以下、本発明の実施形態を図1〜図5を参照しつつ説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の構成の概略)
まず、図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の概略を説明する。尚、本説明としては、画像形成装置としてを例に挙げて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ2の概略構成の一例を示す模型的断面図である。図2は、本発明の実施形態に係るプリンタ2の概略構成の一例を示すブロック図である。尚、図2では、制御信号の流れの一例を実線矢印で示し、駆動力の伝達の一例を破線矢印で示し、印刷に用いる画像データの流れの一例を白抜矢印で示す。
図1、図2に示すように、本発明の実施形態に係るプリンタ2は、主要な構成として、給紙部3、搬送路4、画像形成部5、定着装置6、制御部7、画像処理部8等を有する。
給紙部3は、コピー用紙、OHP用紙、ラベル用紙等の用紙(記録媒体)を収納するカセット31を含み、搬送モータM1の駆動を受けて回転する給紙ローラ32を有する。そして、画像形成を行う場合、給紙ローラ32が回転駆動することで、いずれかの給紙部3から用紙を搬送路4に向けて1枚ずつ送り出す。
前記搬送路4は、画像形成の際に、給紙部3から画像形成部5、定着装置6を経て、用紙がプリンタ2内から排出されるまで、用紙を搬送するための通路である。搬送路4には、用紙を案内するガイド(不図示)や、用紙を搬送するための搬送ローラ対41、42、43が適宜設けられる。そして、搬送ローラ対41、42、43には、搬送モータM1の駆動力が伝達され、搬送ローラ対41、42、43が回転する。これにより、所定の速度で用紙が、プリンタ2内で画像形成のために搬送される。
次に、本実施形態に係るプリンタ2の画像形成プロセスを説明する。画像形成部5は、感光体ドラム51上に形成すべき画像のトナー像を形成、担持する。トナー像形成後、感光体ドラム51上に形成されたトナー像が、搬送されてきた用紙に転写ローラ55によりに転写される。転写後、定着装置6は用紙にトナー像を定着させ、定着後、装置本体より排出される。このように、用紙に画像が形成される。
具体的に、トナー像を形成する前記画像形成部5は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラ55等により構成される。
前記感光体ドラム51は、その周面にアモルファスシリコン等の感光層を有するように形成された円筒状の回転体であり、回転自在に支持される。そして、図2に示すように、感光体ドラム51は、メインモータM2と接続され、メインモータM2の駆動が感光体ドラム51に伝達される。これにより、感光体ドラム51は、所定の方向に回転する。
感光体ドラム51の周囲には、感光体ドラム51を帯電させる帯電装置52と、感光体ドラム51に形成する画像の画像データに基づき、感光体ドラム51の周面を走査、露光して静電潜像を形成する露光装置53と、静電潜像に対しトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する現像装置54等が設けられる。
トナー像の形成を行う場合、まず、帯電装置52により感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。この帯電装置52は、帯電ローラや帯電ブラシ等により感光体ドラム51と接触して帯電させるものでもよいし、コロナ式放電器により非接触で帯電させるものでもよい。
次に、露光装置53が、帯電した感光体ドラム51の周面に、画像処理部8から送信される画像データに基づき(詳細は後述)、光を照射し、感光体ドラム51の周面に画像データに対応した静電潜像を形成する。尚、本実施形態での露光装置53は、以下説明するように、半導体レーザやポリゴンモータ、ポリゴンミラー、fθレンズ(不図示)等を備え、レーザ光により露光、走査を行うレーザユニットであるが、アレイ状に並べたLEDを光源としたものでも良い。
