JP5279249B2 - 熱可塑性樹脂ゾル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の上塗焼付後に塗布されて耐チッピング性を高め、環境にやさしく、しかも大型の乾燥炉等を必要としない熱可塑性樹脂ゾル組成物及び熱可塑性樹脂ゾル組成物に関するものである。
自動車の接合部には、水密・気密等を目的に加熱硬化タイプのシーリング材が施工されており、また床裏部分には、小石・砂粒等が衝突する機会が多いのでかかる衝撃に耐えるとともに、騒音防止の目的からアンダーコート材が施工されている。このようなシーリング材・アンダーコート材は、コスト面や取扱いの容易性等から塩化ビニルプラスチゾル系の他、近年ではアクリルゾル系の加熱硬化タイプが多く用いられており、これらのシーリング材・アンダーコート材は、室温ではペースト状で、その後の塗装硬化時に合わせて硬化(ゲル化)し、エラストマー状となる。
一方、近年の自動車の製造ラインにおいては、塗装品質向上(埃付着防止、ブツ防止)のためライン内に散水がされており、特に夏季は高温多湿の環境となっている。上述したシーリング材・アンダーコート材は、通常工程では施工後数時間以内に加熱・硬化されるため、大気中の水分による吸湿の影響を受け難いが、土日連休や長期連休に長時間に亘ってライン内に放置された車体の塗膜が、その後の焼付け乾燥時に吸湿した水分が原因で気泡を生じさせ、外観を損なうのみならずシール性や耐チッピング性までも損なうため、補修が必要となり多大な工数が掛かっていた。
そこで、かかる問題を解決するために、特許文献1に記載の騒音防止用アンダーコート剤の発明においては、酸化カルシウム・酸化マグネシウム等の吸湿剤をPVC100部に対して、5部〜100部、より好ましくは10部〜40部配合することを提案している。これによって、例えば土日の連休等にラインが止まり、ウェットで塗布されたままで放置された発泡前のアンダーコート剤が、吸湿によってライン再稼動時の加熱硬化時に膨れが発生することを、吸湿剤の添加によって効果的に防止することができるとしている。
また、特許文献2に記載の発泡型床裏防錆コーティング材の発明においては、水分吸収剤の機能を長時間持続させるためにステアリン酸塩で表面処理し、分散性も向上させている。これによって、30℃・70%RHの高温多湿下にウェット状態のまま7日間放置した後、加熱硬化させた場合においても、異常な膨れが発生せず、良好な外観が得られたとしている。
特開2000−169756号公報 特開2000−169754号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、土日の連休等の比較的短期間の場合にしか効果を得ることができず、より長期間のライン停止の場合には効果が不充分である。また、上記特許文献2に記載の技術においては、ゾル中では水分吸収剤の水分との反応性は可塑剤等にブロックされるため低下するので、水分吸収剤を表面処理すると更に活性が低下してしまう。また、通常の夏季連休を想定した30℃・80%RHで10日間放置した場合には、この方法でも効果が得られないという問題点があった。
そこで、本発明は、水分吸収剤を使用することなく、30℃・80%RHにおいてウェット状態で10日間放置した場合においても、その後の加熱硬化時に異常な膨れが発生せず、補修等の工数を必要としない、シーリング材・アンダーコート材等として用いることができる熱可塑性樹脂ゾル組成物を提供することを課題とするものである。
請求項1の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物は、熱可塑性樹脂を可塑剤に分散させた熱可塑性樹脂ゾルと、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーと、40℃〜120℃の範囲内の融点を有し水溶性のポリアミドアミンと、これらの成分と反応しない無機充填材とを含有し、前記芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーの反応によって表面被膜が形成されるものである。
ここで、「熱可塑性樹脂」としては、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)樹脂、AS(アクリロニトリルースチレン)樹脂、等を用いることができる。また、「可塑剤」としては、フタル酸ジイソノニル(DINP)を始めとするフタル酸エステル、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、リン酸エステル、等を用いることができる。更に、「無機充填材」としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、アルミナ、石膏、セメント、転炉スラグ粉末、シラス粉末、ガラス粉末、グラファイト、ヒル石、カオリナイト、ゼオライト、等を用いることができる。
