JP5293550B2 - 多気筒エンジンの吸気装置 - Google Patents
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Description
従来より、車両に搭載される多気筒エンジン(複数の気筒を有する内燃機関)の燃焼室より排出される排気ガス中に含まれる有害物質(例えば窒素酸化物:NOx等)の低減、および燃費の向上を図るという目的で、排気ガスの一部であるEGRガスをエンジンの排気通路から吸気通路に還流させるための排気ガス還流管を備えた排気ガス還流装置(EGRシステム)が公知である。ここで、排気ガス還流管として、内部を高温のEGRガスが流通するため、金属製のEGRパイプが使用されている。
ここで、金属製のEGRパイプと合成樹脂製のインテークマニホールドとの接続部が高温のEGRガスにより損傷を受けないように、更に、EGRパイプのEGRガス導入部(出口部)から流出した高温のEGRガスが、インテークマニホールドの吸気通路壁面に直接当たって溶損しないようにする必要がある。
この吸気装置は、インテークマニホールド105の各吸気分岐管106の湾曲部の曲がり方向外側の壁面に、各吸気通路107に対応する吸気ポート開口部104の中央方向に指向してEGRガス導入口108を設けている。そして、EGRガス分配パイプ101は、EGRガス分岐管102をEGRガス導入口108に嵌入して、断熱部材109を介して、インテークマニホールド105の各吸気分岐管106に取り付けられている。
ところが、特許文献1に記載の吸気装置(従来の技術)においては、EGRガス分配パイプ101より分岐した複数のEGRガス分岐管102が、インテークマニホールド105の各吸気分岐管106の湾曲部に形成されるEGRガス導入口108の内部に差し込まれた状態で、断熱部材109を介して、EGRガス分配パイプ101がインテークマニホールド105に結合されている。このため、複数のEGRガス分岐管102の周囲は、インテークマニホールド周壁部110により覆われているので、インテークマニホールド105の各吸気分岐管106よりも走行風を受け難く、放熱性が良くなかった。
その結果、特許文献1に記載の吸気装置の構成では、インテークマニホールド105での熱的損傷の防止効果が十分に得られないという問題があった。
そして、エンジンの運転中に、エンジンの特定気筒の燃焼室に大量の凝縮水が吸い込まれてしまうと、失火や燃焼状態の悪化等によりエンジンストールに至る可能性があった。
これによって、排気ガス分配管自体が外気により冷やされるので、排気ガス分配管の内部を流通する排気ガスが外気により効率良く冷却される。これにより、排気ガス分配管から複数の分岐管内に導入される排気ガスの温度を十分に低下させることができるので、仮に排気ガスが複数の分岐管の通路壁面に直接当たっても、各分岐管が溶損する恐れが少なくなる。したがって、高温の排気ガスに対する合成樹脂製のインテークマニホールドの熱的損傷を効果的に抑えることができる。
また、締結手段やシール部材が不要となると共に、複数の分岐管と排気ガス分配管とを合成樹脂で一体的に形成することで、インテークマニホールドの質量の増加を防止することができる。これにより、複数の分岐管および排気ガス分配管等により構成される吸気モジュール(吸気装置)全体の重量の増加を防止することができる。
これによって、排気ガスが冷やされることで発生する凝縮水が、排気ガス分配管の出口部から滴下した場合であっても、インテークマニホールドの内部に凝縮水が溜まらないようにすることができる。したがって、多気筒エンジンの特定気筒に大量の凝縮水が吸入されないようにすることができるので、多気筒エンジンに失火や燃焼状態の悪化等の不具合が発生するのを抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、インテークマニホールドの最上部は、複数の分岐管から車両上下方向の上方側に向かって突出している。
