JP5299805B2 - トランジスタ - Google Patents

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Description

本発明はパワーエレクトロニクス分野において応用が期待されているGaN系半導体(AlN、InNおよびそれらの混晶)トランジスタに関するものである。
近年、多くの分野でパワー半導体デバイスの低損失化、高速化、および高温など過酷な環境下で使用できるような半導体デバイスの要望が高まり、Si系半導体材料、SiC系半導体材料、GaAs系半導体材料、InP系半導体材料及びGaN系半導体材料(AlN、InNおよびそれらの混晶)を中心として精力的にデバイス開発のための研究が進められている。Si系半導体材料では、100kHz帯の周波数では効率が90%以上も達成され、実用化されている。しかし、今後さらなる省エネルギー化および高速化を図るにはSi系半導体材料では限界に近づいている。
一方、省エネルギーデバイスの実現には、Siに代わってSiC系半導体材料やGaN系半導体材料のようなワイドバンドギャップ半導体を用いることが、デバイス性能向上に有効であることが理論的に示されている。SiC系半導体材料では、すでに幾つかの研究機関によりトランジスタが実現されている。例えば、代表的なSiC系半導体材料を用いたトランジスタとしては、半絶縁性SiC基板にバッファ層をエピタキシャル成長し、引き続いてp型導電層及びソース電極、ドレイン電極のためのn型層を成長する。その後、ゲート電極を形成する部分を前記p型導電層までエッチングし、表面を酸化してゲート酸化膜を形成し、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極を形成する。前記酸化膜とp型導電層の界面準位が少なければゲート電極に正の電位を印加すると界面近傍に電子が蓄積された反転層が生じ、半導体トランジスタ として動作する(例えば、FED ジャーナルVol.11(2000)p.85) 。
しかしながら、SiC系半導体材料は、界面準位の少ない酸化膜の形成は容易でないという問題点が存在する。また、SiC基板にマイクロパイプなどの結晶欠陥の問題もあり、今後実用化のためには解決する課題は多い。また、SiC系半導体材料は、ヘテロ接合が用いられないなどの理由により、高速化が原理的に困難であると言う材料的な問題点も存在している。
また、高速動作可能な半導体トランジスタの開発においては、GaAs系半導体材料、InP系半導体材料、SiGe半導体材料及び、GaN系半導体材料が主に研究されている。すでにGaAs系半導体材料、InP系半導体材料やSiGe系半導体材料を中心に、高速トランジスタが開発されており、GaAs系トランジスタは既に携帯電話など通信分野などですでに実用化している。しかしながら、GaAs系半導体材料、InP系半導体材料やSiGe系半導体材料は、バンドギャップが狭いため、高出力化すると効率が低下してしまうと言う問題がある。また、高温環境下では、価電子帯に存在する電子が熱によって伝導帯に励起されてしまうため、トランジスタとして動作しなくなるなどの問題も存在している。
今後、更なるエレクトロニクス技術の進展にしたがって、高出力、高速且つ高温など過酷な状況で使用可能なトランジスタが望まれているが、そのもっとも最適な半導体材料としては、ワイドバンドギャップ半導体で移動度が比較的高く、且つヘテロ接合が使用できるGaN系半導体がある。この半導体の研究は、青色発光素子に代表される、短波長発光素子への研究が盛んに行われてきたが、近年、そのワイドバンドギャップ半導体である特徴や、ピエゾ電界などによる高濃度な2次元電子ガスが利用可能なことを理由に、携帯電話の基地局への応用などを目指し盛んに研究されており、相互コンダクタンスにおいて525mS/mmという高性能トランジスタも報告されている(例えば、応用物理、Vol.73 (2004)p.358)。
FED ジャーナルVol.11(2000)p.85 応用物理、Vol.73 (2004)p.358
