ところで、上記特許文献1に示されている扉体全開保持装置付き引戸装置では、前述したように、被係止部材に係止する係止部材が板ばねの折り曲げで形成されているため、長期間の使用により板ばねが有する弾性力が低下し、扉体の全開保持性能が低下するおそれがあった。また、上記特許文献1に示されている引戸装置では、扉体全開保持装置の係止部材の他にこの係止部材に係止される被係止部材が必要となるため、引戸装置全体の構造が複雑化していた。
このため、扉体全開保持性能がより向上し、また、構造の簡単化がされた扉体全開保持装置の出現が望まれていた。
本発明の目的は、扉体の全開保持性能の向上を図ることができ、また、構造の簡単化が図れるようになる扉体全開保持装置を備えた扉体全開保持装置付き引戸装置を提供するところにある。
本発明に係る扉体全開保持装置付き引戸装置は、開口部を開閉する扉体と、この扉体の開閉移動を案内するガイド部材と、前記扉体を全開状態に保持し、前記扉体及びこの扉体の開き側の端部と対向していて前記扉体に対して不動となっている不動部材のうち、一方に配置されたマグネット部材を有する扉体全開保持装置と、他方における前記マグネット部材と対向する位置に配置され、前記マグネット部材に吸着する磁性部材と、を含んで構成されていることを特徴とするものである。
本発明では、扉体全開保持装置は、前記扉体及びこの扉体の開き側の端部と対向していて前記扉体に対して不動となっている不動部材のうち、一方に配置されたマグネット部材を有するものであり、他方における前記マグネット部材と対向する位置には、前記マグネット部材に吸着する磁性部材が配置されている。
このため、本発明では、扉体の全開状態は、扉体と不動部材のうちの一方に配置されたマグネット部材に、他方に配置されている磁性部材が吸着することにより、保持されるようになっている。
すなわち、本発明では、扉体の全開状態が、前述した従来例のように、小径ローラによる被係止部材に、板ばねの折り曲げで形成されている係止部材が係止すること等により保持されるのではなく、マグネット部材に磁性部材が吸着することにより保持されるものである。
このため、本発明によると、扉体全開保持装置の長期間の使用による扉体の全開保持性能の低下が生じるおそれはより小さいものとなる。すなわち、本発明によると、扉体の全開保持性能をより向上させることができる。
また、本発明では、扉体の全開状態が、扉体全開保持装置のマグネット部材に磁性部材が吸着することによって保持されるものであるため、扉体全開保持装置の構造を簡単化することができ、ひいては、引戸装置全体の構造を簡単化することができる。
このように、本発明によると、従来の扉体全開保持装置付き引戸装置と比較して、扉体の全開保持性能の向上を図ることができ、また、構造の簡単化が図れるようになる。
なお、「前記扉体及びこの扉体の開き側の端部と対向していて前記扉体に対して不動となっている不動部材のうち、一方に配置されたマグネット部材」とあるので、マグネット部材は、扉体と不動部材のうちの一方に配置されるものである。また、「他方における前記マグネット部材と対向する位置に配置され、前記マグネット部材に吸着する磁性部材」とあるので、マグネット部材に吸着する磁性部材は、扉体と不動部材のうちの他方に配置されるものである。すなわち、マグネット部材が扉体に配置される場合には、磁性部材は不動部材に配置されるものあり、マグネット部材が不動部材に配置される場合には、磁性部材は扉体に配置されるものである。
本発明において、マグネット部材とは、磁場を発生させ、磁性部材が吸着可能な部材であれば任意であり、例えば、永久磁石でもよく、常時電力の供給が可能であれば電磁石でもよい。なお、マグネット部材を永久磁石とする場合において、この永久磁石の種類は任意であり、例えば、フェライト磁石でもよく、ネオジム磁石でもよく、KS鋼でもよく、MK鋼でもよく、アルニコ磁石でもよく、サマリウムコバルト磁石等でもよい。
また、本発明において、磁性部材とは、マグネット部材に吸着可能な部材(磁性体)であれば任意であり、例えば、鉄でもよく、クロムでもよく、コバルト、フェライト等でもよい。
本発明において、マグネット部材は、扉体と不動部材とのうちの一方に直接取り付けられていてもよく、取付部材を介して扉体と不動部材とのうちの一方に取り付けられていてもよい。
後者の場合において、取付部材の形式、構造は任意であり、その一例として、扉体と不動部材とのうちの一方に取り付けられる基部と、この基部から扉体の開閉移動方向に離間して配置され、マグネット部材を保持する保持部と、この保持部と基部とを連結し、扉体の開閉移動方向に弾性変形可能となっている弾性変形部と、を含んで構成されているものを挙げることができる。
これによると、マグネット部材に磁性部材が吸着する際に、この磁性部材がマグネット部材から受ける衝撃力は、取付部材の弾性変形部が弾性変形することでより小さいものとなる。
なお、取付部材の弾性変形部の形式、構造は、取付部材の基部と保持部同士を連結し、かつ、弾性変形可能となるものであれば任意であり、その一例として、保持部の両端部と基部の両端部同士を連結する弾性部材で形成されているものを挙げることができる。
ここで、弾性変形部を形成する弾性部材の形式、構造は任意であり、例えば、軟質ゴムでもよく、軸芯の方向が扉体の開閉移動方向となってコイルばねでもよく、板ばねでもよく、スポンジ等の多孔質体等でもよい。
本発明において、弾性変形部を形成する弾性部材を軟質ゴムとした場合には、取付部材の基部は硬質ゴムで形成し、取付部材の保持部は軟質ゴムで形成し、取付部材を一体成形品(例えば、押し出し成形あるいは引き抜き成形によるもの)としてもよい。
これによると、取付部材の製造工程の簡略化、製造コストの削減化を図ることができる。
なお、取付部材を一体成形品とする、しないにかかわらず、取付部材の保持部や基部の材質は任意であり、例えば、上述した軟質ゴムや硬質ゴムでもよく、金属でもよく、合成樹脂でもよく、セラミックスでもよく、木材でもよく、あるいはこれらの複合材等でもよい。
なお、本発明において、軟質ゴムや硬質ゴムは、例えば、合成ゴムでもよく、天然ゴムでもよく、シリコンゴムでもよく、ウレタンゴムでもよく、フッ素ゴム等でもよい。
以上の本発明において、取付部材の保持部は、少なくともマグネット部材における扉体と不動部材とのうちの他方と対向する面を覆っていることが好ましい。
これによると、マグネット部材が、扉体と不動部材とのうちの他方に直接接触して損傷しまうことを防止することができる。
なお、保持部がマグネット部材をより確実に保持するようにするためには、保持部がマグネット部材を収納する構造となっていることがより好ましい。
以上の本発明において、磁性部材は、「他方における前記マグネット部材と対向する位置に配置され、」とあるので、扉体と不動部材とのうちの他方におけるマグネット部材と対向する位置に磁性部材が取り付けられるものであってもよく、扉体と不動部材とのうちの他方自体が磁性部材で形成されるものであってもよい。前者の場合には、磁性部材が、扉体と不動部材とのうちの他方に直接取り付けられていてもよく、取付部材を介して扉体と不動部材とのうちの他方に取り付けられていてもよい。後者の場合には、扉体と不動部材とのうちの他方全部が磁性部材で形成されるものであってもよく、扉体と不動部材とのうちの他方におけるマグネット部材と対向する部分のみが磁性部材で形成されるものであってもよい。
