JP5282401B2 - 脂肪酸ビスアミド組成物、ならびにそれを用いた離型剤、離型性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
また、物理的及び化学的な物性のバランスが良好でフィルム成形性にも優れたポリオレフィン樹脂に離型剤を配合し、その樹脂組成物を押出成形して作製した離型フィルムは、粘着面に対して十分な離型特性をもつ離型基材として利用されている。
ポリオレフィン樹脂に配合する離型剤としては、シリコーン化合物が特に有効なものとして知られている(特許文献4参照)。しかしながら、シリコーン化合物は離型フィルムから浸出して粘着シート類の粘着面に移行する可能性があり、電子部品用途などに使用した場合は、電気接点不良などの弊害を生じることがある。また、例えば自動車の塗装前に使用される表面保護フィルムとして使用した場合は、塗装工程における「はじき」や印字性等の欠点が指摘されている。以上のような理由により、非シリコーン系離型剤の開発が望まれている。
しかしながら、上記従来のウレタン系離型剤は熱安定性が低く、コンパウンドの調製や押出成形の際に熱分解して低分子量の不純物を生じ、発煙や発泡、金属ロール汚染等の問題を引き起こし、更には、この離型剤を含む離型剤層と粘着剤層を接触させて積層すると、離型層から粘着層の粘着面に不純物が移行して粘着性能が低下する等の問題がある。
また、本来、粘着剤は、被着体の性質と使用条件から必要とされる粘着特性を特定し、それを満足する剤が選択されるべきであり、粘着テープの使用条件及び用途に全く関係なく、粘着テープ使用時には分離・破棄される離型フィルムと粘着剤との関係から、使用できるシリコーン系粘着剤の種類が制限されることは実用上好ましくない。
また、本発明は、剥離力の経時変動が少なく、耐熱性が良好であり、樹脂とともに押出成形可能な、脂肪酸ビスアミド系離型剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、主要成分として、離型特性の劣化要因となり得るシリコーン及び高価で且つ環境負荷が大きいフッ素を含まず、シリコーン系粘着剤などに対して、高温環境下に保管された場合であっても、経時的に剥離力が大きく変動せず、良好な離型特性を有する、新規な離型剤、該離型剤を含んでなる離型性樹脂、該離型性樹脂からなるフィルム等の成形体、及び該成形体を含む積層体を提供することにある。
すなわち、本発明は、前記課題を解決するため、下記一般式[1]で表される1種の脂肪酸ビスアミド化合物を主成分として含み、該脂肪酸ビスアミド組成物を加水分解した後の脂肪酸部分をガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出法(以下「GC/FID」と称す)にて分析した際の、主たる脂肪酸成分の含有量が90面積%以上であり、かつ、主たる脂肪酸成分の脂肪族基([1]式中のR)の炭素数が19以上23以下であることを特徴とする脂肪酸ビスアミド組成物:
R−CONH−(CH2)n−NHCO−R [1]
(式中、nは1〜6の整数を表す。Rは直鎖の脂肪族基を表す。)を提供する。
また、本発明の離型剤は、従来の脂肪酸ビスアミド系離型剤と比較して、耐熱性が良好であるので、加熱を受ける押出成形等を経て製造される離型フィルム等に用いるのに有効である。
[脂肪酸ビスアミド組成物]
本発明の脂肪酸ビスアミド組成物は、下記一般式[1]で表される脂肪酸ビスアミド化合物を1種以上含み、該脂肪酸ビスアミド組成物を加水分解した後の脂肪酸成分(加水分解により得られる脂肪酸)をGC/FID分析した際の、主たる脂肪酸成分の含有量が90面積%以上であり、かつ、主たる脂肪酸成分の脂肪族基([1]式中のR)の炭素数が19以上23以下であることを特徴とする。
R−CONH−(CH2)n−NHCO−R [1]
(式中、nは1〜6の整数を表す。Rは直鎖の脂肪族基を表す。)
脂肪酸ビスアミド化合物は、両端の脂肪族基が離型性能に影響する。本発明の脂肪酸ビスアミド組成物は、炭素数19以上の直鎖の脂肪族基を両末端に有する脂肪酸ビスアミド化合物を主成分として高い純度で含むので、乱れの少ない結晶構造を形成可能であり、粘着剤と接触した際に絡み合いが抑制され、良好な離型性能を発揮する。また、該離型剤を含むフィルム上に粘着剤を塗布・乾燥する際に熱を受けた場合や、粘着シート等と貼り合わされて高温環境下で保管された場合等においても、融解温度が高いが故にその結晶構造を保持することができ、粘着剤との絡み合いが抑えられ経時的にも安定な離型特性を発揮する。
本発明の脂肪酸ビスアミド組成物中、90モル%以上の成分が、同一の構造の前記連結基を有していることが好ましく、実質的に全ての脂肪酸ビスアミド化合物が同一構造の連結基を有していることが更に好ましい。
