JP5279819B2 - レンズの心出し装置を備えたコーティング装置及びコーティング方法 - Google Patents
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Description
このフォトクロミック材料の性質をレンズに利用したフォトクロミック眼鏡がある。フォトクロミック眼鏡は、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、光の照射のない屋内では、退色して透明な通常の眼鏡として機能する。
すなわち、レンズセット部でオペレータによって、レンズセット部にレンズがセットされる。この際、レンズのセット部の所定位置にレンズの中心部がセットされる。計測プロセスでは、レンズの厚さやレンズの勾配が測定される。次いで、プライマコートプロセスによって、プライマーコーティング液がレンズ表面に塗布され、乾燥プロセスではプライマーコーティング液を乾燥させてプライマーコート層を形成させる。フォトクロミックコートプロセスでは、フォトクロミックコーティング液をレンズ表面に塗布する。フォトクロミックコーティング液が塗布されたレンズは、UV照射プロセスにおいて、フォトクロミックコーティング液にUV照射することによって、フォトクロミックコーティング液を硬化させて、フォトクロミックコート層を形成させ、完成された製品レンズは装置のレンズ取出部に移送される。
センタリング作業は、各レンズ15のサイズに応じた段部d1〜d5に、レンズ15の下側縁部(レンズの裏側縁部)を当接させることによってレンズ15の中心に対する位置出しを行う。このセンタリング治具202による位置出しは、後続の作業におけるレンズ15のセンタリングの基準となる。センタリング治具202の段部dには、人手によってレンズ15を載置する。
このように、レンズのセンタリングを行うのは、レンズの高さやレンズの勾配によって、プライマコートプロセスや、フォトクロコートプロセスでのレンズの回転数や、コーティング液の半径方向への延展などが決定され、レンズの中心にずれがあると後作業に影響が生じるからである。
電気的にレンズのセンタリングを行うことも考えられるが、センサーなどを多く用いる必要があり、レンズ動作の制御が複雑になる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、レンズのような円形部材のセンタリングを行うのに、装置を複雑にすることなく容易にセンタリングを行うことができる円形部材の心出し装置及びこれを備えたコーティング装置を提供することにある。
前記心出し部は任意の半径を有する半円形部を有し、前記心出し部の前端部には、前記保持部材の前後方向に対して直角方向における前記円形部材の左右中心位置を規定する規制部を形成し、
前記保持部材には前記半円径部側を低く、前記シュート部側を高く傾斜させる昇降手段を設け、前記保持部材を傾斜させて円形部材を前記シュート部から前記心出し部の規制部まで移送させるようにした。
また、本発明においては、前記心出し部の半円形部が、下方側から上方側に向かって拡径する階段状の段差部を形成することによって前記半円径部を同心円上に複数設け、該各段差部は、半円形部の円弧部の両終端位置から連続して後方側の前記シュート部まで形成され、心出し部の各段差部の前端部には、前記保持部材の前後方向に対して直角方向における前記円形部材の左右中心位置を規定する規制部を形成してなることもできる。このような態様にすることにより、径が異なる複数の円形部材の心出しをより精度よく、連続して行うことができる。
前記円形部材の心出し装置は、前記心出し部の規制部に移送させた円形部材を移動させるためのハンドリング装置を含んでなり、前記心出し部の前端位置から中心部を上下に貫通する溝を形成し、前記円形部材の底面を支持するハンドリング装置の吸着部の先端が、前記心出し部下方から上昇して前記溝を貫通して前記円形部材を前記心出し部からハンドリング装置の吸着部に受け渡すことができる。
前記円形部材の心出し装置は、前記ハンドリング装置が制御部によって制御され、該制御部は予め入力されていた円形部材のサイズから該円形部材の前後方向における中心位置を判断させることができる。
