JP5307650B2 - 合成皮革及び合成皮革の製造方法 - Google Patents

合成皮革及び合成皮革の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、合成皮革及び合成皮革の製造方法に関し、より詳しくは、表皮層と繊維基材とを接着剤層を介して積層させた合成皮革及び合成皮革の製造方法に関する。
合成皮革の製造方法としては、いわゆる湿式法の他に、表皮層と繊維基材とを接着剤層を介して積層させて合成皮革を得るという、いわゆる乾式法が知られている。
そして、このような乾式法による得られる合成皮革において用いる接着剤については、得られる合成皮革の風合い、得られる接着剤層の耐溶剤性、耐加水分解性及び接着強度、並びに製造時における作業性といった観点から検討がなされている。例えば、特開昭60−199087号公報(特許文献1)には、末端イソシアネート基をマスキングしたウレタンプレポリマーとポリアミン系架橋剤と溶剤とからなる合成皮革用接着剤が開示されている。また、特開平6−81275号公報(特許文献2)には、活性水素基を含有したポリウレタン樹脂、イソシアヌレート環を含有したポリイソシアネートを20重量%以上含んでなる有機ポリイソシアネート、及び触媒からなる合成皮革用接着剤が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のような接着剤を用いた場合には、硬化後の接着剤における架橋密度が低いために、耐溶剤性や接着強度の点で問題があった。また、特許文献2に記載のような接着剤を用いた場合には、接着剤が増粘しやすくポットライフが短いために塗布作業中に接着剤の性能が低下してしまう恐れがあり作業性の点で問題があった。さらに、特に高度の表面強度が要求される合成皮革においては、接着剤層の厚みを厚く(例えば、100μm以上)することが要求される場合があるが、このような合成皮革を上記特許文献1や特許文献2に記載のような接着剤を用いて製造する場合には、繊維基材を貼付する際に接着剤が繊維基材に浸み込んでしまうために得られる合成皮革の風合いが硬くなるという問題があった。また、接着剤の浸み込みによる風合いの硬さを改善するために、撥油処理を施した繊維基材を用いるという方法もあるが、撥油処理は排水処理等の問題がある点で必ずしも十分な方法ではなかった。
特開昭60−199087号公報 特開平6−81275号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、接着剤層の厚みが厚い(例えば、100μm以上)場合であっても、表皮層と繊維基材との接着強度が十分に高く且つ良好な風合いを有する合成皮革及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、表皮層と繊維基材とが接着剤層を介して積層されてなる合成皮革において、接着剤層が紫外線硬化性及び湿気硬化性を有する感光性ウレタンプレポリマーからなることにより、接着剤層の厚みが厚い場合であっても、表皮層と繊維基材との接着強度が十分に高く且つ良好な風合いを有する合成皮革を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の合成皮革の製造方法は、表皮層と繊維基材とが接着剤層を介して積層されてなる合成皮革の製造方法であって、
イソシアネート基含有率が2.5〜5.0質量%である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに活性水素基及びビニル基を含有する化合物を反応させて、イソシアネート基の20〜50mol%をビニル基に置換した感光性ウレタンプレポリマーを前記表皮層の表面上に塗布して感光性ウレタンプレポリマー層を形成する工程と、
前記感光性ウレタンプレポリマー層に紫外線を照射して一次架橋ウレタンプレポリマー層を形成する工程と、
前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に前記繊維基材を貼付した後に前記一次架橋ウレタンプレポリマー層を湿気により硬化せしめて前記接着剤層としての硬化ウレタンポリマー層を形成せしめて前記合成皮革を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
また、本発明の合成皮革の製造方法においては、前記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが、ジイソシアネートと、数平均分子量が700〜3000の高分子量ジオールと、数平均分子量が60〜250の低分子量ジオールとを反応させて得られるものであることが好ましい。
さらに、本発明の合成皮革の製造方法においては、前記接着剤層の厚みが100〜500μmであることが好ましい。
本発明によれば、接着剤層の厚みが厚い(例えば、100μm以上)場合であっても、表皮層と繊維基材との接着強度が十分に高く且つ良好な風合いを有する合成皮革及びその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の合成皮革は、表皮層と繊維基材とが接着剤層を介して積層されてなる合成皮革であって、接着剤層が、イソシアネート基含有率が2.5〜5.0質量%である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに活性水素基及びビニル基を含有する化合物を反応させて、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の20〜50mol%をビニル基に置換した感光性ウレタンプレポリマーからなることを特徴とする合成皮革である。
また、本発明の合成皮革の製造方法は、表皮層と繊維基材とが接着剤層を介して積層されてなる合成皮革の製造方法であって、
イソシアネート基含有率が2.5〜5.0質量%である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに活性水素基及びビニル基を含有する化合物を反応させて、イソシアネート基の20〜50mol%をビニル基に置換した感光性ウレタンプレポリマーを前記表皮層の表面上に塗布して感光性ウレタンプレポリマー層を形成する工程と、
前記感光性ウレタンプレポリマー層に紫外線を照射して一次架橋ウレタンプレポリマー層を形成する工程と、
