JP5285984B2 - 化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、米の微粉末を疎水化処理した疎水化処理米微粉末を配合することを特徴とする化粧料に関する。
さらに詳しくは、経時での特異臭の発生を抑制するために、米微粉末を低級アルコールにて洗浄し、疎水化処理することで、特異臭の発生が抑えられ、水に対して形状変化せず、安定で感触に優れた疎水化処理米微粉末を得、それを配合することで、特異臭の発生を抑制し、化粧くずれ、色ぐすみしにくく、水使用が可能であり、感触に優れ、透明感のある化粧膜が形成でき、かつ米の自然なイメージに優れた特徴を有する化粧料に関する。
従来、米の粉を化粧料に用いることは、非特許文献1によれば、江戸時代(元禄3年)には行われていたことが判る。一方、近年天然物が注目を浴びており、油剤を中心に植物系天然物が多く化粧料に配合されるようになった。しかしながら、顔料としての天然物の利用に関しては、シルクパウダー(特許文献1、2)、麻セルロース(特許文献3)など一部を除いては、商品情報を高めるために少量配合される場合が多く、基剤として広く展開された例は少ない。これは、天然物の場合、感触が悪い、防腐性が悪い、コストが高いなどの問題も背景にある。米の粉に関しては、上記のように化粧品での歴史は大変長いものの、シルクパウダーやセルロースと比較して、水に溶けるという問題があり、化粧料用の顔料として用いると化粧が汚くくずれる等の問題があった。また、米はリノール酸など不飽和脂肪酸を含むため、除々に脂肪酸が分解され、ヘキサナール、ヘキサノールなどの短鎖のアルデヒドやアルコールが生成し、それが特異臭を呈してくるため、現代の化粧品、特にメイクアップ化粧品へ配合することは品質上問題があった。一方、顔料用途以外の米由来の原料の化粧品への応用は各種行われており、例えばコメのエキス、コメヌカ、コメヌカ油、コメワックス、ゲル化剤としてのコメ澱粉などが挙げられる。これらは本発明とは関係のない技術であるので、これらの技術を除き、米の粉自体を化粧料に配合する特許を以下に紹介する。特許文献4では、玄米粉末を含有する粉末状または顆粒状の洗浄剤組成物が開示されており、特許文献5には、アミノ変性又はアンモニウム変性高分子シリコーンとコメ澱粉を含む粉末成分を配合したボディ化粧料が、特許文献6には稲を粉砕又は破砕して得た粉末を含有することを特徴とする美白化粧料が開示されている。また、コメ澱粉を疎水化して用いている例としては、詳細は不明であるが、特許文献7〜9に、コメデンプンを含む澱粉誘導体を含む粒状の疎水性および/または疎水性化されたおよび/または油−吸収性固体物質を含む、自己発泡性および/または発泡体様の化粧品の記載がある。しかしながら、これらの文献には、米粉末配合化粧料が色ぐすみしにくく、透明感のある化粧膜を形成することなどについては述べられていない。
特開2004−250432号公報 特許第3500421号公報 特許第3492937号公報 特開2002−256287号公報 特開2000−178124号公報 特開2003−231613号公報 特表2004−521138号公報 特表2004−519499号公報 特表2004−519496号公報 ホームページ「日本の化粧文化:白肌へのあこがれページ2」、http://past.jman.jp/jman/library/kesyo/kesyo11.htm(2008年06月16日検索)
米の粉を顔料として化粧料向けに開発するためには、経時での安定性、特に、においについて安定化を図る必要がある。メイクアップ化粧料の場合、製造準備期間と品質保持期間を入れると、最大で4〜5年間原料が安定である必要がある。米には各種の抗酸化剤が含まれているが、これだけの長期になると、外部から抗酸化剤を添加するなどしないと安定性が保てないが、一方で抗酸化剤の多用は天然原料のイメージを損なう。また、水系や油性系の製剤に配合した場合に抗酸化剤が水や油に移行してしまい、米の酸化が進むといった問題も起こる。
そこで、本発明人は鋭意検討した結果、低級アルコールを用いて洗浄された米微粉末を疎水化表面処理した、疎水化処理米微粉末を配合することで、特異臭の発生を抑制し、化粧くずれ、色ぐすみしにくく、水使用が可能であり、感触に優れ、透明感のある化粧膜が形成でき、かつ米の自然なイメージに優れることを特徴とする化粧料が得られることを見出した。
