以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態にかかる網処理装置を備えた旋網漁船の概略側面図を示したものである。また、図2は、本発明の第一実施形態にかかる網処理装置を備えた旋網漁船の概略上面図を示したものである。また、図3は、本発明の第一実施形態にかかる網処理装置を構成するアーム部の概略上面図を示したものである。さらに、図4は、本発明の第一実施形態にかかる網処理装置を構成するアーム部の動作説明上面図を示したものである。また、図5は、本発明の第一実施形態にかかる網処理装置を備えた旋網漁船における漁網の巻き揚げ処理に関する説明図を示したものである。ここで、図5(a)は概略上面図を示し、図5(b)は概略側面図を示している。
図1および図2等に示すように、本実施形態にかかる旋網漁船1には、網処理装置10、網捌手段60、およびネットホーラ80等が設けられており、旋網漁船1の船体中央部には、漁網を折り畳んで収容する網台90が設けられている。
本実施形態にかかる網処理装置10は、旋網漁船1の左舷1Aに設置されたレール部11と、このレール部11に沿って走行可能に構成された昇降レール部13および走行台19と、この走行台19に設けられたアーム部20とを用いて構成されている。ここで、レール部11は、旋網漁船1の左舷1Aに設けられた複数の支柱(図示省略)によって支持されている。
本実施形態において、網処理装置10を構成するアーム部20は、昇降レール部13に沿って上下方向(図1の矢印Z方向)に移動可能であると共に、レール部11に沿って前後方向(図1および図2の矢印X1,X2方向)に移動可能であるべく構成されている。
また、本実施形態にかかる網捌手段60は、クレーン部61、網捌部62、およびクレーン支持回転部63等を用いて構成されている。より具体的には、旋網漁船1の船尾1C側に設けられたクレーン支持回転部63にクレーン部61が設置され、このクレーン部61の上方先端部に網捌部62が取り付けられている。本実施形態において、クレーン部61は、伸縮可能であって、クレーン支持回転部63にて回転駆動自在に構成されている。
次に、本実施形態にかかる網処理装置10(特にアーム部20)の構成について、図3および図4等を用いて、より詳細に説明する。
本実施形態においては、先にも説明したように、アーム部20は走行台19に取り付けられており、この走行台19および昇降レール部13がレール部11に沿って走行可能に構成されている。アーム部20は、網台90の幅に相応する長さを有しており、走行台19がレール部11を走行することによって、漁網Nを網台90の全域に広げることができるように構成されている。
図3に示すように、アーム部20は、取付支持部41を介して走行台19に取り付けられており、この取付支持部41とアーム部20とはヒンジ連結軸42(本発明の「ヒンジ状の連結軸」に相当)を用いて回転可能に構成されている。ここで、取付支持部41とアーム部20との間には第二シリンダ部43が設けられており、この第二シリンダ部43を操作することによって、アーム部20は、ヒンジ連結軸42を支点として揺動および回転駆動可能に構成されている(図4(b)参照)。
アーム部20は、複数の回転ローラ部を連結して非直線形状(への字形状)に構成されており、具体的には、第一回転ローラ部21、第二回転ローラ部22、第三回転ローラ部23、および第四回転ローラ部24等を用いて構成されている。本実施形態においては、第一回転ローラ部21と第二回転ローラ部22との間に第三および第四回転ローラ部23,24が設けられており、第一回転ローラ部21と第二回転ローラ部22とに亘って第一梁部31および第二梁部32が設けられている。また、第三回転ローラ部23と第四回転ローラ部24との間には、中央支持部25が設けられている。さらに、本実施形態において、第一回転ローラ部21と第三回転ローラ部23とは、ベアリング等(図示省略)を介して連結されており、それぞれの回転ローラ部21,23は、回転可能に構成されている。同様に、第二回転ローラ部22と第四回転ローラ部24も、ベアリング等(図示省略)を介して連結されており、それぞれの回転ローラ部22,24は、回転可能に構成されている。
本実施形態においては、第一梁部31、第二梁部32、および中央支持部25にて、第一回転ローラ部21、第二回転ローラ部22、第三回転ローラ部23、および第四回転ローラ部24が支持されている。また、第一梁部31と第二梁部32とは、梁連結軸39にて連結されており、中央支持部25は、第一梁部31に連結されている。さらに、第二梁部32には第一シリンダ部33が設けられており、本実施形態にかかるアーム部を構成する第二回転ローラ部22は、この第一シリンダ部33の操作によって、第四回転ローラ部24との間における開き角度を可変可能に構成されている(図4(a)参照)。つまり、本実施形態においては、第一シリンダ部33を操作することによって、梁連結軸39を支点として、第一回転ローラ部21と第二回転ローラ部22との間における開き角度θ(図3参照)を調整することができる(図3および図4(a)参照)。
第一回転ローラ部21の一方端部(第三回転ローラ部23に接する部分と反対側の端部)近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、第一回転ローラ部21が回転駆動される。同様に、第二回転ローラ部22の一方端部(第四回転ローラ部24に接する部分と反対側の端部)近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、第二回転ローラ部22が回転駆動される。また、中央支持部25の近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、第三回転ローラ23および第四回転ローラ24が回転駆動される。
