JP5293948B2 - セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックスの製造方法に関する。
例えば、圧電特性を有するセラミックスの粉末材料(以下、「セラミックス材料」という)は、圧電素子の材料として、さまざまな産業分野にて用いられている。圧電素子は、電圧を加えると変形することから、電気信号を、物理的動力に変換するアクチュエーターとして用いられている。例えば、インクジェット技術を用いた液体吐出装置などでは、インクを吐出するための加圧アクチュエーターとして、家庭用、産業用を問わずに、圧電素子を用いたアクチュエーターが用いられている。圧電素子の材料となる圧電セラミックス材料としては、圧電特性に優れるという点から主成分に鉛を含む、チタン酸ジルコン酸鉛系(組成式Pb(Zr1−XTi)Oで表され、「PZT」と略称される)のものが最も幅広く利用されてきている。しかしながら、圧電素子が鉛を含んでいる場合、環境上の配慮が必要となる。特に、近年、EUのROHS指令への対応から始まり、世界中で鉛に対する規制が広まっていることから、鉛を含まない非鉛系であって、かつPZT系と同等の圧電特性を持つ代替圧電セラミックス材料の開発が求められている。
非鉛系圧電セラミックス材料の一例として、化学組成がx[(Bia1-a)TiO3]−(1−x)[BiFeO3](但し、0.5≦x≦0.6,0.4<a<0.6)で表される圧電セラミックス材料が挙げられる。以下において、該セラミックス材料を、[(Bia1-a)TiO3]をBKT、[BiFeO3]をBFOと略称し、BKT−BFO系の圧電セラミックスとする。BKT−BFO系の圧電セラミックス材料は、鉛を含有していない圧電セラミックスであり、また、優れた圧電特性と誘電特性を有するため、PZT系の圧電セラミックス材料の有力な代替圧電セラミックス材料である。しかしながら、その製造方法においては、BiやKが高い揮発性を有することや、BFOのFeの価数が不安定なために、高密度で単一結晶相のBKT−BFO系の圧電セラミックス材料を得るのが難しい。
製造方法に関しては、例えば、特許文献1において、出発原料として、金属塩である2−エチルヘキサン酸錯体等の有機化合物を用いる技術が開示されている。具体的には、製造プロセスに関して、2−エチルヘキサン酸錯体等の有機化合物を気相反応法によって蒸気化させて、冷却し、原料粉末を得て、原料粉末を成形し、所定の温度で熱処理することにより、BKT−BFO系の圧電セラミックス材料を得るという製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、高価な金属塩を出発原料としている。また、その出発原料から圧電セラミックス材料を作製する工程において、気相反応法を用いることから、製造プロセスが複雑化している。
特開2008−069051号公報
本発明の目的の1つは、安価な出発原料を用いて、BKT−BFO系の圧電セラミックス材料の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的の1つは、気相反応法を必要とせずに、固相反応法を用いた、より簡便な製造プロセスからなるBKT−BFO系の圧電セラミックス材料の製造方法を提供することにある。
本発明に係るセラミックスの製造方法は、
化学組成がx[(Bia1-a)TiO3]−(1−x)[BiFeO3](但し、0.5≦x≦0.6,0.4<a<0.6)で表されるセラミックスの製造方法であって、
出発原料として、金属酸化物と炭酸塩を準備する工程と、
前記金属酸化物と前記炭酸塩を含む混合物を得る工程と、
前記混合物を含む成形体を得る工程と、
前記成形体を焼成する工程と、を含む。
本発明に係るセラミックスの製造方法によれば、出発原料として、金属酸化物と炭酸塩を用いて、BKT−BFO系の圧電セラミックスを製造することができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記金属酸化物は、Bi、Fe、およびTiOであり、前記炭酸塩は、KCOであることができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記混合物を得る工程は、物理的粉砕方法を用いて行われることができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記混合物を得る工程の後に、得られた前記混合物を、さらに700℃〜850℃の温度で仮焼成する工程を含むことができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記成形体を得る工程は、前記混合物に有機成分を混合し、前記混合物を用いて、成形体を得る工程と、を含むことができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記成形体を焼成する工程は、前記成形体に含まれる前記有機成分を除去する脱バインダー工程と、
