JP5281353B2 - 車両用操舵力伝達装置 - Google Patents

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本発明は、ステアリング操作部材に入力された操舵力を転舵装置に伝達する車両用操舵力伝達装置に関する。
近年では、運転者によって操作されるステアリング操作部材に一端部が連結される操作部材側シャフトの回転位相と、車輪を転舵する転舵装置に一端部が連結される転舵装置側シャフトの回転位相との差である回転位相差を変化させつつ、操作部材側シャフトの回転を転舵装置側シャフトに伝達する回転伝達機構を備えた車両用操舵力伝達装置の開発が進められている。下記特許文献には、その回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置の一例が記載されている。
特開平3−227772号公報 特開平5−178222号公報 特開平6−92245号公報
上記回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置は、その機構を備えない操舵力伝達装置と比較して、操舵力伝達装置の軸線方向に長くなる虞がある。このため、回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置においては、回転伝達機構を備えない操舵力伝達装置と比較して、車両への搭載スペースが車両の前後方向に長くなり、車両へ搭載し難くなる。上記回転伝達機構を備えた車両用操舵力伝達装置は、未だ開発途上であり、そのような問題を始めとする種々の問題を抱え、改良の余地を多分に残すものとなっている。そのため、種々の改良を施すことによって、その操舵力伝達装置の実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用操舵力伝達装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用操舵力伝達装置は、操作部材側シャフトと、そのシャフトの回転軸線と自身の回転軸線とが平行でありかつそれら回転軸線が所定距離ズレた状態で配設された転舵装置側シャフトと、(A)操作部材側シャフトと転舵装置側シャフトとの一方である第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置において、その第1シャフトの本体部からその第1シャフトの径方向に立設するその第1シャフトの立設部からその第1シャフトの回転軸線の延びる方向に突出した状態でその立設部に設けられ、操作部材側シャフトと転舵装置側シャフトとの他方である第2シャフトの他端部と係合する第1シャフトの係合部と、(B)その第2シャフトの他端部においてその第2シャフトの径方向に延びるようにして設けられ、第1シャフトの係合部を係合させるとともに、その係合部の第2シャフトの径方向における移動を許容する案内通路とを含んで構成され、操作部材側シャフトの回転を、回転位相差を変化させつつ、転舵装置側シャフトに伝達する回転伝達機構とを備えた操舵力伝達装置であって、第1シャフト本体部の第2シャフト側の端が、第1シャフトの回転軸線および第2シャフトの回転軸線である回転軸線方向において、第2シャフトの第1シャフト側の端よりも第2シャフトの一端部寄りに位置するように構成される。
本発明の車両用操舵力伝達装置は、操作部材側シャフトと転舵装置側シャフトとの一方の本体部の端部と、操作部材側シャフトと転舵装置側シャフトとの他方の端部とが、上記回転軸線方向において重なり合う構造とされている。したがって、本発明の車両用操舵力伝達装置によれば、装置の回転軸線方向の長さを短縮することが可能となり、車両への搭載のし易さ、つまり、車両への搭載性を向上させることが可能となる。このような利点から、本発明の装置によれば、回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置の実用性を高くすることが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(3)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(4)項および(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(7)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、それぞれ相当する。
(1)運転者によって操作されるステアリング操作部材に一端部が連結され、回転可能に配設された操作部材側シャフトと、
車輪を転舵する転舵装置に一端部が連結され、前記操作部材側シャフトの回転軸線と自身の回転軸線とが平行でありかつそれら回転軸線が所定距離ズレた状態で回転可能に配設された転舵装置側シャフトと、
(A)前記操作部材側シャフトと前記転舵装置側シャフトとの一方である第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置において、その第1シャフトに設けられ、前記操作部材側シャフトと前記転舵装置側シャフトとの他方である第2シャフトの他端部と係合する前記第1シャフトの係合部と、(B)その第2シャフトの他端部においてその第2シャフトの径方向に延びるようにして設けられ、前記第1シャフトの係合部を係合させるとともに、その係合部の前記第2シャフトの径方向における移動を許容する案内通路とを含んで構成され、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの一方の回転によって、その第1シャフトの回転位相とその第2シャフトの回転位相との差である回転位相差を変化させつつ、他方が回転するように構成された回転伝達機構と
を備えた車両用操舵力伝達装置であって、
前記第1シャフトが、
その第1シャフトの本体部である第1シャフト本体部と、
その第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端から前記第1シャフトの回転軸線および前記第2シャフトの回転軸線の延びる方向である回転軸線方向において前記第2シャフトから離れる方向にシフトした位置において、前記第1シャフト本体部に前記第1シャフトの径方向に立設された立設部と、