前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に前記繊維基材を貼付した後に前記一次架橋ウレタンプレポリマー層を湿気により硬化せしめて前記接着剤層としての硬化ウレタンポリマー層を形成せしめて前記合成皮革を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
先ず、本発明の合成皮革及びその製造方法に用いる感光性ウレタンプレポリマーについて説明する。本発明に用いる感光性ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基含有率が2.5〜5.0質量%である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに活性水素基及びビニル基を含有する化合物を反応させて、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の20〜50mol%をビニル基に置換したものである。末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率が2.5質量%未満では、得られる接着剤層における接着強度、耐熱性及び引張強度が不十分となり、他方、5.0質量%を超えると、得られる接着剤層が硬くなり過ぎるために、得られる合成皮革の風合いが硬くなる。また、前記イソシアネート基含有率は、得られる合成皮革における風合いと剥離強度とのバランスの観点から、2.5〜4.0質量%であることがより好ましい。さらに、前記感光性ウレタンプレポリマーにおいては、反応前における前記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基100%に対する反応により置換されたビニル基のモル比率が20〜50mol%の範囲内であることが必要である。前記モル比率が20mol%未満では、得られる合成皮革において繊維基材への接着剤の浸み込みが多過ぎるため、風合いが硬くなり、他方、50mol%を超えると、高分子量化しすぎて、接着力が小さくなるため得られる合成皮革における剥離強度が不十分となる。
前記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとしては、ジイソシアネート、高分子量ジオール及び低分子量ジオールを反応させて得られたものを用いることが好ましい。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシル)イソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネート−エチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。これらのジイソシアネートの中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシル)イソシアネートを用いることが好ましい。これらのジイソシアネートは、1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。
高分子量ジオールとしては、数平均分子量が700〜3000のジオールを用いることが好ましい。数平均分子量が700未満では、湿気硬化型接着剤としての粘着性が悪くなる傾向にあり、他方、3000を超えると、全グリコールの数平均分子量を調整しても強度が不十分となる傾向にある。このような高分子量ジオールとしては、ポリエーテル型ジオール、ポリエステル型ジオール、ポリカーボネート型ジオールが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐薬品性、耐寒性、屈曲性の観点から、ポリエーテル型ジオールを用いることが好ましい。また、これらの高分子量ジオールは、1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。
前記ポリエーテル型ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、1種以上のイオン重合性環式化合物の開環共重合により得られるポリエーテルジオールが挙げられる。また、前記イオン重合性環式化合物の開環共重合により得られるポリエーテルジオールは、前記イオン重合性環式化合物を2種以上用いた開環共重合により得られるポリエーテルジオールであってもよく、前記イオン重合性環式化合物と、エチレンイミン等の環式イミン、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環式ラクトン、又はジメチルシクロポリシロキサンとの開環共重合により得られるポリエーテルジオールであってもよい。さらに、前記イオン重合性環式化合物の開環共重合により得られるポリエーテルジオールは、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。このようなイオン重合性環式化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3’−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカルボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルベンゾエートが挙げられる。また、前記イオン重合性環式化合物を2種以上用いた開環共重合により得られるポリエーテルジオールにおける前記イオン重合性環式化合物の組合せとしては、例えば、テトラヒドロフランとプロピレンオキシドとの組合せ、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフランとの組合せ、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランとの組合せ、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとの組合せ、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの組合せ、エチレンオキシドとブテン−1−オキシドとの組合せ、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとブテン−1−オキシドとの組合せが挙げられる。
