JP2009047014A - ディーゼルエンジンの制御装置。 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸気温度のコントロールによって、圧縮上死点近傍で噴いた燃料を噴き終わって直ぐに燃やすことができ、低エミッション性と燃費向上とを同時に達成することができるようにした低温予混合燃焼を行うディーゼルエンジンにおいて、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大し、NOxやすすの発生を十分に抑制できるようにする。
【解決手段】低温予混合燃焼の運転領域において、過早着荷が発生するまで燃料噴射タイミングを徐々に進角させて、過早着火発生時の進角量を第1所定量の進角量と比較し、過早着火発生時の進角量が第1所定量よりも大きい場合には、低温予混合燃焼領域を拡大し(A)、第1所定量よりも小さい第2所定量の進角量よりも小さい場合には、低温予混合燃焼領域を縮小する(B)。
【選択図】図2

Description

本発明は、ディーゼルエンジンの制御装置に関し、特に、燃料を噴き終わってから燃やす予混合燃焼の技術に関する。
通常のディーゼルエンジンは、圧縮上死点近傍で燃料を噴射し、その噴射した燃料を噴射途中で自着火により燃焼させる。それに対し、燃料を早めに噴き、噴き終わってから燃焼させるものがあり、このような燃焼形態を、ディーゼルエンジンでの予混合燃焼といっている。そして、例えば、エンジンの低回転・低負荷の領域において、燃料噴射の早期化およびEGR率(排気還流率)の増加によって着火遅れを増大させ、低温燃焼させて、NOx(窒素酸化物)及びすすを低減する低温予混合燃焼において、その低温予混合燃焼を実行する低回転・低負荷の領域を、予めマップで設定し、この予め設定されたマップに基づいて低温予混合燃焼と通常の燃焼形態である拡散燃焼との切り換えを行うものが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、このように、燃料噴射の早期化およびEGR率の増加により着火遅れを増大させたのでは、空気と燃料が必要以上に混合してしまって、噴射タイミング(噴射時期)によって着火タイミング(着火時期)を圧縮上死点近傍に正確に制御(コントロール)することができなくなり、燃費向上を達成できなくなるということから、本発明者らは、先の出願(特願2006−203883)で開示したように、予めマップで設定した低回転・低負荷の所定領域において、吸気温度を所定の低温領域に制御(吸気冷却)することで、低エミッション性を維持しつつ着火遅れを短くすることができるようにし、燃料の噴射タイミングを圧縮上死点近傍に設定し、噴き終わって直ぐに燃やすようにして、着火制御性を確保し、低エミッション性及び燃費向上を同時に達成できるようにする予混合燃焼(吸気温度の制御による低温予混合燃焼)を開発した。
通常のディーゼルエンジンの燃焼形態では、排気還流量を増やすことでNOxを低減できるが、排気還流量を増やすとスモーク(すす)が増える。そのため、スモークの限界を超えて排気還流量を増大させることはできず、排気還流によるNOxの低減に限界がある。しかし、吸気温度を所定温度(例えば40℃)まで下げると、排気還流量を増やしたときに、NOxは減り、スモーク(すす)は増えないようになる。上記先願に係る予混合燃焼は、吸気温度(排気混合後の吸気温度)を制御することで、排気還流量を増やしてNOx及びスモークを同時に低減することが可能である。そのため、すす低減のために着火遅れを増大させる必要がなくなり、燃料を噴き終わって直ぐに燃やす低温予混合燃焼として、低エミッション性及び燃費向上を同時に達成できる。
特開2004−116466号公報
低温予混合燃焼は、上記のように、予めマップで設定した低回転・低負荷の所定領域において、吸気温度の制御によって着火遅れを短くし、圧縮上死点近傍で噴いた燃料を噴き終わって直ぐに燃やすようにして、着火制御性を確保し、低エミッション性及び燃費向上を同時に達成できるようにするものであり、NOxやすすの発生を極力抑制するためには、低温予混合燃焼を行う領域をなるべく大きく設定することが望ましい。しかし、低温予混合燃焼を行う領域をあまり高回転・高負荷側に広げると、燃料噴射量が多くなるため、着火遅れが短くなり、予混合期間を確保できなくなる。そして、予混合期間を確保しようとして噴射タイミングを早くすると、過早着火限界(ノック限界)を超えてしまい、過早着火等の異常燃焼(ディーゼルノック)が発生する。そのため、低温予混合燃焼領域は、過早着火限界を超えない範囲でなるべく大きな低温予混合燃焼領域を設定することになる。
しかし、上記過早着火限界は、外気温度の変化とか、運転時間とか、燃料の性状の変化とかの、筒内温度や吸気温度に関わる外部要因の変化によって変化するため、低温予混合燃焼領域は、過早着火等が発生しないようある程度の余裕を見て設定せざるを得ず、低温予混合燃焼によりNOxやすすの発生を抑制する領域を十分に広げることができない。
本発明は、吸気温度のコントロールによって、圧縮上死点近傍で噴いた燃料を噴き終わって直ぐに燃やすことができ、低エミッション性と燃費向上とを同時に達成することができるようにした低温予混合燃焼を行うディーゼルエンジンにおいて、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大し、NOxやすすの発生を十分に抑制できるようにすることを目的とする。
