JP5290969B2 - 過酸化水素の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、液液抽出工程を含む、過酸化水素の製造法に関する。
過酸化水素の最も一般的な製造法は、有機溶媒の混合物からなる作業溶液(working solution)中での、1以上のアントラキノンまたはテトラヒドロアントラキノン、通常は、アルキルアントラキノンまたはアルキルテトラヒドロアントラキノン、の交互の水素化および酸化を含む、アントラキノン自動酸化法である。形成された過酸化水素は通常、水による抽出によって回収されて水性溶液を形成する。上記方法は、文献、例えばカーク・オスマー「エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー」(Kirk-Othmer, “Encyclpedia of Chemical Technology”)、Vol.13、「過酸化水素(Hydrogen Peroxide)」、オンラインポスティング日:2001年8月17日、に詳細に記載されている。
アントラキノン自動酸化法は非常に有効であるが、過酸化水素とともに抽出されるべき作業溶液からの不純物を回避することは困難である。さらに、過酸化水素の水性溶液を例えば蒸発によって濃縮することは、エネルギーを消費しかつ低い揮発性を有する不純物を蓄積し、また、蒸留による精製はさらにより多くのエネルギーを必要とする。
米国特許第3761580号は、作業溶液から過酸化水素をストリッピングし、過酸化水素と有機溶媒との混合物を含む得られた蒸気を凝縮し、そして凝縮された蒸気を抽出して水性過酸化水素溶液を得ることによる、非常に純粋な水性過酸化水素溶液の製造を開示している。
米国特許第4824609号は、二酸化炭素による抽出による作業溶液の精製を開示しており、一方、米国特許第4668436号は、非環式炭化水素による抽出による精製を開示している。
種々のイオン液体による抽出による炭化水素流体の精製が、例えば国際公開WO01/40150およびS. Zhangら、「イオン液体を使用する、燃料の抽出脱硫および脱窒素(Extractive Desulfurization and Denitrogenation of Fuels Using Ionic Liquids)」、Ind. Eng. Chem. Res. 2004, 43, op.614-622に開示されている。
M. Seilerら、「高分岐ポリマー:抽出蒸留および溶媒抽出のための新規な選択的溶媒(Hyperbranched polymers: new selective solvents for extractived istillation and solvent extraction)」、Separation andPurification Technology 30(2003)179-197は、抽出蒸留および溶媒抽出のための高分岐ポリマーの使用を開示している。
本発明によれば、高純度の過酸化水素が、水を実質的に含まないかほんの少量の水を含む溶媒により過酸化水素を抽出することを含む方法において製造され得ることを見出した。
すなわち、本発明の1局面は、液液抽出工程を含む過酸化水素の製造法に関し、上記抽出工程は、過酸化水素を含む有機供給溶液を約30重量%未満の水を含む抽出溶媒と接触させて過酸化水素の上記抽出溶媒への抽出を達成することおよび過酸化水素を含む抽出物を得ることを含む。
本願は、例えば、以下の発明を提供するものである:
[1] 液液抽出工程を含む過酸化水素の製造法において、前記抽出工程が、過酸化水素を含む有機供給溶液を約30重量%未満の水を含む抽出溶媒と接触させて過酸化水素の前記抽出溶媒への抽出を達成すること、および過酸化水素を含む抽出物を得ることを含む方法。
[2] 抽出溶媒の密度が約950〜約1800kg/mである、[1]記載の方法。
[3] 抽出溶媒の非水性部分のための25℃および大気圧でのlogKowが0未満である、[1]または[2]記載の方法。
[4] 抽出溶媒の非水性部分の50℃での蒸気圧が約10kPa未満である、[1]〜[3]のいずれか1項記載の方法。
[5] 抽出溶媒が、有機カチオンおよび/または有機アニオンの少なくとも1を含む少なくとも部分的に有機の塩を含む、[1]〜[4]のいずれか1項記載の方法。
[6] 抽出溶媒中の少なくとも部分的に有機の塩の含量が約50重量%〜100重量%である、[5]記載の方法。
[7] 少なくとも部分的に有機の塩が、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、N−アルキルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、ピロリジニウム、グアニジニウム、アルキルグアニジニウム、イソウロニウム、テトラメチルイソチオウロニウム、PR +、SR 、NR +、およびそれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含み、Rが互いに独立して、所望により置換されたアルキル、アルケニルもしくはアリール、または水素であるところの[5]または[6]記載の方法。