前記ポリエステル系ジオールは、グリコール成分及び二塩基酸成分からなるポリエステルジオールである。このようなグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチループロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール、ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールが挙げられる。また、このような二塩基酸成分としては、例えば、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸;これらの二塩基酸に対応する酸無水物やダイマー酸が挙げられる。
前記ポリカーボネートジオールとしては、例えば、ポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネートが挙げられる。これらのポリカーボネートジオールは、市販されているものを適宜使用することができ、例えば、日本ポリウレタン社製のDN−980、DN−981、DN−982、DN−982R、DN−963、DN−965、DN−983;PPG社製のPC−8000;BASF社製のPC−THF−CDを使用することができる。
低分子量ジオールとしては、分子量が60〜250のジオールを用いることが好ましい。分子量が250を超えると、ハードセグメントを形成できないため、強度及び耐熱性が低下する傾向にある。このような低分子量ジオールとしては、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,7−オクタンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチルエチル−1,3‐プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,3−ブタンジオールなどが挙げられる。これらの低分子量ジオールは、1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。
前記感光性ウレタンプレポリマーは、前記末端イソシアネート基含有プレポリマーに活性水素基及びビニル基を含有する化合物を反応させて得られる。なお、本明細書において、ビニル基とは、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基等に含まれる基であってもよい。また、このような活性水素基及びビニル基を含有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の末端に水酸基を有するビニル基含有化合物;2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の末端にイソシアネート基を有するビニル基含有化合物、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルメタクリレート等の末端にアミノ基を有するビニル基含有化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等の末端にエトキシ基を有するビニル基含有化合物;スルホプロピル(メタ)アクリレート等の末端にスルホ基を有するビニル基含有化合物が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性及び生産効率が高いという観点から、末端に水酸基を有するビニル基含有化合物を用いることが好ましい。
また、前記感光性ウレタンプレポリマーは、必要に応じて、光重合開始剤や酸化防止剤を更に含有してもよい。このような光重合開始剤及び酸化防止剤は、前記感光性ウレタンプレポリマーの合成段階に添加してもよく、塗膜を形成する直前に添加してもよいが、前記感光性ウレタンプレポリマーへの分散性又は溶解性の観点から、前記感光性ウレタンプレポリマーの合成段階に添加することが好ましい。
前記光重合開始剤としては、ベンゾイン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、ケタール系重合開始剤、アセトフェノン系重合開始剤等の公知の光重合開始剤を適宜使用することができる。このような光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4ーベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフインオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノンが挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。
また、前記光重合開始剤の添加量は、前記感光性ウレタンプレポリマーの樹脂固形分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜2質量部の範囲であることがより好ましい。添加量が前記下限未満ではビニル基による架橋反応が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると架橋反応の効率向上が期待できず、またコスト高となる傾向にある。また、前記光重合開始剤の開始反応を促進させるために増感剤等の助剤を併用してもよい。
前記酸化防止剤は、市販されているものを適宜使用することができ、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製のMEHQ(メチルヒドロキノン)、HQ(ハイドロキノン)、イルガノックス245、イルガノックス1010、イルガノックス1035、イルガノックス1076、イルガノックス1222;住友化学社製のアンチゲンP、アンチゲン3C、アンチゲンFR、スミライザーGA−80、BHT等を使用することができる。また、前記酸化防止剤の添加量は、前記感光性ウレタンプレポリマーの樹脂固形分100質量部に対して0.2〜3.0質量部の範囲であることが好ましい。
以上、本発明の合成皮革及びその製造方法に用いる感光性ウレタンプレポリマーについて説明したが、以下、本発明の合成皮革及びその製造方法について説明する。
