JP5281580B2 - 同軸ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂を用いた同軸ケーブルに関する。
近年、携帯電話、インターネット、無線LAN等、通信のブロードバンド化への要望はますます高まっている。そして、情報をより高速かつ大量に伝送するために、電気信号の高周波化が著しく進んでいる。このため、高周波帯域で減衰量が少なくかつ信号遅延の少ない同軸ケーブルが求められている。
ところで、同軸ケーブルは主に、中心導体と、その上に設けられる絶縁体層と、その外周に設けられる外部導体と、から構成される。高周波帯域での低減衰量が重視されており高周波同軸ケーブルの実現には絶縁体層の誘電正接を低減するのが最も効果的である。また、さらに低減衰化のためには発泡させることが効果的である。ただし、発泡させることにより絶縁層の耐側圧性が低下し、発泡体の形状を維持しにくい問題が生じることがある。
絶縁層の誘電率を小さくするためには、絶縁層の発泡度を高くすることが効果的であることが知られている。また、誘電正接の小さい絶縁材料としては、環状オレフィン系樹脂が挙げられる。環状オレフィン系樹脂は、発泡成形性が良好であるとともに、高剛性に由来する耐側圧性にも優れる特性も期待される。
このため、特許文献1には、ノルボルネン樹脂を用いた高周波用同軸ケーブルが開示されている。また、特許文献2には、環状オレフィン−エチレン共重合体とポリオレフィン等とをブレンドすることにより耐側圧性に優れた絶縁材料が開示されている。
特開2000−297172号公報 特開2000−311519号公報
しかし、高周波帯域で減衰量がさらに小さい同軸ケーブルが求められており、特許文献1、特許文献2の同軸ケーブルよりもさらに高性能な同軸ケーブルになるような改良が求められている。特許文献1、特許文献2の実施例から分かるように、絶縁体層の発泡度は前者が約62%、後者が約72%である。従って、高周波帯域で減衰量のより小さい同軸ケーブルの実現には、絶縁体層の発泡度を上げることによる改善が考えられる。しかし、通常発泡度を上げると、発泡セルの膨張により耐側圧性が悪化するのみならず発泡セルが破断すると低誘電率の絶縁層を得ることはできなくなる。このため発泡度を上げても発泡セルの独立が保たれ、同軸ケーブルとして十分に使用可能な耐側圧性を有する同軸ケーブルが求められている。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、絶縁体層が、同軸ケーブルとして十分使用可能な耐側圧性を有し、絶縁体層の発泡度がより高い同軸ケーブルを提供することにある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、絶縁体層が、同軸ケーブルとして十分使用可能な耐側圧性を有し、絶縁体層の発泡度がより高い同軸ケーブルを提供することにある。
本発明者らは、環状オレフィン系樹脂と、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンと、を含む樹脂組成物を発泡成形させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 環状オレフィン系樹脂と、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンと、を含む樹脂組成物を発泡成形させた層を絶縁層として備え、前記絶縁層において、前記環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%から50質量%であり、前記低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンの合計の含有量が50質量%から80質量%であり、前記絶縁層の発泡度が80%から90%である同軸ケーブル。
(1)の発明によれば、本発明の同軸ケーブル内の絶縁層は、環状オレフィン系樹脂を含む。環状オレフィン樹脂は、低誘電正接、低誘電率、良好な発泡成形性があり、さらに高い弾性率を有する特徴により、発泡成形体の耐側圧性の向上が期待される。従って、本発明の同軸ケーブル内の絶縁層はこれらの特性を有するので、本発明の同軸ケーブルは高周波用として好ましく用いることができる。一方、環状オレフィン系樹脂には可撓性に欠けるという欠点がある。しかし、本発明の同軸ケーブル内の絶縁層には、可撓性に優れた低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンが含まれている。このため、環状オレフィン系樹脂の欠点を補い、可撓性に優れた絶縁層を作ることができる。
さらに、低密度ポリエチレン等は、良好な発泡成形性も有するため、絶縁層の発泡度を上げる点からも含むことが好ましい。
