JP5299612B2 - 静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂及びその製造方法、静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法、並びに、画像形成装置 - Google Patents
静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂及びその製造方法、静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法、並びに、画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
そこで、環境中に多数存在する微生物により分解、無害化される生分解性プラスチックの導入が望まれている。例えば、酸素、水素、炭素からなり、分解すると水と二酸化炭素のみを生成する脂肪族ポリエステルは、代表的な生分解性樹脂である。既にいくつかの分野において生分解性プラスチックが採用され、商品化されているが、汎用材料への拡大をより促進する必要がある。
コスト、生産性、機械的・物理的性能、化学的性能のようなこれまでの汎用材料の全ての特性を維持し、十分な生分解性を有する脂肪族ポリエステルの開発はいまだ検討が継続されている。
さらに、特許文献5には、特定の構造及び物性を有する結晶性樹脂と特定の物性を有する非結晶性樹脂を混合させた生分解性ポリエステルが開示されており、特許文献6には、特定の脂肪族ポリエステルと架橋剤を配合したトナー用結着樹脂が開示されている。
<1> 全モノマー単位のうち、(A)芳香環を有するジオール由来のモノマー単位を10〜25mol%、及び、(B)エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位を15〜50mol%含み、ゲル分率が1.0〜15%であり、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く全金属原子の総含有量が、15ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂、
<2> 芳香環を有するジオールを重縮合性単量体の全量に対して10〜25mol%、及び、エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸を重縮合性単量体の全量に対して15〜50mol%含む重縮合性単量体を、触媒として硫黄酸を用い重縮合する工程を含む上記<1>に記載の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂の製造方法、
<3> 上記<1>に記載の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂、又は、上記<2>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像トナー、
<4> 上記<3>に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
<5> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含み、前記現像剤として上記<3>に記載の静電荷像現像トナー、又は、上記<4>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法、
<6> 潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有し、前記現像剤として上記<3>に記載の静電荷像現像トナー、又は、上記<4>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成装置。
上記<2>に記載の発明によれば、静電荷像現像トナーとして実用に耐えうると特性と、適切な生分解性とが両立した静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂を簡便に製造することができる静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂の製造方法を提供することができた。
上記<3>に記載の発明によれば、静電荷像現像トナーとしての十分な性能を持ちながら、生分解性を有する静電荷像現像トナーを提供することができた。
上記<4>に記載の発明によれば、静電荷像現像剤としての十分な性能を有しながら、生分解性を有する静電荷像現像剤を提供することができた。
上記<5>に記載の発明によれば、画像形成能に優れると共に、静電荷像現像トナーが結着樹脂として生分解性ポリエステル樹脂を使用していることから、より環境への負荷の少ない、画像形成方法を提供することができた。
上記<6>に記載の発明によれば、画像形成能に優れると共に、静電荷像現像トナーが結着樹脂として生分解性ポリエステル樹脂を使用していることから、より環境への負荷の少ない、画像形成装置を提供することができた。
本発明の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂(以下、単に「本発明のポリエステル樹脂」ともいう。)は、全モノマー単位のうち、(A)芳香環を有するジオール由来のモノマー単位を10〜25mol%、及び、(B)エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位を15〜50mol%含み、ゲル分率が1.0〜15%であり、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く全金属原子の総含有量が、15ppm以下であることを特徴とする。
また、本発明の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位を含むことにより、熱特性を向上させることができる。これはエチレン性不飽和結合が分子鎖の運動を阻害するためである。しかし、エチレン性不飽和結合は、一般に電気的特性の環境依存性を高める傾向がある。そこで、一定量を架橋することによって、生分解を保持したままトナー物性の環境依存性を改善し、熱特性をも制御することができた。
具体的には、フマル酸、マレイン酸、グルタコン酸、2−ブテン−1,4−ジカルボン酸、シトラコン酸、イタコン酸、ムコン酸、プロペニルコハク酸、ブテニルコハク酸、ヘキセニルコハク酸、ヘプテニルコハク酸等、及び、これらの誘導体等が例示できる。たとえば、当該ジカルボン酸の誘導体としては、酸無水物や、エステル、酸ハロゲン化物が例示できる。