本発明のディーゼルエンジンの制御装置は、エンジンの運転状態が低回転・低負荷側の所定領域において、各気筒の燃焼室に燃料を直接噴射するよう配置した燃料噴射弁による燃料噴射を圧縮上死点近傍となる噴射タイミングで実行するよう制御する噴射制御手段と、燃焼室内の混合気高温部分の局所温度がNOx生成温度よりも低くなるように吸気通路への排気の導入による燃焼室への排気還流を制御する排気還流制御手段と、燃焼後期における混合気高温部分の局所当量比がすす生成領域の下限である当量比よりも低くなるように燃焼室内の空気過剰率を制御する空気過剰率制御手段と、燃焼室に供給する排気導入後の吸気の温度を、圧縮上死点近傍での燃料噴射の後、所定の着火遅れ時間を確保することが可能となる上限温度よりも低く、HC及びCOの発生量が所定量以下となる下限温度よりも高い温度範囲内となり、且つ、前記噴射タイミングで噴射した燃料の着火タイミングが圧縮上死点近傍となるように制御する吸気温度制御手段とにより、低温予混合燃焼を主体とする燃焼を実行するディーゼルエンジンの制御装置であって、エンジンの運転状態が低温予混合燃焼領域(所定領域)にあるときに、燃料噴射制御手段により制御する燃料噴射の噴射タイミングを進角させる噴射進角手段と、過早着火の発生を検出する過早着火検出手段と、噴射進角手段による噴射タイミングの進角により過早着火が発生した時に、その過早着火発生時の噴射タイミングの進角量に応じて低温予混合燃焼領域(所定領域)を拡大または縮小する燃焼領域設定手段を有することを特徴とする。
このディーゼルエンジンの制御装置は、排気導入後の吸気温度の制御によって、低エミッション性を維持しつつ、燃料の噴射タイミングを圧縮上死点近傍に設定することが可能となり、その結果、噴射タイミングによる着火タイミングの制御性を確保でき、着火タイミングを圧縮上死点付近に正確に制御して燃費の向上を図ることができる。また、排気還流の制御によって、燃焼室内の混合気高温部分の温度(局所温度)がNOx生成温度よりも低くなるようにして、NOxの生成を抑制することができる。また、吸気温度の制御(吸気冷却)と排気還流の制御とによって、所定の着火遅れを確保し、燃料と空気とを十分に混合してすすの生成を抑制することができる。なお、ここでいう着火は、熱発生が急激に立ち上がる熱炎着火を意味する。また、吸気冷却によって吸気密度を高めることに加えて、燃焼室内の空気過剰率を比較的高く保つことによって、燃焼中期において生成されたすすを燃焼後期において酸化させてすすの排出を低減させることができる。さらに、吸気冷却により吸気密度を高めることと、燃焼室内の空気過剰率を比較的高く保つことによって、燃焼後期において混合気が局所的に低温且つ過濃な状態となるのを回避し、HC及びCOの生成を抑制することができる。
このように、本発明によれば、燃焼室に供給する排気導入後の吸気の温度の制御により、圧縮上死点近傍で噴いた燃料を噴き終わって直ぐに燃やす低温予混合燃焼を実現し、着火制御性を確保しつつ、排気還流の制御、空気過剰率の制御及び吸気温度の制御(吸気冷却)の組み合わせにより、低エミッション性を達成し、燃焼中期に発生したすすを燃焼後期に余剰の酸素により酸化させることができるととともに、着火タイミングを圧縮上死点近傍に制御して燃費の向上を達成することができる。
そして、このディーゼルエンジンの制御装置は、特に、エンジンの運転状態が低温予混合燃焼領域(所定領域)にあって、低温予混合燃焼を実行しているときに、燃料の噴射タイミングを徐々に進角させて、過早着火が発生した時の進角量を、設定されている低温予混合燃焼領域(所定領域)の根拠となっている過早着火限界の想定進角量と比較することで、過早着火限界の設定に余裕がある場合は低温予混合燃焼領域を拡大し、逆に、過早着火限界の設定が高すぎる場合は低温予混合燃焼領域を縮小して、適正な低温予混合燃焼領域(所定領域)に変更することができ、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大し、NOxやすすの発生を十分に抑制できるようにするという所期の目的を達成できる。
このディーゼルエンジンの制御装置において、燃焼領域設定手段は、過早着火発生時の噴射タイミングの進角量が第1所定量よりも大きい場合には、低温予混合燃焼領域(所定領域)を拡大するよう構成するのがよい。
こうすることで、第1所定量を、設定されている低温予混合燃焼領域(所定領域)の根拠となっている過早着火限界の進角量若しくはその近傍の進角量として、それを基準に、進角量に余裕があるかどうかを判断でき、低温予混合燃焼領域(所定領域)を適正に拡大できる。
また、このディーゼルエンジンの制御装置において、燃焼領域設定手段は、過早着火発生時の噴射タイミングの進角量が第1所定量よりも小さい進角量である第2所定量より小さい場合には、低温予混合燃焼領域(所定領域)を縮小するよう構成するのがよい。
こうすることで、第1所定量を、設定されている低温予混合燃焼領域(所定領域)の根拠となっている過早着火限界の進角量若しくはその近傍の進角量とし、それより小さい進角量である第2所定量を基準に、低温予混合燃焼領域(所定領域)の設定が広すぎるかどうかを確実に判断でき、広すぎる場合に低温予混合燃焼領域(所定領域)を適正に縮小できる。
また、このディーゼルエンジンの制御装置において、噴射進角手段は、アイドル時または定常走行時に噴射タイミングの進角を実行するよう構成し、燃焼領域設定手段は、エンジンのアイドル時に低温予混合燃焼領域(所定領域)の拡大または縮小を実行するよう構成するのがよい。
本発明の制御は、過早着火限界の想定進角量が適正かどうかを判断するために過早着火をわざと発生させるので、加速、減速等の過渡時などは、車両の走行に悪影響で出る場合があるが、このようにアイドル時または定常走行時に実行するよう構成することで、そうした車両走行への悪影響を抑制しつつ適切に低温予混合燃焼領域を設定できる。
