JP5741678B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は内燃機関の制御装置に関するものである。更に具体的には、内燃機関の吸気通路に、スロットル弁の上流側と下流側とを接続するバイパス通路を備える内燃機関の制御装置に関するものである。
従来、例えば、特許文献1には過給機付きの内燃機関の制御装置が開示されている。また特許文献1には、要求トルクに応じて定められる目標吸気と実際の吸気量とが異なる場合に生じる出力変動を抑制するための点火時期の制御が提案されている。具体的に、特許文献1の制御装置は、内燃機関の運転中、目標吸気量より実際の吸気量が大きいオーバーシュート時には点火時期を遅角し、目標吸気量より実際の吸気量が小さいアンダーシュート時には点火時期を進角する制御を行う。
特開2004−346917号公報 特開2012−102617号公報
上記特許文献1の制御では、目標吸気量が実際の吸気量とは異なる場合に生じる出力変動を、点火時期の進角又は遅角により抑制する。しかし過給機を有する内燃機関の場合、過給領域では、ノッキングを抑制するため、点火時期がMBTより遅角側に設定されている場合がある。このような場合、点火時期の遅角限界までの余裕が少ない。このような場合には、実際の吸気量が目標吸気量より大きく出力トルクの低減が必要となっても、点火時期の遅角制御だけでは十分にトルク低減できないことが考えられる。
ここで、スロットル弁の上流と下流とを接続するISC通路を有し、ISC通路にISC弁を有する内燃機関の場合、ISC弁を開弁してISC通路から吸入空気を上流側に逆流させることも考えられる。これにより筒内に流入する吸気量を減らすことができ、トルクを低減させることができる。
しかしこのようにISC弁を開弁する制御では、吸入空気がISC通路を逆流することとなる。このため運転状態によっては、EGRガスの逆流によりEGR率が目標値とずれ、燃焼が不安定となることも考えられる。
この発明は、上記課題を解決することを目的とし、出力トルクを低減する要求がある場合において、ISC弁の制御による要求トルク実現により燃焼が不安定となるのを抑制するよう改良した内燃機関の制御装置を提供するものである。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
コンプレッサとタービンとを有する過給機と、
内燃機関の吸気通路の、前記コンプレッサの上流側と下流側とに接続されて、前記コンプレッサをバイパスする吸気バイパス通路と、
前記吸気バイパス通路を開閉するエアバイパス弁と、
前記内燃機関の排気通路の、前記タービンの上流側と下流側とに接続されて、前記タービンをバイパスする排気バイパス通路と、
前記排気バイパス通路を開閉するウエストゲート弁と、
前記タービンより下流の前記排気通路から、前記コンプレッサより上流の前記吸気通路に、排気の一部を還流させる低圧EGR装置と、
前記吸気通路に設置されたスロットル弁と、
前記吸気通路の、前記スロットル弁の上流側と下流側とを接続するISC通路と、
所定の開度に制御されることで前記ISC通路に流れる空気量を調節するISC弁と、
要求されるトルクが、前記内燃機関で発生しうる推定トルクより小さい場合に、前記ISC弁の開度を基準開度より大きな開度とする開弁制御を実行する制御手段と、
前記開弁制御の実行中に、前記低圧EGR装置のEGR弁が開弁された場合には、前記開弁制御終了後一定期間中、前記エアバイパス弁と前記ウエストゲート弁とを閉弁する閉弁手段と、
を備えるものである。
ここで「基準開度」は、ISC弁が全開となる最大開度あるいは、その近傍の大きな開度に設定されることが望ましい。
第2の発明は、第1の発明において、
前記閉弁手段は、前記開弁制御の実行中に、前記低圧EGR装置のEGR弁が開弁された場合には、前記EGR弁が開弁された時点から前記エアバイパス弁と前記ウエストゲート弁とを閉弁するものである。
第1又は第2の発明によれば、ISC弁を開弁制御中にEGR弁が開弁された場合には、エアバイパス弁とウエストゲート弁とが閉弁される。これにより、ISC弁開弁中に、上流側に逆流したEGRガスを早期にコンプレッサ下流に流入させることができ、アイドリング運転を安定させ、あるいは燃焼を安定化することができる。
本発明の実施の形態1のシステムの全体構成について説明するための模式図である。 本発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態2のシステムの全体構成について説明するための模式図である。 本発明の実施の形態2において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態3のシステムの全体構成について説明するための模式図である。 本発明の実施の形態3において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態4のシステムの全体構成について説明するための模式図である。 本発明の実施の形態4において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において制御装置が実行する他の制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態5のシステムの全体構成について説明するための模式図である。 本発明の実施の形態5において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態5において制御装置が実行する他の制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための模式図である。本実施形態のシステムは、制御装置の適用対象となる火花点火式の内燃機関2を備えている。内燃機関2はガソリンを燃料とするものであり、例えば、車両の動力源として好ましく使用することができる。内燃機関2は、空燃比が理論空燃比(以下「ストイキ」)近傍の混合気を燃焼させるストイキ燃焼運転と、所定のリーン燃焼運転領域で理論空燃比より大幅にリーンな空燃比の混合気を燃焼させるリーン燃焼運転と、を切り替えて行うことができる。また、図1では、内燃機関2の1つの気筒のみを図示しているが、内燃機関2は複数の気筒を備えている。内燃機関2の気筒数および気筒配置は特に限定されるものではない。
