以下、本発明の一実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。図1には、スライドドア90を有する車両300が示されている。このスライドドア90は、車両本体99の昇降口を閉止した状態から斜め後方に後退しかつ、途中から真っ直ぐ後退して全開状態になる。スライドドア90を開閉操作するために、スライドドア90の室外面には車外ドアハンドル17(図2参照)が配置され、室内面には車内ドアハンドル18(図5参照)が配置されている。車外ドアハンドル17は、例えば、横方向に延びたアーチ状のグリップ式ハンドルであって、手前側に引く操作のみが可能となっている。また、スライドドア90の室内面には、車外ドアハンドル17及び車内ドアハンドル18の操作でスライドドア90が開かないように施錠するためのドアロックノブ16(図5参照)が備えられている。車内ドアハンドル18及びドアロックノブ16については後述する。
図2に示すように、スライドドア90の内部には、スライドドア90を全閉状態にラッチするための全閉ドアラッチ装置10A,10B(本発明に係る「第2ラッチ装置」に相当する)と、全開状態にラッチするための全開ドアラッチ装置10C(本発明に係る「第1ラッチ装置」に相当する)と、それらドアラッチ装置10A,10B,10Cと連結したリモートコントロール装置100(本発明の「車両ドア操作伝達装置」に相当する)とが備えられている。なお、以下の説明では、リモートコントロール装置100を「リモコン装置100」という。
各ドアラッチ装置10A,10B,10Cは、スライドドア90における所定各所に配置されており、これらに対応して、ドア枠99W(昇降口の枠)の内側面における三箇所にはストライカ40が設けられている(図1には、二箇所のストライカ40のみが示されている)。
図2に示すように、全閉ドアラッチ装置10A,10Bは、スライドドア90の前端部と後端部とに配置されている。そのうち前端部に配置された全閉ドアラッチ装置10Aは、図3に示すように、ベース盤11に、ラッチ20、ラチェット30、ストライカ受容溝12等を有するラッチ・ラチェット機構20Kを設けた構成となっている。
ストライカ受容溝12は水平方向に延びかつ、その一端部が車内側に向かって開放しており、他端部は閉じている。スライドドア90を閉じるとストライカ受容溝12の一端部からストライカ受容溝12内にストライカ40が進入する。
ベース盤11のうちストライカ受容溝12より下方には、ラチェット30が回動可能に軸支されている。ラチェット30は、回動軸30Jからラッチ20に向かって突出している。ラチェット30とベース盤11との間にはトーションコイルばね30Sが備えられ、このトーションコイルばね30Sによってラチェット30が図3における反時計回り方向に付勢されている。また、ラチェット30は、ベース盤11を隔てて反対側にラチェット駆動レバー30Rを一体に備えており、そのラチェット駆動レバー30Rとリモコン装置100とがオープンケーブル91Wによって連結されている。オープンケーブル91Wは、トーションコイルばね30Sによってラチェット30側に引っ張られており、トーションコイルばね30Sの付勢力に抗してオープンケーブル91Wがリモコン装置100側に引っ張られると、ラチェット30が図3における時計回り方向に回動する。
ベース盤11のうちストライカ受容溝12より上方にはラッチ20が回動可能に軸支されている。ラッチ20には、1対の係止爪21,22が備えられ、それら係止爪21,22の間がストライカ受容部23になっている。また、ラッチ20は、ベース盤11との間に設けたトーションコイルばね20Sによりラッチ解除方向(図3における時計回り方向)に付勢されている。そして、スライドドア90を開けた状態では、図3に示すように、ラッチ20がラッチ解除方向の一端に位置決めされる。
この状態でスライドドア90を閉止方向にスライドさせると、ストライカ受容溝12に進入したストライカ40が図3に示すように、ラッチ20のストライカ受容部23内に受容されると共に、ストライカ40が後側の係止爪22を押してラッチ20がラッチ解除方向とは逆のラッチ方向(図3における反時計回り方向)に回動する。これにより、図4に示すようにラッチ20がストライカ40と噛み合った状態になる。
このとき、ラチェット30とラッチ20の前側の係止爪21とが当接して、ラッチ20のラッチ解除方向(図4における時計回り方向)への回動が禁止される。即ち、ラッチ20とストライカ40とが噛み合った状態に保持される。
また、ラッチ20とストライカ40が噛み合った(スライドドア90が全閉ラッチされた)状態で車外ドアハンドル17を操作又は車内ドアハンドル18を開操作すると、オープンケーブル91Wがリモコン装置100側に引っ張られる。すると、図4において二点鎖線で示したように、ラチェット30が図4における時計回り方向に回動して、ラッチ20の回動領域の外側に退避し、ラチェット30によるラッチ20の回動規制が解除され、ラッチ20のラッチ解除方向への回動が許容される。
以上がスライドドア90の前端部に配置された全閉ドアラッチ装置10Aの説明であるが、スライドドア90の後端部に配置された全閉ドアラッチ装置10Bにも、前記全閉ドアラッチ装置10Aと同様に動作するラッチ・ラチェット機構(図示せず)が備えられている。全閉ドアラッチ装置10Bのラチェットとリモコン装置100との間はオープンケーブル92W(図2参照)によって連結されており、車外ドアハンドル17を操作又は車内ドアハンドル18を開操作すると、オープケーブル92Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全閉ドアラッチ装置10Bにおいてもラチェットによるラッチの回動規制が解除される。
そして、全閉ドアラッチ装置10A,10Bの両方のラッチ・ラチェット機構20Kにおいて、ラッチ20がストライカ40と噛み合った状態(図4に示す状態)に保持されたとき、スライドドア90が全閉状態にラッチされる。また、全閉ドアラッチ装置10A,10Bの両方のラッチ・ラチェット機構20Kにおいて、ラチェット30によるラッチ20の回動規制が解除されると、スライドドア90の全閉ラッチが解除されて、スライドドア90を開ける(開放方向にスライドさせる)ことが可能になる。
ここで、車両300には、スライドドア90を電動スライドさせる図示しないパワースライド装置が備えられており、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによる全閉ラッチの解除と連動してパワースライド装置を作動させることが可能になっている。
全開ドアラッチ装置10Cにも全閉ドアラッチ装置10A,10Bと同様にラッチ・ラチェット機構が備えられている。このラッチ・ラチェット機構は、スライドドア90を全開にしたときに、ドア枠99Wのストライカ40にラッチが噛み合うと共に、そのラッチにラチェットが当接してラッチ解除方向への回動を規制する。つまり、スライドドア90を全開状態にラッチする。そして、全開ドアラッチ装置10Cのラチェットとリモコン装置100との間はオープンケーブル93W(図2参照)によって連結されている。
スライドドア90が全開ラッチされた状態でに、車外ドアハンドル17を操作又は車内ドアハンドル18を閉操作すると、オープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られる。すると、全開ドアラッチ装置10Cにおいてラチェットによるラッチの回動規制が解除され、スライドドア90の全開ラッチが解除されて、スライドドア90を閉める(閉止方向にスライドさせる)ことが可能になる。なお、全開ドアラッチ装置10Cによる全開ラッチの解除に連動して前記パワースライド装置を作動させることが可能となっている。
以上が、全閉ドアラッチ装置10A,10B及び全開ドアラッチ装置10Cに関する説明であり、次に本発明に係るリモコン装置100の説明を行う。
リモコン装置100は、図2に示すようにスライドドア90の前端寄り位置に内蔵されている。リモコン装置100は、図5〜図13に詳細に示されているように、スライドドア90の内部に固定される板金製のベースブラケット101(本発明の「支持ベース」に相当する)に各種部品を組み付けた構成となっている。
ベースブラケット101は、スライドドア90のドア厚さ方向と略平行に配置されておりスライドドア90の室内側パネルに重ねて取り付けられている。ベースブラケット101のうち室内側パネルとの対向面(図5の紙面手前側の面)には、車内ドアハンドル18及びドアロックノブ16が設けられている。以下、ベースブラケット101の表裏を区別するために、室内側ドアパネルとの対向面を「正面」といい、その反対側の面(図6の紙面手前側の面)を「背面」という。