本発明の合成皮革は、表皮層と繊維基材とが接着剤層を介して積層されてなる合成皮革であって、前記接着剤層が前記感光性ウレタンプレポリマーからなるものである。このような本発明の合成皮革は、例えば、以下説明する本発明の合成皮革の製造方法により製造することができる。そして、本発明の合成皮革は、接着剤層の厚みが厚い場合であっても、表皮層と繊維基材との接着強度が十分に高く且つ良好な風合いを有するものとなる。また、前記接着剤層の厚みは10μm〜1mmの範囲であることが好ましく、50〜500μmの範囲であることがより好ましく、100〜500μmの範囲であることが特に好ましい。
次に、本発明の合成皮革の製造方法について説明する。本発明の合成皮革の製造方法は、(i)前記感光性ウレタンプレポリマーを表皮層の表面上に塗布して感光性ウレタンプレポリマー層を形成する工程(第1の工程)と、(ii)前記感光性ウレタンプレポリマー層に紫外線を照射して一次架橋ウレタンプレポリマー層を形成する工程(第2の工程)と、(iii)前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に繊維基材を貼付した後に前記一次架橋ウレタンプレポリマー層を湿気により硬化せしめて接着剤層としての硬化ウレタンポリマー層を形成せしめて、前記表皮層と前記繊維基材とが前記接着剤層を介して積層されてなる合成皮革を得る工程(第3の工程)と、を含む方法である。
第1の工程においては、前記感光性ウレタンプレポリマーを前記表皮層の表面上に塗布して感光性ウレタンプレポリマー層を形成する。塗布方法としては、ドクターナイフコーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いた方法を採用することができる。また、前記感光性ウレタンプレポリマーの塗布量は特に限定されないが、得られる接着剤層の厚みが10μm〜1mmの範囲となる量とすることが好ましく、50〜500μmの範囲となる量とすることがより好ましく、100〜500μmの範囲となる量とすることが特に好ましい。前記接着剤層の厚みが前記下限未満では、得られる合成皮革における剥離強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、後述するように感光性ウレタンプレポリマーを一次架橋する際に架橋反応が不足しやすくなるため、得られる接着剤層が劣化しやすい塗膜となる傾向にある。また、このような第1の工程においては、前記感光性ウレタンプレポリマーを前記表皮層の表面上に塗布した後に、必要に応じて乾燥することにより感光性ウレタンプレポリマー層を形成する。このような乾燥条件は特に限定されないが、例えば、乾燥温度を80〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間を1〜5分間とすることが好ましい。
また、本発明にかかる表皮層を形成するための樹脂組成物は特に限定されず、合成皮革の表皮層として使用される樹脂組成物を適宜使用することができる。このような樹脂組成物としては、例えば、ウレタン樹脂組成物、ポリアミド(例えば、8ナイロン架橋樹脂組成物)、アミノ酸樹脂組成物、ポリ乳酸が挙げられる。また、このような表皮層を成形する方法としては、例えば、表皮層を形成するための樹脂組成物を離型基材上に塗布した後に乾燥又は硬化させる方法が挙げられる。塗布方法としては、ドクターナイフコーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いた方法を採用することができる。また、このような離型基材としては、紋入り離型紙等の合成皮革製造用として公知の離型基材を適宜使用することができる。また、このような表皮層の厚みは15〜50μmの範囲とすることが好ましい。
第2の工程においては、前記感光性ウレタンプレポリマー層に紫外線を照射して一次架橋ウレタンプレポリマー層を形成する。このように感光性ウレタンプレポリマー層に紫外線を照射して、前記感光性ウレタンプレポリマーのビニル基による架橋反応(一段階目の架橋反応)を進行させることによって一次架橋ウレタンプレポリマー層を形成することができる。紫外線を照射するための光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯を使用することができる。また、紫外線の照射量は前記感光性ウレタンプレポリマーの種類や得られる接着剤の厚みに応じて適宜設定することができるが、例えば、接着剤の厚みが100〜500μmである場合には、紫外線の照射量を300〜3000mJ/cmの範囲とすることが好ましく、500〜2000mJ/cmの範囲とすることがより好ましい。
第3の工程においては、先ず、前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に前記繊維基材を貼付する。本発明にかかる繊維基材は特に限定されず、合成皮革の繊維基材として使用されるものを適宜使用することができる。このような繊維基材としては、例えば、不織布、織布、織物、編物が挙げられる。また、このような繊維基材を前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に貼付する方法は特に限定されず、適宜公知の方法を採用することができる。
第3の工程においては、前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に前記繊維基材を貼付した後に前記一次架橋ウレタンプレポリマー層を湿気により硬化せしめて接着剤層としての硬化ウレタンポリマー層を形成せしめる。このように前記一次架橋ウレタンプレポリマー層を湿気により硬化せしめ、前記感光性ウレタンプレポリマーのイソシアネート基による架橋反応(二段階目の架橋反応)を進行させることによって接着剤層としての硬化ウレタンポリマー層を形成することができる。このように湿気により硬化せしめる条件としては、硬化温度を10〜80℃の範囲とし、硬化時間は24〜96時間の範囲とすることが好ましい。また、湿気により硬化せしめる際の相対湿度は20%以上とすることが好ましい。そして、このようにして前記接着剤層を形成することによって、前記表皮層と前記繊維基材とが前記接着剤層を介して積層されてなる合成皮革を得ることができる。
