JP3515257B2 - 2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシトリフェニレンの製造方法 - Google Patents
2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシトリフェニレンの製造方法Info
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Description
液晶のメソゲン(H.Naarmann, M.Hanack, R.Mattmer, S
ynthesis, 477, 1994, P.Henderson, H.Ringsdorf, P.S
chuhmacher, Liq.Cryst, 18, 191,1995, D.R.Beattie,
P.Hindmarsh, J.W.Goodby, S.D.J. Mater.Chem., 2, 12
61,1992,N.Boden,R.J.Bushby,A.N.Cammidge,J.Am.Chem.
Soc. 117,925, 1995)等の原料として有用な2,3,6,
7,10,11−ヘキサアセトキシトリフェニレン(以
下、HATPと略記する)の新規な製造方法に関する。
11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン(以下、HHT
Pと略記する)をアセチル化することで製造することが
できる。ところで、HATPの原料となるHHTPの製
造方法としては、1,2−ジアルコキシベンゼンを出発
原料に使用して、無水塩化鉄(III)の存在下に(H.Naa
rmann, M.Hanack, R.Mattmer, Synthesis, 477, 1994,
N.Boden, R.C.Borner, R.J.Bushby, A.N.Cammidge, M.
V.Jesudason, Liq.Cryst, 15, 851, 1993)、あるいは
p−クロラニルの存在下(O.C.Musgrave, C.J.Webster,
J.Chem.Soc.(C), 1397, 1971)に酸化的カップリング
を行わせることで、三量体である2,3,6,7,10,1
1−ヘキサアルコキシトリフェニレンを生成させ、次い
でこの生成物を三臭化ホウ素または臭化水素等の存在下
に脱アルキル化する方法などが知られている。しかし、
これらの方法は、酸化的カップリング工程と脱アルキル
化工程の少なくとも2工程を必要とする点で好ましくな
いばかりか、2工程を経るが故に最終的に得られる反応
生成物には、目的生成物であるHHTP以外の副生物が
混在することが珍しくない。従って、通常は最終的な反
応生成物からHATPの原料となるHHTPを単離する
必要があるが、その単離を工業的規模で実施するのが難
しいと言う問題もあった。そして、副生物と共存下にあ
るHHTPから純粋なHATPを製造する方法は、未だ
開発されていない。また、HHTP製造の別法として
は、無水塩化鉄(III)とその9.5倍モル以上の硫酸と
を反応させて硫酸鉄(III)の硫酸溶液を調製し、この
溶液とカテコールとを反応させる方法も報告されている
(H.Naarmann, M.Hanack, R.Mattmer,Synthesis, 477,
1994)。しかし、この方法で得られるのはHHTPの鉄
(II)錯体であって、HHTPそのものではなく、この
錯体からHHTPを純粋な形で回収する手段は、現在の
ところ確立されていない。そして、当該鉄錯体からHA
TPを製造することも、未だ試みられていない。
鑑みて、本発明は、1,2−ジアルコキシベンゼン又は
カテコール(1,2−ジオキシベンゼン)を原料として
HHTP又はその錯体を調製する際に得られる反応生成
物などから、HHTP又はその錯体などを単離すること
なく、当該反応生成物から出発してHATPを一挙に製
造することを目的とする。
は、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフ
ェニレン遷移金属錯体および/または2,3,6,7,1
0,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの酸化体を
含有する粗2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシ
トリフェニレンを、還元剤存在下にアセチル化すること
を特徴とする。ここで、「粗2,3,6,7,10,11−
ヘキサヒドロキシトリフェニレン」とは、1,2−ジア
ルコキシベンゼン又はカテコール(1,2−ジオキシベ
ンゼン)を原料としてHHTP又はその錯体を合成した
際に取得され、HHTPの遷移金属錯体および/または
HHTPのキノン体(HHTPの水酸基が酸化されたH
HTP誘導体を言う)を含有する混合物を意味し、この
