JP5301901B2 - セルロースエーテル類の製造方法 - Google Patents

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本発明はセルロースエーテル類の製造方法、更に詳しくはアルカジエニルエーテル化によるセルロースエーテル類の製造方法に関する。
メチルセルロース等のセルロースエーテル誘導体は、増粘剤や乳化剤、分散剤等、様々な有用性が知られている。これらセルロースエーテル誘導体の一般的な製造方法としては、まずパルプ等のセルロース原料を大量の水および大過剰の水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を含浸・混合してアルカリセルロースとする、アルセル化またはマーセル化と呼ばれるセルロースの活性化処理を行った後、これにエーテル化剤である塩化メチル等のアルキルハライドをスラリー状態で反応させ、副生する中和塩等を洗浄により除去し、更に乾燥・粉砕といった工程を経て製造されている(特許文献1参照)。
このアルセル化を経る方法は、セルロースの効率的な活性化という点で優れた方法ではあるが、中和塩や加水分解物等の大量の副生物や廃棄物が多い。
一方、一般的なアルコールのエーテル化方法として、パラジウム化合物と第三級ホスフィンの存在下、1,3-ブタジエンやイソプレン等、共役1,3-ジエンのテロメリゼーション(テロマー化反応)を利用して、アルコールをアルカジエニルエーテル化できることが広く知られている。
しかしながら、アルコールの総炭素数の増大や分岐構造等でかさ高くなる場合には、テロメリゼーションの反応性が著しく低下することも知られている(非特許文献1参照)。
よってこれまで、セルロースのような、高分子量かつ種々の溶媒への溶解性が非常に乏しいポリオールとの反応は、行われていない。
特開昭49−33990号公報 Journal f.prakt.Chemie.1973,316,1067
本発明は、共役ジエンのテロメリゼーションを利用して、セルロースをアルカジエニルエーテル化する、セルロースエーテル類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、低結晶性のセルロース粉末を、パラジウム化合物と、下記一般式(1)または(2)で表される第三級ホスフィンとの存在下、炭素数4〜5の共役ジエンと反応させてアルカジエニルエーテルとする、セルロースエーテル類の製造方法を見出した。
2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)nCH3 (1)
2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)n-(CH2)m'-PR2 (2)
[式中、Rはそれぞれ置換基を有していてもよいフェニル基を示し、mおよびm'は同一または異なって2〜3の数を示し、nはそれぞれ0〜3の数を示す。]
本発明によれば、共役ジエンのテロメリゼーションを利用して、セルロースをアルカジエニルエーテル化する、セルロースエーテル類の製造方法を提供することができ、特に、より反応性の低い共役ジエンであるイソプレンを用いて、セルロースをアルカジエニルエーテル化することができる。
本発明で使用される低結晶性の粉末セルロースは、以下に述べる方法で調製することができる。
一般にセルロースは幾つかの結晶構造が知られており、また一部に存在するアモルファス部と結晶部との割合から結晶化度として定義されるが、本発明における「結晶化度」とは、天然セルロースの結晶構造に由来するI型の結晶化度を示し、粉末X線結晶回折スペクトルから求められる下記計算式(1)で表される結晶化度によって定義される。
結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 ・・・計算式(1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
本発明における低結晶性の粉末セルロースの「低結晶性」とは、上記のセルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、好ましくは上記計算式(1)から得られる結晶化度が50%以下となることが望ましい。
一般的に知られている粉末セルロースにも極めて少量のアモルファス部が存在するため、それらの結晶化度は、本発明で用いる上記計算式(1)によれば、概ね60〜80%の範囲に含まれる、いわゆる結晶性のセルロースであり、セルロースエーテル類合成における反応性は極めて低い。
本発明で用いる低結晶性の粉末セルロースは、汎用原料として得られるシート状やロール状のセルロース純度の高いパルプから極めて簡便に調製することができる。低結晶性の粉末セルロースを調製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開昭62−236801号公報、特開2003−64184号公報、特開2004−331918号公報等に記載の調製方法を挙げることができる。
