JP2015146259A - 電線・ケーブル被覆用樹脂組成物およびそれを用いた電線・ケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メルトフローレート(190℃、21.18N)が2.0g/10分以下のエチレン−α−オレフィン共重合体(a)70〜92質量%、および、密度が0.945〜0.962g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、21.18N)が0.2g/10分未満である高密度ポリエチレン(b)8〜30質量%を含有する電線・ケーブル被覆用樹脂組成物、ならびに、この電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を押出成形してなる押出被覆を有する電線・ケーブル。
【選択図】図1
Description
(a1)メルトフローレート(MFR(2.16))が0.2〜2g/10分
(a2)密度が920〜940kg/m3
(a3)110℃以下の融解成分割合(HL110)が30〜75%
(a4)流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上
(a5)分子量分布(Mw/Mn)が6〜25
(b1)メルトフローレート(MFR)が0.05〜2g/10分
(b2)密度が905〜935kg/m3
(b3)流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上
(b4)分子量分布(Mw/Mn)が6〜25
(c1)メルトフローレート(MFR)が0.2〜20g/10分
(c2)密度が940〜975kg/m3
この点につき、特許文献1には、エチレン−α−オレフィン共重合体(I)の「メルトフローレート(MFR(2.16))」と、高密度ポリエチレン(II)の「メルトフローレート(MFR(2.16))」が規定されている。特に実施例では、「メルトフローレート(MFR(2.16))」が「1g/10分」または「5g/10分」の高密度ポリエチレン(II)が用いられている。
また、通信ケーブルは、通常、ファイバ心線とともに、テンションメンバー、また用途等に応じて支持線等を、被覆内に備えている。したがって、一般に、断面が円形のものよりも複雑なものが用いられる。このような複雑な断面形状を有する通信ケーブルとしては、例えば、幹線ケーブルから宅内に引き込むのに使用する光ドロップケーブル、宅内や構内でのケーブルの取り回しに使用されるインドア光ケーブル等が挙げられる。
また、張力に対する耐性等の特性または機能上、さらには構造上の理由から、大径化したもの、または被覆の厚さを厚くしたもの(これらを大径・厚肉電線・ケーブルということがある)が用いられることもある。
高い形状維持性が求められるのは、大径・厚肉電線・ケーブル、および、自己支持型の電線、ケーブルについても、同様である。
<1>メルトフローレート(190℃、21.18N)が2.0g/10分以下のエチレン−α−オレフィン共重合体(a)70〜92質量%、および、密度が0.945〜0.962g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、21.18N)が0.2g/10分未満である高密度ポリエチレン(b)8〜30質量%を含有することを特徴とする電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。
<2>メルトフローレート(190℃、21.18N)が0.2〜0.6g/10分であり、かつ、JIS K 7199に基づき、測定温度220℃、せん断速度15/secの条件下のキャピラリダイ法によって計測された溶融粘度が2500〜6000Pa・sであることを特徴とする<1>に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。
<3>酸化防止剤(c)およびカーボンブラック(d)を含有することを特徴とする<1>または<2>に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。
<4>前記酸化防止剤(c)が、フェノール系酸化防止剤(c1)およびリン系酸化防止剤(c2)を前記エチレン−α−オレフィン共重合体(a)および前記高密度ポリエチレン(b)の合計100質量部に対して、いずれも0.01〜2.0質量部含み、前記カーボンブラック(d)の含有量が前記合計100質量部に対して1.5〜5.0質量部であることを特徴とする<3>に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。
<5><1>〜<4>のいずれか1項に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を押出成形してなる押出被覆を有することを特徴とする電線・ケーブル。
本発明の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物(以下、本発明の樹脂組成物ということがある)は、MFR(190℃、21.18N)が2.0g/10分以下のエチレン−α−オレフィン共重合体(a)(以下、共重合体(a)ということがある)と、密度が0.945〜0.962g/cm3であり、MFR(190℃、21.18N)が0.2g/10分未満である高密度ポリエチレン(b)とを含有する。