このように、本発明のディーゼルエンジンの制御装置によれば、燃焼室に供給する排気導入後の吸気の温度の制御により、圧縮上死点近傍で噴いた燃料を噴き終わって直ぐに燃やす低温予混合燃焼を実現し、着火制御性を確保しつつ、排気還流の制御、空気過剰率の制御及び吸気温度の制御(吸気冷却)の組み合わせにより、低エミッション性を達成し、燃焼中期に発生したすすを燃焼後期に余剰の酸素により酸化させることができるととともに、着火タイミングを圧縮上死点近傍に制御して燃費の向上を達成することができ、特に、エンジンの運転状態が低温予混合燃焼領域(所定領域)にあって、低温予混合燃焼を実行しているときに、燃料の噴射タイミングを徐々に進角させて、過早着火が発生した時の進角量を、設定されている低温予混合燃焼領域(所定領域)の根拠となっている過早着火限界の想定進角量と比較することで、過早着火限界の設定に余裕がある場合は低温予混合燃焼領域を拡大し、逆に、過早着火限界の設定が高すぎる場合は低温予混合燃焼領域を縮小して、適正な低温予混合燃焼領域(所定領域)に変更することができ、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大して、NOxやすすの発生を十分に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜13は本発明の実施形態の一例を示している。図1はディーゼルエンジンの制御装置の全体構成図、図2は予混合燃焼運転マップ、図3はφ−Tマップ、図4は吸気温度マップ、図5は酸素濃度マップ、図6は空気過剰率マップ、図7は主噴射タイミングマップ、図8は主噴射量マップ、図9は早期噴射タイミングマップ、図10は早期噴射量マップ、図11は燃焼制御の制御手順を示すフローチャート、図12は低温予混合燃焼領域設定の制御手順を示すフローチャート、図13は低温予混合燃焼領域設定の他の制御手順を示すフローチャートである。
図1において、1はディーゼルエンジン(以下、エンジンという)で、列状に複数の気筒2(1つのみ図示する)を有し、各気筒2内に往復動可能にピストン3が嵌挿され、ピストン3により各気筒2の上部に燃焼室4が区画されている。そして、各気筒2の燃焼室4の頂部には、先端部の噴口から高圧の燃料を燃焼室4に燃料を直接噴射するようにインジェクタ5(燃料噴射弁)が配設されている。また、エンジン1の上部には、各気筒2毎に、燃焼室4の頂部に開口する吸気ポート6及び排気ポート7が設けられ、それら吸気ポート6及び排気ポート7を開閉するポペット式の吸気弁8および排気弁9が設けられている。吸気ポート6は、入口側がエンジン1の上部側面の一方(図の右側の側面)に開口し、排気ポート7は、出口側がエンジン1の上部側面の他方(図の左側の側面)に開口している。
各気筒2のインジェクタ5へは、図示は省略するが、各インジェクタ5に接続された共通燃料分配管(コモンレール)を備えた所謂コモンレールタイプの燃料供給装置によって燃料が供給される。そして、そのコモンレール内部の燃圧(コモンレール圧)を検出する燃圧センサが設けられ、その出力信号が後述するECU40に入力され、ECU40によってコモンレール圧の制御が行われる。また、エンジン1の上部には、図示は省略するが、吸気弁8および排気弁9をそれぞれ開閉させる動弁機構が配設されている。
そして、エンジン1の上部の一側(図の右側)の側面には、エアクリーナ(図示省略)で濾過した空気(新気)を各気筒2の燃焼室4に供給するよう、各気筒2毎の吸気ポート6に連通する吸気通路16が接続されている。そして、この吸気通路16には、上流側から順に、バタフライバルブからなる吸気絞り弁22と、ターボ過給機30のタービン27により駆動されて吸気を圧縮するコンプレッサ20と、コンプレッサ20により圧縮した吸気を冷却するインタークーラ21と、バタフライバルブからなるインタークーラ(I/C)経路絞り弁23とが設けられている。
一方、エンジン1の上部の反対側(図の左側)の側面には、各気筒2の燃焼室4から排気を排出するよう、各気筒2毎の排気ポート7に連通する排気通路26が接続されている。そして、この排気通路26は、上流側が各気筒2毎に分岐した分岐通路を有する排気マニホールドにより構成され、その下流に、上流側から順に、排気流を受けて回転するターボ過給機30のタービン27と、排気中の有害成分(HC,CO,NOx、すす等)を浄化するためのディーゼル酸化触媒28及びキャタライズドDPF(Diesel Particulate Filter)29が配設されている。
排気通路26に配設されたタービン27と吸気通路16に配設置されたコンプレッサ20からなるこの実施形態のターボ過給機30は、複数の可動式のフラップ31によりタービン27へ供給される排気の通路断面積を変化させることができるようにした可変ターボ過給機(Variable Geometry Turbosupercharger:以下、VGTという)であり、このVGTであるターボ過給機30を後述するECU40によって制御することにより、過給圧の制御が行われる。
また、このエンジン1には、排気通路26のキャタライズドDPF29よりも下流側の部位と吸気通路16の吸気絞り弁22よりも下流側でコンプレッサ20よりも上流側の部位との間を接続する第1排気還流通路(以下、第1EGR通路という)34が設けられている。そして、この第1EGR通路34の途中には、その通路内部を流れる排気を冷却する第1EGRクーラ37と、開度調節の可能な第1排気還流制御弁(以下、第1EGR弁という)35が配設されている。
また、このエンジン1には、排気通路26のタービン27よりも上流側の部位と吸気通路16のI/C経路絞り弁23よりも下流側の部位とを間を接続する第2排気還流通路(以下、第2EGR通路という)44が設けられている。そして、この第2EGR通路44の途中には、開度調節の可能な第2排気還流制御弁(以下、第2EGR弁という)45が配設されている。また、第2EGR通路44の途中には、必要に応じて、通路内部を流れる排気を冷却する第2EGRクーラ46が設けられる。
この実施形態のエンジン1は、コントロールユニット(Electronic Control Unit:以下、ECUという)40を備えており、各インジェクタ5、吸気絞り弁22、I/C経路絞り弁23、VGT30、第1および第2のEGR弁35,45等は、いずれもECU40からの制御信号を受けて作動する。