発泡度とは、絶縁層に含まれる気泡の程度を示すものである。気泡が多ければ絶縁層内は、誘電率の低いガスが占める割合が多くなる。このため、発泡度は高いほうが同軸ケーブル内の絶縁層の誘電正接及び誘電率が下がり、高周波でも減衰量の小さい同軸ケーブルを得ることができる。本発明の同軸ケーブルにおける絶縁層は、従来のものよりも高い発泡度を実現することができる。これは、環状オレフィン系樹脂と低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンの有する良好な発泡成形性と、環状オレフィン系樹脂の良好な耐側圧性と、によるためである。これは、発泡成形性が良好であれば、発泡度を上げても発泡セルは独立して存在できるからである。なお、本明細書中の発泡度とは、下記式(1)により求めた発泡度をいう。
Figure 0005281580
また、(1)の発明によれば、同軸ケーブル内の絶縁層に含まれる環状オレフィン系樹脂の含有量が、上記範囲であることにより、環状オレフィン系樹脂の持つ良好な発泡成形性、低誘電率、耐側圧性等の効果を十分発揮することができる。また、環状オレフィン系樹脂の含有量が上記範囲であることにより、やや可撓性に欠けるという欠点をポリエチレンによって十分に補うことができる。このため、上記絶縁層を同軸ケーブルに用いることにより、さらに高周波用に適した同軸ケーブルを得ることができる。
また、同軸ケーブル内の絶縁層に含まれる低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンの合計の含有量が上記範囲であることにより、上記ポリエチレンの可撓性に優れるという効果を十分に発揮した上で、誘電率が高いという欠点を、環状オレフィン系樹脂で十分に補うことができる。このため、より高周波用に適した同軸ケーブルを得ることができる。
(2) 前記絶縁層の圧縮強度が800kPa以上1248kPa以下、減衰量が12.3dB/100m以上27dB/100m以下である(1)に記載の同軸ケーブル。
(2)の発明によれば、同軸ケーブル内の絶縁層の発泡度を上げて、絶縁層内の空孔を増やすことにより、絶縁層の誘電率を下げて、減衰量を27dB/100m以下にしても、圧縮強度が800kPa以上であるため機械的強度が十分に優れた同軸ケーブルを得ることができる。また、本発明の同軸ケーブル内の絶縁層は、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンを含む。このため、同軸ケーブルにおける他の材料は全て可撓性に優れるから、絶縁層が可撓性に優れたものとなることで、同軸ケーブル全体としても可撓性に優れたものとなり、同軸ケーブルとしてより好ましいものになる。
圧縮強度とは、圧縮荷重に対し、材料が持ちこたえることができる最大応力のことをいい、同軸ケーブルにおける絶縁層の耐側圧性を表す指標のひとつである。圧縮強度が低い絶縁層は、同軸ケーブルの作製時、使用時等で加わる力で破損するため、高周波用同軸ケーブルの絶縁層として好ましくない。本発明において使用される絶縁層は、圧縮強度が800kPa以上であるため、同軸ケーブル用の絶縁層として好適に用いることができる。
本発明の同軸ケーブル内の絶縁層の圧縮強度は800kPa以上であることが好ましい。800kPa以上であると十分な機械的強度を有するため、同軸ケーブル用の絶縁層として好適に利用できる。
本発明の同軸ケーブル内の絶縁層は、減衰量が27dB/100m以下であることが好ましい。減衰量が27dB/100mを超えると、伝達損失が大きくなり、電子機器等の正常な作動が損なわれる場合がある。
一般に誘電正接が大きいと信号が減衰してしまう。特に、高周波帯域においては、誘電正接は減衰量に大きな影響を与えてしまう。このため、高周波帯域での同軸ケーブルの減衰量を小さくするためには、絶縁層の誘電正接が小さいことが要求されることが多い。
(3) 前記絶縁層の水分透過量が0.25g/m ・day・atm以上0.55g/m・day・atm以下である(1)又は(2)に記載の同軸ケーブル。
(3)の発明によれば、本発明の同軸ケーブル内の絶縁層は、減衰量増加の原因となる高誘電率の水分子をほとんど吸収も透過させないため、より高周波用に適する。また、水分が絶縁層を透過することにより、内部導体が腐食することを防ぐことができる。このため長期間使用可能な同軸ケーブルを得ることができる。
本発明の同軸ケーブルに用いる絶縁層の水分透過率は、0.55g/m・day・atm以下であることが好ましい。0.55g/m・day・atmを超えると水分を付着しやすくなり、著しい場合は腐食等が発生し導通不良を発生するおそれがある。
(4) 前記絶縁層は、1GHzから10GHzの周波数領域における比誘電率が1.10以上1.20以下である(1)から(3)のいずれかに記載の同軸ケーブル。
(4)の発明によれば、本発明の同軸ケーブルに用いられる絶縁材料の誘電率の低下を図ることにより、同軸ケーブル中の伝送において信号の遅延時間が少なくなり通信の高速大容量化に対応できる同軸ケーブルが得られる。
同軸ケーブルにおける絶縁層の誘電正接が低ければ、同軸ケーブルの減衰量は小さくなる。
本発明の同軸ケーブル内の絶縁層は、1GHzから10GHzの周波数領域における比誘電率が1.20以下であることが好ましい。上記周波数領域における比誘電率が1.20以下であると信号の遅延が少ないので好ましい。
(5) 前記環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体又はその水素添加物である(1)から(4)のいずれかに記載の同軸ケーブル。
