JP5914057B2 - 光ファイバユニットの作製方法及び光ファイバケーブルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は光ファイバユニット、光ファイバケーブル、光ファイバユニットの作製方法及び光ファイバケーブルの製造方法に関する。
従来、色彩が付された糸やプラスチックテープ等の結束部材(粗巻き糸)を用いて、複数本の光ファイバを束ねて光ファイバユニットとし、その光ファイバユニットを複数本実装した光ファイバケーブルが実用化されている。
このような光ファイバケーブルについて、複数心の光ファイバを粗巻きした紐の熱収縮などによる側圧を抑えるために、粗巻きした紐が余長を有する光ファイバ複合架空地線が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、従来の光ファイバケーブルにおいて、光ファイバを束ねた結束部材が容易に解け易く、中間分岐作業時に不意に結束部材が解けることにより取り出し性及び識別性が劣化する場合がある。これを改善するため、コア部、及びコア部を覆って設けられコア部よりも融点が低い被覆部をそれぞれ有する複数本の結束部材で複数本の光ファイバを束ね、結束部材同士の交差部を熱融着することにより、結束部材を不意に解け難くした光ファイバユニット構造が考えられる。
このような構造の光ファイバユニットにおいて、中間後分岐作業における識別性を向上するために、結束部材の交差部を等ピッチにすることが望ましい。このため、ボビンや紙巻等の繰り出し機を用いて複数の結束部材が所定の張力を保持して繰り出され、複数本の光ファイバに巻き付けられる。
しかしながら、結束部材の繰り出し時の張力が大きいと、ユニット化後の結束部材の弾性収縮量が大きく、光ファイバの長さに対して結束部材の長さが短くなり、光ファイバが結束部材から飛び出す場合がある。結束部材は中間後分岐作業における光ファイバユニットの識別のために施していることから、光ファイバが結束部材から飛び出すことにより中間後分岐作業における光ファイバユニットの識別が非常に困難となる。
特開平9−26534号公報
本発明の目的は、光ファイバの束に巻き付けた結束部材から光ファイバが飛び出すことを抑制し、中間後分岐作業における光ファイバユニットの識別性を十分確保することができる光ファイバユニット、光ファイバケーブル、光ファイバユニットの作製方法及び光ファイバケーブルの製造方法を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、複数本の光ファイバと、コア部、及びコア部を覆って設けられコア部よりも融点が低い被覆部をそれぞれ有し、複数本の光ファイバを互いに交差部を有するように束ね、互いの交差部が熱融着された複数本の結束部材とを備え、複数の結束部材のそれぞれの繰り出し時の張力を制御することにより、複数の結束部材のそれぞれの繰り出し時における光ファイバの長さに対する結束部材の長さの比率が−0.10%以上0.00%以下に規定されている光ファイバユニットが提供される。
本発明の第2の態様によれば、コア部、及びコア部を覆って設けられコア部よりも融点が低い被覆部をそれぞれ有する複数本の結束部材を用いて複数本の光ファイバが束ねられ、複数の結束部材同士の交差部が熱融着されることによりそれぞれが一束化された複数本の光ファイバユニットと、複数本の光ファイバユニットの周囲を被覆する外被とを備え、複数本の光ファイバユニットのそれぞれにおいて、複数の結束部材のそれぞれの繰り出し時の張力を制御することにより、複数の結束部材のそれぞれの繰り出し時における光ファイバの長さに対する結束部材の長さの比率が−0.10%以上0.00%以下に規定されている光ファイバケーブルが提供される。
本発明の第3の態様によれば、コア部、及びコア部を覆って設けられコア部よりも融点が低い被覆部をそれぞれ有する複数本の結束部材のそれぞれを、光ファイバの長さに対する結束部材の長さの比率が−0.10%以上0.00%以下となるように張力を制御しながら繰り出すステップと、複数本の結束部材同士が交差部を有するように複数本の結束部材を用いて複数本の光ファイバを束ねるステップと、被覆部の融点以上且つコア部の融点未満の温度で加熱することにより交差部を熱融着するステップと、熱融着した複数の結束部材のそれぞれを冷却するステップとを含む光ファイバユニットの作製方法が提供される。
本発明の第4の態様によれば、コア部、及びコア部を覆って設けられコア部よりも融点が低い被覆部をそれぞれ有する複数本の結束部材のそれぞれを、光ファイバの長さに対する結束部材の長さの比率が−0.10%以上0.00%以下となるように張力を制御しながら繰り出すステップと、複数本の結束部材同士が交差部を有するように複数本の結束部材を用いて複数本の光ファイバを束ねるステップと、被覆部の融点以上且つコア部の融点未満の温度で加熱することにより交差部を熱融着し、熱融着した複数の結束部材のそれぞれを冷却することにより光ファイバユニットを作製するステップと、光ファイバユニットを複数本集合し、複数本の光ファイバユニットの周囲を外被で被覆するステップとを含む光ファイバケーブルの製造方法が提供される。
本発明によれば、光ファイバの束に巻き付けた結束部材から光ファイバが飛び出すことを抑制し、中間後分岐作業における光ファイバユニットの識別性を十分確保することができる光ファイバユニット、光ファイバケーブル、光ファイバユニットの作製方法及び光ファイバケーブルの製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルの一例のケーブル長手方向の切断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る光ファイバユニットの一例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルの結束部材の一例の長さ方向の切断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルの繰り出し機の一例を示す概略図である。 第1及び第2の比較例並びに第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットの光ファイバ長に対する結束部材長の測定結果を表す表である。 図6(a)は、第1の比較例に係る光ファイバユニットの試作後の状態を示す概略図である。図6(b)は、第2の比較例に係る光ファイバユニットの試作後の状態を示す概略図である。図6(c)は、第1の実施例に係る光ファイバユニットの試作後の状態を示す概略図である。図6(d)は、第2の実施例に係る光ファイバユニットの試作後の状態を示す概略図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(光ファイバケーブルの構造)
本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルは、図1に示すように、ケーブル部1、ケーブル部1と連結した首部2、及び首部2と連結した支持線部3を備えるスロットレス型光ファイバケーブルである。
支持線部3は、ケーブル長手方向に延伸する支持線18と、支持線18を一括被覆した外被(シース)17とを備える。
ケーブル部1は、複数の光ファイバユニット10a〜10jと、複数の光ファイバユニット10a〜10jを一括被覆した外被(シース)13と、外被13の内部に埋設された一対の抗張力体(テンションメンバ)15a,15bとを備える。
抗張力体15a,15bとしては鋼線等の金属線又は繊維強化プラスチック(FRP)等が使用可能である。また、抗張力体15a,15bとしては、線状体に限らず、帯状体であっても良い。帯状体とは、断面が偏平形状、楕円形状、あるいは長方形などの矩形状で、長尺の帯状のものをいう。外被13の材料としては、例えばポリエチレン(PE)などの樹脂が使用可能である。
複数の光ファイバユニット10a〜10jと外被13との間には、図示を省略した押え巻きテープが配置されていても良い。押え巻きテープの材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)若しくはナイロン(登録商標)等の熱可塑性樹脂、又はエポキシ等の熱硬化性樹脂が使用可能である。また、外被13には、中間分岐作業において外被13を引き裂くための図示を省略した引き裂き紐(リップコード)が埋設されていても良い。
光ファイバユニット10aは、図2に示すように、光ファイバ11aの束と、光ファイバ11aの束に巻き付けられた複数本(2本)の結束部材12a,12bを有する。
光ファイバ11aの束は、例えば直径0.5mmの光ファイバ心線を20本集合させたものである。光ファイバ11aとしては、光ファイバ素線、光ファイバ心線又は光ファイバテープ心線等の心線を採用可能である。本発明の実施の形態において、光ファイバ11aの本数及び光ファイバ11aの種類は特に限定されない。
結束部材12a,12bには、他の光ファイバユニット10b〜10jと識別可能なように固有の色彩が付されている。結束部材12a,12bには同じ色彩が付されても良く、互いに異なる色彩が付されても良い。
結束部材12a,12bは光ファイバ11aの束に互いに逆向きに螺旋状に巻き付けられている。結束部材12a,12bの交差部(クロスバインド部)Tは熱融着することにより接着されている。結束部材12a,12b同士の交差部Tにおける接着強度は、結束部材12a,12bが不意に解けず、外したいときは手で容易に外せる程度である。よって、結束部材12a,12bが不意に解けて光ファイバユニット10aと他の光ファイバユニット10b〜10jとの識別性を損なうことを防止することができる。更に、中間後分岐作業時には結束部材12a,12bの交差部Tを手で外して取り出し部位を広げることができ、光ファイバ11aを容易に取り出すことができる。
結束部材12a,12bの交差部T間のピッチは、中間後分岐における識別性を向上するために等間隔であることが好ましく、例えば80mm〜200mmが好ましい。ピッチが80mm未満で狭くなるほど、中間分岐作業時に光ファイバ11aを取り出し難くなる。一方、ピッチが200mmを超え広くなるほど結束部材12a,12bの視認性が悪くなる。
結束部材12a,12bは、図3に示すように、ケーブル長手方向にそれぞれ延伸する複数本のコア部122と、コア部122の外周を被覆し、コア部122の融点より低い融点を有する被覆部121とを含む。コア部122の融点と被覆部121の融点の差は20℃程度以上あることが好ましい。コア部122の融点は160℃程度が好ましく、被覆部121の融点は90℃〜130℃程度が好ましい。また、被覆部121には、加熱して溶けても光ファイバ11aと接着しないか或いは接着してもその接着力が低く、しかも光ファイバ11aの外被層を劣化させないことが要求される。