車内ドアハンドル18は、例えば、上下方向に延びかつ下端部を回動中心にしてスライドドア90と平行に前後に回動可能なスイング式のレバーハンドルである。車内ドアハンドル18は、トーションコイルばね19(図10参照)の付勢力によって、常には、直立した原点位置で停止しており(図5参照)、その原点位置から相反する二方向、即ち、スライドドア90の前端側に傾ける「閉操作」と、原点位置からスライドドア90の後端側に傾ける「開操作」とが可能となっている。
ドアロックノブ16は、車内ドアハンドル18よりもスライドドア90の後端側に隣接配置されており、例えば、上下方向へのスライド操作が可能となっている。即ち、ドアロックノブ16を、図5に示した位置から下に移動操作(施錠操作)すると、スライドドア90が施錠されて、車内ドアハンドル18又は車外ドアハンドル17を操作してもスライドドア90は開かなくなる。逆に、ドアロックノブ16を上に移動操作(解錠操作)して図5に示した位置にすると、スライドドア90が解錠されて、車内ドアハンドル18又は車外ドアハンドル17の操作によりスライドドア90を開けることが可能になる。
図5に示すように、ベースブラケット101のうちスライドドア90の前端寄り位置にはメイン回動軸111が設けられている。メイン回動軸111は、図8に示すように、ベースブラケット101からスライドドア90の室内側ドアパネル(図5の紙面手前側)に向かって起立している。メイン回動軸111は円柱状をなして先端部がスライドドア90の室内面から突出しており、その先端部に車内ドアハンドル18の下端部が一体回転可能に連結している。そして、メイン回動軸111には、後述するインサイド入力レバー140、ロック中継レバー120、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170が回動可能に軸支されている(図8及び図11参照)。ここで、全開ラッチ解除レバー170は、本発明の「第1出力レバー」に相当し、全閉ラッチ解除レバー130は、本発明の「第2出力レバー」に相当する。
図5に示すように、ベースブラケット101のうちメイン回動軸111の下方には、メイン回動軸111と平行なサブ回動軸112が配置されている。サブ回動軸112には、後述するアウトサイド入力レバー150及び中継回動レバー160が回動可能に軸支されている(図10参照)。なお、中継回動レバー160は、本発明の「中継回動部材」に相当する。
さらに、図12に示すように、ベースブラケット101のうち、メイン回動軸111をスライドドア90の前後方向から挟んだ二位置には、ロッキングレバー180とチャイルドロック操作レバー190とが設けられ、これらがメイン回動軸111及びサブ回動軸112と平行な軸回りで回動可能となっている。
上記8つのレバー120〜190のうち、インサイド入力レバー140を除く他の7つのレバー120,130,150〜190は、ベースブラケット101の正面側に取り付けられており、インサイド入力レバー140のみがベースブラケット101の背面側に取り付けられている(図5及び図6参照)。
また、例えば、ロッキングレバー180及びチャイルドロック操作レバー190は樹脂製であり、その他のレバー120〜170は金属製となっている。ロッキングレバー180にはレバー軸113が一体形成され、チャイルドロック操作レバー190にはレバー軸114が一体形成されている(図12参照)。これらレバー軸113及びレバー軸114は、例えば、弾性リベットで構成されており、ベースブラケット101に貫通形成されたベース軸孔101C,101D(図13参照)に押し込まれて係止している。即ち、ロッキングレバー180はレバー軸113を中心にして回動し、チャイルドロック操作レバー190はレバー軸114を中心にして回動するようになっている。
以下、メイン及びサブの各回動軸111,112、各レバー軸113,114に対する各レバー120〜190の回動方向を区別するために、図5における時計回り方向(図6における反時計回り方向)を「第1回動方向」といい、図5における反時計回り方向(図6における時計回り方向)を「第2回動方向」という。
図9及び図11に示すように、メイン回動軸111は、ベースブラケット101に貫通形成された円形のベース軸孔101Aに挿入されている。メイン回動軸111の基端部はベースブラケット101の背面側に突出しており、その基端部にインサイド入力レバー140が一体回転可能に固定されている。図11に示すようにインサイド入力レバー140には、非円形(例えば、二面幅部を有する形状)のレバー軸孔140Aが貫通形成されており、メイン回動軸111の基端部の断面形状は、このレバー軸孔140Aと同一形状(即ち、非円形)となっている。そして、メイン回動軸111の基端部とインサイド入力レバー140のレバー軸孔140Aとが相対回転不能に嵌合した状態で、メイン回動軸111の基端部が抜け止め状態にかしめられている(図9参照)。
メイン回動軸111の軸方向の中間部には、円板状に張り出したフランジ部111Fが一体形成されている。メイン回動軸111のうちフランジ部111Fより先端側には、車内ドアハンドル18の下端部が一体回転可能に連結している(図8参照)。なお、ベースブラケット101の正面には、メイン回動軸111が貫通すると共にその貫通孔の周縁部がフランジ部111Fと重なってベースブラケット101に対してメイン回動軸111を抜け止めした抜け止めカバー119が固定されている(図10参照)。
メイン回動軸111のうち、フランジ部111Fより基端側には、円筒形のスリーブ200(図11参照)が嵌合されている。図9に示すように、スリーブ200の両端部外側にはロック中継レバー120、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170が嵌合されており、スリーブ200の中間部外側にはトーションコイルばね19の巻回部が遊嵌されている。なお、スリーブ200は、例えば、樹脂製(具体的には、フッ素樹脂製)であって、メイン回動軸111に対して相対回転可能となっている。
図9に示すように、スリーブ200の軸方向の両端部には、外径を段付き状に縮径させた1対の小径部201,202が形成されている。1対の小径部201,202のうち、メイン回動軸111の基端側に配された小径部201(以下、適宜、「基端小径部201」という)は、ベースブラケット101に形成されたベース軸孔101Aの内側に嵌合しており、ベースブラケット101の背面側でメイン回動軸111の基端部に固定されたインサイド入力レバー140(詳細には、レバー軸孔140Aの周縁部)に突き当てられている。これに対し、基端小径部201とは反対側の小径部202(以下、適宜、「先端小径部202」という)は、メイン回動軸111のフランジ部111Fに突き当てられている。これにより、スリーブ200のメイン回動軸111に対する軸方向への移動が禁止されている。
スリーブ200の軸方向の中間部は、両端部(小径部201,202)に対して段付き状に拡径した大径部203となっており、その大径部203と各小径部201,202との間に形成された段差部204,205は、スリーブ200の軸方向を向いている。さらに、スリーブ200には、大径部203における先端小径部202側の端部を段付き状に拡径させて段差部205と連続した円板状のフランジ部203Fが形成されている。
スリーブ200の基端小径部201には、ロック中継レバー120が軸支されている。詳細には、ロック中継レバー120に貫通形成された円形のレバー軸孔120A(図11参照)の内側に基端小径部201が回動可能に嵌合している。ここで、段差部204とインサイド入力レバー140との間には、基端小径部201の軸長分のギャップが設けられている。そのギャップ(基端小径部201の軸長)は、ベースブラケット101のベース軸孔101A周縁部における厚みと、ロック中継レバー120のレバー軸孔120A周縁部における厚みとに基づいて予め設定されており、ロック中継レバー120におけるレバー軸孔120A周縁部が、ベースブラケット101とスリーブ200の段差部204との間で挟持されている。これにより、メイン回動軸111に対するロック中継レバー120のがたつき(メイン回動軸111の軸方向への移動や、メイン回動軸111に対して傾ぐこと)を抑えることができる。
図9に示すように、スリーブ200の先端小径部202には、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170が軸支されている。詳細には、全閉ラッチ解除レバー130に貫通形成された円形のレバー軸孔130A及び、全開ラッチ解除レバー170に貫通形成された円形のレバー軸孔170A(図11参照)の内側に、先端小径部202が回動可能に嵌合している。