[8] 少なくとも部分的に有機の塩が、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、フルオロスルホネート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、クロロアルミネート、ブロモアルミネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリシアノメチド、ジシアナミド、ノナフルオロブタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ナイトレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、ホスフェート、RPO 2−、RPO 、RPO 、パークロレート、アセテート、アルキルスルホネート、ビス(2−エチルヘキシル)ナトリウムスルホスクシネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルスルフェート、アルキルオリゴエーテルスルフェート、ピバレート、テトラアルキルボレート、プロピオネート、スクシネート、サッカリネート、グリコレート、ステアレート、ラクテート、マレート、タートレート、シトレート、アスコルベート、グルタメート、ベンゾエート、サリシレート、メタンスルホネート、トルエンスルホネートおよびそれらの混合物から成る群から選択されるアニオンを含み、Rが互いに独立して、所望により置換されたアルキル、アルケニルもしくはアリール、または水素であるところの[5]〜[7]のいずれか1項記載の方法。
[9] 少なくとも部分的に有機の塩が、硫酸水素1−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラメチルイソチオウロニウムトリフルオロメタンスルホネート、コリンサッカリネート、およびそれらの混合物から成る群から選択される、[7]〜[8]のいずれか1項記載の方法。
[10] 抽出溶媒がデンドリマー構造物を含む、[1]〜[9]のいずれか1項記載の方法。
[11] 抽出物から過酸化水素を回収する工程をさらに含む、[1]〜[10]のいずれか1項記載の方法。
[12] 過酸化水素が蒸発により抽出物から回収される、[11]記載の方法。
[13] キノンを作業溶液中で水素化する工程、水素化されたキノンを前記作業溶液中で酸化して過酸化水素を得る工程、および前記作業溶液から過酸化水素を抽出しそして所望により回収する工程を含み、前記抽出および所望による回収が[1]〜[12]のいずれか1項記載の方法に従って行われ、前記作業溶液が、過酸化水素を含む前記有機供給溶液を構成するところの、過酸化水素を製造する方法。
上記抽出工程における温度および圧力は、有機供給溶液および抽出溶媒が液体であるように設定される。通常、温度は好ましくは約0〜約120℃、最も好ましくは約30〜約80℃である。ほとんどの場合、圧力は好ましくは約10〜約1000kPa、最も好ましくは約100〜約400kPaである。
抽出溶媒は好ましくは、有機供給溶液とのできる限り低い混和性を有する。混和性は、2相の1−オクタノール/水系の1−オクタノール相における化学物質のモル濃度と水性相におけるその濃度との比として定義されるオクタノール/水分配係数Kowによって特徴付けられる。抽出溶媒の非水性部分のための25℃および大気圧下でのlogKowは、好ましくは0未満、より好ましくは−0.5未満、最も好ましくは−1未満、さらには1.5未満である。
抽出での相分離を容易にするために、好ましくは、有機供給溶液と抽出溶媒との間で、密度に有意な相違がある。有機供給溶液は通常、比較的低い密度、例えば25℃および大気圧下で約850〜約1200kg/m、または約920〜約1050kg/mの密度を有する。抽出溶媒の密度は好ましくは、より高く、上限のみが、利用可能な溶媒によって設定される。25℃および大気圧下での適する密度は、例えば、少なくとも約950kg/mであり、例えば950〜約1800kg/mであり、または約1050〜約1300kg/mであり得る。
過酸化水素の回収を容易にするために、抽出溶媒の非水性部分が好ましくは低い揮発性を有する。すなわち、50℃での蒸気圧が好ましくは約10kPa未満であり、最も好ましくは約1kPa未満である。
抽出溶媒は好ましくは、約20重量%未満の水、最も好ましくは約10重量%未満の水を含み、約5重量%未満すらの水を含み得、または水を実質的に含まない。
1実施態様において、抽出溶媒は好ましくは、有機カチオンおよび/または有機アニオンの少なくとも1種を含む少なくとも部分的に有機の塩を含む。この実施態様において、抽出溶媒中の少なくとも部分的に有機の塩の含量は、好ましくは約20〜100重量%、最も好ましくは約50〜100重量%または約80〜100重量%である。
別の実施態様では、抽出溶媒が好ましくは高溶解性の無機塩を含む。上記無機塩の例は、CsSO4、KNOおよびCsBFを包含する。この実施態様において、抽出溶媒中の無機塩の含量は、好ましくは約50〜100重量%、最も好ましくは約70〜95重量%、または約80〜95重量%である。
さらに別の実施態様では、抽出溶媒が好ましくは、デンドリマー構造物を含む。上記構造物は、規則的または不規則的な構造を有し、そして、明確な分岐が中心コアから放射状に広がり、分岐が周辺に及ぶとより多く分岐されるところのデンドリマー、または中心コアから発しないところの高分岐ポリマーである。構造ブロック、特に末端基は、好ましくはデンドリマー構造物が水にまたは有機供給溶媒との限られた混和性を有する別の中性のまたは帯電された共溶媒に可溶になるように選択される。構造ブロックの例は、ポリグリセロール、ポリエステルアミド、エステル化されたポリエステル、ポリアミドアミン、ポリ(アルキルアリールエーテル)、および親水性末端基−OHまたは3級アミンを包含する。他の例は、イオン構造物、例えば、適する対イオン、例えばアセテート、スルフェート、メチルスルフェート、を含むホスホルアミドチオエート骨格を包含する。この実施態様において、抽出溶媒中のデンドリマー構造物の含量は好ましくは、約50〜100重量%、最も好ましくは約80〜約95重量%である。
抽出溶媒はまた、部分的に有機の塩、全体的に無機の塩およびデンドリマー構造物の1以上の混合物を含み得る。
抽出溶媒は、抽出溶媒中の濃度と有機供給溶液中の濃度との比として定義される高い分配係数を有する1以上の中性共溶媒をさらに含み得る。分配係数は、好ましくは約5より高く、より好ましくは約10より高く、最も好ましくは約20より高くあるべきである。そのような中性共溶媒の例は、水および低級アルコール、例えばメタノール、エタノールおよびジアルコール、例えばエチレングリコール、を包含し、その中で水が好ましい。含められる場合、中性共溶媒の含量は、適切には0〜約30重量%、好ましくは0〜約20重量%、最も好ましくは約3〜約10重量%である。
