JP5299223B2 - 複合磁性材料、並びに、これを用いたアンテナ及び無線通信機器 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性粉末が絶縁性材料中に分散された複合磁性材料、並びに、これを用いたアンテナ及び無線通信機器に関する。
近年、携帯電話機等の無線通信機器においては、使用周波数帯の高周波数化が進行してきている。例えば、第一世代の携帯電話機は使用周波数帯が800MHz帯であるのに対し、2001年からサービスが開始された第三世代の携帯電話では、使用周波数帯が2GHz帯となっている。このため、2GHz帯の高周波数で使用できるアンテナが求められている。また、無線通信機器の多機能化にともない複数の無線方式を搭載するマルチバンド化が進展しきており、このような無線通信機器に用いられるアンテナにおいては、例えば数百MHz程度の広い周波数帯域において使用可能であることが要求される。さらに、近年は、無線通信機器の小型化にともなって、アンテナ自身の小型化も重要になってきている。このように、近年の無線通信機器に用いられるアンテナには、小型化及び高周波数において広帯域で使用できること(広帯域化)の両立が求められる。
このようなアンテナの小型化及び高周波数に関する技術として、例えば、特許文献1には、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方からなる基体と、該基体の表面及び内部の少なくとも一方に、少なくとも1つのミアンダ状の導体と、前記基体表面に、前記導体に電圧を印加するための少なくとも1つの給電用端子を備え、回帰式に基づいて共振周波数を決定したミアンダラインアンテナが記載されている。そして、この技術によれば、波長短縮効果を利用することによりアンテナの小型化を図ることができると記載されている。
また、特許文献2には、GHz帯で透磁率の損失係数が小さい六方晶フェライト、特にY型フェライトを主相とする六方晶フェライトの焼結体を磁性材料として用いた基体と、該基体表面および内部のうち少なくとも一方に形成された少なくとも1つの電極を備えるアンテナが記載されている。そして、この技術によれば、高透磁率、低損失係数、低誘電率の六方晶フェライトを用いることにより、広帯域・高利得のアンテナが得られると記載されている。
一方、特許文献3には、扁平状のパーマロイ磁性粉末を絶縁性材料中に好適に混合分散することにより、1GHzの周波数おいて比透磁率μrが1よりも大きく、かつ損失正接tanδが0.1以下である複合磁性体が得られることが記載されている。そして、この技術によれば、磁性粉末の分散を好適に実施することにより、500MHz〜1GHzの周波数帯でも損失の低減が可能であると記載されている。
また、特許文献4には、マグネタイト(Fe)等の超常磁性を示す磁性ナノ粒子を非磁性のマトリックス中に分散させたナノ複合磁性誘電材料を用いたアンテナが記載されている。そして、この技術によれば、ナノ複合磁性誘電材料を使用することにより、波長短縮、低損失、等方性といった特性に基づいて、高周波数領域においても異方性のない良好な透磁率を得ることができ、アンテナの小型化を図ることができると記載されている。
特開平10−145123号公報 再表2006/064839号公報 特開2008−181905号公報 特開2008−228227号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、小型化を実現しようとすると、高効率が得られる帯域が狭められ、その結果、使用可能な周波数帯域が制限されるおそれがあるという問題があった。また、高誘電率の誘電材料を用いた場合は、特性インピーダンスの低下及び給電線とのインピーダンス不整合を引き起こし、その結果、感度及び動作帯域を低下させてしまう要因ともなる。
また、特許文献2に記載の技術は、Y型六方晶フェライト焼結体の1GHz以上の高周波帯域での磁気損失が大きく、使用可能な周波数帯域が制限されるおそれがあるという問題があった。
また、特許文献3に記載の技術は、扁平化により透磁率、誘電率が共に増加し、それに伴い、1GHz以上の高周波帯域で磁気損失、誘電損失も増大し、使用可能な周波数帯域が制限されるおそれがあるという問題があった。また、扁平状の磁性粉末の使用は、無指向性アンテナの実現に不向きである。
また、特許文献4に記載の技術は、磁性ナノ粒子のマトリックス樹脂に対する分散性及び充填性が悪く、かつハンドリング性に劣り量産に不向きであるという問題があった。