具体的に、露光装置53は、例えば、トナーを乗せる部分の感光体ドラム51の領域には、レーザ光を照射して電荷をキャンセルし、トナーを乗せない部分の感光体ドラム51の領域には、レーザ光を照射せず電荷をキャンセルしない。そして、露光装置53は、感光体ドラム51の軸線方向に1ライン分、レーザ光の点消灯を行いつつ走査・露光を行い、又、感光体ドラム51が回転に伴い、複数回、ライン単位での走査・露光を繰り返し、最終的に感光体ドラム51の面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム51に静電潜像が形成された後、収容するトナーを所定の電位に帯電させる現像装置54が、静電潜像に(感光体ドラム51に)トナーを供給する。現像装置54は、例えば、帯電したトナーを担持する回転体としての現像ローラ54aを備え、この現像ローラ54aに所定の電圧を印加して、トナーを飛翔させる。このトナーの飛翔で、感光体ドラム51にトナーが供給され、感光体ドラム51の周面に静電的に付着し、静電潜像が現像(可視像化)される。尚、プリンタ2をカラー対応とする場合、使用するトナーの色数に合わせて、現像装置54や感光体ドラム51等を複数設ければよい。
前記転写ローラ55は、感光体ドラム51とニップを形成するように回転可能に支持され、感光体ドラム51の回転方向において、現像装置54の下流側近傍に配される。用紙にトナー像の転写を行う場合、搬送路4は、感光体ドラム51の周面上のトナー像が用紙の適切な位置に転写されるように、トナー像のニップ到達タイミングに合わせて用紙を感光体ドラム51と転写ローラ55のニップに進入させる。その際、転写ローラ55には、トナー像の帯電する極性と逆極性の所定の電圧が印加され、その結果、感光体ドラム51から用紙にトナー像が転写される。
前記定着装置6は、用紙に転写されたトナー像の定着を行う。定着装置6は、例えば、発熱体を内蔵した加熱ローラ61と、加熱ローラ61に圧接し、ニップを形成する加圧ローラ62を備える。そして、加熱ローラ61と加圧ローラ62のニップに搬送されてきた用紙を進入させ、トナー像を加圧、加熱し、その結果、用紙の表面にトナーが定着される。定着完了後の用紙は、プリンタ2内から排出され、画像形成が完了する。尚、加熱ローラ61と加圧ローラ62は、定着モータM3により回転駆動する。
次に、図2に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタ2の制御部7及び画像処理部8について、説明する。
前記制御部7は、例えば、プリンタ2内に適宜設けられる制御基板上に設けられる。そして、制御部7は、プリンタ2を制御するために、CPU71や記憶部72を備える。又、制御部7は、プリンタ2の各構成に対し制御信号を伝達するため、各構成と信号線で接続される。例えば、制御部7は、記憶部72から読み出されたプログラムやデータに基づいて、画像形成部5、メインモータM2、定着装置6(定着モータM3)、給紙部3、搬送路4(搬送モータM1)等の動作を制御する。このようにして、品質の高い画像形成が行われるようにプリンタ2の動作は制御される。
記憶部72は、RAMやROMやHDD等の揮発性と不揮発性の記憶装置の組み合わせで構成され、制御プログラムや処理内容、処理用のデータ等を記憶し、展開する。CPU71はこの展開された制御プログラムやデータに基づき、各部、各装置、各モータ等に向けて制御信号を発する。
そして、制御部7には、各種コネクタ、ソケット(例えば、USBやLAN用のコネクタ等)を複数備えたI/F部73(インターフェイス部)が接続される。そして、I/F部73には、例えば、印刷しようとする画像のデータをプリンタ2に向けて送信するユーザ端末100(例えば、パーソナルコンピュータ)が、ネットワーク等で接続される。又、制御部7は、I/F部73を介し、ユーザ端末100と双方向の通信を行うことができる。これにより、例えば、ユーザ端末100で印刷に関し設定された内容を制御部7が受信することや、又、プリンタ2でエラーが発生した旨の情報をユーザ端末100に送信することができる。
そして、制御部7はユーザ端末100から受け取った画像のデータの画像処理を行う画像処理部8がプリンタ2内に設けられる。画像処理部8には、例えば、画像処理用の複数機能の回路を1つにまとめた集積回路であるASIC1(Application Specific Integrated Circuit、集積回路に相当)や、印刷用の画像データを蓄積しておく画像メモリ81等が設けられる。
画像メモリ81は、印刷実行のためユーザ端末100から送信された画像のデータを蓄積するメモリであり、例えば、画像処理前、画像処理中、画像処理後の画像データを蓄積しておくことができる。