前記工程の後、前記成形体を焼成し、セラミックスを得る工程と、を含むことができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記成形体を焼成する工程は、ビスマスおよびカリウムを含む雰囲気で行われることができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記成形体を焼成する工程は、前記成形体を、前記混合物によって被った状態で行われることができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記成形体を焼成する焼成温度は、前記化学組成の組成比で決定される融点温度未満であり、かつ、前記融点温度より50℃低い温度より高いことができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記成形体を焼成する焼成温度は、前記化学組成の組成比で決定される融点温度未満であり、かつ、前記融点温度より45℃低い温度より高いことができる。
本発明に係るセラミックスの製造方法において、前記成形体を焼成する工程の後、得られるセラミックスは、単一の結晶相であることができる。
以下に、本発明に好適な一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係るセラミックスの製造方法は、
化学組成がx[(Bia1-a)TiO3]−(1−x)[BiFeO3](但し、0.5≦x≦0.6,0.4<a<0.6)で表されるセラミックスの製造方法であって、
出発原料として、金属酸化物と炭酸塩を準備する工程と、
前記金属酸化物と前記炭酸塩を含む混合物を得る工程と、
前記混合物を含む成形体を得る工程と、
前記成形体を熱処理する工程と、を含む。
図1は、本実施形態に係るセラミックスの製造方法のプロセスを示す図である。以下に、本実施形態に係るセラミックスの製造方法の各プロセスについて、図1を参照しながら説明する。
1. 出発原料を準備する工程(S1)
まず、図1に示すように、本実施形態に係るセラミックスの製造方法の出発原料となる金属酸化物と炭酸塩を準備する。本実施形態において、金属酸化物には、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)、および酸化チタン(TiO)を用いることができる。また、炭酸塩には、炭酸カリウム(KCO)を用いることができる。これらの原料を、[(Bi0.50.5)TiO3]:[BiFeO3]が、モル%比で、60:40〜50:50の組成比となるように、それぞれ所定量に秤量する。
2. 混合物を得る工程(S2)
次に、秤量された出発原料を用いて、原料粉末である混合物を作製する。混合物を作製する方法としては、公知の物理的粉砕方法を用いることができる。公知の物理的粉砕を用いることによって、所望の粒径まで粒度調整を行うことができる。具体的には、乾式粉砕法や、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ボールミル、およびジェットミル等の湿式粉砕が適宜利用できる。好適には、酸化を防ぎ、微粒化が可能な湿式粉砕を使用することができる。湿式粉砕をボールミルにて行う場合には、秤量後の出発原料である、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)、酸化チタン(TiO)、および炭酸カリウム(KCO)を、分散媒と混合し、粉砕装置に投入する。分散媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、ベンゼン、シクロヘキサン、またはトルエン等が使用できる。さらに粉砕装置に、ジルコニアボール等の粉砕メディアを加えて、出発原料の粒度が微細で、均一となるまで混合・粉砕を行うことができる。これによって、混合物の粒径が、ナノメーターレベルの微細構造で、均一な組成である原料粉末を作製することができる(S2−1)。
次に、ジルコニアボール等の粉砕メディアを取り除き、熱処理を行うことによって、分散媒を乾燥除去することができる。これによって、本実施形態に係るセラミックスの原料粉末からなる混合物を得ることができる(S2−2)。
なお、ここで、得られた混合物に対して、仮焼成を行ってもよい。仮焼成の温度は、例えば、700℃〜850℃の温度で行ってもよい(S2−3)。これによって、混合物の組成均一化や、焼成後のセラミックスの強度増加を図ることができる。ただし、この仮焼成は、必ずしも必要とされるわけではなく、分散媒を乾燥除去した原料粉末を本実施形態に係る混合物としてもよい。
3. 成形体を得る工程(S3)
得られた混合物に適宜な有機成分バインダー(結合剤)や可塑剤、有機溶剤(分散剤)等を加え、混合することにより、スラリーの作製を行う(S3−1)。例えば、有機成分バインダー等が加えられた混合物を湿式粉砕することが好ましい。ここで、有機成分バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリビニルブチラール(PVB)などが好適に用いられる。
次に、前記スラリーを乾燥させることにより有機成分とセラミックスの粉末の混合物を得ることができる。
次に、得られた有機成分とセラミックスの粉末の混合物を、公知のプレス機械、ドクターブレード、リバースコーター等を用いて、所望の形状に成形することができる(S3−2)。成形体の形状については、特に限定はなく、作製する圧電セラミックスの用途などに合わせて適宜決定すればよい。例えば、公知のプレス機械を用いて、有機成分とセラミックスの粉末の混合物を、直径10mm程度、厚み1mm程度の円柱状のペレットに成形することができる。これによって、本実施形態に係る成形体を得ることができる。