また、例えば、シート状パルプを粗粉砕して得られるチップ状パルプを、押出機で処理して、更にボールミルで処理することにより調製するような方法も挙げることができる。
この方法に用いられる押出機としては、単軸又は二軸の押出機を用いることができ、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えるものであってもよい。押出機を用いる処理方法としては、特に制限はないが、チップ状パルプを押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。
また、ボールミルとしては、公知の振動ボールミル、媒体攪拌ミル、転動ボールミル、遊星ボールミル等を用いることができる。媒体として用いるボールの材質には特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。ボールの外径は、効率的にセルロースを非晶化させる観点から、好ましくは 0.1〜100mmである。媒体としては、ボール以外にもロッド状のものやチューブ状のものも用いることが可能である。
またボールミルの処理時間としては、5分〜72時間が好ましい。この処理の際には、発生する熱による変性や劣化を最小限に抑えるためにも、250℃以下、好ましくは5〜200℃の範囲で処理を行うことが好ましい。また更には、必要に応じて窒素等の不活性ガス雰囲気下で処理を行うことが好ましい。
前述した方法を用いれば、分子量の制御も可能である。すなわち一般には入手困難な、重合度が高く、かつ低結晶性の粉末セルロースを容易に調製することも可能であるが、好ましい重合度としては 100〜2000であり、より好ましくは100〜1000である。
本発明に用いる低結晶性の粉末セルロースの結晶化度は、好ましくは前記計算式(1)から求められる結晶化度が50%以下である。この結晶化度が50%以下であれば、テロメリゼーションは極めて良好に進行する。この観点から40%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。特に本発明において、完全に非晶質化した、すなわち前記計算式(1)から求められる結晶化度がほぼ0%となる、いわゆる非晶化セルロースを用いることが最も好ましい。
この低結晶性の粉末セルロースの平均粒径は、粉体として流動性の良い状態が保てるならば特に限定はされないが、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、更には、50μm以下が特に好ましい。ただし、工業的に実施する際の操作性の観点からは、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。
本発明において、パラジウム化合物、及び下記一般式(1)または(2)で表される第三級ホスフィンの存在下に、低結晶性のセルロース粉末を共役ジエンと反応させる。
2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)nCH3 (1)
2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)n-(CH2)m'-PR2 (2)
式中、Rはそれぞれ置換基を有していてもよいフェニル基を示し、mおよびm'は同一または異なって2〜3の数を示し、nはそれぞれ0〜3の数を示す。
本発明で使用されるパラジウム化合物としては、一般的に共役ジエンのテロメリゼーションで用いられる0価または2価のパラジウム錯体または塩等が挙げられる。例えばパラジウム(II)アセチルアセトネート、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)等のパラジウム化合物;パラジウム(0)テトラキストリフェニルホスフィン等のパラジウム錯体等が挙げられる。この中では、パラジウム(II)アセチルアセトネート、酢酸パラジウム(II)が好ましい。これらパラジウム化合物は単独でも2種以上を使用してもよい。
これらパラジウム化合物の使用量としては、セルロース分子中のグルコース単位あたり0.001〜0.1モル当量用いるのが好ましく、特に0.01〜0.05モル当量用いるのが好ましい。
本発明で使用される一般式(1)または(2)で表される第三級ホスフィンは、パラジウム化合物に由来するパラジウム原子の一部又は全部の配位子として作用する。これらの第三級ホスフィンは、下記反応式(1)または(2)に従って合成することができる。
反応式(1):
2PH + X-(CH2)m-O-(CH2CH2O)nCH3 + BOH
→ R2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)nCH3 +BX +H2
反応式(2):
2R2PH + X-(CH2)m-O-(CH2CH2O)n-(CH2)m'-X + 2BOH
→ R2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)n-(CH2)m'-PR2 +2BX +2H2
式中、Rは置換基を有していてもいいフェニル基を示し、mおよびm'は同一または異なって2〜3の数を示し、nはそれぞれ0〜3の数を示す。また、Xは塩素原子または臭素原子を示す。Bはアルカリ金属(イオン)を示す。
