JP2014014914A - 切削加工装置および切削加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】切削加工装置1は、複数の切り歯を有する複数歯切削工具7と、複数歯切削工具7を取り付けて回転駆動するチャック部6とを有していて、複数歯切削工具7の送り速度または被切削物Hへの切込量などの切削条件を制御可能な装置であって、切削加工中の複数歯切削工具7の衝撃量を得るための監視信号を検出するセンサ15とを有しており、更に、センサ15により検出された複数歯切削工具7に係る監視信号の時間軸波形データから周波数軸波形データを得るデータ変換手段と、得られた周波数軸波形データから複数歯切削工具7の回転数の切り歯倍数に係る周波数での監視信号を、切削抵抗と相関のある衝撃量として抽出する衝撃量抽出手段と、抽出された衝撃量を出力する衝撃量出力手段とを有する制御装置16を備えている。
【選択図】図1
Description
一方で、前記したような切削抵抗に関連して生じる工具摩耗を検出する技術として、切削工具を用いた切削加工時に発生す切削加工音を検出し、検出した切削加工音データをデータ処理して工具摩耗の低減化に役立てようとしたものが知られている(下記の特許文献1、2)。
各図において、この実施形態に係る切削加工装置1は、装置本体2と、装置本体2に下方から支持されて奥行き方向(矢印Y方向)へ移動可能な第1テーブル3とを備えている。第1テーブル3は装置本体2の下部上面に形成されたレール部で支持され、装置本体2の下部に支持固定されたY軸モータ9と連結された雄ネジロッド10によって回転させられるボールねじ機構により、奥行き方向(矢印Y方向)に移動可能とされている。第1テーブル3の上方には、第1テーブル3の上面に形成されたレール部で支持され、左右方向(矢印X方向)へ移動可能な第2テーブル4が設けられている。第2テーブル4は、水平面と略平行なワーク設置面を備えており、第1テーブル3に支持固定されたX軸モータ11と連結された雄ネジロッド12によって回転させられるボールねじ機構により、左右方向に移動可能とされている。第2テーブル4のワーク載置面には、被切削物Hである円筒鋼管が載置されて固定されている。
上記のように構成された切削加工装置1の作用を以下に説明する。まず、第2テーブル4のワーク載置面上に置かれた被切削物Hがチャック装置45で固定された状態で、制御装置16のCPU22は、Y軸センサ20およびX軸センサ19からの検出データを参照しながらY軸モータ9およびX軸モータ11を駆動制御し、被切削物Hの切削目標部位を複数歯切削工具7の直下位置に相対移動させる。次に、CPU22は、主軸用モータ8を駆動させて複数歯切削工具7を所定の回転数N(例えば5000rpm)で回転させる。続いて、CPU22は、Z軸センサ21からの検出データを参照しながらZ軸モータ13を駆動制御し、複数歯切削工具7を下降させて被切削物Hの切削目標部位の切削を開始する。更に、外部入力部18から設定入力されている切込量Dの深さぶん、Z軸モータ13の駆動により複数歯切削工具7が被切削物Hを切り込む。そして、第1テーブル3および第2テーブル4を送り込むことにより、切削目標部位の形状に沿って切削を行ない、所望する溝部H1を形成するようになっている。
ところで、複数歯切削工具7が寿命に達しても切削条件を緩和させることで、切削加工を暫定的に続けることは可能である。因みに、予備工具の入荷待ちや工具交換のタイミング待ちの状況のように、寿命を過ぎた複数歯切削工具7をそのまま使用して加工せざるを得ない状況が現存する。この切削加工装置1は、そういう状況下でも、複数歯切削工具7を折損させることなく切削加工を続けられるコーチング機能を備えている。
ところで、切込量軸波形データU(図7参照)では、多くの場合、衝撃量Eと切込量Dとの比例関係が崩れる閾値関連値Svが存在する。そして、制御を行なうための閾値は、安全性の加味度合を考慮し、閾値関連値Svの例えば0.8倍あるいは1.2倍といった安全率を加味した値に設定される。この例では、理解を容易にするため、閾値=閾値関連値Sv×1.0としている。そこで、出力された衝撃量Eが閾値関連値Sv(=閾値)を超えてノンリニア領域Rf内に入れば、複数歯切削工具7が寿命に達したと判断することができる。このような手法は、図8に示した材料の耐力や引張強さの一般的な定義方法と同じで普遍性があり、合理的で利用価値が高いものであるから、汎用的に利用することができる。