抽出溶媒中の少なくとも部分的に有機の塩は、イオン液体と呼ばれる塩、実質的にイオンから成りかつ室温でごくわずかの蒸気圧を有する種々の組の液体、の群から選択され得る。イオン液体は単純でありかつ単一種のアニオンおよび単一種のカチオンを含み得、あるいは、複雑でありかつ種々のアニオンおよび/または種々のカチオンの混合物を含み得る。いくつかのイオン液体は、室温に近いまたは室温より下の低い融点を有し、室温イオン液体としばしば呼ばれる。そのようなイオン液体は通常、広い温度範囲にわたって液体のままである。
抽出溶媒中の少なくとも部分的に有機の塩は、単独ではイオン液体として分類されないが水などの中性共溶媒と共に存在するときに適する特性を有する塩からも選択され得る。
適する物理的特性を有する抽出溶媒は、1つの少なくとも部分的に有機の塩、または2以上の少なくとも部分的に有機の塩の混合物を、所望により中性共溶媒との組み合わせで、含み得る。また、単独では適する特性を有する塩を形成しないところのアニオンおよびカチオンをも含み得る。
抽出溶媒中の少なくとも部分的に有機の塩は、少なくとも1種のイオンが有機であるところのカチオンおよびアニオンの種々の組合せから形成され得る。イオンは、必ずしもそうでなくてよいが、好ましくは1価である。カチオンの例は、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム、例えば1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム[BMIM]または1−エチル−3−メチルイミダゾリウム[EMIM]、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、N−アルキルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム[BPY]、ピロリジニウム、グアニジニウム、アルキルグアニジニウム、イソウロニウム、テトラメチルイソチオウロニウム、PR +、SR 、NR +、例えばテトラメチルアンモニウム、クロリニウムまたはココモニウム、およびそれらの混合物を包含し、Rは互いに独立して、所望により置換されたアルキル、アルケニルもしくはアリール、または水素である。他の例は、置換されたキノンを包含する。上記キノンは、ここでは[Q−NR ]および[Q−PR ]で示され、Qはキノン、例えばアントラキノン、ナフトキノンまたはベンゾキノンを表し、Rは上記した通りである。アニオンの例は、ヘキサフルオロホスフェート[HFP]、テトラフルオロボレート[TFB]、フルオロスルホネート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、クロロアルミネート、ブロモアルミネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリシアノメチド、ジシアナミド、ノナフルオロブタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ナイトレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、ホスフェート、RPO 2−、RPO 、RPO (例えばジアルキルホスフィネート)、パークロレート、アセテート、アルキルスルホネート、ビス(2−エチルヘキシル)ナトリウムスルホスクシネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルスルフェート、アルキルオリゴエーテルスルフェート、ピバレート、テトラアルキルボレート、プロピオネート、スクシネート、サッカリネート、グリコレート、ステアレート、ラクテート、マレート、タートレート、シトレート、アスコルベート、グルタメート、ベンゾエート、サリシレート、メタンスルホネート、トルエンスルホネートおよびそれらの混合物を包含し、Rは好ましくは上記した通りである。他の例は、置換されたキノンを包含する。上記キノンは、ここでは[Q−(O)−SO ]および[Q−(O)−PO]で示され、Qはキノン、例えばアントラキノン、ナフトキノンまたはベンゾキノン、を表し、(O)は任意的な酸素を示し(例えばスルフェート/スルホネートおよびホスフェート/ホスホネート)、Rは上記した通りである。
少なくとも部分的に有機の塩はまた、有機アニオン、例えばホルメート、アセテート、プロピオネート、サリシレート、と組み合わせられた無機カチオン、例えばアルカリ金属、例えばNa、K、Rb、Cs、から形成され得る。特定の組合せは、酢酸セシウム、ギ酸セシウムおよびサリシル酸セシウムである。
任意のカチオンまたはアニオンが1以上の所望により置換されたアルキル、アルケニルまたはアリール基を含む場合には、これらの基が、互いに独立して、1〜12の炭素原子、最も好ましくは1〜8の炭素原子を有するのが好ましい。1より多くのそのような基が存在するならば、それらは好ましくは、混合された鎖長を有する。アルキル、アルケニルおよびアリール基はまた、例えば1以上のヒドロキシル基で置換され得る。