すなわち、塩基として、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属イオンの存在下、ジフェニルホスフィンと、対応するハライドとを、ジメチルスルホキシド等の溶媒中で反応温度10〜70℃の温和な条件下反応させることにより、定量的に第三級ホスフィンを合成することができる。
本発明で用いられる一般式(1)で表される第三級ホスフィンの具体例としては、例えば(メトキシエチル)ジフェニルホスフィン、(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィン、(メトキシエトキシエチル)ジフェニルホスフィン、(メトキシエトキシプロピル)ジフェニルホスフィン等が挙げられる。
また一般式(2)で表される第三級ホスフィンの具体例としては、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−3−オキサペンタン、1,7−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4−オキサヘプタン、1,8-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3,6−ジオキサオクタン等が挙げられる。これらの中で、(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィン、(メトキシエトキシエチル)ジフェニルホスフィン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−3−オキサペンタンが好ましい。これら第3級ホスフィンは単独でも2種以上を使用してもよい。
これら第三級ホスフィンの使用量としては、パラジウム化合物に対して、0.1〜3モル倍量が好ましい。一般式(1)で表される第三級ホスフィンの場合は、パラジウム(II)アセチルアセトネート、酢酸パラジウム(II)等のパラジウム化合物のパラジウム原子に対して0.1〜3モル倍量用いるのが好ましく、1〜2.5モル倍量用いるのがより好ましい。
また一般式(2)で表される第三級ホスフィンの場合は、このホスフィンが二座型の配位子であるため、パラジウム化合物に対しては、0.1〜2モル倍量用いるのが好ましく、0.5〜1.5モル倍量用いるのがより好ましい。
本発明で使用される炭素数4〜5の共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等が挙げられる。この中で、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、特にイソプレンが好ましい。これらの共役ジエンは単独でも2種以上使用してもよい。
これら共役ジエンの使用量としては特に限定はされないが、反応率を上げる観点から、セルロースに対して等量よりも過剰に用いるのが好ましく、セルロースに対して2.0〜20質量倍の範囲で用いるのがより好ましい。また未反応の共役ジエンは反応終了後に低沸点物として回収することも可能である。
本発明において、共役ジエンを大過剰に用いてそれ自身を溶媒とすることも可能であるが、パラジウム化合物および第三級ホスフィン、共役ジエンを溶解でき、かつセルロース粉末を分散できるような溶媒を用いると本反応は極めて効率的に進行する。
溶媒としては、パラジウム原子を含有する化合物や共役ジエンを溶解する観点からは、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶媒が好ましく、またセルロースを分散させる観点からは、ジメチルスルホキシド、tert‐ブタノール等の極性溶媒の他、エチレングリコールジメチルエーテルやジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルといった非反応性のグリコールエーテル系極性溶媒が好ましい。これらの溶媒は単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
上記の溶解性と分散性を両立させる観点からは、上記芳香族系溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒も好ましい。
これらの溶媒を使用すれば、大過剰の共役ジエン自身を溶媒として用いる場合と異なり、反応終了後に未反応共役ジエンを留去・回収した後、更にろ過によりパラジウム原子を含む溶液を分離・回収し、そのまま反応に再使用することも可能である。
これら溶媒の使用量としては、粉末セルロースを十分に分散させる観点から、セルロース粉末に対して5〜50質量倍が好ましく、10〜50質量倍がより好ましい。
本発明における反応温度は、10〜100℃に保つのが好ましく、特に50〜90℃が好ましい。
上記の共役ジエンのテロメリゼーションにより、セルロース分子にオクタジエニルエーテル基、デカジエニルエーテル基等のアルカジエニルエーテル基が修飾されたセルロースエーテル類を得ることができる。アルカジエニルエーテル基は、セルロース分子中のグルコース単位におけるいかなる位置の水酸基に結合していてもよいが、通常は1級水酸基への結合がより優先されると考えられる。
