JP5293683B2 - ディーゼルエンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置に関する技術分野に属する。
従来より、ディーゼルエンジンの燃焼方式として、排ガス中の有害成分であるNOx及びPM(particulate matter)を同時に低減可能なPCI(Premixed compression Ignition)燃焼方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この燃焼方式では、圧縮上死点付近において主噴射を行う前に、早期噴射を行うことによって、噴射した燃料と筒内の空気との混合を促進し、煤の発生を抑制するようにしている。さらに、この燃焼方式では、EGR通路を介して排気の一部を吸気に戻すEGR(Exhaust Gas Recirculation)量を制御することによって、燃料の着火時期を圧縮上死点近傍まで遅延し、これによって、上記燃料と空気との混合時間を十分に確保しつつ(煤の発生を抑制しつつ)、吸気酸素濃度の低下により燃焼温度を低下させてNOxの発生を抑制するようにしている。
特開2008−31874号公報
しかしながら、従来のディーゼルエンジンの燃焼制御装置では、例えば、高負荷乃至高回転側の運転領域において、吸気温度が目標温度よりも高くなる場合がある。この場合、例えば、ホットEGR通路とコールドEGR通路との2系統を有するエンジンにおいては、コールドEGR通路を介したEGR率を増加させることで、吸気温度を目標温度まで低下させることが考えられる。
しかし、吸気温度が目標温度よりも高すぎると、コールドEGR通路に設けられたEGR弁の開度を仮に全開にしたとしても、該EGR通路の通路断面積等から決まるEGR量の限界(エンジンのハードウェア限界)によって、吸気温度を目標温度まで低下させることができないという問題がある。この結果、燃料の着火時期が目標着火時期に対して進角する過早着火が発生して、NVHが悪化するとともに、燃料と空気との予混合時間が不足することにより煤の発生量が増大するという問題が生じる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、PCI燃焼方式を採用したディーゼルエンジンにおいて、吸気温度が目標温度を上回る状況下において、燃料の過早着火を抑制することでNVHの悪化を防止するとともに、エンジンから外気中に放出される煤量を低減しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、エンジンの排気通路に煤を捕集するためのDPFを設けておき、エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり且つ過早着火が発生した場合には、DPFの煤堆積量が第1設定量未満であるとき(つまりDPFの堆積量が少なくその捕集能力に余裕があるとき)に限って、早期噴射を減量し且つ主噴射を増量する噴射量制御を実行するようにした。
具体的には、請求項1の発明では、エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁より圧縮上死点近傍において燃料を主噴射させる主噴射制御手段と、該主噴射制御手段による噴射に先立って、上記燃料噴射弁より燃料を早期噴射させる早期噴射制御手段と、燃料の着火時期が圧縮上死点近傍の目標着火時期になるように、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて吸気酸素濃度を制御する吸気酸素濃度制御手段と、を備えたディーゼルエンジンの燃焼制御装置を対象とする。
そして、上記エンジンの排気通路に配設され、該エンジンから排出される煤を捕集するDPFと、上記DPFの煤堆積量を推定する煤推定手段と、上記燃焼室内における燃料の着火時期が上記目標着火時期に対して所定時間以上進角する過早着火を検出する過早着火検出手段と、上記エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり且つ上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合において、上記煤推定手段により推定されたDPFの煤堆積量が第1設定量未満であるときには、上記早期噴射制御手段による早期噴射を減量する一方、上記主噴射制御手段による主噴射を増量する噴射量制御を実行する補正制御手段と、をさらに備えているものとする。
これによれば、エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり且つ上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合には、補正制御手段によって、噴射量制御が実行されることで、早期噴射手段による早期噴射が減量される一方、主噴射手段による主噴射が増量される。これにより、早期噴射を減量した分だけ燃料の着火時期を遅角させて過早着火を抑制することができる。また、このように早期噴射を減量する一方で、トルクへの寄与度が高い主噴射を増量するようにしたことで、早期噴射を減量することによるトルク低下を十分に補うことができる。
ところで、単に早期噴射を減量するだけでは、早期噴射された燃料の予混合効果が薄れてエンジンから外気中に排出される煤量が増加してしまう。これに対して、本発明では、エンジンの排気通路にDPFを設けて、煤推定手段により推定されたDPFの煤堆積量が第1設定量未満である場合、つまりDPFの煤堆積量が比較的少なくその捕集能力に余裕がある場合に限って、上述の補正制御手段による噴射量制御を実行するようにしたことで、早期噴射の減量によって燃焼時に煤が発生しても、この発生した煤をDPFによって確実に捕集することができ、燃焼時に発生した煤が外気中に放出されるのを防止することができる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記吸気酸素濃度制御手段は、EGR量を制御するEGR量制御手段を含み、上記補正制御手段はさらに、上記EGR量が目標量に対して所定量以上少ない状態にあり、且つ、上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合にも、上記噴射量制御を実行するように構成されているものとする。
