JP6808038B2 - 工具寿命検出装置および工具寿命検出方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の実施の形態1に係る工具寿命検出装置について説明する。この工具寿命検出装置は、切削加工等を行う際に使用される工具の寿命を検出するものである。
加工機100は、被加工物50が載置される加工機テーブル101、工具110を保持するホルダ102、シャフト103およびベアリング104を介して工具110が取り付けられる主軸105、ならびに主軸モータ106を備えている。加工機100では、主軸モータ106によって主軸105が回転駆動することによって工具110が回転する。
工具寿命検出装置1は、電流計10および信号処理装置20を備えている。電流計10は、被加工物50を加工する際にかかる加工負荷を測定する加工負荷測定装置として動作する。電流計10は、主軸モータ106に接続され、主軸モータ106に流れる負荷電流値を一定間隔で測定する。電流計10は、例えば図示しないA/D(Analog/Digital)変換器を備え、測定した負荷電流値をデジタル信号に変換して信号処理装置20に送る。
次に、難易度演算部22における加工難易度Hnの演算方法について説明する。加工難易度Hnは、工具110の切れ味などの加工性能の影響と、加工時に発生する切り屑の詰まりによる影響とを考慮して演算される。具体的には、加工難易度Hnは、加工負荷値の平均値M、加工負荷値の最大値A、および最大値Aの変化量Pの3つのパラメータを用いて、以下の式(1)に基づき演算することができる。
図3は、被加工物50に対して1回の加工を行った場合に電流計10で測定される主軸モータ106の負荷電流の一例を示すグラフである。被加工物50の加工は、回転している工具110を被加工物50に対して一定の送り速度で接近させ、工具110と被加工物50とが接触することによって開始される。加工が開始されると、工具110に対する負荷が増加する。それに伴い、主軸モータ106における負荷電流値は増加する。
図4は、加工負荷値の最大値Aの変化量Pについて説明するための概略図である。図4は、加工回数に対する加工負荷値である負荷電流値の最大値Aを示している。
ところで、加工負荷値の平均値M、加工負荷値の最大値A、および加工負荷値の最大値Aの変化量Pの3つのパラメータは、それぞれが取り得る数値範囲が大きく異なる。算出された数値そのものを用いて式(1)に基づき加工難易度Hnが演算された場合、平均値Mなどの数値範囲の大きいパラメータの影響が他のパラメータよりも大きくなる。そのため、適切な加工難易度Hnを演算することができない。
上述した式(1)において、係数a、bおよびcは、加工負荷値の平均値M、最大値Aおよび最大値Aの変化量Pのそれぞれが寿命に与える影響の重みを決定するものである。係数a、bおよびcは、新品工具への交換直後に予め設定された回数だけ加工した際の加工難易度Hの平均値と、工具110が折損する前の予め設定された回数分の加工難易度Hの平均値との差が最も大きくなる場合の値が正規化されて用いられる。すなわち、係数a、bおよびcは、式(4)における値DHが最も大きくなる場合の値に決定される。なお、式(4)で用いられる加工難易度Hnの値についても、式(5)に基づき正規化される。
次に、判定基準値Htの演算方法について説明する。本実施の形態1では、事前に測定された同一種類の工具110における加工負荷値を用いて得られる、工具110が折損する前の設定回数分の加工難易度Hの平均値が、判定基準値Htとして設定される。事前に測定された加工負荷値とは、現在使用している工具110と同様の工具を使用した場合に、新品直後から折損するまでに得られた加工負荷値である。判定基準値Htは、係数a、bおよびcを算出する場合と同様に、工具110の折損前の設定回数分の加工難易度Hの平均値を算出することによって得ることができる。
次に、本実施の形態1に係る工具寿命検出装置1による工具寿命検出処理について説明する。図5は、本実施の形態1に係る工具寿命検出装置1による工具寿命検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
次に、上述した工具寿命検出処理の具体例について説明する。ここでは、工具110として直径3mmのドリルを用い、被加工物50としてのアルミブロックに50mmの深穴加工を施す場合を例にとって説明する。なお、加工機100として、キラ・コーポレーション社製の立形マシニングセンタ「HPC−30Vb」を使用し、工具110として、三菱マテリアル社製のドリル「WSTARMNS0300X20DB」を使用した。また、この例では、工具110であるドリルの回転数を9550[rpm]とし、送り速度を0.15[mm/rev]として、被加工物50に加工を行った。
Claims (8)
- 被加工物を加工する工具の寿命を検出する工具寿命検出装置であって、
前記被加工物を加工する際に前記工具に対してかかる負荷を加工負荷値として測定する加工負荷測定装置と、
前記加工負荷測定装置により測定された加工回数毎の前記加工負荷値に基づき、工具の寿命を判定する信号処理装置と
を備え、
前記信号処理装置は、
加工回数毎に測定された前記加工負荷値に基づき、前記被加工物に対する加工の難易度を示す加工難易度を、前記被加工物に対する1回の加工における前記加工負荷値の平均値または積算値と、前記被加工物に対する1回の加工における前記加工負荷値の最大値と、現時点から設定加工回数前までの加工における前記最大値の極大値と極小値との差である変化量とに基づき演算し、
演算した前記加工難易度と、前記工具の寿命の判定基準を示す判定基準値とを比較し、
前記加工難易度が前記判定基準値を超えた場合に、工具寿命であると判定する
工具寿命検出装置。 - 前記信号処理装置は、
演算した前記加工難易度を0以上1以下の値となるように正規化させる
請求項1に記載の工具寿命検出装置。 - 前記判定基準値は、
寿命と判定された同一種類の工具における、寿命と判定される前の設定加工回数分の加工難易度の平均値である
請求項1または2に記載の工具寿命検出装置。 - 前記加工負荷測定装置は、
工具を回転させる主軸モータの負荷電流値を前記加工負荷値として測定する電流計である
請求項1〜3のいずれか一項に記載の工具寿命検出装置。 - 前記信号処理装置は、前記工具寿命の判定結果を報知する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の工具寿命検出装置。 - 前記信号処理装置は、
前記加工負荷値に基づき、前記加工難易度を演算する難易度演算部と、
前記加工難易度に基づき、前記判定基準値を演算する判定基準値演算部と、
前記加工難易度と前記判定基準値とを比較し、前記工具の寿命を判定する比較判定部と
を有する
請求項1〜5のいずれか一項に記載の工具寿命検出装置。 - 前記信号処理装置は、
前記比較判定部による判定の結果を報知する報知部をさらに有する
請求項6に記載の工具寿命検出装置。 - 被加工物を加工する工具の寿命を検出する工具寿命検出方法であって、
前記被加工物を加工する際に前記工具に対してかかる負荷を加工負荷値として測定するステップと、
加工回数毎に測定された前記加工負荷値に基づき、前記被加工物に対する加工の難易度を示す加工難易度を、前記被加工物に対する1回の加工における前記加工負荷値の平均値または積算値と、前記被加工物に対する1回の加工における前記加工負荷値の最大値と、現時点から設定加工回数前までの加工における前記最大値の極大値と極小値との差である変化量とに基づき演算するステップと、
演算された前記加工難易度と、前記工具の寿命の判定基準を示す判定基準値とを比較するステップと、
前記加工難易度が前記判定基準値を超えた場合に、工具寿命であると判定するステップと
を有する工具寿命検出方法。
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