JP5716955B2 - 切削加工装置,振動条件提示装置及びその方法 - Google Patents

切削加工装置,振動条件提示装置及びその方法 Download PDF

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Description

本発明は、切削工具とワークとの間に振動を付加して切削加工を行うとともに、前記振動の条件を提示する切削加工装置,振動条件提示装置及びその方法に関する。
ガスタービンで用いられるノズル等においては、例えば、直径D=0.2mm,深さL=4mm(アスペクト比L/D=20)のような微細深穴を加工する必要がある。このような高アスペクト比の微細深穴をドリルによって切削加工する際には、切りくずの排出が困難である,発生する熱の逃げ場がない,切削抵抗によりドリルの折損が発生しやすい,ドリル先端の加工点の温度が非常に高くなってドリルの摩耗が進みやすい,といった問題がある。
図9(A)には、その様子が示されており、ボール盤のスピンドル900に取り付けられたドリル902によって、被加工材料であるワーク910に穴920の加工が行われる。ワーク910の表面側からは、切削油904が供給されている。同図(B)には、ドリル902の先端部分が拡大して示されており、ワーク910をドリル902の先端が押しつぶしながら加工が進行していく。ここで、切りくずは、ドリル902の溝に沿って図の上方に押し上げられて排出されるのであるが、穴920が深いために、排出に困難が伴う。また、切削油904が穴920の開口側から供給されるが、穴920が深いために、ドリル902の刃先の方まで良好に供給されない。また、穴920が深いことから、刃先の熱の逃げ場がない。これらの理由から、刃先の温度が上昇するようになるとともに、ドリル902先端の切削抵抗が増大して高いスラスト力が発生し、刃先の摩耗の進行,切削速度の低下,更にはドリル折損が生ずる恐れがある。
このような問題点を改善し、刃先の冷却効果を期待できる手法として、下記特許文献1〜3に記載されているような加工時に低周波振動を付加する技術がある。図9(C)には、その一例が示されており、スピンドル950に取り付けられたドリル952によって、ワーク960に対する穴あけ加工が行われる。ワーク960は、加工機テーブル962に設けられたアクチュエータ964上に設置されている。アクチュエータ964としては、電磁式,ピエゾ式,リニアモータ式などがある。ワーク960には、アクチュエータ964によって、図の上下方向に低周波振動が印加される。この状態で、ドリル952によってワーク960の穴あけ加工が行われる。
特開2006−159400号公報 特開2004−261928号公報 特開平10−249684号公報
しかしながら、上述した従来の振動加工においては、アクチュエータによる振動条件(振動周波数,振動振幅)に関して、経験に基づいた選択が行われてきた。このため、ドリル径,ドリル回転数や送り速度等などの加工条件が変わる度に、好適な振動条件を検討する必要があった。
本発明は、以上のような点に着目したもので、その目的は、切削工具の加工条件に対応した良好な振動条件を簡便に提示することである。他の目的は、好適な振動条件で切削工具もしくはワークに振動を加えて加工を行うことで、刃先温度,切りくず排出,切削抵抗といった課題を改善することである。更に他の目的は、工具の長寿命化を図ることである。
本発明の振動条件提示装置は、振動手段によって回転切削工具の回転軸方向に振動を与えつつ、回転切削工具によってワークに穴あけ加工を行う際に、前記振動手段による振動条件を提示する振動条件提示装置であって、前記回転切削工具の回転数及び前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度と、前記振動手段による振動の振幅及び周波数から、前記回転切削工具の全駆動時間に対する切削時間の割合を示す切削時間比率,又は、前記振動によって前記回転切削工具が増速される時間の前記切削時間に対する割合を示す正速度時間比率,の少なくとも一方を演算する演算手段,前記演算手段による演算結果を、前記振動手段による振動周波数と前記回転切削工具の回転周波数との周波数比,及び、前記振動手段による振動振幅と前記ワークに対する前記回転切削工具の送り量との振幅比にそれぞれ対応した指標として提示する出力手段,を備えたことを特徴とする。