4. 成形体を熱処理する工程(S4)
本実施形態に係る熱処理工程は、例えば電気炉等を用いて行うことができる。
まず、前記成形体を熱処理して、スラリー作製時に加えられた有機成分を除去する(S4−1、脱バインダー処理)。ここで熱処理の温度は、十分に有機成分を除去することができればよく、例えば、600〜800℃に設定することができる。脱バインダー処理は、有機物の酸化分解を伴うため、例えば、開放系の装置で熱処理が行われる。
次に、有機成分が除去された成形体を、焼成する(S4−2)。ここで、成形体を焼成する焼成工程は、密閉系の装置で行うことができる。例えば、マグネシア等のさやで密閉した内部で行うことができる。
この理由は次のとおりである。図2は、BKT:BFO(60:40)の組成比における示差熱・熱重量同時測定TG(Thermogravimetry)−DTA(Differential Thermal Analysis)の測定結果である示差熱曲線(DTA曲線)と、熱重量曲線(TG曲線)を示す図である。測定装置は、BRUKER社、TG−DTA2000SAを用いた。測定は白金パンの上で開放系にて行い、測定条件は空気下、昇温レート10℃/minで測定した。図2に示すように、TG曲線の結果より、焼成温度である1000℃から1200℃の間において、重量減少が0.6%であることが確認できる。この重量減少は他成分より蒸気圧が低いビスマスおよびカリウムの揮発である。このことから、開放系では、焼成温度である1000℃から1200℃の間において、ビスマスおよびカリウムが揮発することがわかる。したがって、密閉系の装置で焼成工程を行うことにより、成形体から揮発するビスマスおよびカリウムが大気中に拡散することを低減することができ、成形体の組成ずれの低減および密度を向上させることができる。
さらに、焼成工程の雰囲気はビスマスおよびカリウムを含む密閉雰囲気で行われる。例えば、上述の密閉系の装置で、上述した混合物を得る工程(S2)により得られた混合物を用いて、焼成される成形体を十分に被った状態でおこなわれる。これによって、焼成時における成形体周辺の焼成雰囲気は、混合物より揮発したビスマスおよびカリウム雰囲気にすることができる。その結果、成形体からビスマスおよびカリウムが揮発し、大気中に拡散することを低減することができる。
焼成温度は、焼成される成形体の化学組成の組成比によって決定される。具体的には、BKT:BFOの組成比によって変化する融点温度によって、成形体を焼成するための焼成温度を決定する。組成比と融点温度の関係ついての詳細は後述する。
本実施形態において、成形体を焼成する焼成温度は、融点温度未満であり、かつ、融点温度より50℃低い温度より高い温度に設定することができる。
より好適には、成形体を焼成する焼成温度は、融点温度未満であり、かつ、融点温度より45℃低い温度より高い温度に設定することができる。
焼成時間は、例えば、2時間〜12時間とすることができる。上述した焼成温度によって成形体を焼成することによって、緻密化され、均一で高密度なセラミックスを得ることができる。
本実施形態に係るセラミックスの製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係るセラミックスの製造方法によれば、化学組成がx[(Bia1-a)TiO3]−(1−x)[BiFeO3](但し、0.5≦x≦0.6,0.4<a<0.6)で表されるセラミックスを製造するために、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)、酸化チタン(TiO)、および炭酸カリウム(KCO)を出発原料として用いることができる。これによって、安価な原料を用いることができ、製造コストを低減することができる。
本実施形態に係るセラミックスの製造方法によれば、固相反応法を用いることによって、化学組成がx[(Bia1-a)TiO3]−(1−x)[BiFeO3](但し、0.5≦x≦0.6,0.4<a<0.6)で表されるセラミックスを製造することができる。これによって、気相反応法に用いられる装置を必要とせず、簡便なプロセスによって製造することができる。
本実施形態に係るセラミックスの製造方法によれば、焼成工程において、ビスマス、およびカリウムを含む雰囲気で、成形体を焼成することができる。これによって、焼成工程において、ビスマスやカリウムが揮発し、拡散することを抑えることができ、緻密なセラミックスを得ることができる。
本実施形態に係るセラミックスの製造方法によれば、焼成工程において、焼成温度を
融点温度未満であり、かつ、融点温度より50℃低い温度より高い温度に設定することができる。より好適には、成形体を焼成する焼成温度は、融点温度未満であり、かつ、融点温度より45℃低い温度より高い温度に設定することができる。これによって、セラミックス表面において孔の発生を抑えることができ、緻密なセラミックスを得ることができる。つまり、均一で、高密度なセラミックスを得ることができる。詳細は後述する。
5. 焼成温度(融点温度)決定方法
