以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はスライドドアを備えたワンボックスタイプの車両の側面図であり、この車両11の車体12の側部には、後部座席への乗降用の開口部13を開閉するために、スライドドア14が設けられる。スライドドア14の車体12と対向する部位には、スライドドア14が全閉した際の車室内側への雨水の浸入を防止するためのドアシール材14aがスライドドア開口端の上下方向に沿って設けられており、全閉時に車体12に弾性的に当接可能に配されている。なお、図示しないが、このドアシール材14aはスライドドア14の他の3辺にも設けられ、スライドドア14の全周からの雨水の浸入を防止するようになっている。
図2は図1に示すスライドドアの車体への取付け構造を示す平面図であり、このスライドドア14の車両前方側(閉側)の下端部には支持アームとしてのロワーアーム15が設けられ、スライドドア14の車両後方側(開側)であって車両上下方向の略中間部にはセンターアーム16が設けられる。一方、車体12の開口部13の下縁部にはガイドレールとしてのロワーレール17が固定され、車体12の側部の開口部13の車両後方側であって車両上下方向の略中間部にはセンターレール18が固定される。ロワーレール17は車両前後方向に延びる直線状の直線部17aと直線部17aに対して車室内側に傾斜する傾斜部17bとを備え、傾斜部17bを車両前方側(閉側)に向けて車体12に固定される。また、センターレール18は車両前後方向に延びる直線状の直線部18aと直線部18aに対して車室内側に曲がる曲部18bとを備え、曲部18bを車両前方側(閉側)に向けて車体12に固定される。
各アーム15,16の先端にはそれぞれローラアッシー21,22が設けられ、ロワーアーム15のローラアッシー21はロワーレール17に移動自在に組み込まれ、センターアーム16のローラアッシー22はセンターレール18に移動自在に組み込まれる。これにより、各アーム15,16は対応するレール17,18に移動自在に支持され、各アーム15,16が対応するレール17,18に沿って移動すると、スライドドア14は車体12の側部に沿って車両前後方向にスライド式に開閉することができる。また、ロワーレール17の傾斜部17bにローラアッシー21が案内されるとともにセンターレール18の曲部18bにローラアッシー22が案内されることにより、スライドドア14は車体12の外側に引き出された位置から車室内側(車体12の内側)に引き込まれて車体側面と面一となるように閉じられる。
なお、図示はしないが、スライドドア14の車両前方側の上端部にはアッパーアームが設けられ、図1に示すように車体12の開口部13の上縁部にはアッパーレール23が固定され、アッパーアームの先端に設けられるローラアッシー(不図示)がアッパーレール23に移動自在に組み込まれる。
この車両11には、スライドドア14を自動的に開閉するために、車両用自動開閉装置24が搭載される。
図3は本発明の一実施の形態である車両用自動開閉装置の詳細を示す斜視図であり、この車両用自動開閉装置24(以下、開閉装置24とする)はケーブル式となっており、それぞれロワーレール17に沿って配索つまり配置される開側の索条体としての開側ケーブル25aと閉側の索条体としての閉側ケーブル25bとを備えている。開側ケーブル25aはロワーアーム15に沿った開方向(車両後方側)からローラアッシー21に導かれ、その一端においてローラアッシー21に開方向から連結される。一方、閉側ケーブル25bはロワーアーム15に沿った閉方向(車両前方側)からローラアッシー21に導かれ、ロワーアーム15を介してスライドドア14の内部に導かれる。
ロワーレール17の車両後方側(開側)の長手方向端部に隣接した車体12のフロアパネルの内部には、開側ケーブル25aと閉側ケーブル25bとを駆動してスライドドア14を開閉動作させるために、駆動手段としての駆動ユニット31が配置される。
ローラアッシー21からロワーレール17に沿って車両後方側に導かれた開側ケーブル25aは、ロワーレール17の車両後方側の端部に配置された反転用プーリ32aによりその移動方向を略180度反転されて車両後方側から駆動ユニット31に導かれ、ローラアッシー21からロワーレール17に沿って車両前方側に導かれた閉側ケーブル25bはロワーレール17の車両前方側(閉側)の端部に配置された反転用プーリ32bによりその移動方向を略180度反転されて車両前方側から駆動ユニット31に導かれる。
駆動ユニット31と各反転用プーリ32a,32bとの間にはアウターチューブ33a,33bが設けられる。これらのアウターチューブ33a,33bはそれぞれ可撓性を有する樹脂材料により形成されて湾曲自在となっており、その一端は対応する反転用プーリ32a,32bに固定される。駆動ユニット31と対応する反転用プーリ32a,32bとの間においては、各ケーブル25a,25bはそれぞれ対応するアウターチューブ33a,33bに軸方向に移動自在に収容され、当該アウターチューブ33a,33bに沿って移動する。
図4は図3に示す駆動ユニットの詳細を示す一部切り欠き断面図であり、この駆動ユニット31はユニットケース34を備え、ユニットケース34の内部には駆動用回転体であるドラム35が回転自在に収容される。ドラム35は円筒状に形成され、その外周には駆動ユニット31にまで導かれた開側ケーブル25aと閉側ケーブル25bとが互いに逆向き方向に巻き付けられる。
