JP5302075B2 - 茶わん蒸しの素及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、茶わん蒸しの素及びその製造方法に係り、特に、卵組成を卵白に限定した低カロリーかつ低コレステロールの茶わん蒸しの素及びその製造方法に関する。
茶わん蒸しは、卵を主原料とした卵加工食品であり、栄養学的にも優れ、日常の食生活でも親しみ深く、好まれている食品の一つである。また、茶わん蒸しは、外食産業においても卵豆腐に並んで最も人気の高い商品の一つに数えられている。そのため、茶わん蒸しは、重要な加工食品として製造されており、例えば、特許文献1〜3に挙げる技術が開示されている。これらの技術は、いずれも茶わん蒸しに使用する卵組成に卵黄と卵白が含まれており、食感の改善や製法の簡便化を目的としている。
特開2001−252050号公報 特開平8−56616号公報 特開平11−32741号公報
しかし、今日のダイエット志向もしくは高齢化社会における、低カロリー、低コレステロール食品の時代においては、コレステロールが多く含まれる卵黄の減量もしくは制限が求められている。しかしながら、茶わん蒸しにおいて卵黄及び卵白を含む全卵から卵白への置き換えのみでは、凝固力が非常に弱く固まらない。そこで本発明においては、卵白のみを用い、カロリーおよびコレステロールを大きく軽減させ、かつ、凝固力の高い茶わん蒸しの素及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために種々検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は茶わん蒸しの素であって、(1)主成分である卵、水および調味料の内、卵が卵白であることを特徴とする。また、(2)(1)において、茶わん蒸しの素全体に対する卵白配合割合が30〜50質量%であることを特徴とし、(3)(1)又は(2)において、pH調整剤を加え、pHを8.4〜8.8に調整することを特徴とする。さらに、(4)茶わん蒸しの素の製造方法であって、主成分である卵が卵白であり、茶わん蒸しの素全体に対する卵白配合割合を30〜50質量%とし、pH調整剤を加えて、pHを8.4〜8.8に調整することを特徴とするものである。
本発明によれば、全卵にて作成した茶わん蒸しよりもカロリーおよびコレステロールを大幅に削減でき、ダイエット志向あるいは高齢化社会に即した低カロリー、低コレステロールで、かつ、凝固力の高い茶わん蒸しの素及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明において「%」は全て「質量%」を意味する。
本発明に使用する卵白とは、殻付生卵を割卵し、卵黄を分離して得られる液状の生卵白、すなわち液卵白に、殺菌処理、凍結処理、濃縮処理、乾燥処理のいずれかを施した卵白、もしくは、これらの処理を組み合わせた卵白、または、凍結処理、濃縮処理、乾燥処理のいずれかを施した卵白、あるいは、処理を組み合わせた卵白を通常の卵白に戻したものであり、種々の状態の卵白を使用することができる。ここでいう殻付生卵とは、鶏、鶉、鴨、アヒル、ダチョウ等、食用に供される鳥類の卵のことであり、通常は鶏卵が用いられる。
茶わん蒸しは、主として卵、水、及び調味液により構成されるが、本発明においては、前記卵に卵白のみを使用し、茶わん蒸しの素全体に対しての配合割合は30〜50%、特に食感及び凝固力の観点からは、35〜45%が好ましい。30%未満では、加熱凝固させる際、凝固力が弱く、通常の茶わん蒸しの様にならない。また、50%以上では、凝固するが食感が著しく低下してしまう。ここでいう調味液とは、茶わん蒸しに一般的に配合される醤油、食塩、だし及び調味料等を含む混合液のことである。
本発明において、最適な食感を維持したまま離水を抑制するためにpH調整剤を添加する。pH調整剤により、茶わん蒸しの素のpHを8.4〜8.8に調整するが、特に食感の観点からは、8.5〜8.7に調整することが好ましい。ここでいうpH調整剤は、種々のものが利用可能であるが、特に炭酸カリウムを主成分とするものを用いることが望ましい。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