本発明に有用な塩の例は、下記アニオン:[スルフェート]、[ハイドロジェンスルフェート]、[ホスフェート]、[アルキルスルフェート]、例えば[メチルスルフェート]または[エチルスルフェート]、[アルキルスルホネート]、例えば[メタンスルホネート]または[トリフルオロメタンスルホネート]、[ジアルキルホスフェート]、例えば[ジエチルホスフェート]、[アルキルホスホネート]、[サッカリネート]、[アセスルファメート]、[テトラフルオロボレート]、[トシレート]、[アセテート]、[トリフルオロアセテート]、[チオシアネート]、[ジシアナミド]、[Q−(O)−SO ]および[Q−(O)−PO](Q、(O)およびRは上記で定義した通りである)のいずれかと組み合わせられた下記カチオン:[1,3−ジアルキルイミダゾリウム]、例えば[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム]、[1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム]、[1,3−ジエチルイミダゾリウム]または[1,3−ジメチルイミダゾリウム]、[1−モノアルキルイミダゾリウム]、例えば[1−メチルイミダゾリウム]、[1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム]、例えば[1,2,3−メチルイミダゾリウム]または[1−ブチル−2−エチル−3−メチルイミダゾリウム]、[トリアルキルアンモニウム]、[テトラアルキルアンモニウム]、例えば[コリニウム]または[トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム]、[トリアルキルホスホニウム]、[テトラアルキルホスホニウム]、例えば[トリイソブチルメチルホスホニウム]、[テトラアルキルイソチオウロニウム]、例えば[テトラメチルイソチオウロニウム]、[アルキルピリジニウム]、例えば[N−ブチルピリジニウム]、[ジアルキルピリジニウム]、例えば[N−ブチル−3−メチルピリジニウム]、[ジアルキルピロリジニウム]、例えば[1−ブチル−1−メチルピロリジニウム]、[ペンタアルキルグアニジニウム]、例えば[N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウム]、[ペンタアルキルイソウロニウム]、例えば[O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム]または[O−メチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム]、[テトラアルキルイソウロニウム]、例えば[テトラメチルイソウロニウム]、[Q−NR ]および[Q−PR ]、の任意の組合せを包含する。
特定の組合せの基は、[1,3−ジアルキルイミダゾリウム][アルキルスルホネート]、例えば[1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム][トリフルオロメタンスルホネート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][メタンスルホネート]のいずれか1、[1,3−ジアルキルイミダゾリウム][アルキルスルフェート]、例えば[1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム][メチルスルフェート]または[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][メチルスルフェート]、[1,3−ジアルキルイミダゾリウム][テトラフルオロボレート]、例えば[1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム][テトラフルオロボレート]または[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][テトラフルオロボレート]、[テトラアルキルアンモニウム][アルキルスルホネート]、例えば[メチルトリエチルアンモニウム]、N,N,N−(メチルジエチル)][メチルスルホネート]のいずれか1、を包含する。
他の特定の組合せは、[1−メチルイミダゾリウム][ハイドロジェンスルフェート];[コリン][サッカリネート];[2,4,4−トリメチルペンチルホスフィネート][テトラブチルアンモニウム][メタンスルホネート][1−エチル−3−メチルイミダゾリウム]、[トリペンチルスルホニウム][ジペンチルベンジルアンモニウム]、[N−プロピルピリジニウム][サッカリネート]、[トリス−(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム][メチルスルフェート]、[コリニウム][サリシレート]、[メチルイミダゾリウム][ハイドロジェンスルフェート]、[1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム][チオシアネート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][チオシアネート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][エチルスルフェート]、[1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム−2−(2−メトキシ)][エチルスルフェート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−2−(2−メトキシ)][エチルスルフェート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][エチルスルフェート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][ジエチルホスフェート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][ジシアナミド]、[1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム][ジシアナミド]、[N−ブチルピリジニウム][テトラフルオロボレート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][テトラフルオロボレート]、[コリニウム][サッカリネート]、[コリニウム][アセスルファメート]、[トリイソブチルメチルホスホニウム][トシレート]、[O−メチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム][トリフルオロメタンスルホネート]、[O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム][トリフルオロメタンスルホネート]、[N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウム][トリフルオロメタンスルホネート]、[1−ブチル−1−メチルピロリジニウム][トリフルオロメタンスルホネート]、[N−ブチル−3−メチルピリジニウム][メチルスルフェート]、[N−ブチルピリジニウム][テトラフルオロボレート]、[1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム][テトラフルオロボレート]、[メチルイミダゾリウム][ハイドロジェンスルフェート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][トシレート]、[1−エチル−3−メチルイミダゾリウム][チオシアネート][1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム][ジシアナミド]のいずれか1を包含する。
有効であることが見出されたいくつかの塩は、硫酸水素1−メチルイミダゾリウム、テトラメチルイソチオウロニウムトリフルオロメタンスルホネート、コリンサッカリネート、およびそれらの混合物を包含する。
上記に挙げたものに加えて、そのような特性を有する商業的に入手可能なまたは公知のイオン液体または塩の他の種類も中性の共溶媒と組み合わせて使用され得る。
抽出溶媒はまた、更なる成分、例えば過酸化水素安定剤、乳化剤、腐食抑制剤、消泡剤、緩衝剤、粘度低下剤など、を含み得る。過酸化水素安定剤の例は、通常使用されているもの、例えばリン酸、リン酸に基づく錯形成剤、保護コロイド、例えばアルカリ金属スズ酸塩、およびラジカルスカベンジャー、例えばピリジンカルボン酸、を包含する。リン酸に基づく錯形成剤の例は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、1−アミノアルカン−1,1−ジホスホン酸(例えば、モルホリノメタンジホスホン酸、N,N−ジメチルアミノジメチルジホスホン酸、アミノメチルジホスホン酸)、それらの反応生成物および塩、好ましくはナトリウム塩、を包含する。最適な安定性のために、pHは好ましくは約−1〜約10、より好ましくは約−1〜約7、最も好ましくは約0〜約5である。
有機供給溶液からの過酸化水素の液液抽出は、従来公知の適する任意の装置を使用して任意の方法によって行われ得る。例は、種々の型の抽出カラム、ミキサー−セトラー(settler)、遠心または特定の抽出器を包含する。カラムは、例えば、ランダムにまたは構造的にパックされたカラム、バッフルプレートカラム、ふるいプレートまたはトレイカラム、パルスパックされたまたは孔をあけられたプレートカラム、カール(Karr)(往復プレート)抽出カラム、RDC(回転ディスクコンタクター)カラム、Oldshue Rushtonカラム、Scheiberlカラム、KuhniカラムおよびGreasser(レイニングバケツ)(raining bucket)カラムを包含する。他の種の抽出装置は、組み合わせられたミキサーセトラー、ポンプミキサーセトラー、Lurgiミキサーセトラー、Podbielniak遠心抽出器、Alfa Laval遠心抽出器、Westfalia抽出器、ヒドロサイクロン、Eries Rotabel抽出器、非分散性抽出器、中空ファイバー抽出器および含浸されたMPP(マクロポーラスポリマー)粒子を有する抽出器を包含する。
過酸化水素を含む抽出物はそのままで使用され得る。そのような使用の例は、プロペン酸化物の製造のためのプロペンなどのアルケンのエポキシ化、過酢酸などの過酸の製造および過炭酸ナトリウムなどのパーオキシ塩の製造を包含する。
しかし、上記方法はまた、抽出物から過酸化水素を回収して、例えば過酸化水素の水性または非水性の溶液、過酸化水素の実質的に乾燥した気体および所望により1以上の不活性ガス、または過酸化水素が吸着されているところの固体粒子、を得る工程を含み得る。上記回収は、種々の標準ユニット操作、例えば蒸発、抽出、吸着または膜に基づく技術、によって行われ得る。過酸化水素の回収の後、残りの抽出溶媒が液液抽出工程に再循環され得、所望により、有機供給溶液から生じる不純物、例えば自動酸化法の作業溶液中に形成された分解生成物または金属イオン、の蓄積を回避するための中間精製を伴う。精製処理の例は、アニオンおよび/またはカチオン交換、高級アルコールなどの溶媒による洗浄、高温、好ましくは100℃より上、での蒸発/ストリッピング、酸または苛性アルカリによる処理、および結晶化を包含する。
蒸発による過酸化水素の回収は、所望により、例えば活性炭上での吸着を使用する、溶媒蒸気の除去後に、任意の不活性気体、例えば酸素、空気、窒素または自動酸化法における酸化工程からの排ガス、を用いるストリッピングによって行われ得る。蒸発による過酸化水素の回収はまた、大気圧下または大気圧より下の圧力下、例えば約0.1〜約100kPa、好ましくは約1〜約30kPa、でおよび好ましくは約100℃より下または約80℃より下の温度での蒸留により行うこともできる。好ましくは抽出溶媒の主要部分を構成する塩または高分岐ポリマーの低い揮発性故に、高純度の過酸化水素が、比較的低いエネルギー消費を伴って、所望により抽出溶媒中に存在する水と共に蒸発され得る。必要ならば、余分の水を添加して過酸化水素を安全な濃度、通常は約20〜約75重量%、に希釈することができる。
過酸化水素の回収のための膜に基づく技術の例は、膜抽出、パーベーパレーション(pervaporation)およびナノ濾過を包含する。
