエチレンからなるシース60を施した。
ここでシース除去時の力の評価基準は、シース除去時の力がシース除去の力のみの場合は○、粗巻き紐の抵抗感があったものを×とした。また、押え巻きテープの巻きずれ・切れの評価基準は、シース除去時に押え巻テープ40Aの巻きずれや切れがあったものを×とし、押え巻テープ40Aの巻きずれや切れがなかったものを○とした。
スロットの外径、押え巻テープ40Aの幅、押え巻テープ40の隙間41の幅Wを変化させた以外は実施例2と同様にして、実施例2−1〜13の光ファイバケーブルを製造し、押え巻テープ40の隙間における粗巻き紐30の状態を調査した。
粗巻き紐30が溶融して完全に切断されている場合、つまり○の場合は、押え巻テープ40Aを除去する場合に、押え巻テープ40Aを除去する力のみで押え巻テープ40Aと粗巻き紐30を除去することができるが、細くなっているが、完全に切断されていない、つまり×の場合は、押え巻テープ40Aを除去するときに粗巻き紐30の抵抗感がある。
また、シースの食い込みは、0.2mm以下の場合を◎、0.2mm〜0.5mmを○、0.5mm以上を×とした。
図4に示すような、粗巻き紐30と押え巻テープ40Aを同方向に螺旋巻きした光ファイバケーブルを製造し、光ファイバケーブルの中間50cmのシースを剥ぎ取り、中間後分岐作業性を評価した。
スロットロッドは直径が9mmの周方向に5つの収納溝を有するSZ型スロットロッドを用い、各収納溝には厚さ0.3mmの4心光ファイバテープ心線を5枚積層させて収納した。粗巻き紐30は、厚さ0.18mm、幅2.5mmの低融点ポリプロピレン(融解温度150℃)を表3に示すピッチで左巻きに巻き、その上に厚さ0.17mm幅15mmの不織布からなる押え巻テープ40Aを実施例3−1においては右巻きに、実施例3−2〜10においては左巻きに巻いた。このようにして製造したケーブルコアの外周に180℃で融解させた厚さ1.7mmのポリエチレンからなるシース60を施した。
ここで、中間後分岐時の飛散性は、押え巻テープ40Aを除去したときに、粗巻き紐30が飛散しなかったものを○、飛散したものを×とした。
また除去性は、粗巻き紐の端部を引っ張って除去できたものを○、引っ張っただけでは除去できなかったものを×とした。
スロットロッドは直径が9mmの周方向に5つの収納溝を有するSZ型スロットロッドを用い、各収納溝には厚さ0.3mmの4心光ファイバテープ心線を5枚積層させて収納した。粗巻き紐30は、厚さ0.18mm、幅2.5mmの低融点ポリプロピレン(融解温度150℃)を左巻きに巻き、その上に厚さ0.17mmの不織布からなる押え巻テープ40Bを表4に示す幅の隙間が形成されるように縦添えした。さらにこの外周にポリエチレン(融解温度135℃)からなる固定紐50を右巻きに巻き、ケーブルコアを作製した。得られたケーブルコアの外周に180℃で融解させた厚さ1.7mmのポリエチレンからなるシース60を施した。
また、押え巻テープ40を手作業で容易に切断することができるように、押え巻テープ40の幅方向の両端に所定の間隔で切り込みを入れたり、微細なミシン目を入れる等の易切断加工を施してもよい。このような押え巻テープ40として、例えば、マジックカット(登録商標)テープ(アサヒ化成パックス社製)等を用いることができる。
10 スロットロッド
12 収納溝
21 光ファイバ
30 粗巻き紐
40A,40B 押え巻テープ
41 隙間
50 固定紐
60 シース
Claims (10)
- 外周部に収納溝が形成され、前記収納溝内に光ファイバが収容されたスロットロッドの外周に、粗巻き紐と、押え巻テープと、シースと、を順に施してなる光ファイバケーブルにおいて、
前記押え巻テープは、前記粗巻き紐の一部が露出するように隙間を持たせて施され、
その上に前記シースが施されており、
前記粗巻き紐と、前記シースは異なる材料からなり、
前記押え巻テープの隙間における前記粗巻き紐は、融解して元の状態よりも幅が狭い状態、あるいは切断された状態であり、
前記粗巻き紐と前記シースは融着せず、シース剥ぎ取り時に粗巻き紐を引っ張ることがなく、ケーブルコアにダメージを与えることなくシース剥ぎ取り作業が可能であることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 前記シースはポリエチレンからなり、前記粗巻き紐はポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)のうちのいずれか1つまたはそれらを複合したものからなることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
- 前記粗巻き紐および前記押え巻テープは前記スロットロッドの外周に螺旋状に巻かれており、前記押え巻テープと前記粗巻き紐は互いに反対方向に巻かれていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバケーブル。
- 前記粗巻き紐および前記押え巻テープは前記スロットロッドの外周に螺旋状に巻かれており、前記押え巻テープと前記粗巻き紐は同方向に巻かれていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバケーブル。
- 前記隙間は1mm以上15mm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の光ファイバケーブル。
- 前記隙間から露出した前記粗巻き紐の隣り合う露出部間における巻き付け回数は、1回以上10回以下であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1に記載の光ファイバケーブル。
- 前記押え巻テープは前記粗巻き紐が巻かれた前記スロットロッドの外周に縦添えされていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバケーブル。
- 前記押え巻テープの外周にはさらに固定紐が施され、
その上に前記シースが施されており、
前記固定紐と、前記シースは融着していることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバケーブル。 - 前記隙間は1mm以上3mm以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の光ファイバケーブル。
- 光ファイバケーブルの分岐部の形成方法であって、
外周部に収納溝が形成され、前記収納溝内に光ファイバが収容されたスロットロッドの外周に、粗巻き紐と、押え巻テープと、シースと、を順に施してなる光ファイバケーブルにおいて、
前記押え巻テープは、前記粗巻き紐の一部が露出するように隙間を持たせて施され、その上に前記シースが施されており、前記粗巻き紐と、前記シースは異なる材料からなり、前記押え巻テープの隙間における前記粗巻き紐は、融解して元の状態よりも幅が狭い状態、あるいは切断された状態であり、
前記粗巻き紐とは融着されていない前記シースを剥ぎとり、前記押え巻テープを剥ぎ取ると同時に前記粗巻き紐を除去することを特徴とする光ファイバケーブルの分岐部の形成方法。
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