本実施形態にかかる網処理装置10を備えた旋網漁船1は、以上のように構成されており、この構成に基づき、次のように機能する。ここでは、図5および上述した図1から図4を参照しつつ、具体的に説明する。
本実施形態にかかる旋網漁船1において、対象魚を包囲するために海中に投網された漁網N(図5参照)は、漁網収容作業時、旋網漁船1の船尾1C側に設けられたネットホーラ80を用いて、絞られながら巻き揚げられる。
次いで、巻き揚げられた漁網Nは、網捌手段60を構成する網捌部62にて吊り上げられ、この網捌部62を介して、帯紐状にした状態で、網処理装置10を構成するアーム部20に対して繰り出される。この際、仮にアーム部20を一定の箇所に停止させた状態で漁網Nを繰り出すと、漁網Nは山積み状あるいはとぐろ巻き状になる。そこで、本実施形態においては、走行台19を、昇降レール部13に沿って昇降させたり、レール部11に沿って前後(ここでは、旋網漁船1の進行方向を「前」とする)方向に移動させたりすることによって、アーム部20を適切に移動させながら、網捌手段60から網処理装置10に対して漁網Nの繰り出し作業が行われる。
このように、本実施形態によれば、アーム部20が前後および上下に移動しながら漁網収容作業が行われるため、網台90の前後および上下に偏りなく漁網Nを積み重ねることができる。
また、本実施形態においては、上述した漁網Nの繰り出し作業中、必要に応じて、アーム部20の開き角度θ(図3、図4(a)参照)を調整することが可能である。さらに、本実施形態においては、必要に応じて、ヒンジ連結軸42を支点としてアーム部20を揺動させることも可能である(図4(b)参照)。
このように、本実施形態によれば、アーム部20の開き角度θの調整操作、およびアーム部20の揺動操作を行うことが可能であるため、網台90の幅一杯に広げながら網台90内に適切に漁網Nを収容することができる。この際、アーム部20の開き角度θの調整操作および揺動操作は、ある所定の操作(規則性のある操作(例えば、ある範囲内での繰り返し操作))であってもよいし、繰り広げる漁網Nのその時々の状況に応じた操作であってもよい。
また、本実施形態においては、上述した漁網Nの繰り出し作業中、ネットホーラ80の回転速度(漁網Nの巻き揚げ速度)と、網捌手段60の回転速度(網捌手段60を構成する網捌部62から繰り出される漁網Nの繰り出し速度)と、アーム部20を構成する各回転ローラ部21,22,23,24の回転速度とが、「ローラ部21,22,23,24の回転速度>捌手段60の回転速度>ネットホーラ80の回転速度」という関係を有すべく構成されている。
このように、本実施形態によれば、アーム部20(を構成する回転ローラ部21,22,23,24)の回転速度と、網捌手段60の回転速度と、ネットホーラ80の回転速度とが、上述した関係を有するため、アーム部20は、網捌手段60にて繰り出されている漁網Nを下に降ろすべく機能する。したがって、本実施形態によれば、アーム部20自体には、上に持ち上げられる方向に力が作用し、アーム部20に大きな負荷(重力方向の負荷)が作用しないため、アーム部20の片持ち支持構造(旋網漁船1の左舷1A側のみの片持ち支持構造)を比較的簡単な構成にて実現することができる。
本実施形態にかかる網処理装置10は、以上のように構成され機能するため、次のような効果を得ることができる。
本実施形態にかかる網処理装置10は、旋網漁船1にて巻き揚げられる漁網Nを繰り広げながら折り畳んで収納する際に使用される網処理装置10であって、旋網漁船1の左舷1Aまたは右舷Bのどちらか一方に設置されたレール部11と、レール部11に沿って走行可能に構成された走行台19と、走行台19に設けられたアーム部20とを備え、アーム部20が、複数の回転ローラ部(第一回転ローラ部21,第二回転ローラ部22,第三回転ローラ部23,第四回転ローラ部24)を連結して非直線形状(への字形状)に構成されており、走行台19に対してヒンジ状の連結軸42を用いて取り付けられていることを特徴としている。より具体的には、本実施形態にかかる網処理装置10においては、レール部11は左舷1Aに設けられている。
すなわち、本実施形態にかかる網処理装置10によれば、アーム部20が非直線形状(への字形状)に構成されているため、帯紐状にして巻き揚げられる漁網Nの偏りを制御して繰り広げながら、漁網収容作業を行うことができる。また、本実施形態によれば、アーム部20がヒンジ状の連結軸42を用いて揺動可能に構成されているため、比較的容易に、帯紐状にして巻き揚げられる漁網Nを、旋網漁船1に設けられている網台90に対応した幅に広げることができる。さらに、本実施形態によれば、アーム部20が旋網漁船1の左舷1Aに沿って移動可能であるため、比較的容易に、漁網収容作業中に漁網Nを所定の間隔に折り畳むことができる。また、本実施形態によれば、アーム部が旋網漁船1の片側(ここでは、左舷1A)に設けられているため、漁網収容作業の終了時に、ヒンジ状の連結軸42を中心にして回転駆動させて、漁網収容作業位置から容易に移動させることができる。この際、アーム部20は、回転駆動させた後、レール部11に沿って適切な箇所に移動させて収容することもできる。
上述したような種々の効果に基づき、本実施形態にかかる網処理装置10によれば、漁網収容作業に要する漁船乗組員およびその労力を大幅に削減すると共に、漁網収容作業を迅速かつ確実に行うことができる。