混合物にHHTP、未反応原料、副生成物などが含まれ
ているか否かは、これを問わない。従って、この混合物
は、HHTPの遷移金属錯体および/またはHHTPの
キノン体のみで構成されていても差し支えなく、また、
HHTPの遷移金属錯体および/またはHHTPのキノ
ン体と、HHTPとで構成されていても差し支えない。
る粗2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフ
ェニレン(以下、粗HHTPと略記する)は、1,2−
ジアルコキシベンゼンを酸化的にカップリングさせて三
量体を生成させ、次いでこの三量体を脱アルキルするこ
とで調製することができるほか、硫酸鉄(III)の硫酸
溶液とカテコールとを反応させることよっても取得する
ことができる。しかし、本発明で使用する粗HHTP
は、カテコールと遷移金属化合物との反応で得ることが
好ましい。この反応はカテコールを遷移金属化合物の存
在下に三量化する方法であって、その詳細は次のとおり
である。すなわち、遷移金属化合物としては、例えば、
鉄、銅、マンガン、コバルト、バナジウム、タリウム、
チタン、モリブデンなどのハロゲン化物、シアン化物、
硫黄酸化物、窒素酸化物、酸化物、キレート化物などが
使用され、好ましくは鉄のハロゲン化物、シアン化物、
硫黄酸化物、窒素酸化物、酸化物、キレート化物が使用
される。なかでも塩化鉄(III)が好ましく、塩化鉄(I
II)としては、無水塩化鉄(III)、塩化鉄(III)の水
和物、これらと塩化鉄(II)との混合物などが何れもが
使用可能であり、塩化鉄(III)の水和物には、2.0水
和物、2.5水和物、3.5水和物および6水和物が包含
される。上記遷移金属化合物の使用量は、無水物換算で
カテコール1モルあたり、通常0.01〜20モルの範
囲で、好ましくは1〜5モル、さらに好ましくは1.5
〜3.5モル、最も好ましくは2.0〜3.2モルの範囲
で選ばれる。念のために付言すると、遷移金属化合物を
無水物換算でカテコール1モルあたり通常0.01〜2
モル、好ましくは0.01〜1モルの範囲で使用する場
合には、カテコール1モルあたり0.01〜10.0モル
程度の酸化剤を併用することが望ましい。酸化剤として
は、酸素、塩素、塩化銅(II)などが使用可能であっ
て、塩化銅(II)を使用する場合の酸化剤の使用量は、
無水物換算の量である。カテコールと遷移金属化合物と
の反応は、無溶媒で進行し、特に塩化鉄(III)の水和
物を使用した場合には(なかでも6水和物を使用した場
合には)、その水和物の融点以上に反応温度を設定する
か、あるいは機械的撹拌または超音波の照射により、カ
テコールと塩化鉄(III)との接触を促進させて反応熱
によりその水和物を融解させる方法を採用すれば、必ず
しも反応溶媒を必要としない。しかしながら、カテコー
ルは常温で固体(融点104〜105℃)であり、塩化
鉄(III)も常温で固体であるので(無水物の融点31
7℃、6水和物の融点37.5℃)、反応溶媒の使用は
カテコールと塩化鉄(III)との反応を均一系で進行さ
せるうえで望ましい。反応溶媒としては、カテコールお
よび遷移金属化合物を溶解できる溶媒であれば何れも使
用可能である。具体的には、水、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトンなどケトン類、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒、テトラヒド
ロフラン、エチルエーテルなどの含酸素有機溶媒、塩化
メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲ
ン系有機溶媒、およびこれらの混合溶媒が使用可能であ
る。なかでも、水または塩化メチレンが好ましく、特に
水が好ましい。反応溶媒を使用する目的は、上記した通
り、カテコールと遷移金属化合物との反応を均一系で進
行させることにあるので、反応溶媒の最小必要量は、反
応に供するカテコールおよび遷移金属化合物を完全に溶
解させるに足りる量である。従って、反応溶媒を使用す
る場合にあっては、上記の最小必要量以上を下限として
任意に溶媒使用量を選ぶことができるが、上記最小必要
量の2容量倍程度が、一般に溶媒使用量の上限である。
カテコールと遷移金属化合物との反応には、触媒を必ず
しも必要とはしないが、触媒を使用して反応を促進させ
ることもできる。使用可能な触媒としては、硫酸、リン
酸、トリフルオロ酢酸、BF3OEt2などの酸性物質、
アセチルアセトンなどのキレート剤、テトラブチルアン
モニウムブロミドなどの相間移動触媒などを挙げること
ができる。これら触媒の使用量は、遷移金属化合物1モ
ル(無水物換算)あたり通常0.5モル以下、好ましく
は0.00001〜0.3モル、さらに好ましくは0.0
005〜0.05モル、最も好ましくは0.005〜0.
