JP7380119B2 - びびり評価システム - Google Patents
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Description
以下、本発明のびびり評価システムについて図1~図14を参照して説明する。第一例のびびり評価システム1は、工作物W及び砥石車12を回転させながら工作物Wを研削する研削装置100において、工作物表面のびびり量を評価する。びびり評価システム1は、研削装置100に設けられた定寸装置14及び加速度センサ15と、びびり量評価演算装置200からなる。
図1、図2に示すように、研削装置100は、ベッド11と、砥石車12と、砥石台121と、主軸台131と、心押台132と、主軸テーブル133と、定寸装置14とを備える。工作物Wは、回転軸方向の両端を、主軸台131及び心押台132に支持され、回転する。研削装置100は、回転する工作物Wの外周に砥石車12を当接させ、研削することにより工作物Wの形状を形成する。
図4にびびり量評価演算装置200を含む、びびり評価システム1の構成を示す。びびり量評価演算装置200は、基礎データ取得部21と、FFT解析部22と、抽出部23と、逆FFT解析部24と、変位変換部25と、びびり量評価部26と、を備える。第一例のびびり量評価演算装置200は、まず、工作物Wの複数の異なる軸方向位置において、加速度に関する基礎データである加速度基礎データD11を取得する。その後、FFT解析部22、抽出部23、逆FFT解析部24、及び、変位変換部25を経て、各々の加速度基礎データD11に対応する変位に関する逆FFTデータである変位逆FFTデータD42を生成する。生成された複数の変位逆FFTデータD42に基づいて、びびり量評価部26により各軸方向位置における周方向びびり量を評価する。
基礎データD1とは、加速度又は変位に関する時系列データである。加速度に関する基礎データD1を加速度基礎データD11、変位に関する基礎データD1を変位基礎データD12と呼ぶ。基礎データD1は、一般的には、時間軸を基準とするデータとして取得されるが、時間及び工作物Wの回転速度から、工作物Wの回転角度を基準とするデータに変換されてもよい。
FFTデータD2とは、基礎データD1に基づいてFFT解析されたデータである。加速度基礎データD11からは図7に示すような、横軸を周波数、縦軸を加速度とする加速度FFTデータD21が生成される。一方、変位基礎データD12からは、横軸を周波数、縦軸を変位とする変位FFTデータD22が生成される。第一例のFFT解析部22は、第1~第n加速度基礎データD111~D11nのそれぞれに基づいてFFT解析を行い、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nを生成する。
抽出部23は、FFTデータD2から、砥石車12の回転数に対応する回転数周波数成分である特定周波数成分を抽出する。抽出部23によって抽出された抽出FFTデータD3は、FFTデータD2と同様に、横軸を周波数、縦軸を加速度又は変位とするが、特定周波数以外の数値が除かれる。ここでは、第1~第n加速度FFTデータD211~D21nのそれぞれから、特定周波数成分が抽出された第1~第n加速度抽出FFTデータD311~D31nが生成される。特定周波数成分は、砥石車12の回転数及びその整数倍の周波数成分である。研削装置100は、砥石車12を回転させながら工作物Wを研削する。そのため、砥石車12の表面形状が、砥石車12の回転数毎に工作物Wの表面に現れる。例えば、図8に示すように、砥石車12表面に、大きく突出した砥粒aがある場合、工作物W表面において、砥粒aと当接する箇所には大きく削り取られた凹部が形成される。凹部は、回転方向に等間隔で形成され、凹部間の間隔は、砥石車12の回転周期と一致する。抽出部23において、特定周波数成分を抽出することにより、砥石車12の表面状態又はアンバランス状態に起因するびびり振動を抽出することができる。
逆FFT解析部24は、抽出部23によって生成された抽出FFTデータD3に基づいて逆FFT解析を行い、逆FFTデータD4を生成する。逆FFT解析部24は第1~第n加速度抽出FFTデータD311~D31nのそれぞれに基づいて第1~第n加速度逆FFTデータD411~D41nを生成する。図9に加速度逆FFTデータ41の一例を示す。加速度逆FFTデータD41は、縦軸を加速度、横軸を時系列とするデータである。