すなわち、第1の本発明は、低級アルコールを用いて洗浄された米微粉末を疎水化表面処理した、疎水化処理米微粉末を配合することを特徴とする化粧料にある。
第2の本発明は、疎水化処理が、テトラエトキシシラン及びオクチルトリエトキシシランの混合物を用いて行われていることを特徴とする上記の化粧料にある。
第3の本発明は、疎水化処理米微粉末が、微粉末化、洗浄、疎水化表面処理のいずれか1つ以上の工程において、水以外の揮発性溶媒中で、湿式媒体型粉砕機を用いた粉砕処理を受けて作製されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料にある。
第4の本発明は、低級アルコールがイソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料にある。
以上説明するように、本発明は、低級アルコールを用いて洗浄された米微粉末を疎水化表面処理した、疎水化処理米微粉末を配合することで、特異臭の発生を抑制し、化粧くずれ、色ぐすみしにくく、水使用が可能であり、感触に優れ、透明感のある化粧膜が形成でき、かつ米の自然なイメージに優れることを特徴とする化粧料が得られることは明らかである。
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料は、低級アルコールを用いて洗浄された米微粉末を用いる。本発明で用いる低級アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールが挙げられるが、特にイソプロピルアルコールが特異臭の防止に効果がある。低級アルコールを用いて米微粉末を洗浄する方法としては、例えば低級アルコールと米微粉末を良く混合した後、低級アルコールと米微粉末を濾過などにより固液分離することを繰り返す方法が挙げられる。米の微粉末の作製方法としては、ジェットミルを用いる方法、ハンマーミルなどの衝撃式粉砕機を用いる方法、凍結粉砕機を用いる方法、ビーズミル、サンドミル、ペイントシェーカーなどの湿式媒体型粉砕機を用いる方法などの1種以上を組み合わせて行うことができる。例えば元の精米した米粒をジェットミルや衝撃式粉砕機にて粉砕した後、湿式媒体型粉砕機中で低級アルコールと共に粉砕を行い、固液分離し、固形分を疎水化処理する方法が挙げられる。洗浄時、粉砕時には水は用いないことが好ましい。水を用いると乾燥時に微粉末同士が結合してしまい、強い凝集体を形成してしまうこと、水を使用することにより、菌汚染についてより慎重な注意が必要になるためである。
本発明で言う疎水化表面処理としては、従来公知の表面処理方法が利用可能であるが、上記の理由で、水系の処理は凝集体を形成する傾向が強いため、なるべく溶剤または油剤を用いた湿式処理、溶媒を用いない乾式処理で処理することが好ましい。好ましい表面処理の例としては、シラン化合物処理、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、有機チタネート処理、パーフルオロアルキルシラン、反応性パーフルオロポリエーテル、フッ素化アクリレートなどのフッ素化合物による表面処理などを1種以上組み合わせたものが挙げられる。この内、特にテトラエトキシシラン及びオクチルトリエトキシシランを同時に処理するか、テトラエトキシシランを処理した後にオクチルトリエトキシシランを処理する方法が好ましい。米微粉末の表面は表面処理剤が固定化しにくく、例えば汎用されている疎水化処理剤であるアルキルシラン化合物や有機チタネートなどを単独で米微粉末に処理しようとした場合に、米微粉末を前処理しないと被覆がうまくいかず、撥水性が出てこない場合がある。この際にテトラエトキシシランなどのシラン化合物を用いると均一に被覆でき、かつ撥水性も得られるメリットがある。さらに、米微粉末をテトラエトキシシランで被覆すると、加熱処理によりテトラエトキシシランはシリカに化学変化するため、シリカが内部の米の変質を抑制するため、米の経時での変化を抑制することができる。本発明で用いる疎水化表面処理剤の、米微粉末に対する処理量は、米微粉末の質量に対する比率で1〜25質量%の範囲が挙げられる。1質量%未満であると、長期的に特異臭の発生を抑制できない場合がある。また、25質量%を超えると、米微粉末同士が結合してしまい、化粧料に配合した際に感触上の問題が発生することがある。