GaN系半導体材料を用いたトランジスタは、高速、ハイパワーで且つ高温な領域で動作することも報告されているが、未だ大きな問題が存在する。GaN系半導体材料の特徴として、III族窒化物半導体はc軸配向しており、そのためヘテロ接合を用いた場合、ピエゾ電界により、高濃度なシートキャリア密度を得ることが可能である。この高濃度なシートキャリア密度は、高出力トランジスタには有利であると考えられている。
GaN系半導体を用いた代表的なトランジスタの構造を図1に示す。有機金属化合物気相成長法などにより、サファイア基板101上に、結晶成長により、約500℃で低温AlN緩衝層102、約1000℃でアンドープの半絶縁GaN層103を約2μm結晶成長する。その後、アンドープAlGaNスペーサ層104を2nm、Siを添加することによって得られる自由電子密度1×1018cm-3のn型AlGaN層105を8nm成長し、その上にゲート電極106、ドレイン電極107およびソース電極108を形成する。
次に、図1に示すGaN系半導体トランジスタの代表的特性を図2に示す。図2に示すように、前記トランジスタは、ゲート電圧を0Vにした時にドレイン電流が流れ、ゲート電圧にある程度の電圧を加えた時に、ドレイン電流が流れなくなるというデプレッション型として動作する。
次に、図1に示すGaN系半導体トランジスタにおける、ゲート電極106直下のバンド図を図3に示す。図3中の伝導帯301は、アンドープの半絶縁GaN層304とAlGaNスペーサ層305の界面に、電子の擬フェルミ準位302よりも低い箇所が存在し、この層がチャネル層として動作する。したがって、ドレイン電極-ソース電極間に電圧をかけると、ゲート電圧が0Vの場合でもドレイン電流が流れてしまい、上述したように、GaN系半導体トランジスタはデプレッション型として機能するようになる。
一方、GaN系材料を用いたトランジスタは、100GHz程度で数百Wを超える高出力の増幅器として動作することが理論的に可能であり、携帯電話の基地局などへの応用が目指されている。しかしながらパワーエレクトロニクス用に用いる場合、ゲート電圧をかけていないときに、ドレイン電流が流れると言うのは、常時電力損失があることを示しており、電力損失が大きくなる。パワーエレクトロニクス分野では、特に、エンハンスメント型のトランジスタが要求されている。しかしながら、上述したように、GaN系半導体トランジスタはデプレッション型として機能するので、パワーエレクトロニクス用に用いるに際しては、上記電力損失の観点から不向きであると考えられてきた。
かかる観点より、近年、バリア高さの高いショットキー電極を使うこと、およびキャリアのチャネル層を薄膜化することによって、空乏層をチャネル層に広げ、それによりエンハンスメント型で動作することが可能であることが報告されており(例えば、Japanese Jour[nA]l of Applied Physics, Vol. 43 (2004) p.2255)、パワーエレクトロニクスへ応用の可能性も示されている。しかしながら、GaN系半導体材料のショットキー電極の安定性や、ショットキーバリアの高い電極材料が少ない、およびチャネル層を薄膜化および、チャネル層を数nm単位で精密に制御しないとエンハンスメント動作しないことなどプロセス的な困難さや、チャネル層が構造的に厚膜化できないため大電流動作が困難であることなど複数の問題点がある。
本発明は、以上述べた課題に鑑みてなされたもので、ショットキー電極の不安定性やバリア高さの揺らぎ、大電流動作や高出力化などの問題点を解決し、エンハンスメント動作が可能なトランジスタを実現するためのものである。
上記目的を達成すべく、本発明は、所定の基板と、前記所定の基板の上方に形成された第1のn型GaN系半導体層と、前記第1のn型GaN系半導体層上に形成されたソース電極層、ゲート電極層およびチャネル形成層と、前記チャネル形成層の上方に形成されたドレイン電極層とを具え、前記ゲート電極層は、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層とからなり、前記第1および第2のゲート電極層は、p型GaN系半導体層と、この半導体層上に形成された金属電極層とを含み、前記チャネル形成層は、アンドープGaN層であり、前記第1のゲート電極層内のp型GaN系半導体層と、前記第2のゲート電極層内のp型GaN系半導体層とに接して、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に位置するようにしたことを特徴とする、トランジスタに関する。