以上の本発明において、不動部材には、扉体の開き移動時にこの扉体の開き側の端部が当接する戸当たり部材を配置してもよく、配置しなくてもよい。
前者の場合には、マグネット部材に磁性部材が吸着する前における取付部材の扉体の開閉移動方向の寸法である厚さ寸法は、戸当たり部材の前記厚さ寸法よりも大きいことが好ましい。
これによると、扉体を開き移動させた場合、まずマグネット部材に磁性部材が吸着し、この後、取付部材の弾性変形部が弾性変形する。これにより、取付部材の厚さ寸法が次第に小さくなり、この厚さ寸法が戸当たり部材の厚さ寸法と同じとなったとき、扉体の開き側の端部が戸当たり部材に当接することになる。すなわち、扉体を開き移動させた場合、扉体の開き側の端部が戸当たり部材に当接するのは、取付部材の弾性変形部が弾性変形し、この取付部材の厚さ寸法が戸当たり部材の厚さ寸法と同じとなったときである。
したがって、扉体の開き側の端部が戸当たり部材に当接する際に受ける衝撃力は、取付部材の弾性変形部が弾性変形することでより軽減されることになる。
以上の本発明において、取付部材が、前記扉体の開閉移動方向と直交する方向又は略直交する方向の両端が開口した中空部材となっている場合には、基部は、取付部材の開口した両端のそれぞれから挿入され、基部における保持部と対向する側の面を支持する支持部と、扉体と不動部材とのうちの一方に止着具で固定される固定部と、を有する固定部材で固定されるようにしてもよい。
ここで、基部における保持部と対向する側の面には、前記一方側へ窪んだ窪み部が形成され、固定部材の支持部は、窪み部に没入可能となっていることが好ましい。
これによると、取付部材の弾性変形部が大きく弾性変形しても、取付部材の保持部が固定部材の支持部に当接(干渉)することが防止される。これにより、保持部や弾性変形部が支持部への当接で損傷してしまうことが防止される。
また、本発明において、取付部材の基部は、扉体と不動部材とのうちの一方に止着具で止着されるようにしてもよい。そして、この場合には、基部における保持部と対向する側の面には、一方側へ窪んだ窪み部が形成され、止着具は、窪み部に没入可能となっていることが好ましい。
これによると、取付部材の弾性変形部が大きく弾性変形しても、取付部材の保持部が止着具に当接(干渉)することが防止される。これにより、保持部や弾性変形部が止着具への当接で損傷してしまうことが防止される。
本発明に係る扉体全開保持装置付き引戸装置は、開き移動した前記扉体を収納するための扉体収納部を備えているものでもよく、備えていないものでもよい。
前者の場合におけるマグネット部材と磁性部材の配置例として、マグネット部材は、扉体収納部の内部における扉体の開き側の端部と対向する竪枠部材(言い換えると、扉体の戸尻側の竪枠部材)と、扉体の開き側の端部とのうちの一方に配置され、磁性部材は、他方に配置されるものを挙げることができる。
以上の本発明において、扉体に閉じ側への移動力を付与する扉体自動閉鎖手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
ここで、扉体自動閉鎖手段の形式、構造は任意であるが、その一例として、扉体に対して不動となっている不動部材における前記開口部の閉じ側の端部の近傍に設けられた渦巻きばね機構と、一端が、この渦巻きばね機構に連結され、他端が、扉体に連結された紐状部材とを含んで構成されるものを挙げることができる。これによると、扉体を開き移動させることにより、渦巻きばね機構から繰り出される紐状部材により、渦巻きばね機構の渦巻きばねにばね力が蓄圧される。そして、全開状態が保持されている扉体に対して閉じ側への操作力が作用することにより、マグネット部材と磁性部材同士の吸着が解除されたとき、全開位置に達していた扉体は、開き移動により蓄圧されたばね力によって自動的に閉じ移動する。なお、扉体が全開位置に達していたときには、マグネット部材の磁力(正確には、扉体を全開状態に保持させるための磁力)が、渦巻きばね機構の渦巻きばねに蓄圧されたばね力(正確には、扉体を閉じ移動させるためのばね力)よりも大きくなっていることが必要となる。
また、扉体自動閉鎖手段の他の一例として、扉体の開閉移動を案内するガイド部材を扉体の閉じ側に向かって斜め下向きに傾斜させて配置したものを挙げることができる。これによると、全開状態が保持されている扉体に対して閉じ側への操作力が作用することにより、マグネット部材と磁性部材同士の吸着が解除されたとき、全開位置に達していた扉体は、この扉体の自重により、傾斜したガイド部材に案内されながら自動的に閉じ移動する。なお、扉体が全開位置に達していたときには、マグネット部材の磁力(正確には、扉体を全開状態に保持させるための磁力)が、扉体の自重(正確には、扉体の自重のうち、この扉体の閉じ移動方向(斜め下向き)の成分)よりも大きくなっていることが必要となる。
このように、本発明において、扉体に閉じ側への移動力を付与する扉体自動閉鎖手段を備える場合には、扉体が全開位置に達していたときには、扉体を全開状態に保持させるための磁力が、扉体自動閉鎖手段による扉体を閉じさせるための力よりも大きくなっていることが必要となる。
なお、以上の本発明において、全開状態が保持されている扉体に対して閉じ側への操作力が作用することにより、マグネット部材と磁性部材同士の吸着が解除されたときに、扉体に閉じ側への付勢力を付与する付勢手段を備えるようにしてもよい。
これによると、付勢手段を備えていない場合と比較して、操作者は、より軽い操作力で扉体を閉じ移動させることができ、また、扉体の初期の閉じ移動速度をより速いものとすることができる。これにより、扉体が全開位置から全閉位置に達するまでの所要時間を短縮することができる。
ここで、付勢手段の形式、構造は任意であるが、その一例として、扉体の上下方向を軸方向とする回動中心軸を中心に回動自在な回動部材と、前記回動中心軸を保持する保持部材と、を含んで構成され、この保持部材は、扉体に対して不動となっている不動部材に固定された基部と、この基部から水平方向へ延び、前記回動部材が取り付けられる水平延出部と、を有し、前記回動部材は、前記扉体の開き側の端部に当接可能となっており、前記回動部材と、前記保持部材における前記回動部材の前記回動中心軸よりも前記扉体の閉じ側の部分とは、弾性部材で連結されているものを挙げることができる。
これによると、扉体が全開位置まで開き移動すると、マグネット部材に磁性部材が引き寄せられると共に、扉体の閉じ側の端部が回動部材に当接するので、この回動部材は回動中心軸を中心に扉体の開き側へ回動する。これにより、回動部材と、保持部材における回動部材の回動中心軸よりも扉体の閉じ側の部分とを連結している弾性部材が伸長するので、この弾性部材には弾性力が蓄圧されていく。扉体が全開位置まで開き移動すると、マグネット部材に磁性部材が吸着した状態となると共に、前記弾性部材には収縮しようとする弾性力が蓄圧された状態となる。
そして、全開状態が保持されている扉体に対して閉じ側への操作力が作用することにより、マグネット部材に磁性部材が吸着している状態が解除されると、回動部材は、弾性部材に蓄圧された弾性力により扉体の閉じ側へ回動する。これにより、回動部材が当接していた扉体は閉じ側への外力を受ける。すなわち、扉体に閉じ側への付勢力が付与されるので、操作者は、扉体をより軽い操作力で閉じ移動させることができ、また、扉体は、より迅速な初期の閉じ移動速度を得ることができる。