また、駆動ユニット31には、各ケーブル25a,25bの弛みを吸収して所定の張力を付与するために、それぞれ開側ケーブル25a、閉側ケーブル25bに対応した一対のテンショナー機構36a,36bが設けられる。これらのテンショナー機構36a,36bはそれぞれ対応するアウターチューブ33a,33bの一端部に固定される樹脂製のスライドキャップ37a,37bを備え、これらのスライドキャップ37a,37bは駆動ユニット31のユニットケース34に進退移動自在に支持される。アウターチューブ33a,33bの他端部は反転用プーリ32a,32bに固定される。また、ユニットケース34の内部にはスプリング38,38が設けられ、このスプリング38によりスライドキャップ37a,37bはユニットケース34から押し出される方向に付勢される。スライドキャップ37a,37bがユニットケース34から押し出される方向に移動すると、駆動ユニット31と各反転用プーリ32a,32bとの間でアウターチューブ33a,33bの長さ(湾曲度合い)が増加し、アウターチューブ33a,33b内に挿通されるケーブル25a,25bはその増加分だけアウターチューブ33a,33b内に引き込まれる。これにより、各ケーブル25a,25bに所定の張力が付与され、また、各ケーブル25a,25bに生じる弛みが吸収される。なお、符号36a1,36b1は、テンショナー機構36a,36bの各スプリング38,38を、圧縮状態と作動状態とに選択的に切換えるための切換えレバーである。
ユニットケース34には駆動ユニット31の駆動源となる電動モータ41が取り付けられる。電動モータ41の出力は図示しない減速機やクラッチ機構(電磁クラッチ)を介してドラム35に伝達され、ドラム35はこの電動モータ41により正逆両方向に回転駆動される。また、電動モータ41には制御装置42が接続され、運転席や携帯端末等に設けられる図示しない開閉スイッチが操作されると、その操作信号やスライドドア14の開閉速度、開閉位置等に基づいて制御装置42により電動モータ41の作動が制御される。
なお、電動モータ41としては例えばブラシ付きモータ等の正逆両方向に回転可能なものが用いられ、制御装置42としては、例えばCPU(中央演算処理装置)やメモリ等を備えたマイクロコンピュータが用いられる。
図示しない開閉スイッチの開側が操作されると、電動モータ41が正転してドラム35が図4中時計回り方向に回転し、開側ケーブル25aがドラム35に巻き取られる。これにより、開側ケーブル25aは駆動ユニット31により駆動されてロワーレール17に沿って車両後方側に移動し、ローラアッシー21(ロワーアーム15)つまりスライドドア14が開側ケーブル25aに牽引されて開動作する。反対に、図示しない開閉スイッチの閉側が操作されると、電動モータ41が逆転してドラム35が図4中反時計回り方向に回転し、閉側ケーブル25bがドラム35に巻き取られる。これにより、閉側ケーブル25bは駆動ユニット31により駆動されてロワーレール17に沿って車両前方側に移動し、スライドドア14は閉側ケーブル25bに牽引されて閉動作する。このように、この開閉装置24は、車体12のフロアパネルの内部に駆動ユニット31を収容し、ロワーレール17に支持されるロワーアーム15を各ケーブル25a,25bにより駆動してスライドドア14を開閉させるロワーアーム駆動タイプとなっている。なお、閉側ケーブル25bのスライドドア14への固定構造については後述する。
この開閉装置24には、所定開度つまり半ドア位置にまで閉じられたスライドドア14をドアシール材14aの弾性力に抗して全閉位置にまで引き込むために、クローザ機構51が設けられる。本実施の形態においては、ローラアッシー22がセンターレール18の曲部18bに達したときにスライドドア14が半ドア位置となるように設定され、ローラアッシー22が曲部18bを移動することにより駆動ロスを生じる範囲でスライドドア14をクローザ機構51により引き込むようにしている。
なお、このクローザ機構51はドアロック機構としての機能をも有しており、全閉位置にまで引き込まれたスライドドア14はこのクローザ機構51により全閉位置に保持される。
図5は図3に示すクローザ機構の詳細を示す正面図であり、図6は図5に示すクローザ機構を斜め背面側から見た斜視図であり、図7は閉側ケーブルのローラアッシーとクローザ機構との間における配置を示す説明図である。
図5、図6に示すように、クローザ機構51は鋼板等により形成されるベース部材としてのベースブラケット52を有し、このベースブラケット52においてスライドドア14の車両後方側の端部に固定される。
ベースブラケット52は表裏2枚の板材の間に空間を設けた構造となっており、その空間にはラッチ53が収容される。ラッチ53は鋼板等により略円板状に形成され、その外周にはラッチ溝53aとハーフラッチ係止溝53bが形成される。そして、ラッチ53はその軸心においてラッチ軸54によりベースブラケット52に支持され、アンラッチ位置とハーフラッチ位置を経たフルラッチ位置との間で回動自在となっている。なお、このラッチ53は後述するスプリング(ばね部材)68によって、常時、アンラッチ方向(図5中時計回り方向)に付勢されている。
ベースブラケット52にはラッチ53を収容する空間に連ねてストライカ案内室55が設けられる。このストライカ案内室55はスライドドア14の厚み方向(車幅方向)に延びて形成され、図6に示すように、ベースブラケット52に形成された切り欠き溝52aにより、車室内側と車両後方側とに開口している。ラッチ53はその一部がストライカ案内室55に位置するように配置され、当該ラッチ53がアンラッチ位置にあるときには、ラッチ溝53aはスプリング68によって切り欠き溝52aと一致するようストライカ案内室55の内部に開口するようになっている。