コア部122及び被覆部121のそれぞれには、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高融点樹脂、またはポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維(登録商標であるナイロン等)、ポリエステル繊維(PET繊維等)等の高融点繊維、またはPET、PP等の高融点テープ或いはフィルムに対して加熱・冷却により軟化・固化を可逆的に繰り返すことが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)のような低融点のもの、または熱可塑性樹脂やゴムをベースとし、加熱・冷却により軟化・固化を可逆的に繰り返すことが可能な、いわゆる加熱融解型(ホットメルト)の接着剤で覆ったもの等が使用できる。
結束部材12a,12bは、例えば図4に示すような繰り出し機100a,100bにより繰り出され、光ファイバ11aの束に巻き付けられる。繰り出し機100a,100bは、結束部材12a,12bをそれぞれ巻き付けたボビン101a,101bと、ボビン101a,101bの中心を軸に回転可能な支持部102a,102bと、支持部102a,102bに取り付けられた羽根部103a,103bと、支持部102a,102bに取り付けられた繰り出し部104a,104bを有する。
複数本の光ファイバ11aの束は、白抜きの矢印に走行し、ボビン101a,101bの中心の空洞部を順次通過する。支持部102aは、ボビン101aの中心を軸として、光ファイバ11aの束の進行方向に対して時計回りに回転する。支持部102bは、ボビン101bの中心を軸として、光ファイバ11aの束の進行方向に対して半時計回りに回転する。ボビン101a,101bに巻き付けられている結束部材12a,12bは、羽根部103a,103bの開口部及び繰り出し部104a,104bの開口部を介してそれぞれ繰り出され、光ファイバ11aの束に巻き付けられる。
図1に示した光ファイバユニット10b〜10jは、光ファイバユニット10aと同様に、光ファイバ11b〜11jの束に複数本の結束部材12c〜12tを巻き付けて交差部Tを熱融着することにより一束化されている。
本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルに対する中間後分岐作業においては、ナイフ等の切り裂き工具を用いるか、又はリップコードを内蔵している場合にはリップコードを引っ張ることにより外被13を所定の長さで切り裂き、剥ぎ取る。そして、露出した光ファイバユニット10a〜10jの結束部材12a〜12tの交差部Tを剥がして光ファイバ11a〜11jを取り出すことができる。
ここで、光ファイバユニット10b〜10jのそれぞれにおいて、結束部材12a〜12tの繰り出し時の張力により、ユニット化後に結束部材12a〜12tに弾性収縮が生じ、光ファイバ11a〜11jの長さに対して結束部材12a〜12tの長さが短くなる。この結果、光ファイバ11a〜11jが巻き付けられている結束部材12a〜12tから飛び出し、中間後分岐作業における識別性が損なわれる場合がある。
結束部材12a〜12tの繰り出し時における光ファイバ11a〜11jの長さ(ファイバ長)Lfに対する結束部材12a〜12tの長さ(結束部材長)Lbの比率(「余長率」ともいう。)Rは、以下の式(1)で表すことができる。

R=(Lb−Lf)/Lf×100 …(1)

結束部材12a〜12tの繰り出し時における結束部材12a〜12tの長さLbは、結束部材12a〜12tの繰り出し時の張力により変化する。結束部材12a〜12tの繰り出し時の張力の大きさは、光ファイバ11a〜11jの種類や、結束部材12a〜12tのヤング率等に応じて適宜調整される。なお、光ファイバ11a〜11jの束の直径及び交差部Tのピッチによる結束部材12a〜12tの長さへの影響は無視し得る程度に小さいため、式(1)においては考慮しないものとする。
本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルでは、比率Rが−0.10%以上0.00%以下に規定されている。比率Rが−0.10%未満となると、結束部材12a〜12tの収縮量が大きくなる。この結果、光ファイバ11a〜11jが結束部材12a〜12tから大きく飛び出し、中間後分岐作業における光ファイバユニット10a〜10jの識別が困難となる。これに対して、比率Rが−0.10%以上であれば、結束部材12a〜12tの収縮量を低減することができる。この結果、光ファイバ11a〜11jが結束部材12a〜12tから飛び出すことが抑制され、中間後分岐作業における光ファイバユニット10a〜10jの識別が十分に可能となる。