内燃機関2の各気筒には、筒内インジェクタ4及び点火プラグ6が設けられている。筒内インジェクタ4は、内燃機関2の各気筒内に燃料を噴射するように設置されている。図1の構成では、筒内インジェクタ4が設けられているが、吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタを用いるものであってもよい。内燃機関2の各気筒には吸気弁8及び排気弁10が設けられている。このシステムには、吸気弁8及び排気弁10それぞれの開閉を制御する可変動弁機構(図示せず)が設置されている。
各気筒には吸気通路12の下流側端部と、排気通路14の上流側端部とがそれぞれ連通している。吸気通路12の入口近傍には、エアクリーナ20が取り付けられている。エアクリーナ20の下流近傍には、吸気通路12に吸入される空気の流量に応じた信号を出力するエアフロメータ22が設けられている。エアフロメータ22の下流には、ターボ過給機のコンプレッサ24が設置されている。
吸気通路12のコンプレッサ24の下流には、圧縮された空気を冷却するインタークーラ26が設けられている。インタークーラ26の下流には、電子制御式のスロットル弁28が設けられている。スロットル弁28の下流にはサージタンク30が設けられている。
図1のシステムは、吸気通路12の、スロットル弁28の上流側とスロットル弁28の下流側とを接続するISC(Idle Speed Control)通路32を有している。具体的にISC通路32の一端は、吸気通路12のエアクリーナ20の下流かつコンプレッサ24の上流に接続されている。ISC通路32の他端は、吸気通路12の、サージタンク30の下流に接続されている。ISC通路32には、ISC通路32を開閉するISC弁34が設置されている。ISC弁34は、その開度が所定の開度に制御されることでISC通路32の流路断面積を変化させ、ISC通路32に流れるガスの流量を調節するための弁である。
排気通路14には、過給機の排気タービン36が設置されている。排気タービン36の下流には排気ガスを浄化するための触媒38が設置され、更にその下流に消音器40が設置されている。
図1のシステムは、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44とを有している。第1圧力センサ42は、吸気通路12のエアクリーナ20とコンプレッサ24との間の、ISC通路32の接続部近傍に設置されている。第1圧力センサ42によって、ISC通路32と吸気通路12との接続部付近の吸気圧である第1圧力P1が取得される。第2圧力センサ44はサージタンク30内に設置されている。第2圧力センサ44の出力に基づき、サージタンク30内の吸気圧である第2圧力P2が取得される。
図1のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。本発明の制御装置は、ECU50の一機能として実現される。ECU50には、上述したエアフロメータ22、第1、第2圧力センサ42、44等の内燃機関2の運転状態を検知するための各種センサが接続されている。また、ECU50には、上述したスロットル弁28、筒内インジェクタ4、点火プラグ6等の内燃機関2の運転状態を制御する各種アクチュエータが接続されている。ECU50は、各センサの出力を取得された内燃機関の運転状態に関するパラメータに応じて、メモリに予め記憶された制御プログラムを実行することで、内燃機関2の運転状態を制御する。
[本実施の形態のISC弁全開制御の概要]
本実施の形態において制御装置が実行する制御には、ISC弁34の開閉状態に関する制御が含まれる。この制御において、制御装置は要求トルクと、内燃機関で発生し得るトルクである予想発生トルクとを取得する。要求トルクと予想発生トルクとは既知の手法により演算され、ここではその演算手法は限定されない。また、要求トルクと予想発生トルクとは、本実施の形態における制御装置が直接的に演算するものに限らず、制御装置の上位に配置されたシステムより入力されるものであってもよい。
制御装置は、取得された予想発生トルクが要求トルクより大きいこと、かつ、第2圧力P2が第1圧力P1より大きいことを条件として、ISC弁34を全開とする制御を行う。吸気通路12の下流側の第2圧力P2が、上流側の第1圧力P1より大きい状態でISC弁34を全開とすることで、吸気を上流側に逆流させてサージタンク30の内圧を低下させることができる。これにより、予想発生トルクが要求トルクを上回る場合のトルク変動を抑制する。なお、以下の実施の形態において、上記条件(即ち、予想発生トルクが要求トルクより大きく、かつ、第2圧力P2が第1圧力P1より大きいこと)を満たす場合に、ISC弁34を全開とする制御を「ISC弁全開制御」とも称することとする。また、この条件を、「ISC弁全開条件」とも称することとする。
図2は、本発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するフローチャートである。図2のルーチンは、内燃機関2の運転中一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図2のルーチンでは、まず、ISC弁全開禁止フラグがOFFとなっているか否かが判別される(S10)。ISC弁全開禁止フラグは、後述する処理により、ON/OFFが切り替えられるフラグであり、このフラグがONとなっている間、ISC弁全開制御が禁止される。従って、ステップS10において、ISC弁全開禁止フラグがOFFとなっていることが認められない場合には、今回の処理は一旦終了する。
一方、ステップS10において、ISC弁全開禁止フラグがOFFであることが認められると、次に要求トルクが取得される(S12)。次に、エンジン制御目標値が取得される(S14)。エンジン制御目標値は、例えば、現在設定されているスロットル弁28の目標開度、目標点火時期、ISC弁34の目標開度等である。次に、これらの制御目標値に応じて、予想発生トルクが算出される(S16)。
