JP5271018B2 - 通信ケーブル用絶縁材料、ケーブル芯線、及びツイストペアケーブル - Google Patents
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Description
本発明は、環状オレフィン系樹脂を含む通信ケーブル用絶縁材料及び当該絶縁材料を用いたケーブル芯線、ツイストペアケーブルに関する。
ローカルエリアネットワーク等の通信ケーブルは、電気特性のグレードがカテゴリー5、エンハンスドカテゴリ5又はカテゴリー6のものが主流となり、高速データ通信が可能となっている。
近年、LAN等での通信速度が高速化している。そこで、このLAN等で使用される通信ケーブルとして、特に、電気特性がカテゴリー6の規格を満足するような通信ケーブルが知られている(特許文献1、特許文献2)。このような電気的特性を満たすことと、芯線導体を被覆する絶縁材料とは密接に関係している。
上記特許文献1、2のLANケーブルでは、芯線導体を被覆する材料にポリエチレン樹脂等のエチレン系の材料を用いている。上記のような従来のポリエチレン樹脂を使用する絶縁材料を用いることで、カテゴリー6の規格を満たすことは可能であるが、誘電正接等の電気的特性の改善が限界にきているため、製造の際に生じる絶縁層の微妙な変化等により、カテゴリー6の規格を満足させることはできなくなってしまう。その結果、カテゴリー6の規格を満たす製品の生産性が低下する。
そこで、製造の際に生じる絶縁層の微妙な変化により上記規格を満たさなくなることを防ぐために、絶縁層の電気的特性の改善が求められている。改善方法として、絶縁層を発泡させて誘電特性を改善することが提案されている。しかしながら、芯線導体を被覆する絶縁材料は非常に薄く、その薄い絶縁層内で発泡させることが困難である。また、発泡させることができたとしても、発泡セルが潰れやすいという問題もある。このように、発泡による改善は困難であるため、絶縁層を発泡させなくとも電気的特性に極めて優れた絶縁材料が求められている。
ところで、ポリエチレン樹脂より誘電正接が小さい等、電気的特性に優れる絶縁材料として、環状オレフィン系樹脂が知られている。しかしながら、環状オレフィン系樹脂は、硬く脆い性質を持ち、ポリエチレン樹脂のような柔軟性を持たない。このため、環状オレフィン系樹脂のみを芯線導体に被覆する絶縁材料として用いることは不可能である。
このため、環状オレフィン系樹脂を用いた電線被覆材料として、環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂とを組み合わせた電線被覆材料が開示されているが(特許文献3)、特許文献3に記載の電線被覆材料を、通信ケーブル用絶縁材料として好ましく用いることはできない。
通信ケーブル用絶縁材料として好ましい環状オレフィン系樹脂含有絶縁材料を得るためには、硬く脆い環状オレフィン系樹脂を含みながら絶縁層が充分な可撓性を持つこと、硬く脆い環状オレフィン系樹脂を充分に含有させ絶縁層の電気的特性を高めること、が必要である。
環状オレフィン系樹脂の種類によっては、エラストマー樹脂等の可撓性を改善する材料を用いても、通信ケーブル用絶縁材料に求められる可撓性まで絶縁材料の柔軟性を高めることはできない。このため、使用可能な環状オレフィン系樹脂を検討する必要がある。さらに、最適な環状オレフィン系樹脂の含有量、エラストマー樹脂の含有量、環状オレフィン系樹脂以外の成分による電気的特性の低下も考慮しなければならない。
上記の通り、使用可能な環状オレフィン系樹脂の決定、各成分の含有量を通信ケーブル用絶縁材料として好ましく使用できるように最適な範囲を設定することは極めて難しい。
特開2003−331652号公報
特開2006−156281号公報
特開平05−112678号公報
以上の通り、環状オレフィン系樹脂を通信ケーブル用絶縁材料に用いることは困難である。環状オレフィン系樹脂は、上記の通り電気的特性に優れる材料と知られていながら、未だ環状オレフィン系樹脂を含有する優れた通信ケーブル用絶縁材料の実現には至っていない。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、環状オレフィン系樹脂を含む優れた通信ケーブル用絶縁材料及び当該絶縁材料を用いたケーブル芯線、ツイストペアケーブルを提供することにある。
本発明者らは以上のような課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ISO11443に準拠して260℃、剪断速度1216/秒に於いて測定した溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂を用い、通信ケーブル用絶縁材料がポリエチレン樹脂中に環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂とを含有することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) (A)ISO11443に準拠して260℃、剪断速度1216/秒に於いて測定した溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂、(B)エラストマー樹脂、(C)ポリエチレン樹脂を含む通信ケーブル用絶縁材料。