なお、上述した付勢手段の一例において、回動部材と保持部材とを連結するための弾性部材の形式、構造は任意であり、例えば、コイルばねでもよく、紐状のゴムでもよい。
以上説明した本発明は、任意な引戸装置に適用することができる。例えば、本発明は、扉体に設けられ、ガイド部材に移動自在に係合する係合部と、この係合部を前記扉体に取り付けるための取付部材とを有し、前記ガイド部材は前記扉体の上方に配置され、前記係合部は前記扉体の上部に設けられ、前記扉体は、前記係合部で前記ガイド部材から吊り下げられた上吊り式扉体である引戸装置、すなわち、上吊式引戸装置に適用することができ、また、扉体の開閉移動が上下のガイド部材に案内されて移動する通常の引戸装置等に適用することができる。
以上説明した本発明において、扉体の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。扉体の個数が複数個である場合には、これらの扉体は、片引き式のものでもよく、引分け式のもの(例えば、左右1組の扉体により開口部が開閉されるものや、左右2組の第1及び第2扉体により開口部が開閉されるもの等)でもよい。
また、以上説明した本発明において、扉体の開閉移動方向は、直線方向でもよく、曲線方向でもよく、これらを複合した方向でもよい。
以上の本発明において、扉体の開閉移動を案内するガイド部材の形式、構造は任意であり、例えば、ガイドレールでもよく、スライドレール(スライディングレール)でもよい。
また、以上の本発明において、ガイド部材に移動自在に係合する係合部の形式、構造も任意であるが、ガイド部材が前記ガイドレールである場合には、係合部はこのガイドレールに転動自在に係合するローラでとなり、ガイド部材が前記スライドレールである場合には、係合部はこのスライドレールにスライド自在に係合するスライド部となる。
本発明によると、扉体の全開保持性能の向上を図ることができ、また、構造の簡単化が図れるようになるという効果が得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る引戸装置は、開閉移動する扉体が1個となっている引戸装置であり、この扉体は、扉体の上方に配置されたガイド部材であるガイドレールから吊り下げられ、このガイドレールに案内されて開閉移動を行う上吊り式の扉体となっている。このため、本実施形態に係る引戸装置は上吊式引戸装置となっている。この上吊り式引戸装置は、扉体を収納する扉体収納部である戸袋を有するものであって、この戸袋は、壁の内部に収納された壁収納式の戸袋である。
図1は、例えば、建物内における廊下と部屋との間に配置され、扉体1で開閉される開口部が出入口2となっているこの上吊り式引戸装置の全体を示す正面図である。この上吊り式引戸装置の外枠組みは、上枠部材10と、扉体1が全閉位置に達して出入口2を閉じたときにこの扉体1の閉じ側の先端が当接する戸先側(扉体1の閉じ側)の竪枠部材11と、この戸先側の竪枠部材11とは扉体1の移動方向反対側に配置されている戸尻側(扉体1の開き側)の竪枠部材12と、これらの竪枠部材11と12の間に配置されているとともに、出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋3における出入口2の側の端部に配置された竪額縁部材13と、床4における戸袋3の下端に配置された幅木14と、を含んで形成され、板材の折り曲げ品となっているこれらの上枠部材10と戸先側の竪枠部材11と戸尻側の竪枠部材12と竪額縁部材13と幅木14は、上吊り式引戸装置の外枠組みを形成する枠部材であり、また、開閉移動する扉体1に対して不動となった不動部材となっている。前記ガイドレールは、この不動部材である上枠部材10に設けられている。
出入口2は、これらの枠部材10〜14で形成された外枠組みの内側の一部の空間となっており、この出入口2は扉体1で開閉され、この出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋3は、壁5の内部に収納された壁収納式の戸袋である。上枠部材10は、戸先側の竪枠部材11から戸尻側の竪枠部材12まで延びる長さを有し、上記枠部材10〜14のうちの1つとなっている竪額縁部材13は、戸袋3における出入口2側の見切り部材となっている。また、戸袋3は、図1のS2−S2線断面図である図2で示されているように、ハット形状の断面が、上枠部材10と幅木14の長手方向(図1では左右方向)に連続している補強部材20によって補強された構造となっており、この補強部材20は、扉体1の厚さ方向でもある戸袋3の厚さ方向(図2では左右方向)の両側に設けられているとともに、竪枠部材11,12と竪額縁部材13の長手方向でもある上下方向に複数個配設されている。そして、これらの補強部材20の上下において、内側壁材21が接着テープ等による結合具で補強部材20に結合され、これらの内側壁材21の外側に外側壁材22が配置され、補強部材20にビスやステープル等の結合具で結合されているこの外側壁材22の表面に、クロス等の壁仕上げ材が取り付けられている。
このため、これらの内側壁材21と外側壁材22と壁仕上げ材により、戸袋3の部分の壁5が形成され、戸袋3は、補強部材20が構造材となって壁5の内部に形成されている。この壁5は、図1から分かるように、上枠部材10の上側や、戸先側の竪枠部材11に対して出入口2とは反対側の部分、戸尻側の竪枠部材12に対して戸袋3とは反対側にも設けられている。壁5のこれらの部分の表面は、戸袋3における壁5の部分の表面と面一状態となっている。
また、図1で示されている上下複数個の前記補強部材20のうち、上下寸法が大きい補強部材20Aが配置されている壁5の箇所には、手摺り6を設けることができ、この手摺り6は、補強部材20Aに達するビス等の取付具でこの補強部材20Aに取り付けることができる。
図3は図1のS3−S3線断面図であり、この図3で示されているように、竪額縁部材13は扉体1の厚さ方向両側に2個配設され、それぞれの竪額縁部材13は、戸袋3の内外方向に配置された内部材23と外部材24との組み合わせ品である。これらの内部材23と外部材24における戸尻側の竪枠部材12の側へ延びている後方延出部23Aと24Aの間の隙間に、補強部材20における戸先側の竪枠部材11の側の端部が挿入され、この端部は、ビス等の止着具25で外部材24の後方延出部24Aに止着され、補強部材20における戸尻側の竪枠部材12の側の端部は、ビス等の止着具26で戸尻側の竪枠部材12に止着されている。
板材の折り曲げ品である戸先側の竪枠部材11は、図3で示されているように、扉体1の厚さ方向に2個配置されている竪額縁部材13と扉体1の開閉移動方向に対向している2個の前面部61,62を有し、これらの前面部61,62の間は、扉体1とは反対側へ窪んだ凹部63となっている。この戸先側の竪枠部材11は、壁5の下地材64にアンカー部材65を介して取り付けられている。扉体1の全閉時には、この扉体1の閉じ側の先端が前記凹部63に当接するようになっている。