また、エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸は、生分解性を確保する上で、炭素数が4〜8であることが好ましく、炭素数が4〜6であることがより好ましく、炭素数が4であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸を重縮合性単量体(モノマー)として用いて製造することより、重縮合時に、前記エチレン性不飽和結合と、カルボキシル基及び/又はアルキレンオキサイド基のC−H結合などとが一部反応し、本発明のポリエステル樹脂中に架橋が一部形成される(本発明において、「微架橋」ともいう。)。
芳香環を有しない脂肪族ジオールとして具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、及び、トリデカンジオールが例示できる。これらの中でも、炭素数が2〜10のものが好ましく、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、及び、デカンジオールが好ましく、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、及び、1,10−デカンジオールがより好ましい。
芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない直鎖状ジカルボン酸として具体的には、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、及び、トリデカンジカルボン酸を例示できる。直鎖状ジカルボン酸の中でも、カルボキシル基を含めた炭素数が4〜14であるものが好ましく、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸がより好ましい。
また、前記環構造としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、及び、シクロドデカンを挙げることができる。芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない環構造を有するジカルボン酸として具体的には、シクロプロパンジカルボン酸、シクロプロパン二酢酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロブタン二酢酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロペンタン二酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、シクロオクタンジカルボン酸、シクロオクタン二酢酸、シクロドデカンジカルボン酸、及び、シクロドデカン二酢酸が例示できる。環構造を有するジカルボン酸の中でも、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく例示できる。
なお、本発明のポリエステル樹脂におけるモノマー単位は、エステル結合におけるカルボニル基とカルボニル基に単結合で結合した酸素原子との間、又は、エステル結合でない架橋部位はその架橋箇所で切断された単位とする。
また、本発明のポリエステル樹脂の末端の構造は、特に制限はなく、基質の量比やクエンチ条件等によって種々の構造をとることができ、例えば、ヒドロキシ基や、カルボキシル基、水素原子、重縮合触媒由来の構造などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂における(A)芳香環を有するジオール由来のモノマー単位としては、式(A−1)又は式(A−2)で表されるモノマー単位が好ましく例示できる。
式(A−1)で表されるモノマー単位は、架橋部分のないモノマー単位であり、式(A−2)で表されるモノマー単位は、架橋部分を有するモノマー単位である。
前記A1における芳香環を有する二価の連結基としては、特に制限はないが、ビスフェノール化合物から2つのヒドロキシ基を除いた基、又は、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物から2つのヒドロキシ基を除いた基であることが好ましく、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物から2つのヒドロキシ基を除いた基であることがより好ましく、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物から2つのヒドロキシ基を除いた基であることがさらに好ましい。
また、前記ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドを挙げることができるが、これらに限定されない。好適には、エチレンオキサイド、及び/又は、プロピレンオキサイドであり。また、アルキレンオキサイドの付加モル数は、ビスフェノール化合物1モルに対し、1〜6モルであることが好ましい。
前記A2における芳香環を有する(n+2)価の連結基は、前記A1における芳香環を有する二価の連結基からn個の水素原子を除いた基であればよいが、前記A1における芳香環を有する二価の連結基からアルキレンオキサイド部分の水素原子を1個除いた基であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂における(B)エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位としては、式(B−1)、式(B−2)又は式(B−3)で表されるモノマー単位が好ましく例示できる。
式(B−1)で表されるモノマー単位は、架橋部分のないモノマー単位であり、式(B−2)で表されるモノマー単位は、架橋部分を有するモノマー単位である。
前記B1におけるエチレン性不飽和結合を有する二価の連結基としては、特に制限はないが、炭素原子及び水素原子のみからなる基であることが好ましい。また、B1の炭素数は、生分解性を確保する上で、炭素数が2〜6であることが好ましく、炭素数が2〜4であることがより好ましく、炭素数が2であることがさらに好ましい。
また、前記エチレン性不飽和結合は、樹脂の主鎖に、シス二置換、トランス二置換、ジェミナル二置換、三置換、及び/又は、四置換で導入されていても、樹脂の側鎖に一置換以上の置換で導入されていてもよいが、樹脂の主鎖に、シス二置換、及び/又は、トランス二置換で導入されていることが好ましい。
式(B−1)で表されるモノマー単位は、式(B−1−1)で表されるモノマー単位であることがより好ましい。