スリーブ200のフランジ部203F及び段差部205とメイン回動軸111のフランジ部111Fとの間には、先端小径部202の軸長分のギャップが形成されている。そのギャップ(先端小径部202の軸長)は、全閉ラッチ解除レバー130のレバー軸孔130A周縁部における厚み及び、全開ラッチ解除レバー170のレバー軸孔170A周縁部における厚みに基づいて予め設定されており、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170におけるレバー軸孔130A,170Aの周縁部がフランジ部111F及び段差部205とフランジ部203Fとの間で挟持されている。これにより、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170のメイン回動軸111に対するガタつき(メイン回動軸111の軸方向への移動や、メイン回動軸111に対して傾ぐこと)を抑えることができる。
なお、全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とを、メイン回動軸111及びスリーブ200から張り出したフランジ部111F,203Fの間で挟むようにした理由は、図11に示すように、全閉ラッチ解除レバー130や全開ラッチ解除レバー170の回転半径はロック中継レバー120の回動半径よりも大きく、ロック中継レバー120に比べて全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170はガタつきによる影響が大きいからである。
次に、リモコン装置100を構成するレバー等の各部品について詳説する。図6に示すように、ベースブラケット101の背面に重ねて取り付けられたインサイド入力レバー140は、メイン回動軸111からベースブラケット101と平行な3方向にレバーアーム141,142,143が突出した略Y字形状をなしている。詳細には、第1レバーアーム141は、メイン回動軸111からスライドドア90の前端側斜め上方に向かって延びており、第2レバーアーム142及び第3レバーアーム143は、第1レバーアーム141とは略反対側に延びている。図11に示すように、第1レバーアーム141の先端部はベースブラケット101側に屈曲した端曲げ部141Kとなっている。その端曲げ部141Kに対応して、ベースブラケット101には連絡窓102が貫通形成されており、その連絡窓102を貫通して端曲げ部141Kがベースブラケット101の正面側に突出している。また、連絡窓102の縁部からベースブラケット101の正面側に切起し部102Kが起立しており、その切起し部102Kと端曲げ部141Kとが、インサイド入力レバー140の回動半径方向で対向配置されている(図5参照)。そして、これら切起し部102Kと端曲げ部141Kとに、トーションコイルばね19の巻回部から側方に突出した両端末部19T,19Tが係止可能となっている。
トーションコイルばね19の両端末部19T,19Tは、切起し部102K及び端曲げ部141Kを間に挟んだ状態でそれらに押し付けられており、これにより、インサイド入力レバー140及び車内ドアハンドル18は、図6に示す原点位置で停止している。
車内ドアハンドル18の操作によりインサイド入力レバー140が原点位置から一方向に回動すると、トーションコイルばね19の両端末部19T,19Tのうち、回動方向後側の端末部19Tが切起し部102Kに係止した状態で、回動方向前側の端末部19Tが端曲げ部141Kに押されて切起し部102Kから離間し、トーションコイルばね19の巻回部がねじれる。その状態で、車内ドアハンドル18から手を離すと、トーションコイルばね19のねじれによって生じた弾発力により、インサイド入力レバー140が原点位置に向けて戻され、図6に示すように車内ドアハンドル18と共に原点位置で停止する。
図6に示すようにインサイド入力レバー140のうち、第2レバーアーム142及び第3レバーアーム143は、ベースブラケット101の背面に設置された開操作検出用のスイッチSW1及び閉操作検出用のスイッチSW2とそれぞれ接触可能となっている。即ち、インサイド入力レバー140が図6に示す原点位置のとき、第2レバーアーム142及び第3レバーアーム143はスイッチSW1,SW2から離間していてスイッチSW1,SW2は共にオフとなっている。車内ドアハンドル18の開操作によってインサイド入力レバー140が第1回動方向(図6における反時計回り方向)に回動した場合、第2レバーアーム142がスイッチSW1に接触してこれをオンする。また、車内ドアハンドル18の閉操作によってインサイド入力レバー140が第2回動方向(図5における時計回り方向)に回動した場合、第3レバーアーム143がスイッチSW2と接触してこれをオンする。
図8及び図11に示すように、ベースブラケット101の正面側でメイン回動軸111に軸支された複数のレバー120,130,170のうち、最もベースブラケット101から離れた位置で支持された全開ラッチ解除レバー170は、メイン回動軸111から上方に向かって突出した第1レバーアーム171と、メイン回動軸111からスライドドア90の前端側に向かって突出した第2レバーアーム172とを有した略V字形をなしている。また、第1レバーアーム171は、インサイド入力レバー140の第1レバーアーム141に対して第1回動方向にずれた位置に配置され、第2レバーアーム172はインサイド入力レバー140の第1レバーアーム141に対して第2回動方向にずれた位置に配置されている。
全開ラッチ解除レバー170のうち、第1レバーアーム171の先端部には、ケーブル連結部材177を介してオープンケーブル93Wが連結している。つまり、オープンケーブル93Wによって全開ラッチ解除レバー170と全開ドアラッチ装置10Cのラチェットとが連結している。オープンケーブル93Wは、ケーブル連結部材177からスライドドア90の後方に向かって延びている。
全開ラッチ解除レバー170は、第1レバーアーム171とベースブラケット101との間を連結したコイルばね176によって、メイン回動軸111回りの第1回動方向に付勢されている。また、第1レバーアーム171の先端部には、第1回動方向に突出しかつ先端がベースブラケット101に向かって屈曲したストッパ当接片173(図11参照)が形成されており、通常は、そのストッパ当接片173がベースブラケット101から正面側に切り起こされたストッパ107に当接することで、全開ラッチ解除レバー170が図5に示す原点位置に位置決めされている。
全開ラッチ解除レバー170のうち、第2レバーアーム172の先端部には、メイン回動軸111と同心の円弧状長孔175が貫通形成されている。円弧状長孔175内にはスライドブシュ175Bが摺動可能に保持されている。そのスライドブシュ175Bには第1ロッド115の端部が連結しており、第1ロッド115によって、全開ラッチ解除レバー170と後述する中継回動レバー160とが連結している。
全開ラッチ解除レバー170の第2レバーアーム172には、第1回動方向に向かって突出しかつ先端がベースブラケット101側に屈曲した連動当接片174が形成されている(図11参照)。全開ラッチ解除レバー170及びインサイド入力レバー140が共に原点位置のとき、連動当接片174は、インサイド入力レバー140の端曲げ部141Kに当接又は近接している。車内ドアハンドル18を閉操作すると、その操作力を受けてインサイド入力レバー140が原点位置から第2回動方向に回動し、端曲げ部141Kが連動当接片174を押す。即ち、全開ラッチ解除レバー170がインサイド入力レバー140に押されて原点位置から第2回動方向に一体回動する。すると、全開ラッチ解除レバー170の第1レバーアーム171に連結されたオープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全開ドアラッチ装置10Cによるスライドドア90の全開ラッチが解除される。
図11に示すように、ベースブラケット101の正面側でメイン回動軸111に軸支された複数のレバー120,130,170のうち、最もベースブラケット101に近い位置に軸支されたロック中継レバー120は、メイン回動軸111から3方向にレバーアーム121,122,123が突出した構造をなしている。詳細には、図12に示すように、メイン回動軸111からスライドドア90の後端側に突出した第1レバーアーム121と、メイン回動軸111から上方に向かって突出した第2レバーアーム122と、メイン回動軸111から下方に向かって突出した第3レバーアーム123とを備えている。
