JP5282412B2 - リップル検出装置 - Google Patents

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本発明は、電流に重畳するリップルを検出するリップル検出装置に関する。
ブラシを有する直流モータ(ブラシ式モータ)に駆動電圧を印加すると、モータ駆動電流(以下、「モータ電流」という)が流れることにより直流モータは回転する。このときのモータ電流には、直流モータの回転数に比例した微小な脈動成分が重畳している。この脈動成分は、電極数やブラシ位置などのモータ構造によって決まり、モータ電流リップルと呼ばれる。例えば、10極のモータで2つのブラシを有するモータ構造では、モータ1回転で20回のリップル波形が現れる。このリップルを検出してその回数をカウントすることにより、ホールセンサなどの回転センサやポテンショメータなどの位置センサを使わずに、直流モータがどれだけ回転したのかを計測することができるシステムが知られている(そのシステムの構成やリップルの発生メカニズム等については、例えば、非特許文献1参照)。
また、特許文献1には、さらにモータ端子間電圧を検出し、これとモータ電流とからモータで発生する逆起電力を推定し、さらにこれを検出したリップルの周期ごとに逆起電力の積分演算を行い、この積分結果に基づいて回転量を補正するシステムが提案されている。この場合でも、モータ電流のリップルの検出が前提となっており、これを精度良く検出することが必要となる。
モータ電流のリップルを検出する場合、一般に電気信号は電流信号のまま扱うよりも電圧信号に変換したほうが、信号入力として扱いやすく、増幅、フィルタリング、サンプリングなどの信号処理に適している。そのため、モータ電流のリップルを検出する場合、直流モータに直列に接続した電流検出(電流−電圧変換)用抵抗Rsによって、モータ電流が変換された電圧信号が検出回路に入力される。抵抗Rsにモータ電流が流れると、電圧降下が発生し電力を損失するため、この電力損失と発熱を抑えるために、抵抗Rsによる電圧降下直流分を例えば数百mV程度あるいはそれ以下に抑えることが一般には望ましい。一方で、リップルの振幅は、モータ電流直流分の数十分の一程度しかないことが多く、電圧換算すると一般には数mV程度しかない。
検出したモータ電流信号には、直流電流分、検出すべきリップル成分及びこの高調波(あるいは、モータ構造によっては低調波)、並びに雑音などが含まれている。特に、ブラシ式モータでは、ブラシと回転部であるコンミテータとは機械的に互いに接触しながらモータ回転に伴い摩擦するため、機械接点によるチャタリングやアーク放電などによる高周波雑音が重畳する。さらに、これを検出回路で信号処理する場合、回路系のDCオフセットやフリッカ雑音、熱雑音なども含まれることになる。この中からリップル検出に必要な周波数成分だけを検出するには、直流成分や雑音を含む不要な低周波・高周波成分を除去するため、ハイパスフィルタ(HPF:High Pass Filter)やローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)などのフィルタが必要となる。
従来、リップル検出用のカットオフ周波数可変機能をもつフィルタ手段として、スイッチトキャパシタフィルタ(SCF:Switched Capacitor Filter)を用いたものが提案されていた(例えば、特許文献2,3参照)。
SCFでは、カットオフ周波数f0とサンプリングクロック周波数fsは比例関係にある。SCFのサンプリングクロック周波数fs(以下、サンプリング周波数fs)を変化させてHPF及びLPFのカットオフ周波数f0を制御し、モータ電流値、その立ち上がり、電源電圧及び検出したリップル周波数に応じて、フィルタ通過域を常にリップルを検出しやすい領域に適用制御することができることが知られている。
ここで、SCFは、入力と出力を含む内部信号がサンプリングクロックに同期して動作する離散時間信号処理系であるため、エイリアシング(折返し雑音)を防ぐために、各SCFの入力の前に、サンプリング周波数fsの半分(fs/2)以上の周波数成分を除去する目的で、アンチエイリアシングフィルタが必要となる。アンチエイリアシングフィルタは、抵抗とキャパシタとのRC構成を含むアナログLPFである。
エイリアシング(Aliasing;折返し雑音)とは、離散時間サンプリング系において、入力される連続時間信号にサンプリング周波数fsの半分(fs/2、ナイキスト周波数ともいう)よりも高い周波数成分が含まれている場合に、fs/2を境に低周波側に折り返された雑音をいう。これが信号周波数帯域に折り返されると、以降のフィルタで取り除くことは不可能で、信号成分と区別ができなくなり、SN比が悪化してしまう。
アンチエイリアシングフィルタは、サンプリング時に検出すべきリップル成分を減衰しないように、そのカットオフ周波数f0aafを、リップル検出に必要な周波数成分の最高値fripple maxよりも十分高く設定する必要がある。一方で、fs/2以上の周波数成分を十分減衰してエイリアシングを防ぐために、f0aafはfs/2よりも十分低くなければならない。つまり、アンチエイリアシングフィルタのカットオフ周波数f0aafは、
ripple max≪f0aaf≪fs/2 ・・・(1)
という条件(1)を満たす必要がある。
一般に、SCFのサンプリング周波数fsは、数十kHz〜数MHzである。アンチエイリアシングフィルタのカットオフ周波数f0aafは、サンプリング周波数の半分(fs/2)よりも十分低く、つまり数十kHz以下に設定する必要があるため、抵抗値あるいはキャパシタ容量値が大きくなって、通常のICプロセスではIC内部に集積化できるサイズとはならない。このため、抵抗とキャパシタは外付けにならざるを得ず、フィルタ特性は固定となる。通常、外付けの抵抗とキャパシタ素子の数が少なくなるように1〜2次の低次LPFを構成することが望ましいが、低次フィルタでは急峻な減衰特性が得られないため、カットオフ周波数f0aafをfs/2よりも十分に低く設定して、fs/2よりも高い周波数成分を十分に減衰させる。
図12は、カットオフ周波数可変機能を持つフィルタとしてSCFを使ったリップル検出システムの構成例である。図12では、説明の簡単化のため、信号処理がシングルエンド系であって直流モータ1のモータ電流の検出抵抗Rsの一方の端子が接地した構成を示したが、信号処理が全差動系であっても、検出抵抗Rsが接地されていない構成であってもよい。また、フィルタ入力の前に、増幅器(前置きアンプ)を置いてもよいが、後述のリップル検出装置との比較のため図示を省略している。
リップル検出ロジック部3は、非特許文献1などにも記載されているように、外部条件及び検出したリップルなどに基づいて、SCF2のカットオフ周波数が最適になるようにサンプリングクロックを発生させて、そのサンプリングクロックをSCF2に入力し、SCF2のカットオフ周波数を変化させるフィルタ特性制御を実行する。SCF2に含まれるHPF2aとLPF2bのそれぞれのサンプリングクロックは、各フィルタのカットオフ周波数の制御のために独立に可変制御される。
自動車技術学会2002年春季大会前刷集「299 センサレス方式メモリシート開発 −DCモータ電流リップルを用いた位置制御−」 特開2005−323488号公報 特開2000−114962号公報 特開2005−261134号公報