すなわち、複数の分岐管から車両上下方向の上方側に向かって突出した突出部に排気ガス分配管を設置したことで、車両に導入される外気により排気ガス分配管が効率良く冷やされる。これにより、排気ガス分配管からの放熱性が高められるので、排気ガス分配管の内部を流通する排気ガスが効率良く冷却される。
そして、インテークマニホールドの最上部に排気ガス制御弁を搭載したことで、車両に導入される外気により排気ガス分配管と一緒に排気ガス制御弁が効率良く冷やされる。これにより、排気ガス制御弁および排気ガス分配管からの放熱性が高められるので、排気ガス制御弁の内部および排気ガス分配管の内部を流通する排気ガスが効率良く冷却される。 請求項6に記載の発明によれば、排気ガス分配管は、少なくとも一部が、車両上下方向に重なり合うように形成された多層状の排気ガス通路により構成されている。
これによって、排気ガス分配管の通路長が長くなり、排気ガス分配管の通路壁面と排気ガス分配管の内部を流通する排気ガスとの接触面積が大きくなる。したがって、車両に導入される外気により排気ガス分配管が冷やされるので、排気ガス分配管の内部を流通する排気ガスを外気により効率良く冷却することができる。
請求項8に記載の発明によれば、分配通路は、多気筒エンジンの気筒配列方向の一端部から中央部付近まで延びる第1層目の分配通路、および多気筒エンジンの気筒配列方向の中央部付近から多気筒エンジンの気筒配列方向の両端側に向けて延びる複数の第2層目の分配通路を有している。そして、第1層目の分配通路は、少なくとも一部が、複数の第2層目の分配通路のうちの少なくとも一部、および複数の分岐通路のうちの少なくとも一部と、車両上下方向に重なり合うように形成されている。
これによって、排気ガス分配管の通路長が長くなり、排気ガス分配管の通路壁面と排気ガス分配管の内部を流通する排気ガスとの接触面積が大きくなる。したがって、車両に導入される外気により排気ガス分配管が冷やされるので、排気ガス分配管の内部を流通する排気ガスを外気により効率良く冷却することができる。
本発明は、高温の排気ガスに対する合成樹脂製のインテークマニホールドの熱的損傷を効果的に防止すると共に、部品点数を少なくして製造コストを安価にし、且つ質量または重量の増加を防止するという目的を、車両に導入される外気により冷却されるように排気ガス分配管を構成し、且つ合成樹脂製のインテークマニホールドに形成される複数の分岐管に排気ガス分配管を一体で形成することで実現した。
さらに、インテークマニホールド内に形成される吸気通路に凝縮水が溜まらないようにして、大量の凝縮水が多気筒エンジンに吸入されないようにするという目的を、複数の分岐管の通路壁面を、排気ガス分配管の出口部が開口している部位から、多気筒エンジンの各気筒の吸気ポート側へ向かって下り勾配となるように傾かせることで実現した。
なお、以下に説明する2つの実施例のうち、実施例1は本発明が適用されたものであるのに対し、実施例2は本発明が適用されていない参考例である。
図1ないし図10は本発明の実施例1を示したもので、図1は自動車等の車両のエンジンルーム内に導入された走行風(外気)の流れを示した図で、図2はEGRV(EGRガス制御弁)を直接搭載したインテークマニホールドを示した図である。
また、車両のエンジンルーム2内、特にエンジンフード3とラジエータ4およびエンジン本体1との間には、車両が走行することで車両のエンジンルーム2内に導入される走行風が流れる導風路が形成されている。
なお、上述のごとく、エンジン本体1の車両前後方向の後方側に吸気モジュール等が装着される吸気装置は、一般的に「後方吸気配置タイプ」と呼称されている。
ラジエータ4の内部を循環する冷却水は、エンジン本体1のクランクシャフトに駆動連結された冷却ファンまたは電動ファンが回転することで車両のエンジンルーム2内に導入(発生)する強制風(外気)、あるいは走行風(外気)によって冷却される。
吸気モジュールは、電子スロットル装置、インテークマニホールド5および排気ガス制御弁(EGRガス制御弁:以下EGRV6と言う)等により構成されている。
エンジン本体1は、複数の気筒(第1〜第4気筒)を有し、第1〜第4気筒が気筒配列方向に直列に配置されたシリンダブロックと、吸気管の下流端部(インテークマニホールド5)および排気管の上流端部(エキゾーストマニホールド)が接続されるシリンダヘッドとを備えている。
