着座状態から格納状態への遷移に際して、多くの場合シートバック(背もたれ部)がシートクッション(座部)に向かって折り畳まれる。着座状態のシートにおいて、利用者が快適に着座することができるシートバックの姿勢は、シートクッションに対して垂直よりもやや後方に倒れた姿勢である。車両がワゴン車やワンボックスタイプであり、最後尾のシートのすぐ後方が荷室となっている場合、後方に傾倒したシートバックにより、荷室の空間はやや狭められた状態となっている。利用者の快適性はやや損なわれるものの、後傾しているシートバックを起こせば、最後尾のシートに利用者が着座することが可能な状態で、荷室の空間を広げることができる。特許文献1にも例示されているように、シートを格納する操作スイッチは、不用意な作動を抑制するためにモーメンタリ動作のスイッチが設置されていることが多い。従って、シートバックが適当な姿勢となったところで操作スイッチから手を離せば、所望の角度でシートバックの姿勢を調整することができる。
但し、荷室の空間を拡大したいような場面において操作される操作スイッチは、特許文献1の図5の符号104に示されているように、バックドア700の近傍に設けられることが多い。操作スイッチが複数箇所に設けられていたとしても、荷物を積み込もうとする場面においては、バックドア近傍の操作スイッチが用いられることが多い。この位置では、利用者は、シートバックを後ろから見ることとなる。即ち、特許文献1の図5のようにシートバックを側方から見るのではないから、利用者はシートバックの角度を把握することが困難である。
上記に鑑みれば、荷室の空間を調整するためにシートを動かす操作スイッチの操作が調整の程度に拘わらず容易であり、利用者にとって高い利便性を有するシート状態変更装置の提供が望まれる。
本発明に係るシート状態変更装置の特徴構成は、
乗員の背中に対面して前記乗員を支持可能な支持面の反対側の面が荷室に対面し、折り畳まれた格納状態と前記乗員が着座可能な角度に起立した着座状態との間で姿勢の変更が可能なシートバックの姿勢を変更させるアクチュエータと、
利用者によって操作される操作スイッチの操作状態に基づいて、前記シートバックの姿勢を前記格納状態と前記着座状態との間で変更させる作動指示信号を生成するスイッチ回路と、
前記作動指示信号に基づいて前記アクチュエータの駆動制御を開始すると共に、前記シートバックの姿勢が変更される途上において、前記乗員が着座可能であって前記荷室の空間が最大となる角度である基準姿勢を経由する際には、前記作動指示信号が有効状態であっても、前記基準姿勢において前記アクチュエータの駆動制御を中断する制御部と、を備える点にある。
この特徴構成によれば、シートバックが姿勢を変更する途上において基準姿勢を経由する際には、作動指示信号が有効状態であってもアクチュエータの駆動制御が中断される。従って、シートバックは基準姿勢において一時停止する。基準姿勢は、乗員が着座可能であって荷室の空間が最大となる角度であるから、乗車定員を維持した状態で荷室の容量を拡大することが可能となる。また、例えば、利用者が操作スイッチの操作を継続していたとしても、基準姿勢においてシートバックの姿勢の変更が一時停止されるので、乗車と荷室の拡大とを両立可能な姿勢への変更が容易である。即ち、本特徴構成によれば、荷室の空間を調整するためにシートを動かす操作スイッチの操作が調整の程度に拘わらず容易であり、利用者にとって高い利便性を有するシート状態変更装置が実現される。尚、基準姿勢は、格納状態と着座状態との境界に位置する姿勢であり、乗員の着座と荷室の拡大との両立が実現される姿勢である。従って、基準姿勢は、格納状態と着座状態との双方に含められてよい。
ここで、前記格納状態が、前記基準姿勢から前記シートバックが折り畳まれた完全格納状態までの格納可能範囲を含み、
前記着座状態が、少なくとも、前記基準姿勢よりも前記シートバックが所定の第1可動量だけ後傾した状態である標準着座位置から前記基準姿勢までの前方着座範囲と、前記標準着座位置から所定の第2可動量だけ後傾した着座可能最後傾位置から前記標準着座位置までの後方着座範囲とを含み、
前記作動指示信号が、前記シートバックの姿勢を前記着座状態から前記完全格納状態の方向へ変更させる格納指示信号と、前記シートバックの姿勢を前記格納状態から前記標準着座位置の方向へと変更させる復帰指示信号とを含むものであるとき、
本発明に係るシート状態変更装置の前記制御部は、前記シートバックが前記基準姿勢を含まない前記着座状態にある場合には、前記格納指示信号が有効であっても、前記基準姿勢において前記アクチュエータの駆動制御を中断し、前記シートバックが前記基準姿勢を含む前記格納状態にある場合には、前記格納指示信号に基づいて、前記シートバックが前記完全格納状態に達するまで前記アクチュエータを駆動制御すると好適である。