本発明は、かかる実情に鑑みて為されたものであり、その目的は、高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナを実現し得る複合磁性材料、並びに、これを用いたアンテナ及び無線通信機器を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、粒子内に平均結晶子径が2〜100nmの結晶子(以下、「ナノ結晶子」ともいう。)を有する平均粒子径D50%が0.1〜3μmの略球状の鉄粉を比較的に低損失な絶縁性材料に配合することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合磁性材料は、磁性粉末が絶縁性材料中に分散された複合磁性材料であって、前記磁性粉末は、97wt%以上のFeを含有する軟磁性金属を含む略球状の粉末であり、その平均粒子径D50%が0.1〜3μmであり、且つ、粒子内に平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有し、前記絶縁性材料は、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満であり、全体積に対する前記磁性粉末の体積比率が2〜50vol%である、ことを特徴とするものである。
本発明者らが、上記の複合磁性材料を用いて作製したアンテナの特性を測定したところ、そのアンテナは、従来のものに比して、高周波数における帯域幅及び効率に優れるのみならず小型化されたものであることが確認された。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
上記の複合磁性材料においては、従来のものに比して、比較的に、比透磁率μ’が高く比誘電率ε’の低いナノ結晶子を有する鉄粉と、比誘電率ε’の低い絶縁性材料とを用いているため、複合磁性材料全体としては透磁率が高く且つ誘電率が低く制御され、複合磁性材料全体の比透磁率μ’と比誘電率ε’との積が比較的に高く維持されて波長短縮効果が有効に発揮される。すなわち、上記の複合磁性材料においては、従来のものに比して、誘電率の増加を抑えつつ透磁率を大きくできるので、帯域幅を過度に狭めることなく波長短縮させることができ、アンテナの小型化が図られる。また、周波数2GHzにおける透磁率の損失係数tanδμ及び誘電率の損失係数tanδεが共に低いため、極端な効率低下を招くことはない。
これに対し、上記の従来技術(特許文献1)においては、謂わば、誘電率を高めることのみにより小型化及び波長短縮を図っていたため、その誘電率の増大にともなって特に2GHz以上の高周波数における帯域幅が狭まり且つ低効率となっていたものと考えられる。また、透磁率を複合させた材料に関しても(特許文献2乃至4)、磁気損失が大きく効率の低下を招いていた。
また、上記の複合磁性材料においては、平均粒子径D50%が0.1〜3μmであり平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有する磁性粉末を用いているため、磁気損失、特に渦電流損失の増大が抑制される。さらに、磁性粉末の配合量を比較的に少なくすることにより、磁気損失の増大が抑制される。したがって、かかる複合磁性材料を用いてアンテナを構成することにより、1〜5GHzの高周波数、特に2GHz以上の高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナが実現される。
しかも、上記の複合磁性材料においては、略球状の磁性粉末が採用されているので、高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型の無指向性アンテナを簡易に実現可能である。
その上さらに、平均粒子径D50%が0.1〜3μm程度の磁性粉末は絶縁性樹脂への分散性及び充填性に優れるので、かかる複合磁性材料は、製造工程におけるハンドリング性が高められたものとなる。したがって、かかる複合磁性材料は、量産化が容易で、生産性及び経済性が高められたものとなる。但し、作用はこれらに限定されない。
上記の複合磁性材料において、前記絶縁性材料は、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ABS系樹脂、SEBS系樹脂及びPC/ABS系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの素材から絶縁性材料を選択することにより、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満のものが容易に得られる傾向にある。
上記の複合磁性材料において、周波数2GHzにおける比透磁率μ’が1.1よりも大きく、周波数2GHzにおける比誘電率ε’が10よりも小さく、且つ、周波数2GHzにおける透磁率の損失係数tanδμ及び誘電率の損失係数tanδεがともに0.1以下であることが好ましい。高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナが容易に実現可能となる。
一方、本発明のアンテナは、上記本発明の複合磁性材料を用いて有効に得られるものであって、上記本発明の複合磁性材料を用いて構成される基体と、前記基体の表面及び/又は内部に形成された少なくとも1つの導体と、前記導体と電気的に接続されて、前記導体に電気エネルギーを供給する給電端子と、を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の無線通信機器は、上記本発明のアンテナを用いて有効に得られるものであって、上記本発明のアンテナを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナを実現し得る複合磁性材料、並びに、これを用いたアンテナ及び無線通信機器が提供される。しかも、本発明によれば、高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型の無指向性アンテナをも簡易に実現可能となる。また、本発明の複合磁性材料は、製造工程におけるハンドリング性が高められているので、量産が容易であり、その結果、これを用いたアンテナ及び無線通信機器は、生産性及び経済性に優れたものとなる。