主要な形態の一つは、前記出力手段が、前記切削時間比率<0.9であり、前記正速度時間比率>0.5となる範囲を、振動条件として提示することを特徴とする。他の形態の一つは、前記回転切削工具の回転数,前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度,前記振動手段による振動の振幅ないし周波数の少なくとも一つに限界値があるときに、該限界値に対応する前記切削時間比率又は前記正速度時間比率の少なくとも一方を、前記演算手段で演算するとともに、演算結果を前記指標とともに前記出力手段において提示することを特徴とする。
本発明の切削加工装置は、ワークに穴あけ加工を行う回転切削工具と、前記振動条件提示装置によって提示された振動条件、もしくは、前記限界値の範囲内の条件で、前記回転切削工具とワークとの間に振動を与える振動手段と、を備えたことを特徴とする。主要な形態の一つは、前記振動手段によって振動を与えつつ切削加工を行ったときの切削動力を検出するモニター手段,該モニター手段による検出結果に基づいて、前記回転切削工具による切削状態の適否を判断し、切削状態が適切となるように、前記出力手段から出力される振動条件を修正するフィードバック手段,を備えたことを特徴とする。
本発明の振動条件提示方法は、振動手段によって回転切削工具の回転軸方向に振動を与えつつ、回転切削工具によってワークに穴あけ加工を行う際に、前記振動手段による振動条件を提示する振動条件提示方法であって、前記回転切削工具の回転数及び前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度と、前記振動手段による振動の振幅及び周波数から、前記回転切削工具の全駆動時間に対する切削時間の割合を示す切削時間比率,又は、前記振動によって前記回転切削工具が増速される時間の前記切削時間に対する割合を示す正速度時間比率,の少なくとも一方を演算するステップ1,前記ステップ1による演算結果を、前記振動手段による振動周波数と前記回転切削工具の回転周波数の周波数比,及び、前記振動手段による振動振幅と前記ワークに対する前記回転切削工具の送り量との振幅比にそれぞれ対応した指標として提示するステップ2,を備えたことを特徴とする。
主要な形態の一つは、前記ステップ2において、前記切削時間比率<0.9であり、前記正速度時間比率>0.5となる範囲を、振動条件として提示することを特徴とする。他の形態の一つは、前記回転切削工具の回転数,前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度,前記振動手段による振動の振幅ないし周波数の少なくとも一つに限界値があるときに、該限界値に対応する前記切削時間比率又は前記正速度時間比率の少なくとも一方を前記ステップ1で演算するとともに、該演算結果を前記指標とともに前記ステップ2で提示することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明によれば、加工条件(工具回転数や工具送り速度)及び振動波形(振幅及び周波数)に基づいて、加工状態を評価する指標を計算し、該指標から加工と振動の周波数比及び振幅比を選択することで相応の振動条件(振動周波数や振動振幅)を得ることができるので、刃先温度,切りくず排出,切削抵抗といった課題を改善して、工具の長寿命化を図ることができる。
ドリルによる穴あけ加工時の様子を示す図である。 本発明の振動条件提示方法の実施例におけるドリル刃先の軸方向変位及び回転速度の変化を示すグラフである。 切削時間比率を示すマップの一例を示す図である。 正速度時間比率を示すマップの一例を示す図である。 周波数比と時間比率との関係,及び刃先摩耗との関係を示すグラフである。 本発明に関係する実験装置の概略を示す図である。 周波数比と切りくずとの関係を示す図である。 本発明の振動条件提示装置及び切削加工装置の実施例を示す図である。 ドリルによる穴あけ加工及び背景技術を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