この構成によれば、上記過早着火検出手段により過早着火が検出され、且つ、EGR量が目標量に対して所定量以上少ない状態にある場合には、補正制御手段により噴射量制御が実行される。
ところで、EGR量の調整は通常、EGR弁の開度を調整することによって行われるが、一般的にEGR弁によるEGR量の制御応答性は低いため、エンジンの運転状態に応じてEGR弁を開き側に制御したとしても、実際にEGR量が増加して吸気酸素濃度が低下するまでにはタイムラグがある。このため、EGR弁の開弁途中において、吸気酸素濃度が目標濃度に対して一時的に高くなり、燃料の過早着火がさらに進行する恐れがある。
これに対して、本発明では、EGR量が目標量に対して所定量以上多い場合には、補正制御手段によって、EGR制御に比べて応答性の高い噴射量制御を実行するようにしたことで、燃料の過早着火を確実に抑制することができる。
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記補正制御手段は、上記噴射量制御を実行しても上記エンジンのNVHに関連する値が許容範囲内に収まらない場合には、上記主噴射制御手段による主噴射の時期を遅角させる噴射時期遅角制御を実行するように構成されているものとする。
この構成によれば、補正制御手段によって、上記噴射量制御を実行しても上記エンジンのNVHに関連する値が許容範囲内に収まらない場合には、主噴射制御手段による主噴射の時期を遅角させる噴射時期遅角制御が実行される。これにより、燃料の着火時期をより確実に遅角させて目標着火時期に制御することができる。延いては、NVHに関連する値(例えばdP/dθ(P:筒内圧量 θ:クランク角)や、目標着火時期に対する着火遅れ時間)を許容範囲内に収まるように制御して、NVHの発生を抑制することができる。
請求項4の発明では、請求項1乃至3のいずれか一つの発明において、上記早期噴射制御手段による早期噴射は、燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射であり、上記補正制御手段による噴射量制御は、上記エンジンのNVHに関連する値が許容範囲内に収まるまで、該早期噴射の複数回の燃料噴射のうち噴射時期の早いものから順に所定量づつ噴射量を減量するとともに、該噴射量の減量の度に主噴射を所定量増量する制御であるものとする。
この構成によれば、燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射によって早期噴射を行うようにしたことで、シングル噴射によって早期噴射を行う場合に比べて、空気と燃料との予混合を促進して煤の発生を抑制することができる。また、早期噴射の複数回の噴射のうち、噴射時期の最も早いものから順に所定量づつ噴射量を減量するようにしたことで、早期噴射の減量を段階的に実施することができ、これにより、煤低減効果の大きい早期噴射が一気に減量されて煤発生量が増大するのを防止することができる。また、燃料の着火時期を遅角させる効果が大きい、最も早い時期の噴射から順に減量するようにしたことで、過早着火が発生した場合でも、燃料の着火時期を高い応答性で遅角させて目標着火時期に制御することができる。
請求項5の発明では、請求項1乃至3のいずれか一つの発明において、上記早期噴射制御手段による早期噴射は、燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射であり、上記補正制御手段による噴射量制御は、上記エンジンのNVHに関連する値が許容範囲内に収まるまで、該早期噴射の複数回の燃料噴射のうち噴射時期の遅いものから順に所定量づつ噴射量を減量するとともに、該噴射量の減量の度に主噴射を所定量増量する制御であるものとする。
この構成によれば、請求項4の発明と同様に、早期噴射を分割噴射によって行うようにしたことで、空気と燃料との予混合を促進して煤の発生を抑制することができる。また、早期噴射の複数回の噴射のうち、噴射時期の最も遅いものから順に所定量づつ噴射量を減量するようにしたことで、煤抑制効果の高い最も早い時期の噴射を極力減量せずに済むので、燃焼時における煤の発生を可及的に抑制することができる。
請求項6の発明では、請求項1の発明おいて、上記補正制御手段は、上記エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり、且つ、上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合において、上記煤推定手段により推定された煤堆積量が上記第1設定量以上で且つ該第1設定量よりも大きい第2設定量未満のときには、上記早期噴射制御手段による早期噴射を増量する噴射量制御と、上記主噴射制御手段による主噴射の時期を遅角させる噴射時期遅角制御とを実行するよう構成されているものとする。
この構成によれば、DPFの煤堆積量が増加して煤捕集能力が低下してきた場合(煤堆積量が第1設定量よりも大きく第2設定量未満である場合)には、補正制御手段によって、早期噴射を増量して煤の発生を抑制する一方、主噴射の噴射時期を遅角させて過早着火を抑制することができる。こうして、外気中に放出される煤量の低減と、過早着火に起因するNVHの悪化防止とを両立させることができる。
請求項7の発明では、請求項6の発明おいて、上記補正制御手段は、上記エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり、且つ、上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合において、上記煤推定手段により推定された煤堆積量が上記第2設定量以上のときには、上記主噴射制御手段による主噴射の後に、上記燃料噴射弁より燃料をポスト噴射させる噴射量制御を実行するよう構成されているものとする。