第1レバーアーム121における第1回動方向の前端位置からは、回動半径方向の外側に向かってバネ係止突片121Tが延設されており、そのバネ係止突片121Tとベースブラケット101との間を連結したコイルばね129によって、ロック中継レバー120が第2回動方向に付勢されている。
第1レバーアーム121の先端寄り部分には、メイン回動軸111と同心の円弧状長孔124が貫通形成されており、その円弧状長孔124内にスライドブシュ124Bが摺動可能に保持されている。スライドブシュ124Bには第2ロッド116の端部が連結しており、その第2ロッド116によって、ロック中継レバー120と後述する中継回動レバー160とが連結している。
ここで、全開ラッチ解除レバー170のうち第1ロッド115が連結したスライドブシュ175B(本発明の「第3連結部」に相当する)と、ロック中継レバー120のうち第2ロッド116が連結したスライドブシュ124B(本発明の「第4連結部」に相当する)は、メイン回動軸111を間に挟んで互いに略反対の位置に配置されている。即ち、図7に示すように、全開ラッチ解除レバー170のスライドブシュ175Bとメイン回動軸111とを結ぶ第3結線L3と、ロック中継レバー120のスライドブシュ124Bとメイン回動軸111とを結ぶ第4結線L4は、メイン回動軸111から相反する方向に延びるように配置されている。また、第3結線L3と第4結線L4は、メイン回動軸111とサブ回動軸112とを結ぶ配置基準線LSに対して相反する方向(スライドドア90の前後方向)に延びるように配置されている。そして、第1ロッド115と第2ロッド112は、スライドブシュ175Bとスライドブシュ124Bとから後述するアウトサイド入力レバー150側に向かって互いに接近するように延びている。
ロック中継レバー120の第1レバーアーム121のうち、円弧状長孔124とメイン回動軸111との中間位置からは、ベースブラケット101に向かってスイッチ接触片121K(図11参照)が切り起こされている。そのスイッチ接触片121Kに対応して、ベースブラケット101には連絡窓103が貫通形成されており、その連絡窓103からスイッチ接触片121Kがベースブラケット101の背面側に突出している。そして、ロック中継レバー120が図5に示す原点位置から第1回動方向に回動したときに、スイッチ接触片121Kが、ベースブラケット101の背面に備えた開操作検出用のスイッチSW1(図6参照)と接触してこれをオンする。
ロック中継レバー120のうち、メイン回動軸111から上方に突出した第2レバーアーム122は、後述する全閉ラッチ解除レバー130の背面に重なっている。第2レバーアーム122には、L型長孔125が貫通形成されている。図13に示すように、L型長孔125は、回動半径方向に延びたL型第1辺経路125Aと、そのL型第1辺経路125Aのうちメイン回動軸111から離れた端部から第2回動方向に延びたL型第2辺経路125Bとからなる。そして、L型長孔125をロックピン134(本発明の「ロック切替部材」に相当する)が貫通している。また、第2レバーアーム122には、第1回動方向に突出しかつ先端が全閉ラッチ解除レバー130側(ベースブラケット101から離れる側)に向かって屈曲した連動当接片128が形成されている。
ロック中継レバー120のうち、メイン回動軸111から下方に突出した第3レバーアーム123には、回動半径方向に延びたチャイルドロック長孔126が貫通形成され、そのチャイルドロック長孔126をチャイルドロックピン127が貫通している。チャイルドロックピン127は、チャイルドロック長孔126に対して抜け止めされており、チャイルドロック長孔126の長手方向に延びた1対の側辺をガイドにして往復動可能となっている。また、チャイルドロックピン127に対応して、ベースブラケット101には連絡窓104が貫通形成されており、その連絡窓104からチャイルドロックピン127の一端部がベースブラケット101の背面側に突出している。
このチャイルドロックピン127をチャイルドロック長孔126内で往復動させるために、ベースブラケット101の正面にはチャイルドロック操作レバー190が備えられている。図12に示すように、チャイルドロック操作レバー190はレバー軸114を中心にして回動可能となっている。レバー軸114は、メイン回動軸111よりもスライドドア90の前端寄り位置に配置されている。
図12及び図13に示すように、チャイルドロック操作レバー190は、レバー軸114からスライドドア90の前端側に向かって突出した操作アーム191と、スライドドア90の後端側に向かって突出したピン連結アーム192とを備えている。操作アーム191はT字形をなしており、その先端部がスライドドア90の前端面から露出している。一方、ピン連結アーム192は円弧状をなしており、ロック中継レバー120における第3レバーアーム123の正面に重ねられている。ピン連結アーム192には、メイン回動軸111と同心の円弧状長孔193が貫通形成されており、円弧状長孔193をチャイルドロックピン127が往復動可能に貫通している。
チャイルドロック操作レバー190の操作アーム191を下に移動操作して図12に示す「解錠位置」にすると、ピン連結アーム192が上昇することで、チャイルドロックピン127は、チャイルドロック長孔126におけるメイン回動軸111寄りの端部に配置される。このとき、チャイルドロックピン127は、図6に示すように、インサイド入力レバー140(詳細には、第3レバーアーム143)の回動領域内に配置されるので、そのチャイルドロックピン127を介してインサイド入力レバー140とロック中継レバー120とが第1回動方向(図6における反時計回り方向)に一体回転可能に連結される。即ち、車内ドアハンドル18の開操作による操作力を、インサイド入力レバー140からロック中継レバー120に伝達することが可能となる。この状態がチャイルドロックの「解錠状態」である。
これに対し、チャイルドロック操作レバー190の操作アーム191を図12に示す位置から上に移動操作して「施錠位置」にすると、ピン連結アーム192が降下することで、チャイルドロックピン127はチャイルドロック長孔126におけるメイン回動軸111から離れた側の端部に配置される。このとき、チャイルドロックピン127はインサイド入力レバー140(詳細には、第3レバーアーム143)の回動領域の外側に配置されるので、インサイド入力レバー140とロック中継レバー120とが連動不可能に切り離される。即ち、車内ドアハンドル18の開操作による操作力が、インサイド入力レバー140とロック中継レバー120との間で遮断される。この状態がチャイルドロックの「施錠状態」である。
図6に示すように、ベースブラケット101にはレバー軸114を中心とした円弧状の位置決め窓105Aが貫通形成されており、操作アーム191の背面から突出した位置決め突起194が位置決め窓105Aに突入している。そして、位置決め窓105Aの長手方向の両端部に位置決め突起194が当接することで、チャイルドロック操作レバー190の回動範囲が規制されている。
図11に示すように、メイン回動軸111の軸方向において全開ラッチ解除レバー170とロック中継レバー120との間には、全閉ラッチ解除レバー130が軸支されている。全閉ラッチ解除レバー130は、メイン回動軸111から略相反する方向に突出した第1レバーアーム131と第2レバーアーム132とを備えている。第1レバーアーム131は、メイン回動軸111から下方に向かって延びかつ中間部でクランク状に屈曲している。第1レバーアーム131の先端部には、ケーブル連結フック137,137が形成され、それらケーブル連結フック137,137にオープンケーブル91W,92Wが連結している。つまり、オープンケーブル91Wを介して全閉ラッチ解除レバー130と全閉ドアラッチ装置10Aとが連結され、オープンケーブル92Wを介して全閉ラッチ解除レバー130と全閉ドアラッチ装置10Bとが連結されている。オープンケーブル91W,92Wはケーブル連結フック137,137からスライドドア90の後方に向かって延びており、全開ラッチ解除レバー170に連結されたオープンケーブル93Wと略平行に配置されている。
ここで、図7に示すように、全開ラッチ解除レバー170のうちオープンケーブル93Wが連結するケーブル連結部材177(本発明の「第1連結部」に相当する)と、全閉ラッチ解除レバー130のうちオープンケーブル91W,92Wが連結するケーブル連結フック137,137(本発明の「第2連結部」に相当する)とは、メイン回動軸111を間に挟んで互いに略反対の位置に配置されている。即ち、全開ラッチ解除レバー170のケーブル連結部材177とメイン回動軸111とを結ぶ第1結線L1と、全閉ラッチ解除レバー130のケーブル連結フック137,137とメイン回動軸111とを結ぶ第2結線L2とは、メイン回動軸111から相反する方向に延びるように配置されている。そして、これら第1結線L1及び第2結線L2と、前記した第3結線L3及び第4結線L4とが、メイン回動軸111から四方に延びるように配置されている。