02モルの範囲である。カテコールと遷移金属化合物と
の反応は、通常、常圧下で温度−30〜120℃、好ま
しくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃、さ
らに好ましくは30〜60℃の範囲で行われ、反応時間
は0.01〜100時間、好ましくは0.1〜50時間、
より好ましくは0.1〜25時間の範囲で選ばれる。
応生成物としてHHTP、HHTPの遷移金属錯体、H
HTPのキノン体、HHTPとHHTPのキノン体との
錯体であるキンヒドロン、さらにはカテコールの四量体
であるオクタヒドロキシジベンゾナフタセンを含有する
外、未反応の遷移金属化合物およびカテコール、反応溶
媒、触媒などを含有する。この反応混合物に含まれる未
反応の遷移金属化合物は、HHTPの遷移金属錯体およ
び/またはキノン体の還元アセチル化に悪影響を及ぼす
ので、水または塩酸水溶液を反応混合物に混合して、未
反応遷移金属化合物を水または塩酸水溶液に溶解させて
不溶性成分を濾別する。この際使用する水または塩酸水
溶液の量は、容積基準で反応混合物の1〜20倍、好ま
しくは2〜10倍、さらに好ましくは3〜5倍の範囲で
選ばれる。塩酸水溶液の濃度は、通常、0.1〜12規
定、好ましく1〜6規定、さらに好ましくは2〜4規定
が選ばれる。上記の反応混合物中に水溶性の触媒が夾雑
している場合には、この濾別操作により水溶性の触媒を
未反応遷移金属化合物と共に除去することができる。ま
た、カテコールと遷移金属化合物とを反応させる際の溶
媒として、水と混和しない溶媒を使用した場合には、前
記の濾別操作に先立ち、これを相分離させて反応混合物
から除去しておいて差し支えない。上記の濾別操作で得
られる不溶性成分、すなわち、本発明で出発原料として
使用可能な粗HHPTは、通常、HHTPの遷移金属錯
体およびHHTPのキノン体を合計量で10質量%以上
含有し、遷移金属化合物として好ましい塩化鉄を使用し
た場合には、HHTPの遷移金属錯体およびHHTPの
キノン体を合計量で40〜80質量%含有する。本発明
は、本来、HHTPの遷移金属錯体およびキノン体を、
還元アセチル化させてHATPを製造するものであるか
ら、粗HHTP中にどの程度のHHTPが含まれている
かを問わず、また、これに未反応カテコールやその四量
体が含まれているか否かも問わない。そしてまた、粗H
HTP中に含まれるHHTPの遷移金属錯体とHHTP
のキノン体との量比も、これを問わない。
説明する。本発明によれば、粗HHTPは還元剤の存在
下にアセチル化せしめられる。還元剤としては、亜鉛、
マグネシウム、アルミニウムなどの金属、ハイドロサル
ファイトナトリウム、硫化水素、二酸化硫黄、塩化スズ
(II)、水素、ギ酸、アスコルビン酸などが使用可能で
あり、なかでも亜鉛、マグネシウムが好ましく、亜鉛が
特に好ましい。還元剤の使用量は、粗HHTP1モルあ
たり通常12モル以内、好ましくは0.1〜10モル、
さらに好ましくは0.5〜5モル、最も好ましくは1.0
〜5モルの範囲である。還元剤の効果を高めるために、
ピリジン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、ト
リブチルアミンなどで例示される3級アミンを、還元ア
セチル化反応系内に共存させることもでき、その場合の
3級アミンの使用量は、還元剤1モルあたり通常5モル
以内、好ましくは0.25〜3モル、さらに好ましくは
0.4〜2モル、最も好ましくは0.5〜1.5モルの範
囲である。アセチル化剤には、例えば、塩化アセチル、
アセチルケテン、ケテン、N−アセチルイミダゾール、