また、本実施形態にかかる網処理装置10においては、アーム部20が、連結されている箇所にて連結角度(アーム部20の開き角度θ)が可変可能に構成されている。
本実施形態によれば、漁網収容作業時における漁網状態あるいは漁網の交換等(漁網幅の変更等)に応じて、アーム部20の屈曲角度(開き角度θ)を適宜変更することが可能である。すなわち、このような構成によれば、漁網Nの種々の状況に応じて、アーム部20の屈曲角度を変更可能であるため、より効果的に、帯紐状にして巻き揚げられる漁網Nの偏りを制御しつつ、旋網漁船1に設けられている網台90に対応した幅に漁網Nを広げることができる。
さらに、本実施形態にかかる網処理装置10においては、ネットホーラ80の回転速度(漁網Nの巻き揚げ速度)と、網捌手段60の回転速度(網捌手段60を構成する網捌部62から繰り出される漁網Nの繰り出し速度)と、アーム部20を構成する各回転ローラ部21,22,23,24の回転速度とが、「ローラ部21,22,23,24の回転速度>捌手段60の回転速度>ネットホーラ80の回転速度」という関係を有すべく構成されている。
このような構成によれば、アーム部20(ローラ部)は、網捌手段60にて繰り出されている漁網Nを下に降ろすべく機能するため、アーム部20自体には、上に持ち上げられる方向に力が作用する。したがって、本発明によれば、アーム部20に大きな荷重(漁網N等の荷重)が作用せず、比較的簡単な構造に基づいて、アーム部20の片持ち支持構造を実現することができる。
<第二実施形態>
次に、図面に基づいて、本発明の第二実施形態について説明する。
図6は、本発明の第二実施形態にかかる網処理装置を構成するアーム部の概略上面図を示したものである。また、図7は、本発明の第二実施形態に網処理装置を構成するアーム部の動作説明上面図を示したものである。
なお、図6および図7に示した第二実施形態と、先に説明した第一実施形態(図1から図5参照)とは、基本的な構成は同様であり、後述するアーム部120およびその近傍部分の構成のみが異なる。そこで、本実施形態においては、旋網漁船1等の全体的な説明は省略し、主に第一実施形態と異なる部分についての説明を行う。また、必要に応じて、図1から図5を参照しつつ、具体的な構成、機能、および効果についての説明を行う。その際、図6および図7に記載されていない構成についての説明を行う場合には、図1から図5に付された符号と同一の符号を用いる。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、アーム部120は、走行台119に取り付けられており、この走行台119および昇降レール部13がレール部11に沿って走行可能に構成されている。アーム部120は、網台90の幅に相応する長さを有しており、走行台19がレール部11を走行することによって、漁網Nを網台90の全域に広げることができるように構成されている。
図6に示すように、アーム部120は、取付支持部141を介して走行台119に取り付けられており、この取付支持部141とアーム部120とはヒンジ連結軸142(本発明の「ヒンジ状の連結軸」に相当)を用いて回転可能に構成されている。ここで、取付支持部141とアーム部120との間には第三シリンダ部143が設けられており、この第三シリンダ部143を操作することによって、アーム部120は、ヒンジ連結軸142を支点として揺動および回転駆動可能に構成されている(図7(c)参照)。
アーム部120は、複数の回転ローラ部を連結して非直線形状(への字形状)に構成されており、具体的には、第一回転ローラ部121、第二回転ローラ部122、第三回転ローラ部123、および第四回転ローラ部124等を用いて構成されている。本実施形態においては、第一回転ローラ部121と第二回転ローラ部122との間に第三および第四回転ローラ部123,124が設けられており、第一回転ローラ部121と第二回転ローラ部122とに亘って第一梁部131および第二梁部132が設けられている。また、第三回転ローラ部123と第四回転ローラ部124との間には、中央支持部125が設けられている。さらに、本実施形態において、第一回転ローラ部121と第三回転ローラ部123とは、ベアリング等(図示省略)を介して連結されており、それぞれの回転ローラ部121,123は、回転可能に構成されている。同様に、第二回転ローラ部122と第四回転ローラ部124も、ベアリング等(図示省略)を介して連結されており、それぞれの回転ローラ部122,124は、回転可能に構成されている。
本実施形態においては、第一梁部131、第二梁部132、および中央支持部125にて、第一回転ローラ部121、第二回転ローラ部122、第三回転ローラ部123、および第四回転ローラ部124が支持されている。また、第一梁部131と第二梁部132と中央支持部125とは、梁連結軸139にて連結されている。さらに、第一梁部131には第一シリンダ部133が設けられ、第二梁部132には第二シリンダ部134が設けられている。
本実施形態にかかるアーム部120を構成する第二回転ローラ部122は、第二シリンダ部134の操作によって、第四回転ローラ部124との間における開き角度を可変可能に構成されている(図7(a)参照)。また、本実施形態にかかるアーム部120を構成する第三回転ローラ部123等は、第一シリンダ部133の操作によって、第一回転ローラ部121との間における開き角度を可変可能に構成されている(図7(b)参照)。つまり、本実施形態においては、第一シリンダ部133および第二シリンダ134の少なくとも一方を操作することによって、梁連結軸139を支点として、第一回転ローラ部121と第二回転ローラ部122との間における開き角度θ(図6参照)を調整することができる(図6、図7(a)および図7(b)参照)。