また、「芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマー」としては、芳香族イソシアネート(MDI、TDI、メタフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、等)を成分とするウレタンプレポリマーの一方のイソシアネート基に、水酸基を有するポリエステル、ポリエーテル、アクリル、エポキシ等を予め反応させて、残りのイソシアネート基を活性水素を有する化合物(例えばメタノール、エタノール等の脂肪族アルコール類、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、シクロヘキサノール等の環状アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等の水酸基含有エーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸アミル、乳酸ブチル等の水酸基含有エステル類、ダイアセトンアルコール等の水酸基含有ケトン類、アセトオキシム、ケトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン類、ブチルメルカプタン、へキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン等のメルカプタン類、アセトアニリド、アクリルアミド、酢酸アミド等の酸アミド類、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のイミド類、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン等のアミン類、イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、その他尿素類、イミン類、亜硫酸塩類、等)でブロックし不活性化したものを用いることができる。
請求項2の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物は、請求項1の構成において、前記熱可塑性樹脂は塩化ビニル樹脂またはアクリル樹脂であるものである。
請求項3の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物は、請求項1または請求項2の構成において、前記可塑剤はフタル酸エステルであるものである。ここで、「フタル酸エステル」としては、フタル酸ジイソノニル(DINP)を始めとして、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ビス−2−エチルへキシル(DEHP)、フタル酸ジノルマルオクチル(DnOP)、等がある。
請求項4の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、シーリング材またはアンダーコート材として用いられるものである。
請求項5の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、前記可塑剤を90重量部〜115重量部の範囲内で、前記芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーを5重量部〜20重量部の範囲内で、前記ポリアミドアミンを2.0重量部〜6.0重量部の範囲内で、前記無機充填材を100重量部〜200重量部の範囲内で、それぞれ含有するものである。
請求項1の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物は、熱可塑性樹脂を可塑剤に分散させた熱可塑性樹脂ゾルと、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーと、40℃〜120℃の範囲内の融点を有し水溶性のポリアミドアミンと、これらの成分と反応しない無機充填材とを含有し、前記芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーの反応によって表面被膜を形成する。
ここで、「熱可塑性樹脂」としては、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)樹脂、AS(アクリロニトリルースチレン)樹脂、等を用いることができる。また、「可塑剤」としては、フタル酸ジイソノニル(DINP)を始めとするフタル酸エステル、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、リン酸エステル、等を用いることができる。更に、「無機充填材」としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、アルミナ、石膏、セメント、転炉スラグ粉末、シラス粉末、ガラス粉末、グラファイト、ヒル石、カオリナイト、ゼオライト、等を用いることができる。
このように、本発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、40℃〜120℃の範囲内の融点を有し水溶性のポリアミドアミンを使用しているので、ゾル状態で高湿度下に曝されると芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーとの反応が始まり、表面被膜が形成されるため、その後の加熱硬化時においても膨れが発生し難い。また、水溶性のポリアミドアミンが40℃以上の融点を有するため、ゾル状態で長期間保存してもゲル化することがなく、ゾルとしての安定性にも優れている。