しかしながら、カットオフ周波数の可変機能を持つフィルタとしてSCFを使用した場合、図12に示されるように、複数のアンチエイリアシングフィルタが各SCFの前後に必要となる(図12の構成の場合、3つのアンチエイリアシングフィルタ4a,4b,4cが必要)。
SCFは、クロックに同期してサンプリングと積分演算を繰り返しながら出力が階段状に変化するため、SCFの出力波形にはクロックチャージインジェクションノイズを含む高周波ノイズやクロックの高調波など、サンプリング周波数fsより高い周波数成分を本質的に含んでいる。したがって、HPFとLPF、一般に2つ以上のSCFを使って両者独立にカットオフ周波数f0を可変させる場合、それぞれのSCFは独立にサンプリング周波数fsが変化するため、両者を直結すると、前段のSCFの出力の高周波成分を後段のSCFがサンプリングしてエイリアシングを起こし、SN比が著しく悪化してしまう。これを避けるためには、前段のSCFの出力の高周波ノイズあるいは高調波が後段のSCFに入力される前に除去する必要がある。そのため、2つのSCFの間にも、上記の条件(1)を満たす、RCを含むアンチエイリアシングフィルタが必要となる。さらに、この後段のSCFの出力の後に、コンパレータやAD変換器などを接続してリップル検出を行う場合、SCFの出力の高周波成分を除去するために、やはりフィルタが必要となる(図12の場合、フィルタ4cに相当)。結局、上述のように、複数の独立サンプリングの各SCFの前後には、全てフィルタが必要となる。例えば、独立にカットオフ周波数を可変制御できるSCFとして、HPFとLPFの2つのフィルタを使う場合には、アンチエイリアシングフィルタが3個必要となる。
その結果、これらのフィルタの存在によって、リップル検出のための回路の小型化に限界があった。特に、回路の集積化をする場合、抵抗とキャパシタを含むこれらのアンチエイリアシングフィルタはICの外付け部品となるため、回路の集積化に限界があった。
そこで、本発明は、リップル検出のための回路を小型化した、リップル検出装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るリップル検出装置は、
モータの波形に重畳するリップルを検出するリップル検出装置であって、
前記波形のアナロクデータを前記リップルの周波数以上の周波数でオーバサンプリングしてデジタルデータに変換するAD変換器と、
前記デジタルデータが入力される、フィルタ特性が可変のデジタルフィルタと、
前記デジタルフィルタのフィルタ係数を変化させることによって前記フィルタ特性を前記リップルの検出に最適な特性にするフィルタ特性制御手段とを備えることを特徴とする。ここで、前記AD変換器は、デルタシグマ型のAD変換器であると好ましい。
また、前記デジタルフィルタは、サンプリング周波数を固定のままフィルタ係数を変えることによってそのフィルタ特性が変化するフィルタであると好ましい。
また、前記デジタルフィルタは、ローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタは、
入力信号に第一フィードバック項を減算したものを出力する第一減算器と、
前記第一減算器の出力信号に第一フィルタ係数を乗算したものを出力する第一乗算器と、
入力信号を所定のサンプリング時間遅延したものを出力する第一遅延器と、
前記第一遅延器の出力信号に前記第一乗算器の出力信号を加算したものを出力し、これを前記第一遅延器に入力する第一加算器と、
前記第一加算器の出力信号に前記第一フィードバック項を減算したものを出力する第二減算器と、
前記第二減算器の出力信号に第二フィルタ係数を乗算したものを出力する第二乗算器と、
入力信号を所定のサンプリング時間遅延したものを前記第一フィードバック項として出力する第二遅延器と、
前記第二遅延器の出力信号に前記第二乗算器の出力信号を加算したものを出力し、これを前記第二遅延器に入力する第二加算器とを具備すると好ましい。ここで、前記第一フィルタ係数k1及び前記第二フィルタ係数k2が、サンプリング周波数fs,クオリティファクタQ及びカットオフ周波数f0の要求値に対し、
=(2π・Q)・(f0/fs)
=(2π/Q)・(f0/fs)
k1=K(1−(K ・K )/12
k2=K(1− /2+K /6
で表される演算式で可変すると好適である。
また、前記デジタルフィルタは、ローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタは、通過域において概略線形位相特性を有すると好ましく(厳密な線形位相特性でなくてもよいため)、例えば、Bessel特性が挙げられる。
また、前記デジタルフィルタは、ハイパスフィルタを備え、該ハイパスフィルタは、1次のフィルタ特性を有すると好ましい。
なお、前記デジタルフィルタのフィルタ特性として、例えば、カットオフ周波数やクオリティファクタが挙げられる。
本発明によれば、リップル検出のための回路を小型化できる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。本発明に係るリップル検出装置の一実施形態であるモータ用リップル検出装置について説明する。モータ用リップル検出装置は、ブラシを有する直流モータ(例えば、車両のシート用モータなどの位置検出と位置制御が必要な電動モータ)のモータ電流に重畳する微小な電流リップル成分を検出する装置である。モータ用リップル検出装置は、例えば、ホールセンサなどの回転センサやポテンショメータなどの位置センサを使わずに、モータ回転を検出してその回転回数を計測するために使われる。検出された電流リップルに基づいてモータ回転回数が計測されたり、さらにモータ端子間電圧等を組み合わせて検出することによってモータ回転回数が推定されたりする。
図1は、モータ用リップル検出装置100Aの構成図である。モータ用リップル検出装置100Aは、直流モータ1を流れるモータ電流Iを検出するための検出抵抗Rsと、検出抵抗Rsによって検出されたアナログデータをデジタルデータに変換するAD変換器10と、AD変換器10によって変換されたデジタルデータのフィルタリング処理を行うデジタルフィルタであってフィルタ特性(例えば、カットオフ周波数f0,クオリティファクタQ)の可変機能を備えた可変特性デジタルフィルタ20と、可変特性デジタルフィルタ20の出力値に基づいてモータ電流Iに含まれるリップルの検出データを出力するリップル検出ロジック部30とを備える。
また、モータ用リップル検出装置100Aには、検出抵抗RsとAD変換器10との間にアンチエイリアシングフィルタ40が備えられている。アンチエイリアシングフィルタ40は、AD変換器10でのサンプリングが行われる前にサンプリング周波数fsの半分(fs/2)よりも高い周波数成分を除去するためのLPFである。
モータ用リップル検出装置100Aの各構成について説明する。
検出抵抗Rsは、モータ電流を検出できるように、直流モータ1に直列に接続されるとよい。つまり、検出抵抗Rsの一端がグランドに接続されてもよいし、例えばHブリッジ構成のモータ駆動のようにグランドに接続されていなくてもよい。
検出抵抗Rs及びアンチエイリアシングフィルタ40、並びにAD変換器10のアナログ回路部分は、シングルエンド系であっても、全差動系であってもよい。特に、高精度の信号処理が要求される場合には、コモンモードノイズをキャンセルできる全差動回路構成を採用するとよい。