共重合体(a)の含有率は、共重合体(a)と高密度ポリエチレン(b)との合計質量中、70〜92質量%であり、高密度ポリエチレン(b)の含有率は、上記合計質量中、8〜30質量%である。
上記成分(a)および(b)を上記範囲の含有率で含有する本発明の樹脂組成物は、好ましくは、MFR(190℃、21.18N)が0.2〜0.6g/10分であり、かつ、JIS K 7199に基づき、測定温度220℃、せん断速度15/secの条件下のキャピラリダイ法によって計測された溶融粘度が2500〜6000Pa・sである。
なお、各成分および本発明の樹脂組成物において、密度、MFR(190℃、21.18N)および溶融粘度の測定方法は、実施例にて、詳細に説明する。
本発明に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体(a)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であればよく、好ましくは、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体である。
このようなα−オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。なかでも、形状維持性や外観、コストの点で、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
共重合体(a)の密度は、0.915〜0.935g/cm3がより好ましく、0.915〜0.925g/cm3がさらに好ましい。密度を上記範囲内に抑えると、柔軟性、剛性および低温衝撃性がより優れるものにできる。また、押出成形機への負荷の低減効果が大きく、形状維持性にも優れる。さらに、共重合体(a)を廉価に入手または製造でき、本発明の樹脂組成物、ひいては本発明の電線・ケーブルの製造コストを低減できる。
MFR(190℃、21.18N)は、特に限定されないが、0.5g/10分以上が実際的である。
市販品としては、例えば、「カーネル」(商品名、日本ポリエチレン社製)、「エボリュー」(商品名、プライムポリマー社製)、「モアテック」(商品名、プライムポリマー社製)、「NUC」(商品名、日本ユニカー社製)、「ノバテック」(商品名、日本ポリエチレン社製)等を挙げることができる。
このとき、密度は、例えば、α−オレフィンの種類や導入量等によって、調整できる。また、MFRは、例えば、平均分子量等によって、調整できる。
形状維持性を低下させることなく、押出成形機への負荷を低減できる点で、共重合体(a)の含有率は、上記合計質量中、75〜88質量%が好ましく、78〜85質量%がより好ましく、80〜85質量%がさらに好ましい。
2種以上を併用する場合、MFR、好ましくは密度を、共重合体それぞれが満たしているのがよいが、2種以上の共重合体のブレンド物が全体として満たしていてもよい。
本発明に用いる高密度ポリエチレン(b)は、構成成分としてエチレン成分を含む重合体または共重合体であればよく、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
該共重合体において、エチレン構成成分の含有率は、特に限定されないが、強度特性や形状維持性の点で、共重合体の全構成成分中、95質量%以上が好ましく、97〜100質量%がより好ましい。エチレン構成成分の含有率は上記方法で求めることができる。
押出成形機への負荷を低減し、しかも形状維持性等を改善できる点で、密度は、0.950〜0.960g/cm3が好ましい。
製造設備(押出成形機)のモーター負荷を低減することができ、しかも形状維持性に加えて電線・ケーブルの外観にも優れる点で、MFR(190℃、21.18N)は、0.05〜0.15g/10分が好ましく、0.06〜0.10g/10分がより好ましい。
市販品としては、例えば、「ハイゼックス」(商品名、プライムポリマー社製)、「ニポロンハード」(商品名、東ソー社製)、「ノバテック」(商品名、日本ポリエチレン社製)等を挙げることができる。
このとき、密度およびMFRは、共重合体(a)と同様にして、調整できる。
形状維持性を低下させることなく、押出成形機への負荷を低減できる点で、高密度ポリエチレン(b)の含有率は、12〜25質量%が好ましく、15〜22質量%がより好ましく、15〜20質量%がさらに好ましい。
2種以上を併用する場合、それぞれが密度およびMFRを満たしているのがよいが、2種以上のポリエチレンブレンド物が全体として密度およびMFRを満たしていてもよい。
本発明の樹脂組成物は、電線、ケーブル、コード、チューブ、電線部品、シート等において、一般的に使用されている各種の添加剤、または、溶媒等を、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜含有することができる。
添加剤としては、特に限定されず、例えば、酸化防止剤、充填剤(補強剤)、金属不活性剤、難燃(助)剤、滑剤等が挙げられる。
酸化防止剤(c)は、本発明の樹脂組成物に好ましく含有される。