エンジン1には、クランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ51、吸気の圧力状態を検出する吸気圧センサ52、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ53、エンジン1に吸入される空気の流量を検出するエアフローセンサ54、EGRガス導入後の吸気の温度を検出する吸気温度センサ55、及び図示省略のアクセルペダルの踏み操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ56、燃焼室に供給する吸気の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ57、燃焼室内の圧力を検出する指圧センサ58等の各種センサが設けられている。そして、これらセンサの出力信号がECU40に入力され、ECU40は、これらセンサの出力信号を情報として各種制御の演算を行い、基本的な制御として、インジェクタ5の作動制御によって燃料の噴射量および噴射タイミングを制御し、吸気絞り弁22や第1および第2のEGR弁35,45の開度制御によって燃焼室4への排気の還流量(還流率)を制御し、VGT30のフラップ31の作動制御(VGT制御)によって吸気の過給を制御する。また、この実施形態において、ECU40は、本発明に係る燃焼形態に特徴的な燃焼制御として、第1および第2のEGR弁35,45の開度の制御によってEGRガス混合後の吸気温度を制御し、この吸気温度の制御に関連してインジェクタ5の制御により燃料の噴射量や噴射タイミング等を制御する。
この実施形態のエンジン1の燃焼制御は、基本的には、燃焼室4に供給する排気導入後の吸気の温度の制御により、圧縮上死点近傍で噴いた燃料を噴き終わって直ぐに燃やす低温予混合燃焼を実現し、着火制御性を確保しつつ、排気還流の制御、空気過剰率の制御及び吸気温度の制御(吸気冷却)の組み合わせにより、低エミッション性を達成し、燃焼中期に発生したすすを燃焼後期に余剰の酸素により酸化させることができるととともに、着火タイミングを圧縮上死点近傍に制御して燃費の向上を達成することができるようにするものであり、そうした制御を前提として、特に、エンジンの運転状態が低温予混合燃焼領域(所定領域)にあって、低温予混合燃焼を実行しているときに、燃料の噴射タイミングを徐々に進角させて、過早着火が発生した時の進角量を、設定されている低温予混合燃焼領域(所定領域)の根拠となっている過早着火限界の想定進角量と比較することで、過早着火限界の設定に余裕がある場合は低温予混合燃焼領域を拡大し、逆に、過早着火限界の設定が高すぎる場合は低温予混合燃焼領域を縮小して、適正な低温予混合燃焼領域(所定領域)に変更することにより、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大し、NOxやすすの発生を十分に抑制できるようにするというものである。
ECU40は、各気筒2の燃焼室4に燃料を直接噴射するよう配置したインジェクタ5(燃料噴射弁)による燃料噴射を圧縮上死点近傍となる噴射タイミングで実行するよう制御する噴射制御手段を構成し、燃焼室4内の混合気高温部分の局所温度がNOx生成温度よりも低くなるように、吸気絞り弁22や第1EGR弁35を制御して吸気通路16への排気の導入による燃焼室4への排気還流を制御する排気還流制御手段を構成し、燃焼後期における混合気高温部分の局所当量比がすす生成領域の下限である当量比よりも低くなるようにターボ過給機30を制御して燃焼室4内の空気過剰率を制御する空気過剰率制御手段を構成するとともに、燃焼室4に供給する排気導入後の吸気の温度を、圧縮上死点近傍での主噴射の後、所定の着火遅れ時間を確保することが可能となる上限温度よりも低く、HC及びCOの発生量が所定量以下となる下限温度よりも高い温度範囲内となり、且つ、主噴射で噴射した燃料の着火タイミングを圧縮上死点近傍となるように制御する吸気温度制御手段を構成する。また、ECU40は、エンジンの運転状態が所定領域にあるときに、燃料噴射制御手段により制御する燃料噴射の噴射タイミングを徐々に進角させる噴射進角手段を構成し、噴射タイミングの進角により過早着火が発生した時に、その過早着火発生時の前記噴射タイミングの進角量に応じて前記所定領域を拡大または縮小する燃焼領域設定手段を構成している。
このエンジン1の燃焼制御では、燃焼室4に供給する排気導入後の吸気の温度を所定温度(例えば40℃)まで下げることにより、排気還流量を増やすことによってNOxおよびすすを同時に低減できるようにするとともに、その排気導入後の吸気の温度を正確にコントロールすることで、着火遅れを短くし、圧縮上死点近傍で噴射した燃料を噴き終わって直ぐに燃やす低温予混合燃焼を実現し、着火制御性を確保しつつ、排気還流の制御、空気過剰率の制御及び吸気温度の制御(吸気冷却)の組み合わせにより、低エミッション性を達成し、燃焼中期に発生したすすを燃焼後期に余剰の酸素により酸化させることができるととともに、着火タイミングを圧縮上死点近傍に制御して燃費の向上を達成することができるようにする。そして、そうした制御を前提として、エンジンの運転状態が低温予混合燃焼領域(所定領域)にあって、低温予混合燃焼を実行しているときに、燃料の噴射タイミングを徐々に進角させて、過早着火が発生した時の進角量を、設定されている低温予混合燃焼領域(所定領域)の根拠となっている過早着火限界の想定進角量と比較することで、過早着火限界の設定に余裕がある場合は低温予混合燃焼領域を拡大し、逆に、過早着火限界の設定が高すぎる場合は低温予混合燃焼領域を縮小して、適正な低温予混合燃焼領域(所定領域)に変更することにより、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大し、NOxやすすの発生を十分に抑制できるようにするのである。
このように、このエンジン1の燃焼制御は、排気導入後の吸気温度の制御が前提となるもので、低温(低圧)の第1EGR通路34を介して導入する排気と、高温(高圧)の第2EGR通路44を介して導入する排気の還流量を調節することで、EGR率の制御とともに、吸気温度の制御を行っている。
そして、図2のマップに示す予め設定した低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)において、図3に太い実線で囲む範囲、すなわち、圧縮上死点近傍での噴射(主噴射)の後、所定の着火遅れ時間を確保することが可能となる上限温度よりも低く、HC及びCOの発生量が所定量以下となる下限温度よりも高い温度範囲内となり、且つ、噴射(主噴射)した燃料の着火タイミングが圧縮上死点近傍となるようるように、燃焼室4に供給する排気導入後の吸気の温度を制御する。