AD変換器10は、検出抵抗Rsによって検出されたアナログデータをオーバサンプリング(例えば、リップル検出に必要な周波数の2倍よりもさらに高いサンプリング周波数でサンプリング)することによって、当該アナログデータをデジタルデータに変換して出力する装置である。オーバサンプリングの周波数は、検出すべきリップルの周波数として想定される周波数以上に少なくとも設定される。このオーバサンプリングを行うことによって、サンプリング時に発生するAD変換器の雑音も従来のSCFを用いてリップルを検出する場合に比べて小さくできる。AD変換器10は、当該アナログデータの振幅値(電圧値)を表すオーバサンプリングデータを出力する。
可変特性デジタルフィルタ20のフィルタ特性は、例えばそのフィルタ係数を変化させることによって可変する。可変特性デジタルフィルタ20は、HPF20aとLPF20bとを備える。HPF20aとLPF20bの順序は逆にしてもよい。前段にHPFを置いて直流分を含む大振幅低周波分を先に除去したほうが、信号処理の初期の段階で振幅を小さくできるため、以後のデジタル処理のビット長を小さくでき、全体のデジタル回路規模を小さくできる。なお、HPFを分割して、HPF,LPF,HPFという順序構成としてもよい。また、LPFを分割して、LPF,HPF,LPFの順序構成としてもよい。さらには、HPFとLPFのいずれにも、フィルタ特性の可変機能を持たせる必要はなく、いずれかのフィルタのフィルタ特性を固定特性としてもよい。
可変特性デジタルフィルタ20の具体例として、有限長インパルス応答フィルタ(FIR(Finite Impulse Response)フィルタ)、無限インパルス応答フィルタ(IIR(Infinite Impulse Response)フィルタ)、後述のデジタルフィルタが挙げられる。
リップル検出ロジック部30は、適切な所定のリップル検出ロジックに従って、可変特性デジタルフィルタ20の出力値に基づいて、モータ電流Iに重畳するリップルを検出する。リップル検出ロジックの詳細説明については省略する。また、リップル検出ロジック部30は、可変特性デジタルフィルタ20のフィルタ特性がリップルの検出に最適な特性となるように、モータ作動電流や作動電圧や可変特性デジタルフィルタ20の出力値に基づいて、可変特性デジタルフィルタ20のフィルタ係数を可変するフィルタ特性制御を実行する。また、例えば、リップル検出ロジック部30は、検出されたリップルの周波数の所定の倍数(例えば、2倍)の周波数にカットオフ周波数が設定されるようにフィルタ特性の制御を実行してよい。また、リップル検出ロジック部30は、可変特性デジタルフィルタ20の出力値に基づいてモータ電流Iに含まれるリップルを表す検出値(例えば、パルス成形回路によって成形されたパルス信号)を出力する。当該検出値に基づいて、不図示のマイクロコンピュータ等の演算装置が、直流モータの回転数を計測する。
すなわち、モータ用リップル検出装置100Aでは、モータ電流Iが、その電流経路に挿入した検出抵抗Rsにより電圧に変換され、さらにAD変換器10によってオーバサンプリングしてデジタルデータに変換される。このデジタルデータ化されたモータ電流信号に対して、フィルタ特性可変機能を持つ可変特性デジタルフィルタ20をモータ電流Iのリップル検出に最適なフィルタ特性となるように適応制御をしながらフィルタリング処理を行うことによって、検出に必要な周波数成分以外の雑音成分が除去される。そして、可変特性デジタルフィルタ20の出力データから、リップル検出ロジック部30により、モータ電流Iに含まれるリップルが検出される。
このように、AD変換器10以降の後段では、全てデジタル信号処理によってリップル検出が行われるため、従来技術のようなSCFなどのアナログ回路が不要になるとともに、SCF前後の外付けローパスフィルタが不要となる。
したがって、モータ用リップル検出装置100Aによれば、AD変換器10以降の後段の回路を全てシングルチップに集積化することができる。また、デジタルフィルタにおいては、SCFの持つクロックチャージインジェクションを含む高周波ノイズ等の問題は生じない。また、2つ以上の異なるデジタルフィルタを直結しても、それらの間にエイリアシングを発生しないようにすることは、設計次第で十分実現可能である。SCFを使った構成では、クロックに同期した高周波成分を除去するために、個々のカットオフ周波数可変フィルタの前後に、外付け素子(抵抗とキャパシタ)を含むアンチエイリアシングフィルタが必要であったが、デジタルフィルタではフィルタ間の外付け素子等を必要とせずにシステムを実現できる。外付けフィルタを必要とする箇所は、AD変換器10の入力側の一箇所のみである(図1の場合、アンチエイリアシングフィルタ40に相当)。このため、ICのピン数と外付け素子を削減し、アンチエイリアシングフィルタ40を除くAD変換器10以降の回路を全て集積回路化(IC化)でき、システムの小型化と低コスト化が可能となる。
また、モータ用リップル検出装置100Aによれば、デジタルフィルタ化によって、フィルタ演算コアを共用化することができ、低コスト化も可能となる。例えば、カットオフ周波数可変フィルタとして8次LPFを使う場合、8次LPFは、2次LPF(バイカッドLPF)を4個接続した縦続形構成(cascade-form realization)にする。SCFの場合、個々のフィルタ回路の共用化は困難で2次LPFを4回路配置するため、チップ面積が大きくなってコスト高となる。一方、デジタルフィルタの場合、CMOSの微細化とともに集積化が容易であることに加えて、1個のデジタルフィルタ演算コアを入力とフィルタ定数を変えて時分割で使うことができ、演算コアを共用できる。例えば、8次のLPFであっても、2次LPF演算コア1回路を使って、入力とフィルタ定数を変えて演算を繰り返せばよいため、演算コアは1回路で済み、回路を簡単化できる。
また、モータ用リップル検出装置100Aによれば、高精度で高周波のリップルを検出することができる。デジタルフィルタにおいては、SCFの持つクロックチャージインジェクション等の高周波ノイズ、サンプリング時に発生する熱雑音電圧(いわゆる、kT/Cノイズ)の問題は皆無である。デジタルフィルタには完全な再現性があり、演算誤差は設計(演算ビット長)次第で、無視できる量まで小さくできる。このため、SCFを使った構成に比べて、格段に高精度な演算、そしてリップル検出を行うことが可能となる。近年、CMOSプロセスの微細化により、大規模なデジタル回路であっても、容易にシングルチップ化できるようになった。デジタルフィルタの演算ビット長が例えば32ビットの高精度なものであっても、デジタル回路であるため、CMOSプロセスの微細化に伴って、チップ面積を小さくでき、十分に高精度かつ低コストのシステムが実現できる。
また、SCFでは外付けRCフィルタが3組必要で、全差動回路系を採用するとシングルエンド系に比べて外付け部品点数が増加してしまうという欠点があった。しかしながら、モータ用リップル検出装置100Aによれば、外付けRCフィルタはアンチエイリアシングフィルタ40の一組のみであるので、全差動構成を採用しても外付け部品の増加を最小限に抑えることができる。
続いて、モータ用リップル検出装置100Aと同様の効果が得られる変形例について説明する。本変形例について、モータ用リップル検出装置100Aと同様の部分については、説明を省略する。
