JP5301380B2 - 回転刃具の寿命予測方法 - Google Patents

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本発明は、回転刃具の寿命予測方法に係り、回転刃具が破損する予兆を検出可能にした方法に関する。
この種の寿命予測方法として、加工機(例えばマシニングセンター)の主軸に装着された刃具(例えばドリル)により被削物を加工する際に、切削中における主軸モータの電力値を毎回測定し、その変化率が所定の大きさになったときにその回転刃具が寿命に到達したと判断するもの(特許文献1参照)、電力値の振動振幅を測定し、予め設定された参照用の振動振幅と比較し、一致すると回転刃具が寿命に到達したと判断するもの(特許文献2参照)等がある。
特許第3783191号公報 特開平6−320396号公報
これらの特許文献に開示される回転刃具の寿命予測方法では、電力値又は振幅値の異常を検出して回転刃具が摩耗破損する予兆を把握している。しかしながら、このような電力値の大きさや振幅値を基にした予測では、電力値の変化量自体が小さいので、この予兆現象となる異常値を検出するための検出精度が低く、異常判断の基準となるしきい値として、かなり安全率を見込んだ低い値に設定しなければならない。このため、寿命直前の状態を検出することが困難であり、例えば、かなり早めに回転刃具を交換してしまうことになるため、大きな費用ロス(寿命ロス)が生じた。
図1は特許文献1の電力値による寿命判定方法によって寿命の予兆判断について説明するためのグラフであり、1回の加工毎における電力波形を示し、横軸に加工回数、縦軸に電力をとってある。
この図において、1210回目で折損が生じ、このときの電力ピーク値は2998Wであった。この場合、確実に折損手前で刃具を交換するためには、折損時の電力ピーク値の10%程度低い、すなわち2700W程度に基準値を設定する必要がある。
しかし、この基準値に近いピーク値は1000回目で、このときの2748Wである。したがって、10%低いピーク値で交換するには、1000回転よりもさらに手前で交換せざるを得ず、実際の折損限界よりもかなり早く交換することになって、寿命ロスが大きくなる。これは各回数毎の電力ピーク値間における差が小さく、検出精度が低いため10%程度の差を設けなければならないためである。
ちなみに1回目の電力ピーク値は1990Wであり、折損時の最大電力値との差は約1100Wであって、最大電力値の約37%低い値に相当する。また、500回目の電力ピーク値は2150Wであり、折損時の最大電力値との差は約800Wであって、最大電力値の約27%低い値に相当する。
また、特許文献2に開示される方法も電力値に基づいて判断する点で同様であって、比較的小さな振動振幅に対して判断しなければならないから、異常判断の基準となるしきい値として、かなり安全率を見込んだ低い値に設定しなければならない。
しかも、実測波形はローパスフィルタを通してAD変換するため、実際の波形に近似できる高周波数成分を除去してしまうので、AD変換されるデータは波形のピーク値がかなり平準化されてしまうため、この点でも測定波形のデータ精度が低くなり、その結果、より大きめに安全を見込んだ設定になってしまう。
そこで、回転刃具を寿命直前まで安全に使い切り、しかも寿命の直前すなわち折損の直前で確実に交換できるようにするため、正確でかつ容易に判断できる高精度な予兆波を検出できるようにした寿命予測方法が望まれていた。本願発明はこのような要請の実現を目的とする。
上記課題を解決するため、回転刃具の寿命予測方法に係る請求項1の発明は、回転刃具により被削物を切削加工する際に、モータの駆動電流を高周波電流センサでサンプリングして実負荷電流波形を測定する負荷電流測定工程と、 s
この実負荷電流波形の波形から、加工回数毎に最大値及び最小値を抜き出して変化量を求め、この変化量の時系列的な分散値を求める統計上処理工程と、
分散値から定められたしきい値に対して上記分散値が所定の判断条件に該当するか否かを判定し、該当した分散値の出現により回転刃具の折損予兆が出現したと判断する予兆判断工程とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、上記請求項1において、前記高周波電流センサは回転刃具の1回転より小さな角度でサンプリングできるものであることを特徴とする。
請求項3の発明は、上記請求項1又は2において、前記高周波電流センサの最高測定周波数が10kHz以上であることを特徴とする。
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかにおいて、前記所定の判断条件は、連続する所定数のピーク値のうち過半数が前記しきい値を越えることを特徴とする。例えば、所定数が3であり、3つの連続するピーク値のうち2つ以上がしきい値を越えることである。
請求項5の発明は、上記請求項1〜4のいずれかにおいて、前記しきい値は、分散値に対して所定係数を乗じたものであることを特徴とする。例えば、所定係数は70%であり、分散値に0.7を掛けたものである。
請求項1に記載の発明によれば、回転刃具による切削加工時に前記主軸モータにおける負荷電流の高周波数成分を高周波電流センサで測定することで、測定する実負荷電流波形における最大値と最小値を正確に検出でき、変化量も可及的に大きくなる。
そこでこの最大値と最小値から変化量を計算し、さらにこの変化量から加工回数毎に分散を計算すると、この分散値は折損直前に異常判断における十分に大きな変化を示す。
そこで、分散値から定められたしきい値に対して分散値が所定の判断条件に該当するか否かを判定し、該当した分散値の出現により回転刃具の折損予兆が出現したと判断する予兆判断工程において、しきい値を十分に大きくできるので、正確かつ容易に分散値の異常を判断でき、折損の予兆を的確に判断できる。また、折損直前で判断できるため、回転刃具の交換を可及的に遅くでき、その結果、寿命ロスを削減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、高周波電流センサは回転刃具の1回転より小さな角度でサンプリングできるから、1回転中における最大値と最小値をより正確に測定でき、検出精度を高めることができる。
請求項3に記載の発明によれば、高周波電流センサの最高測定周波数を10kHz以上としたので、実負荷電流波形における最大値と最小値を正確に検出できる。
請求項4に記載の発明によれば、所定の判断条件を、連続する所定数のピーク値のうち過半数が前記しきい値を越えることとしたので、1回だけの異常値を出現するような場合をノイズとして判断でき、折損予兆をより正確に判断できる。
請求項5に記載の発明によれば、しきい値を分散値に所定係数を乗じたものとしたので、しきい値の決定が容易になり、しかも所定係数を自由に設定できるので、加工条件に適したしきい値の設定が可能になる。
従来例の電力値による寿命予測方法を示す図 実施例に係る寿命予測方法のシステム図 高周波電流センサより測定する意義について原理的に説明する図 高周波電流センサより測定された実負荷電流波形の一部を示す図 負荷電流波形に対して統計処理された分散値のグラフ 分散区間の切り出しを説明する図 予兆診断を説明する図 予兆診断のフローチャート
以下、図面に基づいて実施形態を説明する。図2は本発明の一実施形態に係る回転刃具の寿命予測検出方法を実施するシステムの説明図である。
この図2において、1は加工機(例えばマシニングセンター)であって、このマシニングセンターは、200V3相交流電源により駆動される主軸モータMと、コラムC上に設けた送りモータFMにより上下方向に移動可能であってコラムCの前面に取付けられた主軸ユニットHと、主軸ユニットHへ回転自在に保持され前記主軸モータMにより回転駆動される主軸SPと、この主軸SP先端に装着された回転刃具Tを備える。回転刃具Tは移動テーブル3上に載置された被削物W(ワーク)を切削(穴開)加工するものであって、この例ではドリルである。
主軸モータMを駆動する200V3相交流電源線2にはアンプAPが接続され、その途中に高周波電流センサDが接続されている。この高周波電流センサDは、予兆検出装置4に接続される。高周波電流センサDで主軸モータにおける負荷電流の高周波成分を時系列で測定し、この測定データを予兆検出装置4をなすコンピュータ等の演算装置PCへ送り、この演算装置PC内に設けられたCPU等からなる予兆検出処理部にてAD変換し、さらに所定の予兆検出処理を行う。但し、演算装置PCはパソコン等で構成できる。
高周波電流センサDを用いることは、後述するように高精度で電流波形のピーク値を検出できるばかりでなく、電力を測定する場合と比べて、変動する高電圧を電圧計に接続して測定する必要がないので、取扱が容易になるという利点がある。
図3は高周波電流センサDにより負荷電流波形を測定する意義について原理的に説明する図である。この図において曲線Aは理想的な負荷電流波形であり正弦波として示されている。Bは実負荷電流波形であり概ね正弦波のように変化している。但し、この正弦波は小刻みな波(以下、要素波という)によって構成されており、この要素波は、回転刃具Tの1回転する間において微少角度回転して切削する毎に生じる切削抵抗の変化に対応している。Cは切削抵抗の変化を示す波形であり、Bの実負荷電流波形が正弦波であれば、これからAの理想電流波形を位相を合わせて所定の計算をすることで得られるものに相当する。