図4は図1のS4−S4線断面図である。この図4で示されているように、上枠部材10は、上枠部材10の上側の壁5の下地材27にアンカー部材28を介して結合された上面部10Aと、この上面部10Aにおける上枠部材10の幅方向(図4では左右方向)の一方の端部から垂下した垂下部10Bと、この垂下部10Bの下端から上記幅方向の外側へ延出した壁材見切り部10Cと、この壁材見切り部10Cの先端から起立した起立部10Dと、この起立部10Dから垂下部10B側へ屈曲した屈曲部10Eとを有する。これらの上面部10Aと垂下部10Bと壁材見切り部10Cと起立部10Dと屈曲部10Eのうち、上面部10Aと垂下部10Bは、上枠部材10の全長に渡って連続して設けられ、壁材見切り部10Cと起立部10Dと屈曲部10Eは、出入口2と対応する部分だけに設けられている。そして、壁材見切り部10Cの上側に、壁5における垂下部10Bの幅方向外側の部分を形成する内側壁材29と外側壁材30が配置され、これらの内側壁材29と外側壁材30は、壁材見切り部10Cとは上枠部材10の幅方向反対側において、上枠部材10の上側にも配置されている。そして、壁材見切り部10Cの上側に配置された内側壁材29と外側壁材30は、図2における戸袋3の左側では、図2で示されている内側壁材21と外側壁材22となっている。
また、上面部10Aにおける垂下部10Bとは反対側の幅方向の端部には、僅かに下方へ延びた下方延出部10Fが形成され、この下方延出部10Fの下端には、斜め上方であって、上記壁材見切り部10Cとは反対側の幅方向外側へ延出した傾斜延出部10Gが設けられている。これらの延出部10F,10Gは、図1で示されている出入口2と竪額縁部材13に対応するだけに設けられ、下方延出部10F、10G及び後述する点検カバー31と対応する高さ位置における戸袋3の上部箇所には、図1で示されている上下複数個の前記補強部材20のうち、最上部の補強部材20Bが配置されている。
図4で示されているように、下方延出部10Fの下方への延出量は小さいため、この下方延出部10Fの下側は、上枠部材10の開口部10Hとなっており、垂下部10Bとは上枠部材10の前記幅方向とは反対側に形成されているこの開口部10Hから、上枠部材10の内部空間に収納配置されている扉体移動機構についての点検及び整備を含む各種の作業を行えるようになっている。
通常時の開口部10Hは点検カバー31で塞がれており、この点検カバー31が出入口2の上方の上枠部材10から取り外し自在となっている。この点検カバー31は、上端に斜め下向きに形成され、上枠部材10の傾斜延出部10Gに係止される係止部31Aと、この係止部31Aから鉛直又は略鉛直下向きに延びている正面部31Bと、この正面部31Bの下端から上枠部材10の内側へ水平又は略水平に屈曲している下面部31Cと、この下面部31Cの先端から立ち上がった立上部31Dとを有する。係止部31Aと下面部31Cと立上部31Dにより、板金の折り曲げで形成されている点検カバー31の全体の剛性が確保されている。なお、図示されていないが、立上部31Dは、図1の左右方向であって上枠部材10の長手方向でもある点検カバー31の長手方向の全長に渡って設けられておらず、点検カバー31には、この長手方向の両端部において、立上部31Dが存在していない立上部欠損部が設けられている。
前述の開口部10Hを塞いでいるときの点検カバー31は、図4で示されているとおり、係止部31Aが上枠部材10の傾斜延出部10Gに係止され、これにより点検カバー31の重量が上枠部材10で支持されている。また、下面部31Cは、図1に示されているように、戸先側の竪枠部材11と竪額縁部材13に取り付けられているブラケットになっていて、点検カバー31の長手方向の両端部と対応する位置に設けられているブラケット32,33にねじ部材34,35で止められている。
また、前述した扉体移動機構についての点検等の作業を行うために、点検カバー31を取り外して上枠部材10の上記開口部10Hを開けるときには、ねじ部材34,35を取り外し、これにより、点検カバー31は、上端の係止部31Aを中心に上枠部材10の内外方向に揺動可能となるため、上枠部材10の外側方向へ揺動させることにより、係止部31Aを上枠部材10の傾斜延出部10Gから抜き取る。このようにして点検カバー31を取り外す際において、点検カバー31には、立上部31Dが存在していない図示されない前記立上部欠損部が点検カバー31の長手方向の両端部に設けられているため、言い換えると、ねじ部材34,35が配置される位置と対応する下面部31Cの先端の箇所は、立上部31Dが存在しない立上部欠損部となっているため、この点検カバー31の取り外し作業を、ブラケット32,33と立上部31Dとが干渉することなく行える。
また、ねじ部材34,35は、点検カバー31の下面部31Cとブラケット32,33とに下から上に挿入されるものであるため、点検カバー31の取り付け作業、取り外し作業のために作業者がねじ部材34,35について行う作業は、前記出入口2に立ったこの作業者が手を上に伸ばすことによって行え、この作業を容易に行える。
さらに、たとえ、何かの原因でねじ部材34,35が脱落することがあっても、点検カバー31の上端の係止部31Aは上枠部材10の傾斜延出部10Gに係止され、点検カバー31の下面部31Cの上側には、ねじ部材34,35の雄ねじ軸部を螺合させるブラケット32,33が存在するため、点検カバー31が上下の振動等によって上枠部材10から外れてしまうことを有効に防止することができる。
また、本実施形態では、図4で示されているように、上枠部材10の傾斜延出部10Gには、点検カバー31の係止部31Aがこの傾斜延出部10Gに直接接触することを防止するゴムや合成樹脂等による冠部材40が被せられ、これにより、上枠部材10と点検カバー31の材料である金属同士が直接接触して点検カバー31の取付作業時や取外作業時等において異音が発生することや、上枠部材10及び/又は点検カバー31に傷が生ずること等を防止している。
また、図4で示されているように、点検カバー31の正面部31Bの裏面(正面部31Bにおける上枠部材10の内側の面)に、例えば、ハット形状の断面が点検カバー31の長手方向に連続している補強部材41を接着剤や接着テープ等の結合具で結合し、これにより、正面部31Bの強度を補強し、正面部31Bの上下寸法や左右寸法が大きくても、正面部31Bに撓み変形等が発生しないようにしてもよい。
次に、上枠部材10の内部空間に収納配置されている前述の扉体移動機構について説明する。図5及び図6は、点検カバー31を取り外して示すこの扉体移動機構の拡大正面図となっており、図5は、扉体1が閉じ移動限である全閉位置に達したときの扉体移動機構の拡大正面図であり、図6は、具体的な構造、作用を後述する扉体全開保持装置70により扉体1の全開状態が保持されているときの扉体移動機構の拡大正面図である。
前述したように、戸先側の竪枠部材11から戸尻側の竪枠部材12まで延びる長さを有する上枠部材10の内部には、この上枠部材10の略全長に渡る長さとなったガイドレール45が配置され、扉体1の直線の開閉移動を案内するガイド部材となっているこのガイドレール45は、図4に示されているように、上下に延びる基端部45Aを有する略L字形状であり、基端部45Aが上枠部材10の前記垂下部10Bにビス等の結合具46で結合されている。扉体1には、この扉体1の上方において、ガイドレール45に転動自在に係合している係合部であるローラ47が、このローラ47を扉体1に取り付けるための取付部材となっているブラケット48を介して取り付けられ、このローラ47は、図5及び図6で示されているとおり、上枠部材10の長手方向である扉体1の開閉移動方向に2個設けられている。このため、本実施形態に係る上吊り式引戸装置は、扉体1が、2個のローラ47によってガイドレール45から吊り下げられた上吊り式引戸装置となっている。