また、シリンダヘッドには、先端部が各気筒の燃焼室内に露出するようにスパークプラグが取り付けられている。このシリンダヘッドには、エンジン本体1の各気筒に対応して複数(各気筒毎)のインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)が取り付けられている。各気筒毎のインジェクタは、エンジン制御ユニット(エンジン制御装置:以下ECUと言う)によって電子制御されるインジェクタ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
吸気管は、エンジン本体1の各気筒毎の燃焼室に吸入空気を供給するための吸気通路を形成するインテークダクト(吸気導入ダクト)である。この吸気管は、エアクリーナのエアクリーナケース、インテークパイプおよび吸気モジュール等を有している。
なお、本実施例の吸気モジュールは、電子スロットル装置(特にスロットルバルブ、スロットルボディ等)、インテークマニホールド5、およびEGRV6等により構成されている。
ここで、インテークマニホールド5は、例えば射出成形により成形される3つの第1〜第3分割成形体(以下分割成形体7〜9と言う)を一体化することで構成されている。また、インテークマニホールド5は、電子スロットル装置のスロットルボディに接続するサージタンク11、このサージタンク11より分岐する複数(各気筒毎)の吸気分岐管(以下第1〜第4分岐管12と言う)、およびこれらの第1〜第4分岐管12にEGRガスを分配供給する排気ガス分配管(以下EGRガス分配管13と言う)等を有している。また、各気筒毎の第1〜第4分岐管12の内部には、サージタンク11の壁面で分岐する各気筒毎の独立吸気通路(分岐吸気通路:以下第1〜第4吸気通路14と言う)がそれぞれ形成されている。
なお、インテークマニホールド5の詳細は、後述する。
ここで、エキゾーストマニホールドは、エンジン本体1の各気筒毎の燃焼室および排気ポートに接続する複数(気筒毎)の第1〜第4排気分岐管、および第1〜第4排気分岐管の合流部である集合部(エキゾーストマニホールドの集合部)等を有している。また、第1〜第4排気分岐管の内部には、エキゾーストマニホールドの集合部で合流する各気筒毎の独立排気通路がそれぞれ形成されている。
また、エンジン本体1のシリンダヘッドの他方側には、各気筒毎の燃焼室に対応した複数(各気筒毎)の排気ポートが形成されている。また、シリンダヘッドの他方側には、各気筒毎の排気ポートのポート開口部(燃焼室の壁面で開口した排気ポート開口部)をそれぞれ開閉する複数(各気筒毎)の排気バルブ(エキゾーストバルブ)が設けられている。
電子スロットル装置は、エンジン本体1の吸気管の途中に設置されたスロットルボディ、吸気ダクトの内部(吸気通路)を流れる吸入空気の流量を可変するバタフライ型のスロットルバルブ、およびこのスロットルバルブを閉弁作動方向(または開弁作動方向)に付勢するリターンスプリング(またはデフォルトスプリング)等によって構成されている。
ここで、スロットルバルブを駆動するモータは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
このEGRシステムは、エンジン本体1の排気通路から吸気通路にEGRガスを還流させる排気ガス還流管(EGRガスパイプ)と、このEGRガスパイプ内に形成される排気ガス還流路(EGRガス還流路)を流通するEGRガスの流量を調整するEGRV6とを備えている。
このEGRV6は、EGRガスパイプとインテークマニホールド5との間に設置されるバルブハウジング21、このバルブハウジング21に固定されるモータハウジング22、バルブハウジング21内に形成される排気ガス還流路(EGRガス還流路)23を開閉するバルブ(弁体)24、このバルブ24を支持固定するシャフト(弁軸)25、このシャフト25を介してバルブ24を駆動するモータ、バルブ24をバルブシート(弁座)26に押し付ける方向に付勢するリターンスプリング27等を有している。