ラッチ53の外側には、スプリング68に抗してラッチ53をハーフラッチ位置とフルラッチ位置とに保持するために、ラチェット56が設けられる。このラチェット56はラッチ53に接近離反するようにラチェット軸57によりベースブラケット52に回動自在に支持され、また、図示しないばね部材によりラッチ53の外周に押し付けられる方向(図5中反時計回り方向)に付勢されている。ラッチ53がハーフラッチ位置となるとラチェット56はハーフラッチ係止溝53bに係合し、ラッチ53がフルラッチ位置となるとラチェット56はラッチ溝53aに係合し、これにより、ラッチ53はハーフラッチ位置とフルラッチ位置においてアンラッチ方向への回転が規制される。
なお、クローザ機構51にはラチェット56のラッチ53への係合を解除するためのリリーサ機構(不図示)が設けられ、スライドドア14が自動または手動により全閉位置から開かれる際にリリーサ機構によりラチェット56のラッチ溝53aやハーフラッチ係止溝53bに対する係合が解除されると、ラッチ53は図示しないリターンスプリングによりアンラッチ方向に回動するようになっている。
図2、図3に示すように、車体12の開口部13の車両後方側の端部には、ラッチ53に対応してストライカ58が固定される。このストライカ58は鋼材等により棒状に形成され、その軸方向を車両前方側(スライドドア14が全閉位置にまで閉じられたときにラッチ軸54と平行となる方向)に向けて配置される。なお、このストライカ58は棒状に限らず、ドアロック機構において一般的に採用されているコ字状に形成されたものを用いることも可能である。
スライドドア14が半ドア位置に向けて閉じられると、ストライカ58は切り欠き溝52aからストライカ案内室55に沿ってベースブラケット52の内部に侵入してラッチ53のラッチ溝53aに係合する。またこのとき、スライドドア14のドアシール材14aが車体12に当接すると、その弾性力によって駆動ユニット31によるスライドドア14の閉動作が一時的に停止または減速した状態となる。ストライカ58がラッチ53のラッチ溝53aに係合すると、ラッチ53はストライカ58に押されてスプリング68に抗してアンラッチ位置からフルラッチ方向に向けて回動する。スライドドア14が半ドア位置にまで閉じられると、ラッチ53はハーフラッチ位置付近にまで回動し、ラチェット56がハーフラッチ係止溝53bに係合してスライドドア14はラッチ53とストライカ58との係合により半ドア状態に保持される。さらに、スライドドア14が閉方向に移動して全閉位置まで閉じられると、ラッチ53がフルラッチ位置にまで回動し、ラチェット56がラッチ溝53aに係合して、スライドドア14はラッチ53とストライカ58との係合により全閉位置に保持される。
クローザ機構51には、閉側ケーブル25bの牽引力によりラッチ53を駆動するために、駆動レバー61が設けられる。駆動レバー61は支軸62によりベースブラケット52に回動自在に支持され、その先端部には連結部61aが設けられる。
図7に示すように、ローラアッシー21とクローザ機構51との間には可撓性を有する樹脂材料により形成されたアウターチューブ63が設けられ、アウターチューブ63の一端はロワーアーム15に沿って配策されるとともにローラアッシー21に固定され、他端はベースブラケット52に固定される。ロワーアーム15を介してスライドドア14の内部に引き込まれた閉側ケーブル25bはこのアウターチューブ63内に長手方向に移動自在に収容され、当該アウターチューブ63により駆動レバー61にまで導かれる。そして、閉側ケーブル25bの一端はこの駆動レバー61の連結部61aに連結される。これにより、閉側ケーブル25bが駆動ユニット31により駆動されると、その牽引力により駆動レバー61に当該駆動レバー61を回転させようとする力が付与される。
駆動レバー61はリンク機構64によりラッチ53に連結され、ラッチ53の回動に連動可能に構成されている。このリンク機構64は連結リンク65を有し、この連結リンク65の一端は第1の支軸としてのピン部材66によりラッチ軸54から所定距離だけ径方向に離れた部分においてラッチ53に回動自在に連結される。なお、ベースブラケット52には円弧状の逃げ溝52bが形成され、ピン部材66はこの逃げ溝52bに沿って円弧状に移動する。一方、連結リンク65の他端は第2の支軸としてのピン部材67により駆動レバー61の支軸62から所定距離だけ径方向に離れた部分に回動自在に連結される。これにより、閉側ケーブル25bにより引かれて駆動レバー61が回動つまり作動すると、その回転力が連結リンク65を介してラッチ53に伝達され、ラッチ53はアンラッチ位置からフルラッチ位置に向けて回動する。つまり、ラッチ53はフルラッチ位置に向けて回動可能に構成されている。
なお、ピン部材67は駆動レバー61の閉側ケーブル25bとの連結部61aよりも内周側に配置され、閉側ケーブル25bから駆動レバー61に伝達される牽引力を所定のレバー比で増加させて連結リンク65に伝達するようになっている。これにより、閉側ケーブル25bの牽引力による駆動レバー61の駆動力を高めて、ラッチ53を確実に回転駆動することができる。
駆動レバー61は支軸62に装着されるスプリング68(ばね部材)により駆動レバー61と連結リンク65とを初期位置(アンロック位置)に向けて回動させる方向(図5中反時計回り方向)に付勢される。これにより、ラッチ53に対するラチェット56の係合が解除されると、ラッチ53は図示しないリターンスプリングとスプリング68のばね力によりアンラッチ位置にまで回転し、スライドドア14はラッチ53から開放される。また、ベースブラケット52にはアウターチューブ63のベースブラケット52への固定部分を兼ねてストッパブロック69が設けられ、ラッチ53がアンラッチ位置にあるときには、連結リンク65がストッパブロック69に当接してラッチ53のそれ以上のアンラッチ方向(図5中時計回り方向)への回動が規制される。