また、上枠部材10の内部空間には、扉体1に閉じ側への移動力を付与する扉体自動閉鎖手段である渦巻きばね式の扉体自動閉鎖装置50が配置されており、この扉体自動閉鎖装置50は、上枠部材10における戸先側の竪枠部材11の近傍に配置され、この上枠部材10の垂下部10Bやガイドレール45の基端部45Aにビス等の結合具で結合されている。扉体自動閉鎖装置50からは、この扉体自動閉鎖装置50の内部に設けられている図示しない渦巻きばね機構に一端が連結された合成樹脂製等の紐状部材51が導出され、この紐状部材51の他端は、上記2個のローラ47のうち、戸先側のローラ47Aを回転自在に支持しているブラケット48Aに連結されている。扉体1の戸先側の端部となっている扉体1の先端が戸先側の竪枠部材11に当接していて扉体1が前記出入口2を全閉としているときに、図1で示す把持部52を握った手によって扉体1を開き移動させると、扉体自動閉鎖装置50から繰り出される紐状部材51により、上記渦巻きばね機構の渦巻きばねにばね力が蓄圧される。全開位置まで開き移動した扉体1は、具体的な構造、作用を後述する扉体全開保持装置70により全開状態が保持される。そして、全開状態が保持されている扉体1に対して、把持部52を握った手によって閉じ側への操作力が作用することにより、扉体1の全開状態が解除されると、前記渦巻きばねに蓄圧されたばね力によって扉体1が自動的に全閉位置まで閉じ移動する。このため、本実施形態に係る上吊り式引戸装置は、自動閉鎖式の上吊り式引戸装置となっている。
図1で示されているように、扉体1が開閉移動する移動経路における前記竪額縁部材13の配置位置と対応する位置、言い換えると、前述した幅木14における戸先側の竪枠部材11の側の端部には、ガイドローラ59が配置されている。このガイドローラ59は、図4に示されているように、下方に向かって開口している扉体1の下端部に挿入され、扉体1のガイドレール45で案内される開閉移動は、扉体1の下端部がガイドローラ59で案内されながら行われる。
また、図5及び図6に示すように、上枠部材10の内部空間には、シリンダ式の制動装置53が、ピストンロッド53Aを戸尻側の竪枠部材12の側に向けて配置され、この制動装置53は、ガイドレール45の基端部45Aにブラケット54で取り付けられている。扉体1の上記2個のローラ47のうち、戸尻側のローラ47Bを回転自在に保持しているブラケット48Bには、ピストンロッド53Aの先端部と扉体1の開閉移動方向に対向する当接部材55が取り付けられ、これらのピストンロッド53Aの先端部と当接部材55とのうち、一方(図5ではピストンロッド53Aの先端部)には、他方と吸着力等で接離自在となったマグネット等による接離部材56が設けられている。
全閉位置に達している扉体1を上述のように開き移動させたときには、先端部が当接部材55に接離部材56の吸着力で接続状態となっているピストンロッド53Aは伸び作動し、ピストンロッド53Aの伸び作動の限度を越えて扉体1が開き移動すると、接離部材56において当接部材55はピストンロッド53Aから分離する。また、扉体1が閉じ移動すると、その途中で当接部材55は接離部材56を介してピストンロッド53Aの先端部に当接し、扉体1が閉じ移動を継続することにより、ピストンロッド53Aは縮み作動を始め、制動装置53には、このときにシリンダ式の制動装置53の内部の空気を絞りながら排出するバルブが設けられているため、扉体1は、このバルブの絞り作用による制動力を受けながら、上記扉体自動閉鎖装置50で低速で全閉位置まで自動移動する。
なお、上記バルブは、ピストンロッド53Aが伸び作動するときには、空気を絞らずにシリンダ式の制動装置53の内部に流入させるタイプのものであるため、全閉位置からの扉体1の開き移動を、扉体自動閉鎖装置50の上記渦巻きばね機構の渦巻きばねにばね力を蓄圧させるだけの小さな力によって行える。
なお、以上のように、全閉位置へ向かって閉じ移動しているときの扉体1に制動力を作用させるための装置は、上記シリンダ式の制動装置53に限定されず、例えば、扉体1と上枠部材10とのうちの一方に取り付けられたラック部材と、他方に取り付けられ、このラック部材に噛合するピニオン部材を有するロータリー式のダンパー装置とを含んで構成され、扉体の全閉位置へ向かう閉じ移動によってピニオン部材が回転することにより、ロータリー式のダンパー装置の内部に充填されている粘状物質等によって制動力が生ずるものでもよい。
図1に示されているとおり、戸尻側の竪枠部材12の上部と下部には、扉体1の開閉移動方向に扉体1と対向しているストップ部材である戸当たり部材57が、ビス等の止着具により取り付けられている。ゴム等の弾性材料からなるこれらの戸当たり部材57は、扉体1の略開き移動限位置である略後退限位置を規定するものであり、扉体1の戸尻側の端部が戸当たり部材57に当接したときに、扉体1は略後退限位置、すなわち略全開位置に達する。
なお、図3で示されているように、戸袋3における出入口2の側の端部に配置されているために、戸袋3における出入口2側の見切り部材となっているそれぞれの竪額縁部材13には、竪額縁部材13と扉体1との間隔を小さくし、これらの竪額縁部材13と扉体1との隙間に指等が挟まってしまうことを防止するための指詰め防止部材60が取り付けられている。
ゴムや軟質合成樹脂等の弾性材料又は軟質材料で形成されているこの指詰め防止部材60は、上下方向であって竪額縁部材13の長手方向ともなっている指詰め防止部材60の長手方向に連続して形成されている図示しない割り溝を有している。竪額縁部材13を構成する図3で説明した内部材23と外部材24のうち、外部材24には戸袋3の厚さ方向内側へ延出した内側延出部24Bが設けられており、この内側延出部24Bを前記割り溝に挿入することにより、指詰め防止部材60は竪額縁部材13に取り付けられる。
次に、本発明の一実施形態に係る扉体全開保持装置について説明する。図7は、図5に示されている本実施形態に係る扉体全開保持装置70の側面図の拡大図であり、図8は図7のVIII方向矢視図(正面図)であり、図9は図8のS9−S9線断面図(縦断面図)であり、図10は図7のX方向矢視図(平面図)であり、図11は図8のS11−S11線断面図(水平断面図)である。
図5に示すように、本実施形態に係る扉体全開保持装置70は、戸袋3の内部における扉体1の戸尻側(開き側)の端部1Aと対向する戸尻側の竪枠部材12に配置されている。そして、この扉体全開保持装置70は、図7及び図8に示すように、上下方向に長い縦長の長方形の板状のマグネット部材である磁石71(例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石等)と、この磁石71を竪枠部材12に取り付けるための取付部材72と、を含んで構成されている。
この取付部材72は、竪枠部材12に取り付けられる基部73と、磁石71を保持する保持部74と、この保持部74の両端部と基部73の両端部(図8では、扉体1の厚さ方向である左右方向の両端部)同士を連結し、扉体1の開閉移動方向に弾性変形可能な弾性変形部75と、を含んで構成されている。保持部74は、磁石71が収納される収納部74Aを有し、上下方向の端面74B,74Cが開口した中空形状となっており、磁石71は、保持部74の開口端74B又は開口端74Cから挿入され、収納部74Aの内部で接着等により固定されている。