この切削抵抗変化波形が正確に検出できれば、これをAD変換してピーク値の変化を把握することにより、異常ピーク値として出現する予兆波を検出することができる。
しかし、Bが理想的な正弦波になる場合は誘導モータを用いた場合など限られており、むしろBが理想的な正弦波でない場合が多く、特にACスピンドルモータの場合は歪んだものになり、理想的な正弦波にならない。
このため、Cの切削抵抗変化波形を直接演算で求めることができないので、本願はBの実負荷電流波形をAD変換してそのピーク値を検出して予兆波を検出するようにした。
但し、Bの実負荷電流波形を測定する際のサンプリングの周期が低いと、波形が平準化されるため、ピーク値が低くなって、誤差が拡大する傾向にあり、このような場合には予兆波検出の精度が低下してしまう。
そこで本願はBの実負荷電流波形を測定する際に高周波電流センサを用いてサンプリングするようにした。高周波電流センサの測定周波数は、測定対象の波形における周波数以上、標本化定理ではさらに2倍以上とすることで正確なピーク値を検出することができ、測定対象波形の周波数よりサンプリング周波数が低くなるほど検出するピーク値の精度が低下する。
例えば、10〜40kHzのサンプリング周波数(測定周波数)、特に、最高測定周波数が少なくとも10kHz以上であれば、概ね正確なピーク値を検出できることが判明した。これより低い周波数の場合はピーク値の精度が低下してしまう。
また、40kHzを超えて例えば、市販品で現在安価に入手できる最高の周波数である500kHzもしくはこれよりも高い周波数でも理論上は可能であるが、入手の容易性を考慮すれば10〜100kHz程度が好ましい。しかし、このように高いサンプリング周波数ではデータ処理量が膨大になるので、検出精度とデータ処理量の兼ね合いでは、10〜100kHz程度、より好ましくは10〜40kHzが有利である。
また、加工条件により高周波電流センサの測定周波数は種々に変化するが、回転刃具の周速を基準にすることにより、高周波電流センサの基準となる測定周波数(基準周波数)を決定できる。
例えば、回転刃具がドリルの場合、周速が20m/分のとき、ドリル径が5φであれば基準周波数は4kHz、10φであれば2kHzとなる。周速と測定周波数は比例関係にある。
そこで、実際の周速が100m/分のときの基準周波数は、ドリル径が5φで20kHz、
10φで10kHzとなり、これを標本化定理により2倍すれば、それぞれ40kHz、20kHzが測定周波数となる。なお、このサンプリング角度は概ね1°刻みを目標にする。但し、これより小さな角度を設定することは任意であるが、その場合には測定周波数がさらに大きくなる。
図4は高周波電流センサDが測定した実負荷電流波形に対して予兆検出装置4の予兆検出処理部にて処理して統計上の分散値を求める方法を原理的に説明する図であり、Aに実負荷電流波形のモデルを示し、Bに変化量Xとその平均値avXの求め方を示す。
Aにおいて、グラフは高周波電流センサDで検出された実負荷電流波形のうち任意の3つの山(ピークという)Pm−1、Pm、Pm+1と2つの谷(ボトムという)Bm−1、Bmを示す拡大図であり、横軸は時間、縦軸は高周波電流センサの検出した電流値(実際の電流値に比例する読み取り値で単位なし:以下同)である。
予兆検出装置4の予兆検出処理部は、高周波電流センサDで測定されAD変換された実負荷電流波形における各波形のピーク値(極大値)Pm−1、Pm、Pm+1・・・とボトム値(極小値)Bm−1、Bm・・・について、まず、ボトムを絶対値化し、|Bm−1|及び|Bm|・・・をピーク値Pm−1、Pm、Pm+1・・・と並べ、n(0以上の整数)個のピークからなるBのグラフを得る。このグラフから各ピークの値を変化量Xi(i番目の変化量)として、n個の変化量Xの平均、すなわち、
(X0+X1+・・・+Xn)/n
を求めてピーク平均値avXを求める。nは切削加工1回(ドリル加工であればドリルによる1回の穴明け加工)毎における後述する分散区間内で発生するピークの数である。
続いて、ピーク平均値avXと変化量Xi(i=0〜n)より、加工1回毎の分散値δを統計処理で計算する。分散値δの計算式は図5中に記載してある。
これにより、切削加工1回毎の分散値δが求まるので、これを切削加工数毎にプロットすると図5のグラフになる。