本発明では、図1に示す従来のGaN系半導体トランジスタと異なり、ゲート電極層をp型GaN系半導体層と金属電極層との2層構造としている。したがって、前記p型GaN系半導体層により、トランジスタのチャネル形成層内に空乏層を形成することができるとともに、そのホールキャリア密度や厚さなどを制御することによって、前記空乏層の大きさを自在に制御することができるようになる。
したがって、前記p型GaN系半導体層内のホールキャリア密度及び厚さなどを適宜に制御することによって、前記ゲート電極層におけるゲート電圧が0Vの場合に、前記ドレイン電極層及び前記ソース電極層間に電圧を印加しても、前記空乏層の存在により電流が流れなくするようにすることができる。この結果、従来GaN系半導体トランジスタでは不可能とされていたエンハンスメント型のトランジスタを提供することができるようになる。
また、本発明では、上述した従来のショットキー電極を用いたり、チャネル層を薄膜化するなどの複雑な操作を施すことなく、単にゲート電極層内にp型半導体層を含ませるという極めて簡易な操作で上記エンハンスメント型トランジスタを提供することができる。
なお、本発明における“GaN系半導体”とは、GaNに加えてAlN及び/又はInNを含んでも良いことを意味し、一般式としてはGaxAlyInzN(x+y+z=1、x、y、z≧0)と書き表せるものを意味する。但し、基本的には、GaNが主体(主成分)である。
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づき、詳細に説明する。
(実施の形態1)
図4は、本発明のGaN系半導体トランジスタの一例を示す断面図である。図4に示すGaN系半導体トランジスタ10は、サファイア基板1上において、順次に形成されたAlN緩衝層2、アンドープ半絶縁GaN層3、アンドープAlGaNスペーサ層4及びn型AlGaN層5とを具えている。
AlN緩衝層2からn型AlGaN層5までは、有機金属化合物気相成長法(MOCVD法)により形成することができる。本例では、AlN緩衝層2は約500℃の低温度で形成し、アンドープ半絶縁GaN層3からn型AlGaN層5までは約1000℃の温度で形成した。なお、本例において、AlN緩衝層2の厚さは0.02μmとし、アンドープ半絶縁GaN層3の厚さは2μmとし、アンドープAlGaNスペーサ層4の厚さは2nmとし、n型AlGaN層5の厚さは8nmとした。また、n型AlGaN層中には、ドーパントとしてSiを濃度2×1018/cmの割合で含有させている。
なお、以下に詳述するように、本例において、アンドープ半絶縁GaN層3及びアンドープAlGaNスペーサ層4は、チャネル形成層として機能する。
次いで、GaN系半導体トランジスタ10は、n型AlGaN層5上において、ゲート電極層7、ドレイン電極層8及びソース電極層9を有している。ゲート電極層7は、本発明に従って、p型GaN層7AとNi/Au電極層7Bとから構成されている。ドレイン電極層8及びソース電極層9はTi/Al電極層から構成している。なお、p型GaN層7A中の厚さ及びホールキャリア濃度は、目的に応じて適宜に設定することができるが、本例では、Mgを濃度3×1019/cmの割合で含有させ、ホールキャリア密度を1×1018/cmとするとともに、その厚さを20nmとしている。
ゲート電極層7からソース電極層9までは、サファイア基板1上において、AlN緩衝層2からp型GaN層7Aまでが形成された多層膜構造体を、窒素雰囲気中、約700℃の温度で5分間熱処理を行った後に、フォトリソグラフィー技術を用いてNi/Auからなる金属電極層7Bとして形成し、その上にNiマスクを蒸着する。その後、例えば塩素プラズマを用いた反応性イオンエッチング装置を用いて、p型GaN層7Aを厚さ方向に完全にエッチングし、n型AlGaN層5を露出させる。その後露出した面にフォトリソグラフィー技術を用いて、Ti/Alからなるドレイン電極8及びソース電極9を形成する。