最初に、図1〜図7を参照しながら本発明にかかる振動条件提示方法について説明する。図1(A)に、ワーク12を加工しているドリル10の刃先部分を示す。回転角度をθ,軸方向(図の上下方向)の振動振幅(p-p)をA,ドリル10とワーク12との相対的な振動の周波数をFv,ドリル10の回転周波数をFd,ドリル10の1刃当たりの送りをfz,ドリル10の刃数をzとすると、ドリル10の刃先の軸方向変位Pz及び軸方向速度Vzは、次の数1式,数2式でそれぞれ表される。
更に、k刃前のドリル刃先の軸方向変位Pzkは、次の数3式で表される。k刃前とは、前記数1式で示される軸方向変位Pzが例えば刃数zを有するドリルの第n回転目における軸方向変位であるとすると、第n−k/z回転目における軸方向変位が前記Pzkである。
図2(A)には、前記軸方向変位Pz,Pzkの一例が示されている。この例は、工具回転数2000/min(工具回転周波数Fd=2000/60=33.3Hz),1刃当たりの送りfz=1μm,振動周波数Fv=49.1Hz,振動振幅A=5μm,刃数z=2,とし、かつ、振動波形を正弦波としたときの例である。同図の横軸はドリル10の位相ないし回転角度θ[rad],縦軸は軸方向変位PzないしPzk[μm]を表す。なお、縦軸は、下側がプラス,上側がマイナスとなっている。図2(A)には、2回転分(4π)が示されている。仮に、軸方向の振動がないとすると、単に、回転とともに軸方向変位Pz,Pzkが増大する右肩下がりのグラフとなる。しかし、軸方向の振動があるために、振動しつつ右肩が下がるグラフとなる。4刃前のグラフGz4の1回転後(2π)の変位Qz4は、(4−刃数2=)2刃前のグラフGz2の始点Rz2に一致する。3刃前のグラフGz3の1回転後(2π)の変位Qz3は、(3−刃数2=)1刃前のグラフGz1の始点Rz1に一致する。以下、同様である。ドリル10の刃先は、1刃前の刃先が通過した面からワーク12に進入し、3刃前の刃先が通過した面から離脱する。
ここで、ドリル10の刃先の軸方向の切込み厚さhは、次の数4式で表される。切込み厚さh>0のときは、ドリル10の刃先が前回よりも深くなり、ドリル10の刃先とワーク12が接触して切削が行われる。しかし、h≦0のときは、ワーク12の切削は行われず、ドリル10の刃先の冷却が進むとともに、切りくずの分断が行われると考えられる。
図2(A)で説明すると、今回の軸方向変位Pzによって切削される厚さhは、同図にハッチングで示すように、前回の軸方向変位Pzkとの差分領域Δhとなる。
図2(B)には、切込み厚さh>0のときの軸方向速度Vzの一例が示されている。同図の横軸は前記図2(A)と同様であり、縦軸が軸方向速度Vz[mm/min]となっている。同図(A),(B)を対比すると明らかなように、刃先が正の速度で進入して負の速度で離脱し、軸方向速度Vzがプラスからマイナスに変動する期間Twで切削が行われる。
ここで、全駆動時間に対する切込み厚さh>0となる時間の比率(図2(B)における全駆動時間Ttに対する切削時間Twの割合=Tw/Tt)を切削時間比率Rcとする。切削時間比率がRc=1とのときは、Tw=Ttとなり、全時間において切削が行われる連続切削となる。切削時間比率Rcが小さくなるに従って、ドリル10の刃先がワーク12から離れて切削が行われない時間が長くなり、刃先の冷却が期待できるようになる。
また、切削時間Twに対する振動速度(軸方向速度−工具送り速度)が正となる時間の比率(図2(B)における切削時間Twに対する正時間Tpの割合=Tp/Tw)を、正速度時間比率Rvとする。図1(B)には、ドリル10の刃先のすくい角Φrと逃げ角Φcの関係が示されている。ドリル10の刃先速度が正のときは刃先のすくい角Φrが大きくなり、逆に刃先速度が負のときは刃先のすくい角Φrが小さくなる。このような点からすると、正速度時間比率Rvが大きいほど、すくい角Φrが大きい状態での加工時間が長くなるため、切削抵抗の低減が期待できる。