本発明で用いる疎水化処理米微粉末の大きさは、平均一次粒子径が20μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10μm以下である。20μmを超えると、感触が悪くなる、肌に微粉末がくっつかない、化粧料塗布時によれが発生するなどの問題が起こる。一方、微粉末は小さくなるほど水溶性が上がってくるため、平均一次粒子径は0.05μmより大きいことが好ましく、さらに好ましくは0.1μm以上である。尚、平均一次粒子径は電子顕微鏡写真、光学顕微鏡写真、粒度分布計などから求めることができる。本発明で用いる疎水化処理米微粉末は、微粉末化、洗浄、疎水化表面処理のいずれか1つ以上の工程において、水以外の揮発性溶媒中で、湿式媒体型粉砕機を用いた粉砕処理を受けて作製されていることが好ましい。例えば上記の低級アルコールを用いた洗浄時に湿式媒体型粉砕機を用いて洗浄と微粉砕を同時に実施し、ついでエタノール、米微粉末、テトラエトキシシラン、およびオクチルトリエトキシシランからなる懸濁液を作製し、溶媒を除去し、加熱してシランを反応させ、疎水化処理米微粉末を得る方法、ジェットミル粉砕した米粉末をイソプロピルアルコールと共に湿式媒体型粉砕機を用いて微粉砕し、イソプロピルアルコールと米微粉末を濾過分離した後、米微粉末とイソプロピルアルコールとテトラエトキシシラン、およびオクチルトリエトキシシランからなる懸濁液を作製し、湿式媒体型粉砕機を用いてさらに微粉砕した後、溶媒を除去し、加熱して疎水化処理米微粉末を得る方法などが挙げられる。加熱をする場合でも温度が高すぎると米の劣化が進むため、加熱時間が30分以上となる場合では、50〜130℃の範囲、好ましくは60〜110℃の範囲で30分〜24時間の範囲で加熱処理することが好ましい。尚、スプレードライヤーなどごく短時間で乾燥が終了するような場合では、米微粒子の劣化が少ないことからこの限りではない。また、一連の処理の過程で抗酸化機能を示す成分を米微粉末表面に処理することも可能である。
本発明の化粧料に用いる疎水化処理米微粉末の配合量は、化粧料の質量に対して0.1〜99質量%の範囲が挙げられ、特に疎水化処理米微粉末の透明感を製品に出したい場合では1〜70質量%の範囲で用いることが好ましい。本発明の化粧料は、上記の疎水化処理米微粉末以外に、化粧料で使用される各種の素材、例えば顔料、紫外線吸収剤、油剤、界面活性剤、フッ素化合物、樹脂、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の成分を使用することができる。
本発明の化粧料では、疎水化処理米微粉末と共に、化粧料で通常用いられる各種の表面処理顔料と組み合わせて化粧料を作製することが可能である。表面処理の例としては、フッ素化シラン処理、有機チタネート処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、アミノ酸系界面活性剤処理、シリコーン処理、アクリルシリコーン処理、N−ラウロイル−L−リジン処理、シリコーンレジン処理、レシチン処理、油剤処理などが挙げられるが、特にフッ素化シラン処理、有機チタネート処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、アミノ酸系界面活性剤処理、N−ラウロイル−L−リジン処理の1種以上から選ばれる処理の組み合わせが好ましい。
本発明で用いる顔料とは、化粧料で使用可能な顔料であれば特に限定されず、一次粒子径が1nm〜1mmの範囲にある顔料が該当し、その形状は球状、棒状、略球状、紡錘状、不定形状又は板状などのものが挙げられる。顔料の例としては、例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、タール色素、天然色素などがあげられ、具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン又はシリカなどがある。有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロンや6ナイロンなどのナイロンパウダー、ポリアクリルパウダー、ポリアクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンセン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末又はラウロイルリジンなどがある。