この構成によれば、DPFの煤堆積量がさらに増加して煤捕集能力が殆ど無くなった場合(煤堆積量が第2設定量以上である場合)には、補正制御手段によって、主噴射制御手段による主噴射の後にポスト噴射が実行される。このポスト噴射は、主噴射によって起こる燃焼のピーク(燃焼温度が最も高くなる時期)よりも後に行われるものであるため、煤を殆ど発生させず、しかも燃料の着火時期を大きく遅角させることができるため、DPFの煤捕集能力が殆どない状態であっても、外気中に放出される煤量を増加させることなく、燃料の着火時期を目標着火時期まで遅角させてNVHの悪化を防止することができる。
請求項8の発明では、請求項2乃至7のいずれか一つの発明において、上記補正制御手段はさらに、上記EGR量とその目標量との差が上記所定量よりも大きい所定閾量以上であるか、又は、上記吸気温度とその目標温度との差が上記所定温度よりも大きい所定閾温度以上である場合には、上記過遅着火検出手段により過遅着火が検出されたか否かに拘わらず、上記噴射量制御又は上記噴射時期遅角制御を実行するように構成されているものとする。
この構成によれば、現時点で過早着火が発生していなくても、今後発生すると予測される場合、すなわち、EGR量とその目標量との差が上記所定閾量以上であるか、又は、吸気温度とその目標温度との差が上記所定閾温度以上である場合には、過早着火検出手段により過早着火が検出されたか否かに拘わらず、補正制御手段によって、噴射量制御又は噴射時期遅角制御が実行され、これにより、過早着火の発生に伴うNVHの悪化を未然に防止することができる。
以上説明したように、本発明のPCI燃焼方式を採用したディーゼルエンジンの燃焼制御装置によると、エンジンの排気通路に煤を捕集するためのDPFを設けておき、エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり且つ過早着火が発生している場合には、DPFの煤堆積量が第1設定量未満であるとき(つまりDPFの堆積量が少なくその捕集能力に余裕があるとき)に限って、早期噴射を減量し且つ主噴射を増量する噴射量制御を実行するようにしたことで、吸気温度が目標温度を上回る状況下において、燃料の過早着火を抑制してNVHの悪化を防止しつつ、エンジンから外気中に放出される煤量を低減することができる。
本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの燃焼制御装置の全体構成を示す概略図である。 拡散燃焼モードにおいて、燃料の噴射時期と、クランク角の進行に伴い変化する筒内温度の変化の様子とを示したグラフ図である。 通常のPCI燃焼モードにおいて、燃料の噴射時期と、クランク角の進行に伴い変化する筒内温度の変化の様子とを示したグラフ図である。 燃料の噴射時期と、クランク角の進行に伴い変化する筒内温度の変化の様子とを示したグラフ図であって、(a)は、PCI燃焼モードにおいて第1補正制御を実行する前の過早着火が発生している状態を示し、(b)は、PCI燃焼モードにおいて第1補正制御を実行後の状態を示している。 燃料の噴射時期と、クランク角の進行に伴い変化する筒内温度の変化の様子とを示したグラフ図であって、(a)は、PCI燃焼モードにおいて第2補正制御を実行する前の過早着火が発生している状態を示し、(b)は、PCI燃焼モードにおいて第2補正制御を実行後の状態を示している。 燃料の噴射時期と、クランク角の進行に伴い変化する筒内温度の変化の様子とを示したグラフ図であって、(a)は、PCI燃焼モードにおいて第3補正制御を実行する前の過早着火が発生している状態を示し、(b)は、PCI燃焼モードにおいて第3補正制御を実行後の状態を示している。 PCI燃焼モードにおいてECUにより実行される燃焼制御処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るエンジンの排気浄化装置Aの一例を示し、1は車両に搭載されたディーゼルエンジンである。このエンジン1は複数の気筒2,2,…(1つのみ図示する)を有し、その各気筒2内に往復動可能にピストン3が嵌挿されていて、このピストン3により各気筒2内に燃焼室4が区画されている。また、燃焼室4の天井部にはインジェクタ(燃料噴射弁)5が配設されていて、その先端部の噴口から高圧の燃料を燃焼室4に直接、噴射するようになっている。本実施形態では、エンジン1は、詳細は後述するように、該燃焼室4内における燃料の燃焼をPCI燃焼によって行うPCI燃焼モードと拡散燃焼によって行う拡散燃焼モードとの2つのモードを有している。
各気筒2毎のインジェクタ5に燃料を供給する構成は、図示は省略するが、各インジェクタ5が接続される共通の燃料分配管(コモンレール)を備えたいわゆるコモンレールタイプとされており、上記コモンレール内部の燃圧(コモンレール圧)を検出するための燃圧センサの出力信号が、後述するECU100に入力され、ECU100によりコモンレール圧の制御が行われる。
エンジン1の上部には、吸気弁18及び排気弁19をそれぞれ開閉させる、図示省略の動弁機構が配設されている。
エンジン1の一側(図の右側)の側面には、各気筒2の燃焼室4に対しエアクリーナ29で濾過した空気(新気)を供給するための吸気通路6が接続されている。この吸気通路6には、上流側から下流側に向かって順に、第1タービン7及び第2タービン8によりそれぞれ駆動されて吸気を圧縮する第1コンプレッサ9及び第2コンプレッサ10と、この2つのコンプレッサ9,10により圧縮した吸気を冷却するインタークーラ12と、吸気絞り弁13とが設けられている。
一方、エンジン1の反対側(図の左側)の側面には、各気筒2の燃焼室4からそれぞれ燃焼ガス(排気)を排出するための排気通路14が接続されている。この排気通路14の上流端部は各気筒2毎に分岐して、それぞれ排気ポートにより燃焼室4に連通する排気マニホルドであり、該排気マニホルドよりも下流の排気通路14には、上流側から下流側に向かって順に、排気流を受けて回転される第1タービン7及び第2タービン8と、排気中の有害成分(HC、CO、NOx、煤等)を浄化可能なディーゼル酸化触媒(DOC)15及びDPF(Diesel Particulate Filter)16と、が配設されている。このDPF16は、炭化ケイ素(SiC)やコージェライト等からなる耐熱性セラミック材が三次元網目構造体若しくはウォールスルータイプのハニカム構造体に成形されており、排ガス中の煤(パティキュレート)は排ガスがDPFを通過する過程で該DPFに捕集される。