以上のような切削時間比率Rc及び正速度時間比率Rvは、振動周波数Fvとドリル回転周波数Fdとの周波数比Fv/Fdと、軸方向の振動振幅Aと1刃当たりの送りfzとの振幅比A/fzで無次元化可能である。そこで、前記切削時間比率Rc及び正速度時間比率Rvの各値を、周波数比Fv/Fdと振幅比A/fzとでマッピングして示すと、図3,図4に各々示すようになる。これらの図中、横軸は周波数比Fv/Fd,縦軸は振幅比A/fzである。
まず、図3の切削時間比率Rcに着目すると、上述したように、切削時間比率Rcが小さくなるに従って、ドリル10の刃先がワーク12から離れて切削が行われない時間が長くなり、刃先の冷却が期待できる。このような条件の領域は、図3の比較的色が薄い領域が該当するので、その領域内に切削時間比率Rcの値が入るように、ドリル10を振動させるとよいことになる。
一方、図4の正速度時間比率Rvに着目すると、上述したように、正速度時間比率Rvが大きいほど、すくい角Φrが大きい状態での加工時間が長くなるため、切削抵抗の低減が期待できる。このような条件の領域は、図4の比較的色が薄い領域が該当するので、その領域内に正速度時間比率Rvの値が入るように、ドリル10の加工条件や振動条件を設定すればよいことになる。
周波数比Fv/Fdに対する切削時間比率Rc及び正速度時間比率Rvの変化の一例を示すと、図5に示すようになる。同図中、横軸は周波数比Fv/Fdであり、縦軸は時間比率である。図5は、軸方向の振動振幅A=10μm,1刃当たりの送りfz=1μm,振幅比A/fz=10としたときのグラフである。周波数比Fv/Fdが「0」(振動無し)と「2」近傍では切削時間比率Rcが増大し、連続切削となって切りくずが連続するのに対し、それ以外の周波数比では切りくずが分断されると予想される。一方、正速度時間比率Rvは、周波数比Fv/Fd=1.6〜1.9で小さくなり、それ以外では大きくなる。特に、周波数比Fv/Fd=0.1〜0.5及び2.1〜2.5で大きくなる。
ここで、本発明に関連して行った実験例について説明する。図6には、実験装置の概略が示されている。工作機械として、高速加工機(東芝機械株式会社製の「ASV400」)を使用し、加工機テーブル20上に切削動力計(日本キスラー株式会社製の「9254」)22を介して設けられたピエゾアクチュエータ(株式会社メステック製の「PSt150」)24によってワーク12に振動を印加する。波形発生装置30から出力された振動波形に基づいてドライバ32がピエゾアクチュエータ24を駆動する。そして、切削動力計22の計測結果をデータレコーダ34で記録する。スピンドル14に取り付けられているドリル10としては、超硬ノンコートドリルを使用した。そして、表1の加工条件で、微細深穴加工を行い、刃先磨耗及び切りくず形状について検討した。
刃先磨耗の程度は、前記図5に示すとおりであり、切削時間比率Rcとほぼ同様の傾向を示し、切削時間比率Rcを小さくすることで、刃先磨耗も抑制できることが分かる。また、同じ切削時間比率Rcである周波数比Fv/Fd=1.7と2.3における刃先磨耗の程度を対比すると、正速度時間比率Rvが大きい周波数比Fv/Fd=2.3のほうが刃先磨耗は少ない。これは、前記すくい角Φrが大きい条件で切削加工を行ったほうが切削抵抗が低減され、刃先温度上昇が抑制されたためであると考えられる。
図7には、前記周波数比Fv/Fd=0,0.67,・・・における切りくずの様子が示されており、同図(A)〜(J)は、図5の刃先摩耗の測定点にそれぞれ対応する。切削時間比率Rc=1となる周波数比の図7(A),(F)では、切りくずが連続している。しかし、それ以外の切削時間比率Rcでは、切りくずが分断されている。また、切削時間比率Rcが小さいほど、切りくずの形状は小さくなっている。
