本発明者等は、特定のa−Si感光体と、特定の誘電率を有する無機微粉体を有するトナーとを組み合わせることで、相乗効果が得られ、前述の課題を解決することを見出した。
すなわち本発明は、少なくとも、静電荷像担持体を帯電部材により帯電させる工程と、帯電された静電荷像担持体に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させたトナーを該静電潜像に転移させて可視化する現像工程とを有する画像形成方法に用いられるトナーにおいて、
該静電荷像担持体は、少なくとも光導電層と、水素化アモルファス炭化ケイ素で形成されている表面層とを順次積層した感光体であり、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm3以上であり、
該トナーは少なくとも結着樹脂、着色剤を含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであり、
該無機微粉体は、100kHz、40℃における誘電率が50pF/m以上500pF/m以下である無機微粉体Aを少なくとも含有することを特徴とするトナー及び、画像形成方法に関する。
まず、電子写真装置による画像形成プロセスについて簡単に説明する。
図1に、従来の典型的な電子写真式画像形成装置の一例を示す。図示するように、電子写真式画像形成装置は、静電潜像担持体であるドラム状の回転自在に担持された電子写真感光体(以降「感光体」とも称する)1003を有する。この感光体1003は、一次帯電装置1008によって帯電され、レーザ等の露光装置1009によって静電潜像が形成される。この潜像は、現像装置1001によりトナーによって可視像(トナー像)とされる。
次に、このトナー像は転写材1010へと転写装置1004により転写され、その後、転写材は除電器1005にて除電された後、分離装置(図示せず)によって感光体1003から分離され、定着装置1011によりトナー像は定着像とされる。
このうち、感光体は、POD用途で求められる高耐久性に対応するべく、耐磨耗性に優れ、長期安定的に使用可能なアモルファスシリコン(a−Si)感光体が好適に用いられている。
a−Si感光体の基本構成としては、図2に示すようなプラス帯電用a−Si感光体が知られている。プラス帯電用アモルファスシリコン(a−Si)感光体は、導電性基体2001にa−Siで形成されている光受容層2002を形成し、更に水素化アモルファス炭化ケイ素で形成されている表面層(a−SiC表面層)2005を積層した構成となっている。
次に、現像装置について説明する。直流現像バイアスの上に交流バイアスを印加することで、トナー担持体1002からトナーを感光体1003へ飛ばす電界と、一度感光体1003に付着した余分なトナーを再びトナー担持体1002へと引き戻す電界とを交互にかけることにより高画質化を図っている。
交流バイアスの波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、現像バイアスとしては、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように現像バイアスとしては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
正規現像において現像時の最大電界強度は次式で表される。
最大電界強度(V/μm)={1/2Vpp+(VD−Vdc)}/(S−D間)
ここで、Vppは交流電圧のピーク to ピーク電圧、VDは感光体の暗電位、Vdcは直流電圧の電位である。正規現像においてはVD−Vdcが現像コントラストVcntに相当する。また、S−D間は、トナー担持体と感光体間とのギャップ(距離)である。
なお、現像時にかかる電界の時間と引き戻しの電界の時間の比が異なる場合は、1/2Vppの代わりに交流成分の現像時の電位を用いるが、上式では現像時にかかる電界の時間と引き戻しの電界の時間の比が等しいとした場合を例示している。
POD用途で通用する高画質化を図るためには、トナーを飛ばす電界強度を強め、引き戻し電界を弱くし、静電潜像との密着性が強く潜像に忠実な現像方法である高トリボトナーによる選択的な現像が求められる。
しかし、この電界強度の大きさが空気の絶縁破壊強さを超えると、S−Dギャップにおいて異常放電が発生し、現像バイアスが感光体にリークしてしまい、感光体にダメージを与える。その結果、ベタ黒画像上に白ポチ(以降「リークポチ」とも称す)となって出現し易い。さらに、この絶縁破壊によるリークは低気圧環境下において促進され易い。
そこで本発明者等は、a−Si感光体を用いたシステムにおいて、電界強度が強い条件下においても絶縁破壊が生じ難いシステムに関して鋭意検討を行った。その結果、特定の原子密度を有するa−Si感光体と、特定の誘電率を有する無機微粉体を含有するトナーとを組み合わせることで、上記課題が解決することを見出した。
すなわち本発明は、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm3以上であるa−Si感光体と、100kHz、40℃における誘電率が50pF/m以上500pF/m以下である無機微粉体Aを含有するトナーとを組み合わせることを特徴とする。
この両者を組み合わせることで、高速の現像システムにおいて、現像電界強度が強く、低気圧条件下にあっても絶縁破壊によるリークポチが解消されるメカニズムは以下の様に推察される。
まず、本発明者等は、絶縁破壊によるリークポチを抑制するためには、電界中でのトナーの誘電挙動を制御することが必要であると考えた。
即ち、S−D間の絶縁破壊はそこに存在するトナーを介して発生すると考えられるため、トナーに電界が印加された時に、誘電分極により電界を緩和することが出来れば、高トリボ現像は維持した状態で絶縁破壊を抑制することが出来ると予想される。
そこで、本発明者らはトナー粒子間に存在する無機微粉体の誘電特性に着目し、無機微粉体Aを介してトナー間に適正な誘電分極を生じさせることで、電界強度が強い条件においてもS−D間の絶縁破壊の抑制出来る可能性を見出した。
即ち、本発明のトナーは少なくとも結着樹脂、着色剤を含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであり、該無機微粉体が、100kHz、40℃における誘電率が50pF/m以上、500pF/m以下である無機微粉体Aを少なくとも含有することを特徴とする。
そして、本発明者等は、無機微粉体Aを介してトナー間に適正な誘電分極を生じさせ、絶縁破壊によるリークポチを抑制するためには、表面層の電子密度を高めた感光体が必要であることを見出した。
即ち、本発明の感光体は、少なくとも光導電層と、水素化アモルファス炭化ケイ素で形成されている表面層とを順次積層した感光体であり、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm3以上であることを特徴とする。
この原子密度を高めた感光体により、トナーの誘電分極がより効果的に発現するメカニズムとしては、以下のように推察される。即ち、感光体表面層の膜構造の骨格を形成するケイ素原子及び炭素原子の原子密度を一定以上に高めることで、S−D間で形成される電界が緻密化し、無機微粉体Aを介したトナーの誘電分極が、より効果的に発現したためと考えられる。
更に、ケイ素原子及び炭素原子の原子密度を向上させることで、原子間距離が短くなり結合力を高めることが可能となる。その結果、絶縁破壊に耐え得る表面層が構築され、絶縁破壊に対する対性も強くなる。また、より好ましくは原子密度の和を6.81×1022原子/cm3以上にすることで、更に表面層の結合力が強まり、より高速の現像システムにおいても安定的な強度が維持される。
本発明の最大の特徴は、無機微粉体Aを介してトナー間に適正な誘電分極を生じさせるためには、原子密度を一定以上に高めた感光体が必要であることを見出したことである。上記その結果、両者の相乗効果が発現し、例えば、低湿/低気圧環境下のような、厳しい環境においても、絶縁破壊によるリークが抑えられることが可能となった。