その立設部から前記回転軸線方向における前記第2シャフト側に突出した状態で、前記第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置において前記立設部に設けられた突出部と
を有し、
前記第2シャフトが、
その第2シャフトの本体部である第2シャフト本体部と、
その第2シャフト本体部の前記第1シャフト側の端においてその第2シャフト本体部と一体的に設けられ、その第2シャフト本体部よりも第2シャフトの径方向に突出するとともに自身の一端面がその第2シャフトの前記第1シャフト側の端面を構成する鍔部と、
その鍔部の一端面に開口するとともに、前記第2シャフトの径方向に延びる溝と
を有し、
前記突出部が、前記鍔部の一端面に形成された前記溝に、その溝の開口を超えて係合することで、前記突出部が前記係合部として機能するとともに、前記溝が前記案内通路として機能し、
当該車両用操舵力伝達装置が、
前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端が、前記回転軸線方向において、前記第2シャフトの前記第1シャフト側の端よりも前記第2シャフトの一端部寄りに位置する構造とされた車両用操舵力伝達装置。
上記回転伝達機構は、上記2本のシャフトの一方に立設された立設部から回転軸線方向に突出した状態でその立設部に設けられた突出部が他方の端部に形成された溝に係合する構造とされている。このような構造の回転伝達機構においては、突出部を円筒形状とし、その円筒形状の突出部を回転可能に立設部に設けることで、突出部を溝内で円滑に転動させることが可能となり、円滑な回転伝達が期待される。ただし、このような回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置においては、第2シャフトに鍔部を設けるとともに、第1シャフトには回転軸線方向に突出する突出部を設ける必要があり、回転伝達機構を備えない操舵力伝達装置と比較して、操舵力伝達装置の軸線方向に長さ、つまり全長が長くなる虞がある。操舵力伝達装置の車両への搭載スペースは限られており、装置の全長が長くなれば、車両へ搭載し難くなる。
また、操舵力伝達装置が、転舵力を助勢するための助勢装置、いわゆるパワーステアリング装置を備えている場合があり、パワーステアリング装置の多くは、上記2本のシャフトのいずれかがトーションバーを含む2つ以上のパーツに分けられ、そのトーションバーの捩れ量に応じた大きさの転舵助勢力を発生させる構造とされている。トーションバーの強度に配慮すると、トーションバーはある程度の長さが必要であるため、そのトーションバーを備えたシャフトを回転軸線方向に短くすることは望ましくない。このため、回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置においては、各シャフトの長さを短くすることなく、操舵力伝達装置の全長を短くすることが望ましい。
以上のことに鑑み、本項に記載の態様の操舵力伝達装置においては、それら2本のシャフトの一方のシャフト本体部の端部と他方の端部とが上記回転軸線方向において重なり合うように、それら2本のシャフトを配設している。したがって、本項に記載の態様の操舵力伝達装置によれば、各シャフトの長さを短くすることなく、操舵力伝達装置の全長を短くすることが可能となり、車両への搭載性を向上させることが可能となる。
本項に記載された「回転伝達機構」は、2本のシャフトの回転位相差を変化させるものであることから、操作部材側シャフトの回転角と転舵装置側シャフトの回転角との差が変化する。具体的に言えば、後に詳しく説明するが、例えば、2本のシャフトの回転角差(回転位相差)の無い状態の操作部材側シャフトの回転角である特定回転角から操作部材側シャフトが回転すると、操作部材側シャフトが180°回転するまでは、転舵装置側シャフトは、操作部材側シャフトの回転角より小さい回転角しか回転しない。そして、操作部材側シャフトが180°回転すると、転舵装置側シャフトも180°回転し、2本のシャフトの回転角の差がなくなる。つまり、操作部材側シャフトが特定回転角からもう1つの特定回転角である180°まで回転する際に、回転角差が0から増加し、途中から減少して0に到るのである。このように、2本のシャフトが回転する場合のギヤ比、つまり、操作部材側シャフトの回転速度に対する転舵装置側シャフトの回転速度の比は、操作部材側シャフトが特定回転角から180°まで回転するにつれて大きくなる。このため、前者の特定の回転角が、ステアリング操作部材が車輪の転舵中立位置に対応する位置、つまり、中立操作位置にあるときの状態での操作部材側シャフトの回転角である場合には、ステアリング操作部材の操作角が小さい場合においては、穏やかで安定感のあるハンドリングが実現され、ステアリング操作部材の操作角が大きくなるにつれて、レスポンスの良いハンドリングが実現されるのである。つまり、本項に記載された「操舵力伝達装置」を搭載した車両においては、電磁モータ等のアクチュエータに依拠してステアリング操作部材の操作量に対する車輪の転舵量を変更するステアリングシステム、いわゆる操舵転舵比可変ステアリングシステム(VGRS(Variable Gear Ratio Steering))等を搭載することなく、ステアリング操作部材の操作フィーリングを上述したように変化させることができるのである。
本項に記載の「立設部」は、第1シャフト本体部の外周面の一部に第1シャフトの径方向に立設されるものであってもよく、第1シャフト本体部の外周面の全周にわたって第1シャフトの径方向に立設されるもの、具体的に言えば、例えば、円環状のフランジ部であってもよい。また、本項に記載の「鍔部」は、第2シャフト本体部の外周面の一部から第2シャフトの径方向に突出するものであってもよく、第2シャフト本体部の外周面の全周にわたって第2シャフトの径方向に突出するもの、具体的に言えば、例えば、円環状の鍔部であってもよい。なお、転舵装置側シャフトの一端部と転舵装置との連結、若しくは、操作部材側シャフトの一端部と操作部材との連結は、それらが直接的に連結されるものであってもよく、それらの間にイタミディエイトシャフト,ユニバーサルジョイント等を介して連結されるものであってもよい。