本発明の離型剤は、本発明の脂肪酸ビスアミド組成物を有効成分として含有する。該脂肪酸ビスアミド組成物の他、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、界面活性剤、潤滑剤、有機系粒子、無機系粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、高分子化合物、架橋剤等の各種添加剤を、本願発明の目的を損なわない範囲において配合してもよい。
本発明の離型性樹脂組成物は、本発明の脂肪酸ビスアミド組成物(A)と、熱可塑性高分子(B)とを含有する。
熱可塑性高分子(B)としては、構成単位にオレフィンモノマーを含むポリオレフィンや、ポリアミドを用いることが出来る。より具体的には、熱可塑性高分子(B)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・αオレフィン共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体、エチレン・極性モノマー共重合体、プロピレン・極性モノマー共重合体等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6T等のポリアミド等の一般的な熱可塑性高分子から選択することができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、数種類の混合物として使用してもよい。ここで、エチレン、プロピレン等と共重合させるαオレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1ペンテン、3−メチル−1ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20程度のαオレフィンが含まれる。コモノマーとして用いるαオレフィンは1種であってもよく、2種以上を併用してもよい。また、エチレン、プロピレン等と共重合させる極性モノマーの例には、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレート、無水マレイン酸等が含まれる。これらは1種を用いても2種以上を併用してもよい。中でも、ポリプロピレン、プロピレン・αオレフィン共重合体等のプロピレン系重合体が、熱可塑性高分子として好ましい。
なお、本明細書中、「MI」は、JIS K6922−2、又はJIS K7210等に準拠して測定した値をいうものとする。
本発明は、本発明の離型性樹脂組成物からなる成形体にも関する。
離型フィルム/離型シート:
本発明の離型性樹脂組成物をフィルム状又はシート状に成形して、離型フィルム及び離型シートを作製することができる。成形方法については特に制限ないが、溶融押出成形法が好ましい。溶融押出成形法は、無延伸法でも、又は公知の方法により少なくとも一軸に延伸する方法であってもよい。例えば、離型フィルムを製造する場合は、本発明の離型性樹脂組成物からなるペレットを製造した後、これを溶融押出機からフィルム状又はシート状に押出成形することによって、作製することができる。前記離型フィルム又は離型シートの厚さは、溶融押出成形可能である限り特に制限されないが、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜100μmである。厚さが前記範囲であると、厚さの不均一による離型性能の低下がなく、また経済的にも好ましい。
また、本発明の離型性樹脂組成物を、基材用の樹脂組成物とともに、共押出成形することにより、又は、基材上への押出ラミネート成形により、本発明の離型性樹脂組成物からなる離型層を有する積層体を作製することもできる。押出成形法は、離型剤を塗布することにより離型フィルム等を作製する場合と比較して、より簡易であり、また塗布時に必要となる有機溶剤を使用することもないので、安全且つ環境負荷の小さい方法である。基材の材料は特に制限はない。例えば、本発明の離型性樹脂組成物に用いられる熱可塑性高分子(B)の例として挙げた種々の高分子を1種以上用いることができる。
前記積層体の製造の際に、加熱下で延伸等により後加工してもよい。延伸を施す場合は、延伸後の離型層厚さは0.01〜5μmが好ましい。なお、延伸後に離型性能が得られる厚みとなるように、延伸倍率等を適宜調整するのが好ましい。
また、前記積層体は、両面離型フィルム又は両面粘着シートの層構成であってもよい。具体的には、離型フィルム(又は離型層)/基材シート/離型フィルム(又は離型層)、離型フィルム(又は離型層)/粘着シート(粘着層)/基材シート/粘着シート(粘着層)/離型フィルム(又は離型層)等が挙げられる。これらは使用目的により適宜選択される。
なお、以下において、「部」は全て「重量部」を示す。
(1)脂肪酸ビスアミド組成物中の主成分脂肪酸及び副成分脂肪酸の含有量