次に本発明のトナーに関して、更に具体的に説明をする。
本発明の誘電率を満足する無機微粉体Aとしては、例えばルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム等のペロブスカイト型結晶構造を有する無機微粉体等、これらから選ばれる1種以上又は、2種以上の混晶体等を用いることが出来る。
また、本発明の無機微粉体Aは100kHz、40℃における誘電率が50pF/m以上200pF/m以下であることが好ましい。
誘電率が上記範囲内であると、より高速の現像システムにおいても安定的に絶縁破壊を抑制することが可能となり、更にトナー性能が向上する。
また、本発明の無機微粉体Aは、酸化チタンであることが好ましい。無機微粉体Aとして電気的に安定な酸化チタンを用いると、誘電分極がより安定に生じ絶縁破壊を抑制すると共に、カブリも抑制することが可能となる。これは、酸化チタンを用いるとトナーの帯電性が安定すると共に、酸化チタンが、トナー粒子間の電界の集中を緩和することでトナーに均一な電界が印加されるためと考えられる。
本発明に用いられる酸化チタン微粉体としては、例えば、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物、例えばチタンアルコキシド,チタンハライド,チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)により得られる酸化チタン微粉体が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型,ルチル型,これらの混晶型,アモルファスのいずれのものも用いることができる。
本発明に使用する酸化チタン微粉体のうち疎水化酸化チタン微粉体の製造方法を以下に例示するが、本発明は特にこれらの方法に制約されるものではない。
(a)イルメナイトを出発原料として、これを硫酸で分解して得られた分散液を加水分解することによって、スラリー状のメタチタン酸を生成する。このメタチタン酸のスラリーのpH調整をした後、スラリー中でメタチタン酸粒子の合一が生じないように十分に水素媒体中に分散させながら疎水化剤を滴下混合し反応させる。これを、ろ過、乾燥、解砕処理を行なうことによって疎水化酸化チタン微粉体を生成する。
(b)原料にチタンテトライソプロポキシドを使用し、ケミカルポンプで原料を極く少量ずつ、チッ素ガスをキャリアガスとして使用して、200℃程度に加熱したベーパライザーのグラスウールに送り込んで蒸発させ、反応器内において300℃程度で瞬時に加熱分解した後、急冷却を行ない、生成物を捕集する。これを300℃程度でさらに約2時間焼成して、さらに疎水化処理することによって疎水性酸化チタン微粉体を生成する。
また、本発明の無機微粉体Aは、ルチル型酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンの中でも、ルチル型酸化チタンを用いることで、誘電率の制御がより安定的になると共に、より結晶構造的に安定なルチル型酸化チタンを用いることで、誘電分極の環境安定性が向上するため好ましい。
また、本発明の無機微粉体AはBET法で測定した窒素吸着による比表面積が10m2/g以上、180m2/g以下、好ましくは40m2/g以上150m2/g以下のものが良好な結果を与える。無機微粉体Aの比表面積を上記範囲に制御することで、トナー粒子と無機微粉体Aの密着性が向上するため好ましい。
また、本発明の無機微粉体Aは疎水化処理が施されていることが好ましい。疎水化処理剤としては、カップリング剤やシリコーンオイル、脂肪酸金属塩、脂肪酸などの処理剤が挙げられる。
無機微粉体Aの表面を疎水化処理することで、環境による帯電性や凝集性の変動を抑制させることができる。
カップリング剤としてはチタネート系、アルミニウム系、シラン系カップリング剤等が挙げられ、脂肪酸金属塩としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられ、また脂肪酸であるステアリン酸などでも同様の効果が得られる。
処理の方法は、表面処理剤などを溶媒中に溶解、分散させ、その中に無機微粉体を添加し、撹拌しながら溶媒を除去して処理する湿式方法や、カップリング剤、脂肪酸金属塩と無機微粉体を直接混合して撹拌しながら処理を行う乾式方法などが挙げられる。
また、表面処理については無機微粉体を完全に処理、被覆する必要は無く、効果が得られる範囲で無機微粉体が露出していても良い。つまり表面の処理が不連続に形成されていても良い。
また、無機微粉体Aのトナー中の含有率は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5.00質量部添加であることが好ましい。
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。中でも好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応した、ハイブリッド樹脂。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂或いは上記ハイブリッド樹脂のポリエステル系ユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記(I−1)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(I−2)式で示されるジオール類。
酸成分としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物、またさらに炭素数6以上18以下のアルキル基またはアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物。
また本発明にかかるポリエステル樹脂或いはポリエステル系ユニットは、三価以上の多価カルボン酸またはその無水物及び/または三価以上の多価アルコールによる架橋構造を含むポリエステル樹脂であることが好ましい。三価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物または低級アルキルエステル。三価以上の多価アルコールとしては、以下のものが挙げられる。1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール。本発明の結着樹脂においては、環境変動による安定性も高い芳香族系アルコールが特に好ましく、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物が挙げられる。
本発明にかかる結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーとしては、次の化合物が挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
さらに、以下のものが挙げられる。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの如きアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂に用いられるビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上5.00質量部以下用いることができる。
これらの架橋剤のうち、結着樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
上記ビニル系樹脂或いはビニル系重合体ユニットの重合に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエイト、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−プチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート。