こうして得られたセルロースのアルカジエニルエーテル化物は水素雰囲気中で第8族元素を含有する触媒の存在下、アルカジエニルエーテル基を水素添加することにより容易にアルキルエーテル化することが可能である。尚、前記記述における「第8族元素」とは「岩波理化学辞典第4版」(岩波書店)の見返し2に記載の長周期型周期表(IUPAC 1990年勧告以前)に示される第8族の9つの元素をいう。
(1)セルロースの結晶化度の算出
セルロースの結晶化度の算出は、株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定した回折スペクトルのピーク強度から前記計算式に従って行った。
X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:40kv,管電流:120mA,測定範囲:2θ=5〜45°,測定用サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製,X線のスキャンスピード:10°/min
(2)粉末セルロースの重合度の測定
セルロースの重合度は、ISO−4312法に記載の銅アンモニア法により測定した。
(3)置換度の算出
オクタジエニル基としての置換度は、セルロース中のグルコース単位当たりの平均導入量を示し、生成物のアセチル化物の1H NMRから算出した。尚、アセチル化はピリジン溶媒中で無水酢酸を用いる常法により行った。
(4)セルロースの平均粒径の測定
セルロースの平均粒径は、株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用いて測定した。尚、用いた屈折率は、1.2である。
製造例1(非晶化粉末セルロースの製造)
木材パルプシート(ボレガード社製パルプシート、結晶化度74%)をシュレッダー(株式会社明光商会製、「MSX2000−IVP440F」)にかけてチップ状にした。
次に、得られたチップ状パルプをスクリューの中央部にニーディングディスク部を備えた二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA−20」)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec-1、スクリュー回転数300rpmの条件で、外部から冷却水を流しながら、1パス処理して粉末状にした。
次に、得られた粉末セルロースを、バッチ式媒体攪拌型ボールミル(三井鉱山株式会社製「アトライタ」:容器容積800mL、6mmφ鋼球を1400g充填、攪拌翼の直径65mm)に前記粉末状のセルロース100gを投入した。容器ジャケットに冷却水を通しながら、攪拌回転数600rpmで3時間粉砕処理を行い、粉末セルロース(結晶化度0%、重合度600、平均粒径40μm)を得た。この粉末セルロースの反応には更に32μm目開きの篩をかけた篩下品(投入量の90%)を使用した。
合成例1〔(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィンの製造〕
1,3−ジブロモプロパン 40g(0.2mol)をメタノール50mlに加え、更に28質量%ナトリウムメチラート(メタノール溶液)40g(NaOH量 0.2mol)を加えて6時間還流した。その後、100mlの水を加えて攪拌した後、n−ペンタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、n−ペンタン溶媒を留去し、粗1−メトキシ−3−ブロモプロパンを30gの無色オイルとして得た。
得られた粗1−メトキシ−3−ブロモプロパンをジメチルスルホキシド200mlに加え、更にジフェニルホスフィン20g(0.11mol)を加えて溶解させた後、48質量%水酸化ナトリウム水溶液14.5g(NaOH量 0.17mol)を30分間で滴下した後、50℃に昇温して、そのまま6時間攪拌したところ、薄相クロマトグラフィー(検出;UV254nm、展開液;クロロホルム)にて原料ジフェニルホスフィンの消失が確認された。200mlの水を加えて攪拌した後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を留去し、淡黄色オイルとして得られた24gの残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(検出;UV254nm、展開液;クロロホルム)にて精製し、(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィンを12.3gの淡黄色オイルとして得た。
尚、生成物の同定は各種NMR解析から行った。このうち、31P NMRからは、δ=−20ppm付近(リン酸基準)に単一シグナルが得られた。また1H NMRはそのチャートを図1に示す。図1中、1H NMR〔重クロロホルム(CDCl3)溶媒、テトラメチルシラン(TMS)基準〕のa〜cは各メチレンプロトンのケミカルシフト位置を示す。