この構成によれば、シートバックの姿勢が着座状態から基準姿勢に達していない状態で、着座状態から格納状態へ姿勢を変更する際には、基準姿勢においてシートバックの姿勢の変更が中断される。一方、シートバックの姿勢が基準姿勢に達している状態で完全格納状態の方向へと姿勢を変更する際には、格納指示信号が有効状態であれば中断されることなくアクチュエータが駆動制御され、シートバックの姿勢が変更される。このように本構成によれば、格納状態へと姿勢が変更される際に、基準姿勢を経由する場合にのみ、アクチュエータの駆動制御が中断される。従って、荷室の空間を調整するためにシートを動かす操作スイッチの操作が調整の程度に拘わらず容易であると共に、必要以上に煩わしさを与えるような中断も抑制され、利用者にとって高い利便性を有することとなる。
また、前記格納状態が、前記基準姿勢から前記シートバックが折り畳まれた完全格納状態までの格納可能範囲を含み、
前記着座状態が、少なくとも、前記基準姿勢よりも前記シートバックが所定の第1可動量だけ後傾した状態である標準着座位置から前記基準姿勢までの前方着座範囲と、前記標準着座位置から所定の第2可動量だけ後傾した着座可能最後傾位置から前記標準着座位置までの後方着座範囲とを含み、
前記作動指示信号が、前記シートバックの姿勢を前記着座状態から前記完全格納状態の方向へ変更させる格納指示信号と、前記シートバックの姿勢を前記格納状態から前記標準着座位置の方向へと変更させる復帰指示信号とを含むものであるとき、
本発明に係るシート状態変更装置の前記制御部は、前記シートバックが前記基準姿勢を含まない前記格納可能範囲にある場合には、前記復帰指示信号が有効であっても、前記基準姿勢において前記アクチュエータの駆動制御を中断し、前記シートバックが前記基準姿勢を含む前記前方可動範囲にある場合には、前記復帰指示信号に基づいて、前記シートバックが前記標準着座位置に達するまで前記アクチュエータを駆動制御すると好適である。
格納状態への姿勢の変更時と同様に、着座状態へ姿勢を変更する際には、基準姿勢においてシートバックの姿勢の変更が中断される。一方、シートバックの姿勢が基準姿勢に達している状態で標準着座位置の方向へと姿勢を変更する際には、復帰指示信号が有効状態であれば中断されることなくアクチュエータが駆動制御され、シートバックの姿勢が変更される。このように本構成によれば、着座状態へと姿勢が変更される際に、基準姿勢を経由する場合にのみ、アクチュエータの駆動制御が中断される。従って、操作スイッチの操作がシートの調整の程度に拘わらず容易であると共に、必要以上に煩わしさを与えるような中断も抑制され、利用者にとって高い利便性を有するシート状態変更装置が提供される。
また、本発明に係るシート状態変更装置の前記基準姿勢は、前記乗員の臀部に対面して前記乗員を支持可能なシートクッションに対して前記シートバックが垂直となる姿勢であると好適である。尚、垂直とは厳密である必要はなく、5°〜10°程度の誤差は許容される。
シートバックが後傾していると、シートバックの背面と荷室の床面との間の空間が無駄な空間となり、実質的に荷室の容量が小さくなる。シートバックを完全に折り畳んでしまわなくても、シートバックをほぼ垂直とすれば、シートバックの背面と荷室の床面との間の空間を、有効な荷室の空間として活用することが可能となる。また、シートバックとシートクッションとの成す角度が鋭角となると、乗員は腰を曲げて座らなくてはならず、実質的に着座できなくなる。しかし、シートバックとシートクッションとがほぼ直角であれば、乗員は無理なく着座可能である。従って、基準姿勢が、シートクッションに対してシートバックが垂直となる姿勢であると、荷室の拡大と乗員の着座とを良好に両立することができる。
また、本発明に係るシート状態変更装置の前記作動指示信号は、前記利用者が前記操作スイッチの操作を継続する間、有効状態となり、前記操作スイッチの操作を中断すると無効状態である初期状態に戻るモーメンタリ動作のスイッチ信号であり、
前記制御部は、前記シートバックの姿勢が変更される途上において、前記基準姿勢を経由する際には、前記基準姿勢において前記シートバックの姿勢の変更を中断し、当該中断後に前記作動指示信号が初期状態に戻り、再び有効状態となった際に、前記基準姿勢から前記アクチュエータの駆動制御を再開すると好適である。
作動指示信号がモーメンタリ動作のスイッチ信号である場合、利用者がシートバックを基準姿勢に変更したい場合に、操作をいつまで継続すれば良いのか判りにくい。しかし、本構成によれば、シートバックが基準姿勢に達した後に操作スイッチの操作が継続されていても、シートバックの姿勢の変更が中断される。この中断により利用者は、シートバックが基準姿勢に達したことを容易に理解することができる。利用者がさらにシートバックの姿勢を変更させたい場合には、再度、操作スイッチを操作すれば足りる。従って、操作スイッチの操作が調整の程度に拘わらず容易であり、利用者にとって高い利便性を有するシート状態変更装置が提供される。
また、本発明に係るシート状態変更装置の前記作動指示信号は、前記利用者による前記操作スイッチへの1回目の操作により有効状態となって当該有効状態が保持され、2回目の操作又は前記制御部からの解除指示により当該保持が解除されて無効状態である初期状態に戻るオルタネート動作のスイッチ信号であり、