全閉ラッチ解除レバー130のうち、第2レバーアーム132は、メイン回動軸111から、スライドドア90の後端側斜め上方に向かって延びている。第2レバーアーム132は、前記したロック中継レバー120の第2レバーアーム122の正面に重ねて配置されており(図13参照)、回動半径方向に延びたI型長孔133が貫通形成されている。I型長孔133は、全閉ラッチ解除レバー130及びロック中継レバー120が共に原点位置のときに、ロック中継レバー120のL型第1辺経路125Aと重ね合わせ可能となっており、I型長孔133とL型長孔125とを共通のロックピン134が貫通している。ロックピン134は、I型長孔133に抜け止めされており、そのI型長孔133の長手方向に延びた1対の側辺をガイドにしてI型長孔133内を往復動可能となっている。
ここで、全閉ラッチ解除レバー130の第2レバーアーム132には、第1回動方向に突出した連動当接片135が形成されており、その連動当接片135が、ロック中継レバー120の第2レバーアーム122に形成された連動当接片128と当接可能となっている。従って、全閉ラッチ解除レバー130は、ロック中継レバー120を介してコイルばね129(図12参照)の付勢力を受けることになり、ロック中継レバー120と共に第2回動方向に付勢されている。そして、常には、全閉ラッチ解除レバー130の第1レバーアーム131が、ベースブラケット101から切り起こされたストッパ108に当接することで、全閉ラッチ解除レバー130及びロック中継レバー120が図5に示す原点位置に位置決めされている。
図5に示すように、ベースブラケット101の正面のうち、ドアロックノブ16を間に挟んでメイン回動軸111とは反対側には、ロックピン134をI型長孔133内で移動させるためのロッキングアクチュエータ187が備えられている。また、ベースブラケット101の正面には、ロッキングアクチュエータ187の動力をロックピン134に付与するためのロッキングレバー180が備えられている(図12及び図13参照)。
図6に示すように、ロッキングレバー180の回動中心であるレバー軸113は、メイン回動軸111を挟んでレバー軸114とは反対側の位置に配置されている。図12に示すように、ロッキングレバー180は、レバー軸113からロッキングアクチュエータ187に向かって延びた第1レバーアーム181と、レバー軸113からロックピン134に向かって延びた第2レバーアーム182とを有している。第2レバーアーム182は、前記したロック中継レバー120の第2レバーアーム122の背面側に重ねられており、メイン回動軸111と同心の円弧状長孔183が貫通形成されている。この円弧状長孔183はI型長孔133及びL型長孔125と重ね合わせ可能となっており、I型長孔133及びL型長孔125を貫通したロックピン134が、さらに、円弧状長孔183を貫通している。
ロッキングアクチュエータ187は、ドアロックモータ187M(本発明の「施解錠用電気駆動源」に相当する)とそのドアロックモータ187Mの動力を受けて回動する出力レバー187Rとを有している。図12に示すように、出力レバー187Rの先端部は、ロッキングレバー180の第1レバーアーム181の先端部に正面側から重ねられており、出力レバー187Rから第1レバーアーム181に向けて突出したピン188Aと、第1レバーアーム181に貫通形成された長孔185とによって連結している(図6参照)。また、出力レバー187Rの先端部からは、ピン188Aとは反対側にピン188Bが突出しており、そのピン188Bによって出力レバー187Rとドアロックノブ16とが連結している(図13参照)。即ち、ドアロックモータ187Mの動力とドアロックノブ16の手動操作(上下方向の移動操作)との両方で、出力レバー187Rが回動するようになっている。
そして、出力レバー187Rの回動に伴ってロッキングレバー180がレバー軸113を中心に回動して、ロックピン134が、全閉ラッチ解除レバー130のI型長孔133のうちメイン回動軸111側の結合位置と、I型長孔133のうちL型第2辺経路125B側の結合解除位置との間を移動する。
例えば、図12に示すようにドアロックが「解除状態」のときにドアロックの施錠操作が行われると、ロッキングレバー180がレバー軸113を中心に第1回動方向に回動して、ロックピン134がI型長孔133のうちメイン回動軸111から離れた側の結合解除位置になる。この結合解除位置では、ロックピン134はL型第2辺経路125B内を移動可能となるため、ロック中継レバー120が第1回動方向に回動しても、全閉ラッチ解除レバー130は原点位置(図5参照)に停止したままとなる。即ち、ロック中継レバー120から全閉ラッチ解除レバー130への力の伝達が遮断され、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによる全閉ラッチを解除することが不可能になる。この状態がドアロックの「施錠状態」である。
一方、施錠状態からドアロックの解錠操作が行われると、ロッキングレバー180がレバー軸113を中心に第2回動方向に回動して、ロックピン134がI型長孔133のうちメイン回動軸111に近い側の結合位置に移動する(図12に示す状態)。この結合位置では、ロックピン134がL型第1辺経路125A内に配置されるので、そのロックピン134によって全閉ラッチ解除レバー130とロック中継レバー120とが一体回動可能に結合される。即ち、ロック中継レバー120から全閉ラッチ解除レバー130への力の伝達が可能となる。
ここで、図6及び図13に示すように、ベースブラケット101にはレバー軸113を中心とした円弧状の位置決め窓105Bが貫通形成されており、ロッキングレバー180からベースブラケット101側に突出した位置決め突起186が、位置決め窓105Bに突入している。これによりロッキングレバー180の回動範囲が規制されている。
図12及び図13に示すように、ロッキングレバー180における第1レバーアーム181の先端部には、第1回動方向に向かって突出しかつ側縁部がベースブラケット101側に突出したスイッチ接触片184が形成されている。そのスイッチ接触片184に対応してベースブラケット101には連絡窓106が貫通形成され、その連絡窓106からスイッチ接触片184がベースブラケット101の背面側に突出している。そして、ドアロックノブ16又はロッキングアクチュエータ187によってドアロックの施錠が行われたときに、ロッキングレバー180がレバー軸113を中心に第1回動方向(図6の反時計回り方向)に回動することにより、スイッチ接触片184がベースブラケット101の背面に備えたポジションスイッチSW3をオンする。このポジションスイッチSW3のオンオフによって、ドアロックの施解錠状態が検出される。
なお、図6に示すように、スイッチSW1〜SW3が取り付けられたベースブラケット101の背面には、ハーネスHNが敷設されており、ハーネスHNの先端部から分岐した3本のケーブルCA,CA,CAがそれぞれスイッチSW1〜SW3に接続されている。また、ハーネスHNの末端に設けられたコネクタCN1は、次述するリリースモータ60と中継回動レバー160との間に配置されて、リモコン装置100の下方に開口している。
図5に示すように、ベースブラケット101の正面のうち、ロッキングアクチュエータ187の下方には、ブラケット61を介してリリースモータ60(本発明の「ラッチ解除用電気駆動源」に相当する)が取り付けられている。リリースモータ60は、例えば、スイッチSW1,SW2の何れかがオンされ(車内ドアハンドル18又は車外ドアハンドル17が操作され)かつ全開ドアラッチ装置10C又は全閉ドアラッチ装置10A,10Bによるドアラッチが解除されたことをことを第1の作動条件として作動し、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が電動スライドを開始)するまでの間、各ドアラッチ装置10A,10B,10Cによる全閉ラッチ又は全開ラッチを解除状態に維持する。
また、リリースモータ60は、スライドドア90のドアロックが解錠状態(ポジションスイッチSW3がオフ)でかつ遠隔操作(リモコンキーや車内のドア開閉ボタンの操作)が行われたことを第2の作動条件として作動し、中継回動レバー160を回転駆動して各ドアラッチ装置10A,10B,10Cによる全閉ラッチ又は全開ラッチをモータ動力によって解除する。