低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)は、図2に示すように、エンジンの低回転・低負荷の領域に設定される。高負荷・高回転になると、燃料噴射量が多くなるため、着火遅れが短くなり、予混合期間を確保できなくなる。そして、予混合期間を確保しようとして噴射タイミングを早くすると、ノック限界(過早着火限界)を超えてしまう。そのノック限界を超えないように低温予混合燃焼領域が設定される。なお、また、予混合燃焼領域の中でも、比較的低負荷側の領域では、基本的には主噴射だけのシングル噴射で燃焼時期をコントロールし、高負荷側の領域では、主噴射と早期噴射との分割噴射で燃焼時期(着火タイミング)をコントロールする。
図3に示すφ―Tマップ(局所当量比―局所温度マップ)は、横軸が局所温度T、縦軸が局所当量比φで、HCおよびCOの発生領域と、すす(Soot)の発生領域と、NOxの発生領域を示している。HCおよびCOの発生領域は、燃焼温度が低く(T<1500K)、且つ、混合気がストイキ(φ=1)よりもリッチ(φ>1)な領域である。また、すす(Soot)が発生する領域は、ある程度燃焼温度が高く、且つリッチな領域である。また、NOxが発生する領域は、燃焼温度が高く、混合気がストイキ(φ=1)付近から、それより少しリーン(φ<1)な領域である。当量比φは、(局所fuel/O2)/(fuel/O2)の理論値、で、λの逆数である(φ=1がストイキ)。
このエンジン1の燃焼制御では、燃焼室4内が局所的に低温(T<1500K)且つ過濃(φ>1)な状態となるのを回避してHC及びCOの発生を抑制し、また、すすが生成するような当量比・温度の領域を避けつつ、NOxが生成するような領域を避けるよう、吸気温度を制御している。そして、空気過剰率を高く保つことによって、燃焼中期に生成したすすを、燃焼後期において酸化させる。この燃焼形態では、燃焼中期においては図3に点線で示すように運転領域が一時的にすすの発生領域に入るものの、空気過剰率が比較的高く、燃焼後期に余剰の酸素が存在していることで、すすの酸化が促進され、燃焼終了時にはすすの発生領域から外れる。そして、このように吸気温度を制御することで、すすの排出が抑制されるため、燃料の噴射タイミングを圧縮上死点近傍の所定範囲(BTDC15〜10°CA)に設定することが可能になる。
このエンジン1の燃焼制御においては、第1EGR弁35、第2EGR弁45、吸気絞り弁22およびVGT30を制御することによって、吸気温度、酸素濃度、および空気過剰率をそれぞれ所定の範囲内となるように制御する。その具体的制御を次に説明する。
吸気温度の制御では、第1および第2のEGR弁35,45を制御し、低温側EGRの還流量と高温側EGRの還流量の調整することによって、排気(EGRガス)導入後の吸気の温度を、図4に示すマップで設定した範囲(図の斜線範囲)内に制御する。
図4に示すマップは、燃料噴射量(つまり、エンジン負荷)に対する温度範囲を規定しており、マップにおける上限値は、所定の着火遅れ時間を確保することが可能となる温度限界(すすの発生を抑制する上での局所当量比の限界から定まる)を示しているのに対し、下限値は、HC及びCOの発生が回避される温度限界(HC及びCOの発生を抑制する上での局所温度の限界から定まる)を示している。また、燃料噴射量が多いほど(換言すればエンジン負荷が高いほど)上限値および下限値は低下するように設定されている。これは、燃料噴射量が増えるほど吸気をより冷却して着火遅れを大きくする必要があるためである。なお、下限値の燃料噴射量に対する低下率(マップ上の傾き)は、上限値の低下率よりも小さく設定されているが、これは、上限値及び下限値を規定する要素が異なることに起因している。
吸気の酸素濃度の制御では、第1のEGR弁35および吸気絞り弁22を制御することによって、燃焼室に供給する吸気の酸素濃度を、図5に示すマップで設定した範囲(図の斜線範囲)内に制御する。図5に示すマップは、燃料噴射量に対する酸素濃度(O2濃度)の範囲を規定しており、マップにおける上限値は、NOxの発生を回避するための酸素濃度限界(NOxの発生を抑制する上での局所温度の限界により定まる)を示しているのに対し、下限値は、HCおよびCOの発生を回避するための酸素濃度限界(HCおよびCOの発生を回避する上での局所温度の限界により定まる)を示している。また、上限値及び下限値は、燃料噴射量に拘わらず一定に設定されている。実験によれば、上限値は例えば12.5vol%、下限値は例えば11vol%に設定することが好ましい。
空気過剰率の制御では、VGT30を制御することにより、燃焼室内の空気過剰率を、図6に示すマップで設定した範囲(図の斜線範囲)内に制御する。図6に示すマップは、燃料噴射量に対する空気過剰率の範囲を規定しており、マップにおける上限値は、後述する早期噴射によって噴射された燃料が自着火しないための限界を示しているのに対し、下限値は、相対的に低負荷側はHCおよびCOの発生を抑制するための限界(HCおよびCOの発生を抑制する上での局所当量比の限界により定まる)を示し、相対的に高負荷側はNOxの発生を抑制するための限界(NOxの発生を抑制する上での局所当量比の限界により定まる)を示している。
このエンジン1は、また、エンジン負荷(燃料噴射量)に応じて、インジェクタによる燃料の噴射を、1回のみ行うシングル噴射と、2回に分けて行う分割噴射とで切り換える制御を行い、これによって、低温予混合燃焼の適用領域を高負荷側に広げるようにしている。つまり、エンジン負荷が大きくなり、燃料噴射量が増大すると、1回の噴射タイミングで燃料を噴射したのでは、十分な混合時間を確保することができなくなり、すすの生成を抑制することができなくなる(図4の一点鎖線に示すように、吸気温度の上限値が下限値よりも低くなり、実現し得ない状態となる)。そこで、エンジン負荷(燃料噴射量)が所定以上になると、分割噴射に切換え、比較的早いタイミングで少量の燃料噴射を行い(早期噴射)、圧縮上死点近傍で残りの燃料の噴射(主噴射)を行う。これにより、早期噴射から着火までが長時間になることと、主噴射の噴き終わりが早まることとで、燃料噴射量が増大しても十分な混合時間を確保することができ、低温予混合燃焼が可能になる。なお、早期噴射の噴射量および噴射タイミングは、早期噴射によって噴射する燃料は自着火せず、主噴射の噴射タイミングで着火タイミングをコントロールできる範囲に制御する。
