JP5305942B2 - 単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法 - Google Patents

単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法 Download PDF

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Description

本発明は、単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法の改良に関するものである。
従来、例えば図1に例示する如く、スピンドル1a、切削刃1b等を有するベニヤレース1によって原木5からベニヤ単板(以下、単に単板と称す)削成する場合に、原木5の不定形な外周部分からは、合板の内層等に用いる厚単板6Aを、次いで原木5の外周が良質な薄単板の削成に適する円柱状となってからは、例えば図2に例示する如く、合板の表層等に用いる良質な帯状の薄単板6Bを、更に、心腐れ・髄(樹心)・あて等の欠陥の出現に起因して、原木5の性状が良質な薄単板6Bの削成に不向きとなったら、例えば図3に例示する如く、再び合板の内層等に用いる厚単板6Aを、夫々選択的に剥き分けることが行われているが、斯様に単板の剥き厚を切り替えるに際し、例えば厚単板の切削を一旦終了して、原木を円柱状に成形してから、改めて薄単板の切削を再開する切り替え方法によると、非能率的であるのみならず、例えば図13に例示する如く、厚単板6Aの端部と薄単板6Bの端部との夫々に付随するように、展開した際の断面が三角状となる長大な不良単板6e・6fが生成されるので、資源の浪費となることから、近年では、例えば特許文献1に開示される如く、単板の剥き厚を連続的に切り替えることによって、不良単板の発生量を少なくする切り替え方法が普及しつつある。
そして、特許文献1にも開示されているが、斯様に厚薄二種の単板を剥き分ける場合には、厚単板と薄単板へ個別に後処理を施すのが通例であって、例えば図1〜図3に例示する如く、厚単板6Aについては(必要に応じて、ベニヤレースに於てケビキにより繊維方向の幅をニ分割してから)、連結コンベヤ3、移送コンベヤ4a等を介して、移送コンベヤ4aの後位に配設した適数基の端尺切断処理装置(図示省略)に移送し、各厚単板6Aの前端側、中間部、後端側等に存在する不要部分を切除すると共に(必要に応じて、有効部分の累積長さが所望の定尺長さに達する毎に定尺切断してから)、所望の堆積場所に順次堆積する処理を、また薄単板6Bについては、連結コンベヤ3の後位に、アンビルロール2a、回転式切断刃2b等を有する定尺切断装置2を配設し、該定尺切断装置2を用いて、所定長さh毎に順次定尺切断することにより、薄定尺単板6bを順次形成すると共に、揺動コンベヤ4b等を介して、厚単板6Aとは別異の堆積場所に移送し、順次堆積する処理を施す例が比較的多い。図中、7は、回転センサーであって、スピンドル1a(原木5)の回転を検出して、例示したベニヤレース1を含む一連の単板切削切断処理装置類の作動を制御する制御機構9に回転信号を発信する。8は、位置センサーであって、切削刃1bの現存位置を検出して、前記制御機構9に現存位置信号を発信する。
特許2511744号公報
ところで、斯様に単板の剥き厚を切り替えるに際し、従前は、専らベニヤレースの運転者が原木を目視して薄単板の削成に適する状態に至ったか否かや、薄単板の削成に不適な状態に至ったか否かを判別し、適・不適に状態が変わる都度、直ちに切り替えを開始する切り替え方法を採っていたことから、削成される薄単板の全長は、常に不定であって、例えば図12に例示する如く、不特定の切り替え開始位置Eに於て剥き厚を厚剥きから薄剥きへ連続的に切り替えると共に、不特定の切り替え終了位置Fに於て剥き厚の切替を終了し、次いで薄単板6Bの削成に不適な状態に至った切り替え再開位置Kに於て再び剥き厚を薄剥きから厚剥きへ連続的に切り替え、切り替え終了位置Uから再び厚単板6Aを削成し、更に規定の剥芯径に対応する切削切上げ位置Yに於て厚単板6Aの切削を切上げた場合に、常法通り、前記切り替え終了位置Fを、定尺切断処理の開始位置として、不定の全長Wから成る薄単板6Bを所定長さh毎に順次定尺切断し、薄定尺単板6bを順次形成する処理形態を採った場合には、原木一本毎の薄単板6Bの後端側に、所定長さhに満たない不定長さαの端尺薄単板6cが生成される結果となる。図中、6a・6dは、厚単板6A又は薄単板6Bに後続する展開した際の断面が截端楔状の不良単板であり、6hは、原木切削の完了に伴って、厚単板6Aの後尾に付随的に削成される、展開した際の断面が三角状となる不良単板であって、適当な時期に、それら各単板毎の境界位置E・F・K・U・Yに於て切断し、除去することが必要である。因に、剥き厚を円滑に切り替えるには、原木を一回転させるのが適切であるから、前記切り替え開始位置と切り替え終了位置との距離は、切り替え時に於ける原木一周分の長さに相当する。
而して、述上の如き従前の処理形態に於ては、述上の如く、原木を一本処理する毎に、不定長さの端尺薄単板が生成される結果となることから、例えば薄定尺単板とは別途に、端尺薄単板を堆積処理したり、乾燥処理したりすることが必要となるのは勿論のこと、端尺薄単板同士を所定の定尺長さに剥ぎ合わせる接合処理も必要となるなど、端尺薄単板の為の煩雑な後処理が必要となる問題の他に、端尺薄単板の不定長さが、一定限度以下の短さであると、乾燥工程・接合処理工程等の後工程への移送途中に於て、落下して紛失したり、或は繊維方向が斜交している場合には繊維方向に倣って千切れ易く、更には搬送に適さないことから、意図的に捨てられたりする実例も多く、総じて、単板歩留りを悪化させる弊害をも惹起している。