変位変換部25は、加速度に関する基礎データD1、FFTデータD2、抽出FFTデータD3、逆FFTデータD4のいずれかを、変位に関する基礎データD1、FFTデータD2、抽出FFTデータD3、逆FFTデータD4のいずれかの対応するデータに変換する。第一例の変位変換部25は、逆FFT解析部24において生成された第1~第n加速度逆FFTデータD411~D41nを、第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nに変換する。変位変換部25では、加速度に関するデータを二回積分することにより、変位に関するデータに変換することができる。図10に変位逆FFTデータ42の一例を示す。変位逆FFTデータD42は、縦軸を変位、横軸を時系列とするデータである。
びびり量評価部26は、工作物Wの各々の軸方向位置における第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nに基づいて工作物Wのびびり量を評価する。びびり量評価部26は、まず、第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nから、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量を評価する。周方向びびり量の評価方法としては、例えば、変位逆FFTデータD52の最大値と最小値との差を算出することにより、定量的に数値化することができる。次に、びびり量評価部26は、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量の平均値又はばらつきに基づいて、工作物W全体の周方向びびり量を評価する。びびり量評価部26は、周方向びびり量の平均値が大きい場合や周方向びびり量のばらつきが大きい場合に、工作物Wの廃棄を判定したり、工作物Wの出来栄えを段階的に選別する構成とすることができる。工作物Wの廃棄や選別の基準として、あらかじめ記憶した所定の閾値に基づいて判定してもよいし、研削初期の周方向びびり量の数値と比較して判定してもよい。
びびり評価システム1は、びびり量評価部26による評価結果を表示する表示装置30を備えることが好ましい。表示装置30としては、モニタや表示ランプ等が挙げられる。表示装置30には、例えば、変位逆FFTデータD42の波形や、各々の周方向びびり量を工作物Wの軸方向位置に対してプロットした波形、びびり量評価部26により評価したツルーイングの必要性の判定等を表示することが好ましい。
びびり評価システム1は、さらに、びびり量評価部26による評価結果に基づいて、砥石車12のツルーイングを実行するツルーイング実行部40を備えることが好ましい。ツルーイング実行部40は、びびり量評価演算装置200のびびり量評価部26にツルーイングが必要であると評価された場合に、砥石車12のツルーイングを実行する。ツルーイングが必要であると評価される場合とは、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量の平均値が増大した場合や、工作物Wの各々の軸方向位置における周方向びびり量のばらつきが増大した場合である。このような場合には、上記のように、砥石車12の表面状態が劣化したことが考えられる。ツルーイング実行部40により、砥石車12のツルーイングを実行することにより、びびりを解消できる可能性がある。
第一例のびびり評価システム1を用いて、工作物Wの外周1周分について検出データを取得し、工作物Wの外周1周分の周方向びびり量を評価した。図11に変位変換した変位逆FFTデータD42の波形を示す。図12に、工作物Wの表面形状を真円度測定器により測定した波形を示す。図11、図12から、びびり評価システム1により評価された表面形状は、従来の真円度測定器による評価と概ね一致することがわかる。図13は、図11及び図12から算出した変位の平均値及び最大値、最小値である。図13からも、びびり評価システム1による評価結果の信頼性が高いことがわかる。