また、前記円形部材の心出し装置は、さらに前記ハンドリング装置の吸着部に受け渡した円形部材の直径を測定する円形部材計測装置を有し、該円形部材計測装置で計測した直径の値から該円形部材の前後方向における中心位置を判断させることもできる。
前記円形部材の心出し装置の前記円形部材は、コーティングレンズの原材料とすることができる。
前記円形部材の心出し装置は、前記レンズを支持して回転させるスピン装置にレンズ面を上向きにして保持し、前記スピン装置に保持されたレンズの上面に光硬化性コーティング液を塗布するコーティング装置に使用することができる。
該コーティング装置は、前記光硬化性コーティング液がフォトクロミックコーティング液とすることができ、また前記レンズにプライマー層が形成されたレンズを使用することができる。
また、本発明の円形部材の左右心出し方法は、前方側に円形部材の中心軸の心出し部を設け、後方側に円形部材を前記心出し部に送り込むシュート部を設けた保持部材を備え、前記心出し部は任意の半径を有する半円形部を有し、心出し部の前端部には前記保持部材の前後方向に対して直角方向における前記円形部材の左右中心位置を規定する規制部を形成した円形部材心出し装置を用い、前記保持部材を前記心出し部が低くなるように傾斜させて前記シュート部に載置した前記円形部材を前記シュート部から前記心出し部まで滑動させ、前記円形部材を前記心出し部の規制部に当接させて前記円形部材の左右中心位置を規定するようにした。
上記円形部材の心出し方法は、予め測定した前記円形部材のサイズと前記規制部の位置関係から前記円形部材の前後方向における中心位置を制御部による演算で決定し、該制御部により制御されたハンドリング手段を移動させて、前記ハンドリング手段における円形部材を支持する部分(吸着部)を前記円形部材の中心部の直下方へ移動し、前記円形部材を支持する部分を上昇させることによって、該円形部材を支持する部分が前記円形部材の底面側中心部を支持することができる。
上記円形部材の心出し方法は、制御部により制御されたハンドリング手段を前記心出し部に移動させて、該ハンドリング手段における円形部材を支持する部分を前記円形部材の前記左右中心位置の直下方へ移動し、該円形部材を支持する部分を上昇させることによって、前記円形部材を支持する部分に前記円形部材の底面側の前記左右中心位置を支持させ、該円形部材を支持する部分を円形部材計測装置まで移動した後、円形部材を円形部材計測装置のセンタリングロッドに受け渡し、該円形部材計測装置では、前記センタリングロッドの中心軸から前記円形部材の前後方向における一端までの長さ(S)と、前記センタリングロッドの中心軸から前記レンズの前後方向における他端までの長さ(T)を計測し、それらの長さの差から、円形部材の前後方向における中心位置のズレを決定するとともに前記円形部材の中心位置の心出しをすることができる。
この作業時間の短縮化によって、例えば、円形部材の心出し装置をコーティング装置に使用する際には、コーティング系統を2系統設けることができ、コーティングしたレンズを大量に生産することができた。特に、レンズのコーティング作業においては、レンズの中心部を保持して、コーティング液の塗布、該コーティング液の硬化操作を行うため、本発明の円形部材心出し装置を使用することの効果が顕著に発揮された。
また、本発明によれば、少なくとも円形部材の左右中心位置を簡単に決定することができるため、レンズのコーティング装置以外の円形部材の中心軸の心出しを行うものであれば他の装置に適用することもできる。
3 円形部材測定部
10 レンズ(円形部材)
22 円形部材収容ユニット
25a〜25f 保持部材
27a 心出し部
27b シュート部
27c 貫通溝
27d 規制部
28 円形偏心カム
29 コイルばね
31 ハンドリング装置
45 円形部材支持ユニット
45c 吸着部(円形部材を支持する部分)
48 円形部材計測装置