本発明において、結着樹脂に前記したハイブリッド樹脂を用いる場合には、ビニル系樹脂及び/またはポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物が挙げられる。ビニル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明に使用されるトナー粒子が含有する着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系染顔料等、従来公知の染顔料を単独或いは混合して使用し得る。本発明の着色剤は磁性酸化鉄であることが好ましい。
磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄が用いられる。
また本発明においては、トナーに離型性を与えるために必要に応じて離型剤(ワックス)を用いることができる。該ワックスとしては、トナー粒子中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低気圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したワックス。
前記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましく、特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
使用できる具体的な例としては、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
該離型剤(ワックス)を添加するタイミングは、トナー粒子の製造中の溶融混練時において添加しても良いが結着樹脂の製造時であっても良く、既存の方法から適宜選ばれる。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。
該離型剤は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。1質量部未満の場合は望まれる離型効果が十分に得られにくく、20質量部を超える場合はトナー粒子中での分散も悪く、静電荷像担持体へのトナー付着や、現像部材やクリーニング部材の表面汚染が起こりやすく、トナー画像が劣化し易い。
本発明のトナーには、その摩擦帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることができる。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1質量部以上10.0質量部以下含まれることが好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩。その他にも、トナーを負帯電性に制御するものとしては、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。この中でも特に、安定な帯電性能が得られる芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体又は金属塩が好ましく用いられる。
トナーを正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等);高級脂肪酸の金属塩。本発明ではこれらの一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。トナーを正帯電性に制御するものとしては、これらの中でもニグロシン系化合物、四級アンモニウム塩等の電荷制御剤が特に好ましく用いられる。
使用できる具体的な例としては、以下のものが挙げられる。Spilon Black TRH、T−77、T−95、TN−105(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)S−34、S−44、E−84、E−88(オリエント化学工業株式会社)。正帯電用としては以下のものが挙げられる。TP−302、TP−415(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学工業株式会社);コピーブルーPR(クラリアント社)。
また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
本発明のトナーにおいては、無機微粉体Aに加えて、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。
本発明に用いられるシリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上(特に50m2/g以上400m2/g以下)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対してシリカ微粉体0.01質量部以上8.00質量部以下、好ましくは0.10質量部以上5.00質量部以下使用するのが良い。前記シリカ微粉末のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉末の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
また、本発明に用いられるシリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
更に本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。
例えば滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。
また研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー又は、ボールミルの如き混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行いトナー粒子を得、更にトナー粒子に無機微粉体Aやシリカ微粉末等を外部添加し、ヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることが出来る。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
次に感光体について更に詳しく説明する。
上述した通り、a−Si感光体の基本構成としては、図2に示すようなプラス帯電用a−Si感光体が知られている。プラス帯電用a−Siと称する。感光体は、導電性基体2001にa−Siで形成されている光受容層2002を形成し、更に水素化アモルファス炭化ケイ素で形成されている表面層(a−SiC表面層)2005を積層した構成となっている。
図3は、本発明のa−Si系感光体を作製するための高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による感光体の堆積装置の一例を模式的に示した図である。この装置は大別すると、反応容器3110を有する堆積装置3100、原料ガス供給装置3200、および、反応容器3110内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置3100中の反応容器3110内にはアースに接続された導電性基体3112、導電性基体加熱用ヒーター3113、および、原料ガス導入管3114が設置されている。さらにカソード電極3111には高周波マッチングボックス3115を介して高周波電源3120が接続されている。原料ガス供給装置3200は、SiH4,H2,CH4,NO,B2H6等の原料ガスボンベ3221〜3225、バルブ3231〜3235、圧力調整器3261〜3265、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255およびマスフローコントローラ3211〜3215から構成されている。各原料ガスを封入したガスのボンベは補助バルブ3260を介して反応容器3110内の原料ガス導入管3114に接続されている。