第一例では、変位変換部25を、逆FFT解析部24の後に配置し、基礎データ取得部21、FFT解析部22、抽出部23、逆FFT解析部24、変位変換部25の順でデータの処理を行った。すなわち、逆FFT解析部24において第1~第n加速度逆FFTデータD411~D41nを生成した後、第1~第n変位逆FFTデータD421~D42nに変換した。びびり量評価演算装置200において、変位変換部25は、基礎データ取得部21によるデータ処理後からびびり量評価部26にデータが送られるまでの間に、加速度に関するデータを変位に関するデータに変換すればよい。すなわち、変位変換部25は、基礎データ取得部21-FFT解析部22間、FFT解析部22-抽出部23間、抽出部23-逆FFT解析部24間、逆FFT解析部24-びびり量評価部26間のいずれかに配置することができる。その一例として、基礎データ取得部21とFFT解析部22との間に変位変換部25を配置した例を図14に示す。
第二例のびびり評価システム2について図15~図18を参照して説明する。びびり評価システム2は、第一例の研削装置100及びびびり量評価演算装置200を備える。第一例のびびり評価システム1では、定寸装置14と工作物Wとの接触位置を軸方向に固定した状態で、接触位置が工作物Wの外周を円状に移動するように外周1周分の検出データを取得した。これに対し、第二例のびびり評価システム2では、図15に示すように、定寸装置14による工作物Wの表面上の接触位置を螺旋状に移動させて検出データを取得する。
びびり評価システム2を用いて、工作物Wのびびり量評価を行った。定寸装置14の工作物Wの軸方向への移動速度を、工作物Wの1回転当たり1mmとし、4mm間のデータを取得した。取得したデータを工作物Wの回転軸に対する角度が22.5度毎の64の領域に分割し、各々の軸方向位置に対するデータを取得し、これを処理した。各々の軸方向位置に対する第1~第64変位逆FFTデータをから、最大値と最小値との差分を算出し各々の軸方向位置に対する周方向びびり量とした。複数の工作物Wに対して連続で研削加工を行ったときの研削初期の工作物Wに対する評価結果を図16に示す。砥石車12の劣化がみられる研削後期の工作物Wに対する評価結果を図17に示す。図16から、研削初期は、各々の軸方向位置に対する周方向びびり量のばらつきが小さく、周方向びびり量の平均値も小さい。一方、図17から、砥石車12が劣化した研削後期は、各々の軸方向位置に対する周方向びびり量のばらつきが大きく、周方向びびり量の平均値も増大していることがわかる。このように、工作物Wの軸方向に異なる複数の軸方向位置について周方向びびり量を評価しすることにより、砥石車12の劣化具合を可視化することが可能である。
第三例のびびり評価システム3について、図18~図20を参照して説明する。第三例のびびり評価システム3は、図18に示すように、加速度センサ15に代えて、変位センサを備える。
Claims (14)
- 研削装置にて砥石車により研削した工作物の外径を測定する定寸装置と、
前記定寸装置に設けられ、前記定寸装置を回転中の前記工作物に接触させた状態で、前記定寸装置に発生する振動の加速度データを検出するセンサと、
前記センサと前記工作物との相対位置を前記工作物の軸方向に移動させる軸方向移動装置と、
前記工作物の複数の軸方向位置において前記センサにより検出された加速度データに基づいて、前記工作物の複数の軸方向位置における周方向びびり量を評価するびびり量評価演算装置と、
を備え、
前記びびり量評価演算装置は、
前記工作物の各々の軸方向位置において前記センサにより検出された加速度に関する時系列データである複数の基礎データを取得する基礎データ取得部と、
複数の前記基礎データのそれぞれに基づいてFFT解析を行い、複数のFFTデータを生成するFFT解析部と、
複数の前記FFTデータのそれぞれに基づいて、前記砥石車の回転数に対応する回転数周波数成分である特定周波数成分を抽出し、複数の抽出FFTデータを生成する抽出部と、
複数の前記抽出FFTデータのそれぞれに基づいて逆FFT解析を行い、複数の逆FFTデータを生成する逆FFT解析部と、
加速度に関する前記基礎データ、前記FFTデータ、前記抽出FFTデータ、前記逆FFTデータのいずれかを、変位に関する前記基礎データ、前記FFTデータ、前記抽出FFTデータ、前記逆FFTデータのいずれかの対応するデータに変換する変位変換部と、
前記工作物の各々の軸方向位置における変位に関する複数の前記逆FFTデータに基づいて、前記工作物の軸方向位置に対する周方向びびり量を評価するびびり量評価部と、