なお、モータとシャフト25との間には、モータの回転運動をシャフト25の直線運動に変換する運動方向変換機構(ネジ機構)が設けられている。そして、これらのモータおよび運動方向変換機構は、モータハウジング22の内部空間に収容されている。また、バルブハウジング21には、内部を温水が流通する温水循環流路28が形成されている。この温水循環流路28は、温水パイプ29を介してエンジン本体1のウォータジャケットに接続されている。これにより、ウォータジャケットで温まった冷却水(温水)を温水循環流路28に導いてEGRV6のバルブ24の氷結が防がれる。
結合フランジ21aは、バルブハウジング21のEGRガス流方向の上流端面で開口した第1開口部の周囲を周方向に取り囲むように設けられている。第1開口部は、エンジン本体1の排気通路(エキゾーストマニホールドの集合部)からEGRガスパイプ内に形成されるEGRガス還流路を経由してEGRガスが導入されるEGRガス入口部である。
結合フランジ21bは、バルブハウジング21のEGRガス流方向の下流端面で開口した第2開口部の周囲を周方向に取り囲むように設けられている。第2開口部は、バルブハウジング21内に形成されるEGRガス還流路23からインテークマニホールド5の内部にEGRガスを導出するEGRガス出口部である。
ここで、2つの分割成形体7、8は、各分割面に設けられる溶着部同士が溶着されることで結合される。また、2つの分割成形体8、9は、各分割面に設けられる溶着部同士が溶着されることで結合される。
すなわち、本実施例では、サージタンク11、第1〜第4分岐管12およびEGRガス分配管13を合成樹脂により一体で形成することで、サージタンクおよびEGRガス分配管一体型のインテークマニホールドを構成している。
吸気導入管15は、複数のスクリュー等の締結手段を用いてスロットルボディの下流端に結合(締結固定)する結合フランジ(結合部)15aを有している。また、吸気導入管15の内部には、吸気導入流路16が形成されている。この吸気導入流路16は、電子スロットル装置のスロットルボディより流入した吸入空気(新気)をサージタンク部17の内部(サージタンク室18)に導入する吸気通路である。また、吸気導入流路16の下流側は、サージタンク室18に近づくに従って流路断面積が徐々に拡大している。
なお、本実施例のサージタンク11には、サージタンク室18に隣設してガス導入室19が形成されている。このガス導入室19には、ブローバイガスまたは燃料蒸気ガス等のガス導入パイプ20が接続されている。また、サージタンク11には、サージタンク室18とガス導入室19とを仕切る仕切り壁(隔壁部)31が設けられている。この仕切り壁31には、サージタンク室18とガス導入室19とを連通する複数(2つ)の連通口32が形成されている。
各気筒毎の第1〜第4分岐管12の内部には、エンジン本体1の各気筒毎に対応した吸気ポート10に連通する第1〜第4吸気通路14がそれぞれ形成されている。
第1〜第4分岐管12は、各気筒毎の第1〜第4吸気通路14の上流端に、複数(各気筒毎)の入口ポート開口部(以下第1〜第4入口ポート51と言う)をそれぞれ有している。各気筒毎の第1〜第4入口ポート51は、第1〜第4分岐管12の上流端、およびサージタンク室18の下流側の壁面で開口している。また、各気筒毎の第1〜第4入口ポート51は、サージタンク室18に連通している。
また、各気筒毎の第1〜第4吸気通路14は、エンジン本体1の各気筒に対応して複数設けられ、複数の仕切り壁55によってそれぞれ区画されている。
また、第1〜第4分岐管12は、複数のスクリュー等の締結手段を用いてエンジン本体1のシリンダヘッドに設けられる第2結合端面に結合(締結固定)される第2結合部を有している。
また、EGRガス分配管13は、複数のスクリュー等の締結手段を用いてEGRV6のバルブハウジング21の結合フランジ21bに結合(締結固定)される結合フランジ(結合部)56を有している。なお、分割成形体7、8の最上部の外壁面57、58は、EGRガス分配管13の管外壁面を構成している。
