JP5292857B2 - 有機半導体コンポジット、有機トランジスタ材料ならびに有機電界効果型トランジスタ - Google Patents

有機半導体コンポジット、有機トランジスタ材料ならびに有機電界効果型トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、チオフェン化合物とカーボンナノチューブを含む有機半導体コンポジット、有機トランジスタ材料ならびに有機電界効果型トランジスタに関する。
従来の電界効果型トランジスタ素子(以下、FET素子と言う)は、シリコンやゲルマニウム等の無機半導体を用いており、回路パターンを形成するために、フォトリソグラフィーや真空蒸着等の製造コストのかかるプロセスが何段階もわたって必要であった。このような製造方法を採用してきた半導体産業では、製造コスト削減や、表示装置における大面積化の要請が高まっている。しかし、製造装置の制約から無機半導体での低コスト化や大面積化は困難である。また、シリコン等の無機半導体を製膜するプロセスは非常に高い温度下で行われるため、基板として使用可能な材料の種類が限られるという課題があった。
このため、成形性に優れた有機半導体を半導体層として用いた有機電界効果型トランジスタ素子が提案されている。有機半導体をインクとして利用することで、インクジェット技術やスクリーニング技術等により、基板上に直接回路パターンを形成することが可能になりつつある。
FET素子の性能を示す重要な指標として、移動度とオンオフ比が挙げられる。移動度の向上は、すなわち、オン電流を増加させることを意味する。一方、オンオフ比の向上は、オン電流を増加させるとともにオフ電流を減少させることを意味する。これらはどちらもFET素子のスイッチング特性を向上させることであり、例えば液晶表示装置においては高階調を実現させることにつながる。例えば液晶表示装置の場合、移動度0.1cm/V・sec以上、オンオフ比10以上が求められる。
FET素子に用いる有機半導体としては、ペンタセンやテトラセンなどのアセン系化合物、金属フタロシアニン化合物などの有機低分子半導体が開示されている。しかしながら、有機低分子半導体では蒸着などの真空プロセスを用いることが多く、大面積化やコスト削減が困難であるという課題があった。そこで、共役系ポリマーやポリチオフェンなどの有機高分子半導体が開示されている。しかしながら、ポリパラフェニレンビニレンに代表される共役系ポリマーでは、高い配向性を得ることが難しく、十分な移動度が得られていない。一方、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)に代表されるポリチオフェン類は、有機溶媒に可溶であり、インクジェット技術やスクリーニング技術による膜形成が可能であることから、数多くの研究がなされてきている。しかしながら、ポリチオフェン類の多くは、周囲の酸素によって酸化的にドーピングされてオフ電流が上昇し、オンオフ比が低下するという課題があった。
近年、可溶化したオリゴチオフェンを含む有機半導体材料が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、これら材料を用いたFET素子では、十分な移動度が得られていない。
また、移動度を向上させるための技術として、ポリチオフェン類などの有機高分子半導体膜中にカーボンナノチューブを分散させたコンポジットを用いる方法(例えば、特許文献4参照)や、有機半導体分子にナノロッドまたはナノチューブを分散させた固体組成物を用いる方法(例えば、特許文献5参照)が開示されているが、いずれも十分な移動度が得られていなかった。
特開2006−13483号公報(特許請求の範囲) 特開2006−24908号公報(特許請求の範囲) 特開2006−40934号公報(特許請求の範囲) 特開2006−265534号公報(特許請求の範囲) 特開2006−93699号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、インクジェットなどの塗布プロセスで製膜可能であって、高い電荷移動度を有し、大気中においても高いオンオフ比を維持することができる有機半導体コンポジット、有機トランジスタ材料および有機電界効果型トランジスタ素子を提供することである。
本発明は、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物と、少なくとも表面の一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブを含有する有機半導体コンポジットである。
Figure 0005292857
上記一般式(1)中、R および 、同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアミノ基からなる群から選ばれる。 およびX は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基およびアルキルカルボニルオキシ基からなる群から選ばれる。これらは置換基を有していてもいなくてもよい。R 、R、XおよびXは隣接する置換基同士で環を形成してもよい。mは〜20の整数を示し、それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。
ただしX およびX の少なくとも一方が上記一般式(2)で表される。上記一般式(2)中、R はアルキレン基を示す。R はアルキル基を示す。R およびR は置換基を有していてもいなくてもよい。nは1以上の整数を示す。
また、本発明は、上記の有機半導体コンポジットを含有する有機トランジスタ材料である。また、本発明は、ゲート電極、絶縁層、半導体層、ソース電極およびドレイン電極を有する有機電界効果型トランジスタであって、前記半導体層が上記有機トランジスタ材料を含有する有機電界効果型トランジスタである。
本発明により、インクジェットなどの塗布プロセスで製膜が可能であって、高い電荷移動度を有し、大気中においても高いオンオフ比を維持することができる有機半導体コンポジット、有機トランジスタ材料および有機電界効果型トランジスタ素子を提供することができる。
本発明の有機半導体コンポジットは、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物を含有する。
Figure 0005292857
上記一般式(1)中、R、R、XおよびXは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、カルバモイル基、アミノ基およびシリル基からなる群から選ばれる。これらは置換基を有していてもいなくてもよい。ただし、XおよびXが同時に水素原子となることはない。mは1〜20の整数を示す。mが2以上の場合、それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有している場合の追加の置換基には特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、これらはさらに置換基を有していてもよい。例えば置換基がアルコキシ基の場合、アルコキシアルキル基となる。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有する場合、置換基には特に制限はなく、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、これら置換基はさらに置換基を有していてもよい。これら置換基に関する説明は、特にことわらない限り、以下の記載にも共通する。シクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、エーテル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基など、エーテル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示し、この芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基の芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルキルカルボニル基とは、例えば、アセチル基、ヘキサノイル基など、カルボニル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アリールカルボニル基とは、例えば、ベンゾイル基など、カルボニル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示し、この芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、7以上40以下の範囲である。
アルコキシカルボニル基とは、例えば、メトキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアルコキシ基で置換した官能基を示し、このアルコキシ基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アリールオキシカルボニル基とは、例えば、フェノキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアリールオキシ基で置換した官能基を示し、このアリールオキシ基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールオキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、7以上40以下の範囲である。
アルキルカルボニルオキシ基とは、例えば、アセトキシ基など、エーテル結合の一方をアルキルカルボニル基で置換した官能基を示し、このアルキルカルボニル基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アリールカルボニルオキシ基とは、例えば、ベンゾイルオキシ基など、エーテル結合の一方をアリールカルボニル基で置換した官能基を示し、このアリールカルボニル基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、7以上40以下の範囲である。
カルバモイル基、アミノ基、シリル基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換基を有していてもよい。
隣接する基同士で互いに結合して環を形成する場合、前記一般式(1)で説明すると、例えば、RとRが互いに結合して共役または非共役の縮合環を形成する。縮合環の構成元素として、炭素以外にも窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
mは1〜20の整数を示す。mを20以下とすることにより、一般式(1)で表されるチオフェン化合物の共役長が抑えられ、酸化に対する安定性が向上し、大気中において高いオンオフ比を維持することができる。さらに、12以下が好ましく、酸化に対する安定性がより向上するとともに、合成が容易になりコストダウンが可能になる。また、mが2以上の場合、それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。
本発明において、一般式(1)におけるXとXが同時に水素原子となることはない。XとXが同時に水素原子となる場合、酸化に対して不安定となり、大気中において高いオンオフ比が継続して得られない。塗布プロセスへの適合性を考慮すると、XおよびXはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基およびアルキルカルボニルオキシ基からなる群から選ばれることが好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物の中でも、XおよびXの少なくとも一方が一般式(2)で表される基である化合物が好ましい。
Figure 0005292857
上記一般式(2)中、Rはアルキレン基を示す。Rはアルキル基を示す。RおよびRは置換基を有していてもいなくてもよい。nは1以上の整数を示す。
のアルキレン基とは、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの2価の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有している場合の追加の置換基には特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、これらはさらに置換基を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上12以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
のアルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有している場合の追加の置換基には特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、これらはさらに置換基を有していてもよい。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上12以下の範囲である。
およびXの少なくとも一方を一般式(2)で表される基とすることで、チオフェン骨格同士の高い配向性を維持したまま溶媒への溶解性を向上させることができ、インクジェットなど溶液プロセスを用いて、より高移動度のFET素子を作製することが容易になる。さらに、nが1〜3の場合、合成および精製が容易に行えるため、より好ましい。中でも、nが2または3の場合、nが1の場合よりも、CNTとの親和性が大きく向上することから、高移動度に加え、高いオンオフ比を有するFET素子を作製することができるようになるため好ましい。
一般式(2)で表される基の例としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−ノニルオキシエチル基、2−オクチルオキシエチル基、2−デシルオキシエチル基、2−ヘキサデシルオキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、ノニルオキシメチル基、ドデシルオキシメチル基、3−ブトキシプロピル基、3−オクチルオキシプロピル基、3−ノニルオキシプロピル基、3−ドデシルオキシプロピル基、4−ブトキシブチル基、4−オクチルオキシブチル基、4−デシルオキシブチル基、4−ドデシルオキシブチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2−プロポキシエトキシ)エチル基、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル基、2−(2−ペンチルオキシエトキシ)エチル基、2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エチル基、2−(2−オクチルオキシエトキシ)エチル基、2−(2−ドデシルオキシエトキシ)エチル、2−メトキシメトキシエチル基、2−(3−メトキシプロポキシ)エチル基、2−(2−メトキシエトキシ)メチル基、2−エトキシエトキシメチル基、2−プロポキシエトキシメチル基、2−ヘキシルオキシエトキシメチル基、3−(2−エトキシエトキシ)プロピル基、3−(2−プロポキシエトキシ)プロピル基、4−(2−メトキシエトキシ)ブチル基、4−(2−エトキシエトキシ)ブチル基、2−(4−エトキシブトキシ)エチル基、2−(4−メトキシブトキシ)エチル基、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−[2−(2−ペンチルオキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エトキシメチル基、2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシメチル基、2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシメチル基、2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エトキシメチル基、4−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]ブチル基、4−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]ブチル基、6−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]ヘキシル基、3−[2−(2−ペンチルオキシエトキシ)エトキシ]プロピル基、2−[2−(4−メトキシブトキシ)エトキシ]エチル基、2−[2−(4−エトキシブトキシ)エトキシ]エチル基、2−{2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル基、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エトキシメチル基などが挙げられる。
また、一般式(1)で表されるチオフェン化合物の中でも、一種以上の液晶状態を有する化合物が好ましい。液晶状態とは、結晶状態と液体状態の中間状態の一つであり、結晶の異方性と液体の流動性を併せ持っている。このような液晶状態を有する化合物(以下、液晶性化合物と呼ぶ)は、その高い自己組織化能により、優れた分子配向を実現し、極めて高い結晶性を有する有機半導体薄膜を形成できる。さらに、液晶性化合物を溶液から塗布した後、液晶性を発現する温度まで加熱することで流動性を付与し、高い結晶状態を作り出すことも可能である。このように、一種以上の液晶状態を有するチオフェン化合物を用いることにより、塗布プロセスを用いてより高移動度の有機半導体薄膜を実現することができる。
一般式(1)で表される化合物として、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 0005292857
Figure 0005292857
Figure 0005292857
Figure 0005292857
Figure 0005292857
Figure 0005292857
Figure 0005292857
一般式(1)で表される化合物の合成には、公知の方法を使用することができる。チオフェン同士を連結する方法としては、例えば、ハロゲン化チオフェンとチオフェンボロン酸またはチオフェンボロン酸エステルをパラジウム触媒下でカップリングする方法、ハロゲン化チオフェンとチオフェングリニヤール試薬をニッケルまたはパラジウム触媒下でカップリングする方法が挙げられる。
本発明の有機半導体コンポジットは、一般式(1)で表されるチオフェン化合物とともにカーボンナノチューブ(以下、CNTと略称する)を含有する。一般式(1)で表されるチオフェン化合物とCNTを含むことにより、チオフェン化合物そのものの特性を維持しつつ、より高い移動度を実現することが可能になる。有機半導体コンポジットは、上記一般式(1)で表されるチオフェン化合物を複数種含んでもよい。有機半導体コンポジットを形成する方法としては、例えば、CNTまたはCNTを含有する溶液と、有機半導体またはその溶液とを混合する方法を挙げることができる。また、必要に応じて、混合を促進するための加熱または超音波照射の工程を加えてもよいし、ろ過等の固形成分を除去する工程を加えてもよい。
有機半導体コンポジットに含まれるCNTの重量分率は、半導体特性を得るためには、チオフェン化合物100重量部に対し0.01〜3重量部が好ましい。0.01重量部以上であれば、CNT添加による移動度向上の効果が顕著に奏される。一方、3重量部以下であれば、オフ電流を低くすることができる。より好ましくは1重量部以下である。1重量%以下にすることで高移動度と高オンオフ比の両立が得やすくなる。
CNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNTと、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNTと、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTとがある。本発明においては、単層CNT、2層CNTおよび多層CNTのうちのいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種類または3種類を同時に用いることもできる。CNTの製造方法として、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等の数種類があり、製法によって直径や長さや直線性などの形態が少しずつ異なっている。本発明に用いられるCNTはいずれの方法で得られたものであってもよい。
有機半導体コンポジットをFET素子に用いる場合、CNTの長さは、ソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いことが好ましい。CNTの長さがチャネル長よりも長い場合、電極間を短絡させる原因となり、FET素子作製には不適当である。そのため、長さがソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いCNTを用いるか、またはCNTの長さをチャネル長よりも短くする工程を経ることが好ましい。CNTの平均長さは、チャネル長によるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがある。そこでCNTをチャネル長よりも短くする工程を加えた方が、電極間の短絡を確実に防ぐことができるので好ましい。例えば、CNTは一般には紐状で生成されるので、カットして短繊維状で使用することが望ましい。短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などが有効である。またフィルターによる分離を併用することは、純度を向上させる点でさらに好ましい。なお、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも好ましく使用される。
また、CNTの直径は特に限定されないが、1nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。
本発明では、CNTを溶媒中に均一分散させ、分散液をフィルターによってろ過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、チャネル長よりも小さくしたCNTを効率よく得られる。