図8(a)、(b)はそれぞれリンク機構の切替え動作を示す説明図であり、図9(a)〜(c)はそれぞれ閉側ケーブルの張力によりラッチがハーフラッチ位置からフルラッチ位置まで駆動される状態を示す説明図である。
次に、図8、図9に基づいて、この開閉装置24に設けられるクローザ機構51の動作について説明する。
スライドドア14が半ドア位置よりも開かれた状態となってラッチ53がアンラッチ位置にあるときには、図8(a)に示すように、ラッチ53と連結リンク65とを連結するピン部材66の軸心は、ラッチ53の回転中心つまりラッチ軸54の軸心と駆動レバー61と連結リンク65とを連結するピン部材67の軸心とを結ぶ直線L(仮想線)よりもアンラッチ側(ラッチ53がフルラッチ位置からアンラッチ位置に向けて回転する方向側)の初期位置に位置するようになっている。これにより、閉側ケーブル25bからの張力により駆動レバー61に牽引力が付与されても、その力は連結リンク65を介してラッチ53をさらにアンラッチ方向に回動させようとする方向に加わり、ストッパブロック69によりラッチ53の回動つまり駆動レバー61の作動が規制される。つまり、スライドドア14が半ドア位置よりも開かれた状態のときには、切替え手段としての機能を有するリンク機構64により、閉側ケーブル25bの牽引力による駆動レバー61の動作が規制され、駆動レバー61は作動しないようになっている。
この状態で図示しない開閉スイッチの閉側が操作され、駆動ユニット31により閉側ケーブル25bが駆動されると、リンク機構64により駆動レバー61の動作は規制されているので、閉側ケーブル25bの牽引力が駆動レバー61に加えられても、駆動レバー61は作動せずに図8(a)に示す初期位置に保持される。これにより、閉側ケーブル25bはローラアッシー21と駆動レバー61との間において移動できない状態となり、実質的にローラアッシー21つまりスライドドア14は閉側ケーブル25bに連結された状態となって当該閉側ケーブル25bにより牽引されて自動閉動作する。
次に、スライドドア14が自動閉動作して半ドア位置付近にまで閉じられると、ストライカ58がベースブラケット52の内部に侵入してラッチ53のラッチ溝53aに係合して、ラッチ53がストライカ58に押されてスプリング68のばね力に抗してアンラッチ位置からフルラッチ位置方向に向けて回動を開始する。そして、図8(b)に示すように、ラッチ53と連結リンク65とを連結するピン部材66の軸心は、ラッチ軸54の軸心と駆動レバー61と連結リンク65とを連結するピン部材67の軸心とを結ぶ直線L(仮想線)よりもフルラッチ側(ラッチ53がアンラッチ位置からフルラッチ位置に向けて回転する方向側)にまで移動する。これにより、切替え手段によるラッチ53の回動規制が解除され、閉側ケーブル25bの牽引力が駆動レバー61に付与されると、その力が連結リンク65を介してラッチ53に伝達されてラッチ53はフルラッチ位置に向けて回転することになる。なお、スライドドア14のドアシール材14aが車体12に当接して、その弾性力によって駆動ユニット31によるスライドドア14の閉動作が一時的に停止または減速した状態となるが、上述した閉側ケーブル25bの牽引力によって、ラッチ53をフルラッチ位置まで回動させることが可能となる。つまり、スライドドア14が半ドア位置付近にまで閉じられたときには、切替え手段としての機能を有するリンク機構64により駆動レバー61は閉側ケーブル25bの牽引力により回転作動可能な状態に切り替えられる。そして、駆動レバー61は初期位置から閉側ケーブル25bに引かれてロック方向に回動し、ラッチ53をフルラッチ位置に向けて駆動する。なお、本実施の形態においては、切替え手段によるラッチ53の回動規制の解除位置は、ラッチ53がハーフラッチ位置に到達する位置、つまり、ラチェット56がラッチ53のハーフラッチ溝53bと係合する位置に設定されている。
ラッチ53が駆動レバー61により駆動されてフルラッチ位置に向けて回動すると、図9(a)、(b)に示すように、ラッチ53とストライカ58との係合が徐々に深まり、スライドドア14はラッチ53とストライカ58との相対移動に伴って全閉位置に向けて引き込まれる。そして、図9(c)に示すように、ラッチ53がフルラッチ位置にまで回動すると、スライドドア14は全閉状態となり、クローザ機構51による引き込み動作が終了してスライドドア14は全閉位置に保持される。このように、スライドドア14が半ドア位置にまで閉じられると、閉側ケーブル25bの牽引力により駆動レバー61が回転作動し、この駆動レバー61によりラッチ53がフルラッチ位置に向けて駆動されてスライドドア14は全閉位置にまで引き込まれる。
反対に、スライドドア14が全閉位置にあるときに、図示しない開閉スイッチの開側が操作されると、リリーサ機構によりラッチ53へのラチェット56の係合が解除されて図示しないリターンスプリングのばね力がラッチ53に作用するとともに駆動ユニット31により開側ケーブル25aが駆動され、ロワーレール17に支持されるローラアッシー21が開側ケーブル25aにより牽引されてスライドドア14は自動開動作する。このとき、リリーサ機構によりラッチ53とラチェット56の係合が解除されると、スライドドア14はドアシール材14aの弾性力により開方向に僅かに作動し、ラッチ53を初期位置側へ移動させる力となって作用する。