本発明の合成皮革の製造方法は、前記第1の工程と、前記第2の工程と、前記第3の工程とを含む方法である。このような合成皮革の製造方法においては、前記第2の工程により前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の流動性を調整しているため、接着剤が繊維基材へ浸み込んで合成皮革の風合いが硬くなるのを十分に抑制することができる。また、このような合成皮革の製造方法においては、ビニル基による架橋反応とイソシアネート基による架橋反応との二段階の架橋反応により十分な架橋密度を達成しているため、表皮層と繊維基材との接着強度が十分に高い合成皮革を製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
先ず、冷却管、温度計及び窒素供給装置を備える四つ口フラスコに高分子量ジオール(インビスタ社製、商品名「PTG2000」、数平均分子量:2000)1mol、低分子量ジオール(2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、分子量:160.3)1mol及び酢酸プロピル978gを仕込み、酸化防止剤としてイルガノックス245(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を樹脂固形分100質量部に対して1質量部添加した後に、窒素雰囲気下で攪拌して混合溶液を得た。その後、混合溶液中に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート2.9molを添加し、温度80℃で4時間反応させて、末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−1)の溶液を得た(イソシアネート含有率:2.5%)。そして、得られた末端NCO基含有ウレタンプレポリマーの溶液を60℃まで冷やした後、ヒドロキシエチルメタクリレート0.5molを添加し、温度80℃で2.5時間反応させて感光性ウレタンプレポリマー(P−1)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−1)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の30%がビニル基に置換されていた。
(合成例2)
酢酸プロピルの使用量を1084gとし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの添加量を3.9molとした以外は合成例1と同様にして末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−2)を作製し(イソシアネート含有率:5.0質量%)、さらに、末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−2)を用い、ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を1.0molとした以外は合成例1と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−2)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−2)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の30%がビニル基に置換されていた。
(合成例3)
酢酸プロピルの使用量を1017gとし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの添加量を3.2molとした以外は合成例1と同様にして末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−3)を作製し(イソシアネート含有率:3.5質量%)、さらに、末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−3)を用い、ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を0.7molとした以外は合成例1と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−3)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−3)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の29%がビニル基に置換されていた。
(合成例4)
ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を0.5molとした以外は合成例3と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−4)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−4)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の21%がビニル基に置換されていた。
(合成例5)
ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を1.0molとした以外は合成例3と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−5)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−5)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の43%がビニル基に置換されていた。
(合成例6)