図1に示すコーティング装置1の装置本体1aには、レンズのコーティング作業の流れ順に沿って、原料レンズの形状を測定するための円形部材測定部3(下記に詳述するが、この円形部材測定部には、円形部材計測装置48を備える)と、原料レンズにプライマー液を塗布し、未乾燥のプライマーコート層を有する第一中間体レンズを作製するためのプライマーコーティング部5と、第一中間体レンズの未乾燥のプライマーコート層を乾燥させて乾燥したプライマーコート層を有する第二中間体レンズを作製する乾燥部6と、第二中間体レンズにフォトクロミックコート液(光硬化性コーティング液)を塗布して未硬化のフォトクロミックコート層を有する第三中間体レンズを作製するフォトクロミックコーティング部7と、第三中間体レンズにUVを照射して未硬化のフォトクロミックコート層を硬化させて製品レンズを作製する2つのUV照射部8a及び8b(UV照射部8)と、からなるコーティングラインが形成されている。そして、このコーティングラインには、前記第三中間体レンズを仮置きするための円形部材仮置き部74、及び前記製品レンズを仮置きするための製品円形部材仮置き部72が設けられている。
尚、原料レンズ、第一中間体レンズ、第二中間体レンズ、第三中間体レンズ、および製品レンズは、上記に示した態様のレンズを指すが、下記の説明においては、単にレンズと略す。
なお、本発明は、円形部材心出し装置22によりレンズ10の中心を精度よく確定できる場合には、ハンドリング装置31は必須ではなく、円形部材心出し装置22のみであってもよい。ただし、該円形部材心出し装置22だけでレンズ10の中心を精度よく確定できない場合には、円形部材の前後方向の中心位置を規定するため、制御部を有するハンドリング装置31、または円形部材の直径を測定する円形部材計測装置48を含む態様を本発明の円形部材の心出し装置とすることが好ましい。
円形部材心出し装置22を固定して設置した場合には、この開閉扉21aを開いて円形部材心出し装置22にレンズ10が載置される。一方、円形部材心出し装置22を取り外し可能に設置した場合には、コーティング装置1の外部において、円形部材心出し装置22にレンズ10を載置することができる。
一対の円形部材心出し装置22は、同じ形状であり、一方の円形部材心出し装置22について説明すると、円形部材心出し装置22は四角形状の外枠23が設けられ、外枠23は左右縦枠23a,23bと上下横枠23c,23dとによって形成されている。
円形部材心出し装置22は、左右縦枠23a,23bとの間に円形部材の保持部材25a〜25f(なお、保持部材25a〜25fを総称して保持部材25とすることもある)が配設され、保持部材25a〜25fは、上段に保持部材25a,25bが位置し、中段に保持部材25c,25dが位置し、下段に保持部材25e,25fが位置する3段構造である。本実施形態では、各段の隣り合う保持部材25a,25bを一対として接するように配設しているが、間隔を空けて配設するようにしてもよい。
上記のような下方側から上方側に向かって拡径する段差部が形成された半円形部を有する心出し部について説明したが、本発明においては、当然のことながら、前記心出し部が段差部を設けない態様であっても十分に円形部材の心出しを行うことができる。ただし、上記のような段差部を設けた心出し部を有する保持部材を備えることにより、径が異なる複数の円形部材を処理するに際し、精度よく心出しを行うことができる。
以下の説明においては、この段差部を設けた心出し部を有する保持部材を備えた円形部材の心出し装置について説明する。
ばね取付板29aに取付けられている。コイルばね29は、引っ張り状態で配設され、常に保持部材25aの後端側を円形偏心カム28側に付勢している。円形偏心カム28の回転軸28aは、図示はしていないがパルスモータの回転軸と連結されている。
なお、図示はしていないが、その他の方法として、保持部材のシュート部側の下端部に上下に移動可能な補助部材を取り付け、この補助部材を上下させることによって、保持部材25を傾斜させたり、水平位置に戻す方法を採用することもできる。
さらに、円形部材心出し装置22の下部にのみ円形偏平カム、または補助部材を設置することにより、円形部材心出し装置22全体を傾斜させたり、水平位置に戻す方法を採用することも可能である。
円形部材支持ユニット45の先端には、レンズ10の底面を支持する吸着部45cを有する。この吸着部45cが、前記心出し部27aまでレンズ10の下方まで移動して上昇し、貫通溝27cを貫通して、レンズ10の底面を支持することにより、心出し部27aからレンズ10をハンドリング装置31に受け渡しできるように構成する。
円形部材計測装置48は、基台54aがY軸ガイドユニット49の長手方向の一端側から他端側まで移動可能であり、基台54aにはレンズ10を仮置きする円形部材の仮置き部58が取付けられている。