次にこの装置を使った堆積膜の形成方法について説明する。まず、あらかじめ脱脂洗浄した導電性基体3112を反応容器3110に受け台3123を介して設置する。次に、排気装置(図示せず)を運転し、反応容器3110内を排気する。真空計3119の表示を見ながら、反応容器3110内の圧力がたとえば1Pa以下の所定の圧力になったところで、基体加熱用ヒーター3113に電力を供給し、導電性基体3112を例えば50℃から350℃の所望の温度に加熱する。このとき、ガス供給装置3200より、Ar、He等の不活性ガスを反応容器3110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。次に、ガス供給装置3200より堆積膜形成に用いるガスを反応容器3110に供給する。すなわち、必要に応じバルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を開き、マスフローコントローラ3211〜3215に流量設定を行う。各マスフローコントローラの流量が安定したところで、真空計3119の表示を見ながらメインバルブ3118を操作し、反応容器3110内の圧力が所望の圧力になるように調整する。所望の圧力が得られたところで高周波電源3120より高周波電力を印加すると同時に高周波マッチングボックス3115を操作し、反応容器3110内にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所望の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。所定の堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止し、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、および補助バルブ3260を閉じ、原料ガスの供給を終える。と同時に、メインバルブ3118を全開にし、反応容器3110内を1Pa以下の圧力まで排気する。以上で、堆積層の形成を終えるが、複数の堆積層を形成する場合、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すれば良い。原料ガス流量や、圧力等を光導電層形成用の条件に一定の時間で変化させて、接合領域の形成を行うこともできる。すべての堆積膜形成が終わったのち、メインバルブ3118を閉じ、反応容器3110内に不活性ガスを導入し大気圧に戻した後、導電性基体3112を取り出す。
本発明の感光体は、従来周知の感光体の表面層に比べてa−SiCを構成しているケイ素原子及び炭素原子の原子密度を上げて、原子密度の高い膜構造の表面層を形成している。
上述したように、本発明の原子密度の高いa−SiC表面層を作製する場合には、表面層作成時の条件にもよるが、一般的に、ガス量と高周波電力とのバランスが重要で、反応容器に供給するガス量が少ない方が良く、高周波電力は高い方が良い。又、反応容器内の圧力が高い方が良く、更に、導電性基板の温度が高い方が良い。
まず、反応容器内に供給するガス量を減らし、且つ高周波電力を上げることにより、ガスの分解を促進させることができる。これにより、ケイ素原子供給源(例えば、SiH4)よりも分解し難い炭素原子供給源(例えば、CH4)を効率良く分解することができる。その結果、水素原子の少ない活性種が生成され、基体上に堆積した膜中の水素原子が減少するため原子密度の高いa−SiC表面層が形成可能となる。また、反応容器内の圧力を高めることで、反応容器内に供給された原料ガスの滞留時間が長くなる、また、原料ガスの分解により生じた水素原子により弱結合水素の引き抜き反応が生じるために、ケイ素原子と炭素原子のネットワーク化が促進したためだと考えている。更に、導電性基板の温度を上げることにより、導電性基板に到達した活性種の表面移動距離が長くなり、より安定した結合をつくることができる。その結果、a−SiC表面層として、より構造的に安定した配置に各原子が結合すると考えられる。
また、本発明の感光体は、表面層がケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和に対する炭素原子の原子密度の比が0.61以上0.75以下であることが好ましい。原子密度の和に対する炭素原子の原子密度の比を上記範囲に制御することで、感光体の感度が安定化し、現像性が更に向上する。
ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和に対する炭素原子の原子密度の比を0.75より大きくすると、特に、原子密度の高いa−SiCを作製した場合、a−SiC表面層での光吸収が急激に増加する場合がある。このような場合、静電潜像形成時に必要となる像露光光量が多くなり、感度が悪化し適正な画像濃度が得られず好ましくない。
一方、0.61よりも小さくすると、特に、原子密度の高いa−SiCを作製した場合、a−SiCの抵抗が低下する場合がある。このような場合、特に、低濃度側での画像濃度が低下し易く好ましくない。
また、本発明において、ケイ素原子の原子密度、炭素原子の原子密度及び水素原子の原子密度の和に対する水素原子の原子密度の比を0.30以上0.45以下にすることが好ましい。上記範囲に制御することで、感度の均一性が向上し、例えば、ハーフトーン画像の濃度ムラが良化する。
水素原子をa−SiC表面層中に0.30より少ないと、感度が悪化し濃度ムラが生じ易く好ましくない。
一方、水素原子をa−SiC表面層中に0.45より多く含有させると、a−SiC表面層中には、メチル基のような水素原子の多い終端基が増加する傾向がみられる。メチル基のような複数の水素原子を有する終端基がa−SiC表面層中に存在すると、a−SiCの構造中に大きな空間を形成するとともに、周囲に存在する原子間の結合にひずみを生じさせるため濃度ムラが生じ易く好ましくない。
本発明のトナーに係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例もこの方法に基づいている。
<無機微粉体Aの誘電率測定>
無機微粉体を1g秤量し、19600kPa(200kg/cm2)の荷重を2分間かけて、直径25mm,厚さ1mm以下(好ましくは0.5〜0.9mm)の円盤状の測定試料に成型する。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度を40℃に固定して1.47N(150g)の荷重をかけた状態で100KHzの周波数における無機微粉体の誘電率を求めた。
<酸化チタンの結晶系の測定(X線回折)>
使用測定機:リガク社製/試料水平型強力X線回折装置(RINT TTRII)
管球:Cu
平行ビーム光学系
電圧:50kV
電流:300mA
開始角度:3°
終了角度:60°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:4.00°/min
発散スリット:開放
発散縦スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:1.0mm
得られたX線回折ピークを、リガク社製解析ソフト「Jade6」を用いて解析し結晶系の確認を行った。
<無機微粉体Aの比表面積の測定>
無機微粉体AのBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、無機微粉体Aに窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)と無機微粉体Aの窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、無機微粉体Aの表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、無機微粉体AのBET比表面積S(m2・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約1.5gの無機微粉体Aを入れる。