GC/FID分析法で評価した。脂肪酸ビスアミド組成物を加水分解した後、脂肪酸部分をトリメチルシリル誘導体化し、得られたクロマトグラムにおいて、最大検出面積部の保持時間と標準試料(炭素数が既知である脂肪酸のトリメチルシリル誘導体)の保持時間とを比較することにより、脂肪族基の炭素数を決定した。また、該クロマトグラムの最大検出面積の、全検出面積に対する割合を百分率で表した値を、主成分脂肪酸の含有量とし、全検出面積から当該最大検出面積を差し引いた残りの面積の、全検出面積に対する割合を百分率で表した値を、副成分脂肪酸の含有量とした。
以下に詳細な手順を示す。
(1−1)試料前処理
脂肪酸ビスアミド組成物(試料によっては脂肪酸ビスアミド化合物の単体)を10mg精秤し、20mLヘッドスペース用バイアルに入れ、バイアルに47%臭化水素酸水溶液3mLを加えて密栓した。試料バイアルを150℃で4時間加熱し、試料バイアルが室温に戻った後、バイアル中の溶液を分液漏斗に取り出し、試料溶液にクロロホルム15mLを加え、抽出操作を実施した。回収したクロロホルム相を窒素パージにより乾固し、得られた試料を70℃で1時間真空乾燥した。乾燥後の試料にジメチルホルムアミド500μL及びN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド1mLを加え、60℃で30分間加熱した。室温に戻った試料溶液をGC分析に用いた。
(1−2)測定条件
GC装置は、Agilent Technologies社製「6890N」(カラム:GL サイエンス InertCap 5MS/SIL 30m×0.25mmI.D. film 0.25μm、オーブン温度:80℃(1分)→10℃/分→290℃(12分)、注入口温度:300℃、注入条件:スプリット 1/50、検出器温度:320℃、キャリアガス:He 1mL/分、注入量:1μL)を使用した。
JIS K6922−2、JIS K7210に準拠して、ポリエチレンに対しては試験温度190℃、荷重2.16kgfで測定し、ポリプロピレン、ポリアミドに対しては230℃、荷重2.16kgfで測定した。
以下の諸例で使用した脂肪酸ビスアミド組成物の製造方法は次の通りである。
〈製造例1〉
ベヘン酸(C21H43COOH、東京化成工業株式会社製、純度95%以上)115.6部を窒素雰囲気下140℃で融解させ、そこにエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製、純度99%以上)10部を添加した。添加後、160℃まで加熱し、6時間反応を行った。反応中に生成した水分等はディーンスターク管を用いて分離除去した。反応後、室温まで冷却した後、キシレン1320部を添加し160℃で加熱して溶解させ1時間攪拌した。その後室温まで冷却して生成物を析出させ、これを濾別後、アセトン1600部中に分散させ再度濾別した。得られた生成物を80℃で12時間減圧乾燥し、目的物である高級脂肪酸ビスアミド組成物(以下「離型剤(A−1)」と称す)116.4部を得た。
製造例1で用いたベヘン酸に替えて、アラキジン酸(C19H39COOH、東京化成工業株式会社製、純度98%以上)106.0部を用いた以外は、製造例1と同様にして目的物(以下「離型剤(A−2)」と称す)105.0部を得た。
製造例1で用いたベヘン酸に替えて、リグノセリン酸(C23H47COOH、東京化成工業株式会社製、純度94%以上)125.1部を用いた以外は、製造例1と同様にして目的物(以下「離型剤(A−3)」と称す)125.0部を得た。
製造例1においてベヘン酸を109.9部、ステアリン酸(C17H35COOH、和光純薬工業株式会社製、純度95%以上)を4.7部[ベヘン酸:ステアリン酸=0.95:0.05(モル比)]用いた以外は、製造例1と同様にして目的物(以下「離型剤(A−4)」と称す)115.8部を得た。
製造例2においてアラキジン酸を100.9部、ステアリン酸を4.7部[アラキジン酸:ステアリン酸=0.95:0.05(モル比)]用いた以外は、製造例2と同様にして目的物(以下「離型剤(A−5)」と称す)106.8部を得た。
製造例3においてリグノセリン酸を119.0部、ベヘン酸を5.7部[リグノセリン酸:ベヘン酸=0.95:0.05(モル比)]用いた以外は、製造例3と同様にして目的物(以下「離型剤(A−6)」と称す)123.9部を得た。
製造例1においてベヘン酸を92.9部、ステアリン酸を18.9部[ベヘン酸:ステアリン酸=0.8:0.2(モル比)]用いた以外は、製造例1と同様にして目的物(以下「離型剤(X−1)」と称す)111.0部を得た。
製造例2においてアラキジン酸を85.3部、ステアリン酸を18.9部[アラキジン酸:ステアリン酸=0.8:0.2(モル比)]用いた以外は、製造例2と同様にして目的物(以下「離型剤(X−2)」と称す)103.8部を得た。
製造例3においてリグノセリン酸を112.8部、ベヘン酸を11.3部[リグノセリン酸:ベヘン酸=0.9:0.1(モル比)]用いた以外は、製造例3と同様にして目的物(以下「離型剤(X−3)」と称す)124.1部を得た。
製造例3においてリグノセリン酸を100.6部、ベヘン酸を22.7部[リグノセリン酸:ベヘン酸=0.8:0.2(モル比)]用いた以外は、製造例3と同様にして目的物(以下「離型剤(X−4)」と称す)123.3部を得た。