前記制御部は、前記シートバックの姿勢が変更される途上において、前記基準姿勢を経由する際には、前記基準姿勢において前記シートバックの姿勢の変更を中断すると共に前記作動指示信号を初期状態に戻し、前記作動指示信号が再び有効状態となった際に、前記基準姿勢から前記アクチュエータの駆動制御を再開すると好適である。
作動指示信号がオルタネート動作のスイッチ信号である場合も、利用者がシートバックを基準姿勢に変更したい場合に、2回目の操作をいつ行えば良いのかが判りにくい。しかし、本構成によれば、シートバックが基準姿勢に達すると、2回目の操作を待つことなく、シートバックの姿勢の変更が中断される。モーメンタリ動作の場合と同様に、この中断により利用者は、シートバックが基準姿勢に達したことを容易に理解することができる。利用者がさらにシートバックの姿勢を変更させたい場合には、再度、操作スイッチを操作すれば足りる。従って、操作スイッチの操作が調整の程度に拘わらず容易であり、利用者にとって高い利便性を有するシート状態変更装置が提供される。
また、本発明に係るシート状態変更装置は、前記シートバックの姿勢を検知する位置検出手段を備え、前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記シートバックが基準姿勢になったことを判断すると好適である。位置検出手段を備えることにより、シートバックの姿勢が変更される途上においてアクチュエータの駆動制御が中断される基準姿勢が精度よく検出される。その結果、乗車と荷室の拡大とを両立可能な姿勢が精度よく実現され、利用者にとって高い利便性を有するシート状態変更装置が実現される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態において、車両用シート装置20(以下適宜「シート20」と称する。)は、ヘッドレスト21とシートバック22とシートクッション23とを有して構成される。ヘッドレスト21は、着座する乗員の頭部を支持可能な部位である。シートバック22は、乗員の背中に対面して前記乗員を支持可能な支持面22aを有する背もたれ部である。シートクッション23は、乗員の臀部に対面して乗員を支持可能な座部である。本実施形態において、シートバック22の支持面の反対側の面(背面22b)は荷室9に対面する。つまり、シート20は、シートバック22の背面22bが車両の荷室9の壁面の一部を形成する最後尾のシートである。シート20は、2列シートの車両であれば2列目のシート、3列シートの車両であれば3列目のシートに相当する。
シート20は、乗員が着座可能な着座状態と、荷室9を拡大するために格納される格納状態とに姿勢変更可能なシートである。シート20は、その後方が荷室9であるから格納状態となることによって、荷室9の空間を拡大し、積載容量を増加させることができる。シート20の格納状態には種々の形態がある。一般的な格納状態としては、図3に示すようにシートバック22の支持面22aがシートクッション23と対面するように折り畳まれた状態である。さらに、このように折り畳まれた状態で、特許文献1の図1〜図5に示されたように荷室の床に設けられた凹部に収納されてもよい。また、図4の(a)〜(d)に順を追って示すように、シートクッション23が荷室9の床9fの下に潜り込み、着座状態におけるシートクッション23の位置にシートバック22が傾倒される形態とすることも可能である。シートバック22は着座状態において起立した状態であるから、荷室9を拡大するためには傾倒され折り畳まれる必要がある。従って、格納の方法がどのような形態であれ、完全な格納状態においてシートバック22は水平状態に折り畳まれる。
本実施形態において、シート20は電動シートである。電動シートも種々の形態があり、ヘッドレスト21、シートバック22、シートクッション23、シート20全体のそれぞれをモータなどのアクチュエータにより動かすものが知られている。本実施形態では、シートバック22の姿勢を変更させるシート状態変更装置について詳述するので、その他の部位の駆動については図示及び詳細な説明を省略する。また、格納の形態については、図3に示すような単純にシートバック22が折り畳まれる形態を代表例として説明する。図1はそのような形態のシート20の一例である。
図5に示すように、本実施形態に係るシート状態変更装置10は、制御部1と、スイッチ回路2と、アクチュエータ4とを有して構成される。制御部1とスイッチ回路2とは、論理回路やマイクロコンピュータを中核とし、その他の電子回路を含めて構成されるECU(electronic control unit)7の機能部として実現される。このような機能部は、ハードウェアによる構成に限定されることなく、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)との協働によって構成されてもよい。また、スイッチ回路2には操作スイッチ3を含めてもよい。