エンジン負荷(燃料噴射量)に応じて分割噴射に切り換えたときの、主噴射の噴射タイミング(噴射開始のタイミング)T1は、図7に示すマップで設定した範囲(図の斜線範囲)内に制御する。この噴射タイミングの上限値は、例えばBTDC15°CA、下限値は例えばBTDC10°CAに設定する。
そして、そのときの主噴射の噴射量Q1は、図8に示すマップで設定した範囲(図の斜線範囲)に制御される。このマップにおける上限値は、所定の着火遅れ時間を確保することが可能となる限界を示し、下限値は早期噴射の上限噴射量によって定まる主噴射量の限界を示している。後述するように、早期噴射の噴射量は、早期噴射した燃料が燃焼室壁面に衝突して未燃焼となることがないように上限が制限される。
また、そのときの早期噴射の噴射タイミング(噴射開始のタイミング)T2は、図9に示すマップで設定した範囲(図の斜線範囲)に制御される。このマップにおける上限値は、早期噴射した燃焼室壁面に衝突して未燃焼となることがないようにするための進角限界(燃費を考慮して定まる進角限界)を示し、下限値は、早期噴射後に所定の着火遅れ時間を確保することが可能となる早期噴射タイミングの遅角限界を示している。早期噴射タイミングの上限値は、例えばBTDC40°CA、下限値は例えばBTDC35°CAに設定することが好ましい。なお、良好な噴霧を得るためには、早期噴射と主噴射との間に所定の間隔を空けることが望ましい。
そして、そのときの早期噴射の噴射量Q2は、図10に示すマップで設定した範囲(図の斜線範囲)内に制御される。このマップにおける上限値は、早期噴射した燃料が燃焼室壁面に衝突して未燃焼となることがないようにするための限界を示し、下限値は、所定の着火遅れ時間を確保することが可能となるように主噴射を行う上での早期噴射の噴射量の限界を示している(早期噴射の噴射量が少なすぎると分割噴射の効果が得られない)。このマップは、エンジン負荷が高いほど上限値及び下限値は増大するように設定されている。これは、エンジン負荷が高く、主噴射量及び早期噴射量を合わせたトータルの燃料噴射量が多いほど、早期噴射による燃料の噴射量を増やし、相対的に主噴射による燃料の噴射量を減らして十分な混合時間を確保するためである。
また、このエンジン1では、図2に実線で示す低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)にあって、低温予混合燃焼を実行しているときに、指圧センサ58の出力信号から過早着火の発生をモニタリングしつつ、燃料の噴射タイミングを徐々に進角させて、過早着火が発生した時の進角量を、図2に示す低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)の設定の根拠となっている過早着火限界の想定進角量である、図7のマップにおける過早着火限界の噴射タイミング(実線)に相当する第1所定量の進角量と比較して、過早着火発生時の噴射タイミングの進角量が第1所定量よりも大きい場合には、過早着火しにくい運転状態であると判断できるということで、図2に点線Aで示すように高回転・高負荷側に低温予混合燃焼領域(所定領域)を拡大し、過早着火発生時の噴射タイミングの進角量が、図7に点線で示す噴射タイミングに相当する、第1所定量よりも小さい第2所定量の進角量よりも小さい場合には、過早着火しやすい運転状態であると判断できるということで、下図2に点線Bで示すように、低温予混合燃焼領域(所定領域)を縮小する制御を行っている。
つまり、過早着火限界の設定に余裕がある場合は低温予混合燃焼領域を拡大し、逆に、過早着火限界の設定が高すぎる場合は低温予混合燃焼領域を縮小して、適正な低温予混合燃焼領域(所定領域)に変更(設定)する制御を行い、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大し、NOxやすすの発生を十分に抑制できるようにしている。
なお、上記低温予混合燃焼領域設定の制御は、好ましくは、アイドル時または定常走行時に実行する。この制御は、過早着火限界の想定進角量が適正かどうかを判断するために過早着火をわざと発生させるので、加速、減速等の過渡時などは、車両の走行に悪影響で出る場合があるが、このようにアイドル時または定常走行時に実行するよう構成することで、そうした車両走行への悪影響を抑制しつつ適切に低温予混合燃焼領域を設定できる。
ECU40によって実行する上記燃焼制御の制御手順は、図11のフローチャートに示すとおりで、スタートすると、先ず、ステップS1で、各種センサ51〜58等からのデータを読み込み、続いて、ステップS2で、ステップS1で読み込んだエンジン回転数Nおよびアクセル開度θに基づいて、予めECU40に記憶されているマップ(図示省略)に従って要求トルクTrqを算出する。なお、要求トルクのマップは、アクセル開度Nが大きいほど、またエンジン回転速度Nが高いほど、要求トルクが大きくなるように設定されている。
そして、エンジン1の運転状態が、低温予混合燃焼の領域(図2に示すマップにおける「予混合燃焼運転領域」)かどうかを別途判定して、低温予混合燃焼の領域であるときは、ステップS3で、ステップS2で算出した要求トルクTrqが所定値よりも小さいか否かを判定する。
そして、要求トルクTrqが所定値よりも小さい(YES)というときには、シングル噴射モードの領域(図2に示すマップにおける「予混合低負荷」)であるということで、ステップS4へ進み、エンジン回転速度Nおよび要求トルクTrqに基づいて燃料噴射量Q1および噴射タイミングT1をそれぞれ設定し、続いて、ステップS5で、設定した燃料噴射量Q1及び噴射タイミングT1でインジェクタ5による燃料の噴射を実行する。