以上のように、本実施例によれば、ドリル10を振動させるにあたって、切削時間比率Rc及び正速度時間比率Rvを定義し、切削時間比率Rcを小さく、かつ、正速度時間比率Rvを大きくするアクチュエータの振動条件を提示することができ、これによって、刃先の冷却が可能となるとともに、切削抵抗や刃先磨耗の低減を図ることができる。また、周波数比や振幅比という無次元化した値を用いることで、工具径や工具回転数に依存しない評価を行うことができ、評価の簡略化を図ることができる。更に、ワークの加工条件が変更されても、アクチュエータによる振動条件を簡便に提示することができ、微細深穴の加工を良好に行うことができる。
次に、図8を参照しながら、本発明の振動条件提示装置及び切削加工装置の実施例について説明する。図8において、振動条件提示装置100は、演算部110,表示部120,入力部130,メモリ部140を備えている。メモリ部140には、上述した切削時間比率Rc及び正速度時間比率Rvを演算するための演算プログラム142,該演算に必要な演算データ144が格納されており、入力されたデータ(後述)は入力データ146として格納されるようになっている。
一方、振動加工装置200は、上述したドリル10,ワーク12,スピンドル14,加工機テーブル20,切削動力計22,ピエゾアクチュエータ24を備えている。更に、振動加工装置200は、上述したピエゾアクチュエータ24の駆動制御を行うための制御器202を備えており、振動条件提示装置100によって提示された振動条件が制御器202に対して出力されるようになっている。なお、切削動力計22は、必要に応じて設けられるもので、詳細は後述する。
次に、本実施例の全体動作を説明する。振動条件提示装置100には、ドリル10の回転数や送り速度などの加工条件や、ワーク12の振動波形が外部より入力される。前記加工条件は、例えば、作業者が入力部130を使用して入力してもよいし、振動加工装置200側から供給するようにしてもよい。振動波形が数式で表される場合は、数式で入力してもよい。また、振動波形データを、予め演算データ144としてメモリ部140に記憶させておいてもよい。入力されたデータは、入力データ146としてメモリ部140に格納される。
演算部110は、演算データ144もしくは入力データ146を参照し、演算プログラム142を実行する。そして、上述した演算を行い、切削時間比率Rc及び正速度時間比率Rvを得る。演算結果(図3,図4に示したマップ)は、加工状態を評価する指標として表示部120に表示されるとともに、それら指標から周波数比及び振幅比を指定して好適な振動条件が選択される。選択された振動条件は、振動加工装置200の制御器202に入力される。制御器202は、入力された振動条件(振動振幅及び振動周波数)に基づいて、ピエゾアクチュエータ24を駆動する。これにより、切削時間比率Rcを小さく、かつ、正速度時間比率Rvを大きくするように、ピエゾアクチュエータ24が振動し、ワーク12に対する切削加工が行われる。
具体的には、次のような形態がある。
(1)切削時間比率Rcもしくは正速度時間比率Rvの評価指標(図3,図4に示したマップ)のいずれか一方、もしくは両方を、表示部120に表示し、作業者が振動条件を選択して、振動加工装置200に設定する。
(2)切削時間比率Rcもしくは正速度時間比率Rvの評価指標を表示部120に表示するのみならず、相応しい振動条件の範囲も選択して具体的に提示する。例えば、切削時間比率Rcが0.7以下であり、かつ、正速度時間比率Rvが0.5以上の範囲を表示部120に表示し、この範囲で作業者が振動条件を選択するといった具合である。また、一般的には、アクチュエータの能力にもよるが、振動周波数や振動振幅は小さいほうがよいので、それに相応しい振動条件を選択する。あるいは、アクチュエータにおいて、振動周波数もしくは振動振幅の一方が変更できないときは、他方の値のみを考慮して振動条件を選択する。また、好ましい振動条件が複数あるときは、それらを全て表示するか、あるいは、順位を付けて表示するといった具合である。
(3)切削時間比率Rcもしくは正速度時間比率Rvの評価指標を表示部120に表示するのみならず、相応しい振動条件も選択して具体的に提示し、かつ、振動加工装置200の制御器202に供給してピエゾアクチュエータ24の振動を制御する。