前記L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキレン基であることが好ましく、単結合又は炭素数1〜6の直鎖アルキレン基であることがより好ましく、L1及びL2が両方とも単結合であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル樹脂における(C)芳香環を有しない脂肪族ジオール由来のモノマー単位は、芳香環を有しない脂肪族ジオールから構成されたモノマー単位であれば特に制限はない。
本発明のポリエステル樹脂における(C)芳香環を有しない脂肪族ジオール由来のモノマー単位としては、式(C−1)で表されるモノマー単位が好ましく例示できる。
R1におけるアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐状であっても、環構造を有していてもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
R1の炭素数としては、2〜14であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。
本発明のポリエステル樹脂における(D)芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位は、芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない脂肪族ジカルボン酸から構成されたモノマー単位であれば特に制限はない。
本発明のポリエステル樹脂における(D)芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位としては、式(D−1)で表されるモノマー単位が好ましく例示できる。
R2におけるアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐状であっても、環構造を有していてもよいが、直鎖状であるか、又は、環構造を有していることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
R2の炭素数としては、2〜20であることが好ましく、2〜14であることがより好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂の作製には、その構成を損なわない範囲で、一価のカルボン酸や一価のアルコールを使用してもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂は、全モノマー単位100mol%に対し、(A)芳香族ジオール由来のモノマー単位を10〜25mol%、(B)エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸由来のモノマー単位を15〜40mol%、(C)脂肪族ジオール由来のモノマー単位を25〜40mol%、並びに、(D)芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位を10〜35mol%からなることがより好ましく、全モノマー単位100mol%に対し、前記式(A−1)及び/又は(A−2)で表されるモノマー単位を10〜25mol%、前記式(B−1)、式(B−2)及び/又は式(B−3)で表されるモノマー単位を15〜40mol%、前記(C−1)で表されるモノマー単位を25〜40mol%、並びに、前記式(D−1)で表されるモノマー単位を10〜35mol%からなることがさらに好ましい。
乾燥した樹脂粒子又は樹脂粉砕物約0.3gを試料として秤取し、30gのテトラヒドロフラン(THF)中に投入して60分間撹拌する。次に、回転速度10,000rpmで5分間遠心分離を行った後、THFへの溶解物が抽出された上澄み液を除去する。次いで、THFへの未溶解物を真空乾燥機で乾燥した後、その重量を測定し、下式によりゲル分率(重量%)を算出する。なお、THFへの樹脂の溶解及び遠心分離は約25℃で行うものとする。この際に使用する樹脂粒子又は樹脂粉砕物は、平均粒径が1mm以下であることが好ましい。
ゲル分率=(THFに未溶解の樹脂分の重量/試料に供する樹脂分の重量)×100
本発明における軟化温度は、フローテスターを用い、サンプルの半分が流出する温度、すなわち、フローテスター1/2流出温度(Tf1/2)である。
なお、本発明における軟化温度(Tf1/2)の測定方法としては、高化式フローテスター CFT−500((株)島津製作所製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10kg/cm2)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cm3の試料を溶融流出させた時の流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度として求められるものである。
金属原子の含有量の測定方法としては、蛍光X線分析方法が好ましく例示できる。蛍光X線のピークに他の元素のピークが重なる場合には、ICP発光分光法や、原子吸光法等で、追加解析を行うこともできる。
本発明のポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、3,000〜100,000であることが好ましく、4,000〜60,000であることがより好ましく、4,000〜40,000であることがさらに好ましい。上記範囲であると、トナー特性及び生分解性に優れる。
ポリエステル樹脂の生分解性の試験方法としては、JIS K 6950、JIS K 6951、JIS K 6953、JIS K 6955、ISO14855−2、OECD 301C等に記載の方法、さらには簡易的にコンポスト埋設・土壌埋設時の外観と重量減等により評価することができる。
本発明の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂の製造方法(以下、単に「ポリエステル樹脂の製造方法」ともいう。)は、芳香環を有するジオールを重縮合性単量体の全量に対して10〜25mol%、及び、エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸を重縮合性単量体の全量に対して15〜50mol%含む重縮合性単量体を、触媒として硫黄酸を用い重縮合する工程(以下、「重縮合工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