製造例3においてリグノセリン酸を112.8部、ステアリン酸を9.5部[リグノセリン酸:ステアリン酸=0.9:0.1(モル比)]用いた以外は、製造例3と同様にして目的物(以下「離型剤(X−5)」と称す)122.3部を得た。
製造例3においてリグノセリン酸を100.6部、ステアリン酸を18.9部[リグノセリン酸:ステアリン酸=0.8:0.2(モル比)]用いた以外は、製造例3と同様にして目的物(以下「離型剤(X−6)」と称す)119.5部を得た。
製造例1で用いたベヘン酸に替えて、ステアリン酸96.5部を用いた以外は、製造例1と同様にして目的物(以下「離型剤(X−7)」と称す)95.5部を得た。
製造例1で用いたベヘン酸に替えて、ステアリン酸を77.2部、パルミチン酸(C15H31COOH、和光純薬工業株式会社製、純度95%以上)を17.4部[ステアリン酸:パルミチン酸=0.8:0.2(モル比)]用いた以外は、製造例1と同様にして目的物(以下「離型剤(X−8)」と称す)93.1部を得た。
R−COOH 〔2〕
〈実施例1〉
製造例1で得た離型剤(A−1)5部とポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP FY4」、MI=5.0g/10分)(以下「ポリプロ(PP−1)」と称す)100部をドライブレンドし、口径が15mmφの押出機(株式会社テクノベル製「KZW15」)を用いて樹脂温度230℃でTダイより幅150mmのフィルム状に溶融押出して、層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1において離型剤(A−1)の使用量を3部とした以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1において離型剤(A−1)の使用量を10部とした以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例2で得た離型剤(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例3で得た離型剤(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例4で得た離型剤(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例5で得た離型剤(A−5)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例6で得た離型剤(A−6)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いたポリプロ(PP−1)に替えて、ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名「ノバテックLD LC561」、MI=3.0g/10分)(以下「ポリエチ(PE)」と称す)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
製造例1で得た離型剤(A−1)5部とポリプロ(PP−1)100部とを、2軸混練機(株式会社テクノベル製「KZW15」)を使用して、樹脂温度230℃で溶融混練して、ペレット状に成形して、離型性樹脂ペレットを得た。
この離型性樹脂ペレットと、ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP FB3HAT」、MI=7.5g/10分)(以下「ポリプロ(PP−2)」と称す)のペレットとを、口径が30mmφの押出機を用いて樹脂温度230℃でTダイより幅300mmのフィルム状に二層共押出成形して、厚さ80μmの積層の離型フィルム(離型層10μm、基材層70μm)を得た。
実施例1において離型剤(A−1)の使用量を1部とした以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1において離型剤(A−1)の使用量を0.3部とした以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
製造例1で得た離型剤(A−1)8部とポリアミド(アルケマ株式会社製、商品名「Rilsan PA12 G AESNO A」、MI=2.8g/10分)(以下「ポリアミド(PA−1)」と称す)100部とを、2軸混練機(株式会社テクノベル製「KZW15」)を使用して、樹脂温度250℃で溶融混練して、ペレット状に成形して、離型性樹脂ペレットを得た。
この離型性樹脂ペレットと、ポリアミド(PA−1)のペレットとを、口径が30mmφの押出機を用いて樹脂温度210℃でTダイより幅300mmのフィルム状に二層共押出成形して、厚さ50μmの積層の離型フィルム(離型層10μm、基材層40μm)を得た。