本実施形態の複合磁性材料を用いて構成されるアンテナを概念的に示す斜視図である。 アンテナを構成する磁性材料の誘電率と効率との関係を示す図である。 本実施形態の複合磁性材料を用いて構成されるアンテナを備える携帯電話機を示す図である。 アンテナの特性を評価するためのモデルを示す概念図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
まず、本実施形態のアンテナについて説明する。
図1は、本実施形態のアンテナを概念的に示す斜視図である。アンテナ1は、基体2と、この基体2の表面及び/又は内部に形成された少なくとも1つの導体4と、この導体4と電気的に接続される給電端子6と、から構成されている。基体2は、後述する本実施形態の複合磁性材料を用いて構成されている。導体4は、例えば、銅や銅合金を印刷、蒸着、貼り合わせ、あるいはメッキによって基体2の表面に設けられる。導体4の形状は、図1に示すものに限定されるものではなく、例えば、ミアンダ状、ヘリカル状等の様々な形状を用いることができる。給電端子6は、導体4と給電線とを電気的に接続する端子であり、給電線から供給される電圧又は電流を導体4に印加する。なお、基体2の形状は、特に限定されず、無線通信機器に搭載する際に求められる種々の形状を採用することができるが、一般的には、図1に示すような直方体が好ましい。
ここで、アンテナ特性は、基体2(複合磁性材料)に用いる磁性粉末の比誘電率をε’、比透磁率をμ’とすると、磁性粉末内を通過する電磁波(電波)の波長λは、下記式に示すものとなる(波長短縮効果)。かかる下記式から、比透磁率μ’と比誘電率ε’との少なくとも一方を大きくすれば、波長λは小さくなるので、基体2の寸法を小さくできる。すなわち、アンテナ1の寸法を小さくできる。
λ∝1/√(μ’×ε’)
図2は、アンテナを構成する磁性材料の誘電率と効率との関係を示す図である。図2の効率Eは、(電磁波へ変換されるエネルギー)/(アンテナへ供給される電気エネルギー)である。図2から、例えば、図1に示すアンテナ1の基体2に用いられる磁性材料の誘電率が大きくなるにしたがって、所定の効率(例えば50%)以上となる周波数の範囲(帯域幅)が小さくなることが理解される。したがって、磁性材料内を通過する電磁波の波長λを小さくするために基体2の誘電率、すなわち磁性材料の誘電率を無闇に大きくすると、所定の効率が得られるアンテナ1の帯域幅を小さくしてしまう。これが従来技術における1つの問題点であった。
これに対し、本実施形態のアンテナにおいては、磁性粉末が絶縁性材料中に分散された複合磁性材料を用いているため、そのアンテナの特性は、基体2(複合磁性材料)に用いる磁性粉末の比誘電率ε’及び比透磁率μ’並びに絶縁性材料の比誘電率ε’の合成値になる。したがって、比較的に比透磁率μ’が大きな磁性粉末を採用することにより波長λを小さくすることができるので、複合磁性材料全体として透磁率を過度に大きくしなくても波長短縮効果が発揮される。これにより、本実施形態のアンテナは、小型化と1〜5GHz帯域の高周波における広帯域化(高効率化)を両立している。
次に、本実施形態の複合磁性材料について説明する。
本実施形態の複合磁性材料は、磁性粉末が絶縁性材料中に分散された複合磁性材料であって、磁性粉末は、97wt%以上のFeを含有する軟磁性金属を含む略球状の粉末であり、その平均粒子径D50%が0.1〜3μmであり、且つ、粒子内に平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有し、絶縁性材料は、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満であり、全体積に対する磁性粉末の体積比率が2〜50vol%である、ことを特徴とする。
ここで、本明細書において、「略球状」とは、長径と短径とのアスペクト比、すなわち、体積平均した長径/短径比が1〜10の範囲内にあるものを意味する。さらに、本明細書において、「平均粒子径D50%」とは、乾式のレーザー回折散乱式の粒子径分布測定装置によって測定される値を意味し、その詳細な測定条件は、後述する実施例において定めたものとする。
また、本明細書において、「結晶子」とは、(多結晶体である)粒子内において単結晶と看做せる最小の微結晶単位を意味し、より具体的には、粉末X線回折法により検知されるものを意味する。
さらに、本明細書において、「結晶子径」は、ホールの方法により算出される値を意味し、より具体的には、下記式に基づいて算出される近似値を意味する。ここでは、X線回折法により測定された2以上のX線回折ピークに基づいて積分幅βを算出し、βcosθ/λ及びsinθ/λをプロットした図から最小二乗法に基づいて回帰した一次関数(下記式参照)を求めることにより、平均結晶子径を算出する。なお、結晶子径の詳細な測定条件は、後述する実施例において定めたものとする。