次に、ステップS16において算出された予想発生トルクが、ステップS12において取得された要求トルクより大きいか否かが判別される(S18)。ステップS18において、予想発生トルクが要求トルクより大きいことが認められない場合、今回の処理は一旦終了する。
一方、ステップS18において予想発生トルクが要求トルクより大きいことが認められると、次に、第2圧力P2が第1圧力P1より大きいか否かが判別される(S20)。ステップS20において、第2圧力P2が第1圧力P1より大きいことが認められない場合には、今回の処理は終了する。
一方ステップS20において、第2圧力P2が第1圧力P1より大きいことが認められると、ISC弁34が全開とされる(S22)。第2圧力P2が第1圧力P1より大きい状態でISC弁34が全開とされることで、吸気の一部はISC通路32を通って、吸気通路12のサージタンク30より下流側から、吸気通路12の上流側に逆流する。これにより、サージタンク内圧が低下し、トルクが抑制される。その後、今回の処理は終了する。
[本実施の形態のリーン燃焼運転の禁止制御の概要]
ところで、本実施の形態の内燃機関2はリーン燃焼運転が可能な内燃機関である。このようなリーン燃焼運転可能な内燃機関の場合、リーン燃焼を安定して行うために吸気ポート形状が最適化され、筒内に発生するスワール流やタンブル流を強化するように設計されている。しかし、ISC弁全開制御の実行中は、ISC通路32を介して吸気が上流側に逆流する。このためISC弁全開制御中は、吸気通路12内での吸気の流れも大きく変化する。その結果、筒内に発生するスワール流やタンブル流が不足し、特に、リーン燃焼限界が低下し、あるいは、リーン燃焼が不安定となることが考えられる。
従って本実施の形態において制御装置は、ISC弁全開制御中のリーン燃焼運転を禁止する制御を実行する。図3は、本発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図3のルーチンは内燃機関2の運転中、一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図3のルーチンでは、まず、ISC弁全開制御の実行中であるか否かが判別される(S102)。ステップS102において、ISC弁全開制御の実行中であることが認められた場合には、目標空燃比がストイキに設定される(S104)。これにより、リーン燃焼運転は禁止される。その後、今回の処理は終了する。
一方、ステップS102において、ISC弁全開制御の実行中であることが認められない場合には、現在、S106においてリーン燃焼運転の条件が成立しているか否かが判別される。リーン燃焼運転条件は、予め制御装置に記憶されている。具体的には、例えば内燃機関2の機関回転数が所定以下であるなどの条件が挙げられる。
ステップS106において、リーン燃焼運転条件の成立が認められない場合には、ステップS104に進み、目標空燃比がストイキに設定される。その後今回の処理が終了する。
一方、ステップS106において、リーン燃焼運転条件の成立が認められた場合には、次に、目標空燃比が、所定のリーン空燃比に設定される(S108)。その後今回の処理が終了する。
以上の処理により、ISC弁全開制御の実行中は、リーン燃焼運転が禁止され、ストイキ燃焼運転が実行される。これによりISC弁全開制御中の燃焼の安定化を図ることができる。
[本実施の形態のISC弁全開制御の禁止制御の概要]
更に、本実施の形態の制御装置は、リーン燃焼運転時には、ISC弁全開制御を禁止する。つまり、リーン燃焼運転が行われている時には、ISC弁全開条件が成立するような運転状態であっても、ISC弁全開制御が行われない。
図4は、本発明の実施の形態1において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図4のルーチンは内燃機関2の運転中、一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図4のルーチンでは、まず、リーン燃焼運転中であるか否かが判別される(S112)。
ステップS112においてリーン燃焼運転中であることが認められると、次に、ISC弁全開禁止フラグがONとされる(S114)。ISC弁全開禁止フラグは、上述した図2のルーチンのステップS10において、ISC弁全開制御実行可否の判断に用いられるフラグであり、このフラグがONとされることで、図2のルーチンによるISC弁全開制御は禁止される。その後、今回の処理は終了する。この場合、ISC弁34は、別途ECU50に記憶されたISC弁34の通常時の制御プログラムに従って制御される。なお、この処理によりリーン燃焼運転時にはISC弁全開制御は禁止される。但し、リーン燃焼運転中であっても、ISC弁34が通常時の制御フラグにより開弁され、全開とされる場合もある。
一方、ステップS112において、現在リーン燃焼運転中であることが認められない場合、ISC弁全開禁止フラグがOFFとされる(S116)。これにより図2のルーチンの実行が許可され、図2のルーチンで判別されるISC弁全開条件が成立した場合には、ISC弁34が全開とされる。その後、今回の処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ISC弁全開制御実行中は、リーン燃焼運転への切り替えが禁止される一方、リーン燃焼運転中は、ISC弁全開制御が禁止される。これにより、リーン燃焼運転領域で、安定的な燃焼を確保しつつ、リーン燃焼運転領域外ではトルク変動の抑制を図ることができる。
なお、本実施の形態では、ISC弁全開条件が成立した場合に、ISC弁34の開度を最大開度である全開にする場合について説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、ISC弁34の開度を所定の基準開度より大きくするものであってもよい。ここで基準開度は、ISC弁の開弁により早期に吸気を逆流させて発生トルク低減を図ることができる程度に大きな開度に、適宜設定することができる。これは他の実施の形態においても同様である。