(2) 前記(A)成分と前記(B)成分の割合[(A)/(B)]が90/10から50/50である(1)記載の通信ケーブル用絶縁材料。
(3) 前記(A)成分の含有量と、前記(B)成分の含有量と、の合計が、20質量%以上である(1)又は(2)に記載の通信ケーブル用絶縁材料。
(4) ISO527−2/1Aに準拠して測定した引張伸びが、40%以上であり、空洞共振法で摂動法を用いて測定した3GHzにおける誘電正接が、5.0×10−4以下である(1)から(3)のいずれかに記載の通信ケーブル用絶縁材料。
(5) 芯線導体の外周に(1)から(4)のいずれかに記載の通信ケーブル用絶縁材料を被覆したケーブル芯線。
(6) 2本の(5)記載のケーブル芯線を撚り合わせてなるツイストペアケーブルであり、250MHzにおける挿入損失量が28dB/100m以下であるツイストペアケーブル。
本発明によれば、ISO11443に準拠して260℃、剪断速度1216/秒に於いて測定した溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂を用い、ポリエチレン樹脂に環状オレフィン系樹脂と、エラストマー樹脂を適切な比率で混合するために、LANケーブルのカテゴリー6以上の規格を容易に満たすような電気的特性と、通信ケーブル用絶縁材料に求められる可撓性と、を両立することができる。本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、優れた電気的特性を持つため、製造の際に生じる絶縁層の微妙な変化等で多少電気的特性が低下してもカテゴリー6以上の規格を充分に満たすことができる。
上記の通り、本発明は絶縁層に発泡層等を設ける等の特殊な技術を用いず、本発明は、使用する材料、各成分の含有量に特徴があるため、困難な加工に伴う生産性の低下が無く、優れた通信ケーブル用絶縁材料を高い生産性で提供することが可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、(A)環状オレフィン系樹脂と(B)エラストマー樹脂と(C)ポリエチレン樹脂を含む樹脂材料である。なお「通信ケーブル用絶縁材料」とは、「通信ケーブル用絶縁組成物」のことをいう。
<(A)環状オレフィン系樹脂>
本発明に用いられる(A)環状オレフィン系樹脂は、260℃、剪断速度1216/秒における溶融粘度が100Pa・s以上であることを特徴とする。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン成分を重合成分として含むものであり、例えば、
(a1)環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、
(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物、
(a3)環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物、を挙げることができる。
本発明に用いられる(A)環状オレフィン系樹脂は、260℃、剪断速度1216/秒における溶融粘度が100Pa・s以上であることを特徴とする。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン成分を重合成分として含むものであり、例えば、
(a1)環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、
(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物、
(a3)環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物、を挙げることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、
(a4)上記(a1)〜(a3)の樹脂に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの。
(a4)上記(a1)〜(a3)の樹脂に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明においては、上記の環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(a1)〜(a4)は、1種単独であっても、二種以上を混合使用してもよい。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体としては、特に限定されるものではない。特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