第一回転ローラ部121の一方端部(第三回転ローラ部123に接する部分と反対側の端部)近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、第一回転ローラ部121が回転駆動される。同様に、第二回転ローラ部122の一方端部(第四回転ローラ部124に接する部分と反対側の端部)近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、第二回転ローラ部122が回転駆動される。また、中央支持部125の近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、第三回転ローラ部123および第四回転ローラ部124が回転駆動される。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、巻き揚げられた漁網Nは、網捌手段60を構成する網捌部62にて吊り上げられ、この網捌部62を介して、帯紐状にした状態で、網処理装置10を構成するアーム部120に対して繰り出される。この際、仮にアーム部120を一定の箇所に停止させた状態で漁網Nを繰り出すと、漁網Nは山積み状あるいはとぐろ巻き状になる。そこで、本実施形態においては、走行台119を、昇降レール部13に沿って昇降させたり、レール部11に沿って前後(ここでは、旋網漁船1の進行方向を「前」とする)方向に移動させたりすることによって、アーム部120を適切に移動させながら、網捌手段60から網処理装置10に対して漁網Nの繰り出し作業が行われる。
このように、本実施形態によれば、アーム部120が前後および上下に移動しながら漁網収容作業が行われるため、網台90の前後および上下に偏りなく漁網Nを積み重ねることができる。
また、本実施形態においては、第一実施形態と同様に、上述した漁網Nの繰り出し作業中、必要に応じて、アーム部120の開き角度θ(図6、図7(a)、図7(b)参照)を調整することが可能である。さらに、本実施形態においては、必要に応じて、ヒンジ連結軸142を支点としてアーム部120を揺動させることも可能である(図7(c)参照)。
このように、本実施形態によれば、アーム部120の開き角度θの調整操作、およびアーム部120の揺動操作を行うことが可能であるため、網台90の幅一杯に広げながら網台90内に適切に漁網Nを収容することができる。この際、アーム部120の開き角度θの調整操作および揺動操作は、ある所定の操作(規則性のある操作(例えば、ある範囲内での繰り返し操作))であってもよいし、繰り広げる漁網Nのその時々の状況に応じた操作であってもよい。
また、本実施形態においては、上述した漁網Nの繰り出し作業中、ネットホーラ80の回転速度(漁網Nの巻き揚げ速度)と、網捌手段60の回転速度(網捌手段60を構成する網捌部62から繰り出される漁網Nの繰り出し速度)と、アーム部120を構成する各回転ローラ部121,122,123,124の回転速度とが、「ローラ部121,122,123,124の回転速度>捌手段60の回転速度>ネットホーラ80の回転速度」という関係を有すべく構成されている。
このように、本実施形態によれば、アーム部120(を構成する回転ローラ部121,122,123,124)の回転速度と、網捌手段60の回転速度と、ネットホーラ80の回転速度とが、上述した関係を有するため、アーム部120は、網捌手段60にて繰り出されている漁網Nを下に降ろすべく機能する。したがって、本実施形態によれば、アーム部120自体には、上に持ち上げられる方向に力が作用し、アーム部120に大きな負荷(重力方向の負荷)が作用しないため、アーム部120の片持ち支持構造(旋網漁船1の左舷1A側のみの片持ち支持構造)を比較的簡単な構成にて実現することができる。
さらに、本実施形態にかかるアーム部120においては、第一シリンダ部133および第二シリンダ部134を有している。したがって、本実施形態によれば、これらのシリンダ部133,134を適切に操作することによって、漁網収容作業時、およびその準備段階(調整段階等)において、より効果的にアーム部120の開き角度θを調整制御することができる。
本実施形態にかかる構成によれば、上記の作用効果に加え、第一実施形態にて説明した全ての作用効果を得ることができる。したがって、本実施形態にかかるアーム部120を備えた網処理装置10によれば、漁網収容作業に要する漁船乗組員およびその労力を大幅に削減すると共に、漁網収容作業を迅速かつ確実に行うことができる。
<第三実施形態>
次に、図面に基づいて、本発明の第三実施形態について説明する。
図8は、本発明の第三実施形態にかかる網処理装置を構成するアーム部の概略上面図を示したものである。また、図9は、本発明の第三実施形態に網処理装置を構成するアーム部の動作説明上面図を示したものである。