磁性粉末は、97wt%以上、好ましくは97.8wt%以上のFe(純鉄および不可避的不純物を含む鉄が含まれる。)を含有する軟磁性金属を含む粉末(粒子、鉄粉)である。Feが97wt%未満であると、磁気損失が増大する傾向にある。かかる軟磁性金属の具体例としては、例えば、Feのみ、Feに他の元素(例えば、Si、P、Co、Ni、Cr、Al、Mo、Mn、Cu、Sn、Zn、B,V、Snなど)を少量添加した組成物等が挙げられる。これらは、1種のみを単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい軟磁性金属としては、特に限定されないが、0.5wt%以下のP、0.1wt%以下のMn、0.03wt%以下のAl、V、Cu、As、Mo、残部がFeの組成を有するものが挙げられる。
磁性粉末は、略球状の粉末であることが必要とされる。略球状の粉末、すなわち、上述したようにアスペクト比が1〜10の範囲内にあるものを用いることにより、高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナを実現することができ、また、無指向性アンテナを容易に得ることもできる。アスペクト比が10を超えると、帯域幅が狭くなり、効率が低下する傾向にある。これらの観点から、磁性粉末のアスペクト比は、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
磁性粉末の平均粒子径D50%は、0.1〜3μmであることが必要とされる。平均粒子径D50%が0.1μm未満であると、磁性粉末の絶縁性材料への分散性及び充填性が悪く、且つ製造工程におけるハンドリング性が劣化する傾向にある。平均粒子径D50%が3μmを超えると、平均結晶子径が2〜100nmの範囲内に制御されたものを得ることが困難になり、また、磁気損失が増大する傾向にある。平均結晶子径を小さく保つ観点から、平均粒子径D50%は1.5μm以下であることが好ましい。
磁性粉末は、粒子内に平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有することが必要とされる。このようなナノ結晶子を有する磁性粉末を用いることにより、磁気損失、特に渦電流損失の低減効果が確実に発揮される。磁気損失の増大をより一層確実に抑制する観点から、ナノ結晶子の平均結晶子径は20nm以下であることが好ましい。平均結晶子径が2nm未満のナノ結晶子を有するものは、現状、得難い。また、平均結晶子径が100nmを超えるナノ結晶子を有するものを用いると、渦電流損失が増大する傾向にある。なお、ナノ結晶子の平均結晶子径は、磁性粉末の製造条件を調整することにより制御可能である。結晶子の平均結晶子径は、一般的には、磁性粉末に熱を印加することにより大きくなる傾向にあり、磁性粉末を急冷することにより小さくなる傾向にある。
なお、上記の磁性粉末は、公知の方法により製造することができ、その製法は特に限定されない。上述した好ましい組成・粒径・結晶子を有するものが簡易且つ低コストで得られる観点から、カルボニル法により得られる還元鉄粉(カルボニル還元鉄粉)であることが好ましい。カルボニル法は、鉄(Fe)に一酸化炭素を反応させてペンタカルボニル鉄を得た後、これを蒸留・熱分解することにより、カルボニル鉄粉を得るものである。なお、カルボニル還元鉄粉は、通常、得られたカルボニル鉄粉を水素還元することにより得られる。
本実施形態では、磁性材料として、上述した組成・形状・結晶子を有する鉄粉、好ましくは上述した組成・形状・結晶子を有するカルボニル還元鉄粉を用いる。そして、このような鉄粉を、比較的に比誘電率ε’が低い縁性材料に所定量配合することにより、誘電率の増加を抑制しつつ透磁率を大きくすることができ、また、共鳴周波数がGHz帯の高周波数にシフトさせることができ、その結果、作製される複合磁性材料の1〜5GHz帯の高周波数における磁気損失及び誘電損失の低減が図られる。したがって、このようにして作製された複合磁性材料を、高周波数を対象とするアンテナの基体に用いれば、小型化を実現しつつ、1〜5GHz帯の高周波数における帯域幅が広く高効率なアンテナが実現される。したがって、上述した組成・形状・結晶子を有する鉄粉は、従来において使用されていた六方晶フェライト粒子、パーマロイ、磁性ナノ粒子等に比して、絶縁性材料に分散させて用いる磁性粉末として、高周波数の電磁波(電波)に適した磁性材料である言える。
本実施形態の複合磁性材料を構成する絶縁性材料としては、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満、より好ましくは0.007以下のものが用いられる。周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01以上である絶縁性材料を用いることにより、1〜5GHzの高周波数、特に2GHz以上の高周波数において帯域幅が狭くなり低効率となる傾向にある。