ここで、図5に示すように、リリースモータ60とドアロックモータ187Mは、共にベースブラケット101の正面に配設されると共に、ベースブラケット101におけるスライドドア90の後端側位置で上下に並べて配置されている。また、リリースモータ60に備えたコネクタCN2と、ドアロックモータ187Mに備えたコネクタCN3は、同じ方向(具体的には、スライドドア90の後斜め下方)に向かって開口している。即ち、両コネクタCN2,CN3の接続相手(例えば、コネクタ付きケーブル)との嵌合方向が同じ方向になるように揃っている。
ベースブラケット101のうち、メイン回動軸111に軸支された各レバー120,130,140,170の回動領域の外側、具体的には、リリースモータ60よりもスライドドア90の前端側位置でかつメイン回動軸111の下方位置にはサブ回動軸112が備えられている。図10に示すように、サブ回動軸112は、アウトサイド入力レバー150及び中継回動レバー160の各レバー軸孔160A,150Bを貫通して、ベースブラケット101に貫通形成されたベース軸孔101Bに抜け止め状態にかしめられている。
アウトサイド入力レバー150は、中継回動レバー160の背面に重ねられており、サブ回動軸112(レバー軸孔150A)から相反する方向(具体的には、スライドドア90の前後方向)に突出した1対のレバーアーム151,152を備えている。それら1対のレバーアーム151,152のうち、スライドドア90の前端側に向かって突出した第1レバーアーム151には、ブシュ154が取り付けられており、そのブシュ154に車外ドアハンドル17から延びた第3ロッド117が連結されている。また、第2レバーアーム152の先端部には、中継回動レバー160側(ベースブラケット101から離れる側)に向かって屈曲した連動当接片153が形成されている(図5参照)。
図5に示すように、中継回動レバー160は、サブ回動軸112(レバー軸孔160A)から互いに異なる方向に突出した第1レバーアーム161、第2レバーアーム162、、第1及び第2のロッド連結突片163,164を有している。第1レバーアーム161は、サブ回動軸112から斜め下方に向かって延びかつ先端部が屈曲して第1回動方向に延びており、その第1回動方向に延びた部分にサブ回動軸112と同心の円弧状長孔165が貫通形成されている。
第2レバーアーム162は、サブ回動軸112からスライドドア90の後端側に突出してアウトサイド入力レバー150における第2レバーアーム152の正面に重なるように配置されている。第1と第2のロッド連結突片163,164は、サブ回動軸112からスライドドア90の前端側に突出してアウトサイド入力レバー150における第1レバーアーム151の正面に重なるように配置されている。そして、中継回動レバー160は、トーションコイルばね167によってサブ回動軸112を中心にして第1回動方向に付勢されている。
また、中継回動レバー160の第2レバーアーム162の側面には、アウトサイド入力レバー150に形成された連動当接片153が当接可能となっている。これにより、アウトサイド入力レバー150は、中継回動レバー160を介してトーションコイルばね167の付勢力を受けることになり、中継回動レバー160と共に第1回動方向に付勢されている。そして、常には、連動当接片153がベースブラケット101の縁部から曲げ起こされたストッパ109に当接することで、中継回動レバー160及びアウトサイド入力レバー150が図5に示す原点位置に位置決めされている。なお、アウトサイド入力レバー150及び中継回動レバー160は、ベースブラケット101から切り起こされたストッパ110に当接することで、原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置に位置決めされる。
中継回動レバー160に備えられた第1及び第2のロッド連結突片163,164のうち、第1レバーアーム161に近い第1のロッド連結突片163には、ブシュ168を介して第1ロッド115が連結している。また、中継回動レバー160のうち、第2レバーアーム162に近い第2のロッド連結突片164には、ブシュ169を介して第2ロッド116が連結している。つまり、中継回動レバー160と全開ラッチ解除レバー170とが第1ロッド115によって連結し、中継回動レバー160とロック中継レバー120とが第2ロッド116によって連結している。ここで、第1ロッド115と第2ロッド116は、本発明の「1対の線状連結部材」に相当する。
中継回動レバー160の第1レバーアーム161に貫通形成された円弧状長孔165には、スライドブシュ165Bが摺動可能に支持され、そのスライドブシュ165Bにリリースモータ60から延びた第4ロッド118が連結している。リリースモータ60の動力は第4ロッド118を介して中継回動レバー160に付与され、アウトサイド入力レバー150が原点位置に停止した状態で、中継回動レバー160だけが第2回動方向に回転駆動される。
本実施形態の構成は以上であり、次にリモコン装置100の動作について説明する。なお、以下の動作説明では、チャイルドロック及びドアロックが共に「解錠状態」であると仮定する。
[車外ドアハンドルに対する操作]
スライドドア90が全開ドアラッチ装置10Cによって全開ラッチされているときに車外ドアハンドル17を操作すると、アウトサイド入力レバー150が第3ロッド117に押されてサブ回動軸112を中心として原点位置から第2回動方向に回動し、そのアウトサイド入力レバー150に押されて中継回動レバー160も第2回動方向に一体回動する。すると、第1ロッド115がアウトサイド入力レバー150側に引かれて、全開ラッチ解除レバー170がメイン回動軸111を中心として原点位置から第2回動方向に回動する。これにより、オープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全開ドアラッチ装置10Cによるスライドドア90の全開ラッチが解除され、スライドドア90を閉めることが可能になる。
ここで、中継回動レバー160が第2回動方向に回動すると、第2ロッド116も中継回動レバー160側に引かれて、ロック中継レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130がメイン回動軸111を中心として原点位置から第1回動方向に回動する。そして、ロック中継レバー120に備えたスイッチ接触片121K(図11参照)がスイッチSW1をオンして、リリースモータ60の第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。すると、第4ロッド118がリリースモータ60側に引かれて、中継回動レバー160が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車外ドアハンドル17から手が離れて操作力が失われ、アウトサイド入力レバー150が原点位置(図5及び図6に示す位置)に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が閉止方向に電動スライドを開始)するまでは、リリースモータ60の動力によって全開ロック解除レバー170が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置に保持して、全開ラッチの解除状態を維持することができる。
スライドドア90が全閉ドアラッチ装置10A,10Bによって全閉ラッチされているときに、車外ドアハンドル17を操作すると、アウトサイド入力レバー150及び中継回動レバー160が原点位置から第2回動方向に回動し、第2ロッド116がアウトサイド入力レバー150側に引かれる。すると、ロック中継レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に回動して、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによる全閉ラッチが解除される。また、このとき、ロック中継レバー120のスイッチ接触片121K(図11参照)がスイッチSW1をオンして第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。
すると、リリースモータ60の動力によって中継回動レバー160が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置で保持され、ロック中継レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車外ドアハンドル17から手が離れて操作力が失われ、アウトサイド入力レバー150が原点位置に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が開放方向に電動スライドを開始)するまでは、リリースモータ60の動力によって全閉ラッチの解除状態を維持することができる。