シートバック22の姿勢を変更させるアクチュエータ4は、例えばモータである。アクチュエータ4は、動作機構5を駆動することによってシートバック22の姿勢を変更させる。尚、アクチュエータ4自体に直線運動を回転運動に変換する機構(例えば、ラックとピニオンなど)が設けられていたり、動作機構5に同様の機構が設けられていたりする場合もあり、アクチュエータ4はモータに限らずソレノイドであってもよい。アクチュエータ4には位置センサ6が備えられており、モータやソレノイドの物理的な変化量が検出される。例えば、アクチュエータ4がモータの場合にはホールICなどを利用した回転センサにより構成された位置センサ6が備えられ、モータの回転量が検出される。モータの回転量は後述する制御部1においてシートバック22の移動量(移動角度・姿勢変更量)に換算される。尚、この構成に限らず、シートバック22の位置や姿勢を検出するセンサが備えられる構成であってもよい。
スイッチ回路2は、利用者によって操作される操作スイッチ3の操作状態に基づいて、作動指示信号Sを生成する機能部である。作動指示信号Sは、シートバック22の姿勢を格納状態と着座状態との間で相互に変更させるスイッチ信号である。操作スイッチ3は、格納スイッチ31と復帰スイッチ32との2種備えられる。本実施形態においては、操作スイッチ3はシーソースイッチにより構成され、一方の側を接触させると格納スイッチ31となり、他方の側を接触させると復帰スイッチ32となる。シーソースイッチとすることにより、格納と復帰との両スイッチが同時に操作されることはない。図2においては、車幅方向に1:1に分割された左右のシート20の格納と復帰とをそれぞれ指示するために、2つの操作スイッチ3Lと3Rとが設けられる例を示している。左右何れのシートであっても、その動きは同様であるので、以下、何れか1つのシート20の姿勢を変更する例について説明する。
ここで、復帰とは、格納状態から着座状態への方向へ姿勢変更することを意味する。従って、復帰には、格納状態から後述する基準姿勢への姿勢変更や、基準姿勢から後述する標準着座位置への姿勢変更も含まれる。同様に、格納も、着座状態から基準姿勢への姿勢変更や、基準姿勢から後述する完全格納状態への姿勢変更が含まれる。尚、基準姿勢は、格納状態及び着座状態の何れにも含まれる場合がある姿勢であり、詳細については後述する。また、標準着座位置や完全格納状態についても詳細は後述する。
格納スイッチ31が操作されるとスイッチ回路2により、格納指示の作動指示信号S(格納指示信号S1)が生成される。つまり、格納指示が有効状態となるようにスイッチ信号が生成される。復帰スイッチ32が操作されるとスイッチ回路2により、復帰指示の作動指示信号S(復帰指示信号S2)が生成される。つまり、復帰指示が有効状態となるようにスイッチ信号が生成される。作動指示信号S(S1,S2)の詳細については後述する。尚、操作スイッチ3は、複数箇所に設置されていてもよい。例えば、格納スイッチ31及び復帰スイッチ32は、シート20に着座する乗員が操作可能なシートバック22のリクライニングスイッチと共にシート20の側方に設けられていてもよい。図5に破線で示す操作スイッチ3B(格納スイッチ31B及び復帰スイッチ32B)は、その一例である。図5では、リクライニングスイッチは省略している。格納スイッチ31と31Bとは、ワイヤードオアの関係を有し、何れか一方への操作により作動指示信号Sが生成される。復帰スイッチ32と32Bとの関係も同様である。
制御部1は、アクチュエータ4を駆動制御する機能部である。アクチュエータ4を駆動するためにドライバ回路や電源変換回路(例えば、インバータ回路など。)などが必要な場合には、制御部1にこれらの回路を含めてもよい。制御部1は、スイッチ回路2が生成した作動指示信号Sに基づいて、アクチュエータ4の駆動制御を実行する。詳細は後述するが、制御部1は、シートバック22の姿勢が変更される途上において、乗員が着座可能であって荷室9の空間が最大となる角度である基準姿勢を経由する際には、作動指示信号Sが有効状態であっても、基準姿勢においてアクチュエータ4の駆動制御を中断する。
ここで、図6を利用し、側面視のシートバック22の中心線を基準としてシートバック22の姿勢について定義する。図6において、符号Hは、水平基準を示す。この水平基準を0°として、図6に示すようにシートバック22が後傾していく方向の角度θをシートバック22の角度とする。本例では、水平基準Hは、シートクッション23にほぼ平行である。符号Nは、ニュートラル位置を示し、標準的な着座時におけるシートバック22の姿勢を示している。シートバック22がニュートラル位置Nにあるとき、シート20が「標準着座位置」にあるとする。ニュートラル位置Nから前方可動量(第1可動量)だけ前傾する範囲E21は着座可能な前方着座範囲であり、ニュートラル位置Nから後方可動量(第2可動量)だけ後傾する範囲E22は着座可能な後方着座範囲である。前方着座範囲E21と後方着座範囲E22とを合わせて着座可能範囲E2となる。シートバック22が着座可能範囲E2の範囲内にあるとき、シート20が「着座状態」にあるとする。