第1コンプレッサ9及び第1タービン7は互いに回転一体に連結されて第1排気ターボ過給機20を構成しており、同様に、第2コンプレッサ10及び第2タービン8は互いに回転一体に連結されて第2排気ターボ過給機21を構成している。このように、2つの排気ターボ過給機20,21を設けることで過給効率の向上を図ることができる。
排気通路14には、第1排気ターボ過給機20のタービン7をバイパスする第1排気バイパス通路22と、第2排気ターボ過給機21のタービン8をバイパスする第2排気バイパス通路23とが接続されている。第1排気バイパス通路22の上流端には、該第1排気バイパス通路22へ流れる排気量を調整するためのレギュレートバルブ24が配設され、第2排気バイパス通路23の上流端には、該第2排気バイパス通路23へ流れる排気量を調整するためのウェストゲートバルブ25が配設されている。吸気通路6には、第1排気ターボ過給機20のコンプレッサ9をバイパスする吸気バイパス通路27が接続され、この吸気バイパス通路27には、該吸気バイパス通路27へ流れる空気量を調整するための吸気バイパス弁28が配設されている。
上記排気通路14における第1排気ターボ過給機20よりも上流側の部位には、排気の一部を吸気側に還流するためのEGR通路30の上流端が接続されている。このEGR通路30は、比較的低温の排気を還流するためのコールドEGR通路31と、高温の排気を還流するためのホットEGR通路32とで構成されており、EGR通路30の下流端は、吸気通路6における吸気絞り弁13とサージタンク26との間の部位に接続されている。本実施形態ではさらに、コールドEGR通路31を通過する排気よりもさらに低温の排気を還流するための極コールドEGR通路33が設けられている。この極コールドEGR通路33の上流端は、排気通路14におけるDPF16とサイレンサ17との間の部位に接続され、極コールドEGR通路33の下流端は、吸気通路6における第2排気ターボ過給機21よりも上流側の部位に接続されている。各EGR通路31〜33にはそれぞれ、開度調整の可能なEGR弁34〜36がそれぞれ配設されている。また、コールドEGR通路31及び極コールドEGR通路33の中間部にはそれぞれ、内部を通過する排気を冷却するためのEGRクーラ40が配設されている。
そして、上記各インジェクタ5、吸気絞り弁13、EGR弁34〜36,レギュレートバルブ24及びウェストゲートバルブ25等は、いずれもコントロールユニット(Electronic Control Unit:以下ECUという)100からの制御信号を受けて作動する。
ECU100は、マイクロコンピュータを主体に構成されていて、周知のCPU、ROM、及びRAM等を有している。このECU100には、少なくとも、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ51、吸気の圧力状態を検出する吸気圧センサ52、排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ53、燃焼室4内の圧力を検出する指圧センサ54、外部からエンジン1に吸入される空気の流量を検出するエアフローセンサ55、EGRガス混合後の吸気の温度を検出する吸気温度センサ56、アクセルペダル(図示省略)の踏み操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ57、及び、燃焼室4に供給される吸気の酸素濃度を検出する吸気酸素濃度センサ58、ディーゼル酸化触媒15の温度を検出するための触媒温度センサ59、及びDPF16の上流側と下流側との差圧を検出するための差圧検出センサ60等からの出力信号がそれぞれ入力される。ECU100は、各種センサからの信号を基に、エンジン1の運転状態を応じて、PCI燃焼モードと拡散燃焼モードとを切り換えて実行する。
(エンジンの過給制御について)
上記ECU100は、各種センサからの信号を基に、上記吸気バイパス弁28、レギュレートバルブ24及びウェストゲートバルブ25の各開度を、上記エンジン1の運転状態に応じて設定した開度にそれぞれ制御する。本実施形態では、ECU100は、高負荷乃至高回転側の運転領域では、第1排気ターボ過給機20が排気抵抗になるため、第2排気ターボ過給機21のみを作動させるべく、吸気バイパス弁28及びレギュレートバルブ24は全開状態とし、ウェストゲートバルブ25は全閉状態に近い開度にする。ECU100は、エンジン1の運転状態が低負荷乃至低回転側の運転領域に近づくにしたがって、吸気バイパス弁28及びレギュレートバルブ24を閉じ側に制御し、第1及び第2排気ターボ過給機20,21の両方を作動させる。そうして、ECU100は、後述するPCI燃焼モードを実行する低負荷乃至低回転側の運転領域では、吸気バイパス弁28、レギュレートバルブ24、ウェストゲートバルブ25を略全閉状態に制御する。したがって、本実施形態では、PCI燃焼モードにおいて、吸気酸素濃度を制御するために、レギュレートバルブ24やウェストゲートバルブ25の開度を制御する(過給圧を制御する)余裕は殆どなく、吸気酸素濃度の制御は主にEGR弁34〜36の開度制御によって行われる。
(エンジンの燃焼制御について)
ECU100は、高負荷乃至高回転側では拡散燃焼モードを選択して拡散燃焼に基づくエンジン制御を実行する一方、低負荷乃至低回転側ではPCI燃焼モードを選択してPCI燃焼に基づくエンジン制御を実行するようになっている。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムにしたがって、各モードに必要なエンジン1の燃焼制御(燃料噴射量、噴射時期、EGR量等の制御)を行う。尚、以下の説明において、「EGR量」というときは、特に断らない限り、各EGR通路31〜33を通過して還流される排気の総量を意味するものとする。