界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウムなどがある。有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄などの無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラックなどの無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルトなどの無機緑色顔料、紺青、群青などの無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などある。パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン・酸化鉄被覆マイカなど;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダーなど;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号など;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン又はクロシンなどから選ばれる顔料が挙げられる。水溶性の色素を用いる場合では事前に層状粘土鉱物などに包摂して水不溶化したものや、金属塩にてレーキ化したものを用いる必要がある。
本発明の化粧料としては、メイクアップ化粧料、基礎化粧料、頭髪化粧料、香料、ボディ化粧料など各種の化粧料が該当するが、特にファンデーション、頬紅、白粉、フェースパウダー、口紅、アイシャドウ、アイブロー、マスカラ、ネイルカラー、ボディパウダー、サンスクリーン、デオドラント料に好適である。
本発明の化粧料の形態としては、パウダー状、乳液状、クリーム状、スティック状、固型状、スプレー、多層分離型などいずれの剤型を用いても構わない。
以下に実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔製造実施例1〕
疎水化処理米微粉末の製造
新潟製粉製米粉「きらゆき」(ケーキ用)(米粉100%品)100質量部とイソプロピルアルコール300質量部を湿式媒体型粉砕機の一種であるペイントシェーカーを用いて粉砕した。この懸濁液を濾過して得られた固形分に、再度イソプロピルアルコール150質量部を加えて粉砕し、濾過を行った。固形分に再度イソプロピルアルコール90質量部とオクチルトリエトキシシラン6質量部とテトラエトキシシラン6質量部を加え、粉砕を行った後、イソプロピルアルコールを減圧下に除去した。次いで、得られた粉末をステンレスバットに移し、送風型乾燥機にて110℃にて6時間乾燥し、疎水化処理米微粉末を得た。本品の平均一次粒子径は3μmであった。
〔製造実施例2〕
疎水化処理米微粉末の製造
新潟製粉製米粉「きらゆき」(ケーキ用)100質量部とエチルアルコール300質量部を湿式媒体型粉砕機の一種であるペイントシェーカーを用いて粉砕した。この懸濁液を濾過して得られた固形分に、再度エチルアルコール150質量部を加えて粉砕し、濾過を行った。固形分に再度エチルアルコール90質量部とテトラエトキシシラン6質量部を加えて粉砕を行った後、さらにオクチルトリエトキシシラン6質量部を加え、粉砕を行った。エチルアルコールを減圧下に除去し、得られた粉末をステンレスバットに移し、送風型乾燥機にて110℃にて6時間乾燥し、疎水化処理米微粉末を得た。本品の平均一次粒子径は4μmであった。
〔製造比較例1〕
新潟製粉製米粉「きらゆき」(ケーキ用)100質量部とアセトン300質量部を湿式媒体型粉砕機の一種であるペイントシェーカーを用いて粉砕した。この懸濁液を濾過して得られた固形分に、再度アセトン150質量部を加えて粉砕し、濾過を行った後、固形分に含まれるアセトンを減圧下に乾燥させた。ついで固形分にイソプロピルアルコール90質量部とオクチルトリエトキシシラン6質量部とテトラエトキシシラン6質量部を加え、粉砕を行った後、イソプロピルアルコールを減圧下に除去した。次いで、得られた粉末をステンレスバットに移し、送風型乾燥機にて110℃にて6時間乾燥し、疎水化処理米微粉末を得た。
〔製造比較例2〕