図3は、BKT:BFOの組成比を30:70、40:60、60:40と変化させた場合におけるDTA曲線(図3(a))と、各BFOの割合における融点温度分布を示す図である(図3(b))。以下に、本実施形態に係る焼成温度の決定方法について、図2、3を参照しながら説明する。なお、溶融開始時の温度は、図2の示差熱曲線において傾斜の著しい変化が見られる温度に相当する。融点温度は、上記DTA曲線の最小点付近であり、DTA曲線の接線によって、求められる。
上述したように、本実施形態に係る成形体を焼成する焼成温度は、成形体の融点温度によって決定される。本実施形態に係る混合物は、前述の通り、[(Bi0.50.5)TiO3]:[BiFeO3]が、モル%比で、60:40〜50:50の組成比となるよう調整され、それぞれの組成比によって融点温度は決定される。BKT:BFO(60:40)の組成比における融点温度は、図2に示すように、1095℃付近に明瞭な発熱の落ち込みのピークが存在していることから、この温度領域において融点温度が存在していることが分かる。図3(a)に示すように、BKT:BFOの組成比を30:70、40:60、60:40と変化させた場合、発熱の落ち込みのピークは低温化しており、図3(b)に示すように、BFOの割合が増加する程、融点温度が低温化することが分かる。以上の方法により、本実施形態においては、BKT:BFO(60:40)、BKT:BFO(50:50)の融点温度を、各々、1095℃と、1085℃に決定することができる。以上により得られた融点温度によって、本実施形態に係る焼成温度の範囲を決定することができる。具体的には、融点温度をTmとし、焼成温度をTとした場合、本実施形態に係る融点温度Tmと焼成温度Tは、(Tm−50)<T<Tmの関係式を満たす。より好適には、本実施形態に係る融点温度Tmと焼成温度Tは、(Tm−45)<T<Tmの関係式を満たす。
以上の工程により、本実施形態に係るセラミックスを得ることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
以下に、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
実施例1においては、BKT:BFO(60:40)の組成比のセラミックスを本実施形態に係るセラミックス製造方法を用いて作製し、その特性を評価した。実施例2においては、BKTB:FO(50:50)の組成比のセラミックスを本実施形態に係るセラミックス製造方法を用いて作製し、その特性を評価した。なお特性の評価を目的として、焼成工程後得られたペレット形状のセラミックスを、例えば0.5〜0.8mmの厚さに研磨した後、公知の手法、例えばスパッタ法またはスクリーン印刷によって電極を塗布した。電極の材料にはAgを用いた。Agを塗布した後、700℃の温度にて電極を焼付けた。分極処理は、シリコンオイルの中で、5kVmm−1の電界を3分間程度印加して行った。特性の評価については、周波数10Hz、室温でP−Eヒステリシスを測定し、残留分極Prおよび抗電界Ecを求めた。
なお、焼成後のセラミックスの相対密度に関しては、BKT−BFO系の圧電セラミックスの原料粉末(混合物)が、固溶体であるのか、複合体であるのか、あるいはこれらが混在しているのか今のところ確かめられておらず、理論密度を算出することができない。よって、本実施例において、セラミックスの緻密さは、表面のSEM画像によって評価された。
(実施例1)
1. 焼成条件
BKT:BFO(60:40)の組成比からなるセラミックスの焼成温度は、図2のDTA曲線の結果から、融点温度が1095℃となるために、1095℃未満であって、かつ1095℃より50℃低い温度である、1045℃より高い温度に設定することができる。より好適には、1095℃未満であって、かつ1095℃より45℃低い温度である、1050℃より高い温度に設定することができる。具体的には1050℃と1060℃の焼成温度にて実施した。比較例として、1000℃、1080℃、および1100℃の焼成温度においても実施した。
2. 表面状態
図4に、焼成後のセラミックス表面のSEM画像を示す。図4(a)は、1050℃(2時間)の焼成条件で焼成したセラミックスのSEM画像であり、図4(b)は、1060℃(2時間)の焼成条件で焼成したセラミックスのSEM画像である。これによれば、1050℃にて焼成したセラミックス表面には、多数の孔が確認される。これに対して、1060℃にて焼成したセラミックス表面には、孔がほとんどみられず、セラミックスは緻密化していることが確認できる。
表1に、本実施例における、各温度の焼成温度による焼成後のセラミックス表面状態を示す。これによれば、1060℃によって焼成したセラミックスの表面は、孔が発生せず、緻密化することがわかる。しかしながら、融点温度と焼成温度との温度差が大きくなるにつれて、表面に発生する孔の数が多くなり、緻密化し、高密度で均一なセラミックを得ることができなかった。つまり、1060℃にて焼成したセラミックスは、もっとも高密度なセラミックスであることがわかる。
3. 結晶構造
に、1060℃によって焼成したBKT:BFO(60:40)の組成比からなるセラミックスのX線回折パターンを示す。図には、3パターン示されているが、成形体の焼成温度は、1060℃で同一条件であるのに対し、混合物を形成する工程にて、仮焼成を行った場合の仮焼成温度の条件を、700℃と850℃とし、焼成時間の条件を2時間と12時間としている。