(5)の発明によれば、環状オレフィン系樹脂が上記の組成を有することにより、同軸ケーブルとしての信号伝達特性、可撓性、圧縮強度、水分透過特性等のバランスに優れるという効果がある。
(6)前記環状オレフィン系樹脂は、1GHzから10GHzの周波数領域における比誘電率が2.20以上2.3以下、誘電正接が2×10 −4 以上4×10−4以下、室温における曲げ弾性率が2.0GPa以上3.5GPa以下である(1)から(5)のいずれかに記載の同軸ケーブル。
(6)の発明によれば、本発明の同軸ケーブル内の絶縁層に含まれる環状オレフィン系樹脂の誘電正接が低いので、この環状オレフィン系樹脂を用いれば、誘電正接の低い絶縁層を作ることができる。絶縁層の誘電正接が低ければ、同軸ケーブルの減衰量が小さくなる。このため、この誘電正接の低い絶縁層を有する同軸ケーブルは高周波用に適する。
また、比誘電率が小さい環状オレフィン樹脂を用いることにより信号の遅延時間が小さくなり高周波用同軸ケーブルとして優れた特性が得られる。
曲げ弾性率とは、曲げ応力に対する材料の変形抵抗度のことをいう。曲げ弾性率が高い材料のほうが、曲げ応力による耐性に優れるから機械的強度が強くなるので好ましい。本明細書中の曲げ応力は、ISO 178に即して測定された曲げ弾性率である。なお、本発明の同軸ケーブルにおける絶縁層は低密度ポリエチレン等の可撓性を有する材料を含む。このため、もろい材料になることを防ぐことができる。
環状オレフィン系樹脂の曲げ弾性率は2GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2GPa以上3.5GPa以下である。曲げ弾性率が2GPa未満であると耐側圧性が損なわれ、3.5GPaを超えると可撓性を損ない配合範囲を狭めることになる。
本発明によれば、同軸ケーブルとして十分使用可能な耐側圧性を有し、絶縁体層の発泡度がより高い絶縁層を備えた同軸ケーブルを得ることができる。同軸ケーブル内の絶縁層の発泡度が高いことで、絶縁層の誘電正接と誘電率が低くなり、高周波用の同軸ケーブルとして好ましく利用することができる。
押出装置を示す図である。 同軸ケーブル製造装置を示す図である。
1 第一押出機
2 第二押出機
3 ホッパー
4 発泡剤圧入口
5 導体送出機
6 導体加熱機
7 クロスヘッドダイ
8 冷却装置
9 引取り機
10 巻取り機
11 内部導体
12 電線
以下、本発明の同軸ケーブルの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<環状オレフィン系樹脂>
以下、本発明の同軸ケーブルの必須成分となる環状オレフィン系樹脂について説明する。環状オレフィン系樹脂は、低誘電正接、低誘電率、発泡成形性、低吸水性、耐側圧性等の性質を有するため、同軸ケーブルに用いる絶縁層に含む材料として好ましい。本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、
(a1)環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、
(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物、
(a3)環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物、を挙げることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、
(a4)上記(a1)〜(a3)の樹脂に、極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明においては、上記の環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(a1)〜(a4)は、1種単独であっても、二種以上を混合使用してもよい。本発明においては、(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物を好ましく用いることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS ADVANCED POLYMER社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体としては、特に限定されるものではない。特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 0005281580
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、RとR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、テトラシクロドデセンが好ましく用いられる。
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒やチーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造されることが好ましい。