EGRガス分配管13の上流側には、外部(EGRV6のバルブハウジング21内に形成されるEGRガス還流路23)に向けて開口した排気ガス入口部(EGRガス入口部:以下EGR入口ポート61と言う)が設けられている。なお、EGR入口ポート61は、インテークマニホールド5のEGRガス分配管13においてエンジン本体1の気筒配列方向の一端部に設けられる。
中央分岐部62は、インテークマニホールド5のEGRガス分配管13において、エンジン本体1の気筒配列方向の中央部またはその近傍に設けられる。この中央分岐部62は、EGR分配通路42の下流端部またはその近傍において逆V字状またはへの字状または大の字状に形成されている。
第2EGR分配通路43は、中央分岐部62から第2分岐部(第2層目の第2排気ガス分岐部)64に至るまで、エンジン本体1の気筒配列方向(車幅方向)に延びる第2層目の第2分配通路である。
2つの第1、第2EGR分配通路43は、中央分岐部62からエンジン本体1の気筒配列方向の両端側にそれぞれ配置される第1、第2分岐部64に向けて延長されている。これらの第1、第2EGR分配通路43は、仕切り壁65によって第2、第3EGR分岐通路44と区画されている。また、2つの第1、第2EGR分配通路43は、中央分岐部62の中心部を中心にして左右対称となっている。
第1分岐部64は、インテークマニホールド5のEGRガス分配管13においてエンジン本体1の気筒配列方向の一端側(EGR入口ポート側)において逆V字状またはへの字状または大の字状に形成されている。
第2分岐部64は、インテークマニホールド5のEGRガス分配管13においてエンジン本体1の気筒配列方向の他端側(EGR入口ポート側に対して逆側)において逆V字状またはへの字状または大の字状に形成されている。
2つの第3、第4EGR分岐通路44は、第2分岐部64から各第3、第4EGR連通ポート66に至るまで、エンジン本体1の気筒配列方向(車幅方向)に延び、更に、各第3、第4EGR連通ポート66から複数(各気筒毎)の排気ガス出口部(以下第3、第4EGR出口ポート67と言う)に至るまで、車両前後方向の前方側(エンジン本体側)に向けて延びる第3層目の第3、第4分岐(分配)通路である。これらの第3、第4EGR分岐通路44は、第2分岐部64の中心部を中心にして左右対称となっている。
EGRガス分配管13は、図1ないし図3に示したように、インテークマニホールド5の最上部に設置されている。なお、インテークマニホールド5の最上部は、第1〜第4分岐管12の上部から車両上下方向(図1ないし図3の図示上下方向)の上方側に向かって突出している。特にEGR分配通路42および第1、第2EGR分配通路43を形成する通路壁部(EGRガス分配管13の通路壁部)は、エンジン本体1のシリンダヘッドの最上部よりも、エンジンフード側(車両上下方向の上方側)に設置されている。これにより、EGRガス分配管13は、車両のエンジンルーム2内に導入される外気(走行風や強制風)が当たる場所に設置される。
次に、本実施例のエンジン制御システムの作用を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。
ここで、エンジン本体1の特定気筒の吸気行程では、当該気筒の吸気バルブが開弁し、当該気筒の排気バルブが閉弁する。このとき、ピストンが上死点から下死点に向かって下降運動すると、ピストンの下降に従って当該気筒の燃焼室内の負圧(大気圧よりも低い圧力)が大きくなり、開弁している当該気筒の吸気ポート10から燃焼室に混合気が吸い込まれる。
そして、サージタンク室18に流入した吸入空気(新気)は、第1〜第4入口ポート51から、インテークマニホールド5に一体で形成された第1〜第4分岐管12の内部(第1〜第4吸気通路14)および第1〜第4出口ポート54を経由して、当該気筒の吸気ポート10内に導入される。
ここで、当該気筒のインジェクタから噴射された燃料と当該気筒の吸気ポート10内に導入された吸入空気(新気)とが混合し、当該気筒の吸気ポート10から混合気が当該気筒の燃焼室内に吸い込まれる。
そして、ピストンが上死点に達して温度、圧力が共に高くなったところで、当該気筒に取り付けられるスパークプラグに高電圧を印加して混合気に火花を飛ばして点火する。すると、混合気は、急速に燃焼し、圧力の高まった燃焼ガスによってピストンが押し下げられ、クランクシャフトが回される(爆発行程)。