絶縁性材料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の絶縁性樹脂、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。このような絶縁性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂(PA)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリウレタン系樹脂(P)、フェノール系樹脂(PF)、エポキシ系樹脂(EP)、ポリカーボネート系樹脂(PC)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリイミド系樹脂(PI)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(PET)、ABS系樹脂、SEBS系樹脂及びPC/ABS系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。絶縁性材料は、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満のものであれば、特に制限なく用いることができる。
好ましい絶縁性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ABS系樹脂、SEBS系樹脂及びPC/ABS系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満のものが容易に入手可能であるため好ましい。なお、複合磁性材料は、必要に応じて、分散材、潤滑剤、成形助剤等の当業界において公知の添加剤を含んでいてもよい。
以下、本実施形態の複合磁性材料及びアンテナの好適な製法につき詳述する。
本実施形態の複合磁性材料は、上述した磁性粉末を、必要に応じて分散剤等の添加物とともに、絶縁性材料に所定割合で配合(混合)し、得られた混合物をさらに必要に応じて混練することにより作製することができる。
ここで、上述した磁性粉末を絶縁性材料中に均一分散させる観点から、混合の際には、磁性粉末及び必要に応じて配合される添加物を溶媒に加えて得た混合物を用い、この混合物を絶縁性材料に配合(混合)することが好ましい。ここで使用可能な溶媒としては、例えば、鉱物油、合成油、植物油等の油や、アセトン、トルエン、アルコールといった有機溶媒等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
また、上記の混合物は、解砕装置を用いて解砕処理を施すことが好ましい。解砕処理を行うことにより、磁性粉末を均一分散させることができるとともに、磁性粉末の凝集(一次粒子の凝集)を解き、二次粒子の粒子径(磁性粉末の平均粒子径D50%)を低減することができる。かかる解砕処理に使用可能な解砕装置としては、一次粒子の凝集を解き二次粒子の粒子径を低減可能なものである限り、特に限定されない。例えば、メディアを用いたボールミルやビーズミル等の他、プラネタリーミキサー、オープンニーダー、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー等の所謂混練機、混合機、攪拌機、増粒機或いは分散機等を、その名称に囚われることなく解砕装置として用いることができる。
磁性粉末と絶縁性材料との混合は、均一分散させる観点から、溶媒の存在下で行うことが好ましい。ここで使用可能な溶媒としては、例えば、鉱物油、合成油、植物油等の油や、アセトン、トルエン、アルコールといった有機溶媒等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
磁性粉末と絶縁性材料との混合物は、公知の装置を用いて混合及び混練することが好ましい。ここで使用可能な装置としては、例えば、メディアを用いたボールミルやビーズミル等の他、プラネタリーミキサー、オープンニーダー、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー等の混合機、混練機、攪拌機、増粒機或いは分散機等が挙げられるが、これらに特に限定されない。この混合又は混練処理により、磁性粉末が絶縁性材料中に均一に分散された複合材(複合磁性材料)が作製される。
そして、上記本実施形態の複合磁性材料を、公知の手法(例えば、所定の温度条件下(例えば、100〜140℃)、所定の圧力(例えば、3〜10MPa)でプレス成形する等)にて、棒状又は板状或いはシート状等の任意の形状に成形することにより、本実施形態のアンテナを作製することができる。なお、複数の複合磁性材料を積層して本実施形態のアンテナを構成してもよい。
かくして得られる本実施形態の複合磁性材料及びアンテナにおける磁性粉末の含有割合(充填量)は、複合磁性材料の全体積に対する体積比率で2〜50vol%であることが必要とされる。かかる範囲内に制御することにより、アンテナの小型化と広帯域化(高効率化)とを両立できる。磁性粉末の含有量が2vol%未満であると、透磁率の向上効果が不十分となり、アンテナの小型化が不十分となる傾向にある。磁性粉末の含有量が50vol%を超えると、磁性粉末が密になりすぎて渦電流損失が増加し、1〜5GHz帯域の高周波における帯域幅及び効率が損なわれる傾向にある。これらの観点から、磁性粉末の含有割合は、複合磁性材料の全体積に対して体積比率で2.5〜40vol%であることが好ましい。