合成例2〔1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)−3−オキサペンタンの製造〕
ジ(クロロエチル)エーテル8.0g(0.57mol)、ジフェニルホスフィン20g(0.11mol)をジメチルスルホキシド200mlに加え、攪拌しながら50℃に昇温した。次いで48質量%水酸化ナトリウム水溶液15g(NaOH量 0.18mol)をゆっくり滴下した後、そのまま8時間攪拌したところ、薄相クロマトグラフィー(検出;UV254nm、展開液;クロロホルム)にて原料ジフェニルホスフィンの消失が確認された。200mlの水を加えて攪拌した後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を留去して得られた21gのオイル混じりの白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(検出;UV254nm、展開液;クロロホルム)にて精製し、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3−オキサペンタンを10.6gの淡黄色オイルとして得た。
尚、生成物の同定は各種NMR解析から上記と同様に行った。このうち、31P NMRからリン酸基準でδ=−20ppm付近に単一シグナルが得られた。また、1H NMRチャートを図2に示す。図2中、1H NMR(CDCl3溶媒、TMS基準)のa,bは各メチレンプロトンのケミカルシフト位置を示す。
合成例3〔(メトキシエトキシエチル)ジフェニルホスフィンの製造〕
(メトキシエトキシエチル)ブロミド10g(0.049mol)及びジフェニルホスフィン10g(0.054mol)をジメチルスルホキシド150mlに加え、攪拌しながら50℃に昇温した。次いで48質量%水酸化ナトリウム水溶液7.5g(NaOH量 0.09mol)を滴下した後、そのまま6時間攪拌したところ、薄相クロマトグラフィー(検出;UV254nm、展開液;クロロホルム)にて原料ジフェニルホスフィンの消失が確認された。500mlの水を加えて攪拌した後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を留去して得られた13.6gの黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(検出;UV254nm、展開液;クロロホルム)にて精製し、(メトキシエトキシエチル)ジフェニルホスフィンを10.0gの無色透明オイルとして得た。
尚、同定は各種NMR解析から上記と同様に行った。このうち31P NMRからはリン酸基準でδ=−20ppm付近に単一シグナルピークが得られた。1H NMRチャートは図3に示す。図3中、1H NMR(CDCl3溶媒、TMS基準)のa〜dは各メチレンプロトンのケミカルシフト位置を示す。
実施例1(非晶化セルロースを用いた1,3-ブタジエンのテロメリゼーション)
容量30mlのオートクレーブ中に、パラジウム(II)アセチルアセトナート15mg(0.05mmol)および合成例1で得られた(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィン30mg(0.12mmol)を加え、さらにトルエン8.7gを加えて溶解させた後、前記製造例1で得られた非晶化セルロース0.5g加えて窒素で容器内を置換後、ドライアイス-アセトンで冷却して、1,3-ブタジエン5gを導入した後、ゆっくりと室温に戻した。その後、70℃に昇温し、そのまま16時間攪拌した。室温まで放冷後、未反応のブタジエンを留去し、100mlのアセトンを加えた。ろ過後、更にアセトンで洗浄し、乾燥してセルロースのオクタジエニルエーテルを約0.6gの淡黄白色固体として得た。NMR測定の結果得られたオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり0.99であった。
実施例2(非晶化セルロースを用いたイソプレンのテロメリゼーション)
容量30mlのオートクレーブ中に、パラジウム(II)アセチルアセトナート15mg(0.05mmol)、および合成例1で得られた(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィン30mg(0.12mmol)を加え、さらにトルエン8.7gを加えて溶解させた後、製造例1で得られた非晶化セルロース0.5gおよびイソプレン5gを一括で加えて窒素で容器内を置換後、撹拌しながら80℃に昇温し、そのまま16時間攪拌した。室温まで放冷後、未反応のイソプレンを留去し、100mlのアセトンを加えた。ろ過後、更にアセトンで洗浄し乾燥してセルロースのジメチルオクタジエニルエーテルを約0.6gの淡黄白色固体として得た。NMR測定の結果得られたジメチルオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり0.78であった。
実施例3(非晶化セルロースを用いたイソプレンのテロメリゼーション)