なお、図8および図9に示した第三実施形態と、先に説明した第一実施形態(図1から図5参照)とは、基本的な構成は同様であり、後述するアーム部220およびその近傍部分の構成のみが異なる。そこで、本実施形態においては、旋網漁船1等の全体的な説明は省略し、主に第一実施形態と異なる部分についての説明を行う。また、必要に応じて、図1から図5を参照しつつ、具体的な構成、機能、および効果についての説明を行う。その際、図8および図9に記載されていない構成についての説明を行う場合には、図1から図5に付された符号と同一の符号を用いる。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、アーム部220は、走行台219に取り付けられており、この走行台219および昇降レール部13がレール部11に沿って走行可能に構成されている。アーム部220は、網台90の幅に相応する長さを有しており、走行台19がレール部11を走行することによって、漁網Nを網台90の全域に広げることができるように構成されている。
図8に示すように、アーム部220は、取付支持部241を介して走行台219に取り付けられており、この取付支持部241とアーム部220とはヒンジ連結軸242(本発明の「ヒンジ状の連結軸」に相当)を用いて回転可能に構成されている。ここで、取付支持部241とアーム部220との間には第二シリンダ部243が設けられており、この第二シリンダ部243を操作することによって、アーム部220は、ヒンジ連結軸242を支点として揺動および回転駆動可能に構成されている(図9(b)参照)。
アーム部220は、複数の回転ローラ部を連結して非直線形状(への字形状)に構成されており、具体的には、第一回転ローラ部221、第二回転ローラ部222、第三回転ローラ部223、第四回転ローラ部225、および第五回転ローラ部226等を用いて構成されている。本実施形態においては、第一回転ローラ部221と第二回転ローラ部222との間に屈曲ジョイント部224(ユニバーサルジョイント)が設けられている。また、本実施形態においては、第二回転ローラ部222と第三回転ローラ部223との間に、第四および第五回転ローラ部225,226が設けられており、第一回転ローラ部221から第三回転ローラ部223に亘って第一梁部231および第二梁部232が設けられている。また、第四回転ローラ部225と第五回転ローラ部226との間には、中央支持部227が設けられている。さらに、本実施形態において、各回転ローラ部221,222,223,225,226は、その両端部にベアリング等(図示省略)を設けた状態で隣接する部材と連結されており、それぞれの回転ローラ部221,222,223,225,226は、回転可能に構成されている。
本実施形態においては、第一梁部231、第二梁部232、中央支持部227、および取付支持部241にて、第一回転ローラ部221、第二回転ローラ部222、第三回転ローラ部223、第四回転ローラ部225、および第五回転ローラ部226が支持されている。また、第一梁部231と第二梁部232と中央支持部125とは、梁連結軸239にて連結されており、中央支持部227は、第一梁部231に連結されている。
さらに、第二梁部232には第一シリンダ部233が設けられており、本実施形態にかかるアーム部220を構成する第三回転ローラ部223は、この第一シリンダ部233の操作によって、第五回転ローラ部226との間における開き角度を可変可能に構成されている(図9(a)参照)。つまり、本実施形態においては、第一シリンダ部233を操作することによって、梁連結軸239を支点として、第二回転ローラ部222と第三回転ローラ部223との間における開き角度θ(図8参照)を調整することができる(図8および図9(a)参照)。
第一回転ローラ部221、第二回転ローラ部222、および第三回転ローラ部223の一方端部近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、これらの回転ローラ部221,222,223が回転駆動される。また、中央支持部227の近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、第四回転ローラ部225および第五回転ローラ226が回転駆動される。
本実施形態においても、第一実施形態等と同様に、巻き揚げられた漁網Nは、網捌手段60を構成する網捌部62にて吊り上げられ、この網捌部62を介して、帯紐状にした状態で、網処理装置10を構成するアーム部220に対して繰り出される。この際、仮にアーム部220を一定の箇所に停止させた状態で漁網Nを繰り出すと、漁網Nは山積み状あるいはとぐろ巻き状になる。そこで、本実施形態においては、走行台219を、昇降レール部13に沿って昇降させたり、レール部11に沿って前後(ここでは、旋網漁船1の進行方向を「前」とする)方向に移動させたりすることによって、アーム部220を適切に移動させながら、網捌手段60から網処理装置10に対して漁網Nの繰り出し作業が行われる。
このように、本実施形態によれば、アーム部220が前後および上下に移動しながら漁網収容作業が行われるため、網台90の前後および上下に偏りなく漁網Nを積み重ねることができる。
また、本実施形態においては、第一実施形態等と同様に、上述した漁網Nの繰り出し作業中、必要に応じて、アーム部220の開き角度θ(図8、図9(a)参照)を調整することが可能である。さらに、本実施形態においては、必要に応じて、ヒンジ連結軸242を支点としてアーム部220を揺動させることも可能である(図9(b)参照)。
このように、本実施形態によれば、アーム部220の開き角度θの調整操作、およびアーム部220の揺動操作を行うことが可能であるため、網台90の幅一杯に広げながら網台90内に適切に漁網Nを収容することができる。この際、アーム部220の開き角度θの調整操作および揺動操作は、ある所定の操作(規則性のある操作(例えば、ある範囲内での繰り返し操作))であってもよいし、繰り広げる漁網Nのその時々の状況に応じた操作であってもよい。
