JP7210997B2 - 監視システム - Google Patents
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この場合、加工装置において異常発生の予兆が無い状態で、偶発的に第二の指標が閾値以下となった場合に、異常の予兆が有ると誤って判定されるのを防ぎ、判定の精度を上げることが可能となる。
この場合、条件が変更されて、入力データが新たに(追加的に)取得される。このため、新たに取得された入力データが処理対象のデータとして用いられて、入力データの特徴を示す特徴情報が再び取得される。そして、この特徴情報の適否が判定される。このため、特徴情報が不適であると判定された場合であっても、新たに別の特徴情報が得られることで、その特徴情報は適すると判定される可能性が生まれる。
この場合、第一判定部は、回帰関数の取得のためとは別に得られている前記入力データと、当該回帰関数との類似性を示す第一の指標として相関係数を求める。この相関係数が高ければ(1に近ければ)、前記回帰関数は適していると判定される。
図1は、監視システムの一例を示す説明図である。監視システム10は、加工装置12と、検査装置14と、処理装置16とを備える。加工装置12は、ワーク7を加工する装置である。本実施形態の加工装置12は、研磨装置である。ワーク7は、例えば円環状の部材であり、本実施形態では、転がり軸受に用いられる軌道輪(外輪)である。加工装置(研磨装置)12は、砥石18を有し(図2参照)、円環状であるワーク7の内周面を砥石18により研磨する。
図2は、加工装置12の一部を示す説明図である。加工装置12は、ワーク7を主軸ユニット27に取り付けるためのチャック28、チャック28と一体回転する主軸29、主軸29を回転させる主軸用モータ30、砥石18、砥石18と一体回転する砥石軸31、砥石軸31を回転させる砥石軸用モータ32、砥石18のドレッシングを行う工具(ドレッサ)33、工具33と一体回転するロータリディスク軸34、ロータリディスク軸34を回転させるドレス用モータ35、切り込み軸36によって駆動する切り込み用アクチュエータ37、及び、スライド軸38によって駆動するスライド用アクチュエータ39を有する。
前記工程情報を取得する演算部54と、前記加工効率を算出する演算部54とは別であってもよい。
検査装置14(図1参照)は、加工済みのワーク7の形状に関する検査を実行し、検査結果を示す検査データD2を生成する。検査装置14は、例えばワーク7の寸法を測定する測定部(測定器)15aと、測定部15aの測定結果に基づいて検査データD2を生成する処理部15bとを有する。検査装置14によってワーク7が検査される毎に、当該ワーク7の検査データD2が取得される。検査装置14が有する装置は、前記測定部(測定器)15a等以外であってもよい。ワーク7の検査データD2は、当該ワーク7の識別データと対応付けされる。識別データと対応付けられた検査データD2が処理装置16に出力される。
処理装置16は、加工データD1及び検査データD2を取得すると、これらデータD1,D2と対応付けられているワーク7の識別データに基づいて、ワーク7毎に(識別データ毎に)加工データD1及び検査データD2を記憶装置55に記憶する。例えば100個のワーク7について加工及び検査が行われた場合、一つのワーク7についての加工データD1及び検査データD2を一組とすると、100組のデータが記憶される。なお、言うまでもなく、全てのワーク7のデータを記憶させる必要はなく、一部のワーク7のデータであってもよい。
図3は、加工データD1の一つである、センサ50bにより計測された砥石軸用モータ32の電流値(電流値データ)の説明図である。この加工データD1は、ワーク7の加工の開始から終了までの間の時系列データである。前処理部20は、加工データD1を、加工工程毎に分割する。図3では、説明を容易とするために、第一工程(黒皮工程)、第二工程(粗工程)、第三工程(仕上げ工程)が示される。加工データD1が、第一工程、第二工程、及び第三工程に分割される。前処理部20は、分割した各データから、入力データを生成する。例えば分割された各データの信号レベルに基づいて入力データを生成する。また、一つの工程を更に複数に分割し、その分割した領域毎のデータから入力データを生成してもよい。例えば、第二工程(粗工程)を2のn乗の数(例えば256)の領域に分割し、領域毎の入力データを取得してもよい。