図2に示すように、拡散燃焼モードにおける燃焼制御は、圧縮上死点近傍(本実施形態では、ATDC5°〜20°)で行う主噴射により噴霧化された燃料が拡散して周りの空気取り込みながら拡散燃焼するようにしたものである。さらに、この燃焼モードでは、主噴射に先立って圧縮上死点前(本実施形態ではBTDC15°)に少量のパイロット噴射を行うことで、パイロット噴射による予混合燃焼を行うことにより主噴射の着火遅れを短縮するようにしている。さらにこの燃焼モードでは、拡散燃焼をメインとしているため、着火遅れ時間を確保するためのEGR量は、PCI燃焼モードにおけるEGR量に比べてかなり少なく、これにより、吸気酸素濃度をPCI燃焼モードに比べて高めることができ、延いては、燃焼温度を高温に維持してCO及びHCの発生を抑制することができるようになっている。
図3に示すように、PCI燃焼モードにおける燃焼制御は、圧縮上死点近傍(本実施形態では、BTDC5°〜0°)で行う燃料の主噴射に先立って、比較的早期に少量の燃料噴射(以下、早期噴射)を行うことで、早期噴射から着火までの着火遅れ時間を確保して燃料と空気との混合を促進し(いわゆる予混合燃焼を促進し)、煤の発生を抑制するとともに、吸気酸素濃度と等価なEGR量の制御との組合せにより、着火時期を目標着火時期(本実施形態では圧縮上死点)に制御して燃焼温度を極力高めることによって、CO及びHCの発生を抑制するとともに失火によるトルク低下を防止するようにしたものである。このEGR量の制御は、ECU100によって、燃焼混合気の高温部分がNOx生成温度よりも低くなるように、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいてEGR弁34〜36を制御することで行われる。さらにこの燃焼制御では、主噴射の後にアフタ噴射を行って、主噴射の燃焼に伴って発生した煤をアフタ噴射によって燃焼させるようになっている。
ところで、このPCI燃焼モードにおいては、エンジン1の運転領域が高負荷乃至高回転側の運転領域に近づくに連れて、吸気温度が上昇して目標温度を上回る場合がある。この場合、吸気温度を目標温度に制御するために、コールドEGR通路31及び極コールドEGR通路33を介したEGR量(EGR弁35,36の開度)を増加させることが考えられるが、吸気温度が高すぎるると(吸気温度が目標温度に対して所定温度K以上高いと)、EGR弁35,36の開度を仮に全開に制御したとしても、エンジン1のハードウェア限界から、吸気温度を目標温度に制御することができなくなる。この結果、燃料の着火時期が目標着火時期に対して所定時間T以上進角する過早着火が発生して、NVHが悪化するとともに予混合時間が不足して煤発生量が増加するという問題が生じる。
これに対して、本実施形態では、ECU100は、PCI燃焼モードにおいて、吸気温度が目標温度よりも高い場合において、過早着火が発生し且つNVHと等価なdP/dθ(P:筒内圧力,θ:クランク角)が基準値よりも大きいときには、過早着火及びNVHを抑制するための補正制御(後述する第1〜第3補正制御)を実行するようになっている。
具体的には、ECU100は、差圧検出センサ60からの検出信号を基にDPF16の煤堆積量を算出して、算出した煤堆積量が第1設定量D1未満である場合には第1補正制御を実行し、該算出した煤堆積量が第1設定量D1(例えば、DPF16の許容堆積量の20〜30%)以上で且つ第2設定量D2(DPF16の許容堆積量の80〜90%)未満である場合には第2補正制御を実行し、上記算出した煤堆積量が第2設定量D2以上である場合には第3補正制御を実行する。
以下、各補正制御について図4〜図6を基に説明する。各図の(a)が補正制御を実行する前の過早着火が発生している状態を示し、各図の(b)が補正制御を実行後の過早着火が解消された状態を示している。
第1補正制御は、早期噴射を所定量P1だけ減量してその分だけ主噴射を増量する噴射量制御とされ、図4(b)に示すように、噴射時期や噴射パターンは、補正制御の前後で変化しないものとされている。
第2補正制御は、図5(b)に示すように、早期噴射を所定量P2だけ増量してその分だけ主噴射を減量する噴射量制御と、主噴射の噴射時期を遅角させる噴射時期遅角制御とを組み合わせた制御とされている。
第3補正制御は、図6(b)に示すように、早期噴射を所定量P3だけ増量してその分だけ主噴射を減量するとともに、主噴射の噴射後にさらにポスト噴射を行う噴射量制御とされている。
次に、ECU100によりPCI燃焼モードが選択されている場合におけるエンジン1の燃焼制御の詳細を、図7のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
先ず、最初のステップS1では、各種センサ51〜59からの信号を読み込む。
ステップ2では、ステップ1で読み込んだ吸気温度センサ56からの信号を基に、吸気温度を算出し、算出した吸気温度が目標温度を超えるか否かを判定する。この判定がNOであるときにはリターンする一方、YESであるときにはステップ3に進む。
ステップ3では、指圧センサ54からの信号を基に、筒内圧力の時間変化を求めて、この求めた圧力変化を基に、NVHと等価なdP/dθを算出するとともに、燃料の着火時期を算出する。そうして、算出したdP/dθが基準値よりも大きく且つ燃料の着火時期が目標着火時期に対して所定時間T以上進角しているか否か(過早着火が発生しているか否か)を判定し、この判定がNOであるときにはリターンする一方、YESであるときにはステップS4に進む。所定時間Tは、例えばdP/dθが基準値(許容範囲)を超えるような時間として予め実験等により設定される。
ステップS4では、差圧検出センサ60からの検出信号を基にDPF16の上流側と下流側との差圧ΔPを算出する。そして、ROMに記憶しておいた差圧ΔPとDPF16の煤堆積量との関係を表すマップデータを基に、DPF16の煤堆積量を推定(算出)するとともに、この推定した煤堆積量が上記第2設定量D2以上であるか否かを判定する。この判定がNOである場合にはステップS11に進む一方、YESである場合にはステップS5に進む。