図5は、図4に示すGaN系半導体トランジスタ10の、ゲート電極層7においてゲート電圧を印加しない状態(ゲート電圧0V)における、ゲート電極層7直下のバンド図を示すものである。図5の伝導帯11に注目すると、電子の擬フェルミ準位12よりもエネルギー的に低い箇所は存在しない。したがって、この状態でドレイン電極層8及びソース電極層9間に電圧をかけても、電流が流れない。
図6は、図4に示すGaN系半導体トランジスタ10の、ゲート電極層7において2Vのゲート電圧を印加したときのゲート電極層7直下のバンド図を示すものである。このように、ゲート電極層7に対して2Vのゲート電圧を印加することにより、互いにバンドギャップの異なる、アンドープ半絶縁GaN層3とアンドープAlGaNスペーサ層4との界面に電子の擬フェルミ準位22よりもエネルギーの低い箇所ができ、ここがチャネルとして働くようになる。したがって、ドレイン電極8及びソース電極9間に所定の電圧をかけることにより、前記チャネルを通じてキャリアが流れ、電流を流すことができるようになる。
このように、本例で示すGaN系半導体トランジスタ10においては、ゲート電極層7にゲート電圧を印加しない場合には電流が流れず、ゲート電極層7にゲート電圧を印加する場合にのみ電流が流れるようになるので、従来のデプレッション型ではなく、エンハンスメント型として機能させるようにすることができる。これは、ゲート電極層7がp型GaN層を含むことにより、アンドープ半絶縁GaN層3及びアンドープAlGaNスペーサ層4からなるチャネル形成層内に十分な広がりを有する空乏層が形成され、これによって、バンド構造が図5及び6に示すように屈曲するためと考えられる。
図7は、図4に示すGaN系半導体トランジスタ10の特性図である。この際、ゲート電極層7に印加すべきゲート電圧を0〜2.4Vの範囲で変化させている。図7から明らかなように、ゲート電圧が0Vのときは、ドレイン電極8及びソース電極9間に電圧を印加してもドレイン電流はほとんど流れないが、ゲート電圧を0.6Vから2.4Vまで順次に増大させると、ドレイン電極8及びソース電極9間に電圧を印加することによって、前記ゲート電圧の大きさに応じたドレイン電流が流れることが分かる。したがって、図7に示す特性図からも、図4に示すGaN系半導体トランジスタ10がエンハンスメント型として機能することが分かる。
なお、具体的に、ゲート電圧0V時のリーク電流は100nA以下にまですることができる。
上述したように、図4に示すGaN系半導体トランジスタ10をエンハンスメント型として機能させるためには、ゲート電極層7を構成するp型GaN層7Aによって上述したチャネル形成層中に最適な空乏層を形成できるようにする必要がある。上記具体例においては、p型GaN層7Aの厚さを20nmとし、ホールキャリア密度を1×1018/cmとしているが、これらの厚さ及びホールキャリア密度について、GaN系半導体トランジスタの具体的な材料成分及び構成に応じて適宜に設定する必要がある。
なお、図4に示すような材料成分及び構成のGaN系半導体トランジスタにおいては、p型GaN層7Aの厚さを1nm〜500nmとし、ホールキャリア密度を1×1016個/cm〜1×1019個/cmとすることによって、エンハンスメント型のトランジスタを実現することができる。
なお、n型AlGaN層5は必ずしも必要となるものではなく、本発明の目的が達成される限り省略することもできる。同じく、アンドープAlGaNスペーサ層は設けなくても良いが、設ける場合においては200nm以下の厚さとする。
また、n型AlGaN層5の存在は、上述したp型GaN層7Aによる空乏層の形成にも影響を及ぼすので、その厚さや電子キャリア密度などは、p型GaN層7Aを含めたGaN系半導体トランジスタ10の全体を考慮して決定する必要がある。具体的に、GaN系半導体トランジスタ10をエンハンスメント型として機能させる場合には、例えば、p型GaN層7Aに関する上記条件などを考慮することによって、電子キャリア密度を1×1014個/cm〜1×1019個/cmとし、その厚さを1nm〜200nmとすることができる。