入力データは、分割された領域別(工程別)に、一つの変数とする他に、複数の変数により構成されたデータであってもよい。前記変数の例として、信号レベルの平均値、変化の割合(傾き)、面積(積分値)等である。または、入力データは、信号レベル等の値の二乗項であってもよく、交互作用項であってもよい。
加工データD1及び検査データD2それぞれから生成された各入力データは、記憶装置55に、ワーク7(ワーク7の識別データ)と対応付けられて記憶される。
記憶装置55には、複数のワーク7についての入力データが記憶されている。調査処理部21は、複数のワーク7の入力データを処理対象のデータとして用いて、回帰分析を実行する。回帰分析としては、単回帰であってもよく、重回帰、lasso回帰、elasticnet回帰であってもよい。本実施形態では、処理対象のデータは、記憶装置55に記憶されている複数(100個)のワーク7についての入力データの内の、一部(10個)のワーク7についての入力データを除くデータとする。つまり、前記一部を除く所定数(90個)のワーク7についての入力データを処理対象のデータとする。前記所定数のワーク7それぞれについての入力データの中から、複数種類の入力データが選択される。回帰分析により、これら複数種類の入力データの回帰関数(回帰直線又は回帰曲線)が得られる。例えば、加工データD1から得られた入力データと検査データD2から得られた入力データとが選択される。この場合、加工データD1から得られた入力データと検査データD2から得られた入力データとの相関や傾向を示す関数(回帰関数)が得られる。図3及び図4それぞれから得られた入力データが選択され、これらの相関や傾向を示す関数(回帰関数)が得られてもよい。
処理対象のデータ(学習データ)の数が、90個のワーク7によるものとする。例えば、X1、nは特徴量1として傾きであり、X2、nは特徴量2として面積であり、X3、nは特徴量3として平均であり、交互作用(特徴量4)としてX1,n・X2,n、X1,n・X3,n、X2,n・X3,nが用いられるとする。これらが加工データD1に基づく入力データである。処理対象となる入力データは次のようになる。
n1=X1,1、X2,1、X3,1、X1,1・X2,1、X1,1・X3,1、X2,1・X3,1
n2=X1,2、X2,2、X3,2、X1,2・X2,2、X1,2・X3,2、X2,2・X3,2
・・・
n90=X1,90、X2,90、X3,90、X1,90・X2,90、X1,90・X3,90、X2,90・X3,90
n1、n2 ・・・ n90は、全てワーク7毎に検査データD2と紐付けられている。
偏回帰係数として、前記のX1,1、X2,1 ・・・に対して品質(検査データD2)に対する寄与度(数値)が算出される。例えば、X1の寄与度が0.1であり、X2の寄与度が0.2である。
この場合、回帰関数(回帰式)として、例えば次の式が得られる。
Y=0.1X1+0.2X2+ ・・・+(切片)
y(予測値)=(特徴量1の偏回帰係数)×(特徴量1)
+(特徴量2の偏回帰係数)×(特徴量2)
・・・
+(特徴量mの偏回帰係数)×(特徴量m)
+(切片)
前記のとおり、本実施形態では、予測関数を得るために用いられた処理対象のデータは、一部を除く所定数(90個)のワーク7についての入力データである。そこで、第一判定部22は、前記一部の入力データを「実測値」として用い、この一部の入力データと、前記予測関数との相関を求める。なお、前記実測値として用いる入力データは、新たに別で取得した加工データD1及び検査データD2から変換した入力データであってもよい。前記のとおり、予測関数は、調査処理部21によって、様々な入力データの組に関して取得されている。第一判定部22は、取得されている全ての予測関数について、その予測関数と対応する入力データ(実測値)との相関が求められる。つまり、予測関数から算出された予測値と、この予測関数の基となった入力データと種類が同じである入力データ(実測値)とから、第一の相関係数が算出される。ここでの相関係数は、実測値としての入力データと、予測関数との類似性を示す指標である。