仮置き部58は、エアシリンダ58aによって昇降が可能であり、円形部材支持板58cの上面には、4本の立設ピン58dを直立させている。エアシリンダ58aの駆動によって、円形部材支持板58cは昇降が可能である。立設ピン58dは、正方形状に配置され、その中心部にセンタリングロッド57aの中心が配置されるように形成されている。
このセンタリングロッド57aは回転軸57によって回転させることも可能である。立設ピン58dはレンズ10を載置することができ、仮置き部58の上下動によって、レンズ10をセンタリングロッド57aに受け渡し及び受け取りすることができる。センタリングロッド57aは、パルスモータ54bの駆動によって回転が可能である。
円形部材計測装置48の両側部には、一方側にレーザ投光部60が設けられ、他方側には、レーザ受光部61が設けられている。レーザ投光部60によってレーザ光をレーザ受光部61に向けて照射すると、レーザ受光部61はレーザ光を受光することができる。
図9のA〜Cに示すように、センタリングロッド57a(支持軸)の先端部にレンズ10を固定し、センタリングロッド57aを回転及び直線移動させて測定エリアaにレンズ10を通過させ、レンズ10の曲率及び高さ、直径(外径)を検知する。このレンズ10の直径の値からレンズ10の前後方向の中心位置を正確に決定することができる。
コーティング装置1の第一主搬送部4aには第一主搬送手段62が配設されている。第一主搬送手段62には、X軸方向に摺動可能なアーム63が回転可能にかつアーム63の伸縮ができるように配設されている。アーム63の先端部には、受け渡しハンド64が接続され、アーム63の先端部位置に回動可能に形成されている。受け渡しハンド64の先端部には、吸着部64aが形成されている。この吸着部64aは、アーム63の回動、伸縮、さらには受け渡しハンド64の回動によって、360度の回転範囲で移動することができる。受け渡しハンド64は、レンズの円形部材計測装置48の仮置き部58からレンズ10を受け取ることができ、レンズ10をプライマーコーティング部5、乾燥部6、フォトクロミックコーティング部7及び円形部材仮置き部74の順に搬送することができる。
なお、このプライマーコーティング部5は、他の部と区画されていることが好ましく、温度・湿度調整が可能となる構造とすることが好ましい。
フォトクロミックコーティング部7では、光硬化性コーティング液(例えば、フォトクロミックコーティング液)を塗布するフォトクロミックコーティング装置86が設けられている。フォトクロミックコーティング装置86には、レンズ10を回転可能に支持するスピン軸85を設けている。レンズ10は、スピン軸85によって回転されながら、フォトクロミックコーティング液が塗布される。
なお、このフォトクロミックコーティング部7は、他の部と区画され、温度・湿度調整が可能な構造とすることが好ましい。
図1に示すように、コーティング装置1の第二主搬送部4bには第二主搬送手段67が配設されている。第二主搬送手段67には、第一主搬送手段62と同じアーム63が設けられ、アーム63の先端部には、受け渡しハンド64が接続されている。この第二主搬送手段67は、レンズ10を円形部材仮置き部74、UV照射部8a,8b及びコーティング作業が終了した製品レンズ10を仮置きする製品円形部材仮置き部72に配設し、レンズ10の受け渡しをすることができる。
UV装置70の下部には、ステンレスからなる円形部材収容室96が配設されている。
円形部材収容室96には、下部にステージ97が配設され、スピン軸97aが収容できる。スピン軸97aは昇降可能なステージ97に回転可能に支持され、ステージ97が上昇位置に配置されるとスピン軸97aが円形部材収容室96に収容され、下降位置でレンズの受け渡しがなされる。
円形部材収容室96の周囲には、コイル状に巻回された冷却パイプ96bが配設されている。円形部材収容室96の上部には、UV光を透過させるためのホウケイ酸ガラス製の窓96c、該窓96cの上下に石英ガラス製の窓96a、96dを配置することもできる。
さらに、これも図示はしていないが、この円形部材収容室96には、レンズに効率よく紫外線が照射されるように、反射板を設置することもできる。また、反射板を設置する以外にも、円形部材収容室96内を鏡面加工(ステージ97を含む)することにより、紫外線が効率よく照射できるようにすることもできる。