シートバック22には、後方着座範囲E22の最も後傾した位置Q(着座可能最後傾位置)からさらに後傾可能なものもある。本実施例では、位置Rまで後傾可能な場合を例示している。シート20の上の空間を広げたいとき、例えば、シート20の上に荷物を置きたい場合や、休憩等でシート20の上で横たわりたいときなど、走行時に乗員が着座しない条件下では、位置R(最後傾位置)までシートバック22を後傾させることができる。着座可能最後傾位置Qから最後傾位置Rまでの範囲は、最後方可動範囲E3である。最後方可動範囲E3は、着座状態に含まれてもよい。特に、シート20が着座状態から格納状態へと姿勢変更される際には、着座可能範囲E2に加えて最後方可動範囲E3も着座状態に含まれると好適である。尚、最後方のシートであるシート20では、車種によっては、車両のバックドアにヘッドレスト21が接触するなどで、後方着座範囲E22を超えて後傾することができない場合があり、最後方可動範囲E3が存在しないこともある。
前方着座範囲E21においてシートバック22が最も前傾した位置Pは、乗員が着座可能であってシートバック22が最も前傾した姿勢である。この時、乗員が着座可能なシート20の姿勢において、荷室9の空間は最大となる。従って、位置Pは、乗員が着座可能であって荷室9の空間が最大となるシートバック22の角度である基準姿勢に相当する。基準姿勢Pは、シートクッション23に対してシートバック22がほぼ垂直となる姿勢(垂直姿勢V)であると好適である。シートクッション23とシートバック22との成す角度が鋭角となると、乗員は腰を折り曲げた姿勢で着座しなければならなくなり、実質的に着座することができなくなる。しかし、シートクッション23とシートバック22との成す角度が概ね直角以上であれば、充分に着座可能である。尚、この場合の直角は、厳密である必要はなく、±5°〜10°程度の誤差は許容される。本実施形態では、シートクッション23は水平基準Hに対してほぼ平行しているため、基準姿勢Pは水平基準Hに対してほぼ垂直でもある。
符号Fは、シートバック22が最も前傾し、シートバック22の支持面22aがシートクッション23に接触して折り畳まれた位置(最前傾位置)である。基準姿勢Pから最前傾位置Fまでの範囲E1は、格納可能範囲である。シートクッション23は、ロック機構によってシート20の本体等に結合されているが、基準姿勢Pから前傾するとこのロック機構が解除される。格納可能範囲E1はこのロック機構が解除され、シート20が格納可能となる範囲を示している。シートバック22が格納可能範囲E1の範囲内にあるとき、シート20が「格納状態」にあるとする。また、シートバック22が最前傾位置Fにあるとき、シート20が「完全格納状態」にあるとする。
上述したように、シート20の格納と復帰とは、操作スイッチ3を操作することによって電動により行われる。操作スイッチ3は、シート20の側方や後方に設置される。ここでは、図2に示すように荷室9の上方(シート20の後方)に操作スイッチ3が設置される場合を例として説明する。この操作スイッチ3を操作する利用者は、シートバック22を背面22bから見ることとなるから、シートバック22の角度を把握することが困難である。スイッチ回路2が、特許文献1と同様に、スイッチ操作をやめて手を離すと初期状態に戻るモーメンタリ動作の作動指示信号Sを生成する場合、利用者は、着座可能最前傾位置P(基準姿勢P)までシートバック22を前傾させようとしても、どこで手を離せば良いか正確に把握することが困難である。また、スイッチ回路2が、1回目の操作時は動作状態が保持され、2回目の操作で解除されるオルタネート動作の場合でも、どこで2回目の操作を行えば良いかを正確に把握することは困難である。
また、シートバック22がシートクッション23に向かって前傾していく際には、上述したように、シートクッション23を固定するロック機構が解除される構造となっていることが多い。従って、利用者が目分量を誤り、後傾しているシートバック22を必要以上に動かしてしまった場合には、逆に前傾姿勢となり、ロック機構が外れてしまう可能性がある。この場合には、操作スイッチ3を操作して、シート20を再度、標準着座位置の方向へと駆動する必要が生じることになる。つまり、シート20を完全な格納状態として荷室の空間を最大に拡大するような場合の操作スイッチ3の操作は比較的容易であるが、完全にシートを格納することなく、荷室の空間を少し拡大する際には、操作スイッチ3の操作が煩雑である。
本実施形態のシート状態変更装置10では、このような事情に鑑みて、上述したように、制御部1が以下のような制御を実施する。即ち、制御部1は、シートバック22の姿勢が変更される途上において、乗員が着座可能であって荷室9の空間が最大となる角度である基準姿勢Pを経由する際には、作動指示信号Sが有効状態であっても、基準姿勢Pにおいてアクチュエータ4の駆動制御を中断する。以下、図7のフローチャートも利用して具体的な例を示す。