一方、比率Rが0.00%より大きくなると、結束部材12a〜12tの交差部Tにおいて接触が不十分なため熱融着が不確実であったり、結束部材12a〜12tが光ファイバ11a〜11jの束から浮いている状態にあるため熱融着時の加熱により結束部材12a〜12tが溶解したりする場合がある。これに対して、比率Rが0.00%以下であれば、熱融着時の加熱により結束部材12a〜12tが溶解することなく、結束部材12a〜12tが交差部Tにおいて互いに接触し、確実に熱融着することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルによれば、各光ファイバユニット10a〜10jにおいて、結束部材12a〜12tの繰り出し時における比率Rが−0.10%以上0.00%以下に規定されていることにより、結束部材12a〜12tの収縮量を低減することができる。この結果、結束部材12a〜12tから光ファイバ11a〜11jが飛び出すことを抑制することができ、中間後分岐作業における光ファイバユニット10a〜10jの識別性を十分確保することができる。
(光ファイバケーブルの製造方法)
次に、本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルの製造方法の一例を説明する。
(イ)図4に示すように、複数本の光ファイバ11aの束は、繰り出し機100a,100bのボビン101a,101bの中心を通過し、白抜きの矢印の方向に走行させる。結束部材12a,12bは、光ファイバ11aの束に引きずられながら、光ファイバ11aの束に巻き付くように所定の張力で繰り出される。ここで、結束部材12a,12bの繰り出し時の比率Rが−0.10%以上0.00%以下となるように結束部材12a,12bの張力が制御される。結束部材12a,12bは、束に螺旋状に交差部Tを等ピッチで有するように巻き付けられる。
(ロ)次に、結束部材12a,12bが巻き付けられた光ファイバ11aの束は、図示を省略したカンタル炉等の電気炉、電熱ヒータ又は温風加熱炉等の加熱装置に搬入され、結束部材12a,12bを構成する被覆部121の融点以上の温度で且つコア部122の融点未満の温度(例えば130℃〜140℃程度)に加熱される。この結果、結束部材12a,12bの被覆部121が溶融し、結束部材12a,12bが交差部Tにおいて熱融着により接着される。一方、コア部122は溶融しないため、結束部材12a,12bの形状は保持される。
(ハ)結束部材12a,12bが巻き付けられた光ファイバユニット10aは、加熱装置から搬出された後に自然冷却される。これにより、被覆部121が固化し、結束部材12a,12bの交差部Tの接着状態は保持される。このようにして、図1に示した光ファイバユニット10aが作製される。更に、光ファイバユニット10aと同様にして、光ファイバユニット10b〜10jが作製される。なお、光ファイバユニット10b〜10jは、光ファイバユニット10aと並列して同時に作製することも可能である。
(ニ)光ファイバユニット10a〜10jを複数本束ねて撚り合わせる。ここで、必要に応じて光ファイバユニット10a〜10jの周囲を押え巻きテープで押えても良い。その後、図示を省略した押出機を用いて、押出成形により光ファイバユニット10a〜10jの周囲を支持線18とともに外被13,17で被覆する。その後、水冷等により冷却し、図1に示した光ファイバケーブルが完成する。
本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルの製造方法によれば、複数本の結束部材12a〜12tの繰り出し時の張力を制御することにより、比率Rを−0.10%以上0.00%以下に規定することにより、結束部材12a〜12tの収縮量を低減することができる。この結果、光ファイバユニット10a〜10jから光ファイバ11a〜11jが飛び出すことを抑制し、中間後分岐作業における光ファイバユニット10a〜10jの識別性を十分確保することができる光ファイバユニット10a〜10j及び光ファイバユニット10a〜10jを収納した光ファイバケーブルを製造することができる。
(実施例)
本発明の実施の形態の第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットと、第1及び第2の比較例に係る光ファイバユニットを試作した。
第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットは、図4に示すような繰り出し機を用いて、2本の結束部材が巻き方向が逆になるように螺旋状に光ファイバの束に巻き付けられている。第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットのそれぞれの結束部材の繰り出し時の張力を75g、50gとした。第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットの結束部材の交差部間はいずれも等ピッチで150mmとした。
更に、第1及び第2の比較例に係る光ファイバユニットとして、結束部材の繰り出し張力をそれぞれ145g、110gとし、それ以外の条件は第1及び第2の実施例の光ファイバユニットと同様のものを試作した。
第1及び第2の比較例並びに第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットにおける比率Rの測定結果を図5に示す。第1及び第2の比較例に係る光ファイバユニットでは、比率Rが−0.28%及び−0.16%となった。一方、第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットでは、比率Rが−0.10%及び−0.05%となった。