硫黄酸触媒は、単独、又は、硫黄酸と汎用重縮合触媒とを併用することも可能であるが、汎用触媒に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く全金属原子の総含有量が樹脂中に0〜15ppmとなる極少量の汎用触媒と併用することが好ましい。
詳細には、特定量の芳香族ジオール成分がトナー用結着樹脂として必要な熱特性、特にガラス転移温度や軟化温度、粘弾性などを付与するが、この量の範囲内においては生分解性を阻害することはない。特に芳香環にエステル結合が直接結合していない場合には、生分解性を有することは、特開平7−118359号公報にも記載されている公知の事実である。さらに熱重合性の不飽和結合を有するジカルボン酸成分を含み、低温で活性を有する硫黄酸触媒を用いて重合を行うことにより、樹脂の架橋構造を適切な量に制御できる。このため、低温定着性や粉砕性、生分解性を阻害することはなく、十分な熱特性や、使用環境における物質安定性を付与することができる。
さらに、生分解性に関しては、樹脂そのものの構造だけでなく、触媒の環境影響も考える必要がある。例えば、欧米では、重合触媒としても使用可能である重金属を一部規制しているものもある。また、土壌中での生分解がより加速されるような構造、組成物を含むポリエステル樹脂が望まれている。
硫黄酸触媒は、比較的低温で触媒活性を有するため、低温での重縮合によりエチレン性不飽和結合を適度に結合させることができる。
なお、界面活性効果を有する酸とは、疎水基と親水基とからなる化学構造を有し、少なくとも親水基の一部がプロトンからなる酸の構造を有し、乳化機能と触媒機能とを併せ持つ化合物である。
界面活性効果を有する有機硫黄酸としては、上記に有機硫黄酸として記載されたもののうち、炭素数7以上20以下のアルキル基又は炭素数13以上26以下のアラルキル基を有する有機硫黄酸が挙げられ、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ドデシル硫酸等が好ましく例示できる。
また、界面活性効果を有する有機硫黄酸としては、下記に示す式(S−1)〜(S−3)で表される化合物であることが好ましく、下記に示す式(S−2)又は(S−3)で表される化合物であることがより好ましい。
また、RS2、ORS3、R’及びR”のベンゼン環上の置換位置は、特に制限はなく、ベンゼン環上のいずれの位置であってもよい。
RS1、RS2及びRS3はそれぞれ独立に、炭素数8以上のアルキル基であることが好ましい。
また、RS1、RS2及びRS3における炭素数は、8〜30であることが好ましく、8〜20であることがより好ましく、12〜20であることがさらに好ましい。
重合触媒能においては、炭素数8以上のアルキル基、炭素数8以上のアルケニル基等の疎水性部位がモノマーとの相溶性を高め、硫黄酸は低温でも活性を有するため、ポリエステル樹脂の重合には大きく重縮合能を発揮できるものと予測される。式(S−1)〜(S−3)で表される化合物は、その界面活性能に基づき生分解性や土壌での分散性を向上することができる。これは、土壌中など水分の拡散の少ない環境においては、式(S−1)〜(S−3)で表される化合物がポリエステル樹脂の表面で土壌中側に親水性基を向けて配向し、その結果土壌中の水分をより表面側に保持することが可能となるために、微生物や酵素類による分解がより効率的に起こるものと予測される。
ハメット値が0.2以上の基として具体的には、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、カルバモイル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、チオシアナト基、ニトロ基等を挙げられる。その中でも、特に置換基効果、重縮合触媒への適性、トナー用結着樹脂への適性を考慮すると、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び/又は、ヨウ素原子が好ましい。
これらの置換基の数に限定はなく、複数の置換基を有することもできる。その際、全てのベンゼン環上の基におけるスルホ基を基準とするハメット値の和が正の値、すなわち、ベンゼン環全体としてスルホ基に対し電子求引性であることが好ましい。
前記重縮合工程における重縮合反応の反応温度は70〜160℃であることが好ましく、90〜160℃であることがより好ましく、100〜160℃であることがさらに好ましく、100〜150℃であることが特に好ましい。反応温度が70℃以上であると、重縮合性単量体の溶解性、触媒活性の低下に基づく反応性の低下、分子量の伸長抑制が生じない。また、160℃以下であると、低エネルギーで製造することができる。また、反応温度が上記範囲内であると、十分に重縮合反応が進行すると共に、低環境負荷にて重合反応を行うことができるので好ましい。
重縮合反応の反応時間は、所望の重量平均分子量が得られる範囲で、反応温度等に応じて適宜選択することができるが、0.5〜72時間であることが好ましく、1〜48時間であることが好ましく、2〜36時間であることがさらに好ましい。上記範囲であると、所望の重量平均分子量と分子量分布を得るための制御がしやすい。
本発明に用いることのできる水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
本発明に用いることができる有機溶剤の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、ジクロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、p−クロロトルエン等のハロゲン系溶媒、3−ヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶媒、ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、o−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼン、3−メトキシトルエン、ジベンジルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、メトキシナフタレン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、フェニルスルフィド、チオアニソール等のチオエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、安息香酸メチル、フタル酸メチル、フタル酸エチル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶媒、ジフェニルエーテル、又は、4−メチルフェニルエーテル、3−メチルフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン等のアルキル置換ジフェニルエーテル、又は、4−ブロモフェニルエーテル、4−クロロフェニルエーテル、4−ブロモジフェニルエーテル、4−メチル−4’−ブロモジフェニルエーテル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、又は、4−メトキシジフェニルエーテル、4−メトキシフェニルエーテル、3−メトキシフェニルエーテル、4−メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアルコキシ置換ジフェニルエーテル、又は、ジベンゾフラン、キサンテン等の環状ジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル系溶媒が挙げられ、これらは、混合して用いてもよい。