なお、基部73は硬質ゴムで形成され、保持部74と弾性変形部75は軟質ゴムで形成されており、取付部材72は、弾性部材である硬質ゴムと軟質ゴムで形成された押し出し成形あるいは引き抜き成形による一体成形品となっている。
このため、扉体1の厚さ方向(図10及び図11では左右方向)内側に湾曲している弾性変形部75は、保持部74で保持された磁石71に対して扉体1の開き移動方向(図10では下方向)への外力が加わると、さらに、扉体1の厚さ方向(図10及び図11では左右方向)内側に湾曲(弾性変形)する。なお、弾性変形部75が弾性変形することにより、この弾性変形部75には元の形状に戻ろうとする弾性力が蓄圧される。
また、図9に示されているように、磁石71が保持部74で保持された状態の取付部材72は、中空部72Aを有し、扉体1の開閉移動方向と直交する方向又は略直交する方向である上下方向の端面72B,72Cが開口した中空形状となっており、このため、磁石71が保持部74で保持された状態の取付部材72は、中空部材となっている。
また、図8及び図9に示すように、取付部材72の基部73は、上下2個の固定部材76で竪枠部材12に固定されている。互いに同じ又は略同じ形状、構造を有するこれらの固定部材76は、金属製の板材の折り曲げで形成されており、上下方向に延び、竪枠部材12にビス等の止着具77で止着される固定部である第1正面部76Aと、この第1正面部76Aにおける基部73側の先端から扉体1の閉じ側へ水平方向に延びる水平部76Bと、この水平部76Bの先端から基部73側へ上下方向に延び、取付部材72の基部73における保持部74と対向する側の面73Aを支持する支持部である第2正面部76Cと、を有している。
それぞれの固定部材76の第2正面部76Cは、取付部材72の開口した両端72B,72C(言い換えると、開口端72B,72C)から挿入されており、第1正面部76Aがビス等の止着具77で竪枠部材12に止着されることにより、それぞれの第2正面部76Cは、取付部材72の基部73における保持部74と対向する側の面73Aを押圧接触して支持している。このように、取付部材72は、図9に示すように、取付部材72の上下方向である長さ方向の中点又は略中点を通る水平線に対して対称に配置されている2個の固定部材76で竪枠部材12に固定されている。
一方、扉体1は、竪枠部材12に配置された磁石71に吸着可能な磁性部材である鋼鉄で形成されている。
次に、扉体全開保持装置70の作用について説明する。図12は、扉体1の戸尻側の端部1Aが戸当たり部材57に当接し、扉体全開保持装置70の取付部材72の弾性変形部75が弾性変形したときを示す図であり、前述の図5や図6と同様の図である。また、図13は、図12の扉体全開保持装置70の拡大断面図であり、前述の図3と同様の図である。
前述した図5からわかるように、磁石71に扉体1の開き側の端部1Aが吸着する前における扉体全開保持装置70の取付部材72の厚さ寸法(扉体1の幅方向である左右方向の寸法)L1は、上下2個の戸当たり部材57の厚さ寸法(左右方向の寸法)L2よりも大きくなっている。このため、操作者が前記把持部52を持って扉体1を開き移動させると、この扉体1の戸尻側の端部1Aが最初に当接するのは扉体全開保持装置70の取付部材72の保持部74となる。このとき、磁性部材である鋼鉄で形成されている扉体1は、取付部材72の保持部74に保持されているマグネット部材である磁石71に吸着した状態となる。
この後、操作者が扉体1をさらに開き移動させると、取付部材72の厚さ寸法は、軟質ゴムで形成されている弾性変形部75が弾性変形するため、次第に小さくなる。そして、扉体1がさらに開き移動し、図12に示されているように、扉体1の戸尻側の端部1Aが戸当たり部材57に当接したとき、この図12及び図13に示されているように、取付部材72の弾性変形部75の弾性変形は最大となり、取付部材72の厚さ寸法は最小となる。すなわち、扉体1の開き側の端部1Aが戸当たり部材57に当接するのは、取付部材72の弾性変形部75が弾性変形し、この取付部材72の厚さ寸法が戸当たり部材57の厚さ寸法と同じとなったときである。
この後、操作者が把持部52から手を離すと、扉体1は、前述した扉体自動閉鎖装置50により、弾性変形部75が元の形状(弾性変形する前の状態)に戻るまで若干閉じ移動する。しかし、弾性変形部75が元の形状に戻ったとき、紐状部材51が繰り出されたことにより扉体自動閉鎖装置50の渦巻きばね機構の渦巻きばねに蓄圧されたばね力(正確には、扉体を閉じ移動させるためのばね力。以下同じ)は、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力(正確には、扉体1を全開状態に保持させるための磁力。以下同じ)よりも小さくなっている。このため、弾性変形部75が元の形状に戻った以降は、取付部材72の保持部74に保持された磁石71に扉体1の戸尻側の端部1Aが吸着し続けることで扉体1の閉じ移動は阻止され、扉体1の全開状態が保持される。
このように、本実施形態では、扉体1の全開状態は、扉体1の開き側の端部1Aが戸当たり部材57に当接したときではなく、図6に示すように、扉体1の開き側の端部1Aとの当接により弾性変形した弾性変形部75が元の形状(弾性変形する前の状態)に戻るまで若干閉じ移動したときとなる。すなわち、本実施形態では、扉体1の全開位置は、扉体1の開き側の端部1Aが戸当たり部材57に当接したときの位置ではなく、この位置から若干閉じ側の位置となっている。
以上説明した本実施形態では、扉体1を全開状態に保持するための扉体全開保持装置70は、取付部材72を介して扉体1に対して不動となっている竪枠部材12に取り付けられ、磁性部材である鋼鉄で形成された扉体1が吸着するマグネット部材である磁石71となっている。
すなわち、本実施形態では、扉体1の全開状態は、前述した従来例のように、小径ローラによる被係止部材に、板ばねの折り曲げで形成されている係止部材が係止すること等により保持されるのではなく、扉体1が磁石71に吸着することにより、保持されるようになっている。
このため、本実施形態によると、扉体全開保持装置70の長期間の使用による扉体1の全開保持性能の低下が生じるおそれはより小さいものとなる。すなわち、本実施形態によると、扉体1の全開保持性能をより向上させることができる。
また、本実施形態では、扉体全開保持装置70が磁石71で構成されており、この磁石71に吸着する磁性部材を扉体1とは別に用意する必要がなく、扉体1自体を鋼鉄で形成すればよいため、扉体全開保持装置70の構造を簡単化することができ、ひいては、引戸装置全体の構造を簡単化することができる。
また、本実施形態では、磁石71は、取付部材72を介して竪枠部材12に取り付けられており、この取付部材72は、竪枠部材12に取り付けられる基部73と、磁石71を保持する保持部74と、この保持部74の両端部と基部73の両端部(図8では、扉体1の厚さ方向である左右方向の両端部)同士を連結する弾性変形部75と、を含んで構成されており、この弾性変形部75は、扉体1の開閉移動方向に弾性変形可能となっている。
このため、本実施形態によると、磁石71に扉体1の戸尻側の端部1Aが当接、吸着する際、この扉体1の戸尻側の端部1Aが磁石71から受ける衝撃力は、取付部材72の弾性変形部75が弾性変形することでより小さいものとなる。
また、本実施形態では、取付部材72の保持部74は、磁石71における扉体1と対向する面を覆っている。