ろ過に用いるフィルターは、メンブレンフィルター、セルロース濾紙、ガラス繊維濾紙など何れの種類のフィルターも用いることができる。中でもメンブレンフィルターは、濾紙内部で吸着されるCNTの量を減らすことができ、濾液から収率よくCNTを回収できるので好ましく用いられる。
ろ過に用いるフィルターの孔径は、チャネル長よりも小さければよく、チャネル長に応じて使い分けることができる。例えばチャネル長が20μmの場合は、孔径10μmのフィルターを用いることで電極間の短絡を確実に防ぐことができる。実際には孔径0.5〜10μmのフィルターを好ましく用いることができる。
他にCNTを短小化する方法として、酸処理によってCNTそのものを短くする方法があり、本発明にも用いることができる。この場合、CNTを硫酸と硝酸との混酸の中に加え、超音波照射するか、100℃以上の熱処理をすることで短小化されたCNTを得ることができる。また、過酸化水素水中で加熱する方法も用いることができる。これらの方法を行った場合は、後処理として孔径0.1〜1μmのフィルターを用いて処理されたCNTを濾別し、水洗することで、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたCNTを得ることができる。
また、別の方法としては凍結粉砕工程を経て、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたCNTを得ることができる。
本発明では、表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着したCNTを用いることが好ましい。これにより、CNTをマトリックス(チオフェン化合物)内に、より均一に分散することができ、移動度およびオンオフ比をより向上させることがきる。共役系重合体がCNTの少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのはそれぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判別できる。定量的には元素分析やX線光電子分光法(XPS)などによって付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。また、CNTに付着させる共役重合体は、共役系重合体であれば、分子量、分子量分布や構造に関わらず用いることができる。上記の「共役系重合体の付着したCNT」を以下「CNT複合体」という。
共役重合体をCNTに付着させる方法は、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合させる方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合させる方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合させる方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法等が挙げられる。本発明では、何れの方法を単独で用いても、あるいは複数の方法を組み合わせてもよく、特に限定されない。
上記のCNTを被覆する共役重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられるが、特に限定されない。上記重合体は、単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、あるいは、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。上記重合体の中でも本発明においては、CNTへの付着が容易であり、CNT複合体を形成しやすいポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。
ポリチオフェン系重合体はポリ−チオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有する。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜12);ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜12);ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は好ましくは1〜12);ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜12)が挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェンまたはポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましい。前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。ポリチオフェン系重合体の好ましい分子量は、数平均分子量で800〜100000である。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマーであってもよい。
本発明で用いる共役系重合体の不純物を除去する方法は特に限定されないが、基本的には合成過程で使用した原料や副生成物を除去する精製工程であり、再沈殿法、ソクスレー抽出法、ろ過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。中でも低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法が好ましく用いられ、金属成分の除去には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法のうち、1種を単独で用いても、あるいは複数を組み合わせても良く、特に限定はされない。
本発明の一般式(1)で表されるチオフェン化合物とカーボンナノチューブを含有する有機半導体コンポジットは、酸化に対する安定性と高い電荷輸送能を有するため、有機トランジスタ材料として好適に用いられる。また、この有機半導体コンポジットは、溶媒への溶解性が高く、インクジェットなどの塗布プロセスにより製膜することができる。本発明の有機トランジスタ材料は、上記有機半導体コンポジットを複数種含有してもよいし、既知の有機半導体をさらに含有してもよい。
次に、本発明の有機トランジスタ材料を用いたFET素子について説明する。本発明のFET素子は、ゲート電極、絶縁層、半導体層、ソース電極およびドレイン電極を有する有機電界効果型トランジスタであって、前記半導体層が本発明の有機トランジスタ材料を含有する。
図1および図2は、本発明のFET素子の例を示す模式断面図である。図1では、絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に、ソース電極5およびドレイン電極6が形成され、さらにその上に本発明の有機トランジスタ材料を含有する半導体層4が形成されている。図2では、絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に本発明の有機トランジスタ材料を含有する半導体層4が形成され、さらにその上にソース電極5およびドレイン電極6が形成されている。
基板1に用いる材料としては、例えば、シリコンウエハー、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料が挙げられる。
ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6に用いる材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物、あるいは白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属やこれらの合金、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など、ヨウ素などのドーピングなどで導電率を向上させた導電性ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
上記ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェットおよび印刷などが挙げられるが、導通を取ることができれば特に制限されない。また電極パターンの形成方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を公知のフォトリソグラフィー法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。
絶縁層3(ゲート絶縁膜)に用いる材料としては、特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料、あるいは無機材料粉末と有機高分子材料の混合物を用いることができる。上記絶縁層の形成方法としては、特に限定されないが、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVD、イオンプレーティング、コーティング、インクジェットおよび印刷などの方法が挙げられ、材料に応じて使用できる。
絶縁層3の膜厚は、特に制限されないが、好ましくは50nm〜3μm、より好ましくは100nm〜1μmである。絶縁層は単層でも、複数層でもよい。単層の場合は複数の絶縁性材料を混合して形成してもよい。また複数層の場合は複数の絶縁性材料を積層して形成しても構わない。
本発明のFET素子において、半導体層4は、本発明の有機トランジスタ材料を含有する。半導体層4は、本発明の複数の有機トランジスタ材料を含んでもよいし、既知の有機半導体を含んでもよい。既知の有機半導体としては、特に限定されないが、キャリア移動度の高い材料が好ましく、具体的にはポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリジアセチレン類、ポリカルバゾール類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、オキサゾール、オキサジアゾールなどの含窒素芳香環を構成単位とするポリヘテロアリール類、アントラセン、ピレン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ルブレンなどの縮合多環芳香族化合物、フラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、オキサゾール、オキサジアゾールなどの含窒素芳香族化合物、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルに代表される芳香族アミン誘導体、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、銅ポルフィリンなどの金属ポルフィリン類、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドなどの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、メロシアニン、フェノキサジン、ローダミンなどの有機色素などが例として挙げられる。
また、半導体層4は、本発明の有機トランジスタ材料の他に絶縁性材料を含んでもよい。ここで用いられる絶縁性材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
半導体層4は、単層、もしくは複数層から構成される。複数層の場合には、本発明の複数の有機トランジスタ材料を積層してもよいし、本発明の有機トランジスタ材料と上記既知の有機半導体を積層してもよい。
半導体層4の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布型の方法を用いることが好ましい。具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などを好ましく用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。例えばスピンコート塗布を行う場合には、有機トランジスタ材料溶液の濃度は1〜20g/lであると、厚み5〜200nmの塗膜を得ることができる。このとき、有機トランジスタ材料を溶解させる溶媒としては、テトラヒドロフランやトルエン、キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,4−イソプロピルベンゼン、1,4−ジプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、o−クロロトルエン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、安息香酸エチル、2,4,6−トリメチル安息香酸エチル、2−エトキシ安息香酸エチル、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数の溶媒を混合して用いてもよい。形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または不活性ガス雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。
半導体層4の膜厚は5nm以上100nm以下が好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になり、さらにゲート電圧によって制御できないソース・ドレイン間電流を抑制し、FET素子のオンオフ比をより高くすることができる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
また、絶縁層3と半導体層4の間に配向性層を設けることもできる。本発明の有機トランジスタ材料は配向性層がなくても高い移動度を奏するが、配向性層を設けることにより、さらに高い移動度が可能となるため好ましい。配向性層には、シラン化合物、チタン化合物、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の材料を用いることができ、中でも有機シラン化合物が好ましい。