以上を纏めると、車外ドアハンドル17が操作された場合には、第1ロッド115と第2ロッド116との両方が、アウトサイド入力レバー150側に引かれ、全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とが、メイン回動軸111を中心として原点位置から互いに逆向きに回動する。これにより、全閉ドアラッチ装置10A,10B及び全開ドアラッチ装置10Cの両方がラッチ解除動作を行う。
[遠隔操作(リモコンキー又は車内のドア開閉ボタンに対する操作)]
遠隔操作を行うと、第2の作動条件が成立してリリースモータ60が作動し、第4ロッド118がリリースモータ60側に引かれる。すると、アウトサイド入力レバー150を原点位置に残したまま、中継回動レバー160が原点位置から第2回動方向に回動する。すると、全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に回動すると共に、全開ラッチ解除レバー170が原点位置から第2回動方向に回動する。これにより、全閉ドアラッチ装置10A,10B及び全開ドアラッチ装置10Cの両方がラッチ解除動作を行う。
[車内ドアハンドルに対する閉操作]
スライドドア90が全開ドアラッチ装置10Cによって全開ラッチされている場合に、車内ドアハンドル18を閉操作すると、インサイド入力レバー140の端曲げ部141Kが全開ラッチ解除レバー170の連動当接片174Kを押して、それら両レバー140,170がメイン回動軸111を中心として原点位置から第2回動方向に一体回動する。すると、全開ラッチ解除レバー170に連結されたオープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全開ドアラッチ装置10Cによるスライドドア90の全開ラッチが解除され、スライドドア90を閉めることが可能になる。
車内ドアハンドル18に対する閉操作の場合、インサイド入力レバー140の第3レバーアーム143はチャイルドロックピン127から離れる方向(図6における時計回り方向)に移動するから、インサイド入力レバー140の回動によるロック中継レバー120の従動が防がれる。また、インサイド入力レバー140から操作力を受けて全開ラッチ解除レバー170が第2回動方向に回動したときに、第1ロッド115と連結したスライドブシュ175Bが円弧状長孔175内で移動して操作力の伝達を遮断するから、全開ラッチ解除レバー170の回動による中継回動レバー160の従動が防がれる。つまり、車内ドアハンドル18の閉操作による操作力は、全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130とのうち、全開ラッチ解除レバー170に対して選択的に付与される。よって、車内ドアハンドル18に対する閉操作では、その操作力によって全開ドアラッチ装置10Cをラッチ解除動作させるだけであり、全閉ドアラッチ装置10A,10Bをラッチ解除動作させることはない。
なお、インサイド入力レバー140が原点位置から第2回動方向へと回動すると、第3レバーアーム143がスイッチSW2(図6参照)をオンして第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。すると、第4ロッド118がリリースモータ60側に引っ張られて、中継回動レバー160が原点位置から第2回動方向に回転駆動される。中継回動レバー160の回動によって第1ロッド115が中継回動レバー160側に引かれ、全開ラッチ解除レバー170が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車内ドアハンドル18から手が離れて操作力が失われ、インサイド入力レバー140が原点位置(図5及び図6に示す位置)に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が閉止方向に電動スライドを開始)するまでは、リリースモータ60の動力によって全開ラッチの解除状態を維持することができる。
[車内ドアハンドルに対する開操作]
スライドドア90が全閉ドアラッチ装置10A,10Bによって全閉ラッチされているときに、車内ドアハンドル18を開操作すると、その操作力を受けてインサイド入力レバー140が原点位置から第1回動方向に回動し、インサイド入力レバー140の第3レバーアーム143がチャイルドロックピン127を押すことで、ロック中継レバー120が原点位置から第1回動方向に回動する。ロック中継レバー120と全閉ラッチ解除レバー130はロックピン134によって一体回動可能に結合しているので、全閉ラッチ解除レバー130も原点位置から第1回動方向に回動し、オープンケーブル91W,92Wがリモコン装置100側に引っ張られる。これにより、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによるスライドドア90の全閉ラッチが解除され、スライドドア90を開けることが可能になる。
車内ドアハンドル18に対する開操作の場合、インサイド入力レバー140の第1レバーアーム141は、全開ラッチ解除レバー170の第2レバーアーム172(連動当接片174)から離れる方向(図5における時計回り方向)に回動するから、インサイド入力レバー140の回動による全開ラッチ解除レバー170の従動が防がれる。また、インサイド入力レバー140の回動に伴ってロック中継レバー120(及び全閉ラッチ解除レバー130)が第1回動方向に回動したとき、第2ロッド116と連結したスライドブシュ124Bが円弧状長孔124内で移動して操作力の伝達を遮断するから、ロック中継レバー120(及び全閉ラッチ解除レバー130)の回動による中継回動レバー160の従動が防がれる。つまり、車内ドアハンドル18の開操作による操作力は、全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130とのうち、全閉ラッチ解除レバー130に対して選択的に付与される。よって、車内ドアハンドル18に対する開操作では、その操作力によって全閉ドアラッチ装置10A,10Bをラッチ解除動作させるだけであり、全開ドアラッチ装置10Cをラッチ解除動作させることはない。
なお、インサイド入力レバー140の第1回動方向への回動に伴い、インサイド入力レバー140の第2レバーアーム142がスイッチSW1をオンして第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。すると、そのモータ動力によって中継回動レバー160がサブ回動軸112を中心として第2回動方向に回転駆動され、第2ロッド116で連結されたロック中継レバー120さらには、全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車内ドアハンドル18から手が離れて操作力が失われ、インサイド入力レバー140が原点位置に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が開放方向に電動スライドを開始)するまでは、全閉ラッチを解除状態に維持することができる。
車内ドアハンドル18の操作に対するリモコン装置100の動作を纏めると以下のようになる。即ち、車内ドアハンドル18を開操作した場合と閉操作した場合とでは、インサイド入力レバー140の原点位置からの回動方向が互いに逆向きになる。開操作の操作力を受けてインサイド入力レバー140が原点位置から第1回動方向へと回動するときには、全開ラッチ解除レバー170が原点位置に停止した状態で、ロック中継レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130がインサイド入力レバー140から操作力を受けて同じ回動方向(第1回動方向)に従動する。一方、閉操作の操作力を受けてインサイド入力レバー140が原点位置から第2回動方向へと回動するときには、ロック中継レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130が原点位置に停止した状態で、全開ラッチ解除レバー170がインサイド入力レバー140から操作力を受けて同じ回動方向(第2回動方向)に従動する。つまり、インサイド入力レバー140からの操作力の伝達相手が、車内ドアハンドル18の開操作と閉操作とに応じて、全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130との何れか一方に択一的に切り替えられる構成(本発明の「出力切替機構」に相当する)となっている。