製造比較例1のアセトンの代わりに、n−ヘキサンを用いた以外は製造比較例1と同様にして製品を得た。
製造実施例1、2と製造比較例1、2を用いて、ガラス瓶に試料を1質量部量り取り、ここに精製水を40質量部加え、良く振とうした。30分後、ガラス瓶のヘッドスペースにたまった匂いを確認したところ、製造実施例1及び2はほぼ無臭であったのに対し、製造比較例1及び2はいずれも特異臭が強かった。
さらに、撥水化剤を処理する前の試料を作製し、それぞれ110℃6時間加熱処理した後に上記と同じように水と混合して臭いの確認を行ったところ、製造実施例1、2に準拠した試料では僅かな特異臭を示し、製造比較例1及び2に準拠した試料では強い特異臭を示した。このことから、低級アルコールによる洗浄は特異臭の発生抑制に効果的に効いていることが判った。さらに、疎水化処理によりさらに特異臭の発生が抑制されていることが判った。製造実施例1と2を比較すると、製造実施例1に準拠した試料の方が製造実施例2に準拠した試料と比べて特異臭が少なかったことから、イソプロピルアルコールによる洗浄が最も効果的であることが判った。また、製造実施例1、2の上記水分散液を室温で1ケ月保管したが、粒子の形状は変化していなかった。
〔製造比較例3〕
新潟製粉製米粉「きらゆき」(ケーキ用)100質量部とエチルアルコール150質量部、精製水150質量部とからなる懸濁液を湿式媒体型粉砕機の一種であるペイントシェーカーを用いて粉砕した。この懸濁液を濾過して得られた固形分に、再度エチルアルコール75質量部と精製水75質量部の混合溶液を加えて粉砕し、濾過を行った。固形分にエチルアルコール90質量部とオクチルトリエトキシシラン6質量部とテトラエトキシシラン6質量部を加え、粉砕を行った後、エチルアルコールを減圧下に除去した。次いで、得られた粉末をステンレスバットに移し、送風型乾燥機にて110℃にて6時間乾燥し、疎水化処理米微粉末を得た。
得られた試料は凝集が強く見られた。また、上記に従って精製水中に分散させたところ、特異臭が強く感じられた。また、撥水化剤を処理する前の試料を作製し、それぞれ110℃6時間加熱処理した後に、上記と同じように水と混合して臭いの確認を行ったところ、特異臭が強く感じられた。このことから、水が入ってくると、特異臭が除去できないだけでなく、米微粉末の凝集が発生し、化粧料用顔料としての品質が劣化することが判った。
〔製造実施例3〕
疎水化処理米微粉末の製造
新潟製粉製米粉「きらゆき」(ケーキ用)100質量部とエチルアルコール300質量部を湿式媒体型粉砕機の一種であるサンドミルを用いて粉砕した。この懸濁液を濾過して得られた固形分に、再度エチルアルコール150質量部を加えて粉砕し、濾過を行った。固形分に再度エチルアルコール90質量部とメチルハイドロジェンポリシロキサン3質量部を加え、粉砕を行なった後、エチルアルコールを減圧下に除去した。次いで、得られた粉末をステンレスバットに移し、送風型乾燥機にて120℃にて6時間乾燥し、疎水化処理米微粉末を得た。本品の平均一次粒子径は0.8μmであった。
〔実施例1〕
パウダーファンデーションの製造
表1に示す処方および製造方法によりファンデーションを製造した。尚、疎水化処理米微粉末は製造実施例1で作製したものを用いた。また、本実施例で用いたオクチルシリル化処理顔料は、各顔料をオクチルトリエトキシシランにて3質量%処理したものを使用した。表中の単位は質量%である。
Figure 0005285984
製造方法
顔料成分を粗混合した後、ミキサーを用いて均一に混合した。次に、均一に加熱溶解させた油性成分を除々に滴下し、均一になるように混合した。次いで、メッシュを通した後、金皿を用いて金型に打型して製品を得た。
〔比較例1〕
パウダーファンデーションの製造
実施例1で用いた製造実施例の疎水化処理米微粉末の代わりに、オクチルシリル化セリサイトを用いた他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
〔比較例2〕
パウダーファンデーションの製造
実施例1で用いた製造実施例の疎水化処理米微粉末の代わりに、新潟製粉製米粉「きらゆき」(ケーキ用)をそのまま用いた他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
〔実施例2〕
表2に示す処方および製造方法によりアイシャドウを製造した。尚、疎水化処理米微粉末は製造実施例3に記載したものを用いた。また、表中の単位は質量%である。