無機微粉体Aを入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、無機微粉体Aが真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差から無機微粉体Aの正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内の無機微粉体Aが大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、無機微粉体Aが入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入して無機微粉体Aに窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したように無機微粉体AのBET比表面積を算出する。
<結着樹脂のガラス転移温度の測定>
示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。
測定試料としては、2mg以上10mg以下、好ましくは約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<結着樹脂の軟化点の測定>
結着樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<ワックスの分子量分布の測定>
ワックスの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
ゲルクロマトグラフ用のo−ジクロロベンゼンに、特級2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を濃度が0.10wt/vol%となるように添加し、室温で溶解する。サンプルビンにワックスと上記のBHTを添加したo−ジクロロベンゼンとを入れ、150℃に設定したホットプレート上で加熱し、ワックスを溶解する。ワックスが溶けたら、予め加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPCサンプルとする。尚、サンプル溶液は、濃度が約0.15質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
検出器:高温用RI
カラム:TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
温度:135.0℃
溶媒:ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン(BHT 0.10wt/vol%添加)
流速:1.0ml/min
注入量:0.4ml
ワックスの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<ワックスの最大吸熱ピークの測定>
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス約3mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30乃至200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のトナーのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。
<磁性酸化鉄粒子の平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径は走査型電子顕微鏡(倍率40000倍)で磁性酸化鉄粒子を観察し、200個の粒子のフェレ径を計測し個数平均粒子径を求める。本実施例においては、走査型電子顕微鏡としては、S−4700(日立製作所製)を用いた。
<磁性酸化鉄粒子の磁気特性の測定>
東英工業製振動試料型磁力計VSM―P7を使用し、試料温度25℃、外部磁場795.8kA/mにて測定した。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
次に本発明の感光体に係る物性の測定方法を以下に示す。
<C/(Si+C)の測定、Si+C原子密度、H原子比の測定>
まず、表2の電荷注入阻止層及び光導電層のみを積層させたリファレンス電子写真感光体を作製し、任意の周方向における長手方向の中央部を15mm四方で切り出し、リファレンス試料を作製した。次に、電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を積層させた電子写真感光体を同様に切り出し、測定用試料を作製した。リファレンス試料と測定用試料を分光エリプソメトリー(J.A.Woollam社製:高速分光エリプソメトリー M−2000)により測定し、表面層の膜厚を求めた。
分光エリプソメトリーの具体的な測定条件は、入射角:60°、65°、70°、測定波長:195nmから700nm、ビーム径:1mm×2mmである。
まず、リファレンス試料を分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
次に、リファレンス試料の測定結果をリファレンスとして、測定用試料をリファレンス試料と同様に分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
更に、電荷注入阻止層及び光導電層、表面層を順次積層し、最表面に表面層と空気層が共存する粗さ層を有する層構成を計算モデルとして用いて、解析ソフトにより粗さ層の表面層と空気層の体積比を変化させて、各入射角における波長とΨ及びΔの関係を計算により求めた。そして、各入射角における上記計算により求めた波長とΨ及びΔの関係と測定用試料を測定して求めた波長とΨ及びΔの関係の平均二乗誤差が最小となるときの計算モデルを選択した。この選択した計算モデルにより表面層の膜厚を算出し、得られた値を表面層の膜厚とした。なお、解析ソフトはJ.A.Woollam社製のWVASE32を用いた。また、粗さ層の表面層と空気層の体積比に関しては、表面層:空気層を10:0から1:9まで粗さ層における空気層の比率を1ずつ変化させて計算をした。本実施例で各成膜条件により作製されたプラス帯電a−Si感光体においては、粗さ層の表面層と空気層の体積比が8:2のときに計算によって求められた波長とΨ及びΔの関係と測定して求められた波長とΨ及びΔの関係の平均二乗誤差が最小となった。
分光エリプソメトリーによる測定が終了した後、上記測定用試料をRBS(ラザフォード後方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、RBSの測定面積における表面層中のケイ素原子及び炭素原子の原子数を測定した。
測定したケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比(以降「C/(Si+C)」と称す)を求めた。
次に、RBSの測定面積から求めたケイ素原子及び炭素原子の原子数に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の膜厚を用いて、ケイ素原子の原子密度(以降「Si原子密度」と称す)、炭素原子の原子密度(以降、「C原子密度」と称す)、及びケイ素原子と炭素原子の原子密度の和(以降「Si+C原子密度」と称す)を求めた。
RBSと同時に、上記測定用試料をHFS(水素前方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、HFSの測定面積における表面層中の水素原子の原子数を測定した。HFSにより求められた水素原子の原子数と、RBSにより求められたケイ素原子の原子数及び炭素原子の原子数により、ケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数と水素原子の原子数の和に対する水素原子の原子数の比(以降、「H原子比」と称す)を求めた。
次に、HFS測定面積から求めた水素原子数に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の膜厚を用いて、水素原子の原子密度(以降「H原子密度」と称す)を求めた。