実施例13で用いたポリアミド(PA−1)に替えて、ポリアミド(アルケマ株式会社製、商品名「Rilsan BESVO A FDA」、MI=3.3g/10分)(以下「ポリアミド(PA−2)」と称す)を用いた以外は、実施例13と同様にして厚さ50μmの積層の離型フィルム(離型層10μm、基材層40μm)を得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例7で得た離型剤(X−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例8で得た離型剤(X−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例9で得た離型剤(X−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例10で得た離型剤(X−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例11で得た離型剤(X−5)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例12で得た離型剤(X−6)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例13で得た離型剤(X−7)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、製造例14で得た離型剤(X−8)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
実施例1で用いた離型剤(A−1)に替えて、離型剤(X−9)を用い、ポリプロ(PP−1)に替えて、ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、商品名「Wintec WFW4」、MI=7.0g/10分)(以下「ポリプロ(PP−3)」と称す)を用いた以外は、実施例1と同様にして層厚50μmの単層の離型フィルムを得た。
離型剤(X−10)5部とポリプロ(PP−3)100部とを、2軸混練機(株式会社テクノベル製「KZW15」)を使用して、樹脂温度230℃で溶融混練して、ペレット状に成形して、離型性樹脂ペレットを得た。
この離型性樹脂ペレットと、ポリプロ(PP−3)のペレットとを、口径が30mmφの押出機を用いて樹脂温度230℃でTダイより幅300mmのフィルム状に二層共押出成形して、厚さ40μmの積層の離型フィルム(離型層10μm、基材層30μm)を得た。
ポリプロ(PP−1)を、口径が15mmφの押出機を用いて樹脂温度230℃でTダイより幅150mmのフィルム状に溶融押出して、層厚50μmの単層のフィルムを得た。
比較例11で用いたポリプロ(PP−1)に替えて、ポリエチ(PE)を用いた以外は、比較例11と同様にして層厚50μmの単層のフィルムを得た。
ポリプロ(PP−1)のペレットとポリプロ(PP−2)のペレットを、口径が30mmφの押出機を用いて樹脂温度230℃でTダイより幅300mmのフィルム状に二層共押出成形して、厚さ80μmの積層フィルム(PP−1層10μm、PP−2層70μm)を得た。
ポリプロ(PP−3)のペレットを、口径が30mmφの押出機を用いて樹脂温度230℃でTダイより幅300mmのフィルム状に押出成形して、厚さ40μmの単層フィルムを得た。
ポリアミド(PA−2)のペレットを、口径が30mmφの押出機を用いて樹脂温度210℃でTダイより幅300mmのフィルム状に押出成形して、厚さ50μmの単層フィルムを得た。
上記成形加工において、樹脂組成物が吐出量2kg/時間でTダイから溶融押出される際の発煙量を目視により観察した。発煙のないものを○、Tダイ全体から帯状に発生したものを×とした。
幅20mmの市販のシリコーン系・アクリル系両面粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.5302A」)のアクリル系粘着剤面を、厚さ38μmのPETフィルムに、重さ2kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、片面がシリコーン系粘着剤面である離型性能評価用粘着テープを作製した。
実施例1〜14及び比較例1〜15で製造した成形フィルム又は積層シートを幅30mmに切断し、これ(基材を有する積層シートにあっては、基材とは反対側の面)に離型性能評価用粘着テープのシリコーン系粘着剤面を重さ2kgのゴムローラーを1往復させて圧着した。室温で1時間放置後、引張速度300mm/分で180°方向に粘着テープを引き剥がすのに要する力(5個の試料の平均値)を剥離力として測定した。次いで、引き剥がした粘着テープを、SUS板に重さ2kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、室温で1時間放置後、引張速度300mm/分で180°方向に粘着テープを引き剥がすのに要する力(5個の試料の平均値)を粘着力として測定した。