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報等に記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
〔その他共重合成分〕
本発明の組成物に特に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,5−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボンネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、4,9,5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等を挙げることができる。これらのうちでは、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、及び環状非共役ジエン、とりわけ、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエンが好ましい。
絶縁層における環状オレフィン系樹脂の含有量は、20質量%〜50質量%であることが好ましい。20質量%未満であると同軸ケーブルとしての信号伝達特性、圧縮強度、水分透過性等に劣り、50質量%を超えると十分な可撓性が得られない可能性がある。
<ポリエチレン>
本発明の同軸ケーブルの必須成分となる低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンについて説明する。低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンは、可撓性を有するため、同軸ケーブル内の絶縁層に用いる材料として好ましい。
低密度ポリエチレン、及び直鎖状低密度ポリエチレンはJIS K6922−1で規定されるMFRが1.0〜10.0g/10minであることが好ましく、より好ましくは2.0〜8.0g/10minである。1.0g/10minより低い場合は可撓性を得ることができるが、流動性が悪くなり良好な成形加工性が得られない可能性があり、10.0g/10minを超えると成形加工性は良好となるが、可撓性が得られない可能性がある。
特に、低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの合計の含有量が50質量%〜80質量%であることが好ましい。50質量%未満だと、十分な可撓性が得られない可能性があり、80質量%を超えると、絶縁層の誘電率を低く保てない可能性がある。
<その他成分>
本発明の同軸ケーブル内の絶縁層には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の熱可塑性樹脂、各種配合剤等を添加することができる。他の樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素樹脂等が例示される。これらの他の樹脂は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。さらに、同軸ケーブルの可撓性が必要とされる場合には、エラストマーを環状ポリオレフィン系樹脂に添加すると好ましい。添加されるエラストマーは同軸ケーブルの減衰量等の特性を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーが好ましい。特に、ポリオレフィン系エラストマーは減衰量と可撓性のバランスを取る上で好ましい。また、配合剤としては、安定剤(酸化防止剤又は抗酸化剤、耐重金属安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤(染料や顔料等)、潤滑剤、可塑剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、ドリッピング防止剤、架橋剤等が例示される。同軸ケーブルの絶縁層は導体である銅等の金属と接触するので、耐重金属安定剤を添加することが好ましい。耐重金属安定剤としては、サリチル酸誘導体(例えば、商品名ADKSTAB CDA6)、ヒドラジド誘導体(例えば、商品名Irganox MD1024)、シュウ酸アミド誘導体(例えば、商品名Naugard XL−1)、イオウ含有ホスファイト化合物(例えば、商品名Hostanox OSP−1)等が例示されるが、同軸ケーブルの特性を損なわないものであれば耐重金属安定剤の種類は特に限定されない。耐重金属安定剤の添加量についても特に限定されないが、通常は、樹脂成分に対して0.3質量%以下の添加量が好ましく用いられる。添加方法については特に限定されないが、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン樹脂、他の添加樹脂等に予め添加するとさらに好ましい。
<同軸ケーブル>