本発明に用いることができる酸化防止剤は、通常、電線等に用いられるものであればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤(c1)、リン系酸化防止剤(c2)、アミン系酸化防止剤(c3)、イオウ系酸化防止剤(c4)等が挙げられる。なかでも、フェノール系酸化防止剤(c1)、リン系酸化防止剤(c2)が好ましく、フェノール系酸化防止剤(c1)およびリン系酸化防止剤(c2)を併用するのがより好ましい。
本発明において、酸化防止剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤(c)の、本発明の樹脂組成物中の合計含有量は、特に限定されず、上記共重合体(a)および高密度ポリエチレン(b)の合計100質量部に対して、0.01〜2.0質量部が好ましく、0.05〜1.0質量部がより好ましい。
フェノール系酸化防止剤(c1)の市販品としては、例えば「イルガノックス」(商品名、BASF社製)等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤(c1)の含有量は、上記合計含有量の範囲内であれば特に限定されない。例えば、上記合計100質量部に対して、0.01〜2.0質量部が好ましく、0.01〜1.0質量部がより好ましく、0.05〜0.5質量部がさらに好ましく、0.1〜0.3質量部が特に好ましい。
フェノール系酸化防止剤(c2)の市販品としては、例えば「イルガフォス」(商品名、BASF社製)等を挙げることができる。
リン系酸化防止剤(c2)の含有量は、上記合計含有量の範囲内であれば特に限定されない。例えば、上記合計100質量部に対して、0.01〜2.0質量部が好ましく、0.01〜1.0質量部がより好ましく、0.05〜0.5質量部がさらに好ましく、0.1〜0.3質量部が特に好ましい。
充填剤としては、通常、電線等に用いられるものであればよく、例えば、カーボンブラック(d)、無機酸化物、シリカ、タルク等が挙げられる。なかでも、補強性、耐候性等が優れる点で、カーボンブラック(d)が好ましい。
本発明において、充填剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは10〜500nmである。
カーボンブラック(d)としては、例えば「旭カーボン」、「SUNBLACK」(商品名、いずれも旭カーボン社製)等を挙げることができる。
特に充填剤がカーボンブラック(d)である場合は、機械的特性や外観が優れるうえ、屋外で使用され、紫外線に曝されても長期間機械的特性を維持できる(耐候性に優れる)点で、上記合計100質量部に対して、1.5〜5.0質量部が好ましく、1.5〜2.5質量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記共重合体(a)および高密度ポリエチレン(b)を特定の質量割合で含有することにより、以下の特性を有するのが好ましい。これにより、形状維持性および負荷低減効果を改善できる。また、電線・ケーブルに求められる特性、例えば機械的強度、柔軟性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐寒性、耐環境応力亀裂特性等をも兼ね備えることができる。
MFR(190℃、21.18N)は、0.2〜0.6g/10分が好ましく、0.3〜0.5g/10分がより好ましい。MFRが0.6g/10分を超えると、形状維持性が低下し、特に、異形電線・ケーブル、大径・厚肉電線・ケーブル、または、自己支持型の電線、ケーブルを製造する場合に、その断面形状が崩れることがある。一方、0.2g/10分未満であると、製造設備のモーター負荷が高くなって製造できなくなることがある。
溶融粘度は、2500〜6000Pa・sが好ましい。溶融粘度が2500Pa・s未満であると、形状維持性が低下し、特に異形電線・ケーブル等を製造する場合に、その断面形状が崩れることがある。一方、6000Pa・sを超えると、製造設備への負荷が大きくなって押出成形が困難となることがある。すなわち、溶融粘度が上記範囲内にあると、押出成形機への負荷低減効果および形状維持性を高い水準で両立できる。したがって、電線またはケーブルを製造する場合はもちろん、異形電線・ケーブル等を製造する場合にも、溶融粘度が上記範囲内にある本発明の樹脂組成物を異形電線・ケーブル等の被覆材料として使用すると、押出成形機への負荷低減効果および形状維持性に優れた効果を発現する。この効果がより優れる点で、溶融粘度は、3000〜5000Pa・sが好ましく、3500〜5000Pa・sがより好ましい。
密度は、特に限定されないが、電線・ケーブルとしての機械的強度および柔軟性を両立できる点で、0.925〜0.940g/cm3が好ましく、0.925〜0.935g/cm3がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、共重合体(a)および高密度ポリエチレン(b)、所望により添加剤を、上記含有率または含有量となる割合で、混合機、混練機等を用いて、溶融混練(混合を含む)して、製造できる。
このとき、溶融混練する際の混合順は、特に限定されず、上記成分をどのような順で混合してもよい。好ましい混合順としては、例えば、添加剤を用いる場合、高密度ポリエチレン(b)、酸化防止剤(c)、カーボンブラック(d)及び所望により他の添加剤を溶融混練した後、最後に共重合体(a)を溶融混練すると、カーボンブラック(d)や添加剤の分散が良好になる傾向にある。