このように、この開閉装置24では、スライドドア14が半ドア位置にまで閉じられたときに、閉側ケーブル25bの牽引力により作動する駆動レバー61によってラッチ53をフルラッチ位置に向けて駆動してスライドドア14を半ドア位置から全閉位置にまで引き込み動作させることができる。つまり、クローザ機構51用の電動モータや駆動機構等を設けることなく、ケーブル駆動用の電動モータ41の動力を利用してスライドドア14を引き込み動作させることができる。したがって、クローザ機構51を小型化して、この開閉装置24の車体12への搭載性を高めることができる。
また、この開閉装置24では、それぞれピン部材66,67によりラッチ53と駆動レバー61とに回動自在に連結される連結リンク65により駆動レバー61の動力をラッチ53に伝達する構造としたので、駆動レバー61とラッチ53とを連動自在に連結するリンク機構64の構成を簡素化して、この開閉装置24のコストを低減することができる。
さらに、この開閉装置24では、ラッチ53がアンラッチ位置にあるときにはピン部材66をラッチ軸54とピン部材67とを結ぶ直線Lに対してラッチ53のアンラッチ方向となるロック位置(初期位置)に配置して閉側ケーブル25bの牽引力による駆動レバー61の回動作動を規制するとともに、ラッチ53がハーフラッチ位置にまで達したときにはピン部材66をラッチ軸54とピン部材67とを結ぶ直線Lに対してラッチ53のフルラッチ方向に配置して駆動レバー61を閉側ケーブル25bの牽引力による作動が可能な状態に切り替える構造としたので、スライドドア14を通常の閉動作からクローザ機構51による引き込み動作へ切り替えるための切替え手段の構成を簡素化して、この開閉装置24のコストを低減することができる。
さらに、この開閉装置24では、駆動レバー61の回動作動に伴って開側ケーブル25aと閉側ケーブル25bとの間で作動距離に差が生じ、そのため、駆動レバー61の作動に伴って開側ケーブル25aに弛みが生じることになるが、駆動ユニット31にテンショナー機構36a,36bを設けるようにしたので、駆動レバー61の作動に伴う開側ケーブル25aの弛みをテンショナー機構36aにより吸収することができる。したがって、閉側ケーブル25bの張力を利用して駆動レバー61を駆動する構造としても、開側ケーブル25aに弛みを生じさせることなく、この開閉装置24を確実に作動させることができる。
図10(a)〜(c)はそれぞれ図2に示す開閉装置の変形例を概略で示す説明図である。なお、図10(a)〜(c)において前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
図2に示す開閉装置24では、ガイドレールとしてのロワーレール17を車体12に固定し、支持アームとしてのロワーアーム15をスライドドア14に設けるとともに、車体12のフロアパネルの内部に駆動ユニット31を配置し、閉側ケーブル25bをロワーアーム15を介してスライドドア14側に導いてスライドドア14に固定したクローザ機構51の駆動レバー61に連結するようにしている。
これに対して、図10(a)に示す変形例では、ガイドレールとしてのセンターレール18をスライドドア14に固定し、支持アームとしてのセンターアーム16を車体12に設けるとともに、スライドドア14の内部に駆動ユニット31を配置し、閉側ケーブル25bをセンターアーム16を介して車体12側に導いて車体12に固定したクローザ機構51(駆動レバー61)に連結するようにしている。この場合、クローザ機構51のラッチ53と係合するストライカ58はスライドドア14の側に固定される。
また、図10(b)に示す変形例では、ガイドレールとしてのセンターレール18を車体12に固定し、支持アームとしてのセンターアーム16をスライドドア14に設けるとともに、スライドドア14の内部に駆動ユニット31を配置し、閉側ケーブル25bをセンターアーム16を介して車体12側に導いて車体12に固定したクローザ機構51(駆動レバー61)に連結するようにしている。この場合においても、クローザ機構51のラッチ53と係合するストライカ58はスライドドア14の側に固定される。
さらに、図10(c)に示す変形例では、ガイドレールとしてのセンターレール18をスライドドア14に固定し、支持アームとしてのセンターアーム16を車体12に設けるとともに、車体12に駆動ユニット31を配置し、閉側ケーブル25bをロワーアーム15を介してスライドドア14側に導いてスライドドア14に固定したクローザ機構51の駆動レバー61に連結するようにしている。この場合、クローザ機構51のラッチ53と係合するストライカ58は車体12の側に固定される。
なお、図10(b)に示す場合では、開側ケーブル25aはセンターレール18の車両後方側となる一端側に連結され、閉側ケーブル25bはセンターレール18の車両前方側となる他端側を介してクローザ機構51(駆動レバー61)に導かれている。また、図10(c)に示す場合では、開側ケーブル25aはセンターレール18の車両前方側となる一端側に連結され、閉側ケーブル25bはセンターレール18の車両後方側となる他端側を介してクローザ機構51(駆動レバー61)に導かれている。
図11は図5に示すクローザ機構の変形例を示す正面図である。
図5に示すクローザ機構51では、連結リンク65の一端をピン部材66により駆動レバー61に回転自在に連結し、これにより、駆動レバー61の駆動力を連結リンク65に伝達するようにしている。これに対して、図11に示す変形例では、駆動レバー61に溝部としての支軸62を中心とした円弧状の長孔71を設け、連結リンク65の一端に装着されるピン部材67をこの長孔71に挿通して連結し、当該長孔71に沿って移動自在に駆動レバー61に支持させるようにしている。これにより、駆動レバー61が初期位置(図11に示す位置)にあっても、ピン部材67が長孔71を移動することにより、ラッチ53は駆動レバー61と連動せずにアンラッチ位置とフルラッチ位置との間で回動することができるようになっている。