(式中、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
一般式(I)におけるR1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
R1〜R8の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R9〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
R9とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
R9又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記公報に記載の具体例の中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよい。
〔その他共重合成分〕
本発明の組成物に特に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
本発明の組成物に特に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒やチーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造されることが好ましい。
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報等に記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、ISO11443に準拠して260℃、剪断速度1216/sに於いて測定した溶融粘度が100Pa・s以上である。溶融粘度が、100Pa・s未満の場合には、引張伸びが低く、充分な可撓性を持つ通信ケーブル用絶縁材料にならない。好ましい溶融粘度は110Pa・s以上である。上記環状オレフィン系樹脂の溶融粘度は、環状オレフィン系樹脂に含まれる環状オレフィン成分の量、環状オレフィン系樹脂の分子量等を調整することで実現することができる。
上記のような方法で得られた環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は特に限定されず、所望の耐熱性に応じて、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は適宜変更することができる。環状オレフィン系樹脂中の環状オレフィン成分が多くなるに従い、可撓性が低下する。このため、通信ケーブル用絶縁材料の可撓性を高めるためには環状オレフィン成分は少ない方が好ましい。また、環状オレフィン成分が多くなる程、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は高くなる傾向にある。一般的なLANケーブル用絶縁材料の場合には、高い耐熱性は要求されないため、ガラス転移点が60℃から100℃の環状オレフィン系樹脂を用いれば、通信ケーブル用絶縁材料として特に好ましいものになる。なお、ガラス転移点(Tg)は、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって昇温速度10℃/分の条件で測定した値を採用する。
また、環状オレフィン成分の少ない環状オレフィン系樹脂を用いることで生産コストを抑えることができる。また、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点が60℃から100℃であれば、誘電特性はガラス転移点が140℃程度のものとほとんど差は無い。その結果、ガラス転移点が60℃から100℃の環状オレフィン系樹脂を用いることで、優れた誘電特性と可撓性を持つ通信ケーブル用絶縁材料を低コスト・高い生産性で提供することができる。
<(B)エラストマー樹脂>
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、エラストマー樹脂を含む。エラストマー樹脂を含むことで、特に通信ケーブル用絶縁材料の引張り伸びを改善することができる。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、エラストマー樹脂を含む。エラストマー樹脂を含むことで、特に通信ケーブル用絶縁材料の引張り伸びを改善することができる。