まず、シートバック22の位置が、最後方可動範囲E3の範囲内、及び基準姿勢Pを含まない着座可能範囲E2の範囲内に有り、格納スイッチ31が操作されたときについて説明する。スイッチ回路2は、格納スイッチ31の操作状態に基づいて、格納指示信号S1を生成する。有効な作動指示信号Sが存在する場合、制御部1によるアクチュエータ4の駆動制御が開始される。制御部1は、はじめに作動指示が格納指示であるか復帰指示であるかを判定する(#1)。
有効な格納指示信号S1が存在する場合、制御部1は、シートバック22の位置を判定する。シートバック22の位置は、これまでの作動時において位置センサ6により検出され、ECU7や制御部1に設けられた不図示の記憶部に記憶されている。格納指示によりアクチュエータ4を作動させる場合には、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度よりも大きいか否かを判定する(#13)。角度θが基準姿勢Pの角度よりも大きい場合には、シートバック22の位置が、最後方可動範囲E3の範囲内、及び基準姿勢Pを含まない着座可能範囲E2の範囲内に有るということになる。つまり、シートバック22が、基準姿勢Pを含まない着座状態であるということになる。シートバック22の現在位置を判定すると、制御部1は、格納指示信号S1に基づいてアクチュエータ4の駆動を開始する(#14)。
制御部1は、位置センサ6の検出結果に基づいて、姿勢変更されていくシートバック22の位置を逐次判定する。具体的には、制御部1は、シートバック22の位置が基準姿勢Pに達したか否かを判定する(#15)。この判定は、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度に一致することを条件として実施可能であるが、位置センサ6の検出誤差、制御部1の演算誤差なども考慮して、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度以下となったことを条件とすると好適である。シートバック22の位置が基準姿勢Pに達したと判定した制御部1は、アクチュエータ4の駆動制御を中断し、アクチュエータ4を停止させる(#9)。その結果、シートバック22の姿勢の変更も、基準姿勢Pにおいて停止(中断)される。ここで、制御部1は不図示の記憶部に、シートバック22が現在、基準姿勢Pにあることを一時記憶しておくと好適である。利用者が、乗員が着座可能であって荷室9の空間が最大となる角度にシートバック22を調整したかった場合には、これ以降、操作スイッチ3を操作する必要はない。
尚、処理#13〜#15、特に、処理#14と#15との繰り返し処理の途上において、作動指示信号Sが無効状態となった場合には、シートバック22の角度に拘わらずアクチュエータ4の駆動が停止される。例えば、スイッチ回路2がモーメンタリ動作のスイッチ信号を生成する回路であり、操作スイッチ3の操作が中断されたような場合に相当する。作動指示信号Sが無効状態となることによるこのような中断処理(停止処理)は、図7のフローチャート外の割り込み処理によって実行されても良いし、処理#15から#14へ戻る経路上で判定されてもよい。また、これは、図7における処理#16と#17との繰り返し処理、処理#24と#25との繰り返し処理、処理#26と#27との繰り返し処理においても同様である。
利用者がシート20を完全な格納状態として、荷室9を最大の積載容量を持つ状態としたい場合には、ここで再度、格納スイッチ31を操作する。以下、シートバック22の位置が基準姿勢Pを含む格納可能範囲E1の範囲内にあり、格納スイッチ31が操作されたときについて説明する。上記と同様に、スイッチ回路2は、格納スイッチ31の操作状態に基づいて格納指示信号S1を生成し、制御部1は、作動指示が格納指示であるか復帰指示であるかを判定する(#1)。位置センサ6の検出結果や制御部1の記憶部の記憶結果により、制御部1は、シートバック22が基準姿勢Pを経由しないで格納方向へ姿勢変更することを認識可能である。具体的には、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度以下であるか否かを判定する(#13)。シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度以下であれば、シートバック22の位置は基準姿勢Pを含む格納可能範囲E1の範囲内にあることになる。シートバック22の現在位置を確認すると、制御部1は、格納指示信号S1に従ってアクチュエータ4の駆動を開始する(#16)。