図2は、モータ用リップル検出装置100Aの第1の変形例である。図2に示されるモータ用リップル検出装置100Bは、検出抵抗RsとAD変換器10との間に増幅器(前置きアンプ)50を備えたものである。増幅器50の前段又は後段に、アンチエイリアシングフィルタを含むフィルタが置かれる。あるいは、増幅器50が、フィルタと増幅器とを組み合わせたアクティブフィルタとしてもよい。増幅器50による増幅によって、検出抵抗Rsによる微小電圧の検出による誤検出を防止することができる。
図3は、モータ用リップル検出装置100Aの第2の変形例である。図3に示されるモータ用リップル検出装置100Cは、図1に示されるAD変換器10としてΔΣ(デルタシグマ)変調器11を備えたΔΣ(デルタシグマ)型AD変換器を用いたものである。デルタシグマ変調器は、14ビット以上の高分解能を実現するAD変換器アーキテクチャである。入力信号をデルタシグマ変調器で通常1ビットデジタル信号に変換し、これにデジタルフィルタ処理を施すことにより、高精度なAD変換出力が得られる。例えば、2次デルタシグマ型AD変換器において、オーバサンプリングレシオを500以上とれば、16ビット超、数十μV以下の分解能は十分に実現可能となる。
また、モータ用リップル検出装置100Cは、デルタシグマ変調器11と可変特性デジタルフィルタ20との間に固定のフィルタ特性を有する固定特性デジタルフィルタ60を備えてよい。また、固定特性デジタルフィルタ60でのフィルタ後に一定のデータ間隔の間引き処理(デシメーション)を行ってもよい。特に、固定特性デジタルフィルタ60として移動平均フィルタを適用すると、回路規模を抑えた効率的なデシメーション処理を行うことができる。例えば、4MHzの1ビットデータを全て処理するのは負荷が高いとして、64分の1の62.5kHzにデシメーション処理を行う。
図4は、図3のモータ用リップル検出装置100Cの具体例である。図3に示された各構成は、アンチエイリアシングフィルタ40と検出抵抗Rsとを除いて、集積化されている。
デルタシグマ変調器11は、1ビットのデジタルデータ列を出力する。これにデジタルフィルタ61が移動平均フィルタ処理を行ってマルチビットデータに変換した後に間引き(デシメーション)処理を行うことによって、これ以降の演算の内部処理周波数を下げる。これ以降のデジタルフィルタ演算処理量を下げてその後の回路規模を簡単化することができる。この後、可変特性デジタルフィルタ20において、リップルが検出しやすいように、HPF20aとLPF20bのカットオフ周波数f0を可変させるデジタルフィルタ処理が施される。このデジタルフィルタ処理が施された後、可変特性デジタルフィルタ20の出力データに基づいて、リップル検出ロジック部30において、モータ電流Iに重畳されるリップルが検出される。
また、HPF20aでのフィルタ処理を通す前の値(例えば、デジタルフィルタ60のマルチビットデータ)からモータ電流の直流値を測定できる。このモータ電流の直流値から、直流モータ1に接続されている負荷の大きさなどを推定できる。
また、カットオフ周波数f0が可変するLPF20bの出力データは、帯域が十分狭くなっているため、さらに間引き処理を行ってからリップル検出ロジック部30に出力されてもよい。このことにより、リップル検出ロジック部30の演算量を下げることができ、リップル検出ロジック部30の簡単化や小規模化が可能となる。
また、リップル検出ロジック部30に対する可変カットオフ周波数f0の初期値の設定は、モータ電流の直流値、電源電圧、その他外部条件により行うこともできる。その後は、これら初期条件、検出したリップル、その周波数、波形、リップル検出の安定性から、リップル検出ロジック部30は、リップル検出にとって最適条件になるように可変特性デジタルフィルタ20のカットオフ周波数f0を制御する。
また、デルタシグマ変調器11と、固定特性デジタルフィルタ60と、可変特性デジタルフィルタ20と、リップル検出ロジック部30とは、一つのチップ上で構成可能であるが、可変特性デジタルフィルタ20は、別チップのプロセッサでもDSPなどによって構成されてもよい。同様に、リップル検出ロジック部30を別チップで構成してもよい。
図5は、デルタシグマ変調器11の詳細な構成例である。図5のデルタシグマ変調器11は、2次の全差動回路の構成をしており、スイッチトキャパシタ積分器2回路とコンパレータとを構成している。この構成の場合の回路規模は、コンパレータと若干のスイッチ及びキャパシタを2次SCFに追加する程度である。したがって、高次のSCF回路に比べて、格段に小回路規模で実現できる。
1段目の積分器のサンプリングキャパシタCs11とCs12でサンプリングした入力Vin+とVin−を、Cs11とCs12を単純ショートすることによって、積分キャパシタCf11とCf12に転送する。これにより、モータ電流Iの検出抵抗Rsのコモンモード電圧を除去している。サンプリングキャパシタCs11,Cs12に加えて、基準電圧の加減算用にキャパシタCref11,Cref12が接続されている。「Cref/Cs」により「入力電圧フルスケール/基準電圧」を設定できる。例えば、これを「1/4」に設定すると、『基準電圧Vref=(Vref+)−(Vref−)=5V』では、入力電圧フルスケールは±1.25Vとなる。2段目の積分器についても同様である。
したがって、モータ用リップル検出装置100Cによれば、必要なアナログ回路はデルタシグマ変調器11(オペアンプによるスイッチトキャパシタ積分器とコンパレータ)のみのため、従来技術に比べ、アナログ回路を抜本的に簡素化できる。
また、従来、デルタシグマ型AD変換器を採用する場合、デルタシグマ変調器に加えて、デルタシグマ変調器の出力(通常、1ビットのデジタルデータ列)から検出に必要な高分解能マルチビット(例えば、16ビット)データを得るために、デルタシグマ変調器の後段にデジタルLPF(デシメーションフィルタ)が必要であった。このデシメーションフィルタがかなり大規模なデジタル回路となって、相当のチップ面積を占有する場合があった。しかし、モータ用リップル検出回路100Cによれば、このデシメーションフィルタを可変特性デジタルフィルタ20のLPF20bと兼用できる。言い換えると、デルタシグマ型AD変換器で必要であった後段デシメーションフィルタを大幅に緩和できる。または、事実上不要となる。このため、回路効率が良く全体の回路構成が小さくなり、小チップ面積で低コストのシステムが実現できる。
ところで、可変特性デジタルフィルタ20は、SCFのようにサンプリングクロックを変化させるのではなく、サンプリング周波数fsを固定したままフィルタ係数を変えることによってフィルタ特性が可変するフィルタであると好適である。
サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数を変化させることによりカットオフ周波数f0を可変することで、サンプリング周波数fsは、ひいてはナイキスト周波数fs/2は、カットオフ周波数f0の可変範囲と無関係に、回路性能の許す範囲内で最大限、常時安定的に高く設定することができる。このサンプリング周波数fsの制限は、回路上の動作スピードや消費電流等、単に回路性能上の制約だけとなる。したがって、エイリアシングにより折り返される不要な高周波成分(fs/2以上の成分)を十分広域に持っていくことができ、リップル検出に必要な最高周波数fripple maxとfs/2の比が大きくなるため、簡単な低次の(それほど急峻な特性ではない)外付けLPFにより、容易にエイリアシングを除去できるようになる。言い換えると、AD変換器のアンチエイリアシングフィルタとして1次乃至2次の低次のフィルタで、エイリアシングによって折り返される不要な高周波成分は十分減衰されるため、外付けのアンチエイリアシングフィルタ回路を簡単化できる。そして、SCFのようにサンプリングクロック周波数を変える必要がないため、エイリアシングの問題なく、低周波から高周波まで広範囲にわたって、カットオフ周波数f0を変化させられることができる。すなわち、検出周波数領域を大幅に広げることができる。