光硬化性コーティング液、具体的には、フォトクロミックコーティング液を塗布したレンズは、該コーティング液をUV装置で硬化させるのに最も時間を要していた。しかしながら、本発明の円形部材心出し装置を使用することにより、大量のレンズを処理することができるため、UV装置においても、上記構成とすることにより処理能力をより高めることができる。
図1に示すコーティング装置1では、装置本体1aのコーティングラインの下流側位置に製品円形部材貯留部9が配設されている。この製品円形部材貯留部9は必須のものではないが、該貯留部9には、製品円形部材収納ユニット75と、製品円形部材を製品円形部材仮置き部72から製品円形収納ユニット75に搬送する第二副搬送手段73が配設されている。この第二副搬送手段73は、ハンドリング装置31と同じ円形部材支持ユニット45を備える。
なお、コーティング装置1には各ユニットなどを制御したり、レンズ10を適宜受け取り受け渡しのタイミングを計る制御装置が設けられている。
なお、前記説明と同じく、レンズのコーティング処理について説明するため、円形部材をレンズと記載するが、円形部材の心出し、即ち、中心位置を決定する方法は、レンズに限られるものではない。
先ず、開閉扉21a(図1参照)を開き、図2及び図5に示す円形部材心出し装置22,22の保持部材25a〜25fにレンズ10をセットする。レンズ10の径を予め測定していてもよいし、下記に詳述する円形部材計測装置48でレンズ10の径を測定することもできる。
保持部材25は、段部dが水平状態となる初期位置から、円形偏心カム28の回転軸28aと連結しているパルスモータを回転させることによって、円形偏心カム28を回転させる。円形偏心カム28を回転させることによって、保持部材25の後端側が持ち上がった状態に待機させ(図5参照)、段部dが前方側に低くなるように傾斜させる。
この状態で、作業者は、開閉扉21aを開いて、円形部材心出し装置22,22の前に位置し、保持部材25の後端部に形成したシュート部27bにレンズを載置する。このとき、作業者は、レンズ10径よりも大きな段部dのうち、一番小さな半径(長さ)を有する段部dにレンズ10を載置することに注意する。シュート部27bにレンズ10を載置すると、レンズ10は段部dが傾斜しているので、シュート部27bを滑動して心出し部27aに滑り込む。なお、上記の説明においては、保持部材25が段差を有するものについて説明したが、当然のことながら、段差を有していない保持部材25を使用することもできる。
保持部材25aの心出し部27aには、心出し部27aの前端から中心点Oを超えた部分を上下に貫通する貫通溝27cが形成されおり、この貫通溝27を通して、ハンドリング装置31における円形部材支持ユニット45の吸着部45cが、レンズの底面を支持するようにする。こうすることにより、保持部材25から容易にレンズ10を取り出すことができる。
先ず、先にレンズの径を測定しておき、Y軸方向の位置出しをする方法について説明する。
このハンドリング装置31は制御部により制御するようにし、予め測定しておいたレンズ10の直径の値から、前記吸着部45cがレンズ10の前後方向の中心位置の底面を支持するようにすれば、容易にレンズ10の心出し(中心位置の決定)をすることが可能となる。
このハンドリング装置31の円形部材支持ユニット45の吸着部45cに受け渡しされたレンズ10は、そのまま次工程で処理することができる。次工程へ移動させる場合、特に、予めレンズ(円形部材)の直径を測定していない場合には、後述する円形部材測定部3において円形部材の外形、例えば、直径、高さ、曲率等を測定することによって、心出しすることができる。これについては、後述する。
ハンドリング装置31から次工程の円形部材計測装置48へレンズ10を移動させるには、図6に示すハンドリング装置31の円形部材吸着部45cを、図8に示す立設ピン58dの直上方へ移動し(図示せず)、円形部材吸着部45cを下降させる。これによって、立設ピン58dの上にレンズ10を載置(仮置き)できる。そして、立設ピン58dを下降させることによって、センタリングロッド57aの上にレンズ10を支持させることができる。