また、本実施の形態のシステムは、第1圧力センサ42と第2圧力センサ44とを備え、これらセンサの出力に基づき第1圧力P1及び第2圧力P2を取得する場合について説明した。しかし本発明は、第1圧力センサ42及び第2圧力センサ44の両者又は一方を有さない構成であってもよい。このような場合、第1圧力P1と第2圧力P2として、各部分の圧力の推定値を用いることができる。これは他の実施の形態においても同様である。
また、本実施の形態では、制御装置は図3及び図4のルーチンの双方を実行することで、ISC弁全開制御中にはリーン燃焼運転への切り替えを禁止し、リーン燃焼運転中にはISC弁全開制御の実行を禁止する場合について説明した。しかし、本発明は、両制御を実行するものに限られず、いずれか一方の制御のみを行うものであってもよい。これは他の実施の形態においても同様である。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2におけるシステムについて説明するための図である。図5に示されるように、図5のシステムは、高圧EGR装置を有する点を除き、図1のシステムと同一の構成を有している。具体的に、図5のシステムは、図1のシステムに加え、排気通路14から吸気通路12へ、排気ガスの一部をEGRガスとして還流する高圧EGR(HPL−EGR:High Pressure Loop - Exhaust Gas Recirculation)装置を有している。
高圧EGR装置は、高圧EGR配管60、高圧EGR配管60に設けられた高圧EGRクーラ62と高圧EGR弁64とを有している。高圧EGR配管60は、その一端が、排気通路14の、排気タービン36より上流側に接続され、他端が、吸気通路12の、サージタンク30とインテークマニホールド(図示せず)との間に接続されている。高圧EGR弁64はその開度を調整することで高圧EGR配管60の流路断面積を変更できる弁である。即ち高圧EGR弁64の開度制御により高圧EGR配管60を流れるEGRガスの流量が制御される。
制御装置は予め記憶された制御プログラムに従って、高圧EGR弁64の開度を制御する制御信号を発することでEGR弁64の開度を制御する。ところで高圧EGR使用中にISC弁全開制御を実行すると、未浄化のEGRガスがISC通路32を介してエアクリーナ20側に逆流し、エアクリーナ20内に滞留したり、大気に放出されたりすることが考えられる。
そこで、本実施の形態において制御装置は、高圧EGR弁開弁中のISC弁全開制御を禁止する制御が含まれる。具体的に、実施の形態2の制御装置は、高圧EGR弁64が開いている状態でISC弁全開制御の実行指令があった場合には、高圧EGR弁64を全閉し、その後ISC弁全開制御を実行する。
図6は、本発明の実施の形態2において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するための図である。図6のルーチンは、図2のルーチンに替えて実行され、一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図6のルーチンは、図2のルーチンのステップS20の処理とステップS22の処理との間に、ステップS202〜S206の処理を有する点を除き、図2のルーチンと同一である。
図6のルーチンでは、ステップS20までの処理においてISC弁全開条件の成立が認められると、S20の処理の後、まず、高圧EGR弁64が開弁中であるか否かが判別される(S202)。
ステップS202において、高圧EGR弁64が開弁中であると判別された場合、次に、高圧EGR弁64を全閉とする制御信号が出される(S204)。次に、高圧EGR弁64が全閉とされたか否かが判別される(S206)。即ち、ステップS204の制御指令により、高圧EGR弁64が実際に全閉とされたか否かが確認される。ステップS206において、高圧EGR弁64が閉弁されたことが認められない場合には、今回の処理はこのまま終了される。即ち、ISC弁34は全開とされず、今回の処理は終了する。
一方、ステップS206において、高圧EGR弁64の全閉が認められた場合、又は、ステップS202においてEGR弁が開弁中ではないと判別された場合、次に、ISC弁全開制御が実行される(S22)。その後、今回の処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態では、高圧EGR弁64が開弁している間はISC弁全開制御が禁止され、ISC弁全開制御条件が成立した場合にも、高圧EGR弁64を閉弁した後でISC弁全開制御が実行される。これにより、未浄化のEGRガスの逆流を抑制することができ、エアクリーナ20内に溜まるEGRガスによりEGR率が増加し燃焼が不安定となることを抑制することができる。また、未浄化のEGRガスが逆流により吸気口の外への放出されるのを抑制することができ、エミッションの悪化を防止することができる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1に説明したリーン燃焼運転に関する制御と、本実施の形態の高圧EGR弁に関する制御とを組み合わせて行う場合について説明した。つまり、図6のルーチンによれば、図4のルーチンでリーン燃焼運転中にはISC弁全開禁止フラグがONとされるため、S10の処理によりISC弁全開制御の実行が禁止され、かつ、S202〜S206の処理によりEGR弁64の開弁中はISC弁全開制御の実行が禁止される。更に、図3のルーチンが組み合わされて実行されることでISC弁全開制御中のリーン燃焼運転が禁止される。これは他の実施の形態においても同様である。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、実施の形態1のリーン燃焼運転時のISC弁全開制御の禁止制御及びISC弁全開制御中のリーン燃焼運転の禁止制御の両方、又は一方を組み合わせないものとしてもよい。このような場合、例えば、図6のルーチンにおけるステップS10のISC弁全開禁止フラグがOFFであるか否かの判別及び/又は図3のルーチンを行わないこととすればよい。これは他の実施の形態においても同様である。
実施の形態3.