無水酢酸などが任意に使用できるが、無水酢酸を用いる
のが望ましい。アセチル化剤の使用量は、粗HHTP1
モルあたり通常6〜150モル、好ましくは12〜10
0モル、さらに好ましくは15〜80モルの範囲で選ば
れる。本発明の還元アセチル化反応は無溶媒で進行し、
必ずしも反応溶媒を必要としない。しかし、本発明の還
元アセチル化反応を阻害せず、しかも目的生成物である
HATPが溶解可能な溶媒を、必要に応じて使用するこ
とができ、その場合の反応溶媒としては、例えば、酢
酸、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)およ
びこれらの混合物を挙げることできる。還元アセチル化
の反応条件には、通常、常圧下に温度100〜140
℃、好ましくは120〜135℃の範囲が採用され、反
応時間は0.1〜5時間、好ましくは0.2〜2時間、さ
らに好ましくは0.5〜1時間の範囲にある。反応終了
後は、反応混合物をそのまま冷却しHATPを析出させ
る。反応混合物中に不溶物が存在する場合には、例え
ば、熱濾過を行って不溶物を取り除いた後、冷却してH
ATPを析出させる。析出したHATPを濾過などの方
法により回収し、これを無水酢酸、アセトンまたはメタ
ノールなどで洗浄することにより、通常95%以上の純
度でHATPを得ることができる。
粗HHTPからHHTPを単離することなく、粗HHT
Pをそのまま出発原料に使用して、これから純度95%
以上のHATPを得ることができる。そして、本発明で
得られたHATPに再結晶法などの公知の精製手段を適
用すれば、その純度をさらに高めることができる。従っ
て、本発明はHATPの工業的製法として、製造プラン
トの簡略化、製造コストの低減などが図れる点で優れた
ものである。
具体的に説明するが、これら実施例は本発明を限定する
ものではない。 (実施例1)5LのセパラブルフラスコにFeCl
3(無水物)を500g投入し、氷冷しながら滴下ロー
トでゆっくりと水(333ml)を加えた。次いでカテ
コール水溶液(41wt%、カテコール:113g、H
2O:164g)を投入した。反応は常圧50℃で1時
間行った。反応終了後、3規定塩酸水溶液を2.3L投
入し一夜放置した。析出した粗HHTP(組成:HHT
P 40質量%、鉄錯体 5質量%、キノン体 55質
量%)を濾別して水洗後、N2フローで1昼夜風乾した
(78g、69%)。乾燥した粗HHTP25gに無水
酢酸(500ml)、亜鉛(25g)、トリエチルアミ
ン(20ml)を加え、常圧下において還流温度(13
0℃)で1時間反応させた後、熱濾過して一夜放置し
た。生じた結晶を濾別し無水酢酸、アセトン、メタノー
ルで洗浄、乾燥することにより、HATPが30.8g
(収率72%)得られた。こうして得られた淡黄色の結
晶を2.5vol%の無水酢酸を含むジメチルホルムア
ミド(240ml)に溶解し熱濾過を行い、一夜放置し
た後、濾過し、ジメチルホルムアミドおよびメタノール
で洗浄して乾燥することで、純度99.5%のHATP
が21.6g(再結晶収率70%)得られた。こうして
得られた最終生成物がHATPであることの確認は、下
記の手法で合成されたHATPと当該最終生成物とを対
比するすることで行い、両者の1H−NMR、マススペ
クトルが完全に一致したことから、上記の最終生成物は
間違いなくHATPであることを確認した。対比用HATPの合成 (N.Boden, R.C.Borner, R.J.Bu
shby, A.N.Cammidge, M.V.Jesudason, Liq. Cryst,15,8
51,1993、O.C.Musgrave, C.J.Webster, J. Chem.Soc.