そして、溶媒として容易に水と分液分離できるものが好ましく、特に平均分子量の高いポリエステルを得るためにはエステル系溶媒、エーテル系溶媒及びジフェニルエーテル系溶媒がより好ましく、アルキル−アリールエーテル系溶媒及びエステル系溶媒が特に好ましい。
さらに本発明の生分解性ポリエステル樹脂は、上述したジカルボン酸成分及びジオール成分それぞれ1種を使用した単独重合体、上述した単量体を含む単量体を2種以上組み合せた共重合体、又は、それらの混合物、グラフト重合体、一部枝分かれや架橋構造などを有していてもよい。
本発明の静電荷像現像トナーは、本発明の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂を含むトナーである。
本発明の静電荷像現像トナーは、公知の方法により製造することができる。
具体的には、混練粉砕法等により製造することができ、また、化学的製法(いわゆる、凝集合一法、ポリエステル伸長法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、溶解懸濁法等)により製造することもできる。
本発明の静電荷像現像トナーは、これらのいずれの方法により静電荷像現像トナーを製造してもよく、結着樹脂として、上記本発明のポリエステル樹脂を含有するものである。
これらの中でも、本発明の静電荷像現像トナーは、粉砕トナーであることが好ましく、混練粉砕法により製造された静電荷像現像トナーであることが好ましい。
以下、混練粉砕法について、説明する。
混練粉砕法により粉砕トナーを製造する場合は、本発明のポリエステル樹脂を、予め他のトナー原材料と、溶融混練前に、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等で撹拌混合することが好ましい。このとき、撹拌機容量、撹拌機の回転速度、撹拌時間等を組み合わせて選択しなければならない。
次いで、結着樹脂と他のトナー原材料との撹拌物は、公知の方法により溶融状態での混練を行う。一軸又は多軸押出し機による混練が、分散性が向上するため好ましい。このとき混練装置のニーディングスクリュウゾーン数、シリンダー温度、混練速度等を全て適切な値に設定し、制御する必要がある。混練時の各制御因子のうち、混練状態に特に大きな影響を与えるのは、混練機の回転数と、ニーディングスクリュウゾーン数、シリンダー温度である。一般に、回転数は300〜1,000rpmが好ましく、ニーディングスクリュウゾーン数は1段よりも2段スクリュウ等多段ゾーンを用いたほうがよりよく混練される。シリンダー設定温度は、特に制限はなく、必要に応じ、適宜設定すればよい。
溶融混練された混練物は十分に冷却した後、ボールミル、サンドミル、ハンマーミル等の機械的粉砕方法、気流式粉砕方法等の公知の方法で粉砕する。常法での冷却が充分できない場合は、冷却又は凍結粉砕法も選択できる。
例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を併せて使用することができる。
体積GSDv=(体積D84/体積D16)0.5
GSDvが1.4以下であると、粒子径が均一であり、定着性に優れ、定着不良に起因する装置故障が起こりにくく、また、トナーの飛散による機内汚染や現像剤の劣化なども起こりにくいため好ましい。平均体積粒子分布GSDはレーザー回折式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
本発明の静電荷像現像トナーは、静電荷像現像剤として使用することができる。
本発明の静電荷像現像剤は、本発明の静電荷像現像トナーを含有すること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。本発明の静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
一成分系現像剤として、現像スリーブ又は帯電部材と摩擦帯電して、帯電トナーを形成して、静電潜像に応じて現像する方法も適用できる。
キャリアとしては、特に限定されないが、通常、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
二成分系の静電荷像現像剤における本発明のトナーとキャリアとの混合割合は、通常、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
また、静電荷像現像剤(静電荷像現像トナー)は、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含むことが好ましい。また、必要に応じて、クリーニング工程を含む。
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記潜像形成工程は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー像を形成する工程である。前記現像剤層としては、前記本発明の静電荷像現像トナーを含有する本発明の静電荷像現像剤を含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー像を被転写体上に転写する工程である。
前記定着工程は、光定着装置や熱定着装置等により、記録紙などの被記録媒体上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する工程である。
前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
このような一連の処理工程を経て、目的とする複製品(印刷物など)を得ることができる。