一方、要求トルクTrqが所定値以上である(NO)というときには、分割噴射モードの領域(図2の示すマップにおける「予混合高負荷」)であるということで、ステップS6に進み、エンジン回転速度N及び要求トルクTrqに基づいて早期噴射の燃料噴射量Q2および噴射タイミングT2をそれぞれ設定し、続いて、ステップS7で、主噴射の燃料噴射量Q1および噴射タイミングT1をそれぞれ設定する。そして、ステップS8で、設定した燃料噴射量Q2および噴射タイミングT2でインジェクタ5による燃料の早期噴射を実行し、設定した燃料噴射量Q1及び噴射タイミングT1でインジェクタ5による燃料の主噴射を実行する。
そして、ステップS5あるいはステップS8で燃料の噴射を実行した後、ステップS9で、エンジン回転速度Nおよびトータルの燃料噴射量Q(シングル噴射モードではQ=Q1、分割噴射モードではQ=Q1+Q2)に基づいて、目標吸気温度を設定し、続いて、ステップS10で、設定した目標吸気温度となるように、第1EGR弁35及び第2EGR弁45をそれぞれ制御する。
そして、ステップS11で、エンジン回転速度Nおよびトータル燃料噴射量Qに基づいて、目標とする吸気の酸素濃度を設定し、続いて、ステップS12で、予め設定しているモデルに基づいて酸素濃度の予測を行う。
そして、ステップS13で、ステップS11で設定した目標の酸素濃度と、ステップS12で予測した酸素濃度とに基づいて、酸素濃度が目標値となるように、第1EGR弁35および吸気絞り弁22をそれぞれ制御する。
そして、ステップS14で、エンジン回転速度Nおよびトータル燃料噴射量Qに基づいて、目標の空気過剰率を設定し、続いて、ステップS15で、設定した目標空気過剰率となるようにVGT30を制御する。
また、ECU40によって実行する上記低温予混合燃焼領域設定の制御手順は、図12のフローチャートに示すとおりで、スタートすると、先ず、ステップT101で、燃料噴射タイミング(主噴射タイミング)を徐々に進角させ、ステップT102で指圧センサ出力を読み込んで、ステップT103で、過早着火が検出されたかどうかを判定する。
そして、過早着火が検出されるまで、ステップT101〜103の処理を繰り返して燃料噴射タイミングを徐々に進角させる。
そして、過早着火が検出された(Yes)というときには、ステップT104へ進んで、その過早着火が検出されたときの噴射タイミング(検出タイミング)が、第1所定量の進角量(図7のマップにおいて実線で示す過早着火限界の噴射タイミングに相当する進角量)に相当するタイミングより早いかどうかを判定する。
そして、過早着火が検出されたときの噴射タイミング(検出タイミング)が第1所定量の進角量に相当するタイミングより早い(Yes)というときは、ステップT105へ進んで、低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)を拡大する。
また、過早着火が検出されたときの噴射タイミング(検出タイミング)が第1所定量の進角量に相当するタイミングより早くない(No)というときは、ステップT106へ進み、過早着火が検出されたときの噴射タイミング(検出タイミング)が第1所定量よりも小さい第2所定量の進角量に相当するタイミングより遅いかどうかを判定する。
そして、過早着火が検出されたときの噴射タイミング(検出タイミング)が第1所定量よりも小さい第2所定量の進角量に相当するタイミングより遅い(Yes)というときは、ステップT107へ進んで、低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)を縮小する。
また、過早着火が検出されたときの噴射タイミング(検出タイミング)が第2所定量の進角量に相当するタイミングより遅くない(No)というときは、ステップT108へ進み、低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)を変更しないでフローを終了する。
また、上記低温予混合燃焼領域設定の制御を、アイドル時または定常走行時に実行する場合の制御手順は、図13のフローチャートに示すとおりで、スタートすると、先ず、ステップT201で、アクセル開度センサおよび車速センサの出力を読み込み、ステップT202で、アイドル時あるいは定常走行時であるかどうかを判定する。
そして、アイドル時あるいは定常走行時でない(No)というときは、そのままフローを終了し、アイドル時あるいは定常走行時である(Yes)というときは、ステップT203へ進む。
そして、アイドル時あるいは定常走行時である(Yes)ということで、ステップT203へ進んだ後は、ステップT203〜210で、先の図12のフローチャートのステップT101〜T108と同様の処理を行う。
以上の説明から明らかなように、この実施形態のエンジン1の燃焼制御によれば、排気導入後の吸気温度の制御によって、低エミッション性を維持しつつ、燃料の噴射タイミングを圧縮上死点近傍に設定することが可能となり、その結果、噴射タイミングによる着火タイミングの制御性を確保でき、着火タイミングを圧縮上死点付近に正確に制御して燃費の向上を図ることができ、特に、過早着火の発生を回避しつつ低温予混合燃焼領域を最大限に拡大して、NOxやすすの発生を十分に抑制することができる。
また、排気還流の制御によって、燃焼室内の混合気高温部分の温度(局所温度)がNOx生成温度よりも低くなるようにして、NOxの生成を抑制することができる。
また、吸気温度の制御(吸気冷却)と排気還流の制御とによって、所定の着火遅れを確保し、燃料と空気とを十分に混合してすすの生成を抑制することができる。
また、吸気冷却によって吸気密度を高めることに加えて、燃焼室内の空気過剰率を比較的高く保つことによって、燃焼中期において生成されたすすを燃焼後期において酸化させてすすの排出を低減させることができる。
さらに、吸気冷却により吸気密度を高めることと、燃焼室内の空気過剰率を比較的高く保つことによって、燃焼後期において混合気が局所的に低温且つ過濃な状態となるのを回避し、HC及びCOの生成を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、噴射タイミングを徐々に進角させる場合を説明したが、予め決められた所定タイミング(例えば第1所定進角量)となるように、1回のみ進角させ、それによる過早着火の発生の有無に応じて低温予混合燃焼領域(低温燃焼領域)の拡大または縮小を行うようにしてもよい。