(2)前記溝が、
それぞれが前記突出部の移動が許容される方向に平行に延びかつ互いに向かい合うように配置されてその溝を区画し、その突出部を挟むことによってその突出部の前記第2シャフトの周方向における変位を規制する1対の側壁面を有する(1)項に記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の態様の操舵力伝達装置においては、溝の構造が具体的に限定されている。本項に記載の装置によれば、突出部を第2シャフトの回転に伴ってそのシャフトの径方向へ案内することが可能となる。
(3)前記第2シャフトが、前記鍔部の前記一端面に開口する凹所を有し、
その凹所内に、前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端部が収容されていることで、前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端が、前記回転軸線方向において、前記第2シャフトの前記第1シャフト側の端よりも前記第2シャフトの一端部寄りに位置する構造とされた(1)項または(2)項に記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の装置においては、第2シャフトが一端面に開口する空洞を有しており、その空洞内に第1シャフト本体部が収容されている。本項に記載の装置によれば、操舵力伝達装置の全長を、第1シャフト本体部の空洞内に収容された部分の軸線方向の長さに相当する分短くすることが可能となる。
(4)前記溝が、前記第2シャフトの回転軸線に近い一端である基端において、前記凹所に開口する構造とされた(3)項に記載の車両用操舵力伝達装置。
(5)前記第2シャフトが、
前記凹所の深さと前記溝の深さとが同じである構造とされた(4)項に記載の車両用操舵力伝達装置。
上記2つの項に記載の操舵力伝達装置においては、溝および凹所の構造が具体的に限定されている。上記2つの項の装置によれば、溝および凹所の構造を簡素化することが可能となり、溝および凹所の第2シャフトへの形成に有利である。
(6)前記溝が、
それぞれが前記突出部の移動が許容される方向に平行に延びかつ互いに向かい合うように配置されてその溝を区画し、その突出部を挟むことによってその突出部の前記第2シャフトの周方向の変位を規制する1対の側壁面を有し、
前記突出部が、
外周面が前記1対の側壁面によって挟まれた状態で前記溝内を転動するローラを有する(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の操舵力伝達装置においては、突出部の構造が具体的に限定されている。本項に記載の装置においては、各シャフトの回転角にかかわらず、突出部をガタつきなく1対の側壁面に沿って移動させることが可能となる。したがって、本項に記載の装置によれば、操作部材側シャフトの回転を円滑に転舵装置側シャフトに伝達することが可能となる。
(7)前記第1シャフト本体部が、前記第1シャフトの回転軸線に沿って延びる空間を有する中空状に形成されるとともに、
前記第1シャフトが、
前記空間に配設され、一端部が前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端部によって回転不能に保持され、前記第1シャフトに加わる回転力によって捩られるトーションバーを有し、
当該車両用操舵力伝達装置が、前記トーションバーの捩れ量に応じた大きさの転舵助勢力を発生させる助勢装置を備えた(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の装置においては、いわゆるパワーステアリング装置が備えられている。パワーステアリング装置を備えた操舵力伝達装置においては、操作部材側シャフトと転舵装置側シャフトとのいずれかにトーションバーが同軸的に接続され、そのトーションバーの捩れ量に応じた大きさの転舵助勢力が発生させられる場合がある。トーションバーの強度に配慮すると、トーションバーの長さはある程度必要である。このため、トーションバーを備えたシャフトを短くすることは望ましくない。したがって、それら2本のシャフトを回転軸線方向において重ねあうようにすれば操舵力伝達装置の全長をコンパクトにすることが可能となり、シャフトを短くすることなく操舵力伝達装置の全長を短くすることが可能となる。このため、本項に記載の操舵力伝達装置では、2本のシャフトの重ね合わせの効果が充分に活かされる。
(8)前記第1シャフトが前記転舵装置側シャフトであり、前記第2シャフトが前記操作部材側シャフトである(7)項に記載の車両用操舵力伝達装置。
上記助勢装置による転舵助勢力は相当に大きいため、回転伝達機構を構成する係合部等への負荷を考慮すれば、転舵助勢力が回転伝達機構に入力されることは望ましくない。本項に記載の装置においては、転舵助勢力が回転伝達機構に入力されないため、本項に記載の装置によれば、回転伝達機構への負荷を軽減することが可能となり、回転伝達機構の耐久性を向上させることが可能となる。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<車両用ステアリングシステムの全体構成>
図1に、実施例の車両用操舵力伝達装置を備えたステアリングシステムの全体構成を示す。本ステアリングシステムは、運転者によって操作されるステアリング操作部材としてのステアリングホイール10と、一端部においてステアリングホイール10を保持する操舵力伝達装置12と、車輪を転舵する転舵装置14と、操舵力伝達装置12と転舵装置14との間に位置するインタミディエイトシャフト(以下、「I/Mシャフト」と略す場合がある)16とを含んで構成されている。さらに、I/Mシャフト16の一端部と操舵力伝達装置12の備える出力シャフト18とは、ユニバーサルジョイント20によって連結され、I/Mシャフト16の他端部と転舵装置14の備える入力シャフト22の一端部とは、もう1つのユニバーサルジョイント24によって連結されている。
本システムは、図1において右側、つまり、ステアリングホイール10側が車両後方を、左側、つまり、転舵装置14側が車両前方を向くように配設されており、I/Mシャフト16は、車室とエンジン室とを区画するダッシュパネル26に設けられた穴を通るようにして配設されており、I/Mシャフト16のその穴を通る部分はブーツ28に被われている。