本発明は、過酸化水素の有機溶液が得られるところの過酸化水素の製造のための全ての方法、例えば自動酸化法、有機反応媒体中での水素および酸素からの直接の合成または電気化学法(所望により、媒体物の電気化学的還元および続くその酸化により過酸化水素を得ることを含む)、に適用され得る。液液抽出後に得られる残りの有機供給溶液、すなわちラフィネート、はほとんど場合に、過酸化水素が実際に形成されるところの工程に再循環され得る。
本発明は、過酸化水素の製造のためのキノン自動酸化法において特に有利である。すなわち、本発明の更なる局面は、作業溶液中でキノンを水素化する工程、水素化されたキノンを上記作業溶液中で酸化して過酸化水素を得る工程、および抽出する工程、および所望により過酸化水素を上記作業溶液から回収する工程を含む過酸化水素の製造法に関する。上記抽出および任意的な回収は上記したように行われ、上記作業溶液が、過酸化水素を含む上記有機供給溶液を構成する。
そのような方法において水素化されるべき作業溶液は、1種以上のキノンを含む。上記キノンの例は、(ベンゾ)キノン部分(オルソ型またはパラ型)を含む分子を包含し、その中で、アントラキノン、テトラヒドロアントラキノン、ナフトキノン、ベンゾキノンおよびそれらの誘導体が好ましい。アントラキノン、ナフトキノンおよびベンゾキノンは好ましくは置換されており、好ましくはアルキル置換されており、例えば2−アルキル−9,10−アントラキノンまたは2−アルキル−1,4−ナフトキノンである。特定の例は、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2−ヘキセニル−9,10−アントラキノン、アルキル−9,10−アントラキノンの共晶混合物、2−アミル−9,10−アントラキノンの混合物を包含し、それらすべては高い安定性を有する。アルキル置換されたナフトキノンの特定の例は、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2−エチル−1,4−ナフトキノン、2−プロピル−1,4−ナフトキノン、2−t−ブチル−1,4−ナフトキノン、2−t−アミル−1,4−ナフトキノン、2−イソアミル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチル−1,4−ナフトキノンを包含する。
キノンが置換されておりかつ1以上の所望により置換されたアルキル、アルケニルまたはアリール基を含む場合には、これらの基が、互いに独立して、1〜12の炭素原子、最も好ましくは1〜8の炭素原子を有する。そのような基が1より多く存在するならば、それらは好ましくは混合された鎖長を有する。
ナフトキノンまたはアントラキノンが使用される場合には、作業溶液は通常、部分的に水素化された側環を有する対応するキノン、例えば1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−エチル−アントラキノンまたは5,6,7,8−テトラヒドロナフトキノン、をも含む。
水素化されるべき作業溶液中のキノンの総量は、好ましくは約5〜約30重量%、最も好ましくは約10〜約20重量%である。
作業溶液は好ましくは、1以上のキノン溶媒と1以上のヒドロキノン溶媒との混合物を含む。適するキノン溶媒は、芳香族、脂肪族またはナフテン系の炭化水素、例えばベンゼン、アルキル化またはポリアルキル化ベンゼン、例えばt−ブチルベンゼンまたはトリメチルベンゼン、アルキル化トルエンまたはナフタレン、例えばt−ブチルトルエンまたはメチルナフタレン、を含み得る。適するヒドロキノン溶媒は、アルキルホスフェート(例えば、トリオクチルホスフェート)、アルキルホスホネート、アルキルシクロヘキサノールエステル、N,N-ジアルキルカーボンアミド、テトラアルキルウレア(例えば、テトラブチルウレア)、N−アルキル−2−ピロリドンおよび、好ましくは8〜9の炭素原子を有する、高沸点アルコール(例えば、イソブチルカルビノール)を包含し得る。好ましいヒドロキノン溶媒の例は、アルキルホスフェート、テトラアルキルウレア、環式ウレア誘導体およびアルキル置換カプロラクタムを包含する。
キノンの水素化は通常、触媒の存在下、適する温度、例えば約0〜約100℃、好ましくは約40〜約85℃、および適する圧力、例えば絶対圧で約100〜約1500kPa、好ましくは約200〜約600kPa、で作業溶液を水素ガスと接触させることにより行われる。水素化の程度(作業溶液1m当たりのヒドロキノンのモル数)は、好ましくは約250〜約800、最も好ましくは約350〜約600である。
活性触媒は例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、金、銀またはそれらの混合物の任意から選択される金属であり得る。好ましい金属は、パラジウム、白金および金であり、そのうち、パラジウムおよび少なくとも50重量%のパラジウムを含む混合物が特に好ましい。活性触媒は、遊離形、例えば作業溶液中に懸濁されたパラジウムブラック、であってもよく、あるいは、米国特許第4552748号および同第5063043号に記載されているように、スラリー、固定床または一体式(monolithic)支持体の形で使用される粒子などの固体支持体上に沈着されていてもよい。好ましい支持体物質は、シリカまたはアルミニウム酸化物から選択される。
過酸化水素を得るための水素化キノンの酸化は、文献に記載された任意の慣用法で行うことができ、例えば作業溶液を気体状酸素または、酸素に富んでいてもいなくてもよい空気などの酸素含有気体と接触させる方法で行われ得る。上記接触は、並流または向流を伴う任意の種類の容器またはカラム中で行われ得る。酸化により、溶解された過酸化水素を、好ましくは約8〜約27kg/mの量で、最も好ましくは約10〜約20kg/mの量で含む作業溶液が得られる。この作業溶液は、先に記載されたように行われる次の液液抽出工程において、過酸化水素を含む有機供給溶液を構成する。次いで、ラフィネートが、自動酸化法において慣用であるように、水素化工程へ再循環され得る。