そして、ピストンが下死点に達したところで、当該気筒の排気バルブが開弁し、燃焼ガスが当該気筒の排気ポートから流出すると共に、ピストンが上昇して当該気筒の燃焼室内に残った燃焼ガスを追い出す(排気行程)。
このとき、エンジン本体1の各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスは、各気筒毎の排気ポートおよび各気筒毎の独立排気通路を経由して、エキゾーストマニホールドの集合部で合流する。
そして、EGRV6のシャフト25の先端部に固定されたバルブ24が、リターンスプリング27の付勢力に抗して、制御目標値(目標EGR率)に相当するEGRV目標開度となるように開弁する。
そして、EGRV6のEGRガス還流路23を通過したEGRガスは、インテークマニホールド5に一体的に形成されたEGRガス分配管13のEGR入口ポート61からEGR分配通路42に流入する。そして、EGR分配通路42に流入したEGRガスは、中央分岐部62で2つの第1、第2EGR分配通路43に均等分配される。あるいは吸気バルブが開弁している当該気筒の燃焼室に連通する第1EGR分配通路43または第2EGR分配通路43に流入する。
すなわち、EGRガス分配管13内を流通するEGRガスの熱は、EGRガス分配管13の通路壁部を構成(形成)する分割成形体7、8に伝熱し、更に、EGRガス分配管13の外壁面57、58を放熱面として、車両のエンジンルーム2内に導入される外気(走行風、強制風)中に放熱される。したがって、EGRガス分配管13内を流通するEGRガスは、車両のエンジンルーム2内に導入される外気(走行風、強制風)により効率良く冷却される。
以上のように、本実施例の多気筒エンジンの吸気装置、特に吸気モジュールにおいては、自動車等の車両のエンジンルーム2内に導入される外気(走行風、強制風)が当たる場所(インテークマニホールド5の最上部)に、多層状のEGRガス通路(ラビリンス通路)を有するEGRガス分配管13が設置されている。すなわち、EGRガス分配管13自体が、車両のエンジンルーム2内に導入される外気により冷却されるように構成されている。これによって、EGRガス分配管13自体が外気により冷やされるので、EGRガス分配管13の外壁面57、58(放熱面)からの放熱性が高められる。
これにより、EGR入口ポート61から各第1〜第4EGR出口ポート67に至るまでの吸気通路長が、中央分岐部近傍にEGR入口ポートが開口したトーナメント分岐通路構造と比べて長くなるので、EGRガスが多くの表面積(インテークマニホールド5のEGR分配(分岐)通路壁面)に接しながら、第1〜第4分岐管12内に形成される各第1〜第4吸気通路14に流れ込む。
これによって、EGRガス分配管13の内部を流通するEGRガスが、車両のエンジンルーム2内に導入される外気(走行風、強制風)により効率良く冷却されるので、各第1〜第4EGR出口ポート67から各第1〜第4吸気通路14内に導入されるEGRガスの温度を十分に低下させることができる。これにより、仮にEGRガスが第1〜第4分岐管12の通路壁面に直接当たっても、各第1〜第4分岐管12が溶損する恐れが少なくなる。
したがって、高温のEGRガスに対する合成樹脂製のインテークマニホールド5の熱的損傷を効果的に抑えることができる。
また、締結手段やシール部材が不要となると共に、第1〜第4分岐管12とEGRガス分配管13とを合成樹脂で一体的に形成することで、インテークマニホールド5の質量の増加を防止することができる。これにより、サージタンク11、第1〜第4分岐管12およびEGRガス分配管13等により構成される合成樹脂製のインテークマニホールド5全体の重量の増加を防止することができ、しかもインテークマニホールド5およびEGRV6等により構成される吸気モジュール(吸気装置)全体の重量の増加を防止することができる。