転舵装置14は、入力シャフト22と、外殻部材としてのハウジング30と、車輪を転舵するための転舵ロッド32とを備えており、その転舵ロッド32は、それの軸線方向に移動可能にそのハウジング30に保持されるとともに、車幅方向に延びるように配設されている。転舵ロッド32は、それの両端部が、左右の前輪の各々を保持するステアリングナックル(図示省略)に連結されている。また、入力シャフト22は、ハウジング30に回転可能に保持され、そのハウジング30内において、転舵ロッド32と係合している。入力シャフト22の車両前方側の端部にはピニオン(図示省略)が形成されており、転舵ロッド32の軸線方向における中間部に形成されたラック(図示省略)がそのピニオンと噛合することで、転舵ロッド32と入力シャフト22とが係合しているのである。
操舵力伝達装置12は、いわゆるステアリングコラムとして構成されたものであり、インパネリインフォースメント34に設けられたステアリングサポート36において、車体の一部に固定支持される。操舵力伝達装置12は、支持された状態では、図に示すように、車両前方側が下方に位置するように傾斜した姿勢で配置されることになる。操舵力伝達装置12には、それの前方部に前方ブラケット38が設けられるとともに、その前方ブラケット38より車両後方側にブレークアウェイブラケット(以下、「B.A.BKT」と略す場合がある)40が設けられており、それら前方ブラケット38とB.A.BKT40との各々が、ステアリングサポート36に取り付けられることで、操舵力伝達装置12は、2箇所において支持される。支持された操舵力伝達装置12は、後方に位置する部分がインパネ42から車両後方側に突出する状態とされ、その突出する後端部に、ステアリングホイール10が取り付けられている。操舵力伝達装置12のインパネ42から突出する部分は、コラムカバー44によって覆われ、また、下部は、インパネロアカバー46によってカバーされる。
図2に、操舵力伝達装置12の側面断面図を示す。操舵力伝達装置12は、大きくは、ステアリングホイール10を保持するとともに軸線方向に伸縮可能とされたコラムセクション50と、電動式パワーステアリング機能を実現する主体となるEPSセクション52とに区分することができ、それら2つのセクション50,52が一体化されたものとなっている。以下、それら各セクションについて、順に説明する。
コラムセクション50は、ステアリングホイール10を車両後方側の端部において保持する操作部材側シャフトとしてのメインシャフト54と、そのメインシャフト54を挿通させた状態で回転可能に保持するハウジングとしてのコラムチューブ56とを含んで構成されている。メインシャフト54は、車両後方側つまり上方側に位置させられるアッパシャフト58と、車両前方側つまり下方側に位置させられるロアシャフト60とを含んで構成されている。アッパシャフト58はパイプ状に、ロアシャフト60はロッド状に形成され、アッパシャフト58の前方部にロアシャフト60の後方部が挿入されている。アッパシャフト58とロアシャフト60とはスプライン嵌合されており、アッパシャフト58とロアシャフト60とは、回転軸線方向に相対移動可能かつ相対回転不能な状態で接続されている。つまり、メインシャフト54は、回転軸線方向に伸縮可能な構造とされている。なお、ロアシャフト60は、それの後方側のシャフト本体部62と、そのシャフト本体部62の前方側のそのシャフト本体部62の外径より大きな外径の鍔部としての円形フランジ部64とから構成されており、その円形フランジ部64において、後に説明するEPSセクション52に連結されている。なお、本操舵力伝達装置12では、ロアシャフト60のシャフト本体部62とアッパシャフト58とによって、メインシャフト54のシャフト本体部が構成されている。
コラムチューブ56は、車両後方側(上方)に位置させられるアッパチューブ66と、車両前方側(下方)に位置させられるロアチューブ68とを含んで構成されている。アッパアチューブ66およびロアチューブ68は、ともに筒状のものであり、第1筒部材としてのアッパチューブ66の前方部に第2筒部材としてのロアチューブ68の後方部が嵌入されている。ロアチューブ68は、段付形状とされており、それの後方の部分においてアッパチューブ66の内径より小さな外径の小径部70と、前方の部分においてアッパチューブ66の内径より大きな外形の大径部72と、小径部70と大径部72とをつなぐ段差部74とを有している。ロアチューブ68の小径部70とアッパチューブ66との間には、図示を省略するライナが設けられており、このライナを介することによって、ロアチューブ68がアッパチューブ66にがたつきなく嵌入されるとともに、アッパチューブ66とロアチューブ68との回転軸線方向の相対移動を容易ならしめている。つまり、コラムチューブ56は、回転軸線方向に伸縮可能な構造とされている。
また、アッパチューブ66の後端部とロアチューブ68の前端部とには、それぞれ、ラジアルベアリング76,78が設けられ、コラムチューブ56は、それらベアリング76,78を介して、メインシャフト54を回転可能に保持している。このような構造とされていることで、コラムセクション50は、メインシャフト54の回転を担保しつつ、伸縮可能とされているのである。
図3に、EPSセクション52の側面断面図を示す。EPSセクション52は、ステアリングホイール10に加えられた操作力を転舵装置14に対して出力するための出力シャフト18と、動力源としての電磁モータ80を有してそのモータ80によって出力シャフト18の回転出力を助勢する助勢装置82と、出力シャフト18を回転可能に保持するとともに助勢装置82を収容するEPSハウジング84とを含んで構成されている。出力シャフト18は、出力側シャフト86,入力側シャフト88,トーションバー90の3つが一体化されたものとして構成されている。出力側シャフト86は、EPSハウジング84の車両前方側から延出しており、その延出する部分において、ユニバーサルジョイント20を介して、I/Mシャフト16に接続され、転舵装置14へ回転を出力する。