また、混練時間等の混練条件も、特に限定されず、上記成分が混合されればよく、適宜に設定することができる。
本発明の電線・ケーブル(以下、本発明の電線等という)は、導体、芯線、導体束またはファイバ心線等(導体等ということがある)の外周に、本発明の樹脂組成物を押出成形してなる押出被覆を絶縁層またはシース等として有する。
本発明の樹脂組成物が押し出される導体等は、特に限定されず、本発明の電線等の種類、用途等に応じて適宜に選択される。また、導体等の材質、形状、寸法等も、従来のものを適宜選択して用いることができる。
また、ケーブルとしては、各種ケーブルが特に限定されずに適用でき、屋内に配設されるケーブルおよび屋外に配設されるケーブルを含む。例えば、電力ケーブル、通信ケーブル等が好ましく挙げられる。
これらのなかでも、形状維持性が求められる、大径・厚肉の、スロット型光ケーブル、漏洩同軸ケーブルが好ましく、また、自己支持型の電線、ケーブルも好ましい。
すなわち、スロット型光ケーブル1は、自己支持型(SSW型)の光ケーブルであり、図1に示されるように、端面(断面)形状が略円形の支持線部12と断面形状が略円型のケーブル部11とが複数の首部(連結部)13で連結された断面形状を有している。このように、スロット型光ケーブル1の断面形状は、単純な形状ではなく、複雑な形状になっている。
支持線部12は、図1(b)に示されるように、複数の支持線12aと、支持線12aを被覆する被覆材(シース)12bを有している。
なお、スロット型光ケーブル1において、支持線12a、テンションメンバー14、スロット15、光ファイバ心線16、引き裂き紐17および押さえ巻きテープ18は、通常の光ケーブルに用いられるものであれば、特に限定されることなく、用いることができる。
すなわち、漏洩同軸ケーブル2は、自己支持型(SSW型)のケーブルであり、図2に示されるように、端面(断面)形状が略円形の支持線部22と断面形状が略円型のケーブル部21とが複数の首部(連結部)23で連結された断面形状を有している。このように、漏洩同軸ケーブル2の断面形状は、単純な形状ではなく、複雑な形状になっている。
支持線部22は、複数の支持線22aと、支持線22aを被覆する被覆材(シース)22bを有している。
なお、漏洩同軸ケーブル2において、支持線22a、内部導体24、絶縁体ポリエチレン紐25、絶縁体ポリエチレンパイプ26および外部導体27は、通常の漏洩同軸ケーブルに用いられるものであれば、特に限定されることなく、用いることができる。
このとき、本発明の樹脂組成物を導体等とともに押し出すと、電線・ケーブルの断面形状に対応する複雑な断面形状を崩すことなく、この形状を保持したまま成形できる。したがって、形状の再現性がよく、高い歩留まりで、本発明の電線等を製造できる。
しかも、本発明の樹脂組成物は、押出成形機に過大な負荷をかけることがなく、生産性もよい。
本発明に用いうるファイバ心線、テンションメンバーおよび支持線は上記した通りである。
絶縁層の厚さ(最大厚さ)は、特に限定されないが、通常、0.15〜5mm程度である。
シースの厚さは、特に限定されないが、通常、0.15〜30mm程度である。
また、押出成形の他の条件として、スクリュー回転数が2〜50rpmであり、線速が2〜100m/分であることが好ましい。
なお、押出成形機のスクリュー構成は、特に限定されず、通常のフルフライトスクリュー、ダブルフライトスクリュー、先端ダブルフライトスクリュー、マドックスクリュー等を使用できる。
下記エチレン−α−オレフィン共重合体(a2)〜(a5)および(aa1)は、エチレンと1−ブテンを、チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒の存在下、気相重合装置または液相重合装置を用い、70〜150℃で共重合して、合成した。用いた触媒濃度は、重合が十分に進行する濃度で良いが、重合反応器内容物の質量を基準として、0.0001〜5質量%用いた。
<エチレン−α−オレフィン共重合体(a)>
エチレン−α−オレフィン共重合体(a1):「NUCG7641」(商品名、NUC社製、エチレン−1−ブテン共重合体、MFR(190℃、21.18N)0.70g/10分、密度0.922g/cm3)
エチレン−α−オレフィン共重合体(a2):エチレン−1−ブテン共重合体(MFR(190℃、21.18N)1.00g/10分、密度0.920g/cm3)
エチレン−α−オレフィン共重合体(a3):エチレン−1−ブテン共重合体(MFR(190℃、21.18N)2.00g/10分、密度0.920g/cm3)
エチレン−α−オレフィン共重合体(a4):エチレン−1−ブテン共重合体(MFR(190℃、21.18N)1.00g/10分、密度0.900g/cm3)
エチレン−α−オレフィン共重合体(a5):エチレン−1−ブテン共重合体(MFR(190℃、21.18N)1.00g/10分、密度0.933g/cm3)
エチレン−α−オレフィン共重合体(aa1):チレン−1−ブテン共重合体(MFR(190℃、21.18N)2.50g/10分、密度0.922g/cm3)
下記高密度ポリエチレン(b3)〜(b5)および(bb1)〜(bb4)は、エチレンを、チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒の存在下、気相重合装置または液相重合装置を用い、70〜150℃で重合して、合成した。用いた触媒濃度は、重合が十分に進行する濃度で良いが、重合反応器内容物の質量を基準として、0.0001〜5質量%用いた。