によれば、仮焼成や焼成時間にかかわらず、1060℃で焼成したセラミックスの結晶構造が、結晶性のよい単一相であることがわかる。
4. P−Eヒステリシス
に、1060℃によって焼成したBKT:BFO(60:40)の組成比からなるセラミックスのP−Eヒステリシスを示す。図に示すように、実施例1に係るセラミックスは、十分に圧電特性を有していることが分かる。このヒステリシスから、実施例1に係るセラミックスの残留分極Prは、6.0pCcm−2、抗電界Ecは、1.4kVmm−1であることがわかる。
(実施例2)
1. 焼成条件
BKT:BFO(50:50)の組成比からなるセラミックスの焼成温度は、実施例1の場合と同様にDTA曲線の結果から求めることができ、融点温度は1085℃となる。よって、焼成温度は、1085℃未満であって、かつ1085℃より50℃低い温度である、1035℃より高い温度に設定することができる。より好適には、焼成温度は、1085℃未満であって、かつ1085℃より45℃低い温度である、1040℃より高い温度に設定することができる。具体的には、1050℃の焼成温度にて実施した。
2. 表面状態
図示はされないが、BKT:BFO(50:50)の組成比からなるセラミックスを1050℃にて焼成したセラミックス表面には、孔がほとんどみられず、セラミックスは緻密化していることが確認された。
3. 結晶構造
図示はされないが、BKT:BFO(50:50)の組成比からなるセラミックスを1050℃にて焼成したセラミックスの結晶構造は、結晶性のよい単一相であることが確認された。
4. P−Eヒステリシス
に、1050℃によって焼成したBKT:BFO(50:50)の組成比からなるセラミックスのP−Eヒステリシスを示す。図に示すように、実施例2に係るセラミックスは、十分に圧電特性を有していることが分かる。このヒステリシスから、実施例1に係るセラミックスの残留分極Prは、10.4pCcm−2、抗電界Ecは、2.3kVmm−1であることがわかる。
本実施形態に係るセラミックスの製造方法を示す図。 実施例1に係るセラミックスのTG−DTA測定結果を示す図。 本実施形態に係るセラミックスの組成比の割合と融点温度の関係を示す図。 実施例1に係るセラミックスの電子顕微鏡写真。 実施例1に係るセラミックスのP−Eヒステリシス。 実施例2に係るセラミックスのP−Eヒステリシス。 実施例1に係るセラミックスのX線回折パターン。

Claims (8)

  1. 化学組成がx[(Bia1-a)TiO3]−(1−x)[BiFeO3](但し、0.5≦x≦0.6,0.4<a<0.6)で表されるセラミックスの製造方法であって、
    出発原料として、金属酸化物と炭酸塩を準備する工程と、
    前記金属酸化物と前記炭酸塩を含む混合物を得る工程と、
    前記混合物を含む成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼成する工程と、
    を含み、
    前記成形体を焼成する工程は、前記成形体を、前記混合物によって被った状態で行われ、
    前記成形体を焼成する焼成温度は、前記化学組成の組成比で決定される融点温度未満であり、かつ、前記融点温度より45℃低い温度より高い、セラミックスの製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記金属酸化物は、Bi、Fe、およびTiOであり、前記炭酸塩は、KCOである、セラミックスの製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記混合物を得る工程は、物理的粉砕方法を用いて行われる、セラミックスの製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記混合物を得る工程の後に、得られた前記混合物を、さらに700℃〜850℃の温度で仮焼成する工程を行う、セラミックスの製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記成形体を得る工程は、前記混合物に有機成分を混合し、前記混合物を用いて成形体を得る工程と、
    を含むセラミックスの製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記成形体を焼成する工程は、前記成形体に含まれる前記有機成分を除去する脱バインダー工程と、
    前記工程の後、前記成形体を焼成し、セラミックスを得る工程と、
    を含むセラミックスの製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    前記成形体を焼成する工程は、ビスマスおよびカリウムを含む雰囲気で行われる、セラミックスの製造方法。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記成形体を焼成する工程の後、得られるセラミックスは、単一の結晶相である、セラミックスの製造方法。
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