図7は本発明の実施の形態3のシステムの全体構成を説明するための図である。図7のシステムは、低圧EGR装置を有する点を除き、図1のシステムと同一である。図7のシステムは、低圧EGR装置(LPL−EGR:Low Pressure Loop - Exhaust Gas Recirculation)装置を有している。
図7のシステムにおいて、低圧EGR装置は、低圧EGR配管66、低圧EGR配管66に設けられた低圧EGRクーラ68と低圧EGR弁70とを有している。低圧EGR配管66は、その一端が、排気通路14の触媒38より下流側に接続され、他端が、吸気通路12の、コンプレッサ24より上流側に接続されている。低圧EGR弁70は、その開度を調整することで低圧EGR配管66の流路断面積を変更できる弁である。即ち低圧EGR弁70の開度制御により低圧EGR配管66を流れるEGRガスの流量が制御される。
図7に示されるように、低圧EGR装置の場合、吸気通路12のコンプレッサ24より上流側に低圧EGR配管66の一端が接続されている。従って、高圧EGR装置の場合に比べて、低圧EGR装置によるEGRガスの還流を停止した場合にも、低圧EGR弁70閉弁後に吸気通路12内に残るEGRガスの残留時間が長くなる。従って、低圧EGR弁70が閉弁とされていても、EGRガスが吸気通路12内に残留している状態でISC弁全開制御が実行されれば、残留EGRガスがエアクリーナ20側に逆流し、外部に排出される恐れがある。
そこで、本実施の形態では低圧EGR弁70閉弁後の、吸気通路12内のEGRガス残留量を推定し、残留EGRがなくなったと認められた場合に、ISC弁の全開を許可する制御を行う。なお、ここで、EGRガス残留量は、低圧EGR弁70より下流の配管容積や、吸入空気の流量等に応じて求められる。
図8は、本発明の実施の形態3において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図8のルーチンは、図6のルーチンに替えて、一定時間ごとに実行されるルーチンである。図8のルーチンは、ステップS20とS22との間に、ステップS302〜S308の処理を有する点を除き、図2のルーチンと同じものである。
図8のルーチンでは、ステップS20までの処理により、ISC弁全開条件の成立が認められると、次に、低圧EGR弁70が開弁中であるか否かが判別される(S302)。ステップS302において、低圧EGR弁70が開弁中であることが認められた場合、次に、低圧EGR弁70が全閉とされる(S304)。制御装置は、所定の制御信号を発することで低圧EGR弁70を閉弁させる。
ステップS304において低圧EGR弁70が全閉とされた後、又は、ステップS302において低圧EGR弁70が開弁中であることが認められなかった場合には、次に、EGRガス残留量が算出される(S306)。ここでEGRガス残留量は、算出時点で吸気通路12内に残っているEGRガス量であり、低圧EGR弁70が閉弁されてからの経過時間、吸入空気量、及び低圧EGR弁70下流の吸気通路12の容積等に応じ、予め制御装置に記憶された演算式等に従って求められる。
次に、ステップS306において算出されたEGRガス残留量がゼロ以下であるか否かが判別される(S308)。EGRガス残留量がゼロ以下であることが認められない場合には、今回の処理はこのまま終了する。即ち、S20までの処理でISC弁全開制御実行条件の成立が認められる状態であるが、吸気通路12内にEGRガスが残留していると判断されるため、ISC弁は全開とされず、このまま今回の処理は一旦終了し、その後、図8のルーチンは再び繰り返される。
一方、ステップS308において、EGRガス残留量がゼロ以下であることが認められると、次に、ISC弁34が全開とされる(S22)。その後、今回の処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、低圧EGR装置を用いるものの場合、低圧EGR弁70の閉弁後も、EGRガスが残留している間はISC弁の全開が禁止される。従って、ISC通路32からEGRガスが逆流し、エアクリーナ20から外部へ放出されるのを、より確実に防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、EGR装置として低圧EGR装置のみを有する場合について説明した。しかし本発明はこれに限られるものではなく、図5において説明した高圧EGR装置をも有するものであってもよい。この場合、高圧EGRに関連する制御は、図6のルーチンに従い、実施の形態2で説明したように実行するものであってもよい。また、高圧EGR装置についても、図8のルーチンに説明したように、閉弁後のEGRガスの残留量を算出し、残留量がゼロとなった時点で、ISC弁の全開を行うようにしてもよい。これは、他の実施の形態においても同様である。
また、実施の形態3についても、実施の形態1のリーン燃焼運転に関する制御と、本実施の形態の低圧EGR弁に関する制御とが組み合わされた場合について説明した。つまり、図8のルーチンによれば、S10の処理によりリーン燃焼運転中にはISC弁全開制御の実行が禁止され、かつ、S302〜S308の処理によりEGRガスが残留している間、ISC弁全開制御の実行が禁止される。更に、図3のルーチンが組み合わされて実行されることでISC弁全開制御中のリーン燃焼運転が禁止される。これは他の実施の形態においても同様である。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、実施の形態1のリーン燃焼運転時のISC弁全開制御の禁止制御及びISC弁全開制御中のリーン燃焼運転の禁止制御の両方、又は一方を組み合わせて行わないものとしてもよい。このような場合、例えば、図8のルーチンにおけるステップS10のISC弁全開禁止フラグがOFFであるか否かの判別及び/又は図3のルーチンを行わないこととすればよい。これは他の実施の形態においても同様である。
実施の形態4.