出力側シャフト86は、中空構造とされており、その出力側シャフト86の車両後方側の部分に入力側シャフト88が挿入している。出力側シャフト86の内周面と入力側シャフト88の外周面との間には、軸受92が介在させられており、出力側シャフト86と入力側シャフト88とは相対回転可能とされている。入力側シャフト88は、車両前方側の端面に開口して回転軸線方向に延びる有底穴を有している。トーションバー90の一端部は、その有低穴の底部にピン94によって固定されており、また、トーションバー90のもう一方の端部は、出力側シャフト86を回転軸線方向に貫通する貫通穴の前方側の端部にピン96によって固定されている。このような構成により、出力シャフト18は、トーションバー90の捩りを許容し、その分だけ自身も捩じられるものとされているのである。また、出力側シャフト86は、その外周において2つのラジアルベアリング98,100を介してEPSハウジング84に回転可能に保持され、入力側シャフト88は、その外周においてニードルベアリング102を介してEPSハウジング84に回転可能に保持されている。
助勢装置82は、上記電磁モータ80と、その電磁モータ80のモータ軸に連結されたウォーム104と、そのウォーム104に噛合させられるウォームホイール106とを含んで構成されている。そのウォームホイール106は、出力シャフト18の出力側シャフト86に固定されており、出力側シャフト86に対して相対回転不能とされている。このような構造により、電磁モータ80によってウォーム104に回転力が付与され、ウォームホイール106に回転力が付与される。つまり、助勢装置82は、電磁モータ80によって出力シャフト18の回転出力が助勢されて、車輪の転舵を助勢する転舵助勢力(「操舵助勢力」と言うこともできる)を発生させる構造とされている。
また、EPSセクション52は、回転角センサ108を備えている。回転角センサ108は、トーションバー90の車両前方部が固定される出力側シャフト86の回転角度位置と、トーションバー90の車両後方部が固定される入力側シャフト88の回転角度位置との差である相対回転変位量を検出するためのデバイスとされている。2本のシャフト86,88の相対回転変位量に基づいて操舵トルクを推定することが可能であり、その操舵トルクの大きさに応じた転舵助勢力を発生させるように電磁モータ80の作動が制御される。
また、出力シャフト18は、メインシャフト54の回転軸線と自身の軸線とが平行であり、かつ、それら回転軸線が所定量ズレた状態で配設されており、メインシャフト54の車両前方側の端部に連結されている。詳しく言えば、メインシャフト54を構成するロアシャフト60は、円形フランジ部64の前方側の端面に開口する凹所114を有しており、その凹所114内に出力シャフト18を構成する入力側シャフト88の後方側の端部が収容されている。凹所114内に収容された入力側シャフト88の後方側の端部より前方側のそのシャフト88の部分には、円環状の円環プレート116が固定的に嵌合されており、入力側シャフト88に立設される立設部として機能している。その円環プレート116の後方側の端面とロアシャフト60の円形フランジ部64の前方側の端面とは、小さな間隔をあけて向かい合っている。
円環プレート116には、回転軸線方向に延びる貫通穴が形成されており、その貫通穴にピン118が固定的に嵌入されている。そのピン118は、円環プレート116から車両後方側に突出しており、そのピン118の突出する部分には、ニードルベアリング120を介して、円筒形状のローラ122が設けられている。本操舵力伝達装置12においては、ピン118,ニードルベアリング120,ローラ122とによって、円環プレート116から入力側シャフト88の回転軸線の延びる方向に突出する突出部が構成されており、その突出部と出力シャフト18と円環プレート116とによって、第1シャフトとしての転舵装置側シャフトが構成されているのである。その転舵装置側シャフトのシャフト本体部は、入力側シャフト88と出力側シャフト86とによって構成されている。ちなみに、操作部材側シャフトとしてのメインシャフト54は、第2シャフトとして機能している。
円形フランジ部64の前方側の端面には、円環プレート116から後方側に突出するローラ122と対向する位置に溝124が形成されている。その溝124は、図3のA−A’断面図である図4に示すように、凹所114からその円形フランジ部64の径方向に延びるように形成されており、その溝124の幅は、ローラ122の外径より僅かに大きくされている。その溝124にローラ122が係合することで、入力側シャフト88、つまり、出力シャフト18が、メインシャフト54を構成するロアシャフト60に連結されている。ちなみに、円形フランジ部64に形成された凹所114と溝124とは、互いに同じ深さとされている。なお、本操舵力伝達装置12では、ピン118,ニードルベアリング120,ローラ122とによって構成される突出部が、係合部として機能している。
運転者によってステアリングホイール10が回転操作されると、メインシャフト54が自身の回転軸線回りに回転する。その際、ロアシャフト60の円形フランジ部64に形成された溝124に係合するローラ122は、溝124の有する1対の側壁面126によってそのロアシャフト60の周方向への変位が規制されるとともに、その溝124によってそのシャフト60の径方向への移動が許容される。つまり、1対の側壁面126が1対の案内面として機能し、溝124が案内通路として機能するのである。ロアシャフト60の回転に伴って、ローラ122が溝124内を移動させられる際に、そのロアシャフト60の回転力が、ローラ122,ピン118,円環プレート116等を介して、入力側シャフト88に伝達されて、その入力側シャフト88が自身の回転軸線回りに回転するのである。つまり、操舵力伝達装置12は、ロアシャフト60の回転軸線回りの回転を、自身の回転軸線がロアシャフト60の回転軸線からずれて配設された入力側シャフト88に伝達する回転伝達機構を備えるものとされてる。上述のような構造によって、操舵力伝達装置12は、ステアリングホイール10に入力された操舵力を、インタミディエイトシャフト16等を介して転舵装置14に伝達するのである。なお、本操舵力伝達装置12では、その回転伝達機構は、溝124,ローラ122,ピン118,ニードルベアリング120を含んで構成されている。