第1及び第2の比較例に係る光ファイバユニットにおいては、図6(a)及び図6(b)にそれぞれ示すように、光ファイバ21,22が結束部材31a,31b,32a,32bから大きく飛び出し、中間後分岐作業における光ファイバユニットの識別が困難であった。一方、第1及び第2の実施例に係る光ファイバユニットにおいては、図6(c)及び図6(d)に示すように、光ファイバ23,24が結束部材33a,33b,34a,34bから飛び出すことを抑制することができ、中間後分岐作業における光ファイバユニットの識別が十分に可能であった。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
本発明の実施の形態に係る繰り出し機として、図4にボビン101a,101b及び張力制御部102a,102bをそれぞれ有する繰り出し機100a,100bを示したが、繰り出し機の構造はこれに特に限定されるものではなく、結束部材12a,12bを所定の張力で繰り出せる構造を有していれば良い。
また、本発明の実施の形態に係る光ファイバケーブルの構造として、図1に示すようにスロットレス型光ファイバケーブルを示したが、光ファイバユニットを有するものであれば光ファイバケーブルの種類は特に限定されない。例えば、SZスロット型光ファイバケーブル又はテープスロット型光ファイバケーブル等のスロット型光ファイバケーブルにも適用可能である。
また、本発明の実施の形態に係る結束部材12a,12bとして、図3に示すように複数本のコア部122を被覆部121で一括被覆した紐状の構造を説明したが、これに特に限定されない。例えば、1本のコア部の外周を被覆部で被覆した二重構造であっても良い。また、コア部をテープ形状又はフィルム形状とし、このコア部を被覆部で被覆した構造であっても良い。また、コア部の外周を被覆部で被覆した二重構造のものを複数本撚り合わせた構造であっても良い。
また、2本の結束部材12a,12bを逆向きに螺旋状に光ファイバ11aの束に巻き付ける場合を説明したが、結束部材12a,12bの本数及び巻き付け方は、交差部Tを有するように巻き付けることができれば特に限定されない。例えば、1本の結束部材12aを螺旋状に巻き付けるとともに、もう1本の結束部材12bを直線的に縦添えしても良い。また、2本の結束部材12a,12bを逆向きに螺旋状に巻き付けるとともに、更に他の結束部材を直線的に縦添えしても良い。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…ケーブル部
2…首部
3…支持線部
4…外被
10a〜10j…光ファイバユニット
11a〜11j,21〜24…光ファイバ
12a〜12t,31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b…結束部材
13,17…外被
15a,15b…抗張力体
18…支持線
100a,100b…繰り出し機
101a,101b…ボビン
102a,102b…支持部
103a,103b…羽根部
104a,104b…繰り出し部
121…被覆部
122…コア部

Claims (2)

  1. コア部、及び前記コア部を覆って設けられ前記コア部よりも融点が低い被覆部をそれぞれ有する複数本の結束部材のそれぞれを、張力を制御しながら繰り出すステップと、
    前記複数本の結束部材同士が交差部を有するように前記複数本の結束部材を用いて複数本の光ファイバを束ねるステップと、
    前記被覆部の融点以上且つ前記コア部の融点未満の温度で加熱することにより前記交差部を熱融着するステップと、
    前記熱融着した複数の結束部材のそれぞれを冷却するステップと、
    を含み、
    前記繰り出すステップは、光ファイバの長さに対する前記結束部材の張力をかけたときの長さの比率が−0.10%以上0.00%以下となるように張力を制御することを特徴とする光ファイバユニットの作製方法。
  2. コア部、及び前記コア部を覆って設けられ前記コア部よりも融点が低い被覆部をそれぞれ有する複数本の結束部材のそれぞれを、張力を制御しながら繰り出すステップと、
    前記複数本の結束部材同士が交差部を有するように前記複数本の結束部材を用いて複数本の光ファイバを束ねるステップと、
    前記被覆部の融点以上且つ前記コア部の融点未満の温度で加熱することにより前記交差部を熱融着し、前記熱融着した複数の結束部材のそれぞれを冷却することにより光ファイバユニットを作製するステップと、
    前記光ファイバユニットを複数本集合し、前記複数本の光ファイバユニットの周囲を外被で被覆するステップと、
    を含み、
    前記繰り出すステップは、光ファイバの長さに対する前記結束部材の張力をかけたときの長さの比率が−0.10%以上0.00%以下となるように張力を制御することを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
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