高密度ポリエチレン(b1):「ハイゼックス5000H」(商品名、プライムポリマー社製、エチレン単独重合体、MFR(190℃、21.18N)0.10g/10分、密度0.958g/cm3)
高密度ポリエチレン(b2):「ハイゼックス7800M」(商品名、プライムポリマー社製、エチレン単独重合体、MFR(190℃、21.18N)0.04g/10分、密度0.954g/cm3)
高密度ポリエチレン(b3):単独重合体(MFR(190℃、21.18N)0.10g/10分、密度0.948g/cm3)
高密度ポリエチレン(b4):単独重合体(MFR(190℃、21.18N)0.10g/10分、密度0.962g/cm3)
高密度ポリエチレン(b5):単独重合体(MFR(190℃、21.18N)0.10g/10分、密度0.938g/cm3)
高密度ポリエチレン(bb1):単独重合体(MFR(190℃、21.18N)0.10g/10分、密度0.943g/cm3)
高密度ポリエチレン(bb2):単独重合体(MFR(190℃、21.18N)0.10g/10分、密度0.964g/cm3)
高密度ポリエチレン(bb3):単独重合体(MFR(190℃、21.18N)0.25g/10分、密度0.951g/cm3)
高密度ポリエチレン(bb4):単独重合体(MFR(190℃、21.18N)5.00g/10分、密度0.964g/cm3)
フェノール系酸化防止剤(c1):「イルガノックス1010」(商品名、BASF社製、化学名ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
リン系酸化防止剤(c2):「イルガフォス168」(商品名、BASF社製、化学名トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)
カーボンブラック(d):「旭カーボン#70」(商品名、旭カーボン社製、平均粒径20nm)
本例では、図1(a)に示す端面輪郭を有する、所謂「眼鏡状」の簡易試験ケーブルを製造して、下記項目を評価した。この簡易試験ケーブルはスロット型光ケーブルの簡易試験体である。以下、簡易試験ケーブルを構成する部材のうち、図1に示すスロット型光ケーブル1を構成する部材に対応するものには、便宜的に、これと同一の符号を付す。
次に、得られた電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)が25で、スクリュー直径が40mmφの電線用押出成形機(聖製作所社製、モーター負荷限界:80A)、および、断面形状が眼鏡状である押出ダイスを用いて、下記押出温度条件により、並行に並べた1.0mmφの導体(軟銅線)の上に、下記のようにして一体的に押出・被覆して、簡易試験ケーブルを製造した。
スクリューの回転数を40rpm、線速を10m/分に設定した。
表1および表2に示す各成分を表1および表2に示す配合量で溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、それぞれ、本発明の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を得た。
得られた電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして、それぞれ、本発明の電線を製造した。
まず、テンションメンバー14、スロット15、光ファイバ心線16、引き裂き紐17および押さえ巻きテープ18として通常用いられるものを用いて、シース19を有しないケーブル部11を、公知の方法により、作製した。
実施例1で調製した電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を、実施例1と同様にして、シース19を有しないケーブル部11および支持線12aの外周に押出して、図1に示すスロット型光ケーブル1を製造した。
なお、ケーブル部11の外径を21mm、シース19の厚さを1.5mm、支持線部12の外径を5mm、シース12bの厚さを1.5mmとした。
表2に示す各成分を表2に示す配合量で溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、それぞれ、比較のための電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を得た。
得られた比較のための電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして、それぞれ、比較のための簡易試験ケーブルを製造した。
密度は、JIS K 7112:1999に規定の「A法(水中置換法)」に基づいて、測定した。
MFR(190℃、21.18N)は、JIS K 7210に規定の「A法(手動切り落とし法)」基づき、190℃、21.18Nの条件Dで計測した。
JIS K 7199:1999に基づき、測定温度220℃、せん断速度15/secの条件下のキャピラリダイ法(方法A2)によって、測定した。