ステップS5では、早期噴射を所定量P3だけ増量してその分だけ主噴射を減量するようにインジェクタ5の作動を制御する。
ステップS6では、膨張行程の前半(本実施形態では、ATDC30°CA)にてポスト噴射を行うように、インジェクタ5を作動させる。本実施形態では、本ステップS6の処理は、ステップS5の処理と略同時に実行される。
ステップS7では、所定時間が経過しても吸気温度が目標温度よりも高い状態にあるか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS10に進む一方、YESであるときにはステップS8に進む。この所定時間としては、補正制御を実行後にその効果が実際に現れるまでの時間として十分な時間を設定すればよい。
ステップS8では、ステップS3の処理と同様に、dP/dθが基準値よりも大きく且つ過早着火が発生しているか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS4に戻る一方、YESであるときにはステップS9に進む。
ステップS9では、PCI燃焼モードから拡散燃焼モードに移行するべく、インジェクタ5の噴射時期及び噴射量、並びに各EGR弁34〜36の開度を制御し、しかる後にリターンする。
ステップS7の判定がNOであるときに進むステップS10では、各補正制御を終了して通常のPCI燃焼モード(図3参照)に復帰し、しかる後にリターンする。
ステップS4の判定がNOであるときに進むステップS11では、ステップS4と同様にして、差圧検出センサ60からの検出信号を基にDPF16の煤堆積量を算出する。そうして、算出した煤堆積量が上記第1設定量D1以上で且つ上記第2設定量D2未満であるか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS15に進む一方、YESであるときにはステップS12に進む。
ステップS12では、早期噴射を所定量P2だけ増量してその分だけ主噴射を減量するように、インジェクタ5の作動を制御する。この所定量P2は、エンジントルク及びエンジン負荷をパラメータとして、目標着火時期に対する着火遅れ時間が長いほど大きい値になるように予め設定されている。この所定量P2は、例えば、DPF16の煤堆積量が多いほど増加するものであってもよい。
ステップS13では、主噴射の時期を設定時間だけ遅角させる。この設定時間は、上記所定量P2と同様に、エンジントルク及びエンジン負荷をパラメータとして、目標着火時期に対する着火遅れ時間が長いほど長くなるように予め設定されている。
ステップS14では、dP/dθが基準値以下になったか否か(許容範囲内に収まったか否か)を判定し、この判定がNOであるときにはステップS13に戻る一方、YESであるときにはステップS7に進む。
ステップS11の判定がNOであるときに進むステップS15では、DPF16の煤堆積量が第1設定量D1未満であるものと判断して、早期噴射を所定量P1だけ減量してその分だけ主噴射を増量するように、インジェクタ5の作動を制御する。この所定量P1は、エンジントルク及びエンジン負荷をパラメータとして、目標着火時期に対する着火遅れ時間が長いほど大きい値になるように予め設定されている。この所定量P1は、例えば、DPF16の煤堆積量が少ないほど増加するものであってもよい。
ステップS16では、dP/dθが基準値以下になったか否か(許容範囲内に収まったか否か)を判定し、この判定がNOであるときにはステップS15に戻る一方、YESであるときにはステップS7に進む。
以上の如く上記実施形態では、ECU100は、エンジン1の吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度K以上高い状態にあり且つ過早着火が発生したことを検出した場合において、DPF16の煤堆積量が第1設定量D1未満であると判断したときには、上記第1補正制御を実行することにより、早期噴射を所定量P1だけ減量してその分だけ主噴射を増量する噴射量制御を実行するようになっている。
これにより、早期噴射を減量した分だけ燃料の着火時期を遅角させて過早着火を抑制することができる。また、早期噴射を減量する一方で、トルクへの寄与度が高い主噴射を増量するようにしたことで、早期噴射を減量することによるトルク低下を防止することができる。ここで、早期噴射を減量するだけでは、早期噴射された燃料の予混合効果が薄れてエンジン1から外気中に排出される煤量が増加してしまう。これに対して、本発明では、エンジン1の排気通路にDPF16を設けて、DPF16の煤堆積量が比較的少なくその捕集能力に余裕がある場合(つまりECU100により推定されたDPF16の煤堆積量が第1設定量D1未満である場合)に限って、この噴射量制御を実行するようにしたことで、早期噴射の減量によって燃焼時に煤が発生しても、この発生した煤をDPF16によって確実に捕集することができ、燃焼時に発生した煤が外気中に放出されるのを防止することができる。
本実施形態では、ECU100は、この第1補正制御(噴射量制御)を、NVHと等価な値(関連のある値)であるdP/dθが基準値を下回るまで(許容範囲内に収まるまで)繰替えし実行するようになっている。これにより、早期噴射を所定量P1づつ段階的に減量することができる。したがって、煤抑制効果が高い早期噴射が一気に減量されて、煤発生量が増大するのを防止することができる。
ECU100は、エンジン1の吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度K以上高い状態にあり且つ過早着火を検出した場合において、DPF16の煤堆積量が上記第1設定量D1以上で且つ第2設定量D2(>第1設定量D1)未満であると判断したときには、上記第2補正制御を実行することにより、早期噴射を所定量P2だけ増量してその分だけ主噴射を減量するとともに、主噴射の時期を設定時間だけ遅角させるようになっている。
この構成によれば、DPF16の煤堆積量が増加して煤捕集能力が低下してきた場合(煤堆積量が第1設定量D1よりも大きく第2設定量D2未満である場合)には、ECU100によって、早期噴射を増量して煤の発生を抑制する一方、主噴射の噴射時期を遅角させて過早着火を抑制することができる。こうして、外気中に放出される煤量の低減と、過早着火に起因するNVHの悪化防止とを両立させることができる。