操舵力伝達装置12は、EPSセクション52の前方端部と、コラムセクション50のアッパチューブ66とにおいて、車体の一部に取り付けられている。EPSセクション52のEPSハウジング84には、先に説明した前方ブラケット38が固定的に設けられており、この前方ブラケット38には、軸挿通穴130が設けられている。ステアリングサポート36には、軸穴132が穿設された軸受部材134が固定されており、前方ブラケット38の軸挿通穴130と軸受部材134の軸穴132とに、支持軸136が挿通されることで、操舵力伝達装置12は、その支持軸136を中心に揺動可能に支持される。
一方、コラムセクション50は、B.A.BKT40に保持され、そのB.A.BKT40がステアリングサポート36に取り付けられている。詳しく説明すれば、図5に示すように、B.A.BKT40は、アッパチューブ66に固定された被保持部材140を保持する保持部材142と、その保持部材142に固定されてステアリングサポート36に取り付けられる取付プレート144とを有しており、その取付プレート144に設けられたスロット146を利用してステアリングサポート36に締結されている。被保持部材140,保持部材142には、それぞれ長穴148,150が穿設され、それらにはロッド152が貫通しており、図では省略するが、そのロッド152を利用して保持部材142が被保持部材140を挟持するようにされている。この挟持力によって、アッパチューブ66の変位が禁止される構造とされている。操作レバー154を操作することによって、その挟持力を弱めることが可能とされており、挟持力が弱められた状態では、ロッド152の長穴148に沿った移動が許容されることで、アッパチューブ66のロアチューブ68に対する軸線方向の移動が、アッパシャフト58のロアシャフト60に対する軸線方向の移動とともに許容され、コラムセクション50の伸縮が許容される。また、ロッド152の長穴150に沿った移動が許容されることで、前方ブラケット38に挿通された支持軸136を中心とした操舵力伝達装置12の揺動が許容されることになる。つまり、本操舵力伝達装置12は、そのような構造のチルト・テレスコピック機構156を備えているのである。
車両の衝突に起因して運転者がステアリングホイール10に二次衝突した場合には、B.A.BKT40がステアリングサポート36から離脱するとともに、コラムセクション50が収縮させられる。本操舵力伝達装置12には、二次衝突の衝撃を吸収する衝撃吸収機構157が設けられており、ステアリングコラム56の収縮に伴ってEAプレート158が変形させられることによって、二次衝突の衝撃が効果的に吸収される。
<回転伝達機構の機能>
本操舵力伝達装置12においては、互いの軸線が平行にズレた状態で配設された2本のシャフト60,88が、上記回転伝達機構によって連結されていることから、ロアシャフト60の回転位相と入力側シャフト88の回転位相とがズレて、それら2本のシャフト60,88の回転位相の差である回転位相差が変化するものとされている。以下に、具体的に図を用いて説明する。
図6に、ロアシャフト60の円形フランジ部64とその円形フランジ部64に連結される入力側シャフト88とその円形フランジ部64に形成された溝124に係合するローラ122との断面図(図3のA−A’断面図に相当する)を示す。図6(a)は、ステアリングホイール10が車輪の転舵中立位置に対応する位置、つまり、中立操作位置にあるときの状態を、図6(b)は、ステアリングホイール10が中立操作位置から左旋回方向に90゜回転操作された位置にあるときの状態を、図6(c)は、ステアリングホイール10が中立操作位置から右旋回方向に90゜回転操作された位置にあるときの状態を、図6(d)は、ステアリングホイール10が中立操作位置から右、若しくは左旋回方向に180゜回転操作された位置にあるときの状態を、それぞれ示している。
図から解るように、ステアリングホイール10が中立操作位置から右、若しくは左旋回方向に90゜回転操作された場合には、ロアシャフト60は自身の回転軸線を中心に90°回転するが、入力側シャフト88は自身の回転軸線を中心に90°までは回転せずに、入力側シャフト88の回転角は90°未満となる。そして、ステアリングホイール10が、さらに回転操作されて、中立操作位置から右、若しくは左旋回方向に180゜回転操作された場合に、ロアシャフト60および入力側シャフト88は共に180°回転する。ロアシャフト60の回転角αと入力側シャフト88の回転角βとの関係は、図7に示すように、ステアリングホイール10が中立操作位置から180°未満回転操作される場合には、入力側シャフト88の回転角βはロアシャフト60の回転角αより小さく、ステアリングホイール10が中立操作位置から180°回転操作されると、入力側シャフト88の回転角βがロアシャフト60の回転角αと同じとなる。つまり、ロアシャフト60の回転位相が、ロアシャフト60の回転位相と入力側シャフト88の回転位相とが一致する特定回転位相となる場合、具体的にいえば、ロアシャフト60の回転角αが0°若しくは180°となる場合には、各回転角α,βがともに同じとなり、回転位相差は0となる。一方、ロアシャフト60の回転角αが0°から180°に変化する間に、回転位相差は徐々に増加し、ある回転角からは逆に、徐々に減少し、0となるのである。この場合の2本のシャフト60,88のギヤ比(dβ/dα)、つまり、ロアシャフト60の回転速度(dα/dt)に対する入力側シャフト88の回転速度(dβ/dt)の比(dβ/dα)は、図8に示すように、ロアシャフト60の回転角αに応じて変化する。
図から解るように、ロアシャフト60の回転角αが0°の場合には、ギヤ比(dβ/dα)は最も小さく、ロアシャフト60の回転角αが大きくなるにつれてギヤ比(dβ/dα)は大きくなる。つまり、本操舵力伝達装置12においては、ステアリングホイール10の操作角が小さい場合においては、穏やかで安定感のあるハンドリングが実現され、ステアリングホイール10の操作角が大きくなるにつれて、レスポンスの良いハンドリングが実現されるのである。なお、本システムにおいては、ステアリングホイール10の操作範囲が、図示を省略する操作範囲制限機構によって、中立操作位置から左右約180゜に制限されている。