図9は、本発明の実施の形態4のシステムの全体構成について説明するための図である。図9のシステムにおいて、吸気通路12の、低圧EGR配管66とインタークーラ26との間において、コンプレッサ24をバイパスする吸気バイパス通路80が設けられている。吸気バイパス通路80はその上流側の端部が、吸気通路12の、低圧EGR配管66との接続部とコンプレッサ24の入口との間に接続され、下流側の端部が、コンプレッサの出口とインタークーラ26との間に接続されている。吸気バイパス通路80には、エアバイパスバルブ(以下「ABV」とも称する)82が設けられている。ABV82は、その開度が変更されることで吸気バイパス通路80の流路断面積を変更できる弁である。即ち、ABV82の開度制御により、コンプレッサ24をバイパスして吸気バイパス通路80に流れる吸気量が調整される。
排気通路14には、排気タービン36をバイパスして、排気タービン36の入口側と出口側とを接続する排気バイパス通路84が接続されている。排気バイパス通路84の一端は、排気通路14の、排気タービン36の入口より上流に接続され、他端は、排気タービン36の出口と触媒38との間に接続されている。排気バイパス通路84の途中には、排気バイパス通路84の開閉を担うウエストゲートバルブ(以下「WGV」とも称する)86が設けられている。WGV86はその開度が変更されることで排気バイパス通路84の流路断面積を変更できる弁である。即ち、WGV86の開度制御により排気タービン36をバイパスして排気バイパス通路84を流れる排気量が調整される。
実施の形態4のシステムでは、低圧EGR装置の低圧EGR弁70が開いている場合にも、ISC弁全開制御を禁止しない。実施の形態4では、低圧EGR弁70の開弁中にISC弁全開制御を実行した場合、ISC弁全開制御が終了した後一定期間の間、ABV82及びWGV86を全閉とする制御を実行する。これにより過給圧を上昇させることができ、エアクリーナ20側に滞留するEGRガスが早期にコンプレッサ24下流に吸い込まれる。従って吸気通路12に残留するEGRガスを早期に、下流側に送ることができ、早期にアイドリングを安定させることができる。
図10は、本発明の実施の形態4において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。本実施の形態において制御装置は、内燃機関2の運転中、図2のルーチン及び図10のルーチンのそれぞれを、一定時間ごとに繰り返し実行する。
図10のルーチンでは、まずISC弁全開制御の実行中であるか否かが判別される(S402)。即ち、図2のルーチンのステップS20までの処理によりISC弁全開条件が成立し、ステップS22の処理によりISC弁34が全開とされている状態であるか否かが判別される。
ステップS402において、ISC弁全開制御実行中であることが認められると、次に、低圧EGR弁70が開弁されているか否かが判別される(S404)。ステップS404において、低圧EGR弁70が開弁されていることが認められると、次に、EGR履歴フラグがONとされる(S406)。EGR履歴フラグは、ISC弁全開制御実行中に、低圧EGR弁70が開弁された履歴があるかどうかの判別に用いられるフラグであり、1回のISC弁全開制御実行中に低圧EGR弁70が一度でも開かれた場合にONとされ、後述する処理により、その回のISC弁全開制御終了後一定期間ABV82及びWGV86が全閉とされた後、OFFとされるフラグである。
ステップS406において、EGR履歴フラグがONとされた後、又はステップS404において、低圧EGR弁70が開弁していることが認められなかった場合、ABV82、WGV86が、制御装置に別途記憶されている通常運転時の制御プログラムに従って制御される通常制御モードとされ(S408)、今回の処理は一端終了する。
一方、ステップS402において、ISC弁全開制御の実行中であることが認められない場合、次に、ステップS410において、現時点が、前回ISC弁全開制御が終了した時点から一定期間内であるか否かが判別される(S410)。一定期間は予め制御装置に記憶されている。この一定期間は、実験やシミュレーション等により求められたABV82及びWGV86を閉弁するのに最適な時間に基づいて適宜設定される。
ステップS410において、現時点がISC弁全開制御終了時点から一定期間内の時点であることが認められると、次に、EGR履歴フラグがONとなっているか否かが判別される(S412)。ステップS412において、EGR履歴フラグがONとなっていることが認められない場合は、ステップS408に進み、ABV82及びWGV86の開度制御は、通常運転時の制御プログラムに従った通常制御モードとされる。その後今回の処理が終了する。
一方、EGR履歴フラグがONとなっていることが認められた場合、ABV82及びWGV86が全閉とされる(S414)。これにより、過給圧が強化され、エアクリーナ20に滞留するEGRガスを早期にコンプレッサ下流に吸い込ませることができる。その後今回の処理は一旦終了し、図10のルーチンが再びステップS402から繰り返される。