ECU100は、エンジン1の吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度K以上高い状態にあり且つ過早着火が発生していることを検出した場合において、DPF16の煤堆積量が上記第2設定量D2以上であると判断したときには、上記第3補正制御を実行することで、上記主噴射後に、インジェクタ5より燃料をポスト噴射させるようになっている。
これにより、DPF16の煤堆積量が増加して煤捕集能力が殆ど無くなった場合(煤堆積量が第2設定量D2以上である場合)には、ECU100によって、主噴射の後にポスト噴射を行うことによって、煤を殆ど発生させることなく燃料の着火時期を大きく遅角させることができる。したがって、DPF16の煤捕集能力が殆どない状態であっても、外気中に放出される煤量を抑制しつつ、燃料の着火時期を目標着火時期まで遅角させてNVHの悪化を防止することができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ECU100は、ステップS3の処理で、過早着火が発生し且つdP/dθが基準値よりも大きいか否かを判定するようにしているが、必ずしもdP/dθを判定条件に加える必要はなく、例えば、過早着火が発生しているか否かを判定するだけでもよい。この場合、ステップS14及びステップS17において、dP/dθの代わりに、目標着火時期に対する着火遅れ時間を判定パラメータ(NVHに関連する値に相当)として使用すればよい。
また、上記実施形態では、ステップS2の判定がNOである場合にはリターンするようになっているが、これに限ったものではなく、例えばステップS2の判定がNOである場合でも、EGR量が目標量に対して所定量M以上少なく且つ過早着火が発生しているか否かを判定して、この判定がYESである場合には、上記補正制御を実行するようにしてもよい。これにより、例えばEGR弁34〜36を開き側に制御する過程で、その応答遅れによって吸気酸素濃度が目標濃度に対して一時的に高くなって(EGR量がその目標量に対して一時的に低くなって)、燃料の過早着火が発生し易い状況になった場合に、ECU100よって、EGR制御に比べて応答性の高い噴射量制御又は噴射時期遅角制御を実行することによって、燃料の過早着火を確実に抑制することができる。
また、上記実施形態では、ECU100における第1補正制御及び第3補正制御は、噴射量制御のみを行うものとされているが、例えば、噴射量制御を実行してもdP/dθ(エンジン1のNVHに関連する値)が許容範囲内に収まらない場合には噴射時期遅角制御をさらに実行するものであってもよい。これにより、ECU100によって、燃料の着火時期をより一層確実に遅角させることができ、延いては、dP/dθを許容範囲内に収まるように制御して、NVHの発生を抑制することができる。
また、上記実施形態では、インジェクタ5による早期噴射をシングル噴射としているが、燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射としてもよい。この場合、ECU100により実行される第1補正制御(ステップS15〜S17の制御処理)として2種類の制御が考えられる。すなわち、第1補正制御による過早着火の遅角応答性を向上させる観点では、早期噴射の複数回の燃料噴射のうち噴射時期の早いものから順に所定量づつ噴射量を減量していくことが好ましい。一方、煤の発生を抑制する観点では、早期噴射の複数回の燃料噴射のうち噴射時期の遅いものから順に所定量づつ噴射量を減量していくことが好ましい。主噴射については、早期噴射を減量する度にその分だけ増量させるようにすればよい。
また、上記実施形態では、ECU100は、過早着火が発生していないと判断した場合には(ステップS3の判定がNOである場合には)リターンするようになっているが、これに限ったものではなく、例えば、ECU100によって、過早着火が発生していないと判断した場合であっても、EGR量とその目標量との差が所定閾量L(>所定量M)以上であるか、又は、上記吸気温度とその目標温度との差が所定閾温度L(>所定温度K)以上である場合には、上記補正制御を実行するようにしてもよい。
この構成によれば、現時点で過早着火が発生していなくても、今後発生すると予測される場合には、ECU100によって、噴射量制御又は噴射時期遅角制御が実行され、これにより、過早着火の発生に伴うNVHの悪化を未然に防止することができる。
また、上記実施形態では、ECU100によって、差圧検出センサ60からの検出信号を基にDPF16の煤堆積量を推定するようにしているが、タイマ制御によって煤堆積量を推定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、主噴射の後にアフタ噴射を行うようにしているが、必ずしもアフタ噴射を行う必要はない。
本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置に有用であり、特に、PCI燃焼方式を採用したディーゼルエンジンに適用する場合に有用である。
K 所定温度
T 所定時間
D1 第1設定量
D2 第2設定量
所定閾量
K 所定閾温度
1 エンジン
4 燃焼室
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
14 排気通路
16 DPF
34 EGR弁(吸気酸素濃度制御手段、EGR量制御手段)
35 EGR弁(吸気酸素濃度制御手段、EGR量制御手段)
36 EGR弁(吸気酸素濃度制御手段、EGR量制御手段)
54 指圧センサ(過早着火検出手段)
100 ECU(主噴射制御手段、早期噴射制御手段、過早着火検出手段、
吸気酸素濃度制御手段、EGR量制御手段、煤推定手段、
補正制御手段)

Claims (8)