本発明は、前記課題、つまり、不定長さを有する端尺薄単板の発生を抑止すべく開発したものであって、具体的には、述上の如き単板切削切断処理工程に於て、適宜の薄単板全長予測手段を用いて、予め削成し得る良質な帯状の薄単板の全長を予測的に算出すると共に、該算出した全長の範囲内で、而も薄定尺単板の取得枚数が最多となる適正全長を算出し、剥き厚を厚剥きから薄剥きへ切り替える時期、又は/及び剥き厚を薄剥きから厚剥きへ切り替える時期を適当に調整することによって、実際に削成される良質な帯状の薄単板の長さを、先に算出した適正全長に揃えることを特徴とする単板切削切断処理工程に於ける単板の剥き厚の切り替え方法(請求項1)と、ベニヤレースの前位に備えた芯出し装置に於て、原木の旋削軸芯を定め、該旋削軸芯を中心とする原木の最大内接円柱の太さを算出すると共に、芯出し装置に併設した適宜の原木判別装置を用いて、旋削軸芯が定められた原木を規定の剥芯径にまで旋削する際に、良質な薄単板の削成に不向きな要因となる欠陥が出現する原木径を判定し、前記算出した最大内接円柱の太さと判定した欠陥が出現する原木径とに基づいて、予め削成可能な帯状の薄単板の全長を予測的に算出して成る請求項1記載の単板切削切断処理工程に於ける単板の剥き厚の切り替え方法(請求項2)と、原木の両木口面、又は原木の両木口面と外周部分とを撮影して得た画像に、適宜の画像処理を施すことにより、良質な薄単板の削成に不向きな要因となる欠陥の立体的な所在箇所を判定すると共に、芯出し装置によって定められる原木の旋削軸芯と、前記欠陥の所在箇所との相対的な位置関係から、良質な薄単板の削成に不向きな要因となる欠陥が出現する原木径を判定する原木判別装置を用いて成る請求項2記載の単板切削切断処理工程に於ける単板の剥き厚の切り替え方法(請求項3)と、芯出し装置に於て、原木の最大内接円柱の太さを算出する代わりに、ベニヤレースの運転者が、原木の外周を目視して、原木の外周に欠陥が存在しなくなる状態を確認した際に発信する剥き厚の切り替え許容信号を、薄単板全長予測手段の信号源として用いて成る請求項2記載の単板切削切断処理工程に於ける単板の剥き厚の切り替え方法(請求項4)と、削成可能な帯状の薄単板の全長を予測的に算出するに際し、予め切削した近似的な原木の性状を参照することにより、予め規定した補正値を加減して、現に切削する原木から削成し得る帯状の薄単板の全長を予測的に算出して成る請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の単板切削切断処理工程に於ける単板の剥き厚の切り替え方法(請求項5)とを提案する。
前記本発明に係る剥き厚の切り替え方法によれば、実際に削成される薄単板の全長が、常に薄定尺単板の定尺長さの整数倍の長さとなる。従って、常法通り、厚単板に後続する展開した際の断面が截端楔状の不良単板と薄単板との境界位置(切り替え終了位置)を、定尺切断処理の開始位置として、順次定尺切断処理を施せば、最後に切断成形される薄定尺単板の後位には、端尺薄単板が全く生成されなくなるので、先述の如き不都合や弊害の発生が回避されることになる。
而して、本発明の請求項1に係る剥き厚の切り替え方法に用いる薄単板全長予測手段としては、請求項2に係る発明の如く、ベニヤレースの前位に備えた芯出し装置に於て、原木の旋削軸芯を定め、該旋削軸芯を中心とする最大内接円柱の太さを算出すると共に、芯出し装置に原木判別装置(好ましくは、請求項3に係る発明の如く、画像処理を活用する型式)を併設して、良質な薄単板の削成に不向きな要因となる欠陥が出現する原木径を判定し、前記算出した最大内接円柱の太さと判定した欠陥が出現する原木径とに基づいて、帯状の薄単板の全長を自動的に算出する方式が簡便で有効ではあるが、必ずしも限定するものではなく、後述するように、ベニヤレースの運転者等による目視を併用する方式などを採用することも可能である。
また、原木は、天然資源である故に、幾何学的に予測算出される薄単板の全長と、実際に削成される薄単板の全長とが、単なる誤差以上に異なることがあり得る。従って、薄単板の全長を予測的に算出するに際しては、請求項5に係る発明の如く、予め切削した近似的な原木の性状を参照することにより、予め規定した補正値を加減して、現に切削する原木から削成される薄単板の全長を予測的に算出するのが好ましい。
単板切削切断処理工程の側面概要説明図である。 単板切削切断処理工程の側面概要説明図である。 単板切削切断処理工程の側面概要説明図である。 本発明に係る剥き厚の切り替え方法にて削成した単板の側面説明図である。 原木の最大内接円柱と切削軌跡との関係位置を示した側面説明図である。 原木の旋削軸芯と切削刃との関係位置を示した側面説明図である。 原木判別装置を並設した芯出し装置の側面説明図である。 図7に例示した芯出し装置の正面説明図である。 原木判別装置を並設した異なる形式の芯出し装置の側面説明図である。 図9に例示した芯出し装置の正面説明図である。 原木の旋削軸芯と切削刃との関係位置を示した側面説明図である。 従来の剥き厚の切り替え方法にて削成した単板の側面説明図である。 一段と古い剥き厚の切り替え方法にて削成した単板の側面説明図である。
以下、本発明を図面に例示した実施の一例と共に更に詳述するが、便宜上、既に説明した単板類、機器類、部材類等については、同一の符号を付して、重複する詳細な説明を省略する。但し、図面に例示した機器類、部材類は、代表的な例を挙げたものであって、特に型式を限定したものではなく、要は所望の機能を奏し得る機器類、部材類であれば、支障なく本発明の実施に適用することが可能であるので、それら機器類、部材類の変更例については、後に改めて言及する。