本実施形態の複合磁性材料及びアンテナは、周波数2GHzにおける比透磁率μ’が1.1よりも大きく、周波数2GHzにおける比誘電率ε’が10よりも小さいことが好ましい。
また、本実施形態の複合磁性材料及びアンテナは、周波数2GHzにおける透磁率の損失係数tanδμ及び誘電率の損失係数tanδεが、ともに0.1以下であることが好ましい。
本実施形態の複合磁性材料及びアンテナは、絶縁性材料中に磁性粉末が分散されているので、磁性粉末を焼結したものに比して、寸法精度に優れる、焼成工程を経ないため形状の自由度が高い、等の利点がある。さらに、一般的な樹脂成形を適用できるので成形加工のプロセス裕度が高いという利点もある。
また、本実施形態の複合樹脂材料及びアンテナは、絶縁性材料中に磁性粉末を分散させた複合材料であるので、絶縁性材料の柔軟性により耐衝撃性能に優れるという利点もある。このため、本実施形態の複合磁性材料及びアンテナは、落下等によって衝撃が加わりやすい携帯電話機のような無線通信機器に好適である。
図3は、本実施形態に係る複合磁性材料を用いたアンテナを備える携帯電話機を示す図である。無線通信機器である携帯電話機10は、第1筐体10CAと第2筐体10CBとがヒンジ13で連結された折り畳み式の携帯通信機器である。第2筐体10CBの内部であって、ヒンジ13とは反対側における端部には、第1アンテナ11が配置される。第1アンテナ11は、携帯電話機10の無線通信に用いる送受信アンテナであり、携帯電話機10と基地局との間で、通話や電子メール等に係る電波の送受信に用いられる。ここで、携帯電話機10の使用周波数帯域は、2GHz帯である。
第1アンテナ11を構成する基体は、本実施形態の複合磁性材料を用いて構成されている。このため、第1アンテナ11を小型化できるとともに、携帯電話機10の無線通信に用いる周波数帯域(2GHz帯)において、第1アンテナ11を広帯域(200MHz程度)で使用できる。しかも、第1アンテナ11を小型化でき、さらに、第1アンテナ11を複雑な形状に成形することも容易であるため、携帯電話機10が備える内部機器の配置の自由度が向上し、携帯電話機10の筐体を小型化することもできる。
図3に示す携帯電話機10は、第2筐体10CBの内部であってヒンジ13側に、第2アンテナ12が配置される。第2アンテナ12は、例えば、GPS受信に用いられる受信アンテナであり、GPS衛星から発信される電波の受信に用いられる。第2アンテナ12の対象とする周波数帯域は、本実施形態においては1.5GHz帯である。第2アンテナ12の基体にも本実施形態の複合磁性材料を用いることで、1.5GHz帯という高周波の電波を対象とする第2アンテナ12を小型化できるとともに、GPS受信に用いる周波数帯域において、第2アンテナ12を広帯域(200MHz程度)で使用できる。第2アンテナ12は、携帯電話機10の筐体内で配置できる場所が限られるが、本実施形態の複合磁性材料を用いることで第2アンテナ12を小型化でき、さらに、第1アンテナ11を複雑な形状に成形することも容易であるため、筐体内における配置の自由度が向上する。
なお、本実施形態の複合磁性材料の適用対象は、上記の携帯電話機10のアンテナに限定されるものではなく、GHz帯、特に2〜5GHz帯を使用する無線通信機器全般に対して適用できる。また、本実施形態の複合磁性材料は、高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナを実現できるので、特に、携帯電話機やPDA(Personal Data Assistant)、あるいはパーソナルコンピュータ等に装着されてデータ通信等に用いられる情報通信用カード等の小型化が要求される携帯通信機器に対して好適である。
さらに、本実施形態の複合磁性材料は、無線通信機器であれば、携帯の有無や持ち運びの容易性について特に制限されず適用できる。例えば、本実施形態の複合磁性材料は、携帯電話機の室内アンテナや室内に配置される無線LAN用の送受信機等のようなものであっても適用でき、このようなものの中でも、特に小型化が要求されるものに対して好適である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例における測定方法及び測定条件を以下に示す。
<平均粒子径D50%>
磁性粉末の平均粒子径D50%は、乾式のレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOSシステム、Sympatec社製)を用いて測定した。測定条件については、測定レンジはR1、計算モードはHRLD、形状係数は1、リファレンス測定継続時間は2秒、タイムベースは100m秒とし、分散圧は2.0barとした。
<平均結晶子径>