このようにして、水分吸収剤を使用することなく、30℃・80%RHにおいてウェット状態で10日間放置した場合においても、その後の加熱硬化時に異常な膨れが発生せず、補修等の工数を必要としない、シーリング材・アンダーコート材等として用いることができる熱可塑性樹脂ゾル組成物となる。
請求項2の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂またはアクリル樹脂である。
したがって、請求項1に記載の効果に加えて、塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂は熱可塑性樹脂の中でも汎用性のある樹脂であり、入手し易く、しかも軟化点・粘度・乾燥時表面硬度・強度等の各特性においても、優れた特性を有しており、シーリング材・アンダーコート材等として使用するのに適している。
このようにして、水分吸収剤を使用することなく、30℃・80%RHにおいてウェット状態で10日間放置した場合においても、その後の加熱硬化時に異常な膨れが発生せず、補修等の工数を必要としない、シーリング材・アンダーコート材等として用いることができる熱可塑性樹脂ゾル組成物となる。
請求項3の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、可塑剤がフタル酸エステルである。ここで、「フタル酸エステル」としては、フタル酸ジイソノニル(DINP)を始めとして、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ビス−2−エチルへキシル(DEHP)、フタル酸ジノルマルオクチル(DnOP)、等がある。
したがって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、フタル酸エステルは最も一般的な可塑剤であり、入手も容易であり、塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂を始めとする熱可塑性樹脂を分散して安定な熱可塑性樹脂ゾルを形成する。特に、環境負荷とならない点、取り扱い易さの点、等を考えると、フタル酸エステルの中でもフタル酸ジイソノニル(DINP)を用いるのがより好ましい。
このようにして、水分吸収剤を使用することなく、30℃・80%RHにおいてウェット状態で10日間放置した場合においても、その後の加熱硬化時に異常な膨れが発生せず、補修等の工数を必要としない、シーリング材・アンダーコート材等として用いることができる熱可塑性樹脂ゾル組成物となる。
請求項4の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、シーリング材またはアンダーコート材として用いられる。
本発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、40℃〜120℃の範囲内の融点を有し水溶性のポリアミドアミンを使用しているので、ゾル状態で高湿度下に曝されると芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーとの反応が始まり、表面被膜が形成されるため、その後の加熱硬化時においても膨れが発生し難い。また、水溶性のポリアミドアミンが40℃以上の融点を有するため、ゾル状態で長期間保存してもゲル化することがなく、ゾルとしての安定性にも優れている。
したがって、本発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物は、自動車・鉄道等の輸送機械類、冷蔵庫やエアコン等の家電製品類、自動販売機等の産業機器類、等の幅広い分野に亘って、板合わせ部や一般面に使用されるシーリング材またはアンダーコート材として、好適に用いることができる。
このようにして、水分吸収剤を使用することなく、30℃・80%RHにおいてウェット状態で10日間放置した場合においても、その後の加熱硬化時に異常な膨れが発生せず、補修等の工数を必要としない、シーリング材またはアンダーコート材として用いることができる熱可塑性樹脂ゾル組成物となる。
請求項5の発明に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、熱可塑性樹脂100重量部に対して、可塑剤を90重量部〜115重量部の範囲内で、より好ましくは100重量部〜110重量部の範囲内で、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーを5重量部〜20重量部の範囲内で、より好ましくは7重量部〜19重量部の範囲内で、ポリアミドアミンを2.0重量部〜6.0重量部の範囲内で、より好ましくは2.3重量部〜5.4重量部の範囲内で、無機充填材を100重量部〜200重量部の範囲内で、より好ましくは140重量部〜160重量部の範囲内で、それぞれ含有する。