ちなみに、図8の縦軸に示されているeは、ローラ122が溝124に係合する位置の入力側シャフト88の回転軸線からのオフセット量L(図4)に対する入力側シャフト88の回転軸線とロアシャフト60の回転軸線とのズレ量d(図4)の比率であり、ステアリングホイール10の操作フィーリングを左右するものとなっている。
また、ステアリングホイール10操作時に、入力側シャフト88がロアシャフト60の円形フランジ部64の内周面に干渉しないように、円形フランジ部64の内径が設定されている。具体的に言えば、図6(a)に相当する図9(a)に示すように、円形フランジ部64の内径R1の1/2が、入力側シャフト88の外径R2の1/2と2本のシャフト60,88の回転軸線のズレ量dとの合計した値より大きくなるようされている。つまり、円形フランジ部64の内径R1が、以下の数式を満たすように設定されている。
1>R2+2*d
本操舵力伝達装置12においては、このように円形フランジ部64の内径R1が設定され、ステアリングホイール10操作時の入力側シャフト88と円形フランジ部64の内周面との干渉が防止されている。
また、ステアリングホイール10操作時に、ローラ122がロアシャフト60の円形フランジ部64の外周面から突出しないように、円形フランジ部64の外径が設定されている。具体的に言えば、図6(d)に相当する図9(b)に示すように、円形フランジ部64の外径R3の1/2が、ローラ122の外径R4の1/2と2本のシャフト60,88の回転軸線のズレ量dとローラ122のオフセット量Lとの合計した値より大きくなるようされている。つまり、円形フランジ部64の外径R3が、以下の数式を満たすように設定されている。
3>R4+2*(d+L)
本操舵力伝達装置12においては、このように円形フランジ部64の外径R3が設定され、ステアリングホイール10操作時のローラ122の円形フランジ部64の外周面からの突出が防止されている。
<本操舵力伝達装置と他の操舵力伝達装置との比較>
上記操舵力伝達装置12においては、転舵装置側シャフトのシャフト本体部を構成する入力側シャフト88の車両後方側の端が、出力シャフト18の回転軸線およびメインシャフト54の回転軸線の延びる方向である回転軸線方向において、操作部材側シャフトとしてのメインシャフト54の車両前方側の端より車両後方側に位置している。このようにメインシャフト54と出力シャフト18とを配設するのに対して、出力シャフトのシャフト本体部の後方側の端とメインシャフトの前方側の端とが小さな間隔をあけて向かい合うように、それら2本のシャフトを配設した場合を考える。そのように2本のシャフトが配設された操舵力伝達装置170を、比較例として、図10(a)に示す。
図10(a)に示す操舵力伝達装置170においては、出力シャフト172を構成する入力側シャフト173が、車両後方側の端において、円環状の円環プレート174に固定的に嵌合されている。その円環プレート174には、車両後方側に突出するピン176が固定的に設けられており、そのピン176の突出する部分には、ニードルベアリング178を介して、ローラ180が設けられている。メインシャフト182を構成するロアシャフト183は、前方側の端部に円形フランジ部184を有しており、メインシャフト182は、その円形フランジ部184とメインシャフト182を構成するアッパシャフト185の後方側の端部において、ラジアルベアリング186、187を介して操舵力伝達装置170の外殻部材としてのハウジング188に回転可能に保持されている。円環プレート174の後方側の端面とロアシャフト183の円形フランジ部184の前方側の端面とは、小さな間隔をあけて向かい合っており、その円形フランジ部184の前方側の端面には、円環プレート174から後方側に突出するローラ180と対向する位置に溝190が形成されている。その溝190は、円形フランジ部184の端面の中心部からその円形フランジ部184の径方向に延びるように形成されており、その溝190の幅は、ローラ180の外径より僅かに大きくされている。その溝190にローラ180が係合することで、ロアシャフト183と入力側シャフト173とが連結され、メインシャフト182の回転に伴って出力シャフト172が回転するのである。
ちなみに、それら2本のシャフト173,183の回転軸線のズレ量は、上記操舵力伝達装置12の2本のシャフト60,88の回転軸線のズレ量dと同じとされており、ローラ180が溝190に係合する位置の入力側シャフト173の回転軸線からのオフセット量は、上記操舵力伝達装置12のローラ122が溝116に係合する位置の入力側シャフト88の回転軸線からのオフセット量Lと同じとされている。つまり、本操舵力伝達装置170は、上記操舵力伝達装置12と同じ操作フィーリングを有するものとされている。
図10(b)に上記操舵力伝達装置12を示すが、その操舵力伝達装置12の回転軸線方向の長さ、つまり全長は、比較例の操舵力伝達装置170と比較して、短くなっている。2つの操舵力伝達装置12,170の全長の差ΔLは、概ね、上記操舵力伝達装置12における出力シャフト18のロアシャフト60への挿入寸法(凹所114への入り込み量)Sに相当している。このように、本操舵力伝達装置12においては、同様の操作フィーリングを有する操舵力伝達装置170と比較して、回転軸線方向にコンパクト化が図られており、車両への搭載性が向上しているのである。
操舵力伝達装置の全長を短くすることが可能ということは、裏を返せば、その長さの差ΔLだけ、コラムセクション50の全長を長くすることが可能となり、そのコラムセクション50の伸縮ストロークを長くすることが可能となる。したがって、本操舵力伝達装置12においては、運転者のステアリングホイール10への衝突である二次衝突の衝撃の吸収性を高めることが可能とされているのである。