結晶子の平均結晶子径は、高速検出器を備える全自動多目的X線回折装置(X’Pert PRO MPD、PANalytical社製)を用いて測定した。測定条件については、X線管球はCu、管電圧は45kV、管電流は40mA、ステップサイズは0.0167°、スキャンスピード0.01°/秒とした。また、入射側光学系の条件としては、10μmのNiフィルターを用い、ソーラースリット1/2°、マスク10μm、散乱防止スリット1°とし、受光側光学系の条件としては、20μmのNiフィルターを用い、散乱防止スリット5.5mm、ソーラースリット0.04°とした。
<Fe含有量>
磁性粉末中のFe含有量は、XRF分析及びICP分析を用いて測定した。
<絶縁性樹脂の周波数2GHzにおける比誘電率ε’>
絶縁性樹脂の周波数2GHzにおける比誘電率ε’は、1mm×1mm×80mmの棒状の試験片に対し、ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて測定した。具体的には、空洞共振器摂動法により、室温における2GHzでの複素誘電率の実部ε’、誘電損失係数tanδεを測定した。
<複合磁性材料の周波数2GHzにおける比誘電率ε’>
複合磁性材料の周波数2GHzにおける比誘電率ε’は、1mm×1mm×80mmの棒状の試験片に対し、ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて測定した。具体的には、空洞共振器摂動法により、室温における2GHzでの複素誘電率の実部ε’、誘電損失係数tanδεを測定した。
<複合磁性材料の周波数2GHzにおける比透磁率μ’>
複合磁性材料の周波数2GHzにおける比透磁率μ’は、外形7mm、内径3mm、厚さ2mmの環状の試験片に対し、ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて測定した。具体的には、同軸型Sパラメータ法により、室温における2GHzでの複素透磁率の実部μ’、磁気損失係数tanδμを測定した。
<効率帯域幅及び小型化率>
実施例及び比較例の複合磁性材料を用いて図4に示すアンテナを作製し、このアンテナの効率帯域幅を測定した。なお、効率帯域幅は、周波数2GHzを中心とした効率が50%以上となる周波数の範囲とした。
図4は、アンテナの特性を評価するためのモデルを示す概念図である。アンテナ1は、基体2に導体4及び導体4と電気的に接続される給電端子6を設けて構成される。アンテナ1は、長辺の長さがA、短辺の長さがBの矩形形状をした基板8上の短辺側端部側に配置されて、給電端子6を介して導体4に電気エネルギーが供給される。アンテナ1の形状は立方体であり、高さ(基板8の板面と直交する方向の寸法)H、長さ(基板8の短辺と平行な方向の寸法)L、幅(基板8の長辺と平行な方向の寸法)Wである。
ここでは、実施例及び比較例の複合磁性材料を用いて基体2を各々作製する。そして、それぞれの基体2に導体4及び給電端子6を設け、実施例及び比較例の複合磁性材料にそれぞれ対応したアンテナを各々作製する。本例においては、基板8の長辺の長さA=80mm、短辺の長さB=37mmとした。また、アンテナ1の高さH=7mm、幅W=9mmとした。アンテナ1の特性として評価する効率帯域幅は、効率が50%以上となる2GHzを中心とした周波数の範囲とした。また、アンテナ1の特性として評価する小型化率は、2GHzで反射損失のピークを有するようにLの値を各々求め、比較例1のLの値を基準値とした相対評価とした。すなわち、小型化率は、比較例1のアンテナ1と比較して、どの程度アンテナ1の長さが小さくなるかを表す。なお、反射損失は、(反射によって戻ってくる電気エネルギー)/(アンテナへ供給される電気エネルギー)である。
(実施例1〜6及び比較例1〜9)
磁性粉末として表1に示すカルボニル還元鉄粉(BASF社製)を用い、この磁性粉末に溶剤(トルエン)及び分散剤(シランラップリング剤)を配合し、ボールミルで混合して、凝集体を解砕した。この混合物に、絶縁性材料としてのPC/ABS系樹脂を溶剤(トルエン)で溶解させた溶液を所定量加えて混合し、トルエン溶液中に磁性粉末が分散したスラリーを各々作製した。
次に、上記のようにして得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法により複合磁性材料のシートを成形した。得られたシートを切断して積層し、この積層体を所定の温度(120℃)且つ所定の圧力(3MPa〜10MPa)で所定時間(2分〜10分)プレスすることにより、実施例1〜6及び比較例1〜9の試験片並びにアンテナを作製した。表2に、評価結果を示す。
(実施例7〜13及び比較例10〜14)
PC/ABS系樹脂に代えて表3に示す絶縁性材料を用いること以外は、実施例3と同様に操作して、実施例7〜13及び比較例10〜14の試験片並びにアンテナを作製した。表4に、評価結果を示す。
(比較例15〜21)
カルボニル還元鉄粉に代えて表5に示す磁性粉末を用いること以外は、実施例3と同様に操作して、比較例15〜21の試験片並びにアンテナを作製した。表6に、評価結果を示す。
以上から明らかなように、本発明の範囲内の実施例1〜6のアンテナは、2GHz以上の高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナとして、有効に機能することが判明した。