エラストマー樹脂としては、例えばスチレン系エラストマー樹脂、オレフィン系エラストマー樹脂、塩化ビニル系エラストマー樹脂、ウレタン系エラストマー樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、アクリル系エラストマー樹脂等を挙げることができ、これらは単独で、又は必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料に含まれるエラストマー樹脂は、特に限定されないが、オレフィン系エラストマー樹脂が好ましい。エラストマー樹脂を配合することによる通信ケーブルの電気的特性の低下を防ぐことができるからである。オレフィン系エラストマー樹脂とは、もっぱら炭素及び水素原子から構成され、芳香環を持たない、軟質重合体である。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン共重合体、ブタジエンやイソプレンといったジエン系重合体、α−オレフィンとジエンの共重合体等が挙げられる。これらオレフィン系エラストマー樹脂は特に限定されないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンを共重合した熱可塑性エラストマー樹脂が電気特性、可撓性、溶融混練性の観点でより好ましい。エチレンと1−ブテン共重合体エラストマーやエチレンと1−ヘキセン共重合体エラストマーが環状オレフィン系樹脂との親和性の観点でさらに好ましく、市販されているエラストマーとしてEngage ENR7380、「デュポンダウエラストマー社製」が例示される。
<(C)ポリエチレン樹脂>
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の従来公知のものを使用することができる。高密度ポリエチレン樹脂は低tanδである等、電気的特性に優れるが、可撓性等の柔軟性の面では他のポリエチレン樹脂に劣る。これに対して、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂ほどの電気的特性は持たないものの高い可撓性を備える。
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の従来公知のものを使用することができる。高密度ポリエチレン樹脂は低tanδである等、電気的特性に優れるが、可撓性等の柔軟性の面では他のポリエチレン樹脂に劣る。これに対して、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂ほどの電気的特性は持たないものの高い可撓性を備える。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料に含有させるポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂には共重合成分としてブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンが含有されており、これらの共重合成分は特に制限はないが、本発明にはブテンとヘキセンが好ましい。本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、硬く脆い環状オレフィン系樹脂を含有させることで、充分な電気的特性を備えるため、可撓性の乏しいものより柔軟なものを含有させた方が、通信ケーブル用絶縁材料として優れたものになるからである。
本発明は(C)ポリエチレン樹脂中に上述の環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂を含有させて、通信ケーブル用絶縁材料として電送損失と可撓性に優れた特性を出すことに特徴がある。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料には、ポリエチレン樹脂を80質量%以下含有させ、環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂とを合わせて20質量%以上含有させることが好ましい。ポリエチレン樹脂が80質量%以上になると、絶縁材料の誘電正接が大きくなり、通信ケーブルの電気特性が損なわれ好ましくない。
また、(A)環状オレフィン系樹脂と、(B)エラストマー樹脂と、の質量比〔(A)/(B)〕が、90/10から50/50であることが好ましい。質量比が上記範囲内にあれば、環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂との配合バランスが良く、充分な可撓性と良好な電気的特性とを通信ケーブル用絶縁材料に付与しやすいため好ましい。
(A)/(B)が90/10より大きな値、すなわち(A)と(B)の合計中のエラストマー樹脂含有量が10質量%より少なくなると、絶縁材料の可撓性が損なわれて好ましくない。又、(A)/(B)が50/50より小さな値の場合は、エラストマー樹脂含有量が多くなり、絶縁材料の誘電正接が大きくなり、通信ケーブルの電気特性が損なわれ好ましくない。
環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂を合わせたより好ましい含有量は、環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂の比率によって異なる。(A)環状オレフィン系樹脂と、(B)エラストマー樹脂と、の質量比〔(A)/(B)〕が80/20から65/35で、環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂を合わせた含有量が20質量%から35質量%にすると電気特性と可撓性のバランスが良く、特に好ましい。