特定の実施態様では、酸化および抽出が同じ容器またはカラム中で行われ得る。
過酸化水素を製造する方法全体における他の工程、例えば作業溶液再生など、は、文献に記載された慣用のやり方で行われ得る。
本発明は、過酸化水素が水によって抽出されるところの慣用の方法と比較していくつかの利点を含む。特に、長く(extensive)かつエネルギーを消費する後処理を伴うことなく高純度の過酸化水素を製造することができる。さらに、高密度の抽出溶媒を使用することは、高密度の作業溶液、例えばより多量のキノンを有する作業溶液、の使用を可能にする。さらに、過酸化水素のための好ましい分配比を有する抽出溶媒を使用することは、低い溶媒対供給物比での抽出を可能にする。
次に、本発明を下記実施例によってさらに説明するが、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。特に断らない限り、すべての部および%は重量部および重量%を意味する。
コリンサッカリネートの調製
溶媒として6リットルのアセトンを使用して、1080gのサッカリンナトリウム水和物(99%、Acros製)を732gの固体の塩化コリン(99%、Acros製)と混合した。8時間攪拌してイオン交換反応を行わせた後、形成された懸濁物をろ過した。ろ液は、Rotavapにて、約60℃の温度および約40mbarの最小圧力で、溶媒の更なる蒸発が認められなくなるまで、蒸発に付された。残りの生成物は、化学組成の元素分析(塩素、ナトリウムおよび硫黄の濃度)によりコリンサッカリネートであることが確認された液体であった。水含量は5重量%であることが決定された。
分配比の試験
非極性有機溶媒からの抽出における使用のための適合性を評価するために、イオン液体の親水性が、水中のイオン液体濃度(g/リットル)と1−オクタノール中のそれとの比として定義される、水と1−オクタノールとの間の平衡分配比を測定することにより定量された。
1.8gのイオン液体、硫酸水素1−メチルイミダゾリウム(Fluka製、純度>95%)、が23gの水に溶解された。その水性溶液を25gの1−オクタノール(Fluka製、約98%)と室温で混合し、8時間振盪させ、閉じた容器中に20時間静置させた。形成された両方の液相のサンプルを取り出し、分析した。サンプル中の硫黄の濃度を測定することにより、イオン液体の濃度が決定された。水と1−オクタノールとの間の硫酸水素1−メチルイミダゾリウムの分配比は1×10であることが決定された。
1.8gのイオン液体、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(Merck製)が、23gの水に溶解された。その水性溶液を23gの1−オクタノールと室温で混合した。混合物を処理し、サンプリングし、イオン液体の濃度が上記にすでに記載されたように測定された。水と1−オクタノールとの間の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネートの分配比は、5×10であることが分かった。
キシレン/1−オクタノールからの過酸化水素の抽出
3g/リットルの過酸化水素を含む有機供給溶液が、o−キシレン(Fluka製、純度>99%)および1−オクタノール(5:1重量比)を過酸化水素の30重量%水性溶液と10:1の重量比で混合し、有機相と水性相とを分離することにより調製された。有機供給溶液から抽出溶媒としての硫酸水素1−メチルイミダゾリウムイオン液体(密度1.48kg/m)への過酸化水素の液液抽出が、有機供給溶液および抽出溶媒を1:1重量比で混合することにより行われた。混合物は2時間激しく振盪され、少なくとも5時間静置して下相の抽出物(イオン液体に基づく)と上相のラフィネート(残りの有機供給溶液)との間に平衡を確実に達成した。両方の相における過酸化水素の濃度が、過マンガン酸カリウムによる滴定によって決定された。同じ手順が、抽出溶媒として、それぞれ、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(密度1.39kg/m)および5重量%の水を含むコリンサッカリネート(密度1.26kg/m)を用いて行われた。抽出物とラフィネートとの間での過酸化水素の分配比を含む結果を下記表に示す。
Figure 0005290969
作業溶液からの過酸化水素の抽出
実施例3に記載されたものと同じ方法が適用されたが、o−キシレン/1−オクタノール混合物の代わりに、有機供給溶液は、アントラキノン自動酸化法において作業溶液として使用される芳香族および脂肪族炭化水素の多成分混合物から成りかつ、主要成分として、エチルおよびアミルアントラキノンの混合物およびそれらの対応するテトラヒドロアルキルアントラキノンおよびC9〜C11アルキルベンゼンおよびテトラブチルウレアの混合物を含む。供給溶液中の過酸化水素の濃度はバッチごとに変わり、6〜9g/リットルであった。有機供給溶液から硫酸水素1−メチルイミダゾリウム、コリンサッカリネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネートおよびテトラメチルイソチオウロニウムトリフルオロメタンスルホネート(密度1.34kg/m)(Merck製)への過酸化水素の抽出が、実施例1に記載されたものと同じ方法で50℃で行われた。抽出溶媒の損失が、ラフィネート中でのその濃度を決定することにより測定された。結果を下記表2に示す。
Figure 0005290969
水による抽出(比較)
実施例3の手順が繰り返されたが、抽出溶媒として水を用いた(室温)。過酸化水素の平衡濃度は、抽出物中に2.9g/リットルおよびラフィネート中に0.029g/リットルであることが決定され、分配比は99であった。
水による抽出(比較)
実施例4の手順が繰り返されたが、抽出溶媒として水を用いた。有機供給溶液中の過酸化水素の濃度は6.5g/リットルであり、一方、過酸化水素の平衡濃度は抽出物中に6.3g/リットルおよびラフィネート中に0.33g/リットルであることが決定され、分配比は19であった。