本発明者らは、熱可塑性樹脂ゾル組成物に含有される各成分の重量比について、鋭意実験研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂100重量部に対して、可塑剤を90重量部〜115重量部の範囲内で、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーを5重量部〜20重量部の範囲内で、ポリアミドアミンを2.0重量部〜6.0重量部の範囲内で、無機充填材を100重量部〜200重量部の範囲内で、それぞれ含有させた場合に、より確実に、30℃・80%RHでウェット状態で10日間放置した場合においてもその後の加熱硬化時に異常な膨れが発生しないことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
すなわち、熱可塑性樹脂100重量部に対して、可塑剤を90重量部未満とした場合には、熱可塑性樹脂ゾルの粘性が高くなり過ぎて、塗布性が悪くなり、一方可塑剤の含有量が115重量部を超えた場合には、シーリング材やアンダーコート材として塗布した場合の乾燥硬度が低くなる。したがって、熱可塑性樹脂100重量部に対して、可塑剤を90重量部〜115重量部の範囲内で含有させることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂100重量部に対して、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーを5重量部未満、または20重量部を超える量とした場合には、ゾル状態で高湿度下に曝された際の水溶性のポリアミドアミンとの反応が不充分となり、表面被膜が充分に形成されないため、その後の加熱硬化時に膨れが発生する恐れがある。したがって、熱可塑性樹脂100重量部に対して、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーを5重量部〜20重量部の範囲内で含有させることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂100重量部に対して、ポリアミドアミンを2.0重量部未満、または6.0重量部を超える量とした場合には、ゾル状態で高湿度下に曝された際の芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーとの反応が不充分となり、表面被膜が充分に形成されないため、その後の加熱硬化時に膨れが発生する恐れがある。したがって、熱可塑性樹脂100重量部に対して、ポリアミドアミンを2.0重量部〜6.0重量部の範囲内で含有させることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂100重量部に対して、無機充填材を100重量部未満とした場合には、乾燥後の塗膜の強度が不充分となり、一方無機充填材の含有量が200重量部を超えた場合には、熱可塑性樹脂ゾル組成物の粘度が高くなり過ぎて均一に塗布することが困難となり、取扱い性が悪くなる。したがって、熱可塑性樹脂100重量部に対して、無機充填材を100重量部〜200重量部の範囲内で含有させることが好ましい。
更に、熱可塑性樹脂100重量部に対して、可塑剤を100重量部〜110重量部の範囲内で、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーを7重量部〜19重量部の範囲内で、ポリアミドアミンを2.3重量部〜5.4重量部の範囲内で、無機充填材を140重量部〜160重量部の範囲内で、それぞれ含有させた場合には、熱可塑性樹脂ゾルの粘性がより適正な範囲内となり、乾燥硬度がより高く、表面被膜が充分に形成されて加熱硬化時に膨れが発生する恐れが全くなくなるため、より好ましい。
このようにして、水分吸収剤を使用することなく、30℃・80%RHにおいてウェット状態で10日間放置した場合においても、その後の加熱硬化時に異常な膨れが発生せず、補修等の工数を必要としない、シーリング材・アンダーコート材等として用いることができる熱可塑性樹脂ゾル組成物となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂(実施例1,実施例2)及びアクリル樹脂(実施例3)を用い、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)を用い、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーとしてNCO当量1280のブロックウレタンプレポリマーを用い、ポリアミドアミンとして融点80℃、アミン価485の変性ポリアミンを用い、無機充填材として炭酸カルシウムを用いている。
また、比較のための熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーとして、NCO当量1280のブロックウレタンプレポリマー(比較例2,3)及びNCO当量820のブロックウレタンプレポリマー(比較例1,4)を用い、ポリアミドアミンとして融点が常温以下、アミン価190の変性ポリアミンを用いた。本実施の形態に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物の組成(実施例1,実施例2,実施例3)を、比較のための比較例1,比較例2,比較例3,比較例4とともに、表1に示す。