本発明の絶縁材料は環状オレフィン系樹脂、エラストマー樹脂、ポリエチレン樹脂を溶融混練や溶液混合等のブレンド方法であれば特に制限はないが、溶融混練が生産性と製造コストの観点で好ましく用いられる。溶融混練の装置として2軸押出機、1軸押出機、ニーダー、ロール等を使用でき、特に、2軸押出機が各成分の分散性を良くできるので好ましく用いられる。環状オレフィン系樹脂、エラストマー樹脂、ポリエチレン樹脂の配合順序は特に制限はないが、予め環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂を溶融混練して、次にその混練物とポリエチレン樹脂を溶融混練すると絶縁材料の伸びを向上出来て好ましい。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料には、本発明の効果を失わない範囲で、必要に応じて、その他の熱可塑性樹脂、各種配合剤等を添加することができる。他の樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素樹脂等が例示される。これらの他の樹脂は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、各種配合剤としては、必要に応じて難燃助剤、酸化防止剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加物を加えることができる。
<通信ケーブル用絶縁材料>
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、ISO11443に準拠して260℃、剪断速度1216/sに於いて測定した溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂と、エラストマー樹脂と、が上述の配合比率でポリエチレン樹脂中に含有するものであれば特に限定されないが、以下の物性を備える通信ケーブル用絶縁材料が好ましい。特にエラストマー樹脂の種類、環状オレフィン系樹脂の含有量、エラストマー樹脂の含有量等が上述の好ましい範囲等にあれば、下記の物性を容易に満たすことができる。なお、「通信ケーブル」とは、有線で情報を送るための芯線導体に本発明の絶縁材料を被覆したケーブルであれば特に限定されず、例えばLANケーブルが挙げられ、本発明の通信ケーブル用絶縁材料はLANケーブル用に好適である。本発明の通信ケーブル用絶縁材料は優れた電気的特性を備えるからである。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、ISO11443に準拠して260℃、剪断速度1216/sに於いて測定した溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂と、エラストマー樹脂と、が上述の配合比率でポリエチレン樹脂中に含有するものであれば特に限定されないが、以下の物性を備える通信ケーブル用絶縁材料が好ましい。特にエラストマー樹脂の種類、環状オレフィン系樹脂の含有量、エラストマー樹脂の含有量等が上述の好ましい範囲等にあれば、下記の物性を容易に満たすことができる。なお、「通信ケーブル」とは、有線で情報を送るための芯線導体に本発明の絶縁材料を被覆したケーブルであれば特に限定されず、例えばLANケーブルが挙げられ、本発明の通信ケーブル用絶縁材料はLANケーブル用に好適である。本発明の通信ケーブル用絶縁材料は優れた電気的特性を備えるからである。
[引張伸び]
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、ISO527−2/1Aに準拠して測定した引張伸びが、40%以上であることが好ましい。引張り伸びは、上記環状オレフィン系樹脂の溶融粘度の他に、エラストマー樹脂を含有させること等により付与することができる。本発明では、260℃、せん断速度1216/秒における溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂を用い、エラストマー樹脂を環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂との合計質量に対して10質量%以上含有させるため、上記の引張伸びを満たしやすく、硬く脆い環状オレフィン系樹脂の欠点を容易に補うことができる。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、ISO527−2/1Aに準拠して測定した引張伸びが、40%以上であることが好ましい。引張り伸びは、上記環状オレフィン系樹脂の溶融粘度の他に、エラストマー樹脂を含有させること等により付与することができる。本発明では、260℃、せん断速度1216/秒における溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂を用い、エラストマー樹脂を環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂との合計質量に対して10質量%以上含有させるため、上記の引張伸びを満たしやすく、硬く脆い環状オレフィン系樹脂の欠点を容易に補うことができる。