本発明の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有し、必要に応じて定着基材上のトナー像を定着する定着手段を有する。上記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。
前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本発明で用いる画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本発明で用いる画像形成装置は前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
なお、実施例中において「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」及び「重量%」を意味する。
ガラス転移温度の測定は、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱して測定した。
融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めた。
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの値は、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって、以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し、測定を行った。また、試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択した。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認することができる。
また、GPCのカラムとしては、TSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)を用いた。
なお、溶媒及び測定温度は、測定試料にあわせ、適当な条件に変更して行った。
ポリエステル樹脂として脂肪族ポリエステル樹脂を用い、付加重合型樹脂として芳香族を含むモノマーを重合した樹脂を用いた樹脂粒子分散液を作製した場合、両者の分子量をGPCで解析する際、検出器としてUVとRIとを分離する装置を後付けし、それぞれの分子量を解析することもできる。
乾燥した樹脂粒子又は予め1mmメッシュで篩分した樹脂粉砕物約0.3gを試料として秤取し、30gのテトラヒドロフラン(THF)中に投入して60分間撹拌した。次に、回転速度10,000rpmで5分間遠心分離を行った後、THFへの溶解物が抽出された上澄み液を除去する。次いで、THFへの未溶解物を真空乾燥機で乾燥した後、その重量を測定し、下式によりゲル分率(重量%)を算出した。なお、THFへの樹脂の溶解及び遠心分離は約25℃で行った。
ゲル分率=(THFに未溶解の樹脂分の重量/試料に供する樹脂分の重量)×100
軟化温度は、高化式フローテスター CFT−500((株)島津製作所製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10kg/cm2)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cm3の試料を溶融流出させた時の流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度を1/2流出温度(Tf1/2)として求めた。
蛍光X線解析装置((株)島津製作所製、XRF−1500)を用いて、乾燥した樹脂粒子又は予め1mmメッシュで篩分した樹脂粉砕物0.130gのディスクを成型し、X線出力40V−70mA、測定面積10mmφ、測定時間15分の条件で、定性定量全元素分析法にて測定し、このデータの金属元素強度を測定した。
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物(ビスフェノールA 1モルに対しプロピレンオキサイドが2モル付加した化合物、BPA−2PO):25mol%
・フマル酸(FA):25mol%
・1,3−プロパンジオール(PD):25mol%
・コハク酸(SA):25mol%
・ペンタデシルベンゼンスルホン酸(PDBSA):0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、140℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下140℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。
ポリエステル樹脂1の物性値を測定すると、ゲル分率6.8%、Tg59℃、軟化温度102℃であった。
・ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物(BPA−2EO):25mol%
・無水マレイン酸(MAA):35mol%
・1,3−プロパンジオール:25mol%
・蓚酸(OA):15mol%
・パラトルエンスルホン酸(p−TSA):0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、140℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下140℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂2を得た。
ポリエステル樹脂2の物性値を測定すると、ゲル分率2.7%、Tg53℃、軟化温度99℃であった。
・p−キシレングリコール(p−XG):25mol%
・フマル酸:25mol%
・1,4−ブタンジオール(BD):25mol%
・アジピン酸(AA):25mol%
・PDBSA:0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、150℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下150℃で8時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂3を得た。
ポリエステル樹脂3の物性値を測定すると、ゲル分率10%、Tg52℃、軟化温度91℃であった。
・BPA−2EO:10mol%
・フマル酸:15mol%
・1,3−プロパンジオール:40mol%
・コハク酸:35mol%
・ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA):0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、140℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下140℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂4を得た。
ポリエステル樹脂4の物性値を測定すると、ゲル分率1.3%、Tg44℃、軟化温度72℃であった。
・フマル酸:25mol%
・1,3−プロパンジオール:50mol%
・蓚酸:25mol%
・DBSA:0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、140℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下140℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂5を得た。
ポリエステル樹脂5の物性値を測定すると、ゲル分率0.8%、Tg=−80℃、軟化温度50℃であった。
・BPA−2PO:25mol%
・1,3−プロパンジオール:25mol%
・コハク酸:50mol%
・PDBSA:0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、140℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下140℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂6を得た。
ポリエステル樹脂6の物性値を測定すると、ゲル分率0%、重量平均分子量(Mw)18,000、数平均分子量(Mn)10,500、Tg42℃、軟化温度78℃であった。
・BPA−2EO:25mol%
・フマル酸:50mol%
・1,6−ヘキサンジオール(HD):25mol%
・オクタデシルベンゼンスルホン酸(ODBSA):0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、140℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下140℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂7を得た。
ポリエステル樹脂7の物性値を測定すると、ゲル分率65%、Tg65℃、軟化温度280℃であった。
・BPA−2PO:25mol%
・フマル酸:25mol%
・1,3−プロパンジオール:25mol%
・テレフタル酸(TA):25mol%
・ジブチルスズオキサイド(Sn):0.2mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、加熱溶融し、窒素置換した後、減圧下260℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂8を得た。
ポリエステル樹脂8の物性値を測定すると、ゲル分率84%、Tg69℃、軟化温度300℃以上(測定できなかった。)であった。
・BPA−2PO:25mol%
・フマル酸:25mol%
・1,3−プロパンジオール:25mol%
・コハク酸:25mol%
・PDBSA:0.5mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、160℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下160℃で9時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂9を得た。
ポリエステル樹脂9の物性値を測定すると、ゲル分率16.9%、Tg62℃、軟化温度107℃であった。分子量は、Mw26,800、Mn7,700であった。
・BPA−2PO:25mol%
・フマル酸:25mol%
・1,3−プロパンジオール:25mol%
・コハク酸:25mol%
・ジブチルスズオキサイド:0.5mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、180℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下180℃で6時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂10を得た。
ポリエステル樹脂10の物性値を測定すると、ゲル分率33.5%、Tg62℃、軟化温度132℃であった。分子量は、Mw24,400、Mn6,100であった。
・BPA−2PO:25mol%
・BPA−2PO:25mol%
・テレフタル酸(TPA):35mol%
・シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA):15mol%
・ジブチルスズオキサイド:0.5mol%
以上の成分を(有)マグネオ技研製マグネオシールミキサーに投入し、250℃で溶融し、窒素置換した後、減圧下250℃で10時間重縮合を行い、ポリエステル樹脂11を得た。
ポリエステル樹脂11の物性値を測定すると、ゲル分率0%、Tg63℃、軟化温度108℃であった。分子量は、Mw18,400、Mn6,300であった。
上記のポリエステル樹脂1〜11で薄いプレートをそれぞれ作製し、生分解性評価を行った。
約10cm2の上記フイルムを土壌中の水分率が50%以上を保持しできる、比較的湿度の高い(日当たりの悪い)土壌中に埋めた(地表から15cm)。また、比較的日当たりがよく、湿度の低い土壌中(地表から7cm)にも同様に試験片を埋めて、6ヶ月経過時、12ヶ月経過時の2回評価した。評価基準は以下の通りである。
○:プレート形状が大部分消失した。(重量減が80重量%以上)
△:プレート形状が半分近く消失した。(重量減が50重量%以上80重量%未満)
×:プレート形状がほぼそのまま残っていた。(重量減が50重量%未満)
・シアン顔料(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン、C.I.Pigment Blue 15:3):4部
・ポリエステル樹脂1:96部
上記混合物をエクストルーダー(TEM48、東芝機械(株)製)で混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで破砕した後、ジェットミルで粉砕した。その後、風力分級機で分級して、平均体積粒子径(D50)が7.5μm、平均体積粒子分布(GSDv)が1.22、SF1が130のトナー粒子を得た。