制御部1は、位置センサ6の検出結果に基づいて、姿勢変更されていくシートバック22の位置を逐次判定する。具体的には、制御部1は、シートバック22の位置が最前傾位置F(完全格納状態)に達したか否かを判定する(#17)。この判定は、シートバック22の角度θが最前傾位置Fの角度に一致することを条件として実施可能であるが、位置センサ6の検出誤差、制御部1の演算誤差なども考慮して、シートバック22の角度θが最前傾位置Fの角度以下となったことを条件とすると好適である。また、最前傾位置Fは機械的にこれ以上は前傾できない位置でもあるので、不図示のストッパ機構が作動したり、アクチュエータ4の負荷の増大が検出されたりすることによって判定されてもよい。シートバック22の位置が最前傾位置Fに達したと判定した制御部1は、アクチュエータ4の駆動制御を終了し、アクチュエータ4を停止させる(#9)。
続いて、シートバック22の位置が、基準姿勢Pを含まない格納可能範囲E1の範囲内に有り、復帰スイッチ32が操作されたときについて説明する。格納時と同様に、スイッチ回路2は、復帰スイッチ32の操作状態に基づいて、復帰指示信号S2を生成する。有効な作動指示信号Sが存在する場合、制御部1は、はじめに作動指示が格納指示であるか復帰指示であるかを判定する(#1)。
有効な復帰指示信号S2が存在する場合、制御部1は、シートバック22の現在位置を判定する。具体的には、復帰指示によりアクチュエータ4を作動させる場合には、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度よりも小さいか否かを判定する(#23)。角度θが基準姿勢Pの角度よりも小さい場合には、シートバック22の位置が、基準姿勢Pを含まない格納可能範囲E1の範囲内に有るということになる。シートバック22の現在位置を確認すると、制御部1は、復帰指示信号S2に基づいてアクチュエータ4の駆動を開始する(#24)。
制御部1は、位置センサ6の検出結果に基づいて、姿勢変更されていくシートバック22の位置を逐次判定する。具体的には、制御部1は、シートバック22の位置が基準姿勢Pに達したか否かを判定する(#25)。格納時の処理#15と同様に、この判定は、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度に一致することを条件として実施可能であるが、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度以上となったことを条件とすると好適である。シートバック22の位置が基準姿勢Pに達したと判定した制御部1は、アクチュエータ4の駆動制御を中断し、アクチュエータ4を停止させる(#9)。その結果、シートバック22の姿勢の変更も、基準姿勢Pにおいて停止(中断)される。格納時と同様に、ここで、制御部1は不図示の記憶部に、シートバック22が現在、基準姿勢Pにあることを一時記憶しておくと好適である。利用者が、乗員が着座可能であって荷室9の空間が最大となる角度にシートバック22を調整したかった場合には、これ以降、操作スイッチ3を操作する必要はない。
利用者がシート20を完全に復帰させ、快適に着座可能な角度へとシートバック22の姿勢を変更させたい場合には、ここで再度、復帰スイッチ32を操作する。以下、シートバック22の位置が基準姿勢Pを含む前方着座範囲E21の範囲内にあり、復帰スイッチ32が操作されたときについて説明する。上記と同様に、スイッチ回路2は、復帰スイッチ32の操作状態に基づいて復帰指示信号S2を生成し、制御部1は、作動指示が格納指示であるか復帰指示であるかを判定する(#1)。位置センサ6の検出結果や制御部1の記憶部の記憶結果により、制御部1は、シートバック22が基準姿勢Pを経由しないで復帰方向に姿勢変更することを認識可能である。具体的には、シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度以上であるか否かが判定される(#23)。シートバック22の角度θが基準姿勢Pの角度以上であれば、シートバック22の位置は基準姿勢Pを含む前方着座範囲E21の範囲内にあることになる。シートバック22の現在位置を確認すると、制御部1は、復帰指示信号S2に従ってアクチュエータ4の駆動を開始する(#26)。
制御部1は、位置センサ6の検出結果に基づいて、姿勢変更されていくシートバック22の位置を逐次判定する。具体的には、制御部1は、シートバック22の位置がニュートラル位置Nに達したか否かを判定する(#27)。この判定は、シートバック22の角度θがニュートラル位置Nの角度に一致することを条件として実施可能であるが、位置センサ6の検出誤差、制御部1の演算誤差なども考慮して、シートバック22の角度θがニュートラル位置Nの角度以上となったことを条件とすると好適である。シートバック22の位置がニュートラル位置Nに達したと判定した制御部1は、アクチュエータ4の駆動制御を終了し、アクチュエータ4を停止させる(#9)。
尚、シートバック22がニュートラル位置Nよりも後傾した位置にあり、復帰スイッチ32が操作された場合には、アクチュエータ4を作動させなくてもよい。つまり、格納方向へとアクチュエータ4を駆動してニュートラル位置Nへ戻さなくてもよい。但し、ニュートラル位置4へ戻すことを妨げるものではない。図7に示したフローチャートでは、このようなケースについては省略しており、詳細な説明についても省略する。当業者であれば、シートバック22がニュートラル位置Nよりも後傾した位置にあるときに、アクチュエータ4を駆動してニュートラル位置Nへ復帰する制御、アクチュエータ4を駆動せず何もしない制御の何れも容易に実現可能であろう。