有機シラン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、tert−ブチルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、2−メトキシエチルトリメトキシシラン、2−ブトキシエチルトリクロロシラン、2−オクチルオキシエチルトリクロロシラン、ペンチルオキシメチルトリエトキシシラン、メトキシメチルトリエトキシシラン、3−オクチルオキシプロピルトリエトキシシラン、4−ブトキシブチルトリエトキシシラン、4−デシルオキシブチルトリクロロシラン、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(3−メトキシプロポキシ)エチルトリクロロシラン、4−(2−メトキシエトキシ)ブチルトリクロロシラン、3−オクチルスルファニルプロピルトリメトキシシラン、2−ブチルスルファニルエチルトリメトキシシラン、メチルスルファニルメチルトリクロロシラン、1−トリクロロシリル−3−ブテン、1−トリクロロシリル−3−ヘキセン、1−トリクロロシリル−2,4−ヘキサジエン、1−トリクロロシリル−2,4,6−オクタトリエン、フェニルトリクロロシラン、ナフチルトリクロロシラン、アントラセントリクロロシラン、ピレントリクロロシラン、チオフェントリクロロシラン、ピロールトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、アントラセントリエトキシシラン、ピレントリメトキシシラン、ピレントリエトキシシラン、チオフェントリメトキシシラン、フェニルメチルトリクロロシラン、フェニルエチルトリクロロシラン、フェニルブチルトリクロロシラン、フェニルヘキシルトリクロロシラン、フェニルオクチルトリクロロシラン、ナフチルエチルトリクロロシラン、アントラセンメチルトリクロロシラン、アントラセンエチルトリクロロシラン、ピレンメチルトリクロロシラン、チオフェンメチルトリクロロシラン、チオフェンエチルトリクロロシラン、アミノフェニルトリクロロシラン、ヒドロキシフェニルトリクロロシラン、ジクロロフェニルトリクロロシラン、トリクロロフェニルトリクロロシラン、ブロモフェニルトリクロロシラン、ジフルオロフェニルトリクロロシラン、テトラフルオロフェニルトリクロロシラン、ヨードフェニルトリクロロシラン、シアノフェニルトリクロロシランなどが挙げられる。
配向性層の抵抗を考慮すると、配向性層の膜厚は10nm以下が好ましく、さらに好ましくは単分子膜である。また配向性層は、例えば、上記有機シラン化合物と絶縁層表面とが化学結合して形成されたものも含む。シリル基と絶縁層表面が化学的に反応することで、緻密で強固な膜を形成することができる。反応後の強固な膜の上に、未反応のシラン化合物が積層している場合は、洗浄などをすることによって、未反応のシラン化合物を除去し、シリル基と絶縁層表とが化学結合して形成された単分子膜を得ることができる。
配向性層の形成方法としては、特に限定されないが、CVD法などの気相法や、スピンコート法や浸漬引き上げ法などの液相を用いた方法が挙げられる。
配向性層を形成する前に、その下地となる絶縁層表面をUVオゾン法や酸素プラズマ法などの方法を用いて親水化処理してもよい。これにより、シリル基と絶縁層表面の化学反応を容易にすることができる。
また、本発明の有機トランジスタ材料が、液晶状態を有するチオフェン化合物を含む場合、絶縁層3と半導体層4の間に分子を一定方向に配向させる配向手段を用いることが有効である。配向手段を設けることにより、有機トランジスタ材料の移動度をさらに向上させることが可能となるため好ましい。配向手段としては、上記のような絶縁層と半導体層の間に配向性層を形成する方法のほかに、絶縁層にラビング処理等の配向処理を施す方法、絶縁層表面に微小な凹凸を形成する方法などが挙げられる。また、電場や磁場などの外場を利用することも可能である。
このようにして形成されたFET素子は、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流を、ゲート電圧を変化させることによって制御することができる。FET素子の移動度は、下記の(a)式を用いて算出することができる。
μ=(δId/δVg)L・D/(W・ε・ε・Vsd) (a)
ただしIdはソース・ドレイン間の電流、Vsdはソース・ドレイン間の電圧、Vgはゲート電圧、Dは絶縁層の厚み、Lはチャネル長、Wはチャネル幅、εは絶縁層の比誘電率(ここではSiOの3.9またはPVPの3.8を使用)、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
また、あるマイナスのゲート電圧におけるId(オン電流)の値と、あるプラスのゲート電圧におけるId(オフ電流)の値の比からオンオフ比を求めることができる。
本発明の有機トランジスタ材料は、薄膜の電界効果型トランジスタ、光起電力素子、スイッチング素子など、各種デバイスの製造に有利に用いることができる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。なお、下記の各実施例にある化合物の番号は前記の化学式に記載した化合物の番号を指す。
合成化合物同定のためのH−NMRは超伝導FT−NMR「EX−270」(日本電子(株)製)を用い、重クロロホルム溶液にて測定を行った。
合成例1(化合物[12]の合成
2−ヘキシルチオフェン8.0gをテトラヒドロフラン100mlに溶解し、−80℃に冷却した。ここに、n−ブチルリチウム溶液(1.6mol/lのヘキサン溶液)20mlを滴下し、3時間撹拌した。−30℃まで昇温し、2−イソポロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン6.6gを滴下し、室温にて7時間撹拌した。得られた溶液に水100ml、ジクロロメタン150mlを加え、有機層を分取した。水500mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、下記式に示す5−HT−BPin10gを得た。
Figure 0005292857
5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン0.20g、上記5−HT−BPin1.1g、三リン酸カリウム2.6g、ジメチルホルムアミド40mlの混合溶液に、1,1’−(ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド・ジクロロメタン錯体0.21gを加え、窒素雰囲気下、90℃にて6時間加熱撹拌した。生じた固体をろ取し、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、橙色粉末0.18gを得た。得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、化合物[12]であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.86-0.91(m,6H),1.27-1.45(m,36H), 1.68-1.73(m,4H),2.78-2.84(m,4H),6.83-6.85(d,2H),7.01-7.08(m,6H)。
合成例2(化合物[27]の合成)
クオターチオフェン0.58gをクロロホルム30mlに溶解した。ここにn−ブロモスクシンイミド1.1gを加え、窒素雰囲気下、室温にて4時間撹拌した。析出した固体をろ取し、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、5,5’’’−ジブロモクオターチオフェン1.2gを得た。
エチレングリコールモノエチルエーテル25gとピリジン35mlをジクロロメタン300mlに溶解し、0℃に冷却した。ここに塩化トシル49gを加え、窒素気流下1時間撹拌し、その後、室温まで昇温し5時間撹拌した。反応溶液に水100mlを加えて有機層を分取した。水500mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、トルエンスルホン酸−2−エトキシエチルエステル39gを得た。
2−チオフェンエタノール8.6gを0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%油性)3.5gをテトラヒドロフラン100mlに加えた懸濁液を滴下した。窒素雰囲気下0℃にて1時間撹拌し、トルエンスルホン酸−2−エトキシエチルエステル27gを滴下した。その後90℃に昇温し、6時間加熱撹拌した。反応溶液に水100ml、ジクロロメタン100mlを加えて有機層を分取した。水300mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/メタノール)で精製し、下記式に示す2EtO−ET11gを得た。