すなわち、CPU22は、切込量軸曲線データUにおける、リニア領域Reと、衝撃量Eと切込量Dが比例関係にないノンリニア領域Rfとの境目の衝撃量Eを閾値関連値Svとして抽出し、メモリMの閾値記憶手段39が閾値関連値Svを記憶する。CPU22の衝撃力比較手段36は、切削加工時に出力された衝撃力Eと、メモリMの閾値関連値Svから得られる閾値とを比較する。そして、CPU22の異常予知手段37は、衝撃力比較手段36による比較結果に基づいて、切削加工時における複数歯切削工具7が折損したり、摩耗したり、またはビビリの発生があるか否かを予知するのである。
また、切削加工装置1は、複数歯切削工具7の「摩耗具合」を測ることができる。すなわち、複数歯切削工具7が受ける衝撃量Eが大きいと複数歯切削工具7の曲げ量が大きく、工具摩耗が大きくなる。一方、複数歯切削工具7が受ける衝撃量Eが小さいと複数歯切削工具7の曲げ量が小さく、工具摩耗が小さくなるという判断を下すことができる。
そして、切削加工装置1は、要求される「加工精度を出せる状態」であるか否かを測ることができる。すなわち、複数歯切削工具7が受ける衝撃量Eが、予め記憶されている閾値関連値Svから得られる閾値を超えている場合は複数歯切削工具7の振動が大きくビビリを生じるので、高い加工精度を出せない。一方、複数歯切削工具7が受ける衝撃量Eが閾値関連値Svから得られる閾値を下回っている場合は複数歯切削工具7の振動が小さいので、高い加工精度を出せるという判断を下すことができる。
[実施例1]
この例では、複数歯切削工具7としてエンドミル(OSG社製で品番FX−MG−EDS;切り歯は2枚歯、外径d=0.8mmφ)を用いた。このエンドミルは、深さ1mm、長さ25mmの溝を4本切削加工した後の古品である。被切削物Hは円筒鋼管(材質:SS材)を用いた。エンドミルのX軸方向の送り速度nを15mm/minとし、エンドミルの回転数Nを5000rpmとし、切込量D=0.05mmで被切削物Hを切削しながら、トータル切込量=0.05mmの切削加工を行なった。その際に、主軸支持部5に固定された加速度センサ15により切削加工中の切削加工装置1の加速度を測定した。測定した加速度は時間軸波形データVとして得られ、周波数分解能=3.125Hzの制御装置16でデータ処理された。
この実施例1において、制御装置16でデータ処理により得られた周波数軸波形データWを図5に示す。図5の周波数軸波形データWにおいて、複数歯切削工具7の回転数N(5000rpm)の切り歯数倍(2枚)の周波数Fは、167Hz(=2×5000/60)である。このように抽出された周波数F(167Hz)における衝撃量Eは切削抵抗と相関のある値であり、1.317m/s2であった。
切込量D=0.10mmで被切削物Hを切削しながら、トータル切込量=0.10mmの切削加工を行なったこと以外は、実施例1と同様の条件で処理した。周波数F(167Hz)における衝撃量Eは、2.521m/s2であった。
切込量D=0.20mmで被切削物Hを切削しながら、トータル切込量=0.20mmの切削加工を行なったこと以外は、実施例1と同様の条件で処理した。周波数F(167Hz)における衝撃量Eは、4.495m/s2であった。
切込量D=0.30mmで被切削物Hを切削しながら、トータル切込量=0.30mmの切削加工を行なったこと以外は、実施例1と同様の条件で処理した。制御装置16により得られた周波数軸波形データWを図6に示す。周波数F(167Hz)における衝撃量Eは、5.337m/s2であった。
また、上記では、切り歯が2枚歯のエンドミルを例示したが、例えば3枚歯や5枚歯、あるいはそれら以外の歯数の複数歯を有するエンドミルにも適用可能である。更には、エンドミル切削装置以外の切削加工装置として、例えばフライス切削装置などにも適用できる。