このグラフを用いることで後述する予兆検出が可能になる。すなわち、例えば、しきい値を0.2としたとき、連続する3つのピークに注目し、このうちの2つ以上がしきい値を超えるか否かを判断し、超えると、この3つのピークからなる波形を予兆波と判断する。
この例では、1回目、2回目及び3回目からなる連続する3つのピークがいずれもしきい値を超えているので、これらの1〜3回目のピークからなる波形が予兆波となる。この予兆波の出現後において回転刃具は折損に至る。
なお、しきい値並びに予兆波判断における連続するピークの数及びそのうちのしきい値を超える数は任意に設定できる。但し、予兆波と判断するためにしきい値を超えるピークの数は、連続するピークの設定数における過半数以上とする。
次に、実際のドリル加工における予兆検出について説明する。この加工条件は、実際のドリル加工における予兆検出方法を示す。このドリル加工条件は、ドリルの直径;5.08mm、主軸回転数;4720rpm、周速90m/min、1回転当たりの送り速度;0.15mm/1回転で、被削物W;材質S50C、被削物Wの厚さ及び穴の深さ;50mm、である。また、高周波電流センサによる測定は、負荷電流を0.000033秒毎に測定したものである。但し、このような測定条件は加工条件により種々変化する。
最初に、図8により予兆検出の手順を示すフローチャートを説明する。
まず、初期設定として、予めドリルの破損までのテストを行い、ドリル加工に伴って発生する実負荷電流波形を高周波電流センサで測定し、ドリル加工数毎のピーク値の最大値とボトム値の最小値で変化量を求め、この変化量より分散値を求め、さらにこの分散値の70%をしきい値として設定する(ST11)。
次に、一回のドリル加工毎に、高周波電流センサで実負荷電流波形を測定して分散値を計算する(ST12)。
続いて、この計算された分散値を基に予兆判断する。これは連続する3回の分散値のピークのうち2回以上がしきい値を超えるか否か判断する(ST13)。
YESであれば、予兆波が発生したと判断してドリルを交換し(ST14)、終了する。
ST13でNOであれば、ST13を反復する。
次に、ステップST11について詳細に説明する。このステップでは、まず、分散区間の切り出しを行い、その分散区間においてピーク平均値avX、変化量Xi、分散値δ及びしきい値を計算する。
図6は連続する2回の切削工程における高周波電流センサの測定した負荷電流の実波形を示す。横軸は時間、縦軸は電流である。
この加工1回分の測定波形において、Aは加工前後における加工場所変更に伴うノイズであり、Bは加工開始から所定時間経過までの不安定範囲であり、Cは安定した加工範囲である。統計処理による分散を計算する分散区間は、A及びBを除き、B後の安定した所定時間Cの範囲にある波形のみを検出する。但し、Bは設備や切削条件によって異なる。
Bの範囲は加工開始直後であって、立ち上がりの不安定でノイズ要因が多いためこの範囲を除外する。この範囲は全加工時間とともに経験により定まるが、概ね加工開始後から全加工時間の20%程度である。Cの範囲はBに続く全加工時間の概ね80%の範囲であるが、加工終了間際の若干範囲もノイズ要因があるのでこれを除外する。Cの範囲も経験により定められる。すなわちCの範囲は、切削区間の切削開始時の変動が安定した部分から切削終了時の波が変動するまでの区間であり、このCの範囲において検出された波形毎に最大、最小値を検出する。
続いて、この分散区間において、図4及び5について説明したピーク平均値avXと変化量Xi及び分散値δ並びにしきい値を計算する。しきい値は分散値の70%とし、この値を所定の判断条件で超えたときドリルの破損を招く予兆波の出現とする。但し、このしきい値の値である70%は経験により任意に定められる。
また、しきい値及び後述する予兆波の判断条件は、予め、ドリル折損までの加工を各種の条件でテスして適正値を求めておき、実際の量産において、材質、ドリル径、送り速度、回転数などにより、予めテストで求めた値で補正すればよい。
次に、ステップST12及び13について詳細に説明する。ステップ11に続いて、実際の量産に入り連続する多数回のドリル加工を開始し、各加工毎に上記分散値を計算する。
図7は上記の統計処理で得られたドリル加工回数毎の分散値を示すグラフであり、ドリルの破損までの全ドリル加工回数についてプロットして時系列的に示し、横軸に加工回数、縦軸に分散値を示す(ST12)。
さらに、計算した分散値δにつき、しきい値を基準にして各加工工数毎に予兆判断を行う(ST13)。この例におけるしきい値は0.15であり、前述のように予兆波の判断条件は分散波形の連続する3つのピークのうち2つ以上がしきい値を超えたとき、このピークを予兆波と判断することである。