(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィンの代わりに、合成例2で得られた1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-3−オキサペンタンを25mg(0.057mmol)用いる以外は実施例2と同様に反応を行った結果、反応は良好に進行し、ジメチルオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり0.89であった。
実施例4(非晶化セルロースを用いたイソプレンのテロメリゼーション)
容量30mlオートクレーブ中に、パラジウム(II)アセチルアセトナート15mg(0.05mmol)及び合成例3で得られた(メトキシエトキシエチル)ジフェニルホスフィン33mg(0.11mmol)、トルエン8.7gを加えて溶解させた後、前記製造例1で得られた非晶化セルロース0.5gおよびイソプレン5gを一括で加えて窒素で容器内を置換後、撹拌しながら70℃に昇温し、そのまま16時間攪拌した。室温まで放冷後、未反応のイソプレンを留去し、100mlのアセトンを加えた。ろ過後、更にアセトンで洗浄し、乾燥してセルロースの(ジメチル)オクタジエニルエーテルを約0.6gの淡黄白色固体として得た。NMR測定の結果得られたジメチルオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり0.67であった。
実施例5(非晶化セルロースを用いたイソプレンのテロメリゼーション)
反応温度90℃で反応を行う以外は実施例2と同様にしてテロメリゼーションを行った結果、反応は更に良好に進行し、ジメチルオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり1.46であった。
実施例6(非晶化セルロースを用いたイソプレンのテロメリゼーション)
トルエンの代わりにトルエンとtert-ブタノールの混合溶媒(トルエン混合比率50質量%)を8.2g用い、かつ反応温度を70℃で行う以外は実施例2と同様にしてテロメリゼーションを行った結果、反応は良好に進行し、ジメチルオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり1.02であった。
実施例7
tert‐ブトキシカリウム20mgを添加する以外は、実施例6と同様にしてテロメリゼーションを行った結果、反応は極めて良好に進行し、ジメチルオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり2.06であった。
比較例1
(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィンの代わりに、一般的なテロメリゼーションで使用されるトリフェニルホスフィンを33mg(0.11mmol)用いる以外は実施例2と同様にして反応を行ったが、NMRからはジメチルオクタジエニルエーテル基の導入は痕跡量しか確認できず、反応性は見られなかった。
比較例2
セルロースとして市販の結晶性粉末セルロース(結晶化度74%)を用いる以外は、実施例2と同様にして反応を行ったが、NMR測定の結果得られたジメチルオクタジエニルエーテル基としての置換度は、セルロース分子中のグルコース単位あたり0.33であった。
合成例1で得られた(メトキシプロピル)ジフェニルホスフィンのNMRチャートを示す図である。 合成例2で得られた1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−3−オキサペンタンのNMRチャートを示す図である。 合成例3で得られた(メトキシエトキシエチル)ジフェニルホスフィンのNMRチャートを示す図である。

Claims (4)

  1. 低結晶性のセルロース粉末を、パラジウム化合物と、下記一般式(1)または(2)で表される第三級ホスフィンとの存在下、炭素数4〜5の共役ジエンと反応させてアルカジエニルエーテル化する、セルロースエーテル類の製造方法。
    2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)nCH3 (1)
    2P-(CH2)m-O-(CH2CH2O)n-(CH2)m'-PR2 (2)
    [式中、Rはそれぞれ置換基を有していてもよいフェニル基を示し、mおよびm'は同一または異なって2〜3の数を示し、nはそれぞれ0〜3の数を示す。]
  2. 共役ジエンが1,3−ブタジエンまたはイソプレンである、請求項1に記載のセルロースエーテル類の製造方法。
  3. 低結晶性の粉末セルロースの結晶化度が50%以下である、請求項1または2に記載のセルロースエーテル類の製造方法。
  4. 第三級ホスフィンをパラジウム化合物に対して0.1〜3モル倍量用いる、請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースエーテル類の製造方法。
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