また、本発明は、図1に示す構成のディーゼルエンジンの制御装置に限られるものではなく、他に、例えば図14に示す構成のディーゼルエンジンの制御装置に適用することも可能である。
図14は、本発明の他の実施形態のディーゼルエンジンの制御装置の全体構成図である。この実施形態では、吸気通路16のコンプレッサ20よりも下流側の部位とインタークーラ21よりも下流側(より正確には、I/C経路絞り弁23よりも下流側)の部位とを接続して、インタークーラ21をバイパスするバイパス通路71を備えている。そして、このバイパス通路71には、バタフライバルブからなるバイパス弁72が配置されている。
この実施形態では、図11に示すフローチャートにおいて、ステップS10で、第2EGR弁45を制御する代わりに、バイパス弁72を制御することによって、インタークーラ21を通過する吸気の量と、インタークーラ21を通過しない吸気の量とを調整し、それによって吸気温度を制御することが可能であり、また、図12あるいは図13に示すフローチャートはそのまま適用でき、先の実施形態と同様の燃焼形態を実現することができる。
本発明の実施形態のディーゼルエンジンの制御装置の全体構成図である。 本発明の実施形態の制御に係る予混合燃焼運転マップである。 本発明の実施形態の制御に係るφ−Tマップである。 本発明の実施形態の制御に係る吸気温度マップである。 本発明の実施形態の制御に係る酸素濃度マップである。 本発明の実施形態の制御に係る空気過剰率マップである。 本発明の実施形態の制御に係る主噴射タイミングマップである。 本発明の実施形態の制御に係る主噴射量マップである。 本発明の実施形態の制御に係る早期噴射タイミングマップである。 本発明の実施形態の制御に係る早期噴射量マップである。 本発明の実施形態における燃焼制御の制御手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における低温予混合燃焼領域設定の制御手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における低温予混合燃焼領域設定の他の制御手順を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態のディーゼルエンジンの制御装置の全体構成図である。
符号の説明
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
4 燃焼室
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
16 吸気通路
22 吸気絞り弁
20 コンプレッサ
21 インタークーラ
23 インタークーラ(I/C)経路絞り弁
26 排気通路
27 タービン
30 ターボ過給機
34 第1排気還流通路(第1EGR通路)
35 第1排気還流制御弁(第1EGR弁)
40 コントロールユニット(ECU)
44 第2排気還流通路(第2EGR通路)
45 第2排気還流制御弁(第2EGR弁)
51 クランク角センサ
55 吸気温度センサ
56 アクセル開度センサ
57 酸素濃度センサ
58 指圧センサ
71 バイパス通路
72 バイパス弁

Claims (4)

  1. エンジンの運転状態が低回転・低負荷側の所定領域において、各気筒の燃焼室に燃料を直接噴射するよう配置した燃料噴射弁による燃料噴射を圧縮上死点近傍となる噴射タイミングで実行するよう制御する噴射制御手段と、燃焼室内の混合気高温部分の局所温度がNOx生成温度よりも低くなるように吸気通路への排気の導入による燃焼室への排気還流を制御する排気還流制御手段と、燃焼後期における前記混合気高温部分の局所当量比がすす生成領域の下限である当量比よりも低くなるように燃焼室内の空気過剰率を制御する空気過剰率制御手段と、燃焼室に供給する排気導入後の吸気の温度を、前記圧縮上死点近傍での燃料噴射の後、所定の着火遅れ時間を確保することが可能となる上限温度よりも低く、HC及びCOの発生量が所定量以下となる下限温度よりも高い温度範囲内となり、且つ、前記噴射タイミングで噴射した燃料の着火タイミングが圧縮上死点近傍となるように制御する吸気温度制御手段とにより、低温予混合燃焼を主体とする燃焼を実行するディーゼルエンジンの制御装置であって、
    エンジンの運転状態が前記所定領域にあるときに、前記燃料噴射制御手段により制御する燃料噴射の噴射タイミングを進角させる噴射進角手段と、
    過早着火の発生を検出する過早着火検出手段と、
    前記噴射進角手段による前記噴射タイミングの進角により過早着火が発生した時に、その過早着火発生時の前記噴射タイミングの進角量に応じて前記所定領域を拡大または縮小する燃焼領域設定手段を有することを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
  2. 前記燃焼領域設定手段は、前記過早着火発生時の前記噴射タイミングの進角量が第1所定量よりも大きい場合には、前記所定領域を拡大するよう構成されている請求項1記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  3. 前記燃焼領域設定手段は、前記過早着火発生時の前記噴射タイミングの進角量が前記第1所定量よりも小さい進角量である第2所定量より小さい場合には、前記所定領域を縮小するよう構成されている請求項1記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  4. 前記噴射進角手段は、アイドル時または定常走行時に前記噴射タイミングの進角を実行するよう構成され、前記燃焼領域設定手段は、エンジンのアイドル時に前記所定領域の拡大または縮小を実行するよう構成されている請求項1、2または3記載のディーゼルエンジンの制御装置。
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