このため、本実施形態によると、扉体1の戸尻側の端部1Aが磁石71に当接、吸着する際、扉体1の戸尻側の端部1Aと磁石71とが直接当接することがなくなるので、扉体1の戸尻側の端部1Aおよび/又は磁石71の損傷を防止することができる。
また、本実施形態では、竪枠部材12には、扉体1の開き移動時にこの扉体1の戸尻側の端部1Aが当接する戸当たり部材57が配置されており、図5に示すように、磁石71に扉体1の戸尻側の端部1Aが吸着する前における取付部材72の扉体1の開閉移動方向(左右方向)の寸法である厚さ寸法L1は、戸当たり部材57の厚さ寸法L2よりも大きくなっている。
このため、本実施形態によると、扉体1の開き側の端部1Aが戸当たり部材57に当接する際に受ける衝撃力は、取付部材72が戸当たり部材57よりも先に扉体1の開き側の端部1Aに当接し、この取付部材72の弾性変形部75が弾性変形することでより軽減されることになる。
なお、本実施形態では、前述したように、扉体1が全開位置に達しているときには、扉体自動閉鎖装置50が扉体1に付与する閉じ側への移動力、すなわち、扉体自動閉鎖装置50から紐状部材51が繰り出されたことにより渦巻きばね機構の渦巻きばねに蓄圧されたばね力は、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力(扉体1を吸着する力)よりも小さくなっている(後述する別実施形態に係る扉体全開保持装置においても同様)。言い換えると、扉体1が全開位置に達しているときには、この扉体1を全開状態に保持させるための磁力が、扉体自動閉鎖装置50による扉体1を閉じさせるための力よりも大きくなっている。このため、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力により扉体1の全開状態が保持されるようになっている。
また、本実施形態では、開き移動させている扉体1の開き側の端部1Aが、扉体全開保持装置70の磁石71にある程度の距離まで接近すると、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力が、扉体自動閉鎖装置50の渦巻きばねのばね力よりも大きくなり、これ以降、扉体1は、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力で開き移動するようになっている(後述する別実施形態に係る扉体全開保持装置においても同様)。ここで、「ある程度の距離」は、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力を変更することにより任意に設定できるものであり、例えば、開き移動中の扉体1の開き側の端部1Aと、扉体全開保持装置70の磁石71との距離(間隔)が約2〜3cmになると、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力が、扉体自動閉鎖装置50の渦巻きばねのばね力よりも大きくなるように設定してもよい。
一方、閉じ移動させている扉体1の開き側の端部1Aが、扉体全開保持装置70の磁石71からある程度の距離まで離れると、扉体自動閉鎖装置50の渦巻きばねのばね力が、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力よりも大きくなり、これ以降、扉体1は、扉体自動閉鎖装置50の渦巻きばねのばね力で閉じ移動するようになっている(後述する別実施形態に係る扉体全開保持装置においても同様)。ここで、「ある程度の距離」とは、前述と同様に、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力を変更することにより任意に設定できるものであり、例えば、閉じ移動中の扉体1の開き側の端部1Aと、扉体全開保持装置70の磁石71との距離(間隔)が約4〜5cmになると、扉体自動閉鎖装置50の渦巻きばねのばね力が、扉体全開保持装置70の磁石71の磁力よりも大きくなるように設定してもよい。
図14及び図15は、扉体全開保持装置70の別実施形態を示す図である。図14は、本実施形態に係る扉体全開保持装置の側面図であり、図5と同様の図である。また、図15は、本実施形態に係る扉体全開保持装置の水平断面図であり、図3と同様の図である。なお、以下に説明する各実施形態において、図1〜図13の実施形態と同じ部材、装置等には同一符号を付し、その構造、作用等の説明は省略する。
前述した図1〜図13の実施形態では、扉体全開保持装置70は、不動部材である戸尻側の竪枠部材12に配置されていたが、本実施形態では、図14及び図15に示されているように、扉体全開保持装置70は、扉体1の戸尻側の端部1Aにおける竪枠部材12と対向する面に配置されている。一方、竪枠部材12は、扉体1と同様に鋼鉄で形成されている。
本実施形態では、扉体1が全開位置まで開き移動すると、扉体全開保持装置70の取付部材72の保持部74に保持されている磁石71に竪枠部材12が吸着するので、これにより、扉体1の全開状態が保持される。
なお、図1〜図13の実施形態と同様に、本実施形態においても、磁石71に竪枠部材12が吸着する前における取付部材72の扉体1の開閉移動方向の寸法である厚さ寸法L1は、戸当たり部材57の厚さ寸法L2よりも大きくなっているため(図14参照)、扉体1を全開位置まで開き移動させた場合、まず磁石71に竪枠部材12が吸着し、この後、取付部材72の弾性変形部75が弾性変形する。これにより、取付部材72の厚さ寸法が次第に小さくなり、この厚さ寸法が戸当たり部材57の厚さ寸法と同じとなったとき、扉体1の開き側の端部1Aが戸当たり部材57に当接することになる。
以上説明した本実施形態では、扉体全開保持装置70が、扉体1の戸尻側の端部1Aにおける竪枠部材12と対向する面に配置されているため、扉体全開保持装置70の修理、交換等のメンテナンス作業を、戸袋3を分解、取り外すことなく行うことが可能となる。すなわち、本実施形態では、扉体全開保持装置70の修理、交換等のメンテナンス作業を、扉体1を全閉位置まで閉じ移動させた後、前記竪額縁部材13を取り外すこと等により行うことが可能となる。
このように、本実施形態によると、図1〜図13の実施形態と比較して、扉体全開保持装置70の修理、交換等のメンテナンス作業がより容易に行えるようになる。
図16〜図20は、扉体全開保持装置のさらなる別実施形態を示す図である。図16は、前述した図7と同様に、本実施形態に係る扉体全開保持装置170の側面図の拡大図であり、図17は図16のXVII方向矢視図(正面図)であり、図18は図17のS18−S18線断面図(縦断面図)であり、図19は図16のXIX方向矢視図(平面図)であり、図20は図17のS20−S20線断面図(水平断面図)である。
図16〜図20からわかるように、本実施形態に係る扉体全開保持装置170は、図1〜図13の実施形態と同様に、戸尻側の竪枠部材12に配置されており、磁石71と、この磁石71を竪枠部材12に取り付けるための取付部材72と、を含んで構成されている。本実施形態に係る扉体全開保持装置170が、図1〜図13の実施形態に係る扉体全開保持装置70と異なるのは、竪枠部材12への取付構造である。以下、異なる点について説明する。
本実施形態では、取付部材72の基部73は、図1〜図13の実施形態のように、金属製の板材の折り曲げで形成されている固定部材で竪枠部材12に固定されるものではなく、基部73が複数のビス等の止着具77で竪枠部材12に直接止着されるものである。