Figure 0005292857
上記2EtO−ET5.3gをテトラヒドロフラン80mlに溶解し、−80℃に冷却した。ここに、n−ブチルリチウム溶液(1.6mol/lのヘキサン溶液)20mlを滴下し、2時間撹拌した。−30℃まで昇温し、2−イソポロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン4.8gを滴下し、室温にて18時間撹拌した。得られた溶液に水100ml、ヘキサン100mlを加え、有機層を分取した。水300mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、下記式に示す5−2EtOET−BPin5.5gを得た。
Figure 0005292857
5,5’’’−ジブロモクオターチオフェン0.40g、上記5−2EtOET−BPin2.5g、三リン酸カリウム2.8g、ジメチルホルムアミド50mlの混合溶液に、[1,1’−(ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド・ジクロロメタン錯体0.30gを加え、窒素雰囲気下、90℃にて6時間加熱撹拌した。生じた固体をろ取し、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、橙色粉末0.25gを得た。得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、化合物[27]であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):1.16-1.19(t,6H),3.08-3.13(t,4H), 3.47-3.73(m,24H),6.81-6.82(d,4H),7.00-7.12(m,10H)。
合成例3(化合物[36]の合成)
2−チオフェンエタノール17gを0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%油性)7.1gをテトラヒドロフラン110mlに加えた懸濁液を滴下した。窒素雰囲気下0℃にて20分間撹拌し、1−ブロモブタン25gを滴下した。その後90℃に昇温し、8時間加熱撹拌した。反応溶液に水100ml、ジクロロメタン100mlを加えて有機層を分取した。飽和食塩水300mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、2−(2−ブチルオキシエチル)チオフェン18g得た。
2−(2−ブチルオキシエチル)チオフェン10gをテトラヒドロフラン90mlに溶解し、−80℃に冷却した。ここに、n−ブチルリチウム溶液(1.6mol/lのヘキサン溶液)34mlを滴下し、6時間撹拌した。−30℃まで昇温し、2−イソポロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン10gを滴下し、室温にて18時間撹拌した。得られた溶液に水100ml、ヘキサン100mlを加え、有機層を分取した。水300mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、下記式に示す5−BOET−BPin8.8gを得た。
Figure 0005292857
ブロモチオフェン1.60g、上記5−BOET−BPin3.0g、三リン酸カリウム5.2g、ジメチルホルムアミド70mlの混合溶液に、[1,1‘−(ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体0.50gを加え、窒素雰囲気下、90℃にて6時間加熱撹拌した。生じた固体をろ取し、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、下記式に示す5−BOEBT2.3gを得た。
Figure 0005292857
上記5−BOEBT2.3gをテトラヒドロフラン30mlに溶解し、−80℃に冷却した。ここに、n−ブチルリチウム溶液(1.6mol/lのヘキサン溶液)7.5mlを滴下し、6時間撹拌した。−30℃まで昇温し、2−イソポロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン2.0gを滴下し、室温にて18時間撹拌した。得られた溶液に水100ml、ヘキサン100mlを加え、有機層を分取した。水200mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、下記式に示す5−BOEBT−BPin1.6gを得た。
Figure 0005292857
ターチオフェン0.48gをクロロホルム30mlに溶解した。ここにn−ブロモスクシンイミド1.5gを加え、窒素雰囲気下、室温にて4時間撹拌した。析出した固体をろ取し、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、5,5’’−ジブロモターチオフェン0.85gを得た。
上記5−BOEBT−BPin1.6gと5,5’’−ジブロモターチオフェン0.58g、三リン酸カリウム2.3g、ジメチルホルムアミド30mlの混合溶液に、[1,1‘−(ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体0.30gを加え、窒素雰囲気下、90℃にて10時間加熱撹拌した。生じた固体をろ取し、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン)で精製し、赤色粉末0.78gを得た。得られた粉末の1H−NMR分析結果は次の通りであり、化合物[36]であることを確認した。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.86-0.91(m,6H),1.26(m,4H),1.57-1.63(m,4H), 2.77-2.83(m,4H),3.09-3.12(t,4H),3.47-3.73(t,4H),6.80-6.82(d,4H),7.01-7.10 (m,10H)。
実施例1
共役系重合体であるポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー、数平均分子量(Mn):13000、以下P3HTという)0.10gをクロロホルム5mlの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で超音波撹拌することによりP3HTのクロロホルム溶液を得た。次いでこの溶液をスポイトにとり、メタノール20mlと0.1規定塩酸10mlの混合溶液の中に0.5mlずつ滴下して、再沈殿を行った。固体になったP3HTを0.1μm孔径のメンブレンフィルター(PTFE社製:4フッ化エチレン)によって濾別捕集し、メタノールでよくすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿P3HTを得た。
次に、CNT(CNI社製、単層CNT、純度95%、以下単層CNTという)1.5mgと、上記P3HT1.5mgを30mlのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波攪拌した。超音波照射を30分行った時点で一度照射を停止し、P3HTを1.5mg追加し、さらに1分間超音波照射することによって、CNT複合体分散液A(溶媒に対するCNT濃度0.05g/l)を得た。