また、インサイド入力レバー140の原点位置からの回動に伴う全開ラッチ解除レバー170、ロック中継レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130の回動時に、スライドブシュ124B,175Bが円弧状長孔124,175内で移動して、中継回動レバー160への力の伝達を遮断する。即ち、全開ラッチ解除レバー170及び全閉ラッチ解除レバー130の回動に対して中継回動レバー160が従動しないように構成されている(本発明の「一方向伝達機構」に相当する)。これにより、開操作の操作力が、中継回動レバー160を経由して全開ラッチ解除レバー170に伝達されたり、閉操作の操作力が中継回動レバー160を経由して全閉ラッチ解除レバー130に伝達されることが防がれる。
[施錠状態における操作]
スライドドア90が全閉ラッチされかつドアロックが「施錠状態」(ロックピン134が結合解除位置)である場合に、上記した車内ドアハンドル18の開操作又は車外ドアハンドル17の操作を行っても、ロック中継レバー120と全閉ラッチ解除レバー130との間で力の伝達が遮断される。また、遠隔操作を行っても、リリースモータ60の第2の作動条件が成立しない。よって、何れの操作でも、スライドドア90を開けることは不可能である。
また、スライドドア90が全閉ラッチされかつチャイルドロックが「施錠状態」である場合に、車内ドアハンドル18を開操作しても、インサイド入力レバー140からロック中継レバー120への力の伝達が遮断されるので、スライドドア90を開けることは不可能である。但し、チャイルドロックが施錠状態であっても、ドアロックが「解錠状態」であれば、上記した車外ドアハンドル17の操作又は遠隔操作により、スライドドア90を開けることが可能である。
このように、本実施形態のリモコン装置100では、全開ラッチ解除レバー170、全閉ラッチ解除レバー130及びインサイド入力レバー140を共通のメイン回動軸111に軸支して、車内ドアハンドル18の開操作と閉操作でインサイド入力レバー140が互いに逆向きの第1回動方向と第2回動方向とに回動するようにした。そして、車内ドアハンドル18に対する開操作の操作力を受けてインサイド入力レバー140が第1回動方向に回動したときには、全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とのうち、全閉ラッチ解除レバー130を択一的に同方向(第1回動方向)に回動させて、全閉ドアラッチ装置10A,10Bに操作力(ラッチ解除用動力)を付与する一方、車内ドアハンドル18に対する閉操作の操作力を受けてインサイド入力レバー140が第2回動方向に回動したときには、全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とのうち、全開ラッチ解除レバー170を択一的に同方向(第2回動方向)に回動させて、全開ドアラッチ装置10Cに操作力(ラッチ解除用動力)を付与するように構成した。
つまり、車内ドアハンドル18に対する閉操作の場合は、その操作力を全開ドアラッチ装置10Cに対して選択的に付与してラッチ解除動作させる一方、車内ドアハンドル18に対する開操作の場合は、その操作力を全閉ドアラッチ装置10A,10Bに対して選択的に付与してラッチ解除動作を行わせることができる。これにより、車内ドアハンドル18を開操作したときの操作感を従来よりも向上させる(軽快にする)ことができる。また、インサイド入力レバー140と全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130とを共通のメイン回動軸111に回動可能に支持することで、構造の複雑化を招くことなく本発明の目的を達成することができる。
また、本実施形態によれば、アウトサイド入力レバー150をメイン回動軸111とは別のサブ回動軸112に回動可能に支持したから、アウトサイド入力レバー150の原点位置から一方側(第2回動方向)のみへの回動によって、全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130とが互いに逆向きに回動するという、車外ドアハンドル17の操作に起因した動作を、比較的簡素な構成で実現することができる。具体的には、アウトサイド入力レバー150と共に原点位置から第2回動方向に回動する中継回動レバー160と全開ラッチ解除レバー170との間を第1ロッド115で連結すると共に、全閉ラッチ解除レバー130と共に第1回動方向に回動するロック中継レバー120と中継回動レバー160との間を第2ロッド116で連結するという比較的簡単な構成で、上記した車外ドアハンドル17の操作に起因した動作を実現することができる。
また、図7に示すように、第1結線L1、第2結線L2、第3結線L3、第4結線L4をメイン回動軸111から四方に延びるように配置して、ケーブル連結部材177、ケーブル連結フック137,137、スライドブシュ175B、スライドブシュ124Bをメイン回動軸111回りの4つの位置に分散配置したことで、メイン回動軸111回りのスペースを有効利用することができる。
また、スライドブシュ175B,124B、ケーブル連結フック137,137及びケーブル連結部材177が互いに重ならないように配置されたことで、それらに対する第1ロッド115,第2ロッド116,オープンケーブル91W,92W,93Wの連結作業の作業性が向上する。
また、各ロッド115〜118やオープンケーブル91W〜93Wと連結される各レバー120,130,150,160,170を全てベースブラケット101の表裏の一方側(正面側)に集めて配置したので、それら各レバー120,130,150,160,170(詳細には、スライドブシュ124B,165B,175B、ケーブル連結フック137,137、ブシュ154,168,169、ケーブル連結部材177)に対する各ロッド115〜118やオープンケーブル91W〜93Wの連結作業を、ベースブラケット101の表裏の同じ側(正面側)から行うことができ、作業性が向上する。
さらに、中継回動レバー160を、メイン回動軸111とは別のサブ回動軸112に軸支したことで、リリースモータ60の配置の自由度が向上する。特に、本実施形態では、図8に示すように、ドアロックモータ187Mとリリースモータ60とを、メイン回動軸111とサブ回動軸112とを結ぶ配置基準線LSに対して同じ側の側方(スライドドア90の後端側)に隣り合わせにして配置すると共に、メイン回動軸111の側方(スライドドア90の後端側)にドアロックモータ187Mを配置しかつ、サブ回動軸112の側方(スライドドア90の後端側)にリリースモータ60を配置したので、部品配置の最適化により、リモコン装置100のコンパクト化を図ることができる。
しかも、ドアロックモータ187MのコネクタCN2の接続相手との嵌合方向と、リリースモータ60のコネクタCN3の接続相手との嵌合方向とを同じ方向に揃えたので、それらコネクタCN2,CN3に対する接続相手(例えば、コネクタ付きケーブル)の嵌合作業を効率よく行うことができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、リリースモータ60と中継回動レバー160とを備えていたが、これらを外して、第1ロッド115及び第2ロッド116をアウトサイド入力レバー150(例えば、第1レバーアーム151)に連結した構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、メイン回動軸111に軸支された複数のレバー120,130,140,170のうち、インサイド入力レバー140のみがベースブラケット101の背面側に配されていたが、インサイド入力レバー140を他のレバー120,130,170と同じくベースブラケット101の正面側に配してもよい。
(3)上記実施形態において、中継回動レバー160と全開ラッチ解除レバー170との間及び、中継回動レバー160とロック中継レバー120との間をケーブルワイヤによって連結してもよい。同様に、中継回動レバー160とリリースモータ60との間をケーブルワイヤによって連結してもよい。
(4)上記実施形態では、インサイド入力レバー140とロック中継レバー120との間を切り離すチャイルドロック機構を備えていたが、インサイド入力レバー140の原点位置から第1回動方向への回動に対しロック中継レバー120が常に従動して同一方向に回動するように構成してもよい。