[誘電正接]
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、空洞共振法で摂動法を用いて測定した3GHzにおける誘電正接が、5.0×10−4以下であることが好ましい。通信ケーブル用絶縁材料の誘電正接が低ければ、通信ケーブルの減衰量が小さくなるからである。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、空洞共振法で摂動法を用いて測定した3GHzにおける誘電正接が、5.0×10−4以下であることが好ましい。通信ケーブル用絶縁材料の誘電正接が低ければ、通信ケーブルの減衰量が小さくなるからである。
[比誘電率]
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、3GHzにおける比誘電率が2.3以下であることが好ましい。
本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、3GHzにおける比誘電率が2.3以下であることが好ましい。
<ケーブル芯線>
ケーブル芯線とは、芯線導体に本発明の通信ケーブル用絶縁材料を被覆したものである。芯線導体は特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、銅線等が挙げられる。
ケーブル芯線とは、芯線導体に本発明の通信ケーブル用絶縁材料を被覆したものである。芯線導体は特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、銅線等が挙げられる。
本発明の芯線ケーブルの製造方法は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、通常の押出成形ラインを用い、単線又は多線の銅芯線等の導体に本発明の通信ケーブル用絶縁材料を押出して得ることができる。
[減衰量]
本発明のケーブル芯線は、3GHzに於ける減衰量が200dB/100m以下であることが好ましい。減衰量が200dB/100mを超えると、伝達損失が大きくなるからである。一般に芯線導体を被覆する絶縁材料の誘電正接が大きいと高周波が減衰してしまう。特に、高周波帯域においては、誘電正接は減衰量に大きな影響を与えてしまう。このため、高周波帯域でのケーブル芯線の減衰量を小さくするためには、通信ケーブル用絶縁材料の誘電正接が小さい必要がある。特に、含有量、材料等を上述の好ましいものにすることで、上記減衰量の範囲を容易に満たすことができる。
本発明のケーブル芯線は、3GHzに於ける減衰量が200dB/100m以下であることが好ましい。減衰量が200dB/100mを超えると、伝達損失が大きくなるからである。一般に芯線導体を被覆する絶縁材料の誘電正接が大きいと高周波が減衰してしまう。特に、高周波帯域においては、誘電正接は減衰量に大きな影響を与えてしまう。このため、高周波帯域でのケーブル芯線の減衰量を小さくするためには、通信ケーブル用絶縁材料の誘電正接が小さい必要がある。特に、含有量、材料等を上述の好ましいものにすることで、上記減衰量の範囲を容易に満たすことができる。
<ツイストペアケーブル>
ツイストペアケーブルは、本発明のケーブル芯線を2本撚り合わせたケーブルである。撚り方等は特に限定されず、従来公知の方法で撚ることができる。例えば、電線撚り機等を用いて撚ることができる。
ツイストペアケーブルは、本発明のケーブル芯線を2本撚り合わせたケーブルである。撚り方等は特に限定されず、従来公知の方法で撚ることができる。例えば、電線撚り機等を用いて撚ることができる。
[挿入損失量]
本発明のツイストペアケーブルは、250MHzにおける挿入損失量が28dB/100m以下であることが好ましい。本発明の通信ケーブル用絶縁材料の挿入損失量が上記範囲にあれば、カテゴリー6の規格を容易に満たすころができる。特に、含有量、材料等を上述の好ましいものにすることで、上記挿入損失量の範囲を容易に満たすことができる。
本発明のツイストペアケーブルは、250MHzにおける挿入損失量が28dB/100m以下であることが好ましい。本発明の通信ケーブル用絶縁材料の挿入損失量が上記範囲にあれば、カテゴリー6の規格を容易に満たすころができる。特に、含有量、材料等を上述の好ましいものにすることで、上記挿入損失量の範囲を容易に満たすことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<材料>
環状オレフィン系樹脂:TOPAS Advanced Polymer 社製の4種の環状オレフィン系樹脂、日本ゼオン社製の環状オレフィン系樹脂1種類を用いた。これらの環状オレフィン系樹脂の溶融粘度(MV)とガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
エラストマー樹脂:オレフィン系エラストマー樹脂(Engage ENR7380、「デュポンダウエラストマー社製」)