尚、スイッチ信号Sには、モーメンタリ動作の信号と、オルタネート動作の信号とがあるが、上述した実施形態では、主としてモーメンタリ動作の信号であることを前提として記述した。しかし、本発明におけるスイッチ信号Sは、モーメンタリ動作の信号であってもオルタネート動作の信号であってもよい。以下にスイッチ回路2の波形例を示しながら補足する。尚、上述したように、操作スイッチ3は、本発明のスイッチ回路2に含まれると考えてもよい。
図8は、作動指示信号Sの一例を模式的に示すタイミングチャートであり、図8(a)はモーメンタリ動作の作動指示信号Sを示し、図8(b)はオルタネート動作の作動指示信号Sを示す。尚、格納方向への作動指示の場合であっても、復帰方向の作動指示の場合であっても同様である。従って、図8においては、格納方向への作動指示に関するシートバック位置を例示し、括弧内に復帰方向へのシートバック位置を示している。
図8(a)に示す例では、作動指示信号Sは、利用者が操作スイッチ3の操作を継続する間、有効状態となり、操作スイッチ3の操作を中断すると無効状態である初期状態に戻るモーメンタリ動作のスイッチ信号である。つまり、操作スイッチ3が操作されてオン状態となっているときに、スイッチ回路2により有効状態の作動指示信号Sが生成される。制御部1は、有効状態の作動指示信号Sに基づいてアクチュエータ4を駆動制御する。制御部1は、シートバック22の姿勢が変更される途上において、基準姿勢Pを経由する際には、基準姿勢Pにおいてシートバック22の姿勢の変更を中断する。そして、制御部1は、当該中断後に作動指示信号Sが初期状態に戻り、再び有効状態となった際に、基準姿勢Pからアクチュエータ4の駆動制御を再開する。
具体的には、シートバック22がニュートラル位置Nから基準姿勢Pに達すると、上述したようにアクチュエータ4の駆動制御が停止(中断)される。この時、操作スイッチ3が操作され続けていれば、スイッチ回路2は有効状態の作動指示信号Sの出力を継続する。作動指示信号Sを受け取る制御部1は、シートバック22が基準姿勢Pに達した後の作動指示信号Sを無視すればよい。又は、制御部1は、シートバック22が基準姿勢Pに達したことを示す解除信号C(解除指示)をスイッチ回路2に対して出力し、これを解除指示として強制的に作動指示信号Sを終了させてもよい。
シートバック22が基準姿勢Pに達した後に、制御部1によって作動指示信号Sが無効である状態が確認され、さらにその後に有効な作動指示信号Sが確認されると、制御部1は、有効状態の作動指示信号Sに基づいてアクチュエータ4の駆動制御を再開する。シートバック22が最前傾位置Fに達すると、上述したようにアクチュエータ4の駆動制御が停止される。この時、操作スイッチ3が操作され続けていれば、スイッチ回路2は有効状態の作動指示信号Sの出力を継続する。上記と同様に、制御部1は、シートバック22が最前傾位置F(完全格納状態)に達した後の作動指示信号Sを無視すればよい。又は、制御部1は、シートバック22が最前傾位置Fに達したことを示す解除信号Cをスイッチ回路2に対して出力し、これを解除指示として強制的に作動指示信号Sを終了させてもよい。
図8(b)に示す例では、作動指示信号Sは、利用者による操作スイッチ3への1回目の操作により有効状態となって有効状態が保持され、2回目の操作又は制御部からの解除指示(例えば、解除信号C)により当該保持が解除されて無効状態である初期状態に戻るオルタネート動作のスイッチ信号である。つまり、操作スイッチ3が操作されオン状態となると、スイッチ回路2により有効状態が継続する作動指示信号Sが生成される。作動指示信号Sを有効状態とした操作を1回目の操作とし、当該有効状態が継続する間において2回目の操作がなされない限り、当該有効状態は継続される。
制御部1は、有効状態の作動指示信号Sに基づいてアクチュエータ4を駆動制御する。制御部1は、シートバック22の姿勢が変更される途上において、基準姿勢Pを経由する際には、基準姿勢Pにおいてシートバック22の姿勢の変更を中断すると共に作動指示信号Sを初期状態に戻す。例えば、制御部1は、シートバック22が基準姿勢Pに達したことを示す解除信号Cをスイッチ回路2に対して出力し、これを解除指示として強制的に作動指示信号Sを終了させる。そして、作動指示信号Sが再び有効状態となった際に、基準姿勢Pからアクチュエータ4の駆動制御を再開する。このように、操作スイッチ3やスイッチ回路2の動作モードに拘わらず、本発明を適用することが可能である。
以上説明したように、本発明によれば、荷室の空間を調整するためにシートを動かす操作スイッチの操作が調整の程度に拘わらず容易であり、利用者にとって高い利便性を有するシート状態変更装置を提供することが可能となる。