支軸62にはスプリング72が装着され、このスプリング72により駆動レバー61は初期位置に向けて(図11中反時計回り方向に)付勢されている。また、ラッチ53はラッチ軸54に設けられた図示しないリターンスプリングにより常時アンラッチ位置に向けて付勢されており、駆動レバー61に連結された連結リンク65のピン部材67も長孔71のアンラッチ端71a(一方のストローク端)に向けて付勢され、これにより、初期状態(図11に示す状態)では、ピン部材67は長孔71のアンラッチ端71aに配置されるようになっている。
図12(a)〜(d)は、それぞれ図11に示すクローザ機構の作動を示す説明図である。
スライドドア14が半ドア位置よりも開かれた状態となってラッチ53がアンラッチ位置にあるときには、図12(a)に示すように、ラッチ53と連結リンク65とを連結するピン部材66の軸心は直線Lよりもアンラッチ側にあり、図8(a)に示す場合と同様に、閉側ケーブル25bの牽引力によるラッチ53のフルラッチ方向への回動が規制されている。
この状態からスライドドア14が全閉位置に向けて閉じられると、ラッチ53がストライカ58に押されてアンラッチ位置からフルラッチ位置方向に向けて回動し、図12(b)に示すように、ピン部材66の軸心が直線Lよりもフルラッチ側に移動し、図8(b)に示す場合と同様に、トグル機構つまり切替え機構によるラッチ53の回動規制が解除される。
このとき、駆動レバー61は長孔71においてピン部材67に連結されているので、スライドドア14を閉じる速度つまりラッチ53に対するストライカ58の侵入速度が速く、閉側ケーブル25bの牽引力による駆動レバー61の回転よりも先に連結リンク65のピン部材67が移動を開始した場合であっても、ピン部材67が長孔71に沿って当該長孔71のフルラッチ端71bに向けて移動し、閉側ケーブル25bに弛みが生じることがない。したがって、クローザ機構51を確実に作動させることができる。
トグル機構によるラッチ53の回動規制が解除されると、閉側ケーブル25bの牽引力により駆動レバー61が回動し、ピン部材67は長孔71のアンラッチ端71aにおいて駆動レバー61により駆動される。これにより、図12(c)に示すように、ラッチ53はフルラッチ位置にまで回転する。
ラッチ53がフルラッチ位置にまで回転し、駆動ユニット31の図示しない電磁クラッチが動力遮断状態に切り替えられると、ドラム35の回転がフリーとなり、図12(d)に示すように、駆動レバー61はスプリング72のばね力により付勢されて閉側ケーブル25bを引きながら初期位置に戻り動作する。このとき、ラッチ53と連結リンク65はフルラッチ状態に維持されるが、ピン部材67は長孔71において駆動レバー61に連結されているので、連結リンク65やピン部材67を引きずることなく、駆動レバー61を滑らかに戻り動作させることができる。なお、駆動レバー61が戻り動作した後には、ピン部材67は長孔71のフルラッチ端71bに配置される。
一方、スライドドア14がクローザ機構51により全閉位置に保持された状態のもとで、図示しない開閉スイッチの開側が操作され、図示しないリリーサ機構によりラチェット56のラッチ53に対する係合が自動的に解除されると、ピン部材67が図示しないリターンスプリングにより付勢されて初期位置にある駆動レバー61の長孔71に沿って当該長孔71のアンラッチ端71aにまで移動し、これにより、ラッチ53はフルラッチ位置からアンラッチ位置にまで回転して、図11に示す初期位置に復帰する。
なお、図11、図12においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号が付されている。
図13は図5に示すクローザ機構の変形例を示す正面図である。
図5に示す場合では、駆動レバー61はラッチ軸54とは別に設けられる支軸62によりベースブラケット52に回動自在に支持され、連結リンク65は、一端がピン部材67により駆動レバー61に回転自在に連結され、他端がピン部材66によりラッチ53に回動自在に連結されて駆動レバー61の駆動力をラッチ53に伝達するようになっている。
これに対して、図13に示す変形例のクローザ機構51では、駆動レバー61をラッチ軸54にラッチ53と相対回転自在に支持し、閉側ケーブル25bをラッチ53に隣接して設けられるプーリアッシー81を介して駆動レバー61の連結部61aに連結するようにしている。
なお、ラッチ軸54には図示しないスプリングが装着され、このスプリングにより駆動レバー61は初期位置に向けて(図13中反時計回り方向に)付勢されている。
一方、この変形例では、リンク機構64は図13に示す連結リンク65により構成される。この連結リンク65は、鋼板等により、外形略くの字の板状に形成されており、その一端には第1の支軸としてのピン部材82が設けられ、このピン部材82によりベースブラケット52に設けられるベース側ガイド溝83内に連結されている。これにより、連結リンク65は、当該側ガイド溝83に沿って初期位置(図13に示す位置)にある駆動レバー61に対して接近・離反する方向に移動自在となっている。
連結リンク65のラッチ53とは逆側を向く一方の側部には被ガイド面84が形成され、ベースブラケット52には被ガイド面84に対応してガイド壁85が設けられており、連結リンク65がベース側ガイド溝83に沿って移動する際には、被ガイド面84がガイド壁85に摺接して案内されることにより、連結リンク65はベース側ガイド溝83に沿って移動しながらピン部材82を中心としてラッチ53の側に向けて回動するようになっている。また、ガイド壁85の底部85aは円弧状に形成されており、ピン部材82がベース側ガイド溝83の図中下方のストローク端にまで移動すると、連結リンク65はその下端部分がガイド壁85の底部85aに支持された状態となって、当該底部85aを支点としてラッチ53の側に向けて回動することができるようになっている。