上記CNT複合体分散液A中で、P3HTがCNTに付着しているかどうかを調べるため、分散液A5mlをメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、フィルター上にCNTを捕集した。捕集したCNTを、溶媒が乾かないうちに素早くシリコンウエハー上に転写し、乾燥したCNTを得た。このCNTを、X線光電子分光法(XPS)を用いて元素分析したところP3HTに含まれる硫黄元素が検出された。従って、CNT複合体分散液A中のCNTにはP3HTが付着していることが確認できた。
次に、半導体層4を形成するためのCNT複合体分散液の調整を行った。上記分散液Aにクロロホルムを加えて0.02g/lに希釈し、メンブレンフィルター(孔径10μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いてろ過を行い、長さ10μm以上のCNTを除去した。得られたろ液をCNT複合体分散液Bとした。CNT複合体分散液B0.18ml、クロロホルム0.12mlの混合溶液に、有機半導体として化合物[12]0.90mgを加え、超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製US−2、出力120W)を用いて30分間超音波照射し、有機半導体コンポジット溶液を作製した。このとき、化合物[12]のクロロホルムに対する濃度を3g/l、CNTの化合物[12]100重量部に対する量を0.4重量部に調整した。
次いで、上述の有機半導体コンポジット溶液をスピンコート塗布(800rpm×0.3秒)して、図1に示すFET素子を作製した。基板1は熱酸化膜(膜厚300nm)付きのアンチモンドープシリコンウエハー(抵抗率0.02Ωcm以下)であり、基板であると同時に、ゲート電極2であり、熱酸化膜は絶縁層3となる。次に以下の手順に基づき、金のソース電極5およびドレイン電極6を形成した。すなわち、熱酸化膜付きのシリコンウエハー上にポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。次いで露光機を用いて、フォトマスクを介した紫外線照射を行った。次いでレジスト膜の付いたウエハーをアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、櫛形電極が抜けた形状になっているレジスト膜を得た。真空蒸着は、前述のレジスト膜付きのウエハー上に、クロムを厚み5nmになるよう蒸着し、次いで金を厚み35nmになるように蒸着した。次いで、金/クロムとレジストの付いたウエハーをアセトン中に浸漬し、超音波洗浄機で超音波照射することによって、レジスト上の余分な金/クロムを除去した。このようにして、ウエハー上に金の両櫛形電極を形成した。
これら両電極の幅(チャネル幅)は0.5cm、両電極の間隔(チャネル長)は20μm、電極高さは40nmとした。電極が形成された基板上に上記の有機半導体コンポジット溶液を0.1ml滴下し、スピンコート塗布(800rpm×0.3秒)によって厚み25nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で100℃、1時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気解放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、真空中で静置した。
次に、上記FET素子のゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定にはヒューレット・パッカード社製ピコアンメータ/ボルテージソース4140Bを用い、真空下で測定した。Vg=+50〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、8.6×10−2cm/V・secであった。また、このときのIdの最大値と最小値の比からオンオフ比を求めたところ3.2×10であった。
次に、この素子を大気中で24時間静置後、大気中でFET特性を評価したところ、オンオフ比は2.0×10と高い値を維持した。
実施例2
化合物[12]の代わりに化合物[27]を用いた以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、特性を測定した。結果を表1に示した。
実施例3
化合物[12]の代わりに化合物[36]を用いた以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、特性を測定した。結果を表1に示した。
比較例1
化合物[27]のみのクロロホルム溶液を用いて半導体層を形成した以外は、実施例1と同様にしてFET素子を作製し、特性を測定した。結果を表1に示した。
比較例2
化合物[12]の代わりに下記式に示す8Tを用いた以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、特性を測定した。結果を表1に示した。
Figure 0005292857
比較例3
有機半導体としてP3HTを用いた以外は、実施例1と同様にしてFET素子を形成し、特性を測定した。結果を表1に示した。大気中におけるオンオフ比が大幅に低下した。
Figure 0005292857
本発明の有機トランジスタ材料は、スマートカード、セキュリティータグ、フラットパネルディスプレイ用のトランジスタアレイなどへ利用可能な有機電界効果型トランジスタや、その他有機トランジスタに好適に用いられる。
本発明の一態様であるFET素子を示した模式断面図 本発明の別の態様であるFET素子を示した模式断面図
符号の説明
1 基板
2 ゲート電極
3 絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物と、少なくとも表面の一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブを含有する有機半導体コンポジット。
    Figure 0005292857
    (上記一般式(1)中、R および 、同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアミノ基からなる群から選ばれる。 およびX は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基およびアルキルカルボニルオキシ基からなる群から選ばれる。これらは置換基を有していてもいなくてもよい。R 、R、XおよびXは隣接する置換基同士で環を形成してもよい。mは〜20の整数を示し、それぞれのRおよびRは同じでも異なっていてもよい。ただしX およびX の少なくとも一方が下記一般式(2)で表される。
    Figure 0005292857
    (上記一般式(2)中、R はアルキレン基を示す。R はアルキル基を示す。R およびR は置換基を有していてもいなくてもよい。nは1以上の整数を示す。)
  2. 前記一般式(1)におけるXおよびXがアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基およびアルキルカルボニルオキシ基からなる群から選ばれる請求項1記載の有機半導体コンポジット。
  3. 請求項1または2に記載の有機半導体コンポジットを含有する有機トランジスタ材料。
  4. ゲート電極、絶縁層、半導体層、ソース電極およびドレイン電極を有する有機電界効果型トランジスタであって、前記半導体層が請求項に記載の有機トランジスタ材料を含有する有機電界効果型トランジスタ。
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