そして、画像処理後の画像データは、画像処理部8から、画像形成部5の露光装置53に送信される。この時、例えば、画像データは、露光装置53の半導体レーザ装置の点消灯タイミングを指示する形式に変換される。例えば、1ライン分ずつ画像データが画像処理部8から露光装置53に出力され、露光装置53は、この画像データを受け取って静電潜像を形成する。
(画像処理部8の構成)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係る画像処理部8の構成の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る画像処理部8の構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態の画像処理部8は、例えば、一枚の回路基板80に構成され、制御部7等と接続される。尚、画像処理部8は、制御部7と同じ基板状に構成されても良い。そして、画像処理部8には、例えば、ASIC1、画像メモリ81のほか、第1発振器83、リセット回路84、第2発振器85が配される。
第1発振器83は、画像処理部8のシステムクロック信号CLK1を生成する。そして、画像処理部8では、このシステムクロック信号CLK1に基づき、データの送受信の同期が取られ、画像処理部8内のASIC1や画像メモリ81等に供給される。第1発振器83には、例えば、水晶振動子を用いたもの等、各種の発振回路を採用することができる。そして、第1発振器83は、矩形波を生成し、この矩形波がシステムクロック信号CLK1としてASIC1に供給される。尚、ASIC1内に、発振回路を内蔵し、水晶振動子等の振動子を接続するだけで、システムクロック信号CLK1がASIC1に供給されるようにしても良い。又、システムクロック信号CLK1は、画像処理部8以外の構成(例えば、制御部7)から供給を受けるようにしても良い。
このシステムクロック信号CLK1は、ASIC1内でのデータ転送等において、データ送信タイミングやデータのラッチ等の同期を取るために必要であり、ASIC1内の各モジュール等(符号10〜符号16等)に供給され、必要なクロック信号である。
リセット回路84は、例えば、プリンタ2の電源投入時や、エラー発生による動作停止等を解除するため、プリンタ2でリセットスイッチ(不図示)が押された場合に、システムリセット信号SRTを発する回路である。このシステムリセット信号SRTは、例えば、画像メモリ81や、ASIC1内の各モジュールに送信され、システムリセット信号SRTを受けると、画像メモリ81や各モジュールは、保持する内部状態(データ)を破棄し、強制的に初期状態に戻す。言い換えると、システムリセット信号SRTによって、ASIC1内の各モジュール等が初期化される。
このように、画像処理部8としての回路基板80は、ASIC1と、システムクロック信号CLK1を生成する第1発振器83と、動作用クロック信号CLK2を生成する第2発振器85と、システムリセット信号SRTを生成するリセット回路84とを備える。又、プリンタ2は、この回路基板80を備え、即ち、ASIC1を備える。
次に、ASIC1内の構成の一例を説明する。ASIC1内には、一定の機能を果たす回路の集まりである機能単位としてのモジュールが複数設けられ、モジュールの他、画像データや、実行する画像処理の設定を示すデータ等、演算に必要となるデータ等を記憶しておくレジスタ10等が設けられる。例えば、ASIC1内のモジュールとしては、コントロールモジュール11、データ変換モジュール12、変倍モジュール13、濃度変換モジュール14、出力モジュール15(15a、15b)、同期信号生成モジュール16等が設けられる。尚、これらのモジュールは一例に過ぎず、更に多くのモジュールが搭載されていても良い。
コントロールモジュール11は、ASIC1の画像データの転送、送信の制御等、ASIC1の動作全体を制御、管理する処理を行う部分である。データ変換モジュール12は、画像データの形式を変換する処理を行う部分である。例えば、ユーザ端末100から送信された印刷を行う画像データがPDL(ページ記述言語)で記述されたものである場合、このデータを画素値を有する複数の画素で形成されるラスタ形式の画像データに変換する等の処理を行うことができる。