本発明に係る剥き厚の切り替え方法は、図1・図2・図3・図4に例示する如く、ベニヤレース1と定尺切断装置2とを連結コンベヤ3を介して連結し、ベニヤレース1によって原木5から削成する厚薄二種の単板6A・6Bの内で、厚単板6Aの後に削成される薄単板6Bについては、前記定尺切断装置2を用いて、所定長さh毎に順次定尺切断することにより、薄定尺単板6bを順次形成する単板切削切断処理工程に於て、後述する如き適宜の薄単板全長予測手段を用いて、予め削成し得る良質な帯状の薄単板6Bの全長Wxを予測的に算出すると共に、該算出した全長Wxの範囲内で、而も薄定尺単板6bの取得枚数が最多となる適正全長(h×n≦Wx)を算出し、剥き厚を厚剥きから薄剥きへ切り替える時期を適当に調整することによって、例えば図4に示す如く、予測的に算出された薄単板6Bを最も長く削成し得る剥き厚の切り替え開始位置が、符号Exで示した位置であるに対して、符号Vで示した位置にまで切り替え開始位置を遅らせると共に、予測的に算出された薄単板6Bを最も長く削成し得る剥き厚の切り替え終了位置が、符号Fxで示した位置であるに対して、符号Pで示した位置にまで切り替え終了位置をずらせることによって、実際に削成される良質な帯状の薄単板6Bの長さLを、先に算出した適正全長(h×n≦Wx)に揃えるものである。
尚、図4に示した例に於ては、再び剥き厚を薄剥きから厚剥きへと切り替える、切り替え再開位置Kの位置は、図13に例示した従来例と同じ位置とした。
斯様な長さの関係を数式化して表すと
L=h×n≦Wxとなる(但し、nは当該数式が成立し得る最も大きな正の整数)。
述上の如き剥き厚の切り替え方法によれば、削成される薄単板6Bの全長Lが、常に薄定尺単板6bの定尺長さhの整数倍の長さとなるから、常法通り、前記切り替え終了位置Pを、定尺切断処理の開始位置として、順次定尺切断処理を施せば、前記切り替え再開位置Kの位置に於て定尺切断処理が終了するから、最後に切断成形される薄定尺単板6bの後位には、端尺薄単板が全く生成されなくなり、端尺薄単板の後工程が無用となるので、総じて、単板処理工程が簡略化できると共に、幅の狭い端尺薄単板の紛失・損壊がなくなるので、単板歩留りを悪化させる虞も解消される。
尚、使用に支障のない薄単板の厚さについて、相応の許容誤差があるのは当然であり、先記各不良単板の一部についても、使用して差支えない許容範囲部位が含まれていることなどからして、たとえ算出した薄単板の適正全長と実際に削成される薄単板の長さとの間に誤差が生じるなどして、先記切り替え終了位置Pと定尺切断の開始位置とが幾分ズレることや、或は先記境界位置Kと定尺切断の終点位置とがぴったり一致しないことがあっても、誤差が一定範囲内の僅差であれば、実用的に格別問題は無く、本発明の実施に際しては、斯様な若干の長さの誤差は許容されるものである。
次に、斯様な剥き厚の切り替え方法に用いる薄単板全長予測手段について詳述すると、ベニヤレースの前位に備えた原木の芯出し装置に於て、原木の芯出しなどに利用される情報信号と、芯出し装置に併設した原木判別装置によって判別される原木の欠陥判別信号とを活用する薄単板全長予測手段が挙げられる。即ち、後述する如き公知の原木の芯出し装置に於ては、主として、図5に例示する如く、原木5Aの外周形状に応じて、原木の最大内接円柱5aが求められ、該最大内接円柱5aの中心軸Qが、ベニヤレース1に於ける原木5Aの旋削軸芯(Q1)に定められる。従って、最大内接円柱5aの太さの情報信号に基づいて、最大内接円柱5aの部分から剥き厚の切り替えを開始して差支えないが、切削刃による原木の切削軌跡5bは、図示する如く変則的な渦巻状となるから、前記最大内接円柱5aの全ての部分から薄単板6Bが削成し得るわけではなく、厚さT1を有する厚単板6Aと厚さT2を有する薄単板6Bとの間に削成される、展開した際の断面が截端楔状の不良単板6aとなる部分の一部、つまり、前記最大内接円柱5aと切削刃による原木の切削軌跡5bとの、原木5Aの一回転分に相当する断面積の差異の面積は、薄単板6Bが取得できない部分として除外する必要がある。而して、前記断面積の差異の面積は、展開した際の断面が、前記最大内接円柱5aの円周(π×D1)を底辺とし、薄単板の厚さT2を高さとする、略直角三角形と仮定することにより簡単に求め得る。
また一方、公知の芯出し装置に後述する如き原木判別装置を併設して、良質な薄単板の削成に不向きな要因となる欠陥が出現する原木径を予め判定し、図6に例示する如く、欠陥yが出現すると判定した符号5dで示す原木径の部分から剥き厚を再び薄剥きから厚剥きに切り替えれば、薄単板6Bへの欠陥yの混入が防止できる。但し、斯様に欠陥が出現すると判定した原木径の部分から剥き厚の切り替えを開始する場合には、当然ながら、残余の原木部分の断面積は、薄単板が取得できない部分として除外する必要がある。而して、残余の原木部分の断面積は、符号5dで示した原木径の部分の断面積と、展開した際の断面が略直角三角形であると仮定して差支えない前記原木径の外側部分の断面積とを合算することにより簡単に求め得る。
従って、最終的には、前記最大内接円柱5aの断面積S1から、前記断面積の差異の面積S2と、残余の原木部分の断面積S3とを夫々差し引き、残った面積を薄単板の厚さT2で除すれば、削成し得る薄単板の全長Wxを予測的に算出することができる。
斯様な関係を数式化して表すと、
Wx≒(S1−S2−S3)÷T2
S1=π×R1×R1
S2=π×D1×T2÷2
S3=π×R2×R2+π×D2×T2÷2
Wx≒π(R1×R1−D1×T2÷2−R2×R2−D2×T2÷2)÷T2