予測関数である回帰関数(回帰式)つまり前記式(1)を使用して、前記一部である10個のワーク7についてのデータ10個の予測値(式(1)のyの値)を算出する。
そして、前記予測関数から算出された予測値と、入力データ(実測値)とから、第一の相関係数が算出される。
相関係数の計算式は、次のとおりである。実測値をxとし、予測値をyとすると、
(相関係数)=(xとyの共分散)/〔(xの標準偏差)×(yの標準偏差)〕
加工装置12によって新たにワーク7を加工する実際の生産が開始されると(後述の運用工程)、各ワーク7についての加工データD1及び検査データD2が取得される。これら加工データD1及び検査データD2を処理装置16が取得する。前記のとおり、前処理部20によって、加工データD1及び検査データD2から入力データが取得される。このようにして、新たな入力データが取得される。
以上の構成を備える監視システム10が実行する加工装置12の監視方法について説明する。図5及び図6は、前記監視方法を示すフロー図である。監視方法には、事前に実施される、データ収集工程、前処理工程、及び調査処理工程が含まれる。監視方法には、更に、運用工程が含まれる。運用工程は、実際に製品とするワーク7の加工が行われる状態であり、この運用工程において、加工装置12の監視が実際に行われる。以下、各工程について説明する。
加工データD1及び検査データD2の収集が開始される(ステップS1)。加工装置12より各センサ等からのデータが収集される(ステップS2)。このデータは加工データD1であり、例えば、砥石軸31についての情報、ロータリディスク軸(R/D軸)34についての情報、主軸29について情報、及び、工程情報等である。検査装置14よりワーク7の品質測定結果が収集される(ステップS3)。例えば、ワーク7の直径(内径、外径)、真円度、円筒度等の計測が検査装置14において行われ、検査データD2が収集される。ワーク7毎に加工データD1と検査データD2とが対応付けられ(紐付けられ)、記憶される(ステップS4)。所定数(例えば100個)のワーク7について、加工データD1及び検査データD2が得られると、データ収集工程が終了する(ステップS5)。処理装置16は、取得した検査データD2を、許容値のデータと比較することにより、良品データと不良品データとの判別を行う機能を備え、その判別のデータを検査データD2に含ませることができる。
所定数のワーク7についての加工データD1及び検査データD2が得られると、前処理工程が開始される(ステップS6)。本実施形態では、前記所定数のうちの一部以外のデータが用いられて、前処理工程が行われる。前処理工程では、加工データD1が工程毎に分割される(ステップS7)。この処理は、図3により説明したとおりである。前処理部20は、加工データD1に対して分割の処理を行い、更に、分割したデータから入力データを生成する(ステップS8)。検査データD2からも入力データが生成される。ワーク7毎に、検査データD2に基づく入力データと、加工データD1に基づく入力データとが対応付けられて記憶される。所要の入力データが全て取得されると(ステップS9)、調査処理工程が開始される。
調査処理工程では、入力データについての特徴を示す特徴情報として、回帰関数(予測関数とも称する。)が取得される。加工データD1は複数種類存在することから、入力データも複数種類存在し、これに応じて回帰関数は複数取得される。複数の回帰関数の中から、別に取得された入力データとの相関が強い回帰関数を、有効な特徴情報として取得する。この回帰関数を取得する処理は、前記のとおり、機械学習により行われるのが好ましい(ステップS10)。特徴情報として回帰関数を取得するために、本実施形態では、回帰分析が行われる(ステップS11)。