(C), 1397, 1971参照) 2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフ
ェニレンの合成 メカニカルスターラー、コンデンサー、滴下ロートを備
えた1000mlの三口フラスコに無水FeCl3(1
97.7g、1.20mol)、硫酸(1.8g、0.01
8mol)、メタノール(5.06g、0.16mol)
を入れ、CH2Cl2(500ml)を加え、続いて氷冷
下ベラトロール(90g、0.65mol)のCH2C
l2溶液(100ml)を35分かけて滴下した。その
後3時間室温で攪拌した後、氷冷下、メタノール(20
0ml)を30分かけて滴下した後、沈殿を吸引濾過
し、メタノール洗浄、続いて減圧下において乾燥して
2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレ
ン(42.9g、0.105mol、48%)を得た。 2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシトリ
フェニレンの合成 メカニカルスターラー、コンデンサー、滴下ロート、温
度計を備えた1L三口フラスコに、上記の合成法で得ら
れた2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェ
ニレン(42.9g、0.105mol)を投入し、ト
ルエン(0.35L)で分散したBBr3(172g、
0.69mol)を30分かけて滴下した後、ゆっくり
と加温し、95℃で6.5時間攪拌した。続いて氷冷
下、メタノール(70ml)を1時間かけて滴下し、余
分なBBr3を処理する。一夜室温にて放置した後、エ
バポレータで反応液から揮発成分を留去した。次にトル
エン(172ml)で残渣物を洗浄し、再びエバポレー
タで揮発成分を留去した。こうして得られたヘキサヒド
ロキシトリフェニレンに無水酢酸(172ml)と硫酸
(3.5ml)の混合物を添加した。これを攪拌しなが
ら7時間還流した後反応液を室温に戻した。反応液中に
生成している沈殿物を吸引濾過し、続いてこれをメタノ
ール(172ml)に再分散させ、30分室温で攪拌し
た後、再度吸引濾過、濾過物を減圧乾燥することによっ
て、HATPの粗結晶(55.4g,0.096mo
l、92%)を得た。次いで粗結晶(25.7g)に1
72mlのニトロメタンを用いて再結晶し、精製した
(回収率 85%)。精製して得られたHATPを、1
H−NMR、マススペクトルとで構造確認したところ、
上記文献記載の各スペクトルデータと同一の結果が得ら
れ、間違いなくHATPが得られたことを確認した{1
H−NMR(270MHz、CDCl3)、δ 2.38(s, M
e), 8.03(s, Ar)ppm, MASS m/z M+ 578}。な
お、実施例1で使用した粗HHTPの組成決定は、粗H
HTPに含まれる鉄錯体の量を元素分析により求め、キ
ノン体(キンヒドロン)の含有量は粗HHTP中のメタ
ノール不溶部から鉄錯体含有量を差し引いた値とした。
また、 HATPの純度測定は、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)で行った(カラム:DuPont社
製Zorvax ODS 4.6×250mm、移動相:
CH3CN/H2O/H3PO4 =60/40/0.1、流
速:1.0ml/min、保持時間:8.3min)。 (実施例2)5LのセパラブルフラスコにFeCl3 ・
6H2O(m.p.37℃)を1000g投入し、70
℃に加熱して融解した。融解後、氷冷攪拌しながら20
℃まで冷却した。次いで該フラスコにカテコール水溶液
(41wt%、カテコール:136g、H2O:197
g)を投入した。反応は常圧50℃で1時間行った。反
応終了後、3規定塩酸水溶液を2.8L投入し一夜放置
した。析出した粗HHTP(鉄錯体2.2質量%、キノ
ン体58.8質量%含有)を濾別して水洗後、N2フロ
ーで1昼夜風乾した(87.6g、66%)。乾燥した
粗HHTP25gに無水酢酸(500ml)、亜鉛(1
2.5g)、トリエチルアミン(30ml)を加え、還
流温度で1時間反応させた後、熱濾過して一夜放置し
た。析出した結晶を濾別しアセトン、メタノールで洗
浄、乾燥することにより、HATPが21.2g(収率
48%、純度97.8%)得られた。こうして得られた
淡黄色の結晶を2.5vol%の無水酢酸を含むジメチ
ルホルムアミド(164ml)に溶かして熱濾過を行
い、一夜放置した後、濾過し、ジメチルホルムアミドお
よびメタノールで洗浄して乾燥することで、純度99.