これによって、EGRガスが冷やされることで発生する凝縮水が、EGRガス分配管13の第1〜第4EGR出口ポート67から滴下すると、図3において破線矢印で示したように、エンジン本体1の各気筒毎の吸気ポート側に流れて行く。これにより、EGRガスが冷やされることで発生する凝縮水が、EGRガス分配管13の第1〜第4EGR出口ポート67から滴下した場合であっても、インテークマニホールド5のサージタンク室18内に凝縮水が溜まることのない位置へ開口することが可能になるので、インテークマニホールド5のサージタンク室18に凝縮水が溜まらないようにすることができる。
したがって、エンジン本体1の特定気筒に大量の凝縮水が吸入されないようにすることができるので、エンジン本体1に失火や燃焼状態の悪化等の不具合が発生するのを抑制することができる。
また、EGRガス分配管13の上に比較的質量の大きなEGRV6を直接搭載することで、マスダンパ効果が伴い、更なる放射音低減を図ることができる。
また、EGRガス分配管13を合成樹脂製のインテークマニホールド5と一体で形成し、EGRV6を直接結合することで、締結部材やシール部材等の多くの部品点数および組付工数を低減できる。これにより、原価低減に繋がる上に、合成樹脂製のインテークマニホールド5の最大の弱点である放射音の抑制を両立することができる。
以上のように、本実施例の多気筒エンジンの吸気装置、特に吸気モジュールにおいては、実施例1と同様な効果を達成することができる。
本実施例では、本発明を、直列4気筒エンジンの吸気装置(吸気モジュール)に適用しているが、本発明を、6気筒以上の多気筒エンジンに適用しても良い。また、本発明をV型多気筒エンジンに適用しても良い。また、多気筒エンジン(エンジン本体1)として、ディーゼルエンジンを用いても良い。
本実施例では、吸気導入管15とサージタンク部17とを合成樹脂により一体的に形成してサージタンク11を構成しているが、吸気導入管15とサージタンク部17とを別体部品で形成し、これらを締結または溶着により一体化してサージタンク11を構成しても良い。
本実施例では、サージタンク11と第1〜第4分岐管12とを合成樹脂により一体的に形成してインテークマニホールド5を構成しているが、サージタンク11と第1〜第4分岐管12とを別体部品で形成し、これらを締結または溶着により一体化してインテークマニホールド5を構成しても良い。
また、EGRV6の弁体として、ポペット型バルブまたはバタフライ型バルブを用いても構わない。
本実施例では、排気ガス制御弁として、排気ガス(EGRガス)の流量を制御するEGRV6を用いたが、排気ガス制御弁として、排気ガス(EGRガス)の温度を制御する排気ガス温度制御弁を用いても良い。
また、EGRガスパイプの途中、あるいはEGRV6の上流側に、EGRガスを冷却水と熱交換させて冷却するEGRクーラを設置しても良い。また、EGRガスパイプの途中、あるいはEGRV6の上流側に、EGRクーラを迂回(バイパス)するバイパス配管を接続しても良い。この場合、バイパス配管内に形成されるEGRガス還流路を開閉する流路切替弁を設置しても良い。なお、流路切替弁は、上述の排気ガス温度制御弁として使用できる。
2 エンジンルーム
3 エンジンフード
4 ラジエータ
5 インテークマニホールド
6 EGRV(排気ガス制御弁、EGRガス流量制御弁)
7 分割成形体(第1分割成形体)
8 分割成形体(第2分割成形体)
9 分割成形体(第3分割成形体)
10 吸気ポート
11 サージタンク
12 第1〜第4分岐管(各気筒毎の分岐管)
13 EGRガス分配管(排気ガス分配管)
14 第1〜第4吸気通路(分岐吸気通路、独立吸気通路)
41 EGR導入通路
42 EGR分配通路(第1層目の排気ガス分配通路)
43 第1、第2EGR分配通路(第2層目の排気ガス分配通路)
44 第1〜第4EGR分岐通路(第3層目の排気ガス分岐(分配)通路)
51 第1〜第4入口ポート(各気筒毎の入口ポート開口部)
52 第1〜第4連通ポート
53 第1〜第4連通ポート
54 第1〜第4出口ポート(各気筒毎の出口ポート開口部)
61 EGR入口ポート(排気ガス入口部)
62 中央分岐部(第1層目の排気ガス分岐部)
64 第1、第2分岐部(第2層目の排気ガス分岐部)