(4)前記(3)に加えて、ドリル回転数等の加工条件に変更があったときは、振動加工装置200から加工条件変更のフィードバックを受け、新たな加工条件に相応しい振動条件を演算し、振動加工装置200の制御器202に供給する。
(5)切削動力計22によって切削状態をモニターし、その結果を、条件提示装置100にフィードバックする。そして、モニター結果に基づいて、切削状態の適否を判断し、切削状態が適切となるように、振動条件を修正して振動加工装置200の制御器202に出力する。
(6)振動加工装置200のスピンドル14の回転速度の上下限値,加工機テーブル20の移動速度の上限値,ピエゾアクチュエータ24の振動周波数の上限値及び振幅の上限値などの限界値を入力し、当該限界値に対応する範囲を、前記切削時間比率Rcもしくは正速度時間比率Rvの評価指標の表示に指定して示す。あるいは、前記限界値の範囲内で振動条件を選択して、振動加工装置200に設定する。前記限界値に対応する範囲は、例えば図8の表示部120中に表示されている実線LA,LBのようになる。なお、前記限界値を、演算データ144としてメモリ部140に予め保存しておいてもよい。
(7)上述したように、切削時間比率Rcは小さいほうがよく、正速度時間比率Rvは大きいほうがよい。具体的な比率の値は、ワークの材質や振動波形によって変わるが、例えば、0.9>Rc,0.5<Rv,好ましくは、0.6>Rc,0.6<Rvの範囲がより好適である。
以上のように、本実施例によれば、振動振幅,振動周波数,工具回転数,工具送り速度などの条件を入力すると、加工状態を評価する指標が演算・提示されるので、これから刃先の冷却,切りくずの排出性能,切削抵抗の改善を図ることができる振動条件を簡単に知ることができる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
(1)前記実施例では、本発明をドリルによる深穴加工に適用した場合を示したが、各種の切削工具に対しても同様に適用可能である。
(2)前記実施例では、ワーク側を振動させたが、工具側を振動させてもよい。振動装置としては、前記実施例や前記特許文献に記載されたもののほか、各種のものが知られており、いずれを用いてもよい。
(3)前記実施例では、全駆動時間に対する切削時間の割合を示す切削時間比率と、切削時間に対する振動速度が正となる時間の割合を示す正速度時間比率とを求めたが、いずれか一方のみとすることを妨げるものではない。
(4)前記実施例では、振動波形を正弦波としたが、他の波形でもよい。また、振動波形データを、1周期分の点群データやフーリエ級数として与えることも可能である。
本発明によれば、加工条件(工具回転数や工具送り速度)及び振動波形(振幅及び周波数)に基づいて、加工状態を評価する指標を計算し、該指標から加工と振動の周波数比及び振幅比を選択することで相応の振動条件(振動周波数や振動振幅)を得ることができるので、刃先温度,切りくず排出,切削抵抗といった課題を改善して、工具の長寿命化を図ることができ、各種の切削加工に適用できる。

10:ドリル
12:ワーク
14:スピンドル
20:加工機テーブル
22:切削動力計
24:ピエゾアクチュエータ
30:波形発生装置
32:ドライバ
34:データレコーダ
100:振動条件提示装置
110:演算部
120:表示部
130:入力部
140:メモリ部
142:演算プログラム
144:演算データ
146:入力データ
200:振動加工装置
202:制御器
900:スピンドル
902:ドリル
904:切削油
910:ワーク
920:穴
950:スピンドル
952:ドリル
960:ワーク
962:加工機テーブル
964:アクチュエータ
Φc:逃げ角
Φr:すくい角
θ:回転角度

Claims (9)

  1. 振動手段によって回転切削工具の回転軸方向に振動を与えつつ、回転切削工具によってワークに穴あけ加工を行う際に、前記振動手段による振動条件を提示する振動条件提示装置であって、
    前記回転切削工具の回転数及び前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度と、前記振動手段による振動の振幅及び周波数から、
    前記回転切削工具の全駆動時間に対する切削時間の割合を示す切削時間比率,又は、