変倍モジュール13は、例えば、画像データの縮小・拡大処理を行う部分である。濃度変換モジュール14は、例えば、ユーザ端末100での印刷の濃度設定に基づき、画像データ内の各画素の画素値の変更を行う処理を行う部分である。
出力モジュール15は、本実施形態のASIC1には、2つ設けられ、使用するか否かを選択することができる。本実施形態のプリンタ2では、露光装置53はレーザスキャナユニットであるので、各出力モジュール15は、各モジュールを経て、画像処理の完了した画像データを、露光装置53の半導体レーザ装置の点消灯タイミングを指示する形式に画像データを変換する。この時、ディジタルの画像形成装置では、画素にトナーをのせるか、のせないかの2値的な動作しかできず、中間的な濃度を再現するために、出力モジュール15a、15bは、一定領域の画素の範囲でトナーをのせる部分とのせない部分を設け、擬似的な中間調により印刷物での濃淡を表現するように画像データの変換を行う。即ち、出力モジュール15a、15bは、画像データに合わせて、どの位置にドットを打つか決める処理を行う。そして、使用すると選択された出力モジュールの処理した画像データは、例えば、露光装置53に向けて送信され、露光装置53は、この画像データに応じ、静電潜像を形成する。
又、本実施形態のASIC1に、2つの出力モジュール15a、15bが設けられるのは、扱う解像度がプリンタの機種によって異なり得るためである。例えば、一方の出力モジュール15aは、600dpi用のものであり、他方の出力モジュール15bは、1200dpi用のものであり、2つの出力モジュール15a、15bの扱う解像度が異なる。例えば、ローエンド(低価格帯)機種では、600dpiの方の出力モジュール15bのみが使用される。
そして、例えば、600dpiと1200dpiのように解像度が異なっても、同じ時間で印刷を行うには(同じ速度で静電潜像を形成するには)、露光装置53に送信される画像データの転送速度を異ならせなければならない。従って、回路構成や配線等によって一概には言えないが、単純計算で言えば、1200dpiは、600dpiよりも、同じ面積では画素数が4倍となる。従って、本実施形態のASIC1では、出力モジュール15aと出力モジュール15bでは、単位時間あたりの必要データ伝送量比は、単純に言えば、4対1となる。そのため、各出力モジュール15では、動作させるための動作用クロック信号CLK2の周波数が、それぞれ異なる。
又、本実施形態のASIC1では、出力モジュール15a、15bのうち、一方のみが使用される。尚、以下の説明では、図3に示すように、出力モジュール15aを使用するものとして説明を行う。当然、ASIC1を搭載するプリンタ2の機種によっては、出力モジュール15bのみが用いられることもある。尚、例えば、制御部7が使用する方を選択する制御信号を発する等により、出力モジュール15aと出力モジュール15bを併用することも、不可能ではない。
又、使用する出力モジュール15aには、出力モジュール15aを動作させるための動作用クロック信号CLK2を供給する第2発振器85が接続される。一方、使用されない出力モジュール15bには、発振器は接続されない。即ち、使用が選択された出力モジュール15aの入力端子92aに、動作用クロック信号CLK2の入力が入力され、使用が選択されない出力モジュール15bの入力端子92bには、動作用クロック信号CLK2は入力されない。
そして、同期信号生成モジュール16は、例えば、出力モジュール15a、15bから1ライン分や1ページ分の画像処理や露光装置53への送信開始、終了等、動作状況に関する信号を受け、同期用の信号を生成する部分である。例えば、同期信号SYNは、露光装置53に入力され、露光装置53を強制的に点灯させる場合や、場合によって感光体ドラム51上に形成される静電潜像の各ラインにおける露光開始位置を統一するため(各ラインの端部の位置ずれをなくすため)、露光・走査開始タイミングを計る際に用いられ得る。又、同期信号SYNは、例えば、制御部7に送信され、搬送ローラ対41、42、43や、転写ローラ55と感光体ドラム51のニップに用紙を送り込むタイミングを計るために用いることができる。尚、同期信号生成モジュール16は、ASIC1内で、出力モジュール15a、15bのいずれにも接続される。
尚、電源回路82は、商用電源や、プリンタ2内に配される電源装置(不図示)から電力の供給を受け、画像処理部8の各部に対し、駆動用の直流電圧を供給する回路である。例えば、電源回路82は、DC/DCコンバータや、レギュレータ等で構成することができる。