Figure 0005279249
表1に示される各成分のうち、可塑剤はJ−プラス(株)製のDINP、減粘剤はエクソンモービル(株)製のD−80、炭酸カルシウム(微粒)は白石工業(株)製の白艶華CCR、炭酸カルシウム(粗粒)は竹原化学工業(株)製の重質炭酸カルシウム、安定剤は堺化学工業(株)製の亜鉛華3種、塩化ビニル樹脂(微粒)は新第一塩ビ(株)製のZEST P38J、塩化ビニル樹脂(粗粒)は新第一塩ビ(株)製のZEST PB51J、アクリル樹脂は三菱レーヨン(株)製のダイヤナールLP3104を、それぞれ使用した。
また、ブロックウレタンプレポリマー(A)は三洋化成工業(株)製のケミオックスAC−803、ブロックウレタンプレポリマー(B)は(株)ADEKA製のアデカレジンQR−9401−1、ポリアミドアミン(A)は(株)ADEKA製のアデカハードナーEH4070S、ポリアミドアミン(B)はエアプロダクツ製のヌーリーボンド272を、それぞれ使用した。
これらの本実施の形態の実施例1,2,3に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物及び比較例1,2,3,4の熱可塑性樹脂ゾル組成物は、可塑剤及び減粘剤を合計150重量部、炭酸カルシウム(微粒)を100重量部、炭酸カルシウム(粗粒)を100重量部、塩化ビニル樹脂またはアクリル樹脂を130重量部、それぞれ含有している点では一致している。
したがって、実施例1,2,3と比較例1,2,3,4との相違点は、実施例1,2,3がポリアミドアミン(A)(融点80℃、アミン価485)を、比較例1,2,3,4がポリアミドアミン(B)(融点が常温以下、アミン価190)をそれぞれ含有している点と、実施例1,2,3及び比較例2,3がブロックウレタンプレポリマー(A)(NCO当量1280)を含有しており、比較例1,4がブロックウレタンプレポリマー(B)(NCO当量820)を含有している点である。
そこで、これらの実施例1,2,3に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物及び比較例1,2,3,4の熱可塑性樹脂ゾル組成物について、性能試験を実施した。試験項目としては、表1の下段に示されるように、初期粘度、10日後粘度及び増粘率、並びにゾル状態で放置後加熱硬化させた場合の膨れ性及び硬化後放置した場合の膨れ性について評価した。
試験方法としては、初期粘度については、粘度測定器として東京計器(株)製のBH型回転粘度計を使用して、被試験材料温度20℃においてローターNo.7を用いて、20rpmで1分後の粘度を読み取った。また、10日後粘度については、被試験材料を密閉した容器に入れ、35℃に調整された槽内に10日間放置した後、20℃まで冷却して、初期粘度と同様にして測定した。
そして、増粘率を次式(1)にしたがって算出した。
増粘率=(10日後粘度−初期粘度)÷初期粘度×100 ‥‥(1)
また、膨れ性については、70mm×150mm×0.8mmのED鋼板に、50mm×120mm×0mm〜4mmになるように被試験材料を塗布した。これを焼付け前の状態のものと、140℃×30分間硬化させたものとの、二種類を試験片とした。これらの試験片を、30℃・80%RHに調整された槽内に10日間放置した。その後、試験片を槽内から取り出して、直ちに140℃に調整された乾燥機内に投入し、30分間加熱した。乾燥機から取り出し、室温まで冷却した後に、試験片の表面状態について観察した。
以上の試験結果について、表1の下段に示す。表1の下段に示されるように、本実施の形態に係る実施例1,実施例2,実施例3の熱可塑性樹脂ゾル組成物は、いずれも増粘率が9%〜22%と小さく、ゾルとしての安定性に優れていることが分かった。これに対して、比較例1,比較例4は増粘率が9%,20%と小さく、ゾルとしての安定性に優れているが、比較例2は増粘率が46%と大きく、また比較例3は10日後にゲル化してしまい、いずれもゾルとしての安定性に欠けることが分かった。
また、膨れ性については、本実施の形態に係る実施例1,実施例2,実施例3の熱可塑性樹脂ゾル組成物は、実施例1のゾル放置の場合に微細な膨れが見られた以外には、ゾル放置の場合も硬化後放置の場合も一切膨れはなく、膨れ防止性に優れていることが分かった。これに対して、比較例2,比較例3においては、比較例2のゾル放置の場合に微細な膨れが見られた以外には、ゾル放置の場合も硬化後放置の場合も一切膨れはなく、膨れ防止性に優れている。
しかし、比較例1,比較例4においては、いずれもゾル放置の場合には著しい膨れが生じ、硬化後放置の場合にも膨れが観察されていることから、膨れ防止性に欠けていることが判明した。すなわち、表1に示されるように、比較例1,比較例4においては、脂肪族ブロックウレタンプレポリマーを使用していることによって膨れが生じ易くなっているものと考えられ、また比較例2,比較例3においては、常温で液体のポリアミドアミンを使用していることによって、ゾルとしての安定性に欠けるものと考えられる。