RBS及びHFSの具体的な測定条件は、入射イオン:4He+、入射エネルギー:2.3MeV、入射角:75°、試料電流:35nA、入射ビーム経:1mmであり、RBSの検出器は、散乱角:160°、アパーチャ径:8mm、HFSの検出器は、反跳角:30°、アパーチャ径:8mm+Slitで測定を行った。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。
<無機微粉体A(A−1)の製造法>
出発原料としてTiO2相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を使用した。この原料を150℃で2時間乾燥させた後、硫酸を添加して溶解させることによって、TiOSO4の水溶液を得た。これを濃縮し、ルチル結晶を持つチタニアゾルをシードとして4.5質量部を添加した後、125℃で加水分解を行ない、不純物を含有しているTiO(OH)2のスラリーを得た。このスラリーをpH5〜6で繰り返し水洗浄を行ない、硫酸、FeSO4、不純物を十分に除去した。そして、高純度のメタチタン酸〔TiO(OH)2〕のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、170℃で2時間焼成した後、微粉体の凝集体がなくなるまで、繰り返しジェットミルにより解砕処理を行ない、酸化チタン微粉体を得た。
酸化チタン微粉体1質量部を、水からなる水系媒体100質量部に添加して充分に撹拌し、シランカップリング剤(C8H17Si(OC2H5)3)を酸化チタン100質量部に対して17質量部だけ水系媒体に加える。そして酸化チタン微粉体が合一しないように充分に撹拌し、撹拌後にろ過し、乾燥し、軽く解砕することにより、酸化チタン微粉体である無機微粉体A−1を得た。この無機微粉体A−1は、BET比表面積が75m2/g、誘電率が115pF/mであった。また、無機微粉体A−1に関してX線回折測定を行った結果、ルチル型酸化チタンに帰属されるピークが観察された。
<無機微粉体A(A−2)の製造法>
無機微粉体A−1の製造法において、120℃で加水分解を行い、165℃で2時間焼成した以外は、無機微粉体A−1の製造法と同様にして、酸化チタン微粉体である無機微粉体A−2を得た。この無機微粉体A−2は、BET比表面積が95m2/g、誘電率が105pF/mであった。また、無機微粉体A−2に関してX線回折測定を行った結果、ルチル型酸化チタンに帰属されるピークが観察された。
<無機微粉体A(A−3)の製造法>
無機微粉体A−1の製造法において、160℃で加水分解を行い、また、疎水化剤として酸化チタン100質量部に対してシランカップリング剤(i−C4H9Si(OCH3)3)を固形分で7質量部添加した以外は無機微粉体A−1の製造法と同様にして、酸化チタン微粉体である無機微粉体A−3を得た。この無機微粉体A−3は、BET比表面積が165m2/g、誘電率が147pF/mであった。また、無機微粉体A−3に関してX線回折測定を行った結果、ルチル型酸化チタンに帰属されるピークが観察された。
<無機微粉体A(A−4)の製造法>
無機微粉体A−1の製造法において、130℃で加水分解を行い、200℃で2時間焼成し、表面疎水化処理を行わない以外は、無機微粉体A−1の製造法と同様にして、酸化チタン微粉体である無機微粉体A−4を得た。この無機微粉体A−4は、BET比表面積が62m2/g、誘電率が85pF/mであった。また、無機微粉体A−4に関してX線回折測定を行った結果、ルチル型酸化チタンに帰属されるピークが観察された。
<無機微粉体A(A−5)の製造法>
出発原料としてTiO2相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を使用した。この原料を150℃で2時間乾燥させた後、硫酸を添加して溶解させることによって、TiOSO4の水溶液を得た。これを濃縮し、アナターゼ結晶を持つチタニアゾルをシードとして6.0質量部を添加した後、130℃で加水分解を行ない、不純物を含有しているTiO(OH)2のスラリーを得た。このスラリーをpH5乃至6で繰り返し水洗浄を行ない、硫酸、FeSO4、不純物を十分に除去した。そして、高純度のメタチタン酸〔TiO(OH)2〕のスラリーを得た。
このメタチタン酸のスラリーのpHを8乃至9に調整し、ボールミルで十分にメタチタン酸の粉砕を行なった。その後、十分に撹拌しながらスラリーの温度を30℃、pHを約2に調整した。メタチタン酸はスラリー中に約6質量%含有していた。スラリー中にのメタチタン酸100質量部に対して、疎水化剤としてシランカップリング剤(i−C4H9Si(OCH3)3)を固形分で35質量部を、粒子の合一が生じないように十分に撹拌しながら滴下混合し、反応させた。さらに、十分に撹拌しながら、スラリーのpHを6.5に調整した。
これを、ろ過、乾燥した後、140℃で2時間加熱処理し、疎水性酸化チタン微粉体を生成し、その後、疎水性酸化チタン微粉体の凝集体がなくなるまで、繰り返しジェットミルにより解砕処理を行ない、酸化チタン微粉体である無機微粉体A−5を得た。この無機微粉体A−5は、BET比表面積が148m2/g、誘電率が53pF/mであった。また、無機微粉体A−5に関してX線回折測定を行った結果、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるピークが観察された。
<無機微粉体A(A−6)の製造法>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.7に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、0.98倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.5mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを80℃まで7℃/時間で昇温し、80℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、BET比表面積が45m2/g、誘電率が195pF/mであるチタン酸ストロンチウム無機微粉体A−6を得た。
<無機微粉体A(A−7)の製造法>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.7に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.3に調整し上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、0.93倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.7mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
窒素雰囲気中で該スラリーを70℃まで8.5℃/時間で昇温し、70℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して5質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、チタン酸ストロンチウム微粉体表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。
該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、チタン酸ストロンチウム微粉体である無機微粉体A−7を得た。この無機微粉体A−7は、BET比表面積が8m2/g、誘電率が300pF/mであった。
<無機微粉体A(A−8)の製造法>
チタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムを重量比で70/30の割合で混合し、500℃で焼結した後、凝集体がなくなるまで、繰り返しジェットミルにより解砕処理を行ない、チタン酸バリウム/チタン酸ストロンチウム混晶体の微粉体である無機微粉体A−8を得た。この無機微粉体A−8は、BET比表面積が6m2/g、誘電率が495pF/mであった。
<無機微粉体A(A−9)の製造法>