一方、実施例1〜6と比較例1及び2との比較から、磁性粉末の体積比率が2vol%未満であると、小型化が図れないことが判明した。また、実施例1〜6と比較例3との比較から、磁性粉末の体積比率が50vol%を超えると、誘電率が大きくなり、且つ、磁気損失も増大することから2GHz以上の高周波数帯において有効に使用することができないことが判明した。
実施例1〜6と比較例4との比較から、Feの含有量が97wt%未満の磁性粉末を用いると、磁気損失が大きくなり、2GHz以上の高周波数において広帯域化が図れないことが判明した。
実施例1〜6と比較例5及び6との比較から、扁平な(非球状の)磁性粉末を用いると、磁気損失及び誘電損失がともに大きくなり、2GHz以上の高周波数帯において有効に使用することができないことが判明した。
実施例1〜6と比較例7との比較から、平均結晶子径が100nmを超える結晶子を有する磁性粉末を用いると、磁気損失が大きくなり、2GHz以上の高周波数において広帯域化が図れないことが判明した。また、実施例1〜6と比較例8及び9との比較から、たとえ平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有する磁性粉末であっても、平均粒子径D50%が0.1〜3μmの範囲内にないものを用いると、磁気損失が大きくなり、2GHz以上の高周波数において広帯域化が図れないことが判明した。
実施例3,7〜13と比較例10〜14との比較から、97wt%以上のFeを含有する軟磁性金属を含む略球状の粉末であり、その平均粒子径D50%が0.1〜3μmであり、粒子内に平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有する磁性粉末を、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満の絶縁性材料とともに用いることにより、2GHz以上の高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナが実現されることが判明した。
一方、比較例15〜21から、97wt%以上のFeを含有する軟磁性金属を含む略球状の粉末であり、その平均粒子径D50%が0.1〜3μmであり、粒子内に平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有する磁性粉末を用いずに、2GHz以上の高周波数において広帯域で且つ高効率で使用可能な小型アンテナを実現することは困難であることが示唆された。
なお、上述したとおり、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。
以上説明した通り、本発明に係る複合磁性材料及びアンテナ並びに無線通信機器は、1GHz以上の高周波数を対象とするアンテナ用途における広帯域化及び小型化に有用であり、携帯電話機、ゲーム機、PDA、パーソナルコンピュータ、室内アンテナ、無線LAN用の送受信機、情報通信用カード等の各種無線通信機器や携帯通信機器、及びそれらを備えるシステム等において広く且つ有効に利用可能である。
1…アンテナ、2…基体、4…導体、6…給電端子、8…基板、10…携帯電話機、10CA…第1筐体、10CB…第2筐体、11…第1アンテナ、12…第2アンテナ、13…ヒンジ。

Claims (4)

  1. 磁性粉末が絶縁性材料中に分散された複合磁性材料であって、
    前記磁性粉末は、97wt%以上のFeを含有する軟磁性金属を含む略球状の粉末であり、その平均粒子径D50%が0.1〜3μmであり、且つ、粒子内に平均結晶子径が2〜100nmの結晶子を有し、
    前記絶縁性材料は、周波数2GHzにおける誘電率の損失係数tanδεが0.01未満であり、
    全体積に対する前記磁性粉末の体積比率が2〜50vol%であり、
    周波数2GHzにおける比透磁率μ’が1.1よりも大きく、周波数2GHzにおける比誘電率ε’が10よりも小さく、且つ、周波数2GHzにおける透磁率の損失係数tanδμ及び誘電率の損失係数tanδεがともに0.1以下である、ことを特徴とする、
    複合磁性材料。
  2. 前記絶縁性材料は、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ABS系樹脂、SEBS系樹脂及びPC/ABS系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、
    請求項1に記載の複合磁性材料。
  3. 請求項1又は2に記載の複合磁性材料を用いて構成される基体と、
    前記基体の表面及び/又は内部に形成された少なくとも1つの導体と、
    前記導体と電気的に接続されて、前記導体に電気エネルギーを供給する給電端子と、を備えることを特徴とする、
    アンテナ。
  4. 請求項3に記載のアンテナを備えることを特徴とする、
    無線通信機器。
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