図16及び図18に示されているように、基部73における保持部74と対向する側の面73Aには、竪枠部材12側へ窪んだ円形状又は略円形状の窪み部73Bが上下方向に複数個(図示例では2個)形成されており、それぞれの窪み部73Bの中央部又は略中央部が前記止着具77で竪枠部材12に止着されるようになっている。
また、図16〜図20に示されているように、磁石71を保持している保持部74における前記2個の窪み部73Bと対向する位置には、この保持部74及び磁石71を貫通する円形状又は略円形状の貫通孔74Fがそれぞれ形成されており、これら2個の貫通孔74Fは、前記2個の窪み部73Bの直径寸法と同じ又は略同じ直径寸法を有している。
取付部材72を竪枠部材12に取り付ける場合には、まず保持部74に形成された貫通孔74Fから止着具77を挿通した後、この止着具77で基部73の窪み部73Bを竪枠部材12に止着する。
このように、本実施形態に係る扉体全開保持装置170は、取付部材72の基部73における上下2箇所で止着具77により竪枠部材12に直接止着されるようになっている。
なお、本実施形態では、図16及び図18に示されているように、取付部材72の基部73が竪枠部材12に止着しているときの2個の止着具77の頭部77Aは、それぞれ基部73に形成されている窪み部73Bに没入している。
このため、本実施形態によると、取付部材72の弾性変形部75が大きく弾性変形しても、この取付部材72の保持部74や弾性変形部75が止着具77に当接して損傷することが防止される。
したがって、本実施形態では、取付部材72を戸当たり部材として使用することができる。すなわち、竪枠部材12に配置されている戸当たり部材57を不要とすることが可能となる。
図21〜図25は、扉体全開保持装置のまたさらなる別実施形態を示す図である。図21は、前述した図7と同様に、本実施形態に係る扉体全開保持装置270の側面図の拡大図であり、図22は図21のXXII方向矢視図(正面図)であり、図23は図22のS23−S23線断面図(縦断面図)であり、図24は図21のXXIV方向矢視図(平面図)であり、図25は図22のS25−S25線断面図(水平断面図)である。
図21〜図25からわかるように、本実施形態に係る扉体全開保持装置270も、図1〜図13の実施形態と同様に、戸尻側の竪枠部材12に配置されており、磁石71と、この磁石71を竪枠部材12に取り付けるための取付部材72と、を含んで構成されている。本実施形態に係る扉体全開保持装置270が、図1〜図13の実施形態に係る扉体全開保持装置70と異なるのは、図16〜図20の実施形態と同様に、竪枠部材12への取付構造である。以下、異なる点について説明する。
図1〜図13の実施形態と同様に、本実施形態においても、取付部材72の基部73は、金属製の板材の折り曲げで形成されている上下2個の固定部材で竪枠部材12に固定されるものである。
そして、図22及び図23に示すように、本実施形態に係る固定部材276は、図1〜図13の実施形態に係る固定部材76と同様に、上下方向に延び、竪枠部材12にビス等の止着具77で止着される固定部である第1正面部276Aと、この第1正面部276Aにおける基部73側の先端から扉体1の閉じ側へ水平方向に延びる水平部276Bと、この水平部276Bの先端から基部73側へ上下方向に延び、取付部材72の基部73における保持部74と対向する側の面73Aを支持する支持部である第2正面部276Cと、を有している。第1正面部276A及び第2正面部276Cは、図1〜図13の実施形態の係る第1正面部76A及び第2正面部76Cと同じ又は略同じ形状、寸法を有している。
本実施形態では、取付部材72の基部73における第2正面部276Cにより押圧接触する部分には窪み部73Cが形成され、上下2個の第2正面部276Cはこの窪み部73Cに没入していることが、図1〜図13の実施形態と大きく異なる。
このため、固定部材276の水平部276Bの水平方向(扉体1の開閉移動方向)の長さ寸法は、図1〜図13の実施形態に係る固定部材76の水平部76Bの水平方向の長さ寸法より短くなっている。
このため、本実施形態によると、図16〜図20の実施形態と同様に、取付部材72の弾性変形部75が大きく弾性変形しても、この取付部材72の保持部74や弾性変形部75が、固定部材276の第2正面部276Cに当接して損傷することが防止される。
したがって、図16〜図20の実施形態と同様に、本実施形態においても、取付部材72を戸当たり部材として使用することができる。すなわち、竪枠部材12に配置されている戸当たり部材57を不要とすることが可能となる。
以上説明した図1〜図13の実施形態(第1の実施形態)と、第16〜図20の実施形態(第3の実施形態)と、図21〜図25の実施形態(第4の実施形態)では、扉体1全体が磁性部材である鋼鉄で形成されているものであったが、扉体1の開き側(戸尻側)の端部における磁石71と対向する部分のみを磁性部材で形成するものであってもよく、あるいは、扉体1全体を磁性部材で形成せずに、扉体1の開き側(戸尻側)の端部における磁石71と対向する部分に、扉体1とは別体である磁性部材を取り付けるようにしてもよい。
一方、図14及び図15の実施形態(第2の実施形態)では、扉体1の開き側(戸尻側)の竪枠部材12全体が磁性部材である鋼鉄で形成されているものであったが、竪枠部材12における磁石71と対向する部分のみを磁性部材で形成するものであってもよく、あるいは、竪枠部材12全体を磁性部材で形成せずに、竪枠部材12における磁石71と対向する部分に、竪枠部材12とは別体である磁性部材を取り付けるようにしてもよい。
また、以上説明した実施形態では、引戸装置の扉体の個数は1個であったが、複数個でもよい。扉体の個数が複数個である場合には、これらの扉体は、片引き式のものでもよく、引分け式のもの(例えば、左右1組の扉体により開口部が開閉されるものや、左右2組の第1及び第2扉体により開口部が開閉されるもの等)でもよい。
また、以上説明した実施形態では、引戸装置に配置されている扉体全開保持装置は1個であったが、竪枠部材12あるいは扉体1に、上下方向に複数個配置してもよい。
また、以上説明した実施形態では、扉体1の開閉移動方向は、直線方向であったが、曲線方向でもよく、これらを複合した方向でもよい。
以上説明した実施形態では、扉体1の開閉移動を案内するガイド部材は、ガイドレール45であったが、スライドレール(スライディングレール)でもよい。ガイド部材がスライドレールである場合には、係合部はこのスライドレールにスライド自在に係合するスライド部となる。
また、以上説明した実施形態において、扉体1を自動的に閉じ移動させるための扉体自動閉鎖手段は、扉体1の開閉移動を案内するガイドレール45を扉体1の閉じ側に向かって斜め下向きに傾斜させて配置したものでもよい。これによると、扉体全開保持装置による扉体1の全開保持状態が解除されたとき、全開位置に達していた扉体1は、この扉体1の自重により、傾斜したガイドレール45に案内されながら自動的に閉じ移動する。なお、この場合において、扉体1が全開位置に達していたときには、扉体全開保持装置の磁石の磁力(吸着力)が、扉体1の自重(正確には、扉体1の自重のうち、この扉体1の閉じ移動方向(斜め下向き)の成分)よりも大きくなっていることが必要となる。