酢酸プロピルの使用量を959gとし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの添加量を2.7molとした以外は合成例1と同様にして末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−4)を作製し(イソシアネート含有率:2.0質量%)、さらに、末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−4)を用い、ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を0.4molとした以外は合成例1と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−6)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−6)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の30%がビニル基に置換されていた。
(合成例7)
酢酸プロピルの使用量を1111gとし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの添加量を4.1molとした以外は合成例1と同様にして末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−5)を作製し(イソシアネート含有率:5.5質量%)、さらに、末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−5)を用い、ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を1.2molとした以外は合成例1と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−7)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−7)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の32%がビニル基に置換されていた。
(合成例8)
酢酸プロピルの使用量を1002gとし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの添加量を3.2molとした以外は合成例1と同様にして末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−6)を作製し(イソシアネート含有率:3.5質量%)、さらに、末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−6)を用い、ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を0.3molとした以外は合成例1と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−8)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−8)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の14%がビニル基に置換されていた。
(合成例9)
酢酸プロピルの使用量を1047gとし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの添加量を3.2molとした以外は合成例1と同様にして末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−7)を作製し(イソシアネート含有率3.5質量%)、さらに、末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−7)を用い、ヒドロキシエチルメタクリレートの添加量を1.4molとした以外は合成例1と同様にして感光性ウレタンプレポリマー(P−9)を得た。得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−9)においては、樹脂固形分が75質量%であり、末端NCO基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の57%がビニル基に置換されていた。
(実施例1)
先ず、離型紙上にポリウレタン系樹脂組成物(大日精化工業社製、商品名「レザミンME44LP」)を塗布した後に、温度80℃において3分間乾燥せしめて厚みが25μmの表皮層を形成した。
次に、合成例1で得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−1)を前記表皮層の表面上に乾燥後の厚みが300μmとなるように塗布し、温度110℃にて3分間乾燥させて感光性ウレタンプレポリマー層を形成した。そして、得られた感光性ウレタンプレポリマー層の表面に光照射量1500mJ/cmの紫外線を照射して一次架橋ウレタンプレポリマー層を形成した。その後、得られた一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に繊維基材を貼付した後に、温度50℃、相対湿度40%の加湿雰囲気下において2日間硬化反応せしめて合成皮革を得た。なお、実施例1において用いた感光性ウレタンプレポリマーにおけるビニル基置換前のイソシアネート含有率(NCO基含有率)及びイソシアネート基(NCO基)をビニル基に置換した割合、並びに実施例1における感光性ウレタンプレポリマー層に対する紫外線照射量(UV照射量)を表1に示す。
(実施例2〜5)
合成例1で得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−1)に代えて感光性ウレタンプレポリマー(P−2:実施例2)、感光性ウレタンプレポリマー(P−3:実施例3)、感光性ウレタンプレポリマー(P−4:実施例4)、感光性ウレタンプレポリマー(P−5:実施例5)を用いた以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。なお、実施例2〜5において用いた感光性ウレタンプレポリマーにおけるビニル基置換前のイソシアネート含有率(NCO基含有率)及びイソシアネート基(NCO基)をビニル基に置換した割合、並びに実施例2〜5における感光性ウレタンプレポリマー層に対するUV照射量を表1に示す。
(比較例1〜4)