(但し、R1=最大内接円柱の半径、R2=欠陥が出現すると判定した原木径の半径、D1=最大内接円柱の直径、D2=欠陥が出現すると判定した原木径の直径、T2=薄単板の厚さ)となる。
而して、前式から最も長く削成し得る薄単板の全長Wxが予測的に算出できれば、先記適正全長(h×n≦Wx)も単純に定まるので、位置検知センサー8による切削刃1bの現存位置信号に基づいて、切削刃1bが最大内接円柱5aの位置に至った時期よりも、適当な期間だけ剥き厚の切り替え時期を遅延させることによって、図4に例示する如く、実際に削成される薄単板6Bの長さLを、適正全長(h×n≦Wx)に揃えることができる。
斯様な関係を数式化して表すと、
h×n=L=π(R4×R4−D4×T2÷2−R2×R2−D2×T2÷2)÷T2
(但し、R1≧R4=適正全長に適合する原木径の半径、D1≧D4=適正全長に適合する原木径の直径)
となるので、切削刃1bが前記R4(D4)の位置に至った時期に、剥き厚の切り替えを開始すれば足りる。また、ベニヤレースと定尺切断装置との離間距離は不変であるから、相応の機能を奏する制御機構を併設すれば、剥き厚の切り替えが終了した時点に於ける位置検知センサー8による切削刃1bの現存位置信号に基づいて、切削刃1bの刃先位置から定尺切断装置2の切断位置に至る搬送工程長さを算出することができると共に、回転センサー7による原木の回転信号に基づいて、前記切り替え終了位置Pが、算出した搬送工程長さを経て定尺切断装置2の切断位置に至る時期が算出できるので、該切り替え終了位置Pから定尺切断を開始することも支障なく可能である。
而して、述上の如く剥き厚の切り替え時期を遅延させる態様を採れば、原木の外周近辺に潜在する欠陥が誤って薄単板に混入する確率が解消乃至は著しく低減されるので有効であるが、実際に削成される薄単板の長さを、適正全長に揃える手段の態様としては、前記態様に限るものではなく、図示は省略したが、剥き厚を厚剥きから薄剥きに切り替える時期を、切削刃が最大内接円柱の位置に至った時期とすると共に、剥き厚を再び厚剥きに切り替える時期を、切削刃が、欠陥が出現すると判定した原木径の位置に至る時期よりも、適当な期間だけ早くして、後で削成する厚単板の長さを長くする態様が挙げられる。
斯様な関係を数式化して表すと、
h×n=L=π(R1×R1−D1×T2÷2−R5×R5−D5×T2÷2)÷T2
(但し、R2≦R5=適正全長に適合する原木径の半径、D2≦D5=適正全長に適合する原木径の直径)
となるので、切削刃1bが前記R5(D5)の位置に至った時期に、再び剥き厚を薄剥きから厚剥きへ切り替えれば足りる。
而して、述上の如く剥き厚の再切り替え時期を早める態様を採れば、原木の芯部近辺に潜在する欠陥が誤って薄単板に混入する確率が解消乃至は著しく低減されるので有効であり、例えば原木の湾曲などに起因して、欠陥が、原木の両木口面に露出している原木径の範囲よりも、実質的に太い原木径の範囲に潜在している可能性がある場合に特に有効である。勿論、必要に応じては、前記両態様を併用しても差支えなく、要は実際に削成される良質な帯状の薄単板の長さを、算出した適正全長に揃えることができる時期に、剥き厚を切り替える態様であれば足りる。
次に、薄単板全長予測手段に用いる原木の芯出し装置と原木判別装置について説明すると、図7は、原木判別装置を併設した芯出し装置の概略側面説明図であり、図8は、図7に例示した芯出し装置の正面説明図である。図中、11は、移送チェーンコンベヤであって、左右一対のチェーンの適宜間隔毎にストッパ11aを付設して成り、前位に配設された投入チェーンコンベヤ10を介して投入される原木2を、一本づつ、後述する芯出し装置13を構成する支持台13aの上方へ移送する。
12は、外径検知用カメラであって、移送チェーンコンベヤ11に投入された原木12の外周を撮影して、後述する制御装置15に原木外径の検知信号を発信する。
13は、芯出し装置であって、図示矢印方向へ昇降自在に配設された左右一対の支持台13a、原木2の木口面を撮影して、木口面の検知信号を制御装置15に発信する左右一対の木口面用カメラ13b、図示矢印方向へ回転自在及び進退自在に配設された左右一対の支持軸13c、原木2の外周面へ支持軸13cと平行な直線状のレーザ光を照射する前後一対のレーザ光照射器13d、原木2の外周面の約半分づつを撮影して、原木外周面に照射されたレーザ光の検知信号を制御装置15に発信する左右一対の外周面用カメラ13e、前記支持台13aを昇降させる流体シリンダ等から成る昇降作動部材13f、前記支持軸13cを回転させる電動機等から成る回転駆動源13g、前記支持軸13cを進退させる流体シリンダ等から成る進退作動部材13h等を具備して成り、制御装置15の制御を得て、前記移送チェーンコンベヤ11を介して支持台13a上に原木2が移送される都度、昇降作動部材13fを作動させて、木口面用カメラ13bに対応する位置まで原木2を上昇させると共に、木口面用カメラ13bによって原木2の木口面を撮影して、制御装置15に原木木口面の検知信号を発信し、次いで、再び昇降作動部材13fを作動させて、支持軸13cに対応する位置まで原木2を上昇させた後に、進退作動部材13hを作動させて、支持軸13cにより原木2を支持し、次いで、回転駆動源13gを作動させて、原木2を回転させると共に、外周面用カメラ13eによって原木2の外周面を撮影して、レーザ光照射器13dから照射されたレーザ光の検知信号を制御装置15に発信し、次いで、回転駆動源13gを作動させて、後述する原木供給装置14に適合する角度まで原木2を回動させ、更に、原木供給装置14に原木2を受け渡した後に、進退作動部材13hを作動させて、支持軸13cによる原木2の支持を開放する。