本例のGaN系半導体トランジスタ10においては、従来のトランジスタなどのように、ショットキー電極を使用したり、チャネル層を薄膜化する必要がない。したがって、チャネル形成層であるアンドープAlGaNスペーサ層4及びn型AlGaN層5を厚膜化することが可能であり、そのため大電流動作などを簡易に行うことができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明のGaN系半導体トランジスタの他の例を示す断面図である。図8に示すGaN系半導体トランジスタ30は、サファイア基板31上において、順次に形成されたAlN緩衝層32及び第1のn型GaN層33を具えている。AlN緩衝層32及びn型GaN層33は、有機金属化合物気相成長法(MOCVD法)により形成することができる。本例では、AlN緩衝層32は約500℃の低温度で形成し、n型GaN層33は約1000℃の温度で形成した。なお、AlN緩衝層2の厚さは0.02μmとし、n型GaN層33の厚さは3μmとした。また、n型GaN層33中には、ドーパントとしてSiを濃度5×1018/cmの割合で含有させている。Siドーパントの原料としてはH希釈したSiHを用いた。
また、GaN系半導体トランジスタ30は、n型GaN層33上においてリッジ型のアンドープGaN層34及び第2のn型GaN層35を具えている。これらの層についても、n型GaN層33と同様にして形成することができる。なお、本例では、第2のn型GaN層35についても第1のn型GaN層33と同様に、Siをその濃度が5×1018/cmとなるように含有させた。また、アンドープGaN層34の厚さは0.5μmとし、第2のn型GaN層35の厚さは1μmとした。なお、アンドープGaN層34はチャネル形成層として機能する。
さらに、GaN系半導体トランジスタ30は、アンドープGaN層34を両側から挟み込むようにして第1のゲート電極層38−1及び第2のゲート電極層38−2を有し、第2のn型GaN層35上にはドレイン電極層37を有するとともに、第2のゲート電極層38−2の右方にはソース電極層39を有している。第1のゲート電極層38−1及び第2のゲート電極層38−2は、本発明に従って、それぞれp型GaN層38−1A及び38−2Aと、Ni/Au電極層38−1B及び38−2Bとから構成されている。ドレイン電極層37及びソース電極層39はTi/Al電極層から構成している。
なお、p型GaN層38−1A及び38−2Aの厚さ及びホールキャリア濃度は、目的に応じて適宜に設定することができるが、本例では、Mgを濃度3×1019/cmの割合で含有させ、ホールキャリア密度を1×1018/cmとするとともに、その厚さを1.2μmとしている。
アンドープGaN層34、第2のn型GaN層35、ゲート電極層38−1及び38−2、ドレイン電極層37並びにソース電極層39は、次のようにして形成する。最初に、フォトリソグラフィーによりSiOなどを用い、ストライプ状(例えば幅2μm)のマスクを形成し、Clガスを用いた反応性イオンエッチング装置を用いてマスク下部以外を第1のn型GaN層33までエッチングする。その後、王水や硫酸、有機洗浄など適切な半導体基板処理を行った後に、再度、有機金属化合物気相成長法によりp型GaN層38−1A及び38−2Aを形成する。次いで、前記マスクをフッ酸などによりエッチング除去し、窒素雰囲気中、700℃の温度で5分間熱処理を行った後に、フォトリソグラフィーおよび反応性イオンエッチング装置により、p型GaN層38−1A及び38−2Aの一部をエッチングにより除去し、第1のn型GaN層33を露出させる。そして、ゲート電極層38−1及び38−2における金属電極層38−1B及び38−2Bを形成するとともに、ドレイン電極層38及びソース電極層39を形成する。
図9は、図8に示すGaN系半導体トランジスタ30の特性図である。本例に示すGaN系半導体トランジスタ30においては、第1のゲート電極層38−1及び第2のゲート電極層38−2内におけるp型GaN層38−1A及び38−2Aによって、チャネル形成層であるアンドープGaN層34内に空乏層が形成される。
したがって、第1のゲート電極層38−1及び第2のゲート電極層38−2に印加するゲート電圧が0Vの場合は、ドレイン電極層37及びソース電極層39間に電圧を印加しても、アンドープGaN層34内には、図9に示すようにドレイン電流は流れない。しかしながら、第1のゲート電極層38−1及び第2のゲート電極層38−2に所定のゲート電圧を印加すると、前記空乏層の領域が変化するので、ドレイン電極層37及びソース電極層39間に電圧を印加した際に、前記ゲート電圧の大きさに応じたドレイン電流がアンドープGaN層34内に流れるようになる。この結果、本例におけるGaN系半導体トランジスタ30はエンハンスメント型として機能するようになる。