  1. エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁より圧縮上死点近傍において燃料を主噴射させる主噴射制御手段と、該主噴射制御手段による噴射に先立って、上記燃料噴射弁より燃料を早期噴射させる早期噴射制御手段と、燃料の着火時期が圧縮上死点近傍の目標着火時期になるように、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて吸気酸素濃度を制御する吸気酸素濃度制御手段と、を備えたディーゼルエンジンの燃焼制御装置であって、
    上記エンジンの排気通路に配設され、該エンジンから排出される煤を捕集するDPFと、
    上記DPFの煤堆積量を推定する煤推定手段と、
    上記燃焼室内における燃料の着火時期が上記目標着火時期に対して所定時間以上進角する過早着火を検出する過早着火検出手段と、
    上記エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり且つ上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合において、上記煤推定手段により推定されたDPFの煤堆積量が第1設定量未満であるときには、上記早期噴射制御手段による早期噴射を減量する一方、上記主噴射制御手段による主噴射を増量する噴射量制御を実行する補正制御手段と、をさらに備えていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  2. 請求項1記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置において、
    上記吸気酸素濃度制御手段は、EGR量を制御するEGR量制御手段を含み、
    上記補正制御手段はさらに、上記EGR量が目標量に対して所定量以上少ない状態にあり、且つ、上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合にも、上記噴射量制御を実行するように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  3. 請求項1又は2記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置において、
    上記補正制御手段は、上記噴射量制御を実行しても上記エンジンのNVHに関連する値が許容範囲内に収まらない場合には、上記主噴射制御手段による主噴射の時期を遅角させる噴射時期遅角制御を実行するように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置において、
    上記早期噴射制御手段による早期噴射は、燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射であり、
    上記補正制御手段による噴射量制御は、上記エンジンのNVHに関連する値が許容範囲内に収まるまで、該早期噴射の複数回の燃料噴射のうち噴射時期の早いものから順に所定量づつ噴射量を減量するとともに、該噴射量の減量の度に主噴射を所定量増量する制御であることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置において、
    上記早期噴射制御手段による早期噴射は、燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射であり、
    上記補正制御手段による噴射量制御は、上記エンジンのNVHに関連する値が許容範囲内に収まるまで、該早期噴射の複数回の燃料噴射のうち噴射時期の遅いものから順に所定量づつ噴射量を減量するとともに、該噴射量の減量の度に主噴射を所定量増量する制御であることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  6. 請求項1記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置において、
    上記補正制御手段は、上記エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり、且つ、上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合において、上記煤推定手段により推定された煤堆積量が上記第1設定量以上で且つ該第1設定量よりも大きい第2設定量未満のときには、上記早期噴射制御手段による早期噴射を増量するとともに上記主噴射制御手段による主噴射の時期を遅角させる噴射量制御を実行するよう構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  7. 請求項6記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置において、
    上記補正制御手段は、上記エンジンの吸気温度が目標吸気温度に対して所定温度以上高い状態にあり、且つ、上記過早着火検出手段により過早着火が検出された場合において、上記煤推定手段により推定された煤堆積量が上記第2設定量以上のときには、上記主噴射制御手段による主噴射の後に、上記燃料噴射弁より燃料をポスト噴射させる噴射量制御を実行するように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  8. 請求項2乃至7のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置において、
    上記補正制御手段はさらに、上記EGR量とその目標量との差が上記所定量よりも大きい所定閾量以上であるか、又は、上記吸気温度とその目標温度との差が上記所定温度よりも大きい所定閾温度以上である場合には、上記過遅着火検出手段により過遅着火が検出されたか否かに拘わらず、上記噴射量制御又は上記噴射時期遅角制御を実行するように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
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