1%のHATPが15.4g得られた。 (実施例3)5Lのセパラブルフラスコに38%FeC
l3 水溶液(486g)と無水FeCl3 (267g)
を投入し、水冷しながら攪拌し28℃まで冷却した。次
いで該フラスコにカテコール水溶液(41wt%、カテ
コール:102g、H2O:147g)を投入した。反
応は常圧55℃で1時間行った。反応終了後、3規定塩
酸水溶液を2.1L投入し一夜放置した。析出した粗H
HTP(鉄錯体+キノン体を合計で58質量%含有)を
濾別して水洗後、N2フローで1昼夜風乾した(66.
3g、65%)。乾燥した粗HHTP66gに無水酢酸
(1400ml)、亜鉛(66g)、トリエチルアミン
(24ml)を加え、還流温度で1時間反応させた後、
熱濾過して一夜放置した。析出した結晶を濾別しアセト
ン、メタノールで洗浄、乾燥することにより、HATP
が63.6g(収率54%、純度95.4%)得られ
た。こうして得られた淡黄色の結晶を2.5vol%の
無水酢酸を含むジメチルホルムアミド(164ml)に
溶かして熱濾過を行い、一夜放置した後、濾過し、ジメ
チルホルムアミドおよびメタノールで洗浄して乾燥する
ことにより、純度99.3%のHATPが32.4g得
られた。 (実施例4)三口フラスコに、十分乾燥した粗HHTP
15g(鉄錯体3.6質量%、キノン体96.4質量%
含有)と、亜鉛8gと、無水酢酸280mlを投入し、
攪拌しながらトリエチルアミン18mlを加えた。還流
温度で1時間反応させた後、熱濾過して一夜放置した。
析出した結晶を濾別し、無水酢酸、アセトンで洗浄、乾
燥することによりHATPが11.4g(収率43%、
純度98.1%)が得られた。 (実施例5〜21)上記の実施例に倣って、表1に記載
の条件で全14バッチの粗HHTPを製造し、これらの
粗HHTPを出発原料に使用して表2に記載した条件下
でHATPを製造した。その結果を表2に示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロ
キシトリフェニレン遷移金属錯体および/または2,3,
6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの
キノン体を含有する粗2,3,6,7,10,11−ヘキサ
ヒドロキシトリフェニレンを、還元剤の存在下にアセチ
ル化することを特徴とする2,3,6,7,10,11−ヘ
キサアセトキシトリフェニレンの製造方法。 - 【請求項2】 前記の粗2,3,6,7,10,11−ヘキ
サヒドロキシトリフェニレンが、カテコールと遷移金属
化合物との反応によって得られる反応生成物であること
を特徴とする請求項1記載の2,3,6,7,10,11−
ヘキサアセトキシトリフェニレンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32969095A JP3515257B2 (ja) | 1995-11-24 | 1995-11-24 | 2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシトリフェニレンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32969095A JP3515257B2 (ja) | 1995-11-24 | 1995-11-24 | 2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシトリフェニレンの製造方法 |
Publications (2)
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