なお、このしきい値及び判断条件を、実際の量産内容に即して適宜に設定できることは前述の通りである。
この条件に従うと、加工回数5000回程度まではしきい値を越えるものはない。図中の拡大部に予兆波部分を拡大して示すように、5000回を越えたところで、しきい値を越える明瞭なピークP1・P2・P3が連続して出現する。このうち、ピークP1・P2は不連続であり、それぞれ独立して前後で1回だけしきい値を越えるので予兆波とは判断しない。その後に出現するピークP3は連続する3つのピークが集合したものからなり、これら3つともにしきい値を越えているので、このピークP3(3つのピークのうち最後のものは約5100回目に相当する)を予兆波と判断する。この予兆波出現を確認すると直ちに加工を停止してドリルを交換する(ST14)。
この図7において、ピークP3においてドリルを交換せず、そのまま加工を継続すると、直後の折損限界Zで示す5309回目に破損が生じた。
すなわち、ドリルの交換は、実際に破損する限界である5309回目の直前となる5100回目まで延ばすことができる。この加工において、本願発明の予兆波に基づかず安全を見込んで早めに交換していた従来の方法による場合は、図中に破損限界zで示したように、約4000回目で交換していた。したがって、本願発明によれば約1000回以上も長く使用することが可能になる。
その結果、従来は実際の折損限界Zよりも約1000回程度も早い運用上の折損限界zで交換を余儀なくされるため大きな寿命ロスとなって経済的な損失を招いていたが、本願発明によればこのようなロスを解消でき、コスト的に大きく有利になった。すなわち、寿命ロスは、(5309−5100)/(5309−4000)として計算すると約0.16となるから、16%程度まで削減できることになる。
これは、本願発明において、折損限界直前で容易かつ正確に判別できる明瞭な予兆検出波を検出できることによって可能になったものであり、しかも、この予兆波検出も高周波電流センサの採用と統計処理により比較的容易かつ高精度に行えるようになった。
なお、本願発明は上記の実施例に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、上記実施例では、回転刃具としてドリルを挙げて説明したが、これに限らず、エンドミル、リーマ、タップ等の破損予兆として検知することも可能であり、回転軸以外にもバイトなどの切削工具にも適用が可能である。延いては、回転軸の疲労破壊検査にも応用が可能となる。
また、加工機はマシニングセンター以外に、旋盤、ボール盤、縦型フライス盤、横型フライス盤などが適用できる。
D…高周波電流センサ、M…主軸モータ、P3…予兆検出波、T…ドリル(回転刃具)、W…ワーク(被削物)、δ…分散値

Claims (5)

  1. モータで駆動される回転刃具の寿命予測方法において、
    回転刃具により被削物を切削加工する際に、モータの駆動電流を高周波電流センサでサンプリングして実負荷電流波形を測定する負荷電流測定工程と、
    この実負荷電流波形の波形から、加工回数毎に最大値及び最小値を抜き出して変化量を求め、この変化量の時系列的な分散値を求める統計上処理工程と、
    分散値から定められたしきい値に対して上記分散値が所定の判断条件に該当するか否かを判定し、該当した分散値の出現により回転刃具の折損予兆が出現したと判断する予兆判断工程とを備えたことを特徴とする回転刃具の寿命予測方法。
  2. 前記高周波電流センサは回転刃具の1回転より小さな角度でサンプリングできるものであることを特徴とする請求項1に記載した回転刃具の寿命予測方法。
  3. 前記高周波電流センサの最高測定周波数が10kHz以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載した回転刃具の寿命予測方法。
  4. 前記所定の判断条件は、連続する所定数のピーク値のうち過半数が前記しきい値を越えることであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した回転刃具の寿命予測方法。
  5. 前記しきい値は、分散値に対して所定係数を乗じたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載した回転刃具の寿命予測方法。
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