尚、前記芯出し装置13は、実質的に原木判別装置の機能も兼備・兼用しており、具体的には、後に制御装置15の説明に於て詳述する如く、前記木口面用カメラ13bから発信される原木木口面の検知信号に(必要に応じては、外周面用カメラ13eから発信されるレーザ光の検知信号にも)基づいて、原木2の木口面(又は木口面及び外周部分)に、良質な単板の削成に不向きな欠陥があるか否かを判別するものである。
14は、原木供給装置であって、図示しない支軸を中心として、前記芯出し装置13とベニヤレース(1)とに対応する位置の間を往復揺動自在に、且つ、実線及び点線で示す如く図示矢印方向へ進退自在に配設された左右一対の揺動アーム14a、該揺動アーム14aと一体的に往復揺動自在に、且つ、図示矢印方向へ伸縮自在に付設された把持アーム14b、前記揺動アーム14aを往復揺動させる流体シリンダ等から成る揺動作動部材14c、前記揺動アーム14aを進退させる流体シリンダ等から成る進退作動部材14d、前記把持アーム14bを伸縮させる流体シリンダ等から成る伸縮作動部材14e等を具備して成り、後述する制御装置の制御を得て、前記芯出し装置13に於て原木2の適切な旋削軸芯が定められ、且つ、該旋削軸芯が、揺動アーム14aを枢支する支軸の中心軸に対して二次元的に重なり合う角度まで、原木2が回動させられる都度、揺動作動部材14cを作動させて、揺動アーム14a(及び把持アーム14b)を芯出し装置13に対応する位置へ揺動させた後に、進退作動部材14dを作動させて、把持アーム14b(及び揺動アーム14a)により原木2を把持し、次いで、揺動作動部材14cを作動させて、揺動アーム14a(及び把持アーム14b)をベニヤレース(1)に対応する位置へ揺動させると共に、伸縮作動部材14eを作動させて、原木2の旋削軸芯をベニヤレースのスピンドル(1a)の中心に一致させ、更に、該スピンドル(1a)に原木2を受け渡した後に、進退作動部材14dを作動させて、把持アーム14b(及び揺動アーム14a)による原木2の支持を開放する。
15は、前記各装置類、機器類の作動を制御する制御機構の機能と、原木判別装置の機能とを兼備・兼用する制御装置であって、その制御態様は、以下の通りである。まず、芯出し装置13の制御態様については、投入チェーンコンベヤ10を介して移送チェーンコンベヤ11に原木2が投入される都度、外径検知用カメラ12の検知信号に基づいて、原木2の外径を算定し、次いで、移送チェーンコンベヤ11を介して支持台13a上に原木2が移送される都度、先に算定した外径に対応するよう昇降作動部材13fを作動させて、木口面用カメラ13bに対応する位置まで原木2を上昇させると共に、木口面用カメラ13bによって撮影した原木2の木口面の検知信号に適宜の画像処理を施すことにより、原木2の両木口面に露出した心腐れ等の欠陥の所在を判別する。次いで、再び昇降作動部材13fを作動させて、支持軸13cに対応する位置まで原木2を上昇させた後に、進退作動部材13hを作動させて、支持軸13cにより原木2を支持し、次いで、回転駆動源13gを作動させて、支持軸13cの中心を通る仮回転軸を中心として原木2を回転させると共に、原木2が所望角度回転する毎に、外周面用カメラ13eによって撮影した原木2の外周面に於けるレーザ光の検知信号に基づいて、前記仮回転軸に対する原木2の外周の輪郭を算定し、更に該外周の輪郭に対応する最大内接円柱の存在位置・太さ等を算定する。そして更に、回転駆動源13gを作動させて、算定した最大内接円柱の中心軸(旋削軸芯Q)が、前記原木供給装置14の揺動アーム14aを枢支する支軸の中心軸に対して二次元的に重なり合う角度まで原木2を回動させ、更に、原木供給装置14に原木2を受け渡した後に、進退作動部材13hを作動させて、支持軸13cによる原木2の支持を開放する。
因に、外周面用カメラによるレーザ光の検知信号に基づく原木外周の輪郭の算定について、より具体的に説明すると、仮に、原木の外周が真円柱状であれば、照射されたレーザ光は直線状に写るが、天然資源である原木の外周は非真円柱状であるから、現実には周面の凹凸に倣った屈曲線状に写ることになる。従って、外周面用カメラが、原木外周の所望箇所に照射されたレーザ光を読み取る原木外周方向の角度と原木軸芯方向の角度とから、原木外周の所望箇所の前記仮回転軸に対する三次元的な位置を算定すると共に、多数の所望箇所の位置を総合的に組み立てることによって、原木外周の輪郭を算定することができるが、斯様な原木外周の輪郭の算定は、必ずしも原木外周の全長に亘って緻密に実施する必要はなく、軸芯方向に適宜間隔(例えば10cm〜30cm程度)を隔てた複数箇所の算定とし、該複数箇所の輪郭の算定に基づいて、各輪郭に対応する最大内接円柱の存在位置・太さ等を算定するようにしても実用的に差支えない。
次に、原木供給装置14の制御態様については、当初、揺動アーム14a(及び把持アーム14b)を適当な待機位置、例えば図4に於て実線で示す位置に待機させる。そして、芯出し装置13に於て原木2の適切な旋削軸芯が定められ、且つ、該旋削軸芯が、揺動アーム14aを枢支する支軸の中心軸に対して二次元的に重なり合う角度まで、原木2が回動させられる都度、揺動作動部材14cを作動させて、揺動アーム14a(及び把持アーム14b)を芯出し装置13に対応する位置へ揺動させた後に、進退作動部材14dを作動させて、把持アーム14b(及び揺動アーム14a)により原木2を把持し、次いで、揺動作動部材14cを作動させて、揺動アーム14a(及び把持アーム14b)をベニヤレース(1)に対応する位置へ揺動させると共に、伸縮作動部材14eを作動させて、原木2の旋削軸芯をベニヤレースのスピンドル(1a)の中心に一致させ、更に、該スピンドル(1a)に原木2を受け渡した後に、進退作動部材14dを作動させて、把持アーム14b(及び揺動アーム14a)による原木2の支持を開放し、所定の待機位置へ復帰させる。