レンズ10の受け渡しは、直接、円形部材測定部3における円形部材計測装置48のセンタリングロッド57aへレンズを受け渡す機構とすることもできるが、一旦、円形部材を仮置き部58へ仮置きすることが好ましい。この仮置き部58は、少なくとも3本の立設ピン58d(本実施形態では4本)からなることが好ましい。
また、この仮置き部58を使用したレンズの受け渡しは、円形部材測定部3の次の工程のレンズ10の表面にプライマーを塗布するプライマーコーティング装置65のスピン軸78、フォトクロミックコーティング装置86のスピン軸85、乾燥部6、UV装置70,71のスピン軸97aへ受け渡す際にも、図示は省略するが同様の構造を用いてレンズ10の受け渡しを行っている。
円形部材計測装置48の測定エリアaでは、図10に示すように、レーザ投光部60とレーザ受光部61が、先端部にレンズ10を固定したセンタリングロッド57aの両側に配設され、センタリングロッド57aが測定エリアaを通過することにより、レンズ曲率、高さ、および直径を測定する。レーザ投光部60とレーザ受光部61との間、すなわち測定エリアaにレンズ10が置かれると、該レンズ10により光が遮断され、光が遮断された長さ(または光が遮断されていない長さ)を測定できる。また、センタリングロッド57aは、回転及び直線移動が可能であり、円形部材計測装置48では、このセンタリングロッド57aの回転角度及び直線移動量の指定ができ、これらの現在値を取得することができる。
図10に示すように、レンズ10の径は、センタリングロッド57aの先端部に保持されたレンズ10が測定エリアaに進入した瞬間のセンタリングロッド57aの移動距離(A)を測定する(図10のA参照)。次いで、さらに、センタリングロッド57aを移動させ、レンズが測定エリアaから出た瞬間のセンタリングロッド57aの移動距離(B)を測定する(図10のB参照)。この移動距離(B)から移動距離(A)を減算することでレンズ10の直径を求めることができる。上述したように、円形部材心出し装置22によってX軸方向の中心の位置出しが決定されているため、Y軸方向の移動距離でレンズ10の直径が正しく測定できる。
なお、予めレンズ径が分かっているレンズ10については、上述したように円形部材心出し装置22によって、既にレンズ10の中心部が求められるので、このレンズ10の心出し工程は、省略される。
Y軸方向にずれがある場合には、そのずれを調整してセンタリングロッド57aから仮置き部58へレンズ10を受け渡したり、さらにはハンドリング装置31の円形部材吸着部45cに受け渡すことにより、仮置き部58において、レンズ10のX軸方向およびY軸方向の中心位置が確定される。なお、仮置き部58を設けない場合には、直接、次工程へレンズ10を受け渡す際、上記ずれを調整してやればよい。
上記の方法に従えば、例えば、コーティング処理を行う前のレンズ10の中心位置を容易に決定することができるため、コーティング処理を効率よく行うことができる。さらに、レンズの大きさが多少異なるものを連続して処理する場合にも、この方法で中心位置を決定すれば、効率よく円形部材の心出しを行うことができる。
なお、この円形部材計測装置48では、レンズの直径以外に、レンズの曲率、高さを測定し、その値を後処理であるコーティング処理時、例えば、コーティングノズルの位置決め、補助手段の移動距離等を決定するのに用いることもできる。なお、レンズ10の曲率、高さの測定方法については、本実施形態では省略する。
なお、本発明によれば、円形部材の心出しを効率よく行うことができるため、例えば、大量のレンズを後工程で処理することが可能となる。その結果、複数の系統で処理、例えば、コーティング処理などを行うことも可能となる。
プライマーコーティング処理が終了した後は、受け渡しハンド64がレンズ10を乾燥部6に搬送し、コーティング液を所定時間、乾燥させる。
レンズ10の乾燥が終了した後は、第一主搬送手段62によって、フォトクロミックコーティング部7に搬送される。フォトクロミックコーティング部7では、フォトクロミックコーティング装置86によって、レンズの表面に光硬化性コーティング液(フォトクロミックコーティング液)を塗布する。フォトクロミックコーティング処理が終了した後は、第一主搬送手段62によって、レンズ10が一旦、円形部材仮置き部74に載置され、レンズ10は第二主搬送手段68の受け渡しハンド64に受け渡される。