なお、具体的に、ゲート電圧0V時のリーク電流は100nA以下にまですることができる。
上述したように、図8に示すGaN系半導体トランジスタ30をエンハンスメント型として機能させるためには、ゲート電極層38−1及び38−2を構成するp型GaN層38−1A及び38−2Aによって上述したチャネル形成層であるアンドープGaN層34中に最適な空乏層を形成できるようにする必要がある。上記具体例においては、p型GaN層38−1A及び38−2Aの厚さを1.2μmとし、ホールキャリア密度を1×1018/cmとしているが、これらの厚さ及びホールキャリア密度について、GaN系半導体トランジスタの具体的な材料成分及び構成に応じて適宜に設定する必要がある。
なお、図8に示すような材料成分及び構成のGaN系半導体トランジスタにおいては、p型GaN層38−1A及び38−2Aの厚さを10nm〜5μmとし、ホールキャリア密度を1×1016個/cm〜1×1019個/cmとすることによって、エンハンスメント型のトランジスタを実現することができる。さらには、その幅を0.1μm〜20μmとすることによって実現することができる。
なお、第2のn型GaN層35は必ずしも必要となるものではなく、本発明の目的が達成される限り省略することもできる。
また、n型GaN層35の存在は、上述したp型GaN層38−1A及び38−2Aによる空乏層の形成にも影響を及ぼすので、その厚さや電子キャリア密度などは、p型GaN層38−1A及び38−2Aを含めたGaN系半導体トランジスタ30の全体を考慮して決定する必要がある。具体的に、GaN系半導体トランジスタ30をエンハンスメント型として機能させる場合には、例えば、p型GaN層p型GaN層38−1A及び38−2Aに関する上記条件などを考慮することによって、電子キャリア密度を1×1014個/cm〜1×1019個/cmとし、その厚さを1nm〜200nmとすることができる。
以上、本発明を具体例を挙げながら、発明を実施するための最良の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
例えば、上記実施の形態1及び2では、基板としてサファイア基板を用いているが、それ以外の基板、例えばSiC基板、Si基板、AlN基板、GaN基板、ZrB基板などを用いることもできる。
また、実施の形態1及び2において、GaNのみからなる総ての層に対してAlN及びInNを含むようにすることもできる。また、p型半導体のドーパントとしてMgを用い、n型半導体のドーパントとしてSiを用いているが、当然にこれ以外のドーパントを用いることもできる。
さらに、実施の形態1及び2において、p型GaN層の幅や厚さなどを適宜に制御することによりデプレッション型とすることもできる。
また、実施の形態1において、n型AlGaN層5はアンドープとすることもできるし、実際の層形態ではなく、イオン注入などによって形成するようにすることもできる。
さらに、実施の形態2においては、基板剥離技術によってサファイア基板31を剥離した後、その剥離面に対してソース電極層39を形成するようにすることにより、トタンジスタを構成する各層の成長方向、すなわち厚さ方向に電流を流すようにすることもできる。
従来のGaN系半導体トランジスタの一例を示す断面図である。 図1に示すGaN系半導体トランジスタの特性図である。 図1に示すGaN系半導体トランジスタのバンド構造を示す図である。 本発明のGaN系半導体トランジスタの一例を示す断面図である。 図4に示すGaN系半導体トランジスタの、ゲート電極層においてゲート電圧を印加しない状態(ゲート電圧0V)におけるバンド構造を示す図である。 図4に示すGaN系半導体トランジスタの、ゲート電極層においてゲート電圧2Vを印加した状態におけるバンド構造を示す図である。 図4に示すGaN系半導体トランジスタ10の特性図である。 本発明のGaN系半導体トランジスタの他の例を示す断面図である。 図8に示すGaN系半導体トランジスタの特性図である。
符号の説明
1 サファイア基板