次に、制御装置15が兼備・兼用する原木判別装置の機能について詳述すると、制御装置15は、木口面用カメラ13bによって撮影した原木2の両木口面の映像を基に、両木口面の外周輪郭を求める画像処理と併せて、色彩の違いや濃淡等の検知信号に基づいて、原木の両木口面に良質な単板の削成に不向きな欠陥が存在するか否かを求める画像処理を施して、欠陥が存在する場合には、先述の如く算定した適切な旋削軸芯に対する欠陥の相対的な位置を算定することによって、欠陥が出現する原木径を算定する。
述上の如く構成して成る原木判別装置を併設した芯出し装置を用いれば、処理すべき原木の旋削軸芯を定め、該旋削軸芯を中心とする原木の最大内接円柱の太さを算出すると共に、旋削軸芯が定められた原木を規定の剥芯径にまで旋削する際に、良質な薄単板の削成に不向きな要因となる欠陥が出現する原木径を判定することができ、算出した最大内接円柱の太さと判定した欠陥が出現する原木径とに基づいて、予め削成可能な帯状の薄単板の全長を予測的に算出することが可能となる。
而して、旋削軸芯に対する欠陥の相対的な位置の算定は、原木の両木口面に於ける欠陥の所在のみに基づいて実施しても実用的に著しい支障はないが、原木の内部に在る心腐れ・髄等の欠陥は、原木の湾曲、屈曲に倣って内在する傾向が有るから、原木の両木口面に於ける欠陥の所在の他に、原木の湾曲度合い(屈曲度合い)も所望割合だけ加味して、旋削軸芯に対する欠陥の相対的な位置を予測算定するようにすれば、一段と有効であり、図7・図8に例示した原木判別装置を併設した芯出し装置は、適切な旋削軸芯を定める際に、実質的に原木の湾曲、屈曲を予め計測するものであるから、制御装置に於て、原木の湾曲度合い(屈曲度合い)も所望割合だけ加味して、旋削軸芯に対する内部の欠陥の相対的な位置を予測算定するのに好都合である。
もっとも、薄単板全長予測手段に用い得る芯出し装置としては、図7・図8に例示した形態のものに限るものではなく、要は処理すべき原木の旋削軸芯を定め、該旋削軸芯を中心とする原木の最大内接円柱の太さを算出することができるものであれば足り、例えば図9・図10に例示する如き形態のものなども、格別支障なく用いることができる。
詳述すると、図9は原木判別装置を併設した異なる形態の芯出し装置の概略側面説明図であり、図10は図9に例示した芯出し装置の正面説明図である。図中、16は、前記実例とは異なる形態の芯出し装置であって、図示矢印方向へ昇降自在に配設された上下二対の芯出し具16a、原木供給装置14に適応する位置に設定された仮想基礎軸QRの両側に配設されており、原木2の木口面を撮影して、木口面の検知信号を制御装置15Aに発信する左右一対の木口面用カメラ16b、前記上下二対の芯出し具16aを、前記仮想基礎軸QRに対して対称的に同期昇降させる流体シリンダ等から成る昇降作動部材16c等を具備して成り、制御装置15Aの制御を得て、移送チェーンコンベヤ11を介して下方の芯出し具16a上に原木2が移送される都度、昇降作動部材16cを作動させて、上下の芯出し具16aによって挟持される位置まで原木2を上昇させることにより、前記仮想基礎軸QRの位置に、原木2の旋削軸芯Qを幾何学的に定めると共に、木口面用カメラ16bによって原木2の木口面を撮影して、制御装置15Aに原木木口面の検知信号を発信する。そして、制御装置15Aに於て、木口面用カメラ16bによって撮影した原木2の木口面の検知信号に適宜の画像処理を施すことにより、原木2の両木口面の輪郭と、該両木口面の輪郭に適合する最大内接円の大きさとを定めると共に、両木口面に露出した心腐れ等の欠陥の所在から、欠陥が出現する原木径を判定し、予め削成可能な帯状の薄単板の全長を予測的に算出するものである。
尚、この種の芯出し装置に付設する原木供給装置に於ても、図示する如く、把持アーム14bを揺動アーム14aとは別体状に備えて、同期的に伸縮作動させるよう制御すれば、例えば切削刃の反対側にバックアップロールを備えて成るベニヤレースを用いた場合に、バックアップロールを避けて原木を適正に供給することが可能であり、或は例えばベニヤレースのスピンドルの高さと、芯出し装置の支持軸の高さとが異なっていても、原木を適正に供給することが可能であるなど、相応に有効であるが、伸縮作動が無用である場合には、把持アームと揺動アームを一体状に合体させて、非伸縮式に設計変更して差支えない。
また更に別の形態としては、図示は省略したが、先記図7・図8の実例に於ける支持台13aに代えて、上下方向に昇降自在であり、且つ、前後方向へも移動自在な可動支持台を備えると共に、該可動支持台を上下方向に昇降させる昇降作動部材の他に、可動支持台を前後方向に移動させる前後作動部材を備え、原木判別装置の機能を兼備・兼用する制御装置を用いて、木口面用カメラによって撮影した原木2の木口面の検知信号に画像処理を施すことにより、原木2の両木口面の輪郭と、該両木口面の輪郭に適合する最大内接円の大きさとを定めると共に、各最大内接円の中心が、原木供給装置に適応する位置に設定された仮想基礎軸(QR)に一致するように、各可動支持台を上下方向及び前後方向に移動させることにより、原木の芯出しを行い、併せて両木口面に露出した心腐れ等の欠陥の所在を判別する形式の芯出し装置等々、種々の形式の芯出し装置を、格別支障なく使用することが可能である。