合成例1で得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−1)に代えて感光性ウレタンプレポリマー(P−6:比較例1)、感光性ウレタンプレポリマー(P−7:比較例2)、感光性ウレタンプレポリマー(P−8:比較例3)、感光性ウレタンプレポリマー(P−9:比較例4)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用の合成皮革を得た。なお、比較例1〜4において用いた感光性ウレタンプレポリマーにおけるビニル基置換前のイソシアネート含有率(NCO基含有率)及びイソシアネート基(NCO基)をビニル基に置換した割合、並びに比較例1〜4における感光性ウレタンプレポリマー層に対するUV照射量を表1に示す。
(比較例5)
感光性ウレタンプレポリマー層の表面に紫外線を照射しなかった以外は実施例3と同様にして比較用の合成皮革を得た。なお、比較例5において用いた感光性ウレタンプレポリマーにおけるビニル基置換前のイソシアネート含有率(NCO基含有率)及びイソシアネート基(NCO基)をビニル基に置換した割合、並びに比較例5における感光性ウレタンプレポリマー層に対するUV照射量を表1に示す。
(比較例6)
合成例1で得られた感光性ウレタンプレポリマー(P−1)に代えて合成例3で得られた末端NCO基含有ウレタンプレポリマー(N−3)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用の合成皮革を得た。なお、比較例6において用いた末端NCO基含有ウレタンプレポリマーにおけるイソシアネート含有率(NCO基含有率)及びイソシアネート基(NCO基)をビニル基に置換した割合、並びに比較例6におけるウレタンプレポリマー層に対するUV照射量を表1に示す。
<紫外線照射による架橋の度合いの評価>
実施例1〜5及び比較例1〜6で得られた合成皮革について、一次架橋ウレタンプレポリマーのゲル分率を測定して、紫外線照射による架橋の度合いを評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、ゲル分率の測定は、一次架橋ウレタンプレポリマーを酢酸プロピルを溶媒としてソクスレーにて3時間加熱抽出し、抽出前後の重さから下記関係式(F1)によりゲル分率を算出した。そして、架橋の度合いは以下の基準に基づいて評価した。
ゲル分率(%)={(抽出前の重さ−抽出後の重さ)/抽出前の重さ}×100 ・・・(F1)
〇:ゲル分率が30%以上であり、架橋が十分である。
×:ゲル分率が30%未満であり、架橋が十分でない。
<接着剤の繊維基材への浸み込み、合成皮革の風合い及び剥離強度の評価>
実施例1〜5及び比較例1〜6で得られた合成皮革について、接着剤の繊維基材への浸み込み、並びに合成皮革の風合い及び剥離強度を以下の方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
(i)接着剤の繊維基材への浸み込みの評価
得られた合成皮革の断面を電子顕微鏡にて観察し、接着剤の繊維基材への浸み込みの度合いを以下の基準に基づいて評価した。なお、繊維基材としては、厚さ800μmで、撥油処理を行っていないものを用いた。
○:接着剤の繊維基材への浸み込みの深さが繊維基材の表面から250μm未満である。
×:接着剤の繊維基材への浸み込みの深さが繊維基材の表面から250μm以上である。
(ii)合成皮革の風合いの評価方法
得られた合成皮革の風合いを下記の基準に基づいて評価した。
○:繊維基材の柔らかさが維持されており、風合いが良好である。
△:風合いがやや硬い。
×:風合いが硬い。
(iii)合成皮革の剥離強度の評価方法
得られた合成皮革の剥離強度をJIS C6471に記載の方法に準拠して、引張試験機(島津製作所社製、製品名「オートグラフ」)を用いて測定した。そして、得られた測定値を下記の基準に基づいて判定した。
○:合成皮革の剥離強度が10N/cm以上である。
×:合成皮革の剥離強度が10N/cm未満である。
Figure 0005307650
表1に示した結果から明らかなように、本発明の合成皮革(実施例1〜5)によれば、接着層が紫外線照射により部分架橋した後、湿気によって硬化されて形成されるため、接着剤層の厚みが300μmである場合においても、接着剤の繊維基材への浸み込みの度合いが適度であって良好な風合いを有し、しかも表皮層と繊維基材との接着強度が十分に高い合成皮革が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、接着剤層の厚みが厚い(例えば、100μm以上)場合であっても、表皮層と繊維基材との接着強度が十分に高く且つ良好な風合いを有する合成皮革を製造することを可能とする合成皮革の製造方法を提供することが可能となる。

Claims (3)

  1. 表皮層と繊維基材とが接着剤層を介して積層されてなる合成皮革の製造方法であって、
    イソシアネート基含有率が2.5〜5.0質量%である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに活性水素基及びビニル基を含有する化合物を反応させて、イソシアネート基の20〜50mol%をビニル基に置換した感光性ウレタンプレポリマーを前記表皮層の表面上に塗布して感光性ウレタンプレポリマー層を形成する工程と、
    前記感光性ウレタンプレポリマー層に紫外線を照射して一次架橋ウレタンプレポリマー層を形成する工程と、
    前記一次架橋ウレタンプレポリマー層の表面上に前記繊維基材を貼付した後に前記一次架橋ウレタンプレポリマー層を湿気により硬化せしめて前記接着剤層としての硬化ウレタンポリマー層を形成せしめて前記合成皮革を得る工程と、
    を含むことを特徴とする合成皮革の製造方法。
  2. 前記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが、ジイソシアネートと、数平均分子量が700〜3000の高分子量ジオールと、数平均分子量が60〜250の低分子量ジオールとを反応させて得られることを特徴とする請求項に記載の合成皮革の製造方法。
  3. 前記接着剤層の厚みが100〜500μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成皮革の製造方法。
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