ポリエチレン樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(NUCポリエチレンNUCG−9140、「日本ユニカー社製」)MFRが0.8g/10min、密度が0.945g/cm3
環状オレフィン系樹脂:TOPAS Advanced Polymer 社製の4種の環状オレフィン系樹脂、日本ゼオン社製の環状オレフィン系樹脂1種類を用いた。これらの環状オレフィン系樹脂の溶融粘度(MV)とガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
エラストマー樹脂:オレフィン系エラストマー樹脂(Engage ENR7380、「デュポンダウエラストマー社製」)
ポリエチレン樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(NUCポリエチレンNUCG−9140、「日本ユニカー社製」)MFRが0.8g/10min、密度が0.945g/cm3
表1の260℃、剪断速度1216/秒における溶融粘度の測定は、直径(D)1mm、長さ(L)20mmのキャピラリーダイを用いて、ISO11443に準拠する方法で行った。
<通信ケーブル用絶縁材料の作製>
表2から4に示す割合でエラストマー樹脂を環状オレフィン系樹脂に配合して、2軸押出機により260℃から280℃の設定温度範囲で溶融混練して混練物を得た。その混練物を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に表2から4に示す割合で配合して設定温度260℃でさらに溶融混練して、通信ケーブル用絶縁材料のペレットを作製した。
表2から4に示す割合でエラストマー樹脂を環状オレフィン系樹脂に配合して、2軸押出機により260℃から280℃の設定温度範囲で溶融混練して混練物を得た。その混練物を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に表2から4に示す割合で配合して設定温度260℃でさらに溶融混練して、通信ケーブル用絶縁材料のペレットを作製した。
<ケーブル芯線の作製>
芯線導体として銅線を用いた。銅線への実施例及び比較例の通信ケーブル用絶縁材料の被覆には図1に示すワイヤーコーティング装置を用いた。0.5mm径の銅線8を導体送出機2から出し、導体加熱機3、クロスヘッドダイ4、冷却装置5、引取り機6へと順に設置した。実施例及び比較例の絶縁材料ペレットを押出機のホッパーに投入して、設定温度260℃で溶融させて、その絶縁材料の溶融物をクロスヘッドダイ4で銅線8に被覆して、冷却装置5、引取り機6へと順に移送した。銅線8に絶縁材料が被覆したケーブル芯線9の外径が1.0mmになる様に引取り速度と樹脂の押し出し量を調整した。調整後、巻取り機7にこのケーブル芯線9を巻き取り作製した。
芯線導体として銅線を用いた。銅線への実施例及び比較例の通信ケーブル用絶縁材料の被覆には図1に示すワイヤーコーティング装置を用いた。0.5mm径の銅線8を導体送出機2から出し、導体加熱機3、クロスヘッドダイ4、冷却装置5、引取り機6へと順に設置した。実施例及び比較例の絶縁材料ペレットを押出機のホッパーに投入して、設定温度260℃で溶融させて、その絶縁材料の溶融物をクロスヘッドダイ4で銅線8に被覆して、冷却装置5、引取り機6へと順に移送した。銅線8に絶縁材料が被覆したケーブル芯線9の外径が1.0mmになる様に引取り速度と樹脂の押し出し量を調整した。調整後、巻取り機7にこのケーブル芯線9を巻き取り作製した。
<ツイストペアケーブルの作製>
2本の上記実施例及び比較例のケーブル芯線を用いて、約6mmの撚り戻し長で撚りを掛けたツイストペアケーブルを作製した。さらに、挿入損失量を測定するために、ツイストペアケーブルの両端にAMP社製RJ45プラグを取り付けた。
2本の上記実施例及び比較例のケーブル芯線を用いて、約6mmの撚り戻し長で撚りを掛けたツイストペアケーブルを作製した。さらに、挿入損失量を測定するために、ツイストペアケーブルの両端にAMP社製RJ45プラグを取り付けた。
<比誘電率と誘電正接の測定>
通信ケーブル用絶縁材料のペレットを用いて射出成形により所定の形状(1.75mm角、長さ80mm)の試験片を作製した。この試験片を空洞共振器に挿入して、Agilent社製ネットワークアナライザー8757D及び関東電子社製空洞共振器複素誘電率測定装置を用い、実施例及び比較例の通信ケーブル用絶縁材料の3GHzにおける比誘電率と誘電正接を空洞共振器摂動法により23℃で測定した。
通信ケーブル用絶縁材料のペレットを用いて射出成形により所定の形状(1.75mm角、長さ80mm)の試験片を作製した。この試験片を空洞共振器に挿入して、Agilent社製ネットワークアナライザー8757D及び関東電子社製空洞共振器複素誘電率測定装置を用い、実施例及び比較例の通信ケーブル用絶縁材料の3GHzにおける比誘電率と誘電正接を空洞共振器摂動法により23℃で測定した。
<減衰量の測定>