上記簡易試験ケーブルまたはスロット型光ケーブル1を製造した各例において、上記押出成形機により押し出された各電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を冷水等で冷却することなく大気中に最大20秒放置し、所定の形状を保持しているか否かを目視にて、確認し、下記基準により、評価した。
形状維持性は、評価が「B」であると許容でき、「A」以上であると望ましいレベルにある。
AA:20秒放置しても形状維持していた場合
A :10秒放置しても形状維持していた場合
B :5秒放置しても形状維持していた場合
C :5秒未満で形状が崩れた場合
上記簡易試験ケーブルまたはスロット型光ケーブル1を製造した各例において、上記押出成形機により各電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を押出成形した際の、押出成形機のモーターに作用した負荷値の最大値を読み取った。
読み取った値をモーター負荷限界値で除して、モーター負荷限界に対する負荷率(%)を算出した。電線・ケーブル被覆用樹脂組成物の押出容易性を、上記負荷率を指標として、下記基準により、評価した。
押出容易性は、評価が「B」であると押出機にかかる負荷が許容でき、「A」以上であると望ましいレベルにある。
AA:74%以下
A :74%を超え、85%以下
B :85%を超え、100%以下
C :100%を超える
特に、スロット型光ケーブル1を実際に製造してみたところ(実施例13)、形状維持性と押出容易性を両立でき、実施例1と同様の結果が得られた。
また、密度が上記範囲内にあるものは電線・ケーブルに要求される機械的強度および柔軟性等を有することが分かった。
共重合体(aa1)のMFRが大きい比較例3の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物は、そのMFRが大きく、形状維持性が劣った。また、高密度ポリエチレン(bb1)の密度が小さい比較例4の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物は、形状維持性が劣り、押出容易性と形状維持性とを両立できなかった。一方、高密度ポリエチレン(bb2)の密度が大きい比較例5の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物は、押出容易性に劣った。
さらに、高密度ポリエチレン(bb3)のMFRが大きい比較例6の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物は、そのMFRが大きく、形状維持性が劣り、押出容易性と形状維持性とを両立できなかった。また、高密度ポリエチレン(bb4)の密度およびMFRが共に大きい比較例7の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物は、そのMFRが大きく、溶融粘度が小さく、形状維持性が劣っていた。
2 漏洩同軸ケーブル
11、21 ケーブル部
12、22 支持線部
12a、22a 支持線
12b、22b 被覆材(シース)
13、23 首部
14 テンションメンバー
15 スロット
15a 収納溝
16 光ファイバ心線
17 引き裂き紐
18 押さえ巻きテープ
19、28 被覆材(シース)
24 内部導体
25 絶縁体ポリエチレン紐
26 絶縁体ポリエチレンパイプ
27 外部導体
Claims (5)
- メルトフローレート(190℃、21.18N)が2.0g/10分以下のエチレン−α−オレフィン共重合体(a)70〜92質量%、および、密度が0.945〜0.962g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、21.18N)が0.2g/10分未満である高密度ポリエチレン(b)8〜30質量%を含有することを特徴とする電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。
- メルトフローレート(190℃、21.18N)が0.2〜0.6g/10分であり、かつ、JIS K 7199に基づき、測定温度220℃、せん断速度15/secの条件下のキャピラリダイ法によって計測された溶融粘度が2500〜6000Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。
- 酸化防止剤(c)およびカーボンブラック(d)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。
- 前記酸化防止剤(c)が、フェノール系酸化防止剤(c1)およびリン系酸化防止剤(c2)を、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(a)および前記高密度ポリエチレン(b)の合計100質量部に対して、いずれも、0.01〜2.0質量部含み、
前記カーボンブラック(d)の含有量が、前記合計100質量部に対して1.5〜5.0質量部であることを特徴とする請求項3に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物。 - 請求項1〜4のずれか1項に記載の電線・ケーブル被覆用樹脂組成物を押出成形してなる押出被覆を有することを特徴とする電線・ケーブル。
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