また、本実施形態においては、上述した漁網Nの繰り出し作業中、ネットホーラ80の回転速度(漁網Nの巻き揚げ速度)と、網捌手段60の回転速度(網捌手段60を構成する網捌部62から繰り出される漁網Nの繰り出し速度)と、アーム部220を構成する各回転ローラ部221,222,223,225,226の回転速度とが、「ローラ部221,222,223,225,226の回転速度>捌手段60の回転速度>ネットホーラ80の回転速度」という関係を有すべく構成されている。
このように、本実施形態によれば、アーム部220(を構成するローラ部221,222,223,225,226)の回転速度と、網捌手段60の回転速度と、ネットホーラ80の回転速度とが、上述した関係を有するため、アーム部220は、網捌手段60にて繰り出されている漁網Nを下に降ろすべく機能する。したがって、本実施形態によれば、アーム部220自体には、上に持ち上げられる方向に力が作用し、アーム部220に大きな負荷(重力方向の負荷)が作用しないため、アーム部220の片持ち支持構造(旋網漁船1の左舷1A側のみの片持ち支持構造)を比較的簡単な構成にて実現することができる。
さらに、本実施形態にかかるアーム部220は、「への字形状」に構成された第二回転ローラ部222と第三回転ローラ部223の左方位置(図8等参照)に、所定の角度に傾斜した第一回転ローラ部221を有している。本実施形態によれば、広角な位置に第一回転ローラ部221が設けられているため、より効果的に、帯紐状にして巻き揚げられる漁網Nの偏りを制御して繰り広げながら、漁網収容作業を行うことができる。また、場合によっては、この第一回転ローラ部221を利用して、漁網Nの端部側に設けられた浮子あるいは沈子を適切に送り出しながら、漁網収容作業を行うことも可能である。
なお、本実施形態においては、「への字形状」に構成された第二回転ローラ部222と第三回転ローラ部223の左方位置にのみ、所定の角度に傾斜した回転ローラ部を設けた構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、「への字形状」に構成された第二回転ローラ部222と第三回転ローラ部223の右方位置に、所定の角度に傾斜した回転ローラ部を設ける構成としてもよい。また、例えば、必要に応じて、「への字形状」に構成された第二回転ローラ部222と第三回転ローラ部223の左方位置および右方位置の両方に、所定の角度に傾斜した回転ローラ部を設ける構成としてもよい。
本実施形態にかかる構成によれば、上記の作用効果に加え、第一実施形態にて説明した全ての作用効果を得ることができる。したがって、本実施形態にかかるアーム部220を備えた網処理装置10によれば、漁網収容作業に要する漁船乗組員およびその労力を大幅に削減すると共に、漁網収容作業を迅速かつ確実に行うことができる。
<第四実施形態>
次に、図面に基づいて、本発明の第四実施形態について説明する。
図10は、本発明の第四実施形態にかかる網処理装置を構成するアーム部の概略図を示したものである。より具体的には、図10(a)はアーム部の概略上面図を示し、図10(b)は図10(a)のB−B断面図を示している。また、図11は、本発明の第四実施形態に網処理装置を構成するアーム部の動作説明上面図を示したものである。
なお、図10および図11に示した第四実施形態と、先に説明した第一実施形態(図1から図5参照)とは、基本的な構成は同様であり、後述するアーム部320およびその近傍部分の構成のみが異なる。そこで、本実施形態においては、旋網漁船1等の全体的な説明は省略し、主に第一実施形態と異なる部分についての説明を行う。また、必要に応じて、図1から図5を参照しつつ、具体的な構成、機能、および効果についての説明を行う。その際、図10および図11に記載されていない構成についての説明を行う場合には、図1から図5に付された符号と同一の符号を用いる。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、アーム部320は、走行台319に取り付けられており、この走行台319および昇降レール部13がレール部11に沿って走行可能に構成されている。アーム部320は、網台90の幅に相応する長さを有しており、走行台319がレール部11を走行することによって、漁網Nを網台90の全域に広げることができるように構成されている。
図10に示すように、アーム部320は、取付支持部341を介して走行台319に取り付けられており、この取付支持部341とアーム部320とはヒンジ連結軸342(本発明の「ヒンジ状の連結軸」に相当)を用いて回転可能に構成されている。ここで、取付支持部341とアーム部320との間には第二シリンダ部343が設けられており、この第二シリンダ部343を操作することによって、アーム部320は、ヒンジ連結軸342を支点として揺動および回転駆動可能に構成されている(図11参照)。
アーム部320は、複数の回転ローラ部を連結して非直線形状(湾曲形状)に構成されており、具体的には、第一回転ローラ部321、第二回転ローラ部322、第三回転ローラ部323、第四回転ローラ部324、第五回転ローラ部325、第六回転ローラ部326、第七回転ローラ部327、第八回転ローラ部328、および第九回転ローラ部329等を用いて構成されている。