請求可能発明の実施例である車両用操舵力伝達装置を備えた車両用ステアリングシステムを示す模式図である。 図1の車両用ステアリングシステムの備える車両用操舵力伝達装置を示す断面図である。 車両用操舵力伝達装置の備えるEPSセクションを示す断面図である。 図3に示すAA’線における断面図である。 車両用操舵力伝達装置の備えるコラムセクションを保持するブレークアウェイブラケットを示す斜視図である。 ステアリングホイールが回転操作される際の図3に示すAA’線における断面図である。 操作部材側シャフトの回転角と転舵装置側シャフトの回転角との関係を示すグラフである。 操作部材側シャフトの回転角に応じて変化する操作部材側シャフトと転舵装置側シャフトとのギヤ比を示すグラフである。 図3に示すAA’線における断面図に操作部材側シャフトの円形フランジ部の内径寸法および外径寸法を記載したものである。 図2の車両用操舵力伝達装置と比較例の車両用操舵力伝達装置とを並べて示す図である。
符号の説明
10:ステアリングホイール(ステアリング操作部材) 12:車両用操舵力伝達装置 14:転舵装置 18:出力シャフト(転舵装置側シャフト)(第1シャフト)(第1シャフト本体部) 54:メインシャフト(操作部材側シャフト)(第2シャフト) 58:アッパシャフト(第2シャフト本体部) 62:シャフト本体部(第2シャフト本体部) 64:円形フランジ部(鍔部) 82:助勢装置 86:出力側シャフト(第1シャフト本体部) 88:入力側シャフト(第1シャフト本体部) 90:トーションバー 114:凹所 116:円環プレート(立設部) 118:ピン(突出部)(係合部)(回転伝達機構) 120:ニードルベアリング(突出部)(係合部)(回転伝達機構) 122:ローラ(突出部)(係合部)(回転伝達機構) 124:溝(案内通路)(回転伝達機構) 126:1対の側壁面

Claims (4)

  1. 運転者によって操作されるステアリング操作部材に一端部が連結され、回転可能に配設された操作部材側シャフトと、
    車輪を転舵する転舵装置に一端部が連結され、前記操作部材側シャフトの回転軸線と自身の回転軸線とが平行でありかつそれら回転軸線が所定距離ズレた状態で回転可能に配設された転舵装置側シャフトと、
    (A)前記操作部材側シャフトと前記転舵装置側シャフトとの一方である第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置において、その第1シャフトに設けられ、前記操作部材側シャフトと前記転舵装置側シャフトとの他方である第2シャフトの他端部と係合する前記第1シャフトの係合部と、(B)その第2シャフトの他端部においてその第2シャフトの径方向に延びるようにして設けられ、前記第1シャフトの係合部を係合させるとともに、その係合部の前記第2シャフトの径方向における移動を許容する案内通路とを含んで構成され、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの一方の回転によって、その第1シャフトの回転位相とその第2シャフトの回転位相との差である回転位相差を変化させつつ、他方が回転するように構成された回転伝達機構と
    を備えた車両用操舵力伝達装置であって、
    前記第1シャフトが、
    その第1シャフトの本体部である第1シャフト本体部と、
    その第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端から前記第1シャフトの回転軸線および前記第2シャフトの回転軸線の延びる方向である回転軸線方向において前記第2シャフトから離れる方向にシフトした位置において、前記第1シャフト本体部に前記第1シャフトの径方向に立設された立設部と、
    その立設部から前記回転軸線方向における前記第2シャフト側に突出した状態で、前記第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置において前記立設部に設けられた突出部と
    を有し、
    前記第2シャフトが、
    その第2シャフトの本体部である第2シャフト本体部と、
    その第2シャフト本体部の前記第1シャフト側の端においてその第2シャフト本体部と一体的に設けられ、その第2シャフト本体部よりも第2シャフトの径方向に突出するとともに自身の一端面がその第2シャフトの前記第1シャフト側の端面を構成する鍔部と、
    その鍔部の一端面に開口するとともに、前記第2シャフトの径方向に延びる溝と
    を有し、
    前記突出部が、前記鍔部の一端面に形成された前記溝に、その溝の開口を超えて係合することで、前記突出部が前記係合部として機能するとともに、前記溝が前記案内通路として機能し、
    当該車両用操舵力伝達装置が、
    前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端が、前記回転軸線方向において、前記第2シャフトの前記第1シャフト側の端よりも前記第2シャフトの一端部寄りに位置する構造とされた車両用操舵力伝達装置。
  2. 前記第2シャフトが、前記鍔部の前記一端面に開口する凹所を有し、
    その凹所内に、前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端部が収容されていることで、前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端が、前記回転軸線方向において、前記第2シャフトの前記第1シャフト側の端よりも前記第2シャフトの一端部寄りに位置する構造とされた請求項1に記載の車両用操舵力伝達装置。
  3. 前記溝が、前記第2シャフトの回転軸線に近い一端である基端において、前記凹所に開口する構造とされるとともに、
    前記第2シャフトが、前記凹所の深さと前記溝の深さとが同じである構造とされた請求項2に記載の車両用操舵力伝達装置。
  4. 前記第1シャフト本体部が、前記第1シャフトの回転軸線に沿って延びる空間を有する中空状に形成されるとともに、
    前記第1シャフトが、
    前記空間に配設され、一端部が前記第1シャフト本体部の前記第2シャフト側の端部によって回転不能に保持され、前記第1シャフトに加わる回転力によって捩られるトーションバーを有し、
    当該車両用操舵力伝達装置が、前記トーションバーの捩れ量に応じた大きさの転舵助勢力を発生させる助勢装置を備えた請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
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