連結リンク65の他端には第2の支軸としてのピン部材86が設けられており、このピン部材86は駆動レバー61に設けられるレバー側ガイド溝87に当該溝87に沿って移動自在に連結されている。レバー側ガイド溝87は、ラッチ軸54の径方向と略平行となって当該径方向に沿って延びて形成されており、ラッチ53がアンラッチ位置にあり、駆動レバー61が初期位置にあるときには、ピン部材86はレバー側ガイド溝87の外側のストローク端に位置するようになっている。
ラッチ53の端面には駆動ピン88が取り付けられ、一方、連結リンク65のラッチ53の側を向く他方の側部には駆動面89が形成されており、この駆動面89は駆動ピン88に当接している。ラッチ53がアンラッチ位置にあり、駆動レバー61が初期位置にあるときには、駆動ピン88はラッチ53の回転中心つまりラッチ軸54の軸心とピン部材86の軸心とを結ぶ直線L2よりもラッチ53のアンラッチ方向の側(図13中において直線L2より上側)において駆動面89と当接しており、また、このとき、連結リンク65の被ガイド面84はガイド壁85に当接している。これにより、ラッチ53がアンラッチ位置にあるときには、連結リンク65の駆動ピン88から離れる方向への回動が規制され、つまり、駆動レバー61の閉側ケーブル25bによる作動が規制されるようになっている。
図14(a)〜(d)は、それぞれ図13に示すクローザ機構の作動を示す説明図である。
スライドドア14が半ドア位置よりも開かれた状態となってラッチ53がアンラッチ位置にあるときには、図14(a)に示すように、駆動ピン88はラッチ53の回転中心とピン部材86とを結ぶ直線L2よりもラッチ53のアンラッチ方向の側において連結リンク65の駆動面89と当接している。この状態で駆動レバー61が閉側ケーブル25bにより引かれると、ピン部材86がレバー側ガイド溝87により図中下方側に向けて押され、連結リンク65は被ガイド面84がガイド壁85に案内されてラッチ53の側に向けて回動しようとする。しかしながら、駆動ピン88が直線L2よりアンラッチ方向の側で駆動面89に当接しているので、連結リンク65の回転力は駆動ピン88に対してラッチ53をアンラッチ方向に駆動する向きに加えられ、これにより、連結リンク65の回動が規制される。したがって、所定開度以上に開かれたスライドドア14を自動閉動作させるために、駆動ユニット31により駆動されて閉側ケーブル25bが作動しても、当該閉側ケーブル25bによる駆動レバー61の回動は連結リンク65により規制され、スライドドア14は閉側ケーブル25bにより引かれて自動閉動作することができる。
次に、この状態からスライドドア14が全閉位置に向けて所定開度にまで閉じられると、ラッチ53がストライカ58に押されてアンラッチ位置からフルラッチ位置方向に向けて回動し、図14(b)に示すように、ラッチ53の回動により駆動ピン88が直線L2よりもラッチ53のフルラッチ方向の側(図13、図14中において直線L2より下側)に移動する。これにより、連結リンク65の回転力は駆動面89から駆動ピン88に対してラッチ53をフルラッチ方向に駆動する向きに加えられることになって連結リンク65の回動が可能となり、つまり駆動レバー61は連結リンク65による作動の規制が解除されて閉側ケーブル25bの張力により作動することができるようになる。つまり、連結リンク65とラッチ53の駆動ピン88とガイド壁85とによりスライドドア14を通常の閉動作から引き込み動作へ切り替えるための切替え手段が構成されている。
そして、閉側ケーブル25bに引かれて駆動レバー61が回動すると、レバー側ガイド溝87によりピン部材86が押されて連結リンク65がベース側ガイド溝83に沿って図中下方に移動し、さらに被ガイド面84がガイド壁85に案内されることにより連結リンク65はラッチ53の側に向けて回動する。これにより、駆動ピン88が連結リンク65の駆動面89により押されて、ラッチ53は連結リンク65によりフルラッチ方向に向けて回転駆動される。このとき、駆動レバー61の回動に伴い、ピン部材86はレバー側ガイド溝87に沿って当該ガイド溝87の内径側に向けて移動する。
図14(c)に示すように、連結リンク65がベース側ガイド溝83の下端側のストローク端にまで達すると、連結リンク65の下端がガイド壁85の底部85aを支点としてラッチ53の側に向けて回動し、これにより、連結リンク65の駆動面89はさらにラッチ53の駆動ピン88を駆動する。そして、図14(d)に示すように、ラッチ53がフルラッチ位置にまで達すると、駆動ユニット31の作動が停止し、クローザ機構51の作動が終了する。
このようなリンク機構64を用いることにより、スライドドア14を通常の閉動作から引き込み動作へ切り替えるための切替え手段の構成を簡素化して小型化を図れるとともに、この開閉装置24のコストを低減することができる。また、このような連結リンク65の構造により、駆動レバー61の作動を規制したときに連結リンク65からラッチ53に加えられるアンラッチ方向への荷重を低減させて、切替え手段の作動を容易に行わせることができる。さらに、このようなリンク機構64を用いることにより、切替え手段をラッチ53に近接して配置することが可能となり、この開閉装置24をさらに小型化することができる。また、スライドドア14を手動で閉じる際には、駆動レバー61や連結リンク65の作動を伴わずに、ラッチ53のみがフルラッチ位置に向けて回動することになるので、手動閉鎖時の作動信頼性を高めることができるとともに、ドアロック部のクローザ機構51の有無での共用化を容易にすることができる。