Figure 0005285984
顔料成分を粗混合した後、ミキサーを用いて均一に混合した。次に、均一に加熱溶解させた油性成分を除々に滴下し、均一になるように混合した。次いで、メッシュを通した後、金皿を用いて金型に打型して製品を得た。
〔比較例3〕
アイシャドウの製造
実施例2で用いた疎水化処理米微粉末の代わりに、ジェットミル粉砕された発芽玄米の米粉を用いた他は全て実施例2と同様にして製品を得た。
〔実施例3〕
リクイドファンデーションの製造
表3に示す処方および製造方法によりリクイドファンデーションを製造した。尚、疎水化処理米微粉末としては製造実施例1に記載したものを用いた。シリコーン処理顔料としてはメチルハイドロジェンポリシロキサン2質量%処理顔料を使用した。また、表中の単位は質量%である。
Figure 0005285984
油性成分を70℃に加熱し、ここに事前に混合しておいた顔料成分を加え、よく混合した。次いで、ここに70℃に加熱した水性成分を除々に加え、攪拌下に室温まで冷却した後、容器に充填して製品を得た。
〔比較例4〕
実施例3の疎水化処理米微粉末の代わりに、製造比較例1で作製した疎水化処理米微粉末を用いた他は全て実施例3と同様にして製品を得た。
実施例および比較例で作製した各化粧料について、女性パネラー10名を使用して、使用感に関する官能評価試験を実施した。試験はアンケート形式で実施し、各項目ごとに0から5点の間の点数をつけ、0点は評価が悪い、5点は評価が優れるとして数値化し、結果を全パネラーの平均点として表した。従って、点数が高い程評価が優れていることを示す。尚、化粧料は乳液状の化粧下地を使用してから塗布する形式で実施した。結果を表4に示す。
Figure 0005285984
表4の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて各項目において優れた性能を示していることが判る。比較例1は、疎水化処理米微粉末の代わりに、オクチルシリル化セリサイトを用いた場合の例であるが、実施例1と比較して、透明感、感触に差が大きく見られた。比較例2は、疎水化処理米微粉末の代わりに、米粉そのものを用いた場合の例であるが、米粉そのものの段階ではあまり特異臭を感じなかったものの、粉砕、混合工程を通るに従って特異臭が発生した。実施例1と比較して全ての項目で評価が悪かった。比較例3は、疎水化処理米微粉末の代わりにジェットミルで粉砕して作製した発芽玄米の米粉を用いた場合の例であるが、特異臭が強く、全ての点で実施例2に劣っていた。比較例4は疎水化処理米微粉末の代わりに製造比較例1で試作したアセトンにて洗浄した疎水化処理米微粉末の例であるが、特異臭が感じられること以外は実施例3と同等の結果となった。尚、表4において、−となっている部分は製剤特性上評価を行わなかったことを示す。
実施例1〜3の経時変化観察
実施例1〜3の化粧料を化粧料容器に入れ、40℃の恒温槽に保管し、加速試験を実施した。その結果、1〜4ケ月の範囲では特異臭は強まっていなかった。また、外観上打型面の割れ、増粘などの現象は発生しなかった。このことから、疎水化処理米微粉末は製品中でも安定性を確保していると言える。

Claims (4)

  1. 炭素数1〜4のアルコールを用いて洗浄された米微粉末を、固液分離して炭素数1〜4のアルコールを分離し、その後、疎水化表面処理を行って得た疎水化処理米微粉末を配合することを特徴とする化粧料。
  2. 疎水化処理が、テトラエトキシシラン及びオクチルトリエトキシシランの混合物を用いて行われていることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
  3. 疎水化処理米微粉末が、洗浄、疎水化表面処理のいずれか1つ以上の工程において、炭素数1〜4のアルコール中で、湿式媒体型粉砕機を用いた粉砕処理を受けて作製されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料。
  4. 炭素数1〜4のアルコールがイソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
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