過酸化水素の回収
蒸発による過酸化水素の回収の可能性を確認するために、20重量%の水を含むコリンサッカリネートの溶液を実施例4で特定された作業溶液と平衡させて抽出物中の過酸化水素含量6.35g/リットルを得た。安全の理由から、この抽出物を水で希釈して水含量を50重量%とし、次いで、8.5〜9kPaおよび55〜62℃で操作されるロータリーエバポレーターに供給した。抽出物の蒸発された部分を凝縮させて集め、50分後に凝縮物は、抽出物中に最初に存在した過酸化水素の47%を含んでいた。
同じ手順が、5重量%の水を含む硫酸水素1−メチルイミダゾリウムを用いて繰り返されて、抽出物中の過酸化水素含量3.1g/リットルを得た。ロータリーエバポレーターの60分の操作の後、凝縮物は、抽出物中に最初に存在した過酸化水素の97%を含んでおり、これは、実質的に完全な回収を示す。

Claims (13)

  1. 液液抽出工程を含む過酸化水素の製造法において、前記抽出工程が、過酸化水素を含む有機供給溶液を30重量%未満の水を含む抽出溶媒と接触させて過酸化水素の前記抽出溶媒への抽出を達成すること、および過酸化水素を含む抽出物を得ることを含む方法。
  2. 抽出溶媒の密度が950〜1800kg/mである、請求項1記載の方法。
  3. 抽出溶媒の非水性部分のための25℃および大気圧でのlogKowが0未満である、請求項1または2記載の方法。
  4. 抽出溶媒の非水性部分の50℃での蒸気圧が10kPa未満である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 抽出溶媒が、有機カチオンおよび/または有機アニオンの少なくとも1を含む少なくとも部分的に有機の塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 抽出溶媒中の少なくとも部分的に有機の塩の含量が50重量%〜100重量%である、請求項5記載の方法。
  7. 少なくとも部分的に有機の塩が、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、N−アルキルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、ピロリジニウム、グアニジニウム、アルキルグアニジニウム、イソウロニウム、テトラメチルイソチオウロニウム、PR +、SR 、NR +、およびそれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含み、Rが互いに独立して、所望により置換されたアルキル、アルケニルもしくはアリール、または水素であるところの請求項5または6記載の方法。
  8. 少なくとも部分的に有機の塩が、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、フルオロスルホネート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、クロロアルミネート、ブロモアルミネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリシアノメチド、ジシアナミド、ノナフルオロブタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ナイトレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、ホスフェート、RPO 2−、RPO 、RPO 、パークロレート、アセテート、アルキルスルホネート、ビス(2−エチルヘキシル)ナトリウムスルホスクシネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルスルフェート、アルキルオリゴエーテルスルフェート、ピバレート、テトラアルキルボレート、プロピオネート、スクシネート、サッカリネート、グリコレート、ステアレート、ラクテート、マレート、タートレート、シトレート、アスコルベート、グルタメート、ベンゾエート、サリシレート、メタンスルホネート、トルエンスルホネートおよびそれらの混合物から成る群から選択されるアニオンを含、Rが互いに独立して、所望により置換されたアルキル、アルケニルもしくはアリール、または水素であるところの請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 少なくとも部分的に有機の塩が、硫酸水素1−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラメチルイソチオウロニウムトリフルオロメタンスルホネート、コリンサッカリネート、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項7〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 抽出溶媒がデンドリマー構造物を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 抽出物から過酸化水素を回収する工程をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 過酸化水素が蒸発により抽出物から回収される、請求項11記載の方法。
  13. キノンを作業溶液中で水素化する工程、水素化されたキノンを前記作業溶液中で酸化して過酸化水素を得る工程、および前記作業溶液から過酸化水素を抽出しそして所望により回収する工程を含み、前記抽出および所望による回収が請求項1〜12のいずれか1項記載の方法に従って行われ、前記作業溶液が、過酸化水素を含む前記有機供給溶液を構成するところの、過酸化水素を製造する方法。
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