但し、本発明に係る単板の剥き厚の切り替え方法に用い得る薄単板全長予測手段としては、述上の如き装置類・機器類を用いた全自動的な手段に限るものではなく、例えばベニヤレースの運転者による目視判別を併用する半自動的な手段の適用も可能であるから、以下それら半自動的な手段について言及する。
即ち、例えば図11に例示する如く、原木5Bを旋削する途上に於て、ベニヤレースの運転者が原木5Bの外周を目視していれば、いずれかの時点に於て、良質な薄単板の削成に不向きな要因となる欠陥が、原木5Bの外周に存在しなくなる状態となるので、この時点から、符号5bで示した切削軌跡の如く、厚剥きから薄剥きへ剥き厚を切替えて差支えないこととなり、運転者がボタンスィッチ等の器具を手動で操作して、制御機構へ剥き厚の切り替え許容信号を発信することによって、該切り替え許容信号を、薄単板全長予測手段に用いることが可能である。
而して、この場合に、薄単板(6B)を最も多く取得し得る原木の断面積は、原木5Bの旋削軸芯Qを中心として、前記時点に於ける切削刃1bの刃先を通る仮想円5cの断面積S5から、截端楔状の不良単板6aとなる部分(展開した際の断面が略直角三角形であると仮定して差支えない)の断面積S6を差し引いた残りの断面積S4となるので、該断面積S4から、切削刃1bが、欠陥が混入すると判定した原木径に至った時点に於ける、残余の原木部分の断面積S3を差し引き、残った面積を薄単板の厚さT2で除すれば、削成し得る薄単板の全長Wxを予測的に算出することができる。
斯様な関係を数式化して表すと、
Wx≒(S4−S3)÷T2
S4=S5−S6
S5=π×R3×R3
S6=π×D3×T2÷2
Wx≒π(R3×R3−D3×T2÷2−R2×R2−D2×T2÷2)÷T2
(但し、R3=前記仮想円5cの半径、D3=前記仮想円5cの直径)となる。
前記数式に基づいて、削成し得る薄単板の全長Wxが算出できれば、それに適合する薄単板の適正全長も簡単に算出できるので、例えば前記切り替え許容信号に対して、所要期間だけ遅らせて剥き厚を切り替えるか、或は例えば前記切り替え許容信号に基づいて、直ちに剥き厚を切り替えると共に、所要期間だけ早く剥き厚を再切り替えすることなどによって、実際に削成される良質な帯状の薄単板の長さを、適正全長に揃えることができる。
述上の如き運転者による原木の外周の目視判別を併用する半自動的な手段は、先記装置類・機器類を用いた全自動的な手段に比べて、正確な判別時期が遅れがちとなる傾向があるので、薄単板に係わる歩留りが低下し易い難点がある反面、欠陥が決して薄単板に混入しない利点もあるので、相応に有効ではある。
一方、欠陥が混入し始める原木径の判定を、芯出し装置の運転者の目視で行うことも可能であり、一例として、図9・図10に例示した芯出し装置16の木口面用カメラ16bの機能を阻害しない位置に、原木の両木口面へ多重の円を投影する投影機を備え、該多重の円の大きさを基準にして、欠陥が混入し始める原木径を目視判定する手段が挙げられ、判定精度は必ずしも良くないが、必要に応じては、木口面用カメラに代えて前記投影機を備え、前記多重の円の大きさを基準にして、最大内接円柱の太さも併せて判定することも不可能ではない。
尚、原木は、天然資源である故に、樹種が異なると、性状が異なる実例が多く、更に一本の原木であっても、局部的に性状が異なる実例も多く、結果的に、たとえ同じ太さの原木であっても、性状の違いなどに起因して、個々の原木毎に、実際に削成される帯状の単板の長さが変動することがあり得る。従って、帯状の単板の全長を予測的に算出するに際しては、予め切削した近似的な原木の性状を参照することにより、予め規定した補正値(零を含む)を加減して、現に切削する原木から削成される帯状の単板の全長を予測的に算出するのが好ましい。
次に、本発明の実施に用いる他の機器類、部材類の設計変更例について述べると、先ずベニヤレースについては、図示したスピンドル駆動式の外に、図示は省略したが、例えば駆動源を具備した外周駆動機構の外周駆動部材を、原木の外周に係合させて備え、原木の駆動に要する動力の少なくとも一部を、前記外周駆動部材から供給するよう構成して成る外周駆動式のベニヤレース、或は例えば切削刃(及び/又は外周駆動部材)と対向する位置等に、適数本のバックアップロールを備えて成る形式のベニヤレース、更には例えば外周駆動式のベニヤレースに於て、適時に原木とスピンドルとの係合を開放して、スピンドルの太さよりも細くまで原木を剥くよう構成した、所謂、スピンドルレス併用式のベニヤレース等々、従来公知のあらゆる形式のベニヤレースが適用の対象となる。
また、定尺切断装置についても、図示したロータリー式の外に、図示は省略したが、例えば上下一対の搬送ロールの出口側へ、刃先を単板搬送方向と逆向きに向けて切断刃を備えると共に、刃先が上下一対の搬送ロールの出口側周面に交互に接するよう、前記切断刃を交互に往復揺動させ、切断した薄定尺単板を一枚づつ交互に異なる搬送路へ分配搬送するよう構成して成る定尺切断装置、或は例えば斜め上方と斜め下方とに往復移動自在に備えた可動刃を、略直角の刃先を有する固定刃に対して交互に斜めに往復移動させて、切断した薄定尺単板を一枚づつ交互に異なる搬送路へ分配搬送するよう構成して成る定尺切断装置、更には例えば上方に往復移動自在に備えた可動刃を、下方に固定的に備えた固定アンビルに対して往復移動させて、単に薄単板の切断のみを行う形式の定尺切断装置等々、従来公知のあらゆる形式の定尺切断装置が適用の対象となる。