また、SCFでは、リップル周波数が低く、フィルタのカットオフ周波数f0を下げる場合には、サンプリング周波数fsを下げる必要があり、この時、エイリアシングによって、折返し雑音が増してしまう。しかしながら、サンプリング周波数fsを固定したままフィルタ係数を変化させることによってカットオフ周波数f0を可変することで、カットオフ周波数を低くしても、サンプリング周波数fsは一定であるため、折返し雑音は全く増加しない。むしろ逆にデジタルLPFのカットオフ周波数f0を低くして検出帯域幅を小さくできるため、雑音帯域も狭くなって(あるいはオーバサンプリングレシオが大きくなって)雑音電圧が小さくなり、小振幅のリップルをより高精度に検出することができるという特有の効果がある。
また、サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数を変化させることによってカットオフ周波数f0が可変する可変特性デジタルフィルタ20は、線形位相特性を持つフィルタ用いたもの、あるいはフィルタ通過域が擬似的に線形位相特性とみなせるフィルタを用いたものが好適である。特に、LPFとして、Bessel特性LPFを用いたものがよい。
リップルに機械接点からの接触雑音を含む高周波雑音が重畳している場合など、波形認識・検出システムで用いるフィルタは、元のリップル波形をできるだけ維持したまま、不要な信号帯域外雑音を除去できるフィルタ、つまり「位相歪み」やオーバシュートを起こさないフィルタを用いると、その後のリップル検出を行いやすい場合がある。これは、リップル検出の信号処理には、波形形状・振幅の認識、波形ピーク位置の検出、波形パターンの学習や自己相関性演算などを含む場合があり、これらは全体の波形形状がフィルタ特性によって変化しないことを前提としているからである。言い換えると、逆にフィルタ特性やフィルタカットオフ周波数制御処理によって位相歪みやオーバシュートが発生してリップル波形が変形すると、リップル波形の形状検出が難しくなるからである。
ここで、「位相歪み」について簡単に説明する。一般に、フィルタでは、遅延時間(位相遅延)が周波数によって変化する。このため高調波・低調波を含む波形をフィルタに通すと、相互位相関係にずれが生じ、入力の波形形状が維持されず変形してしまう。このフィルタの「位相―周波数」特性によって発生する波形形状の歪みを「位相歪み」という。逆に、遅延時間が周波数によらず一定のフィルタ特性は「線形位相特性」と呼ばれる。完全な線形位相特性は、アナログフィルタ又はデジタルIIRフィルタでは実現不可能で、デジタルFIRフィルタでのみ実現できる。
デジタルフィルタとして、FIRフィルタを用いれば、完全線形位相特性を持つフィルタが実現できるが、フィルタ係数と乗算処理が多くて演算処理量が多く、回路規模が大きくなってしまう。さらに、これを可変フィルタ特性にするためには、適応フィルタ処理などの技術を使った膨大な演算処理を行う必要があり、高コストになってしまう。
一方、IIRフィルタでは、フィルタ係数や演算処理量が少ないという長所を持つが、完全な線形位相特性は実現できない。フィルタ特性によって程度の差はあるが位相歪みやオーバシュートを発生し、これらが大きいと後段におけるリップル検出が難しくなる。
電流リップル検出にとって最適なフィルタ特性について、リップル波形形状を擬似した様々な信号入力でシミュレーション検討をした結果、全体フィルタ特性を線形位相特性とし、かつ振幅特性を急峻な減衰特性とするのではなく、適切に減衰特性を抑えてこれを最適化すると、オーバシュートが十分小さく抑えられ、フィルタリング後のリップル波形形状の検出が極めて容易となり、高精度なリップル検出が可能となることを見出した。
さらに、可変特性デジタルフィルタ20がIIRフィルタであっても、LPFをBessel特性とすると、位相歪みやオーバシュートを十分に小さく抑えられ、高精度なリップル検出が可能となることを、同様にして見出した。
図8は、正弦波(基本正弦波)とさらにその半分の周波数の正弦波(1/2倍低調波)を重ねた合成波を入力として印加した場合の、入力波形とフィルタ出力である。ここで、基本正弦波と1/2低調波のそれぞれの振幅比は1:1に設定している(全体としては、ローマ字のW字形状の繰り返しとなっている)。横軸でフィルタのカットオフ周波数f0を変化させており、カットオフ周波数f0と基本正弦波の周波数fripple(固定)との比f0/frippleを1.5から0.5まで変化させている。6次Butterworth特性では、カットオフ周波数が入力波形の周波数に近づくと、位相歪みが発生して波形形状(W形状)が変化していき、カットオフ周波数制御とともに元の波形形状を維持できなくなる(入力波形と出力波形のピークの位置関係がずれている)。この位相歪みは、さらに急峻なカットオフ特性を持つChebyshev特性フィルタでは、さらに大きくなる(図省略)。一方、6次Bessel特性では、カットオフ周波数f0は広い範囲にわたって変化させても、波形形状が維持されている(入力波形と出力波形のピークの位置関係がほぼ一定に保たれている)。つまり、位相歪みを起こすことなくカットオフ周波数制御が可能で、波形形状を維持したまま、高周波成分のみを減衰させられる。
図9は、方形波状の波形をフィルタに入力した場合である。6次Butterworth特性では、方形波のような高調波の多い波形を入力した場合、オーバシュートあるいはリンギング状の波形が現れる。このフィルタ出力に対してリップル検出を行うと、オーバシュートを一つのリップルと認識するおそれがあり、リップルを誤検出するおそれがある。一方、6次Bessel特性ではオーバシュートはほとんど無く、1%程度である。また、同様に、位相歪みを発生することもなく、全体の波形形状を維持したまま、高周波成分を減衰させられる。
さらに、SCFを使った構成では、外付けRCフィルタを多段縦続接続する必要があり、且つ外付けフィルタのカットオフ周波数f0aafとリップル検出に必要な最高周波数fripple maxを近づけざるを得ないため、外付けフィルタによる位相歪みが避けられず、全体フィルタ特性を線形位相にすることは極めて困難であった。
しかしながら、本実施例の構成では、外付けフィルタは初段AD変換器10のアンチエイリアシングフィルタの一段のみであり、位相歪みは多段外付けフィルタが構成された場合に比べ、本質的に小さくなっている。それに加えて、サンプリング周波数fsを安定的に高く設定することによりエイリアシングを除去できるため、アンチエイリアシングフィルタのカットオフ周波数f0aafを、リップル検出に必要な最高周波数fripple maxよりも十分高く設定でき、この部分における位相歪みを無視できる量まで小さくすることができる。
したがって、可変特性デジタルフィルタ20を線形位相特性にすることによって、全体フィルタ特性を線形位相特性に保つことができる。特にLPFをBessel特性にすると、線形位相特性に加えて、方形波状の波形入力に対してもオーバシュートが十分小さいという特徴があるため、リップル検出で用いるような波形ピークの検出を精度良く行うことができる。