新鮮な鶏卵を割卵器にて割卵した後、卵黄を分離した卵白700gに水1232gを加え、100rpmで常時攪拌しながら約45℃まで加温した。その後、調味液67.8gを加え、pH調整剤によりpHを8.5〜8.6に調整し(このようにpH調整は、低温殺菌処理前に行うことを常とする。)、さらに常時攪拌しながら品温を58℃まで加温し、これを30分間保持して低温殺菌処理を行い、5℃まで冷却し茶わん蒸しの素を得た。これをポリエチレン製袋へ充填し−20℃の冷凍庫にて保管した。凍結保管した後、流水にて解凍した茶わん蒸しの素を湯呑み茶碗に100g注ぎ、蒸し器を用い茶わん蒸しを作成したところ、通常市販されているものと同様のざらつきの無い滑らかな食感をした茶わん蒸しが得られた。この茶わん蒸しの色彩は、白色を呈していた。
また、上記卵白700gと水1232gを、それぞれ液卵白780gと清水1160gにした場合において茶わん蒸しを作成したところ、同様の結果を得た。
卵白700g、水1232g及び調味液67.8gを加え、さらにpH調整剤によりpHを8.5〜8.6に調整したものを100rpmで常時攪拌しながら58℃まで加温し、30分間保持して低温殺菌処理を行い、5℃まで冷却し茶わん蒸しの素を得、ポリエチレン製袋へ充填し−20℃の冷凍庫にて保管した。これを流水にて解凍後、茶わん蒸しを作成したところ、実施例1と同様の結果を得た。
同様の方法で、pHを8.3〜9.0の範囲で0.1間隔になるようにpH調整剤を添加した茶わん蒸しの素を作成した。これを解凍後、湯呑み茶碗に注ぎ、蒸し器を用いて茶わん蒸しを作成し、パネリスト10名にて試食を行った。この結果を表1に示す。
Figure 0005302075
pHが8.4未満の場合、離水が多く認められ食感も非常に水っぽく感じられた。また、pHが8.8よりも高くなると離水はほぼ認められなかったものの、食感に明らかなざらつきが感じられ悪影響を及ぼしていた。一方、pH8.4〜8.8の間で作成した場合は、茶わん蒸しらしい食感が得られた。特に、pHを8.5〜8.7に調整した茶わん蒸しの食感は極めて良好であった。
次に、茶わん蒸しの素全体に対して、卵白配合割合を20〜60%の範囲で5%間隔になるように配合し、全体量の調整を水により行った茶わん蒸しの素を同様の方法で得た。但し、この得られた茶わん蒸しの素は全て作成の際、pHを8.5〜8.6に調整した。得られた茶わん蒸しの素を解凍後、湯呑み茶碗に注ぎ、蒸し器を用いて茶わん蒸しを作成し、パネリスト10名にて試食を行った。この結果を表2に示す。
Figure 0005302075
卵白配合割合を20%にした茶わん蒸しでは、凝固が不十分であり、茶わん蒸しのような形態にはならなかった。また、卵白配合割合が55%以上にした茶わん蒸しでは、凝固はするものの固くなり、茶わん蒸し特有の滑らかで舌触りの良い食感は得られなかった。一方、本発明である卵白配合割合30〜50%では、凝固が十分で良好な食感が得られた。特に、卵白配合割合が、35〜45%の場合において最も良い結果が得られた。

Claims (4)

  1. 卵、水及び調味液を主成分として、密封容器に充填された茶わん蒸しの素が容器に注がれ、加熱されて茶わん蒸しとされる、茶わん蒸しの素の製造方法において、
    殼付生卵が割卵され、卵黄を分離して得られる液状で、茶わん蒸しの素全体に対する質量割合が30〜45%をなす生卵白のみが用いられ、pH調整剤が加えられてpHが8.4〜8.8に調整され、密封容器に充填され、加温されたときに凝固状を呈して保持されることを特徴とする茶わん蒸しの素の製造方法。
  2. 請求項1に記載された茶わん蒸しの素の製造方法によって製造された茶わん蒸しの素。
  3. 請求項において、質量割合が、35〜45%をなすことを特徴とする茶わん蒸しの素。
  4. 請求項2において、pHが、8.5〜8.7を呈することを特徴とする茶わん蒸しの素。
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