66 第1〜第4EGR連通ポート
67 第1〜第4EGR出口ポート(排気ガス出口部)
Claims (8)
- 多気筒エンジンの各気筒の吸気ポートに接続された複数の分岐管を有する合成樹脂製のインテークマニホールドと、
前記複数の分岐管に前記多気筒エンジンより排出される排気ガスを分配供給する排気ガス分配管とを備え、
前記多気筒エンジンが車両に搭載されたときに、前記インテークマニホールドが前記多気筒エンジンに対して車両前後方向の後方側に装着されている多気筒エンジンの吸気装置において、
前記インテークマニホールドの前記複数の分岐管と前記排気ガス分配管とは、一体に形成されており、かつ、
前記排気ガス分配管は、前記インテークマニホールドの上部から車両上下方向の上方側に向かって突出し、前記車両に導入される外気が当たる場所に設置されていることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。 - 請求項1に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記複数の分岐管は、前記各気筒の吸気ポートに連通する吸気通路をそれぞれ有し、
前記排気ガス分配管は、前記複数の分岐管の通路壁面で開口した出口部を有し、
前記複数の分岐管の通路壁面は、前記出口部が開口している部位から前記各気筒の吸気ポート側へ向かって下り勾配となるように傾いていることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。 - 請求項1または請求項2に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記車両に導入される外気が当たる場所とは、前記インテークマニホールドの最上部のことであることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。 - 請求項3に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記インテークマニホールドの最上部は、前記複数の分岐管から車両上下方向の上方側に向かって突出していることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。 - 請求項3または請求項4に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記複数の分岐管に還流させる排気ガスを制御する排気ガス制御弁を備え、
前記排気ガス制御弁は、前記インテークマニホールドの最上部に搭載されていることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記排気ガス分配管は、少なくとも一部が、車両上下方向に重なり合うように形成された多層状の排気ガス通路により構成されていることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記排気ガス分配管は、外部に向けて開口した入口部、この入口部から分岐部まで延びる分配通路、および前記分岐部から複数の出口部まで延びる複数の分岐通路を有していることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。 - 請求項7に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記分配通路は、前記多気筒エンジンの気筒配列方向の一端部から中央部付近まで延びる第1層目の分配通路、および前記多気筒エンジンの気筒配列方向の中央部付近から前記多気筒エンジンの気筒配列方向の両端側に向けて延びる複数の第2層目の分配通路を有し、
前記第1層目の分配通路は、少なくとも一部が、前記複数の第2層目の分配通路のうちの少なくとも一部、および前記複数の分岐通路のうちの少なくとも一部と、車両上下方向に重なり合うように形成されていることを特徴とする多気筒エンジンの吸気装置。
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