また、Bessel特性LPFは、高次(例えば、6次以上)のものであれば、通過域はほぼ線形位相特性となる。一方、Butterworth特性やChebyshev特性などのフィルタ特性のように急峻な減衰特性ではないため、Bessel特性では高周波雑音を十分減衰できない。SCFはクロックに同期してサンプリングと積分演算を繰り返しながら出力が階段状に変化するため、SCFの出力波形にはクロックチャージインジェクションノイズを含む高周波ノイズなどの高い周波数成分を本質的に含んでいる。このため、急峻な減衰特性ではないBessel特性LPFを採用すると、帯域外雑音を十分減衰できず、SN比が悪くなってしまうという背反があった。
しかし、デジタルフィルタを使った本発明に係る実施例の構成においては、この帯域外雑音の問題を大きく改善することができる。すなわち、SCFの持つクロックチャージインジェクションノイズ等の高周波ノイズの問題は、デジタルフィルタでは皆無であり、さらに入力にデルタシグマ変調器を用いてオーバサンプリングを行えば、サンプリング時に発生するkT/Cノイズを含むデルタシグマ変調器の雑音も、SCFを使ったものに比べて格段に小さくできる。LPFをBessel特性にしても、リップル検出に十分な雑音量に抑えることができる。したがって、本実施例の構成にBessel特性LPFを組み合わせることにより、SCFを使った構成に比べて、格段に高精度なリップル検出を行うことが可能となる。
図6は、サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数を変化させることによってカットオフ周波数f0が可変する可変特性デジタルフィルタ20のLPF20bの具体例である。図6は、縦続形6次LPFを示す。
6次LPFは、2次のLPF(バイカッドローパスフィルタ)を基本構成要素として、この基本構成要素の3段縦続接続によって構成できる。個々の2次LPF演算は、同一演算コアを共用して実現することにより、回路規模を小さくできる。例えば、6次Bessel特性LPFは、1回路の2次LPF演算コアで、各2次LPFに含まれる2個のフィルタ(k1,k2)を3段分合計した6個のフィルタ係数k11,k12,k21,k22,k31,k32を、設定するカットオフ周波数f0とクオリティファクタQによって順次変化させてデジタル演算を3回繰り返すことによって、実現され得る。
図7は、図6に示される各2次LPFの一構成例であるデジタルLPF250である。デジタルLPF250は、主として前段部110および後段部120を具備する。前段部110は、第一減算器111,第一乗算器112,第一遅延器113及び第一加算器114を具備し、後段部120は、第二減算器121,第二乗算器122,第二遅延器123及び第二加算器124を具備する。
デジタルLPF250は、
入力信号x(n)に第一フィードバック項を減算したものを出力する第一減算器111と、
第一減算器111の出力信号にフィルタ係数k1を乗算したものを出力する第一乗算器112と、
入力信号(第一加算器114の出力信号)を所定のサンプリング時間遅延したものを出力する第一遅延器113と、
第一遅延器113の出力信号に第一乗算器112の出力信号を加算したものを出力し、これを第一遅延器113に入力する第一加算器114と、
第一加算器114の出力信号に第一フィードバック項を減算したものを出力する第二減算器121と、
第二減算器121の出力信号にフィルタ係数k2を乗算したものを出力する第二乗算器122と、
入力信号(第二加算器124の出力信号)を所定のサンプリング時間遅延したものを第一フィードバック項として出力する第二遅延器123と、
第二遅延器123の出力信号に第二乗算器122の出力信号を加算したものを出力し、これを第二遅延器123に入力する第二加算器124と、を具備するものである。
ここで、入力信号x(n)は、デジタル信号系列の入力データ(デジタルLPF250に入力される所定のビット数を有するデジタルデータ)である。また、第一遅延器113と第二遅延器123における「所定のサンプリング時間」の長さは、通常はデジタルLPFが適用されるデジタル回路等における1サンプリング周期であるが、デジタルLPFの用途等に応じて適宜選択可能にすることもできる。また、第二遅延器123の出力信号は、デジタルLPF250の出力データとして出力される。
デジタルLPF250への入力信号列(デジタル信号系列の入力データ)をx(n)、デジタルLPF250からの出力信号列(出力データ)Doutをy(n)、第一加算器114の信号列(出力信号)をu(n)とすると、デジタルLPF250の演算フロー(構成)は、
u(n)=k1・(x(n)−y(n−1))+u(n−1) ・・・(2)
y(n)=k2・(u(n)−y(n−1))+y(n−1) ・・・(3)
で表される。式(2)(3)に示す如く、デジタルLPF250の演算フロー(構成)は、入力信号列x(n)と出力信号列y(n)の他に中間の第三の信号列u(n)を定義し、差分、係数乗算、積分の各演算を二回繰り返すものである。
デジタルLPFを図7に示される構成にすることによって、2次のデジタルLPFを、二つの乗算器(第一乗算器112及び第二乗算器122)と二つのフィルタ係数メモリを用い、残りは加算器や減算器や遅延器といったシンプルな素子(回路)を用いて、実現することが可能である。その結果、回路規模への影響が大きい乗算器の数を2つに抑えることができる。
また、前段部110の演算および後段部120の演算は、入力値(x(n)又はu(n))及び乗算時の係数(k1又はk2)が異なるが演算の形態がほぼ同じであることから、同じ演算回路(演算コア)を用いて、入力値及び乗算時の係数を入れ替えて繰り返し演算することが可能である。したがって、実際に回路を実現する際に乗算器を含む演算コア及びソフトウェアにおける演算サブルーチンを一個で達成することが可能であり、回路規模を更に小さくすることが可能である。
続いて、フィルタ係数k1及びk2の設定方法について説明する。フィルタ係数k1,k2の設定方法はいくつか考えられる。そこで、アナログフィルタのインパルス応答とデジタルフィルタのインパルス応答とを一致させる、いわゆる「インパルス不変変換法」と同様の考え方に基づくフィルタ係数k1及びk2の設定方法の一例について説明する。
フィルタ係数k1,k2は、カットオフ周波数f0、クオリティファクタQ、カットオフ角周波数ω(=2πf0)、サンプリング周期T(=1/fs)に応じて、
=(ω・T)・Q=(2π・Q)・(f0/fs) ・・・(4)
=(ω・T)/Q=(2π/Q)・(f0/fs) ・・・(5)
と定義した場合、
k1=K(1−(K ・K )/12) ・・・(6)
k2=1−exp(−K)≒K(1− /2+K /6) ・・・(7)
に従って演算可能である。
ここで、k1,k2は3次近似(括弧内2次近似)としたが、要求されるフィルタ特性の精度によって次数を変えてもよい。また、k1の括弧内2次係数1/12及びk2の括弧内2次係数1/6は、演算回路の簡単化のため、例えば1/8など、ビットシフトで実現できる係数にしてもよい。
したがって、サンプリング周波数fsとカットオフ周波数f0とLPFに要求されるフィルタ特性を達成するためのクオリティファクタQとをLPFに対する要求値として決定することによって、式(4)〜(7)に従って、デジタルLPF250のフィルタ係数k1,k2を設定することができる。