水酸化亜鉛を100kg/cm2の圧力で成型し、500℃の温度で5時間燒結させた。その後機械粉砕、風力分級することにより、酸化亜鉛微粉体である無機微粉体A−9を得た。この無機微粉体A−9は、BET比表面積が11m2/g、誘電率が2pF/mであった。
<無機微粉体A(A−10)の製造法>
濃度0.95規定のNaOH水溶液を約90℃に保持し、45℃に加熱保持したTiCl4水溶液(TiCl4濃度0.472mol/l)と、予め未溶解分を除去し約95℃
に加熱保持したBaCl2/NaOH水溶液(BaCl2濃度0.258mol/リットル、NaOH濃度2.73mol/リットル)とを、反応容器内に連続的に供給した。混合水溶液の温度を約90℃で一定とし、2分間撹拌して粒子状のチタン酸バリウムを生成した。熟成後、デカンテーションを行って上澄みと沈殿物を分離し洗浄して固体反応物を回収した。回収した固体反応物を大気雰囲気下において150℃で加熱することにより乾燥した。さらに1000℃に40分加熱して、チタン酸バリウム微粉体である無機微粉体A−10を得た。この無機微粉体A−10は、BET比表面積が6m2/g、誘電率が1210pF/mであった。
無機微粉体A−1乃至A−10の物性値を表1に示す。
<感光体B−1の製造法>
図3に示す、周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体(直径80mm、長さ358mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム基体)上に下記表2に示す条件でプラス帯電a−Si感光体B−1を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、表面層の順に成膜を行い、表面層作製時のSiH4流量(X)及びCH4流量(Y)、高周波電力(Z)、を下記表3に示す条件とした。また、電子写真感光体の作製本数は、各成膜条件で2本ずつ作製した。
作製した各成膜条件2本ずつの電子写真感光体について、1本の電子写真感光体を用いてC/(Si+C)、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度、H原子比、H原子密度の測定を行った。その結果を表6に示す。
そして、もう1本の感光体を用いて後述する電子写真特性の評価を行った。
<感光体B−2乃至B−8の製造法>
感光体B−1の製造法において、表面層作成時の条件を表3のようにすること以外は、感光体B−1の製造法と同様にして、感光体B−2乃至B−8を得た。感光体B−2乃至B−8について、感光体B−1の製造法と同様に、C/(Si+C)、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度、H原子比、H原子密度の測定を行った。その結果を表6に示す。
<感光体B−9の製造法>
図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表4に示す条件でプラス帯電a−Si感光体B−9を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、表面層の順に成膜を行った。感光体B−9について、感光体B−1の製造法と同様に、C/(Si+C)、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度、H原子比、H原子密度の測定を行った。その結果を表6に示す。
<感光体B−10の製造法>
図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表5に示す条件でプラス帯電a−Si感光体B−10を作製した。その際、電荷注入阻止層、光導電層、表面層の順に成膜を行った。感光体B−10について、感光体B−1の製造法と同様に、C/(Si+C)、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度、H原子比、H原子密度の測定を行った。その結果を表6に示す。
<結着樹脂C−1の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):46.8mol%
テレフタル酸:34.8mol%
無水トリメリット酸:11.8mol%
イソフタル酸:5.6mol%
フェノールノボラックEO付加物:1.0mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂C−1を得た。
この結着樹脂C−1のTgは59.5℃、軟化点は151.3℃であった。
<結着樹脂C−2の製造例>
プロポキシ化ビスフェノールA(2.2mol付加物):47.1mol%
テレフタル酸:49.9mol%
無水トリメリット酸:3.0mol%
上記のモノマーをエステル化触媒とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び撹拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂C−2を得た。
この結着樹脂C−2のTgは59.4℃、軟化点は92.5℃であった。
<結着樹脂C−3の製造例>
4つ口フラスコ内に、脱気水250質量部とポリビニルアルコールの1質量%水溶液50質量部を投入した後、スチレン83質量部、アクリル酸n−ブチル17質量部、ジビニルベンゼン0.001質量部及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.1質量部の混合液を加え、撹拌して懸濁液とした。
4つ口フラスコ内を窒素雰囲気下とした後、85℃まで昇温して、重合を開始した。同温度に20時間保持した後、ベンゾイルパーオキサイド0.1質量部を追加添加し、さらに8時間保持して重合を完了した。次に高分子重合体粒子を濾別し、十分に水洗し、乾燥させ結着樹脂C−3を得た。
この結着樹脂C−3のTgは61.2℃、軟化点は143.5℃であった。
<結着樹脂C−4の製造例>
4つ口フラスコ内に、キシレン300質量部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させた。
この還流下で、スチレン83質量部、アクリル酸−n−ブチル17質量部、及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2質量部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持して重合を完了し、低分子量重合体溶液を得た。この重合体溶液を減圧下で乾燥させ、結着樹脂C−4を得た。
この結着樹脂C−4のTgは60.0℃、軟化点は97.3℃であった。
<結着樹脂D−1の製造例>
結着樹脂C−1を50質量部と結着樹脂C−2を50質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、結着樹脂D−1とした。
<結着樹脂D−2の製造例>
結着樹脂C−3を60質量部と結着樹脂C−4を40質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、結着樹脂D−2とした。
<トナー粒子E−1の製造例>
結着樹脂D−1 100質量部
磁性酸化鉄粒子 90質量部
(平均粒径0.15μm、Hc=11.5kA/m、σs=90Am2/kg、σr=1 6Am2/kg)
表7に示すフィッシャートロプシュワックスb 2質量部
表7に示すパラフィンワックスa 2質量部
下記に示す電荷制御剤c 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。この時、混練された樹脂の温度が150℃になるように滞留時間をコントロールした。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.9μmの負摩擦帯電性のトナー粒子E−1を得た。
<トナー粒子E−2の製造例>
結着樹脂D−2 100質量部
磁性酸化鉄粒子 90質量部
(平均粒径0.15μm、Hc=11.5kA/m、σs=90Am2/kg、σr=1 6Am2/kg)
表7に示すフィッシャートロプシュワックスb 3質量部