(使用しないモジュールの初期化)
次に、図4及び図5に基づき、本発明の実施形態に係るASIC1で使用しない出力モジュール15bの初期化を説明する。図4は、本発明の実施形態に係るASIC1に関し、主に出力モジュール15a、出力モジュール15bの部分に関する構成を抽出したブロック図である。図5は、使用するモジュールと使用しないモジュールに入力される波形の一例を示すチャート図である。
まず、各出力モジュール15a、15bのより詳細な構成を説明する。上述したように、ASIC1内には、複数の出力モジュール15が設けられるが、各出力モジュール15a、15b内では、実際に画像処理の演算を行う演算回路部91と、その前段に動作用クロック信号CLK2を入力するための入力端子92と、OR回路93(初期化用回路に相当)と、セレクト回路94が設けられる。
出力モジュール15aの入力端子92a、及び、出力モジュール15bの入力端子92bは、動作用クロック信号CLK2を受けるためのものである。そして、本実施形態のASIC1では、上述したように、一方の出力モジュール15aのみに対し、第2発振器85が接続され、第2発振器85からの動作用クロック信号CLK2が出力モジュール15aの入力端子92aに入力される。
そして、出力モジュール15aには、OR回路93aが、出力モジュール15bには、OR回路93bが設けられる。OR回路93a、93bは、いずれも2入力、1出力であり、いずれも第1発振器83からのシステムクロック信号CLK1と、リセット回路84からのシステムリセット信号SRTが入力され、この2入力の論理和を出力する。
又、各出力モジュール15には、各入力端子92と各OR回路93の信号のいずれかを選択して出力し、各演算回路部91に向けて出力するセレクト回路94がそれぞれ設けられる。この出力モジュール15aのセレクト回路94aと出力モジュール15bのセレクト回路94bには、それぞれ、出力モジュール15a、15bのうちいずれを使用するかの選択を行うための切替端子95a、95bが、それぞれ設けられる。即ち、セレクト回路94a、94bは、複数のうちいずれの出力モジュール15を使用するか否かを選択するための信号が入力される切替端子95a、95bを有する。
そして、セレクト回路94a、94bは、切替端子95a、95bの状態によって、OR回路93の出力を演算回路部91に伝達するか、入力端子92に入力される動作用クロック信号CLK2を演算回路部91に伝達するか選択を行う。そのため、例えば、切替端子95a、95bは、電源Vcc又は、グランドに接続される。尚、電源Vccとしては、例えば、画像処理部8の電源回路82の電源ラインを利用することができ、又、グランドとしては、例えば、電源回路82のグランド線を利用することができる。
尚、図4に示す例では、使用する出力モジュール15aでの切替端子95aは、電源Vccに接続され、High状態となる。そうすると、セレクト回路94aは、動作用クロック信号CLK2を選択し、動作用クロック信号CLK2は、演算回路部91aに入力される。又、図4に示す例では、使用されない出力モジュール15bでの切替端子95bは、グランドに接続され、Low状態となる。そうすると、セレクト回路94bは、OR回路93bの出力を選択し、OR回路93bの出力が演算回路部91に入力される。
従って、本実施形態のモジュールでは、セレクト回路94の切替端子95a、95bの電源Vcc若しくはグランドへの固定的な接続で使用、不使用が決定される。より具体的には、本実施形態では、セレクト回路94a、94bのうち、使用するモジュールのものは、切替端子95の状態をHighとし、使用しないモジュールのものは、切替端子95をLow状態とする。尚、切替端子95a、95bの状態がLow状態のとき、動作用クロック信号CLK2を演算回路部91に伝達するセレクト回路を使用してもよい。
ここで、プリンタ2の主電源投入で、画像処理部8にも電力が供給され、画像処理部8やASIC1の駆動が開始されるが、使用されない出力モジュール15bは、ASIC1内の配線により電源供給を受けるものの、動作用クロック信号CLK2が入力されないので、出力モジュール15bは、初期化動作を行うことができず、出力モジュール15bから出力される信号の状態が不定となる。そして、出力モジュール15bは、上述したように、ASIC1内の各モジュールやレジスタ10等に接続されており、出力モジュール15bの出力が不定状態であれば、他のモジュール等を誤動作させる場合がある。