ステップS14でYesの場合、加工装置12において、ワーク7の加工が進められ、加工されたワーク7が検査装置14によって検査される。加工装置12によるワーク7の加工によって、新たな加工データD1が取得され、検査装置14によるワーク7の検査によって、新たな検査データD2が取得される。運用工程において新たに取得した加工データD1及び検査データD2を、運用加工データ及び運用検査データと称する。運用加工データ及び運用検査データが、前処理部20により前記前処理工程と同様の処理により、入力データに変換される。この入力データを、運用入力データと称する。有効予測関数から算出された予測値と、運用入力データとから相関係数が算出される(ステップS16)。この運用入力データは、有効予測関数の基となった入力データと種類が同じである。例えば、前記粗工程において砥石軸用モータ32(図2参照)の電流値の加工データD1から取得された入力データに基づいて、有効予測関数が得られている場合、運用入力データも、前記粗工程において砥石軸用モータ32の電流値の加工データD1から新たに取得された入力データである。
以上のように、本実施形態の監視システム10は、加工装置12と、検査装置14と、処理装置16とを備える。処理装置16は、前処理部20と、調査処理部21と、第一判定部22と、第二判定部23とを有する。前処理部20は、加工データD1及び検査データD2から入力データを取得する。調査処理部21は、複数のワーク7についての入力データを処理対象のデータとして用いて、当該入力データの特徴を示す特徴情報を取得する。第一判定部22は、調査処理部21にて用いていない入力データと、前記特徴情報との類似性を示す第一の指標を求め、当該特徴情報の適否を判定する。第二判定部23は、第一判定部22により適すると判定された特徴情報と、調査処理部21及び第一判定部22にて用いていない入力データ(新たに取得された入力データ)との類似性を示す第二の指標を求め、この第二の指標に基づいて加工装置12の異常の兆候の有無を判定する。
14:検査装置 16:処理装置 20:前処理部
21:調査処理部 22:第一判定部 23:第二判定部
D1:加工データ D2:検査データ
Claims (5)
- 複数の装置要素を有して構成され、ワークの加工を行うと共に、当該ワークの加工により得られる当該装置要素の状態を示す加工データを出力する加工装置と、
前記ワークの検査を行い、当該ワークの検査データを出力する検査装置と、
前記加工データ及び検査データを前記ワーク毎に前記加工装置及び前記検査装置から取得し、当該加工データ及び当該検査データを処理する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記ワークの品質に影響を与える可能性のある前記加工データ及び加工後の前記ワークの品質に関する前記検査データから入力データを取得する前処理部と、
複数のワークについての前記入力データを処理対象のデータとして用いて、当該入力データの特徴を示す特徴情報として、前記検査データと前記加工データとの相関を示す関数を取得する調査処理部と、
前記調査処理部にて用いていない前記入力データと、前記特徴情報との類似性を示す第一の指標を求め、当該特徴情報の適否を判定する第一判定部と、
前記第一判定部により適すると判定された前記特徴情報と、前記調査処理部及び前記第一判定部にて用いていない前記入力データとの類似性を示す第二の指標を求め、当該第二の指標に基づいて前記加工装置の異常の兆候の有無を判定する第二判定部と、
を有する、監視システム。 - 前記第二判定部は、前記第二の指標と閾値とを比較し、当該第二の指標が当該閾値以下となる回数が所定数以上である場合に、前記加工装置に異常の兆候が有ると判定する、請求項1に記載の監視システム。
- 前記第一判定部は、前記特徴情報が不適であると判定すると、前記前処理部は、前記入力データを取得するための条件を変更して、前記加工データから前記入力データを取得する、請求項1又は2に記載の監視システム。
- 前記特徴情報は、前記検査データと前記加工データとの相関を示す回帰関数である、請求項1~3のいずれか一項に記載の監視システム。
- 前記調査処理部は、機械学習を用いて前記特徴情報を取得する、請求項1~4のいずれか一項に記載の監視システム。
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