そして、上記では、データ変換手段の機能としてフーリエ変換機能を例示したが、このフーリエ変換機能に替えて、バンドパスフィルター機能をデータ変換手段の機能として用いて複数歯切削工具に係る監視信号の時間軸波形データから周波数軸波形データを得るようにすることも可能である。
2 装置本体
6 チャック部
7 複数歯切削工具
8 主軸用モータ(回転駆動源)
15 加速度センサ(センサ)
16 制御装置
17 表示部
18 外部入力部
22 CPU
30 データ変換手段
31 衝撃量抽出手段
32 衝撃量出力手段
33 切込量軸曲線データ算出手段
34 リニア領域抽出手段
35 切削条件制御手段
36 衝撃力比較手段
37 異常予知手段
38 リニア領域記憶手段
39 閾値記憶手段
40 切り歯
A 加速度(監視信号)
D,D1,D2 切込量
D1 切込量
D2 切込量
E 衝撃量
F 周波数
H 被切削物
M メモリ
N 回転数
n 送り速度
Re リニア領域
Sv 閾値関連値
U 切込量軸曲線データ
V 時間軸波形データ
W 周波数軸波形データ
Claims (6)
- 複数の切り歯を有する複数歯切削工具と、複数歯切削工具を取り付けて回転駆動するチャック部とを有していて、複数歯切削工具の送り速度または被切削物への切込量などの切削条件を制御可能な切削加工装置であって、
切削加工中の複数歯切削工具の衝撃量を得るための監視信号を検出するセンサと、
前記センサにより検出された複数歯切削工具に係る監視信号の時間軸波形データから周波数軸波形データを得るデータ変換手段と、
得られた周波数軸波形データから複数歯切削工具の回転数の切り歯倍数に係る周波数での監視信号を、切削抵抗と相関のある衝撃量として抽出する衝撃量抽出手段と、
抽出された衝撃量を出力する衝撃量出力手段と、
を備えていることを特徴とする切削加工装置。 - 複数の切込量について被切削物をそれぞれ切削したときに各切込量に対応して出力された衝撃量から切込量軸曲線データを算出する切込量軸曲線データ算出手段と、
衝撃量と切込量とが比例関係にあるリニア領域を前記切込量軸曲線データから抽出するリニア領域抽出手段と、
を備えている請求項1に記載の切削加工装置。 - 切込量軸曲線データのリニア領域を記憶するリニア領域記憶手段と、
切削加工時に出力された衝撃力が前記リニア領域内に入るように切削条件を制御する切削条件制御手段と、
を備えている請求項2に記載の切削加工装置。 - 切込量軸曲線データにおける、リニア領域と、衝撃量と切込量とが比例関係にないノンリニア領域との境目の衝撃量を閾値関連値として記憶する閾値記憶手段と、
前記閾値関連値から得られる閾値と切削加工時に出力された衝撃力とを比較する衝撃力比較手段と、
前記衝撃力比較手段による比較結果に基づいて切削加工時における複数歯切削工具の折損、摩耗またはビビリを予知する異常予知手段と、
を備えている請求項2または請求項3に記載の切削加工装置。 - センサにより検出される監視信号が、複数歯切削工具を回転させる回転駆動源の消費電力または電流、あるいは装置本体の加速度である請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の切削加工装置。
- 複数の切り歯を有する複数歯切削工具と、複数歯切削工具を取り付けて回転駆動するチャック部とを有していて、複数歯切削工具の回転数または被切削物への切込量などの切削条件を制御可能な切削加工装置を用いる切削加工方法であって、
切削加工中の複数歯切削工具の衝撃量を得るための監視信号を検出する検出ステップと、
検出された複数歯切削工具に係る監視信号の時間軸波形データから周波数軸波形データを得るデータ変換ステップと、
得られた周波数軸波形データから複数歯切削工具の回転数の切り歯倍数に係る周波数での監視信号を、切削抵抗と相関のある衝撃量として抽出する抽出ステップと、
抽出された衝撃量を出力する出力ステップと、
を備えていることを特徴とする切削加工方法。
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