実施例1〜14及び比較例1〜15で製造した成形フィルム又は積層フィルムを幅30mmに切断し、これ(基材を有する積層フィルムにあっては、基材とは反対側の面)に離型性能評価用粘着テープのシリコーン系粘着剤面を重さ2kgのゴムローラーを1往復させて圧着した後、50gf/cm2の荷重を加えて60℃で3日間静置した。その後室温で1時間放置し、引張速度300mm/分で180°方向に粘着テープを引き剥がすのに要する力(5個の試料の平均値)を加熱保持剥離力として測定した。次いで、引き剥がした粘着テープを、SUS板に重さ2kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、室温で1時間放置後、引張速度300mm/分で180°方向に粘着テープを引き剥がすのに要する力(5個の試料の平均値)を加熱保持粘着力として測定した。
図5に、実施例1、4〜10及び比較例1〜10で得られたフィルムについて、主成分脂肪酸の含有量(面積%)を横軸に、及びその加熱保持剥離力(N/10mm)を縦軸にプロットしたグラフを示す。
図5のグラフから、実施例の離型フィルムは、比較例の離型フィルムと比較して、高温環境下に保管された後も、剥離力の上昇が小さいことが理解できる。公知の離型剤である主たる脂肪酸成分の脂肪族基がC17であるエチレンビスステアリン酸アミドを用いた比較例と、本発明の離型剤を用いた実施例とでは、加熱保持剥離力の点で、有意差があることが理解できる。
さらに、図6に、実施例1、4〜8、及び比較例1〜8で得られたフィルムについて、離型剤として利用した脂肪酸ビスアミド組成物の主成分脂肪酸の脂肪族基の炭素数を横軸に、及びその加熱保持剥離力/剥離力の値を縦軸にプロットしたグラフを示す。
図6のグラフから、離型剤として公知のエチレンビスステアリン酸アミドを用いた比較例(比較例7及び8)では、高温環境下に保管された後の剥離力の変動(加熱保持剥離力/剥離力)が大きく、しかも主たる脂肪酸成分の含有量を90面積%以上としても、剥離力の変動を低減する効果が小さいことが理解できる。一方、脂肪酸成分のうち、脂肪族基の炭素数が19以上23以下の脂肪酸成分の含有量が90面積%以上である脂肪酸ビスアミド組成物を離型剤として用いた本発明の実施例では、高温環境下に保管された後の剥離力の変動が小さく、さらに実施例では、主成分脂肪酸成分の含有量を90面積%以上にすることによる、剥離力変動の低減効果が顕著であることが理解できる。
Claims (7)
- 下記一般式[1]で表される脂肪酸ビスアミド化合物を1種以上含む脂肪酸ビスアミド組成物であって、該脂肪酸ビスアミド組成物を加水分解した後の脂肪酸成分をガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出法にて分析した際の、主たる脂肪酸成分の含有量が90面積%以上であり、かつ、主たる脂肪酸成分の脂肪族基([1]式中のR)の炭素数が19以上23以下である脂肪酸ビスアミド組成物を有効成分として含有することを特徴とする粘着剤に対する離型剤。
R−CONH−(CH2)n−NHCO−R [1]
(式中、nは1〜6の整数を表す。Rは直鎖の脂肪族基を表す。) - 下記一般式[1]で表される脂肪酸ビスアミド化合物を1種以上含む脂肪酸ビスアミド組成物であって、該脂肪酸ビスアミド組成物を加水分解した後の脂肪酸成分をガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出法にて分析した際の、主たる脂肪酸成分の含有量が90面積%以上であり、かつ、主たる脂肪酸成分の脂肪族基([1]式中のR)の炭素数が19以上23以下である脂肪酸ビスアミド組成物を有効成分として含有する離型剤(A)と、熱可塑性高分子(B)とを含有することを特徴とする粘着剤に対する離型性樹脂組成物。
R−CONH−(CH 2 ) n −NHCO−R [1]
(式中、nは1〜6の整数を表す。Rは直鎖の脂肪族基を表す。) - 脂肪酸ビスアミド組成物を有効成分として含有する離型剤(A)を、熱可塑性高分子(B)100重量部当たり、2〜20重量部含有することを特徴とする請求項2に記載の粘着剤に対する離型性樹脂組成物。
- 熱可塑性高分子(B)のメルトインデックスが、0.1〜100g/10分であることを特徴とする請求項2又は3に記載の粘着剤に対する離型性樹脂組成物。
- 熱可塑性高分子(B)が、プロピレン系重合体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の粘着剤に対する離型性樹脂組成物。
- 請求項2〜5のいずれか1項に記載の離型性樹脂組成物を押出成形してなる粘着剤に対する成形体。
- 請求項6に記載の成形体と、基材シート及び/又は粘着シートとを含む積層体。
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