例えば、同期信号生成モジュール16は、出力モジュール15a、15bからの信号を受けて、同期用の信号を生成するが、使用されない出力モジュール15bの出力が不定となることで、同期信号生成モジュール16が誤動作してしまうおそれがある。更に、同期信号生成モジュール16の出力に誤動作が生ずれば、同期信号生成モジュール16の信号を利用する部分(例えば、露光装置53)で誤動作が生ずる畏れがある。このような誤動作を防ぐには、出力モジュール15bの初期化を行って、出力が不定な状態を解消する必要がある。
しかし、初期化のため、出力モジュール15bにシステムクロック信号CLK1を単に供給すると、使用しない出力モジュール15bが動作し続けることになり、類似の機能を有する出力モジュール15aと出力モジュール15bが同時に動作し、プリンタ2での画像処理、画像形成を適切に行うことができない。
そこで、本実施形態では、OR回路93bを出力モジュール15bでの初期化用回路として用い、システムリセット信号SRTがアクティブ状態の時のみ、出力モジュール15bの演算回路部91にシステムクロック信号CLK1が入力されるようにする。ここで、システムリセット信号SRTは、アクティブ状態がLow状態である場合を想定し、図5のチャートを用いて、出力モジュール15bの初期化を説明する。
まず、図5(a)のチャートは、使用するモジュール、即ち、出力モジュール15aの演算回路部91aに入力される信号の一例を示したものであり、上述したように、入力端子92aに入力される動作用クロック信号CLK2が、セレクト回路94aにより、そのまま演算回路部91aに入力される。
一方、図5(b)に示すチャートは、システムリセット信号SRTとシステムクロック信号CLK1と演算回路部91bに入力されるクロック信号の一例を示している。図5(b)に示すように、プリンタ2の主電源ONやリセット等により、システムリセット信号SRTはHighからLowに立ち下がり(図5(b)において、T1の時点)、システムリセット信号SRTが有効な状態(アクティブな状態)になり、一定時間経過した後、LowからHighに立ち上がる。
そして、第1発振器83では、一定の周波数でシステムクロック信号CLK1が生成される。そして、システムリセット信号SRTとシステムクロック信号CLK1は、OR回路93bに入力され、OR回路93bの出力、即ち、演算回路部91bには、図5(b)の最下段に示すように、システムリセット信号SRTがアクティブな状態(Low状態)である場合のみ、システムクロック信号CLK1が入力される。これにより、一時的であるが、出力モジュール15bの演算回路部91bに初期化動作を行わせることができる。
そして、システムリセット信号SRTが非アクティブな状態(High状態)となれば(図5(b)において、T2の時点)、以後、OR回路93bの出力はHighのみの状態となり、クロック信号が演算回路部91bには入力されないことになる。
即ち、ASIC1は、外部からシステムクロック信号CLK1とシステムリセット信号SRTの印加を受けるとともに、第2発振器85が接続され、システムクロック信号CLK1とは別に、動作用クロック信号CLK2の印加を受け、動作用クロック信号CLK2の供給を受けて動作する機能単位としての出力モジュール15を複数有し、各出力モジュール15は、クロックの供給を受け演算処理を実行する演算回路部91と、動作用クロック信号CLK2の供給を受けるための入力端子92と、システムクロック信号CLK1とシステムリセット信号SRTが入力され、システムリセット信号SRTがアクティブ時のみシステムクロック信号CLK1を出力するOR回路93と、入力端子92からの動作用クロック信号CLK2と、OR回路93の出力が入力されるセレクト回路94を有し、使用が選択された出力モジュール15aのセレクト回路94aは、動作用クロック信号CLK2を選択して演算回路部91aに入力し、使用が選択されない出力モジュール15bのセレクト回路94bは、OR回路93bの出力を選択して演算回路部91bに入力する。