なお、図13、図14においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号が付されている。
図15は図7に示す閉側ケーブルと駆動レバーとの連結構造の変形例を示す説明図であり、図16は図15に示す動滑車機構の詳細を示す斜視図である。
図7に示す場合では、閉側ケーブル25bの端部を駆動レバー61の連結部61aに直接連結するようにしているが、図15に示す変形例では、閉側ケーブル25bと駆動レバー61との間に動滑車機構91を設け、この動滑車機構91を介して閉側ケーブル25bの動力を駆動レバー61に伝達するようにしている。
図16に示すように、この動滑車機構91は、バスタブ状に形成されてスライドドア14の内部に固定されるケース92を備えており、ロワーアーム15からスライドドア14の内部に引き込まれた閉側ケーブル25bは、このケース92の長手方向の一端側に設けられた引き込み部92aからケース92の内部に引き込まれて、その端部は引き込み部92aに並べて当該ケース92に固定されている。また、ケース92には引き込み部92aに対して接近・離反する方向に移動自在にホルダ93が収容されている。このホルダ93には回転軸94により動滑車95が回転自在に支持されており、ケース92に引き込まれた閉側ケーブル25bの中間部分はこの動滑車95に掛け渡されている。さらに、ケース92の内部にはスプリング96が収容されており、ホルダ93つまり動滑車95はこのスプリング96により引き込み部92aから離れる方向に付勢されている。
ホルダ93には連結用索条体としての連結用ケーブル97の一端が連結されており、この連結用ケーブル97はケース92の長手方向の他端側に設けられた引き出し部92bからケース92の外に引き出されている。そして、連結用ケーブル97の他端はクローザ機構51にまで導かれ、その先端は駆動レバー61に連結されている。
このように、この変形例では、閉側ケーブル25bを動滑車95(ホルダ93)と連結用ケーブル97とを介して駆動レバー61に連結するようにしている。これにより、閉側ケーブル25bの駆動力を動滑車95により増大して駆動レバー61に伝達して、閉側ケーブル25bによる駆動レバー61つまりクローザ機構51の作動を確実に行わせることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態おいては、駆動ユニット31はロワーレール17に支持されるローラアッシー21を駆動してスライドドア14を開閉動作させるようにしているが、これに限らず、例えば、駆動ユニット31によりセンターレール18に支持されるローラアッシー22を駆動してスライドドア14を開閉動作させるようにしてもよい。
また、前記実施の形態においては、切替え手段によるラッチ53の回動規制の解除位置を、ラッチ53がハーフラッチ位置に到達する位置、つまり、ラチェット56がラッチ53のハーフラッチ係止溝53bと係合する位置に設定したものを示したが、これに限らず、ストライカ58によってラッチ53がフルラッチ位置方向に押された直後の位置等、ラッチ53がハーフラッチ位置に到達する前の位置に設定するようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、連結リンク65をラッチ53のピン部材66と駆動レバー61のピン部材67とに回動自在に連結するようにしているが、これに限らず、駆動レバー61がラッチ53の回動により回動可能に構成されていれば他の連結構造としてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、クローザ機構51はスライドドア14の車両後方側の端部に設けられるが、これに限らず、クローザ機構51を車両前方側の端部に設けるようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、開側ケーブル25aと閉側ケーブル25bは別体に形成されるが、これに限らず、1本のケーブルの中間部位をドラム35に巻き付け、その一端側を開側ケーブル25a、他端側を閉側ケーブル25bとしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、各索条体はそれぞれケーブル25a,25bとされるが、これに限らず、索条体としてゴムベルトやワイヤ、チェーン等も用いてもよく、これに対応して反転用プーリ32a,32bに替えスプロケット等を用いるようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、テンショナー機構36a,36bはアウターチューブ33a,33bに固定されるスライドキャップ37a,37bをスプリング38,38により付勢することで、各ケーブル25a,25bのアウターチューブ33a,33bから引き出される長さを増減させて当該ケーブル25a,25bに張力を不要する構造となっているが、これに限らず、駆動レバー61の作動に伴う開側ケーブル25aの弛みを吸収できる構造であれば、例えば、ユニットケース34の内部にケーブル25aが掛け渡される可動プーリを配置し、この可動プーリをスプリング等のばね部材によりケーブル25aの移動経路を増加させる方向に付勢するようにしたテンショナー機構など、他の構造のテンショナー機構を用いるようにしてもよい。
さらに、切替え手段としては、リンク機構64を利用したものに限らず、スライドドア14の位置に応じて駆動レバー61の規制の切り替えをできるものであれば、他の構造であってもよい。