本実施形態においては、第一回転ローラ部321から第五回転ローラ部325に亘って第一梁部331が設けられており、この第一梁部331によって全ての回転ローラ部321,322,323,324,325,326,327,328,329が保持されている。また、本実施形態において、各回転ローラ部321,322,323,324,325,326,327,328,329は、その両端部にベアリング等(図示省略)を設けた状態で隣接する部材と連結されており、この構成に基づいて、それぞれの回転ローラ部321,322,323,324,325,326,327,328,329は、回転可能に構成されている。
さらに、第一梁部331の右方端部には第一シリンダ部333が設けられており、本実施形態にかかるアーム部320を構成する第五回転ローラ部325は、この第一シリンダ部333の操作によって、第九ローラ部329との間における開き角度を可変可能に構成されている(図10(a)参照)。つまり、本実施形態においては、第一シリンダ部333を操作することによって、第九ローラ部329を支点として、第五回転ローラ部325の開き角度を調整することができる。
それぞれの回転ローラ部321,322,323,324,325,326,327,328,329の一方端部近傍には、駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、これらの回転ローラ部321,322,323,324,325,326,327,328,329が回転駆動される。また、第五回転ローラ部325の右方位置には、特別ローラ部339が設けられておいる。この特別ローラ部339の一方端部にも駆動モータ(図示省略)が設けられており、この駆動モータによって、特別ローラ部339が回転駆動される。
また、本実施形態にかかるアーム部320を構成する回転ローラ部321,322,323,324,325,326,327,328,329は、例えば、図10(b)に示すような構成を有している。なお、この図10(b)においては、第二回転ローラ部322について示しているが、本実施形態においては、他の回転ローラ部321,323,324,325,326,327,328,329も同様の構成を有している。また、図10(b)は、上述したように、図10(a)のB−B断面図を示しているが、ここでは図面の煩雑化を避けるため、第一梁部331の記載は省略する。
図10(b)に示すように、本実施形態にかかる第二回転ローラ部322は、その外表面に凹部3221および凸部3222を有するローラ外表部3220を用いて構成されている。すなわち、このローラ外表部3220は、第二回転ローラ部322の長手方向に溝(凹部3221)が形成されるべく構成されている。この溝(凹部3221)には、必要に応じて、一つあるいは複数の丸鋼3223が挿入可能であって、この実施形態においては、90°毎に一本ずつ(全四本)の丸鋼3223を挿入した例を示している。ここで、ローラ外表部3220は、例えば、ゴムを用いて構成されている。
本実施形態においても、第一実施形態等と同様に、巻き揚げられた漁網Nは、網捌手段60を構成する網捌部62にて吊り上げられ、この網捌部62を介して、帯紐状にした状態で、網処理装置10を構成するアーム部320に対して繰り出される。この際、仮にアーム部320を一定の箇所に停止させた状態で漁網Nを繰り出すと、漁網Nは山積み状あるいはとぐろ巻き状になる。そこで、本実施形態においては、走行台319を、昇降レール部13に沿って昇降させたり、レール部11に沿って前後(ここでは、旋網漁船1の進行方向を「前」とする)方向に移動させたりすることによって、アーム部320を適切に移動させながら、網捌手段60から網処理装置10に対して漁網Nの繰り出し作業が行われる。
このように、本実施形態によれば、アーム部320が前後および上下に移動しながら漁網収容作業が行われるため、網台90の前後および上下に偏りなく漁網Nを積み重ねることができる。
また、本実施形態においては、第一実施形態等と同様に、上述した漁網Nの繰り出し作業中、必要に応じて、ヒンジ連結軸342を支点としてアーム部320を揺動させることも可能である(図11参照)。
このように、本実施形態によれば、アーム部320の揺動操作を行うことが可能であるため、網台90の幅一杯に広げながら網台90内に適切に漁網Nを収容することができる。この際、アーム部320の揺動操作は、ある所定の操作(規則性のある操作(例えば、ある範囲内での繰り返し操作))であってもよいし、繰り広げる漁網Nのその時々の状況に応じた操作であってもよい。
また、本実施形態においては、上述した漁網Nの繰り出し作業中、ネットホーラ80の回転速度(漁網Nの巻き揚げ速度)と、網捌手段60の回転速度(網捌手段60を構成する網捌部62から繰り出される漁網Nの繰り出し速度)と、アーム部320を構成する各回転ローラ部の回転速度とが、「ローラ部の回転速度>捌手段60の回転速度>ネットホーラ80の回転速度」という関係を有すべく構成されている。
このように、本実施形態によれば、アーム部320(を構成する回転ローラ部)の回転速度と、網捌手段60の回転速度と、ネットホーラ80の回転速度とが、上述した関係を有するため、アーム部320は、網捌手段60にて繰り出されている漁網Nを下に降ろすべく機能する。したがって、本実施形態によれば、アーム部320自体には、上に持ち上げられる方向に力が作用し、アーム部320に大きな負荷(重力方向の負荷)が作用しないため、アーム部320の片持ち支持構造(旋網漁船1の左舷1A側のみの片持ち支持構造)を比較的簡単な構成にて実現することができる。