第二主搬送手段68では、受け渡しハンド64がUV照射部8a,8bのUV装置70の紫外線照射室93に搬送され、紫外線照射室93では、UVランプ95によってレンズ10に紫外線が照射され、フォトクロミックコーティング液が硬化される。
次に、UV装置70において処理されたレンズ10は、第二主搬送手段67により、立設ピン72aで仮置き部を形成している製品円形部材仮置き部72に搬送される。レンズ10は、製品円形部材貯留部9における第二副搬送手段73の円形部材支持ユニット45を介して、円形部材収容ユニット75の円形部材収容部75aに搬送される。そして、製品円形部材貯留部9の開閉扉21bを開いて、円形部材収容部75aから製品を取り出してやればよい。
この作業時間の短縮化によって、コーティング系統A,Bを2系統設け、UV装置70,71を複数設けたり、一台のUV装置で同時に複数のレンズを処理することによって、コーティングされたレンズ10を大量に生産できるようになった。
なお、本実施形態では、コーティング系統Aとコーティング系統Bに交互にレンズ10を搬送し、交互にレンズ10のコーティング作業を行ったが、例えば、プライマーコーティング液又はフォトクロミックコーティング液の交換などがある場合は、いずれかのコーティング系統を停止させ、一方のコーティング系統で作業を行ってもできる。
また、一コーティング系統において、プライマーコーティング部5、またはフォトクロミックコーティング部7は、コーティング液の補充や装置の補修のため、他の部が自動運転(連続運転)をしている際に、他の部と切り離して手動操作を行えるようにすることもできる。この場合、プライマーコーティング部5、またはフォトクロミックコーティング部7にレンズ10が移送される前にコーティング液の補充や装置の補修を行ったり、プライマーコーティング部5の前にレンズ10を多数配置できる仮置き部(図示していない)を設けたり、乾燥部6に多数のレンズ10を配置できるように設定することもできる。該仮置き部を設けたり、乾燥部6に多数のレンズ10を配置できるようにすることにより、コーティング液の補充後、または装置の補修後に、プライマーコーティング部5、またはフォトクロミックコーティング部7を他の部と連動させて運転させることが容易となる。
また、本発明において、保持部材25a〜25fの揺動(傾斜)手段については、上記カム機構の他、シリンダやモーターなどを利用した他の機構で行うことも、勿論可能である。なお、本発明においては、保持部材25a〜25fの揺動(傾斜)は心出し部が低くなるように傾斜させることが重要である。そのため、保持部材25aを例に説明すると、支持軸26を保持部材25aのシュート部27b側(後方側)の下端部に取り付け、心出し部27a(前方側)に上下に稼動可能な補助部材を取り付け、この補助部材を上下させることによって保持部材25aを傾斜させることも可能である。
Claims (9)
- レンズの心出し装置によって中心が決定した円形のレンズをスピン軸がレンズ面を上向きにして保持し、前記スピン軸によって回転するレンズの上面に光硬化性コーティング液を塗布するコーティング装置において、
前記心出し装置には、レンズの左右方向の心出しをするレンズの保持部材とレンズの前後方向の心出しをするレンズ計測装置を備え、
前記保持部材は、前方側にレンズの中心軸の左右方向における心出し部を設け、後方側にレンズを前記心出し部に送り込むシュート部を設け、
前記心出し部は任意の半径を有する半円形部を有し、前記心出し部の前端部には、前記保持部材の前後方向に対して直角方向における前記レンズの左右中心位置を規定する規制部を形成し、
前記保持部材には前記半円径部側を低く、前記シュート部側を高く傾斜させてレンズを前記シュート部から前記心出し部の規制部まで移送させる昇降手段を設け、
前記レンズ計測装置は、計測したレンズの直径の値から該レンズの前後方向における心出しを決定する制御部を備えたことを特徴とするレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。 - 前記心出し部の半円形部が、下方側から上方側に向かって拡径する階段状の段差部を形成することによって前記半円径部を同心円上に複数設け、該各段差部は、半円形部の円弧部の両終端位置から連続して後方側の前記シュート部まで形成され、