また、式(4)〜(7)を用いて、フィルタ係数k1及びk2から、カットオフ周波数f0及びクオリティファクタQは、
ω≒√(k1・k2)/T=fs・√(k1・k2) ・・・(8)
f0=fs/2π・√(k1・k2) ・・・(9)
Q≒√(k1/k2) ・・・(10)
に従って近似的に算出することが可能である。したがって、(サンプリング周波数fsを固定したまま)フィルタ係数k1及びk2を可変とすることにより、カットオフ周波数f0及びクオリティファクタQを変化させることが可能である。すなわち、式(9)に従って、デジタルLPF250のカットオフ周波数f0を容易に調整することが可能である。また、式(10)に従って、デジタルLPF250のフィルタ特性がButterworth特性やBessel特性などのフィルタ特性になるように、デジタルLPF250のクオリティファクタQを容易に調整することが可能である。
したがって、カットオフ周波数f0が可変の6次Bessel特性LPFは、以下のように実現できる。図6に示す如く、6次Bessel特性LPF200は、第一の2次LPF(LPF1)と、第二の2次LPF(LPF2)と、第三の2次LPF(LPF3)とを具備し、これらを3段に縦続接続したものである。また、デジタルLPF250のフィルタ係数k1,k2を可変とし、デジタルLPF250を演算コアとして用いることにより、一個のデジタルLPF250がLPF1,2,3のそれぞれとして機能する。
2次LPFを3段縦続接続することにより6次Bessel特性LPFを実現する場合、6次Bessel特性LPFのカットオフ周波数(直流分から−3dB減衰する周波数)f0を用いて、
LPF1のカットオフ周波数f01=1.606×f0
LPF1のクオリティファクタQ1=0.510
LPF2のカットオフ周波数f02=1.691×f0
LPF2のクオリティファクタQ2=0.611
LPF3のカットオフ周波数f03=1.907×f0
LPF3のクオリティファクタQ3=1.023
と設定するとよい。
例えば、6次Bessel特性LPF200のカットオフ周波数f0=100kHz、サンプリング周波数fs=4kHzと設定する場合、上記6次Bessel特性LPFにおける各段の2次LPFのカットオフ周波数及びクオリティファクタの数値を演算式(4)〜(7)に代入することによって、
LPF1として機能するときのデジタルLPF250のフィルタ係数k1は、
k1=k11=0.203
LPF1として機能するときのデジタルLPF250のフィルタ係数k2は、
k2=k12=0.561
LPF2として機能するときのデジタルLPF250のフィルタ係数k1は、
k1=k21=0.256
LPF2として機能するときのデジタルLPF250のフィルタ係数k2は、
k2=k22=0.510
LPF3として機能するときのデジタルLPF250のフィルタ係数k1は、
k1=k31=0.481
LPF3として機能するときのデジタルLPF250のフィルタ係数k2は、
k2=k32=0.376
と設定すればよいことが得られる。
このように、デジタルLPF250のフィルタ係数k1及びk2を、上記計算結果に基づいて順次変化させつつ演算を行うことにより、一個のデジタルLPF250を演算コアとするカットオフ周波数f0(=4kHz)でサンプリング周波数fs(=100kHz)の6次Bessel特性LPFを実現することが可能である。
また、デジタルLPF250のフィルタ係数k1及びk2を、6次Bessel特性LPFに要求されるカットオフ周波数f0に応じて調整することにより、6次Bessel特性LPFのカットオフ周波数を容易にリアルタイムで可変制御することができる。
したがって、図6,7に示される構成によれば、カットオフ周波数の可変機能を持つ、事実上連続的かつ高精度で小演算量なデジタルLPFの実現を可能にした。2次のデジタルIIRローパスフィルタを乗算回数2回という少ない回数で実現でき、かつ、フィルタ特性はフィルタ係数を変えることにより、小演算量で高精度にフィルタ特性の可変制御をすることができる。
また、デジタルLPF250は、フィルタ係数によらず入出力間の直流ゲインが安定的に1であるという特徴があり、高精度検出に向いている。また、デジタルLPF250によれば、Bessel特性のLPFを定数設定によって容易に実現できるとともに、高精度で低コストのシステムが実現できる。
なお、サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数を変化させることによってカットオフ周波数f0が可変する可変特性デジタルフィルタ20のLPF20bの具体例として、図6,7の構成のLPFを挙げたが、本構成に限らず、サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数を変化させることによってカットオフ周波数f0が可変する他の形式のデジタルフィルタ(例えば、IIRフィルタ、FIRフィルタなど)でもよい。
また、サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数を変化させることによってカットオフ周波数f0が可変する可変特性デジタルフィルタ20は、HPFとして1次HPFを用い、LPFとしてBesselフィルタを含む線形位相特性のフィルタを用いたものが好適である。
1次HPFは、位相進み量が最大90°(at DC)で、高次HPFに比べ位相歪みが小さい(2次HPFであれば最大180°、3次HPFであれば最大270の位相進み量になる)。また、1次HPFは、ステップ入力(方形波入力)に対してもオーバシュートを発生しない。
したがって、可変特性フィルタ20のHPF20aに位相歪みが一番小さくなり得る1次HPFを用い、可変特性フィルタ20のLPF20bにBessel特性フィルタを用いることによって、総合特性として、カットオフ周波数の設定にほとんど依存せずに、オーバシュートと位相歪みを小さく抑えたバンドパスフィルタ特性を実現でき、通過域における波形形状をほぼ維持したまま、不要な低周波成分及び高周波成分を除去できる。
図10は、サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数kを変化させることによってカットオフ周波数f0が可変する可変特性デジタルフィルタ20のHPF20aの第1の具体例である。IIRフィルタ設計法(s−z変換)としては、いくつかの手法が知られている。図10は、Forward Euler法を用いてs−z変換を行って得られた1次HPFの演算フロー(構成)を示す。図10の構成については、周知のため、その詳細説明を省略する。
図11は、サンプリング周波数fsを固定したまま、フィルタ係数kを変化させることによってカットオフ周波数f0が可変する可変特性デジタルフィルタ20のHPF20aの第2の具体例である。図11の1次HPFは、双一次変換法を用いて、さらにこれに一定の近似を行ったものである。図11の構成についても、周知のため、その詳細説明を省略する。
また、検出した信号に基づいて、LPF20bのクオリティファクタQを可変制御すると好適である。高精度なリップル検出のためには、フィルタカットオフ周波数f0だけでなく、クオリティファクタQも、リップル検出にとって最適な特性となるように、高精度に(事実上連続的に)制御し、適応して変化させることが求められる。しかし、SCFでは、クロック周波数の可変によりカットオフ周波数f0を可変できるが、クオリティファクタQは内部回路キャパシタ比で決まる予め設計された値で決まってしまって、これを可変とすることができなかった。