さらに、本実施形態にかかるアーム部320は、より円弧に近い湾曲形状に構成されているため、効果的に、網台90の幅一杯に広げながら網台90内に漁網Nを収容することができる。また、このような構成によれば、必要に応じて、アーム部320の右方位置(図10等参照)に設けられた第一回転ローラ部321にて、漁網Nの端部側に設けられた浮子あるいは沈子を適切に送り出しながら、漁網収容作業を行うこともできる。
また、本実施形態にかかるアーム部320は、その右方位置(図10等参照)に、特別ローラ部339を有している。したがって、本実施形態によれば、この特別ローラ部339を用いることによって、漁網Nの端部側に設けられた浮子あるいは沈子を適切に送り出しながら、漁網収容作業を行うことができる。
さらに、本実施形態によれば、第一梁部331と第五回転ローラ部325の右方端部とが第一シリンダ部333によって接続されているため、第五回転ローラ部325の角度を適宜調整することができる。したがって、このような構成によれば、第一梁部331に連結されている特別ローラ部339は、第五回転ローラ部325の角度調整の影響を受けることがなくなる。すなわち、特別ローラ部339は、アーム部320を構成する第五回転ローラ部325の影響を受けることなく、漁網Nの端部側に設けられた浮子あるいは沈子を適切に送り出しながら、漁網収容作業を行うことができる。
また、本実施形態によれば、図10(b)に示すように、第二回転ローラ部322(およびその他の回転ローラ部321,323,324,325,326,327,328,329)は、その外表面に凹部3221および凸部3222を有するローラ外表部3220を用いて構成されており、この凹部3221には、必要に応じて、所定数(本実施形態においては四本)の丸鋼3223が挿入されている。また、本実施形態においては、四本の丸鋼3223を挿入した場合を示しているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて、この丸鋼3223の挿入本数は変更可能である。本実施形態は、このように構成されているため、必要に応じて、丸鋼3223の挿入本数を変更して、ゴム製のローラ外表部3220と漁網Nとの接触面積を調整して、第二回転ローラ部322と漁網Nとのすべり状態を調整することが可能となる。
通常、アーム部320を構成する各ローラ部については、すべりが大きい方が人力で漁網Nを広げるのには都合が良いが、あまりにもすべりが大きすぎると漁網Nを巻き上げる力が小さくなる。一方、各ローラ部のすべりが小さい場合には、漁網Nを巻き上げる力は大きくなるが、漁網Nを広げることが困難となる。そこで、本実施形態においては、上述したように、丸鋼3223の挿入本数を適宜調整することによって、アーム部320(を構成する各ローラ部)と漁網Nとの間における「すべり状態」を調整する。そうすることによって、効果的に、漁網Nを巻き上げつつ、漁網収容作業を行うことができる。
本実施形態にかかる構成によれば、上記の作用効果に加え、第一実施形態にて説明した略全ての作用効果を得ることができる。したがって、本実施形態にかかるアーム部320を備えた網処理装置10によれば、漁網収容作業に要する漁船乗組員およびその労力を大幅に削減すると共に、漁網収容作業を迅速かつ確実に行うことができる。
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
上述した各実施形態においては、旋網漁船1の左舷1A側にアーム部等を有する網処理装置10を設ける場合について説明したが、本発明は、この構成に限定されない。したがって、例えば、必要に応じて、旋網漁船1の右舷1B側に網処理装置10を設ける構成としてもよい。また、必要に応じて、網処理装置10が、左舷1Aまたは右舷1Bのいずれか一方に対して着脱自在に構成されてもよい。この際には、旋網漁船1の両舷1A,1Bに、レール部11を設けることが好ましい。
また、上記各実施形態においては、一つのアーム部を用いて網処理装置10が構成される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、複数のアーム部を有する網処理装置としてもよい。
さらに、上述した第一実施形態から第三実施形態においては、アーム部の開き角度θを漁網収容作業中においても適宜調整制御する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、第一実施形態から第三実施形態において、操業条件が定まるまではアーム部の開き角度θの調整制御を行い、ある程度の操業条件が定まった後は、所定の開き角度θに固定した状態で、漁網収容作業を行うような構成としてもよい。
また、上記各実施形態においては、網処理装置10を構成するアーム部が、レール部11を移動可能であると共に、ヒンジ状の連結軸を支点として回転駆動可能に構成されている。したがって、これらの実施形態によれば、出港、帰港、港内停泊時、あるいは準備作業時等、いわゆる非操業時(非網収容作業時)には、網台90上をアーム部が遮ることがないように、レール部11に沿ってアーム部を収容することができる。すなわち、アーム部を待避させることによって、作業員の通行や荷物の積み下ろし等の障害となることを無くすことができる。
さらに、上記各実施形態においては、第四実施形態についてのみ、回転ローラ部の断面形状(外表面形状)を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、第一実施形態から第三実施形態の各回転ローラ部についても、第四実施形態に示した構成の回転ローラ部を適用することは可能である。このような構成によれば、第一実施形態から第三実施形態においても、第四実施形態にて説明した作用効果を得ることができる。