同軸ケーブルの構成は特に限定されないが、例えば、最も一般的な例として内部導体と、絶縁層と、外部導体と、シースと、からなる同軸ケーブルが挙げられる。本明細書中の「樹脂組成物を発泡成形させた層を絶縁層として備え」とは、内部導体上に被覆形成された絶縁層である。一般的な同軸ケーブルでは、その絶縁層上に電磁シールド等のための外部導体を被覆形成し、さらにその上にシースを被覆形成する。
内部導体とは、導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えば銅又は銅合金等の導電性金属が挙げられる。なお、内部導体は複数本の導電性金属素線を撚り合わせた撚り線を用いてもよい。
外部導体は、例えば複数本の導体素線が網目状に編まれてなる導体編祖として構成される。外部導体に用いられる導体素線としては、例えば銅線や銅合金が用いられる。なお、編祖として構成する以外には、テープ状の導体を螺旋巻き、二重巻き等する方法が挙げられる。
本発明における樹脂組成物の発泡成形の方法は、所望の発泡度を実現できるものであれば特に限定されない。好ましい発泡成形の方法としてはガス発泡を挙げることができる。
ガス発泡とは、発泡剤を溶融押出機内で圧入し、絶縁材料を導体に被覆して押出と同時に発泡させる方法をいう。発泡剤としては、窒素、アルゴン、炭酸ガス等の不活性ガス;メタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、フルオロカーボン等の気体を挙げることができる。さらに、発泡助剤を併用してもよい。例えば尿素、尿素系化合物、亜鉛華、ステアリン酸亜鉛等の発泡助剤を挙げることができる。発泡剤、発泡助剤はこれらに限定されるものではない。また、これらの発泡剤等は単独で使用しても2種類以上の組み合わせで使用してもよい。
発泡剤は予め被発泡有機高分子と混合しておいてもよく、あるいは押出機のバレルに設けた発泡剤供給口から押出機内に供給してもよい。
発泡度は80%〜90%であることが好ましい。発泡度が80%未満であると、絶縁層の誘電率、誘電正接が高くなり高周波同軸ケーブルとしての特性が不十分となる場合がある。発泡度が90%を超えると絶縁層の十分な機械的強度が維持できない可能性がある。
<同軸ケーブルの製造方法>
本発明の同軸ケーブルを製造する方法は特に限定されず一般的な方法を用いることができる。例えば、押出機による同軸ケーブルの製造が挙げられる。なお、押出機の種類は例えば、二軸押出機、単軸押出機、あるいはこれらを連結してガス注入と被覆の機能を付与させることも可能である。
同軸ケーブルの製造は、例えば、押出機にて発泡剤を使用して、内部導体上に押出発泡成形し、内部導体の外周に発泡絶縁層を被覆形成する。発泡絶縁層を内部導体に被覆する際にクロスヘッドダイ等の被覆装置を通常用いている。内部導体の被覆装置への導入は空気中でも同軸ケーブルの特性を損なわないで通常は製造することができる。減衰量が非常に低い同軸ケーブルの製造の場合に、内部導体導入部を窒素等の不活性ガスを充満する等の被覆装置の工夫をすると空気による樹脂成分の酸化抑制ができて、特性安定化の目的で好ましい場合がある。その発泡絶縁層上にさらに外部導体を通常の方法で被覆成形し、最後に外部導体上にシースを通常の方法で被覆成形する。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<各種材料>
[環状オレフィン樹脂]
・TOPAS ADVANCED POLYMER社製、商品名:TOPAS8007F−04、TOPAS6013S−04、TOPAS6015S−04
・日本ゼオン社製、商品名:ZEONOR 1060R
上記環状オレフィン樹脂の弾性率、比重、誘電率、誘電正接を測定した。弾性率はISO178に即して測定した。誘電特性(誘電率、誘電正接)はAgilent社製ネットワークアナライザー8757D及び関東電子株式会社製空洞共振器複素誘電率測定装置を用い、1GHz、3GHz、10GHzにおける比誘電率を空洞共振器摂動法により23℃で測定した。なお、測定の際に、絶縁層を所定の形状(φ2.5mm、長さ80mm)にして、空洞共振器に挿入した。各々の測定結果を表1に示す。
Figure 0005281580
表1から、上記環状オレフィンは、弾性率が2.0GPa以上3.5GPa以下にあることから、十分な耐側圧性と適度な可撓性を備えることを確認した。また、誘電率2.3以下、誘電正接が4×10−4以下であることから、発泡成形後の絶縁層の比誘電率が、材料部分の比誘電率のため高い値になることを防ぐことができる。
[ポリエチレン]
低密度ポリエチレン; 住友化学株式会社製、商品名:スミカセン G401、MFR 4.0g/10min(JIS K6922−1)
直鎖状低密度ポリエチレン; 住友化学株式会社製、商品名:スミカセン L GA401 MFR 3.0g/10min(JIS K6922−1)
<測定・評価方法>
下記表2に示す樹脂配合で、発泡度、圧縮強度、水分透過率、比誘電率、減衰量を測定した。
[発泡度の測定]
発泡度は下記で説明する同軸ケーブルの製造段階で、比重法で測定した。発泡前の樹脂密度と、発泡体の密度を測定し上記式(1)を用いて測定した。
[圧縮強度]
表2に示した樹脂組成物をブレンドし、シリンダーCの温度を200℃、ダイスDの温度195℃に設定した押出装置(図1)を用いて窒素ガスで発泡させたシートを押出成形した。ブレンドした組成物はホッパーAより投入し、シリンダー中央部のミキシング部Bより窒素ガスを注入した。シート厚みは5mmとなるように成形した。