    前記振動によって前記回転切削工具が増速される時間の前記切削時間に対する割合を示す正速度時間比率,
    の少なくとも一方を演算する演算手段,
    前記演算手段による演算結果を、
    前記振動手段による振動周波数と前記回転切削工具の回転周波数との周波数比,及び、前記振動手段による振動振幅と前記ワークに対する前記回転切削工具の送り量との振幅比にそれぞれ対応した指標として提示する出力手段,
    を備えたことを特徴とする振動条件提示装置。
  2. 前記出力手段が、前記切削時間比率<0.9であり、前記正速度時間比率>0.5となる範囲を、振動条件として提示することを特徴とする請求項1記載の振動条件提示装置。
  3. 前記回転切削工具の回転数,前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度,前記振動手段による振動の振幅ないし周波数の少なくとも一つに限界値があるときに、該限界値に対応する前記切削時間比率又は前記正速度時間比率の少なくとも一方を、前記演算手段で演算するとともに、演算結果を前記指標とともに前記出力手段において提示することを特徴とする請求項1又は2記載の振動条件提示装置。
  4. ワークに穴あけ加工を行う回転切削工具と、
    請求項1又は2記載の振動条件提示装置によって提示された振動条件で、前記回転切削工具とワークとの間に振動を与える振動手段と、
    を備えたことを特徴とする切削加工装置。
  5. ワークに穴あけ加工を行う回転切削工具と、
    請求項3記載の振動条件提示装置によって提示された振動条件であって、かつ、前記限界値の範囲内の条件で、前記回転切削工具とワークとの間に振動を与える振動手段を備えたことを特徴とする切削加工装置。
  6. 前記振動手段によって振動を与えつつ切削加工を行ったときの切削動力を検出するモニター手段,
    該モニター手段による検出結果に基づいて、前記回転切削工具による切削状態の適否を判断し、切削状態が適切となるように、前記出力手段から出力される振動条件を修正するフィードバック手段,
    を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の切削加工装置。
  7. 振動手段によって回転切削工具の回転軸方向に振動を与えつつ、回転切削工具によってワークに穴あけ加工を行う際に、前記振動手段による振動条件を提示する振動条件提示方法であって、
    前記回転切削工具の回転数及び前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度と、前記振動手段による振動の振幅及び周波数から、
    前記回転切削工具の全駆動時間に対する切削時間の割合を示す切削時間比率,又は、
    前記振動によって前記回転切削工具が増速される時間の前記切削時間に対する割合を示す正速度時間比率,
    の少なくとも一方を演算するステップ1,
    前記ステップ1による演算結果を、
    前記振動手段による振動周波数と前記回転切削工具の回転周波数の周波数比,及び、前記振動手段による振動振幅と前記ワークに対する前記回転切削工具の送り量との振幅比にそれぞれ対応した指標として提示するステップ2,
    を備えたことを特徴とする振動条件提示方法。
  8. 前記ステップ2において、前記切削時間比率<0.9であり、前記正速度時間比率>0.5となる範囲を、振動条件として提示することを特徴とする請求項7記載の振動条件提示方法。
  9. 前記回転切削工具の回転数,前記ワークに対する前記回転切削工具の送り速度,前記振動手段による振動の振幅ないし周波数の少なくとも一つに限界値があるときに、該限界値に対応する前記切削時間比率又は前記正速度時間比率の少なくとも一方を前記ステップ1で演算するとともに、該演算結果を前記指標とともに前記ステップ2で提示することを特徴とする請求項7又は8記載の振動条件提示方法。
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