このトナー粒子にシリカTS720(キャボット社製)0.5重量%をヘンシェルミキサーで添加混合し、外添トナーを作製した。
また、50ミクロンのフェライトコアにポリメチルメタクリレート(綜研化学(株)製)を1重量%コートしたキャリアを作製した。
この外添トナーとキャリアとを混合し、現像剤を作製した。
ポリエステル樹脂2〜11をそれぞれ使用した以外は、トナー実施例1と同様にトナー粒子を作製し、さらに現像剤を作製した。
ジェットミルによって混練粗粉砕物を微粉砕する際、体積平均粒径(コールターカウンターTA−11型、アパーチャー径100μm)9.0μmになる供給量の比(実施例1を1.0とし、その他をこの供給量で割って算出)をトナー粉砕性指標とした。トナー粉砕性指標が大きいほど粉砕されやすく、0.8以上を許容範囲とした。
本発明の画像形成方法を実施しうる画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製Docuprint305を2成分トナー現像器に改造したもの)を用いて最低定着温度を測定した。この画像形成装置における定着ロールは、アルミロールコア表面にアルマイト皮膜を形成したものを用い、オイルロールにより、0.1mg/A4のシリコーンオイルを供給した。定着ロールの表面材料であるアルマイト皮膜の熱伝導率は30W/mKであった。
定着ロール表面温度が60℃から+5℃おきに定着を行った。ソリッド部のトナー量が0.5mg/cm2になるように調整し、定着像のほぼ中央になるように内側に折り目を入れ、定着像が破壊された部分をティッシュペーパーで拭い取り、白抜けした線幅を測定し、白抜けした線幅が0.5mm以下となる温度を最低定着温度とした。用紙は富士ゼロックス(株)製J紙を用いた。
上記のように作製した現像剤を用いて、被画像形成媒体(被記録媒体)として富士ゼロックス(株)製JD紙(地合い指数38)を用い、ハーフトーン画像を被画像形成媒体上に作成した。
その際の画像の欠損、及び、ムラを目視にて判断した。評価基準は以下の通りである。
○:画像に欠損、及び、ムラは認められない。
△:わずかな画像欠損、及び/又は、ムラが認められる。
×:明白な画像欠陥が認められる。
上記のように作製した現像剤を高温高湿度環境(28℃85%RH)下で6ヶ月保管した後に、被画像形成媒体として富士ゼロックス(株)製JD紙(地合い指数38)を用い、ハーフトーン画像を被画像形成媒体上に作成した。
その際の画像の欠損、ムラを目視にて判断した。評価基準は以下の通りである。
○:画像に欠損、及び、ムラは認められず、保管前と画質に変化がない。
△:わずかな画像欠損、ムラが認められる、及び/又は、保管前に比べ画質が悪化している。
×:明白な画像欠陥が認められる、及び/又は、保管前に比べ明確に画質に悪化が確認される。
上記のように同様の条件で保管した現像剤を用いて、パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)を用い、上段より目開き53μm、45μm及び38μmのふるいを直列的に配置し、53μmのふるい上に正確に秤量した2gの前記試料を投入し、振幅1mmで90秒間振動を与え、振動後の各ふるい上のトナー質量を測定し、それぞれの質量に順に0.5、0.3、0.1を乗じた数値を加算し、もとの試料の重さ(2g)に対する百分率として粉体凝集性の指標の数値を算出した。また、測定は、25℃50%RHの環境下で行った。
評価基準は、以下の通りである。
○:粉体凝集性の指標の数値が45以下
△:粉体凝集性の指標の数値が45を越え60未満
×:粉体凝集性の指標の数値が60以上
Claims (9)
- 全モノマー単位のうち、(A)芳香環を有するジオール由来のモノマー単位を10〜25mol%、及び、(B)エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位を15〜50mol%含み、
ゲル分率が1.0〜15%であり、
アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く全金属原子の総含有量が、15ppm以下であり、
重量平均分子量が、8,000〜200,000であることを特徴とする
静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂。 - (C)芳香環を有しない脂肪族ジオール由来のモノマー単位をさらに有する請求項1に記載の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂。
- (D)芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位をさらに有する請求項1に記載の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂。
- (D)芳香環及びエチレン性不飽和結合を有しない脂肪族ジカルボン酸由来のモノマー単位をさらに有する請求項2に記載の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂。
- 芳香環を有するジオールを重縮合性単量体の全量に対して10〜25mol%、及び、エチレン性不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸を重縮合性単量体の全量に対して15〜50mol%含む重縮合性単量体を、触媒として硫黄酸を用い重縮合する工程を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂、又は、請求項5に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像トナー。
- 請求項6に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含み、
前記現像剤として請求項6に記載の静電荷像現像トナー、又は、請求項7に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成方法。 - 潜像保持体と、
前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有し、
前記現像剤として請求項6に記載の静電荷像現像トナー、又は、請求項7に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成装置。
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