更に、ベニヤレースと定尺切断装置とを連結するコンベヤについても、図示した形式の外に、図示は省略したが、例えば往復揺動する振分けコンベヤを適宜位置に併設して、先記厚単板の内で、有効部分を全く有しない屑単板については、定尺切断装置まで搬送する以前に、予め捨て去るよう構成して成る形式のコンベヤ、或は例えば定尺切断装置の前位に於て、厚単板と薄単板とを別々の搬送路に弁別搬送するように構成して成る形式のコンベヤ、更には例えば前記単に薄単板の切断のみを行う形式の定尺切断装置に適応するように、定尺切断時に限って、暫時搬送工程長さを微増させ、定尺切断装置に於ては単板の進行を暫時休止させるよう構成して成る形式のコンベヤ等々、従来公知のあらゆる形式のコンベヤが適用の対象となる。
以上明らかな如く、本発明は、この種の単板切削切断処理工程に於て、不定長さを有する端尺薄単板の発生を抑止することにより、単板処理工程の合理化や、単板歩留りの低下防止等を図り得る、新たな単板の剥き厚の切り替え方法を提供するもので、斯界に於ける本発明の実施効果は甚だ大きいものである。
1 :ベニヤレース
1a :スピンドル
1b :切削刃
2 :定尺切断装置
2a :アンビルロール
2b :回転式切断刃
3 :連結コンベヤ
4a :移送コンベヤ
4b :揺動コンベヤ
5、5A、5B :原木
5a :原木の最大内接円柱
5b :切削刃による原木の切削軌跡
5c :原木の旋削軸芯を中心として切削刃の現存位置を通る仮想円
5d :欠陥が出現すると判定した原木径
6A :厚単板
6B :薄単板
6a、6d :展開した際の断面が截端楔状の不良単板
6b :薄定尺単板
6c :所定長さに満たない不定長さを有する端尺薄単板
6e、6f :長大な不良単板
6h :厚単板に付随する不良単板
7 :回転センサー
8 :位置センサー
9、15、15A :制御機構
12 :外径検知用カメラ
13 :芯出し装置
13b :木口面用カメラ
13d :レーザ光照射器
13e :外周面用カメラ
14 :原木供給装置
K :切り替え再開位置
L :実際に削成される良質な帯状の薄単板の長さ
P、U :切り替え終了位置
Q :原木の最大内接円柱の中心軸
Q1 :原木の旋削軸芯
T1 :厚単板の厚さ
T2 :薄単板の厚さ
V :本発明に於ける剥き厚の切り替え開始位置
W :従来の剥き厚の切り替え方法にて得られる薄単板の全長
Wx :予測的に算出される薄単板の全長
Y :切削切上げ位置
h :定尺単板の定尺長さ

Claims (5)

  1. ベニヤレースによるベニヤ単板の剥き厚を、少なくとも原木の外周が不定形な期間は厚剥きに、次いで原木の外周が良質な薄ベニヤ単板の削成に適する円柱状となった後は薄剥きに、更に原木の性状が良質な薄ベニヤ単板の削成に不向きとなったら再び厚剥きに、夫々連続的に切り替えることによって、原木から厚ベニヤ単板と良質な帯状の薄ベニヤ単板とを削成すると共に、帯状の薄ベニヤ単板ついては、コンベヤを介してベニヤレースに直結した定尺切断装置を用いて、所定長さ毎に順次定尺切断することにより、薄定尺ベニヤ単板を順次形成する単板切削切断処理工程に於て、適宜の薄単板全長予測手段を用いて、予め削成し得る良質な帯状の薄ベニヤ単板の全長を予測的に算出すると共に、該算出した全長の範囲内で、而も薄定尺ベニヤ単板の取得枚数が最多となる適正全長を算出し、剥き厚を厚剥きから薄剥きへ切り替える時期、又は/及び剥き厚を薄剥きから厚剥きへ切り替える時期を適当に調整することによって、実際に削成される良質な帯状の薄ベニヤ単板の長さを、先に算出した適正全長に揃えることを特徴とする単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法。
  2. ベニヤレースの前位に備えた芯出し装置に於て、原木の旋削軸芯を定め、該旋削軸芯を中心とする原木の最大内接円柱の太さを算出すると共に、芯出し装置に併設した適宜の原木判別装置を用いて、旋削軸芯が定められた原木を規定の剥芯径にまで旋削する際に、良質な薄ベニヤ単板の削成に不向きな要因となる欠陥が出現する原木径を判定し、前記算出した最大内接円柱の太さと判定した欠陥が出現する原木径とに基づいて、予め削成可能な帯状の薄ベニヤ単板の全長を予測的に算出して成る請求項1記載の単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法。
  3. 原木の両木口面、又は原木の両木口面と外周部分とを撮影して得た画像に、適宜の画像処理を施すことにより、良質な薄ベニヤ単板の削成に不向きな要因となる欠陥の立体的な所在箇所を判定すると共に、芯出し装置によって定められる原木の旋削軸芯と、前記欠陥の所在箇所との相対的な位置関係から、良質な薄ベニヤ単板の削成に不向きな要因となる欠陥が出現する原木径を判定する原木判別装置を用いて成る請求項2記載の単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法。
  4. 芯出し装置に於て、原木の最大内接円柱の太さを算出する代わりに、ベニヤレースの運転者が、原木の外周を目視して、原木の外周に欠陥が存在しなくなる状態を確認した際に発信する剥き厚の切り替え許容信号を、薄単板全長予測手段の信号源として用いて成る請求項2記載の単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法。
  5. 削成可能な帯状の薄ベニヤ単板の全長を予測的に算出するに際し、予め切削した近似的な原木の性状を参照することにより、予め規定した補正値を加減して、現に切削する原木から削成し得る帯状の薄ベニヤ単板の全長を予測的に算出して成る請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の単板切削切断処理工程に於けるベニヤ単板の剥き厚の切り替え方法。
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