心出し部の各段差部の前端部には、前記保持部材の前後方向に対して直角方向における前記レンズの左右中心位置を規定する規制部を形成したことを特徴とした請求項1に記載のレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。 - 前記レンズ計測装置は、レンズを保持する移動可能なセンタリングロッドと、レンズの前後方向における前端部及び後端部を測定する測定エリアを備え、
前記レンズを前記センタリングロッドによって前記測定エリアを通過させて、前記センタリングロッドの移動距離によってレンズ径を測定し、前記レンズの前端部から前記センタリングロッドの中心位置までの長さ(S)と前記レンズの後端部から前記センタリングロッドの中心位置までの長さ(T)との差によって、前記制御部が前記レンズの前後方向の心出しを決定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。 - 前記レンズの心出し装置が前記心出し部の規制部に移送させたレンズを前記センタリングロッドへ移動させるためのハンドリング装置を含んでなり、
前記心出し部の前端位置から中心部を上下に貫通する溝を形成し、前記レンズの底面を支持する前記ハンドリング装置の吸着部の先端が、前記心出し部下方から上昇して前記溝を貫通して前記レンズを前記心出し部からハンドリング装置の吸着部に受け渡すようにしたことを特徴とする請求項3に記載のレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。 - 前記センタリングロッド上で心出しされたレンズを前記センタリングロッドから仮置きする仮置き部を設け、該仮置き部を介して前記レンズを前記スピン軸に受け渡すようにしたことを特徴とする請求項3に記載のレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。
- 前記保持部材が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。
- 前記光硬化性コーティング液がフォトクロミックコーティング液であることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。
- プライマーコート層が形成されたレンズの該プライマーコート層上に、光硬化性コーティング液を塗布することを特徴とする請求項7に記載のレンズの心出し装置を備えたコーティング装置。
- 前方側にレンズの中心軸の心出し部を設け、後方側にレンズを前記心出し部に送り込むシュート部を設けた保持部材を備え、前記心出し部は任意の半径を有する半円形部を有し、心出し部の前端部には前記保持部材の前後方向に対して直角方向における前記レンズの左右中心位置を規定する規制部を形成したレンズ心出し装置を用い、
前記保持部材を前記心出し部が低くなるように傾斜させて前記シュート部に載置した前記レンズを前記シュート部から前記心出し部まで滑動させ、前記レンズを前記心出し部の規制部に当接させて前記レンズの左右中心位置を規定し、
制御部により制御されたハンドリング手段を前記心出し部に移動させて、該ハンドリング手段におけるレンズを支持する部分を前記レンズの前記左右中心位置の直下方へ移動し、該レンズを支持する部分を上昇させることによって、前記レンズを支持する部分に前記レンズの底面側の前記左右中心位置を支持させ、該レンズを支持する部分をレンズ計測装置まで移動した後、レンズをレンズ計測装置のセンタリングロッドに受け渡し、
該レンズ計測装置では、前記センタリングロッドの中心軸から前記レンズの前後方向における一端までの長さ(S)と、前記センタリングロッドの中心軸から前記レンズの前後方向における他端までの長さ(T)を計測し、それらの長さの差から、レンズの前後方向における中心位置のズレを決定し、前記レンズの前後方向の心出しを行い、
心出しが決定した円形のレンズをスピン軸がレンズ面を上向きに保持し、前記スピン軸によって回転するレンズの上面に光硬化性コーティング液を塗布するようにしたことを特徴とするコーティング方法。
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