を備える、びびり評価システム。 - 研削装置にて砥石車により研削した工作物の外径を測定する定寸装置と、
回転中の前記工作物に接触させた状態で、前記工作物表面の変位データを検出するセンサと、
前記センサと前記工作物との相対位置を前記工作物の軸方向に移動させる軸方向移動装置と、
前記工作物の複数の軸方向位置において前記センサにより検出された変位データに基づいて、前記工作物の複数の軸方向位置における周方向びびり量を評価するびびり量評価演算装置と、
を備え、
前記びびり量評価演算装置は、
前記工作物の各々の軸方向位置において前記センサにより検出された変位に関する時系列データである複数の基礎データを取得する基礎データ取得部と、
複数の前記基礎データのそれぞれに基づいてFFT解析を行い、複数のFFTデータを生成するFFT解析部と、
複数の前記FFTデータのそれぞれに基づいて、前記砥石車の回転数に対応する回転数周波数成分である特定周波数成分を抽出し、複数の抽出FFTデータを生成する抽出部と、
複数の前記抽出FFTデータのそれぞれに基づいて逆FFT解析を行い、複数の逆FFTデータを生成する逆FFT解析部と、
前記工作物の各々の軸方向位置における変位に関する複数の前記逆FFTデータに基づいて、前記工作物の軸方向位置に対する周方向びびり量を評価するびびり量評価部と、
前記抽出部で用いられる前記FFTデータ、又は、前記逆FFT解析部で用いられる前
記抽出FFTデータに対して、周波数毎に信号強度の補償を行うゲイン補償部と、
を備える、びびり評価システム。 - 前記ゲイン補償部は、周波数と信号強度の関係を記憶するゲイン記憶部と、周波数と信号強度の関係に基づいてゲイン補償を行う調整部と、を備える請求項2に記載のびびり評価システム。
- 前記びびり量評価部は、前記工作物の複数の軸方向位置における周方向びびり量の平均値に基づいて、前記工作物のびびり量を評価する、請求項1-3のいずれか1項に記載のびびり評価システム。
- 前記びびり量評価部は、異なる前記工作物についての前記周方向びびり量の平均値を比較することにより、前記工作物のびびり量を評価する、請求項4に記載のびびり評価システム。
- 前記びびり評価システムは、前記工作物の複数の軸方向位置における前記周方向びびり量のばらつきに基づいて、前記工作物のびびり量を評価する、請求項1-5の何れか1項に記載のびびり評価システム。
- 前記基礎データ取得部は、前記定寸装置による前記工作物の表面上の接触位置を螺旋状に移動させた時に、前記工作物の回転軸を中心とする周方向の角度が所定角度毎の螺旋状の検出データを、前記工作物の各々の軸方向位置における前記基礎データとして取得する、請求項1-6の何れか1項に記載のびびり評価システム。
- 前記所定角度は、90°以下である、請求項7に記載のびびり評価システム。
- 前記基礎データ取得部は、前記軸方向移動装置により、前記工作物において前記接触位置の螺旋状の移動における軸方向移動量を確保できる位置に、前記定寸装置と前記工作物との相対位置を動作させた後に、前記基礎データを取得する、請求項7又は8に記載のびびり評価システム。
- 前記基礎データ取得部は、前記定寸装置による前記工作物の表面上の接触位置を軸方向位置を固定した状態で円状に移動する動作を複数の軸方向位置にて行う時に、複数の軸方向位置の各々における円状動作の検出データを、前記工作物の各々の軸方向位置における前記基礎データとして取得する、請求項1-6の何れか1項に記載のびびり評価システム。
- 前記びびり量評価部は、変位に関する複数の前記逆FFTデータのそれぞれにおける最大値と最小値との差を前記周方向びびり量として算出する、請求項1-10の何れか1項に記載のびびり評価システム。
- 前記基礎データ取得部は、前記工作物の研削完了後に前記工作物の研削時の回転を維持した状態において、複数の前記基礎データを取得する、請求項1-11の何れか1項に記載のびびり評価システム。
- 前記びびり評価システムは、さらに、
前記びびり量評価部による評価結果に基づいて、前記砥石車のツルーイングを実行するツルーイング実行部を備える請求項1-12の何れか1項に記載のびびり評価システム。 - 前記びびり量評価部は、評価結果に基づいて前記工作物の廃棄又は選別を行う、請求項1-13の何れか1項に記載のびびり評価システム。
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