一方、ステップS410の処理において、現時点が、ISC弁全開制御終了から一定期間内の時点であることが認められない場合、現時点は、ISC弁全開制御終了から一定期間以上経過した時点であることが認められる。この場合、ステップS416においてEGR履歴フラグがOFFとされる。これにより、今回のISC弁全開制御中に低圧EGR弁が開弁した履歴がクリアされる。
ステップS416において、EGR履歴フラグがOFFとされた後、ABV82及びWGV86が通常制御モードとされる(S418)。これにより、S414において実行されたABV82及びWGV86の全閉制御が解除され、通常運転時の制御プログラムに従って、ABV82及びWGV86が制御される。その後、今回の処理が終了する。
以上説明したように、本実施の形態4によれば、ISC弁全開時に低圧EGR弁が開弁された場合には、ABV82及びWGV86が全閉とされる。これにより早期にEGRガスをコンプレッサ下流に吸い込ませることができ、アイドリング運転を早期に安定させることができる。また、アイドリングの場合に限られず、滞留するEGRガスを早期に流すことができるため、EGR制御を早期に安定させることができる。
なお、本実施の形態では、ISC弁全開制御中に低圧EGR弁70が開いた履歴があった場合、ISC弁終了後の一定期間の間、ABV82とWGV86とを全閉する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、ISC弁全開制御中に低圧EGR弁70を開いたことが認められた場合、ISC弁全開制御中であっても、すぐにABV82及びWGV86を閉弁する制御を行うようにしてもよい。
このような場合のルーチンを、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態4の他の制御例において、制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。
図11のルーチンは、図10のルーチンに替えて一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図11のルーチンでは、図10のルーチンのステップS406においてEGR履歴フラグがONとされた後、ステップS410において、ISC弁全開制御終了後一定期間内であることが認められた場合、又は、ステップS416においてEGR履歴フラグがOFFとされた後、次に、ステップS420においてEGR履歴フラグがONであるか否かが判別される。ステップS420においてEGR履歴フラグがONであることが認められると、ABV82及びWGV86が全閉とされる(S422)。一方、EGR履歴フラグがONであることが認められない場合、ABV82及びWGV86は通常運転時の制御プログラムに従って制御される(S424)。
つまり、図11のルーチンによれば、ISC弁全開制御開始から、ISC弁全開制御終了の間に、低圧EGR弁が一度でも開かれた場合には、ISC弁全開制御終了後から一定期間の間、ABV82及びWGV86は一定時間全閉に制御される。一方、ISC弁全開制御中に一度もEGR弁が開弁されなかった場合及びISC弁全開制御終了後一定期間が経過された後は、ABV82及びWGV86は通常通りに制御される。
図11に示すように、ISC弁全開制御実行中に低圧EGR弁70が開弁された場合に、ただちにABV82及びWGV86を全閉とすることで、早期にEGRガスをコンプレッサ下流に流すことができ、EGRガスの外部への漏れを抑えることができる。但し、長時間、ABV82及びWGV86を全閉とすると、コンプレッサ24の下流の第2圧力P2が過度に上昇する。従って、ABV82及びWGV86の全閉を終了する時点を決めるISC弁全開制御終了後からの一定期間は、コンプレッサ24下流の第2圧力P2の限界値や、EGRガスをコンプレッサ下流へ流出させるのに要する時間等を考慮して適宜決定する。
なお、本実施の形態4においても、実施の形態1のリーン燃焼運転に関する制御と、本実施の形態のABV82、WGV86の制御とが組み合わされた場合について説明した。つまり、図10又は図11のルーチンは、図2のS22の処理によりISC弁全開制御実行中である場合に実行される。即ち、リーン燃焼運転中のISC弁全開制御は禁止されている。更に、図3のルーチンが組み合わされて実行されることでISC弁全開制御中のリーン燃焼運転が禁止される。これは他の実施の形態においても同様である。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、実施の形態1のリーン燃焼運転時のISC弁全開制御の禁止制御及びISC弁全開制御中のリーン燃焼運転の禁止制御の両方、又は一方を組み合わせて行わないものとしてもよい。このような場合、例えば、図2のステップS10のISC弁全開禁止フラグがOFFであるか否かの判別及び/又は図3のルーチンを行わないこととすればよい。これは他の実施の形態においても同様である。
なお、本実施の形態3において、ステップS414又はS422の処理が実行されることで、本発明の「エアバイパス弁とウエストゲート弁とを閉弁する閉弁手段」が実現する。
実施の形態5.