従って、電源投入時等、プリンタ2内部の各回路の初期化を行う場合にのみアクティブな状態となるシステムクロック信号CLK1と同期させて、使用しない出力モジュール15bの演算回路部91bに一時的に、システムクロック信号CLK1を入力することができる。このシステムクロック信号CLK1を利用して、出力モジュール15bでは、演算回路部91bの初期化が行われる。従って、演算回路部91bの出力が、安定した状態となり、他の回路に誤動作を招くような信号を出力しない。
尚、上記の例では、システムリセット信号SRTは、Low状態でアクティブである場合について説明したが、リセット回路84や他の回路の構成上、High状態でアクティブとする場合には、リセット回路84とOR回路93bの間にNot回路を設ける等によって、対応することができ、本発明は、システムリセット信号SRTがLowアクティブであるか、Highアクティブであるかは問わない。
このようにして、本発明に係る集積回路(例えば、ASIC1)によれば、使用しないモジュールでは、電源投入時等、システムリセット信号SRTがアクティブ時のみシステムクロック信号CLK1を演算回路部91に供給することができる。これにより、使用しないモジュールの演算回路部91が初期化され、演算回路部91からの出力が不定とならず一定となる。又、集積回路の誤動作防止の観点から、使用しないモジュールの初期化を行うためだけにクロック信号を使用しないモジュールに供給する発振器を設ける必要もなく、コスト面で有利となる。
又、使用しないモジュールでは、演算回路部91が初期化され出力が一定となった後、クロック信号が入力されることがないので、使用しないモジュールが動作しない。従って、確実に集積回路での消費電力の低減を図ることができる。更に、集積回路には、冗長性を持たせ、使用を選択できるようにするので、類似する機能を実現する複数機種で同じ集積回路を使用することができる。従って、集積回路の汎用性が高くなり、集積回路の大量生産を実現でき、製造コストの面で有利となる。
又、OR回路93の1つのみで、システムリセット信号SRTのアクティブ時のみシステムクロック信号CLK1を出力する初期化用回路を簡易に構成することができる。従って、集積回路での設計、製造が複雑にならず、集積回路の開発、製造コスト面で有利となる。又、入力端子92を、電源又はグランドに接続するだけで、単純、かつ、確実に、モジュールを使用するが否かを決定することができる。又、使用するモジュールに対してのみ、動作用クロック信号CLK2を供給する発振器を接続することになり、使用しないモジュールに動作用クロック信号CLK2を供給する発振器を設ける必要がない。
又、回路基板80は、本発明に係る集積回路、発振器、リセット回路84等が取り付けられたものであり、又、画像形成装置(例えば、プリンタ2)は、集積回路を搭載するところ、集積回路を安価なものとできるので、回路基板80や画像形成装置の製造に要するコストが削減される。又、使用しないモジュールの出力が不定となることがなく、誤動作がない回路基板80、画像形成装置を提供することができる。又、集積回路での消費電力を確実に削減できる回路基板80、画像形成装置を提供することができる。
次に、他の実施形態を説明する。上述の実施形態では、画像形成装置での集積回路(ASIC1)について説明したが、本発明に係る集積回路は、画像形成装置用に限られず、通信機器(例えば、携帯電話やネットワーク機器)、事務機器用、家庭用電気製品等、各種電子、電気機器に搭載される集積回路に用いることができる。
又、上述の実施形態では、集積回路の用途として、画像処理に用いる場合を示したが、本発明に係る集積回路は、画像処理に用いられるものに限られず、通信用や各種制御用の集積回路にも適用することができる。又、使用が選択されるモジュールとしては、出力モジュール15を例に挙げたが、他の機能を有し、使用が選択されるモジュールにも同様に適用することができる。
又、上記実施形態では、使用されるモジュールが排他的(2者択一)である場合を示したが、本発明は、3つ以上のモジュールの中から、使用するモジュールを選択する場合にも適用することができる。例えば、3つ以上のモジュールのうち、使用するモジュールのセレクト回路94の切替端子95の状態を、他のモジュールの切替端子95と差を設けることで、使用するモジュールを選択することができる。これにより、複数の使用しないモジュールの出力があっても、その出力は不定とならず、汎用性の高い集積回路を提供することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。