得られた5mmの厚みのシートを30mm×100mmに切断し、厚み方向に荷重をかけて圧縮強度を測定した。測定にはオリエンテック製テンシロン UTA−50KNを用い、試験速度1mm/minで行った。
[水分透過量の測定]
ISO 10156−1(差圧法)に即して、測定器にLabthink社製 VAC−V2 差圧法気体浸透装置を用いて測定した。
[同軸ケーブルの製造方法]
図2に示す同軸ケーブル製造装置を用いて、内部導体(銅線)への発泡絶縁層を形成した。最初に、導体加熱機6側のクロスヘッドダイ7の内部導体挿入口を閉じて、表2に示す樹脂配合で第一押出機のホッパー3に樹脂を投入し、樹脂を溶融混練しながら発泡剤圧入口4から窒素ガスを圧入して、その混合物を第二押出機2に注入した。第二押出機2でさらに溶融混練した混合物はクロスヘッドダイ7に注入され、冷却装置8、引取り機9を通して内部導体を含まない発泡絶縁体を得た。その発泡絶縁体の密度測定を行い、所定の発泡度になるように窒素ガスの圧力を調整して、発泡絶縁体の発泡条件を決定した。なお、第一押出機1及び第二押出機2の設定温度はTOPAS8007F−04とZEONOR 1060Rを含む樹脂配合の場合と比較例の場合は200℃に、TOPAS6013S−04を含む樹脂配合の場合は215℃に、TOPAS6015S−04を含む樹脂配合の場合は230℃にそれぞれ設定した。発泡度の調整は高密度ポリエチレン単体を用いた比較例1を除いて、80%〜90%の発泡度を設定できたが、比較例1の場合は発泡度が上がらず発泡度を40%にした。ここで得られた内部導体を含まない発泡絶縁体は比誘電率測定に用いた。
次に導体加熱機6側のクロスヘッドダイ7の内部導体挿入口を開いて、1.4mm径の内部導体11(銅線)を導体送出機5から出して、導体加熱機6、クロスヘッドダイ7、冷却装置8、引取り機9へと順に設置した。先に決定した発泡絶縁体の押出条件と同じ条件で押出した混合物をクロスヘッドダイ7で内部導体11に被覆して、冷却装置8、引取り機9へと順に移送して、内部導体11に発泡絶縁層が被覆した電線12の外径が4.8mmになるように引取り速度を調整した。調整後、巻取り機にこの電線12を巻き取った。その後、外部導体として銅コルゲートで電線11を覆い、さらに、ポリエチレンのシースで覆って同軸ケーブルを得た。得られた同軸ケーブルの減衰量を測定した。なお、導線12の内部導体11を取り除いて発泡絶縁層の密度を測定したところ、内部導体に被覆させずに同じ押出条件で作製した発泡絶縁体と同じ密度であること確認した。
Figure 0005281580
表2から、実施例1〜14は、発泡度が80%〜90%の範囲にあり、圧縮強度が800(kPa)以上、水分透過量が0.55(g/m・day・atm)以下、比誘電率が1.20以下、減衰量が27(dB/100mm)以下であることを確認した。従って、実施例1〜14の同軸ケーブルは高周波用に好適な同軸ケーブルである。これに対し、環状オレフィンを含まない比較例1、2、3は、減衰量が大きく、さらに、水分透過量も高いため、高周波用に適しておらず、さらに圧縮強度が小さくなり同軸ケーブルとして適さないことを確認した。

Claims (6)

  1. 環状オレフィン系樹脂と、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンと、を含む樹脂組成物を発泡成形させた層を絶縁層として備え、
    前記絶縁層において、前記環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%から50質量%であり、前記低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンの合計の含有量が50質量%から80質量%であり、
    前記絶縁層の発泡度が80%から90%である同軸ケーブル。
  2. 前記絶縁層の圧縮強度が800kPa以上1248kPa以下、減衰量が12.3dB/100m以上27dB/100m以下である請求項1に記載の同軸ケーブル。
  3. 前記絶縁層の水分透過量が0.25g/・day・atm以上0.55g/m・day・atm以下である請求項1又は2に記載の同軸ケーブル。
  4. 前記絶縁層は、1GHzから10GHzの周波数領域における比誘電率が1.10以上1.20以下である請求項1から3のいずれかに記載の同軸ケーブル。
  5. 前記環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体又はその水素添加物である請求項1から4のいずれかに記載の同軸ケーブル。
  6. 前記環状オレフィン系樹脂は、1GHzから10GHzの周波数領域における比誘電率が2.20以上2.3以下、誘電正接が2×10−4以上4×10−4以下、室温における曲げ弾性率が2.0GPa以上3.5GPa以下である請求項1から5のいずれかに記載の同軸ケーブル。
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