2 AlN緩衝層
3 アンドープ半絶縁GaN層
4 アンドープAlGaNスペーサ層
5 n型AlGaN層
7 ゲート電極層
7A p型GaN層
7B 金属電極層
8 ドレイン電極層
9 ソース電極層
10 GaN系半導体トランジスタ
11 伝導帯
12 電子の擬フェルミ準位
13 価電子帯
14 正孔の擬フェルミ準位
15 アンドープの半絶縁GaN層
16 アンドープAlGaNスペーサ層
17 n型AlGaN層
18 p型GaN層
21 伝導帯
22 電子の擬フェルミ準位
23 価電子帯
24 正孔の擬フェルミ準位
25 アンドープの半絶縁GaN層
26 アンドープAlGaNスペーサ層
27 n型AlGaN層
28 p型GaN層
30 GaN系半導体トランジスタ
31 サファイア基板
32 AlN緩衝層
33 第1のn型GaN層
34 アンドープGaN層
35 第2のn型GaN層
37 ドレイン電極層
38−1 第1のゲート電極層
38−2 第2のゲート電極層
38−1A、38−2A p型GaN層
38−1B、38−2B 金属電極層
39 ソース電極層
101 サファイア基板
102 AlN緩衝層
103 アンドープの半絶縁GaN層
104 アンドープAlGaNスペーサ層
105 n型AlGaN層
106 ゲート電極
107 ドレイン電極
108 ソース電極
301 伝導帯
302 電子の擬似フェルミ準位
303 価電子帯
304 アンドープの半絶縁GaN層
305 アンドープAlGaNスペーサ層
306 n型AlGaN層

Claims (7)

  1. 所定の基板と、
    前記所定の基板の上方に形成された第1のn型GaN系半導体層と、
    前記第1のn型GaN系半導体層上に形成されたソース電極層、ゲート電極層およびチャネル形成層と、
    前記チャネル形成層の上方に形成されたドレイン電極層とを具え、
    前記ゲート電極層は、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層とからなり、前記第1および第2のゲート電極層は、p型GaN系半導体層と、この半導体層上に形成された金属電極層とを含み、前記チャネル形成層は、アンドープGaN層であり、前記第1のゲート電極層内のp型GaN系半導体層と、前記第2のゲート電極層内のp型GaN系半導体層とに接して、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に位置するようにしたことを特徴とする、トランジスタ。
  2. 前記チャネル形成層と前記ドレイン電極層との間に第2のn型GaN系半導体層を具えることを特徴とする、請求項1に記載のトランジスタ。
  3. 前記トランジスタは、エンハンスメント型トランジスタとして機能することを特徴とする、請求項1または2に記載のトランジスタ。
  4. 前記ゲート電極層における前記p型GaN系半導体層中のホールキャリア密度が1×1016個/cm〜1×1019個/cmであって、その厚さが10nm〜5μmであり、その幅が0.1μm〜20μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のトランジスタ。
  5. 前記第1および第2のn型GaN系半導体層の電子キャリア密度が1×1014個/cm〜1×1019個/cmであって、その厚さが1nm〜200nmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のトランジスタ。
  6. 前記ゲート電極層におけるゲート電圧が0Vの状態において、前記ドレイン電極層及び前記ソース電極層間に20Vの電圧を印加した際のリーク電流が100nA以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のトランジスタ。
  7. 前記基板は、サファイア基板、SiC基板、Si基板、AlN基板、GaN基板、ZrB2基板からなる群より選択される、少なくとも一種の基板を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載のトランジスタ。
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