図12のシステムは、筒内インジェクタに替えてポートインジェクタ90を有する点を除き、図1のシステムと同一の構成を有している。本実施の形態のシステムは、実施の形態1のシステムと同様に、発生トルクが要求トルクよりも大きくなる場合に、ISC弁全開制御を実行する。更に、ISC弁全開制御実行中においては、ポートインジェクタ90からの燃料噴射時期を吸気弁の開弁時期とする制御を行う。
図13は、本発明の実施の形態5において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図13のルーチンは、図2〜図4のルーチンと共に、一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図13のルーチンでは、まず、現在ISC弁全開制御実行中であるか否かが判別される(S502)。現在、ISC弁全開制御実行中であることが認められると、次に、ポート噴射時期が、吸気弁開弁時に設定される(S504)。その後、今回の処理は終了する。
一方、ステップS502において、ISC弁全開制御実行中であることが認められない場合、ステップS506において、ポート噴射時期は、通常運転時の制御プログラムに従って決定される通常制御とされる(S506)。その後、今回の処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ISC弁全開制御中のポート噴射時期は、吸気弁開弁時とされる。これによりISC弁全開制御中に吸気ポートに燃料が噴射された場合であっても、燃料がISC通路32を介して、エアクリーナ20側に逆流するのを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、筒内インジェクタに替えてポートインジェクタ90を有するものについて説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、筒内インジェクタ4とポートインジェクタ90の両方を有するものであってもよい。この場合にも、ISC弁全開制御実行中のポートインジェクタ90からの燃料噴射時期を、吸気弁開弁時期とすることで、燃料の逆流による大気への放出を抑制することができる。
また、筒内インジェクタ4とポートインジェクタ90との両方を有し、筒内インジェクタとポートインジェクタの両者からの燃料噴射の噴き分け率を制御するシステムの場合には、ISC弁全開制御実行中は、ポートインジェクタ90からの燃料噴射を停止するものとしてもよい。
図14は、このような制御の具体的なルーチンである。図14のルーチンは、図13のルーチンに替えて実行される。図14に示されるように、ステップS502において、ISC弁全開制御実行中であることが認められた場合、ステップS510においてポートインジェクタ90からの燃料噴射が禁止される。一方、ステップS502において、ISC弁全開制御中であることが認められない場合には、筒内インジェクタ4とポートインジェクタ90とによる燃料の噴き分け率が、通常運転時の制御プログラムに従った通常制御により決定される。
また、本実施の形態5では、実施の形態1のリーン燃焼運転に関する制御とポート噴射の制御とが組み合わされた場合について説明した。つまり、図13又は図14のルーチンは、図2のS22の処理によりISC弁全開制御が実行中である場合に実行される。図2のルーチンによればリーン燃焼運転中のISC弁全開制御は禁止されている。更に、図3のルーチンが組み合わされて実行されることでISC弁全開制御中のリーン燃焼運転が禁止される。これは他の実施の形態においても同様である。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、実施の形態1のリーン燃焼運転時のISC弁全開制御の禁止制御及びISC弁全開制御中のリーン燃焼運転の禁止制御の両方、又は一方を組み合わせて行わないものとしてもよい。このような場合、例えば、図2のステップS10のISC弁全開禁止フラグがOFFであるか否かの判別及び/又は図3のルーチンを行わないこととすればよい。これは他の実施の形態においても同様である。
また、本実施の形態5の制御は、実施の形態2〜4のいずれかのEGRに関する制御と組み合わせて行われるものであってもよい。
なお、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造や方法等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
2 内燃機関
4 筒内インジェクタ
6 点火プラグ
8 吸気弁
10 排気弁
12 吸気通路
14 排気通路
20 エアクリーナ
22 エアフロメータ
24 コンプレッサ
26 インタークーラ
28 スロットル弁
30 サージタンク
32 ISC通路
34 ISC弁
36 排気タービン
38 触媒
40 消音器
42 第1圧力センサ
44 第2圧力センサ
50 ECU
60 高圧EGR配管
62 高圧EGRクーラ
64 高圧EGR弁
66 低圧EGR配管
68 低圧EGRクーラ
70 低圧EGR弁
80 吸気バイパス通路
82 ABV
84 排気バイパス通路
86 WGV
90 ポートインジェクタ

Claims (2)

  1. コンプレッサとタービンとを有する過給機と、
    内燃機関の吸気通路の、前記コンプレッサの上流側と下流側とに接続されて、前記コンプレッサをバイパスする吸気バイパス通路と、
    前記吸気バイパス通路を開閉するエアバイパス弁と、
    前記内燃機関の排気通路の、前記タービンの上流側と下流側とに接続されて、前記タービンをバイパスする排気バイパス通路と、
    前記排気バイパス通路を開閉するウエストゲート弁と、
    前記タービンより下流の前記排気通路から、前記コンプレッサより上流の前記吸気通路に、排気の一部を還流させる低圧EGR装置と、
    前記吸気通路に設置されたスロットル弁と、
    前記吸気通路の、前記スロットル弁の上流側と下流側とを接続するISC通路と、
    所定の開度に制御されることで前記ISC通路に流れる空気量を調節するISC弁と、
    要求されるトルクが、前記内燃機関で発生しうる推定トルクより小さい場合に、前記ISC弁の開度を基準開度より大きな開度とする開弁制御を実行する制御手段と、
    前記開弁制御の実行中に、前記低圧EGR装置のEGR弁が開弁された場合には、前記開弁制御終了後一定期間中、前記エアバイパス弁と前記ウエストゲート弁とを閉弁する閉弁手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記閉弁手段は、前記開弁制御の実行中に、前記低圧EGR装置のEGR弁が開弁された場合には、前記EGR弁が開弁された時点から前記エアバイパス弁と前記ウエストゲート弁とを閉弁することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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