実施例及び比較例のケーブル芯線に3GHzの高周波電圧を荷電して、Agilent社製ネットワークアナライザー8757Dを用いて電圧の減衰量を測定した。測定結果を表2から表4に示した。
実施例及び比較例のケーブル芯線に3GHzの高周波電圧を荷電して、Agilent社製ネットワークアナライザー8757Dを用いて電圧の減衰量を測定した。測定結果を表2から表4に示した。
<挿入損失量の測定>
Agilent社製ネットワークアナライザー8757Dを用いて、実施例及び比較例のツイストペアケーブルの挿入損失量を測定した。測定結果を表2から表4に示した。なお、ネトワークアナライザーインピーダンスの50Ω不平衡とツイストペアケーブルの100Ω平衡信号を交換にはバラン(BHエレクトロニクス社製040−0093型)を介在させた。
Agilent社製ネットワークアナライザー8757Dを用いて、実施例及び比較例のツイストペアケーブルの挿入損失量を測定した。測定結果を表2から表4に示した。なお、ネトワークアナライザーインピーダンスの50Ω不平衡とツイストペアケーブルの100Ω平衡信号を交換にはバラン(BHエレクトロニクス社製040−0093型)を介在させた。
<引張試験>
実施例及び比較例の通信ケーブル用絶縁材料のペレットを用いて、射出成形によりダンベル試験片を作製して、ISO527−2/1Aに準拠して引っ張り試験を行った。引張伸びの測定結果を表2から表4に示した。
実施例及び比較例の通信ケーブル用絶縁材料のペレットを用いて、射出成形によりダンベル試験片を作製して、ISO527−2/1Aに準拠して引っ張り試験を行った。引張伸びの測定結果を表2から表4に示した。
表1の実施例1から4の結果及び比較例1の結果から明らかなように、本発明の通信ケーブル用絶縁材料は、比較例の絶縁材料と比べて誘電正接が低いことが確認された。また、実施例1から4の通信ケーブル用絶縁材料を用いて得られた芯線ケーブルは、比較例1の絶縁材料を用いた芯線ケーブルの減衰量と比べて減衰量が小さく、実施例1から4の芯線ケーブルを撚り合わせて得たツイストペアケーブルの挿入損失量も、比較例1の芯線ケーブルを撚り合わせて得られたツイストペアケーブルの挿入損失量と比べて小さいことが確認された。以上の通り、環状オレフィン系樹脂を通信ケーブル用絶縁材料に含有させることで、絶縁材料は優れた電気的特性を持つことが確認された。
表1の実施例1から4及び比較例2の結果から明らかなように、260℃、剪断速度1216/秒における溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂を用いることで、絶縁材料は芯線導体に被覆する通信ケーブル用として好ましい可撓性を持つことが確認された。
表3の実施例5から8及び比較例3の結果から明らかなように、通信ケーブル用絶縁材料中に環状オレフィン系樹脂とエラストマー樹脂とを合わせて20質量%以上含有させることで、優れた電気的特性と充分な可撓性とを併せ持つ通信ケーブル用絶縁材料になることが確認された。特に比較例3は、絶縁材料の誘電正接、ツイストペアケーブルの挿入損失量の点等で実施例よりも大きく劣る。したがって、環状オレフィン系樹脂の含有量を10質量%以上にすることで、通信ケーブル用絶縁材料に優れた電気的特性を付与できることが確認された。
表4の実施例6、実施例9から12の結果から明らかなように、環状オレフィン系樹脂と、エラストマー樹脂と、の質量比〔(A)/(B)〕が、90/10から50/50であれば、通信ケーブル用絶縁材料は、優れた電気的特性と充分な可撓性とを併せ持つことが確認された。
1 一軸押出機
2 導体送出機
3 導体加熱機
4 クロスヘッドダイ
5 冷却装置
6 引取り機
7 巻取り機
8 銅線
9 ケーブル芯線
2 導体送出機
3 導体加熱機
4 クロスヘッドダイ
5 冷却装置
6 引取り機
7 巻取り機
8 銅線
9 ケーブル芯線
Claims (6)
- (A)ISO11443に準拠して260℃、剪断速度1216/秒に於いて測定した溶融粘度が100Pa・s以上の環状オレフィン系樹脂と、(B)エラストマー樹脂と、(C)ポリエチレン樹脂と、を含む通信ケーブル用絶縁材料。
- 前記(A)成分と、前記(B)成分と、の質量比〔(A)/(B)〕が、90/10から50/50である請求項1に記載の通信ケーブル用絶縁材料。
- 前記(A)成分の含有量と、前記(B)成分の含有量と、の合計が、20質量%以上である請求項1又は2に記載の通信ケーブル用絶縁材料。
- ISO527−2/1Aに準拠して測定した引張伸びが、40%以上であり、空洞共振法で摂動法を用いて測定した3GHzにおける誘電正接が、5.0×10−4以下である請求項1から3のいずれかに記載の通信ケーブル用絶縁材料。
- 芯線導体の外周に請求項1から4のいずれかに記載の通信ケーブル用絶縁材料を被覆したケーブル芯線。
- 2本の請求項5記載のケーブル芯線を撚り合わせてなるツイストペアケーブルであり、
250MHzにおける挿入損失量が28dB/100m以下であるツイストペアケーブル。
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