しかし、可変特性デジタルフィルタ20は、カットオフ周波数f0だけでなく、フィルタ係数を変えることによってクオリティファクタQも変化させることができる。従って、検出したリップル波形に応じて、クオリティファクタQを高精度に制御することが可能である。例えば、回路起動(検出開始)時は線形位相特性を優先して、減衰特性(急峻性)の比較的緩いBessel特性フィルタにより、比較的広い周波数範囲で検出を行う。検出が安定した後はフィルタのQを上げて、急峻なフィルタ特性に切り換えて、検出周波数範囲を狭くし、不要な周波数成分や雑音を除去するなどのフィルタ制御が可能である。これにより、さらに安定的で高精度にリップルを検出することができる。
以上、モータリップル電流がAD変換器10によりデジタルデータ化された後に信号処理を行ってその後のデータ処理も全てデジタルである上述の実施形態によれば、リップルの検出動作は、デジタルコンパレータやヒステリシスコンパレータによってのみ行われるのではなく、デジタル信号処理技術、例えばパターン認識技術、その他の技術を組み合わせて行われることが容易に可能となる。
また、リップルの波形には、モータの偏芯、ブラシ位置、形状などによってリップル個々の波形は異なるものの、モータの回転ごとにほぼ同一の波形が繰り返し含まれるため、この性質を利用して、より高精度なリップル検出を行うことも可能である。
したがって、上述の実施形態によれば、必要な外付けフィルタはAD変換器10の前段に備えたもののみであるため、AD変換器10以降の回路の集積化が可能となる。また、AD変換器10としてデルタシグマ型変調器を用いると、大規模な後段のデシメーションフィルタを可変特性デジタルLPFで兼用できるので、回路規模を効率化できる。さらに、図6,7の構成によれば、フィルタ特性を小演算量で高精度かつ広範囲に可変制御でき、折返し雑音を増やすことなく広い周波数範囲のリップルを検出できる。特に、リップルが低周波になるほど高分解能になるという効果がある。また、外付けフィルタが一組だけで位相歪みが生来小さいことに加えて、折返し雑音を増すことなくカットオフ周波数を高めに設定できるので、位相歪みをさらに抑えられる。従って、全体フィルタ特性を線形位相に保つことができ、特にLPFをBessel特性にすることにより、高精度なリップル検出が可能となる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
上述の実施例では、車載の制御システムを例に挙げて本発明のスイッチング装置について説明したが、車両用に限定することなく、ロボット用など他の用途に適用することも可能である。
モータ用リップル検出装置100Aの構成図である。 モータ用リップル検出装置100Aの第1の変形例である。 モータ用リップル検出装置100Aの第2の変形例である。 図3のモータ用リップル検出装置100Cの具体例である。 デルタシグマ変調器11の詳細な構成例である。 縦続形6次LPFを示す。 図6のそれぞれの2次LPFの構成例である。 正弦波(基本正弦波)とさらにその半分の周波数の正弦波(1/2倍低調波)を重ねた合成波を入力として印加した場合の、入力波形とフィルタ出力である。 方形波状の波形をフィルタに入力した場合である。 可変特性デジタルフィルタ20のHPF20aの第1の具体例である。 可変特性デジタルフィルタ20のHPF20aの第2の具体例である。 カットオフ周波数可変機能を持つフィルタとしてSCFを使ったリップル検出システムの構成例である。
符号の説明
1 直流モータ
10 AD変換器
11 デルタシグマ変調器
20 可変特性デジタルフィルタ
20a ハイパスフィルタ(HPF)
20b ローパスフィルタ(LPF)
30 リップル検出ロジック部
40 アンチエイリアシングフィルタ
50 増幅器
60 固定特性デジタルフィルタ

Claims (9)

  1. モータの波形に重畳するリップルを検出するリップル検出装置であって、
    前記波形のアナロクデータを前記リップルの周波数以上の周波数でオーバサンプリングしてデジタルデータに変換するAD変換器と、
    前記デジタルデータが入力される、フィルタ特性が可変のデジタルフィルタと、
    前記デジタルフィルタのフィルタ係数を変化させることによって前記フィルタ特性を前記リップルの検出に最適な特性にするフィルタ特性制御手段とを備えることを特徴とする、リップル検出装置。
  2. 前記AD変換器は、デルタシグマ型のAD変換器である、請求項1に記載のリップル検出装置。
  3. 前記デジタルフィルタは、サンプリング周波数を固定のままフィルタ係数を変えることによってそのフィルタ特性が変化するフィルタである、請求項1又は2に記載のリップル検出装置。
  4. 前記デジタルフィルタは、ローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタは、
    入力信号に第一フィードバック項を減算したものを出力する第一減算器と、
    前記第一減算器の出力信号に第一フィルタ係数を乗算したものを出力する第一乗算器と、
    入力信号を所定のサンプリング時間遅延したものを出力する第一遅延器と、
    前記第一遅延器の出力信号に前記第一乗算器の出力信号を加算したものを出力し、これを前記第一遅延器に入力する第一加算器と、
    前記第一加算器の出力信号に前記第一フィードバック項を減算したものを出力する第二減算器と、
    前記第二減算器の出力信号に第二フィルタ係数を乗算したものを出力する第二乗算器と、
    入力信号を所定のサンプリング時間遅延したものを前記第一フィードバック項として出力する第二遅延器と、
    前記第二遅延器の出力信号に前記第二乗算器の出力信号を加算したものを出力し、これを前記第二遅延器に入力する第二加算器とを具備する、請求項1から3のいずれか一項に記載のリップル検出装置。
  5. 前記第一フィルタ係数k1及び前記第二フィルタ係数k2が、サンプリング周波数fs,クオリティファクタQ及びカットオフ周波数f0の要求値に対し、
    =(2π・Q)・(f0/fs)
    =(2π/Q)・(f0/fs)
    k1=K(1−(K ・K )/12
    k2=K(1− /2+K /6
    で表される演算式で可変する、請求項4に記載のリップル検出装置。
  6. 前記デジタルフィルタは、ローパスフィルタを備え、該ローパスフィルタは、線形位相特性又は略線形位相特性を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のリップル検出装置。
  7. 前記ローパスフィルタは、Bessel特性である、請求項6に記載のリップル検出装置。
  8. 前記デジタルフィルタは、ハイパスフィルタを備え、該ハイパスフィルタは、1次のフィルタ特性を有する、請求項7に記載のリップル検出装置。
  9. 前記デジタルフィルタのフィルタ特性は、カットオフ周波数とクオリティファクタの少なくとも一つが含まれる、請求項1から8のいずれか一項に記載のリップル検出装置。
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