下記に示す電荷制御剤b 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。この時、混練された樹脂の温度が150℃になるように滞留時間をコントロールした。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.0μmの負摩擦帯電性のトナー粒子E−2を得た。
<トナー粒子E−3の製造例>
結着樹脂D−2 100質量部
磁性酸化鉄粒子 90質量部
(平均粒径0.15μm、Hc=11.5kA/m、σs=90Am2/kg、σr=16Am2/kg)
表7に示すフィッシャートロプシュワックスb 2質量部
下記に示す電荷制御剤a 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。この時、混練された樹脂の温度が150℃になるように滞留時間をコントロールした。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.2μmの負摩擦帯電性のトナー粒子E−3を得た。
<トナーF−1の製造例>
トナー粒子E−1 100質量部
無機微粉体A−1 0.2質量部
疎水性シリカ微粉末 0.8質量部
(BET140m2/g、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)30質量部及びジメチルシリコーンオイル10質量部でシリカ微粉体100質量部を疎水化処理)
上記材料をヘンシェルミキサーで外添混合し目開き150μmのメッシュで篩い、負摩擦帯電性のトナーF−1を得た。
<トナーF−2乃至F−10の製造例>
表8に記載の処方とした以外は、トナーF−1の製造例と同様にして、トナーF−2乃至F−10を得た。
[実施例1]
本実施例において評価に用いるマシンは、市販のデジタル複写機iR5075N(a−Si感光体ドラム搭載、磁性一成分ジャンピング現像方式採用、キヤノン(株)社製)を用いた。この評価機において、以下の改造/変更を施した。
・感光体を本実施形態で製造した感光体B−1に変更
・現像電界強度を3.0×106V/m及び5.0×106V/mの2水準に可変出来るよう改造
・マシン本体のプロセススピード(=感光体ドラムの周速度)を400mm/sec及び600mm/secの2水準に可変出来るよう改造
・トナーを本実施形態で製造したトナーD−1に変更
この評価機を用い、表9に示す条件下で、印字比率5%のテストチャートを用いて10万枚耐久を行い、以下の評価を行った。結果を表10に示す。
<リークポチ>
リークポチの評価は各試験環境において、10万枚耐久後、A3べた黒画像出力し、画像について、発生している白ポチ(絶縁破壊によるリークポチ)の個数を測定することで求めた。求められた値から、以下の基準に従って、A乃至Dに評価した。
A(非常に良い):白ポチが発生せず
B(良い):ベタ黒画像に1〜3個の白ポチが発生
C(普通):ベタ黒画像に4〜9個の白ポチが発生
D(悪い):ベタ黒画像に10個以上の白ポチが発生
<カブリ>
カブリは、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて測定を行い、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drをカブリ量としてカブリの評価を行った。したがって、数値が小さいほどカブリ抑制が良いことを示す。この評価を、各試験環境において、10万枚耐久後に行い、以下の基準で評価した。
A(非常に良い):カブリが1未満
B(良い):カブリが1以上、3未満
C(普通):カブリが3以上、5未満。
D(悪い):カブリが5以上。
<画像濃度>
画像濃度は、各試験環境において、初期100枚目と10万枚目のテストチャートの画像濃度を測定することで求めた。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mm丸のベタ黒画像の反射濃度を測定することにより測定した。画像濃度の評価基準を以下に示す。
100枚目に対する10万枚耐久後の反射濃度の低下率を算出した結果、
A(非常に良い):低下率が3%未満。
B(良い):低下率が3%以上6%未満。
C(普通):低下率が6%以上10%未満。
D(悪い):低下率が10%以上。
<ハーフトーン濃度ムラ>
画像濃度ムラの評価は、10万枚耐久後、A3ハーフトーン画像を出力したのち、目視評価することによって行った。画像濃度ムラの評価基準を以下に示す。
A(非常に良い):ハーフトーンの濃度ムラが目視で判別できない。
B(良い):ハーフトーンの濃度ムラが目視でほとんど判別できない。
C(普通):ハーフトーンの濃度ムラがやや判別できるが、実用上問題ない。
D(悪い):ハーフトーンの濃度ムラが明確である。
実施例1に関しては、何れの評価も良好な結果が得られた。
[実施例2乃至15]
表10に記載の感光体とトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表10に示す。
実施例2に関しては、実施例1と同様に何れの評価も良好な結果が得られた。
実施例5に関しては、無機微粉体Aの誘電率が請求項1の下限値であるため、リークポチの評価が条件3でBランク、条件4でCランクとなった。また、酸化チタンがアナターゼ型であるため、カブリの評価が条件2,3でBランク、条件4でCランクとなった。
実施例6に関しては、無機微粉体Aの誘電率が請求項2の上限値であり、リークポチの評価が、条件4でBランクとなった。また、無機微粉体Aがチタン酸ストロンチウムであるため、カブリの評価が、条件1,2でBランク、条件3,4でCランクとなった。
実施例8に関しては、無機微粉体Aの誘電率が請求項1の上限であるため、リークポチの評価が、条件2,3でBランク、条件4でCランクとなった。また、無機微粉体Aがチタン酸ストロンチウムとチタン酸バリウムの混晶体であるため、カブリの評価が、条件1でBランク、条件2,3,4でCランクとなった。
実施例9に関しては、Si+C原子密度が請求項1の好ましい範囲の下限値であるため、リークポチの評価が、条件4でBランクとなった。
実施例11に関しては、C/(Si+C)が請求項5の下限以下のため、画像濃度の評価が条件2,4でBランクとなった。
実施例12に関しては、Si+C原子密度が請求項1の下限値であるため、リークポチの評価が、条件2,4でBランクとなった。また、H原子比が請求項6の上限以上であるため、ハーフトーン濃度ムラの評価が、条件2,4でBランクとなった。
実施例14に関しては、C/(Si+C)が請求項5の上限以上であるため、画像濃度の評価が条件2,4でBランクとなった。また、H原子比が請求項6の下限以下であるため、ハーフトーン濃度ムラの評価が、条件2,4でBランクとなった。
実施例15に関しては、無機微粉体Aの誘電率が、請求項1の上限値であるため、リークポチの評価が、条件2,3でBランク、条件4でCランクとなった。
また、無機微粉体Aがチタン酸ストロンチウムとチタン酸バリウムの混晶体であるため、カブリの評価が、条件1でBランク、条件2,3,4でCランクとなった。
また、C/(Si+C)が請求項5の上限以上であるため、画像濃度の評価が条件2,4でBランクとなった。
また、H原子比が請求項6の下限以下であるため、ハーフトーン濃度ムラの評価が、条件2,4でBランクとなった。
[比較例1乃至5]
表10に記載の感光体とトナーの組み合わせにおいて、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表10に示す。
比較例1、比較例2に関しては、Si+C原子密度が請求項1の下限以下であるため、リークポチの評価が、条件1,3でCランク、条件2,4でDランクとなった。
比較例3に関しては、無機微粉体Aの誘電率が請求項1の下限以下、また比較例4に関しては、無機微粉体Aの誘電率が請求項1の上限以上であるため、リークポチの評価が、何れの条件下においてもDランクとなった。
比較例5に関しては、無機微粉体Aの誘電率が請求項1の下限以下、また、Si+C原子密度が請求項1の下限以下であるため、リークポチの評価が、何れの条件下においてもDランクとなった。