以上説明したように、本実施の形態に係る実施例1,実施例2,実施例3の熱可塑性樹脂ゾル組成物は、ウェット状態で30℃・80%RHに調整された槽内に10日間放置した後、直ちに140℃に調整された乾燥機内に投入して30分間加熱しても膨れを生じないことから、通常の夏季連休によるライン停止で想定される、ウェット状態で30℃・80%RHに10日間放置された場合にも、ライン運転再開後の加熱硬化によっても膨れを生じないものと考えられる。
また、35℃に調整された槽内に10日間放置した後の増粘率が低いことから、熱可塑性樹脂ゾル組成物としての安定性にも優れており、夏季の高温時における長期間の保存にも耐えることが分かった。
このようにして、本実施の形態に係る熱可塑性樹脂ゾル組成物においては、水分吸収剤を使用することなく、30℃・80%RHにおいてウェット状態で10日間放置した場合においても、その後の加熱硬化時に異常な膨れが発生せず、補修等の工数を必要とせず、シーリング材・アンダーコート材等として用いることができる。
本実施の形態においては、熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂及びアクリル樹脂を用いた場合について説明したが、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)樹脂、AS(アクリロニトリルースチレン)樹脂、等のその他の熱可塑性樹脂を用いることもできる。また、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)を使用した場合について説明したが、これに限られるものではなく、その他のフタル酸エステルを始めとして、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、リン酸エステル、等を用いることができる。
また、本実施の形態においては、「無機充填材」として炭酸カルシウム(微粒)と炭酸カルシウム(粗粒)を半々に混合して使用しているが、これに限られるものではなく、様々な粒度の炭酸カルシウムを始めとして、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、アルミナ、石膏、セメント、転炉スラグ粉末、シラス粉末、ガラス粉末、グラファイト、ヒル石、カオリナイト、ゼオライト、等を用いることができる。
更に、本実施の形態においては、「芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマー」として、三洋化成工業(株)製のケミオックスAC−803を使用した場合について説明したが、「芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマー」であれば、他の製品を使用することもできる。
また、「40℃〜120℃の範囲内の融点を有し水溶性のポリアミドアミン」として、(株)ADEKA製のアデカハードナーEH4070S(融点80℃)を使用した場合について説明したが、「40℃〜120℃の範囲内の融点を有し水溶性のポリアミドアミン」であれば、他の製品を使用することもできる。
本発明を実施するに際しては、熱可塑性樹脂ゾル組成物のその他の部分の構成、成分、配合、形状、数量、材質、大きさ、製造方法等についても、本実施の形態及び各実施例に限定されるものではない。
なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を可塑剤に分散させた熱可塑性樹脂ゾルと、
    芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーと、
    40℃〜120℃の範囲内の融点を有し水溶性のポリアミドアミンと、
    これらの成分と反応しない無機充填材とを含有し、
    前記芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーの反応によって表面被膜が形成されることを特徴とする熱可塑性樹脂ゾル組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂は塩化ビニル樹脂またはアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂ゾル組成物。
  3. 前記可塑剤はフタル酸エステルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂ゾル組成物。
  4. シーリング材またはアンダーコート材として用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂ゾル組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、前記可塑剤を90重量部〜115重量部の範囲内で、前記芳香族イソシアネートを成分とするブロックウレタンプレポリマーを5重量部〜20重量部の範囲内で、前記ポリアミドアミンを2.0重量部〜6.0重量部の範囲内で、前記無機充填材を100重量部〜200重量部の範囲内で、それぞれ含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂ゾル組成物。
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